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DITAコンテンツ開発ライフサイクルを支援するLeximation社のFrameMaker DITAプラグインシリーズ テクニカル白書 DITAコンテンツ開発ライフサイクルを支援する Leximation社のFrameMaker® DITA プラグインシリーズ これまでのテクニカル白書においてDITAをイネーブラ―(Enabler)とするインテリ ジェントコンテンツ開発ライフサイクルの流れを、FrameMaker 11およびTechnical Communciation Suite 4(TCS4)、DITA CMSの視点から、その新しい関係性につい て解説してきました。今回のテクニカル白書では、FrameMaker、DITA CMS、それぞ れにとって重要なサードパーティツールのLeximation社プラグインについてとりあ げ、各プラグインの関連性も含め解説します。 Leximation社は、今回とりあげるDITAコンテンツ開発ライフサイクル関連のプラグインツール以外にも多 岐にわたるFrameMaker関連のツールや生産性支援のユーティリティーを専門に開発している会社です。 欧米のFrameMakerユーザーにとっては、創始者のScott Prenticeとともに広く知られています。Leximation 社のDITA関連 FrameMakerプラグインは大まかに以下の4種類に分類されます。このテクニカル白書で は、それぞれのプラグインについてその機能および役割と、それぞれの関連性について解説します。 1. データ移行: FM2DITA 2. オーサリングとパブリッシング: DITA-FMx 3. オートメーション(自動化): FMx-AutoおよびAutoFM 4. コンテンツ管理: XDocsFMxおよびXDocs/FMx-Auto 図1 コンテンツ開発ライフサイクル

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Page 1: DITAコンテンツ開発ライフサイクルを支援する Leximation社 …築を、戦略とシステムインテグレーションの両面から支援。国際標準化団体OASISの会員でもあり、DITA、XLIFF、OAXAL

DITAコンテンツ開発ライフサイクルを支援するLeximation社のFrameMaker DITAプラグインシリーズ テクニカル白書

DITAコンテンツ開発ライフサイクルを支援するLeximation社のFrameMaker®DITA プラグインシリーズこれまでのテクニカル白書においてDITAをイネーブラ―(Enabler)とするインテリジェントコンテンツ開発ライフサイクルの流れを、FrameMaker 11およびTechnical Communciation Suite 4(TCS4)、DITA CMSの視点から、その新しい関係性について解説してきました。今回のテクニカル白書では、FrameMaker、DITA CMS、それぞれにとって重要なサードパーティツールのLeximation社プラグインについてとりあげ、各プラグインの関連性も含め解説します。

Leximation社は、今回とりあげるDITAコンテンツ開発ライフサイクル関連のプラグインツール以外にも多岐にわたるFrameMaker関連のツールや生産性支援のユーティリティーを専門に開発している会社です。欧米のFrameMakerユーザーにとっては、創始者のScott Prenticeとともに広く知られています。Leximation社のDITA関連 FrameMakerプラグインは大まかに以下の4種類に分類されます。このテクニカル白書では、それぞれのプラグインについてその機能および役割と、それぞれの関連性について解説します。

1. データ移行:FM2DITA2. オーサリングとパブリッシング:DITA-FMx3. オートメーション(自動化):FMx-AutoおよびAutoFM4. コンテンツ管理:XDocsFMxおよびXDocs/FMx-Auto

図1

コンテンツ開発ライフサイクル

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データ移行のためのFM2DITAFM2DITAは、非構造化FrameMakerからDITA XMLファイルへのデータ移行を支援するツールとユーティリティーから成るFrameMakerのプラグインです。このプラグインは、FrameMaker 7.2から11までのバージョンをサポートしています。FM2DITAは、魔法の杖ではありません。変換の全ての工程にわたって自動化するわけではありません。しかしながら、コンサルタントや専門のデータ移行サービスへの投資を最小限に抑えることができるようになります。FrameMakerが標準で備えている『変換表』機能を拡張することによって、DITA移行に関しての工数や費用を、削減、効率化することができます。同じプラグインシリーズのLeximation社のDITA-FMxプラグインと併用するすることが奨励されますが、FrameMaker標準のDITAサポートとの併用でも十分効果が期待されます。

FM2DITAを有効に活用するには、このプラグインに追加して、以下のツールとスキルが必要になります。

• バージョン7.2以降のFrameMaker(FrameMaker 11奨励)

• FrameMaker DITAサポート(標準もしくはDITA-FMx:DITA-FMx奨励)

• DITA オープンツールキット(もしくは他のバリデーションツール:コマンドラインツール奨励)

• 『変換表』開発経験

FM2DITAは、以下4つのタイプのデータ移行関連の機能を提供します。

1. 既存の非構造化FrameMakerコンテンツの分析機能(トピック数のカウントや各種レポートの生成)

図2

FM2DITA FrameMaker拡張 メニュー

図3FM2DITA

Reports and Command Control サブメニュー

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2. 非構造化FrameMakerファイルへの前処理変換準備ツールとしての機能

3. 構造化FMバイナリ―ファイルを正しいDITA構造へクリーンアップ、構造変え(リファクタリング)する機能

4. 個別FMファイルを複数のDITAトピックへ分割し、階層構造を維持したルートやチャプターマップを生成する機能

オーサリングとパブリッシングのためのDITA-FMxDITA-FMxは、Liximation社のFrameMakerプラグインの中で最も重要なプラグインです。以降に解説するプラグインはこのDITA-FMxプラグインを基盤として機能します。サーバー環境、デスクトップ(クライアント)環境のどちらにおいてもDITA-FMxがFrameMakerもしくはFrameMaker Publishing Server上にインストールされていることが必須の要件となります。最新のバージョンは、2013年11月25日にリリースされたバージョン v.1.1.17です。

☞ DITA 1.2には未だ未対応ですが、DITA 1.2のキーベースの新しいリンクの機能などを除外したDITA 1.2のデータモデルに対応したバージョンは、オンリクエストベースで対応しています。

DITA-FMxは、FrameMaker(7.2、8、9、10、11の全てのバージョン)上で、DITA XML(v1.1)ファイルの作成、編集、パブリッシュを可能にする、DITA構造化アプリケーションセットを組み込んだFrameMakerプラグインです。FrameMaker標準のDITA機能に比べてより制作、ユーザー視点からの機能と操作性を提供しています。DITA-FMxの機能は、『インテリジェントコンテンツにおけるFrameMakerとDITA CMSの新しい関係性(第一部)』および『インテリジェントコンテンツにおけるFrameMakerとDITA CMSの新しい関係性(第三部:パブリッシング編)』で紹介しました。ここでは、DITA-FMxインタ―フェースの紹介とこれらのテクニカル白書の中で紹介できなかった機能について補足的に解説します。

図4FM2DITA Preconversion Tools

サブメニュー

図5

DITA-FMx FrameMaker 拡張メニュー

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ローカリゼーションサポート

DITA-FMxは、言語ごとに異なるオーサリングおよびパブリッシングのテンプレートを指定できる仕組みを持っています。「xml:lang」属性の情報から判断してそれぞれのテンプレートを提供します。FMブック生成においてもこの機能を使うことができます。これらの設定は、「ditafmx-ini」で指定します。

DITA2GOおよびDITAオープンキットプラグインのサポート

Omini Systems社(www.dita2go.com)のDITA2GOとインテグレートすることができます。DITA-OTの代わりとして利用することによって、安価で、カスタマイズができ、見栄えも良い、オンラインヘルプを生成することができます。DITA2GOのコード自体は、FrameMakerユーザーには馴染みのあるMif2Goから開発されたツールです。プログラマー以外のユーザーがカスタマイズできるように使いやすいGUI (グラフィカルユーザーインターフェース)Project Managerを提供しています。

また、DITA-OTプラグインとして、商用のHTML5ベース、デバイス非依存型のSuite Solutions社のSuiteHelpをDITA-FMxと連携しているDITAオープンツールキットに組み込むことができます。

DITA2GOやSuiteHelpプラグインなどの商用ツールは、FrameMakerのRoboHelp連携ソリューションとともに、プログラマー(開発者)以外の既存のライターやオペレーターなどのユーザーが利用することを前提に習得が楽で、取り組みやすいツール部品として設計されてます。

図6

DITA-FMx Options設定画面

図7

異なるデバイス(PCとスマートフォン)によるSuiteHelpのダイナミックコンテンツ配布

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INI(ditafmx.ini)設定ファイル

FrameMakerの「Maker.ini」や「ditafm-output.ini」設定ファイルと同じくDITA-FMxにおいても設定ファイルを様々にカスタマイズできます。ここでは、設定項目のみを紹介します。詳細は、製品マニュアルを参照してください。

セクション 設定項目

General section MaxRefLevels

INIOnly section UseRefList

PreserveTableWidth

ForceTablesWide

StructappsFile

XrefElements

DitaFMxGuide

DitaHelpKeys

DitaReference

DitaRefTargetType

DitaRefTargetPath

MapFromOutlineTemplate

ImagePlacement

BaselineOffset

BookTitleVariableName

StripClassAttribute

TplDelimChar

MaxOpenFiles

UseBooklistPlaceholder

RunaroundOff

INIOnly section (Set Attributes コマンドと併用) SetAttrIgnore

SetAttrStrings

SetAttrStringsDefault

INIOnly section (CMSと併用) CMSClientName

CMSImageDefaultDpi

表1INI(ditafmx.ini)設定ファイル

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セクション 設定項目

GeneralImport section IndextermProcessing

StripPadding

StripTrailing

TableProcessing

UseLanguageTemplate

MissingImageDir

GeneralExport section IndextermProcessing

XrefProcessing

CrossRefToXref

DitaXrefElem

DitaLinkElem

IgnoreElemPrefix

WriteLinkTextToFmXrefs

WriteLineBreakPIs

FmXrefUseOutputclass

TableImport section SetColumnsProp

SetColumnWidthsProp

CustomTableCount / N

BuildFile section AntCommand

EnvironmentSetup

DitaDir

EnvironmentSetup-<buildname>

DitaDir-<buildname>

AntScript

Count / N

AntBuild section Count / N

ANT:<buildname> section BuildFile

EnvironmentSetup

Target

表1INI(ditafmx.ini)設定ファイル

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オートメーションのためのFMx-Auto(AutoFM)FMx-Autoプラグインは、DITA-FMxプラグインのアドオンとしてDITA-FMxのAPI機能をアンロック(アクティベート)するプラグインです。ライセンスには、AutoFMプラグインが含まれています。AutoFMプラグインがアクティベートされることによって、FrameScript、Extended Script(FrameMaker 10/11)や様々なFDKクライアントをDITA-FMx上で利用できるようになります。

AutoFMは、自動化スクリプトのためのインターフェースをFrameMakerのAutoFM構造化アプリケーションとして提供します。AutoFM XMLスクリプトファイルを読み込み、実行することで一連の自動処理がおこなわれます。AutoFMスクリプトは、FrameMakerなどのXMLオーサリングツール上で作成できます。

コンテンツ管理システムのためのXDocsFMxとXDocs/FMx-AutoXDocsFMx(無償提供)は、Bluestream Database Software社のXDocs DITA CMSとDITA-FMxを連携させることによってシームレスなDITAコンテンツ開発ライフサイクルのための、管理、オーサリング、パブリッシング環境を提供します。このFrameMaker/XDocsコネクターによってDITA-FMxプラグイン上で、XDocsリポジトリ内のファイルを参照したり、チェックアウト/チェックインができるようになります。また画像などのメディアファイルもリポジトリ内から選択、検索、挿入できます。FrameMakerのプロフェッショナルなパブリッシング機能を使って、XDocsリポジトリからプロファイル処理済みのDITAマップをローカルデスクトップにエクスポート後、FMブック化し、PDFにパブリッシングすることもできます。

XDocs/FMx-Autoは、XDocsサーバーにFrameMaker Publishing Serverを組み込むことによって、ローカルデスクトップ環境にDITAマップをエクスポートする手順なしで、XDocs上に直接PDFの自動パブリッシング環境を構築するためのDITA-FMxサーバープラグインです。

図8

DITA-FMx上でDITAマップからFMブックとPDFを自動生成するAutoFMスクリプト

図9

XDocs Explorer Standard パブリッシングダイアログ

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Adobe, the Adobe logo, Acrobat, Captivate, FrameMaker, Illustrator, Photoshop and RoboHelp are either registered trademarks or trademarks of Adobe Systems Incorporated in the United States and/or other countries. All other trademarks are the property of their respective owners.

© 2013 Adobe Systems Incorporated. All rights reserved. Printed in Japan.

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アドビ システムズ 株式会社 〒141-0032 東京都品川区大崎1-11-2ゲートシティ大崎イーストタワー www.adobe.com/jpAdobe Systems Incorporatedwww.adobe.com

執筆者プロフィールインフォパース株式会社 代表取締役 関根哲也国内大手翻訳・制作会社勤務時から、XMLのソリューションをグローバル企業に提供。独立後、DITAとコンテンツ管理のスペシャリストとしてDITAをEnablerとする独自のコンテンツ戦略業務を展開。国内企業のグローバル顧客サービスのためのインフラストラクチャ―構築を、戦略とシステムインテグレーションの両面から支援。国際標準化団体OASISの会員でもあり、DITA、XLIFF、OAXALの普及活動にも自身のライフワークとして取り組んでいる。JDIG(Japan DITA Interest Group)議長。

このテクニカル白書で取り上げた製品についてのより詳しい情報はそれぞれ以下の会社のサイトから情報を問い合わせてください。

Bluestream XDocs DITA CCMS: インフォパース株式会社

Leximation FrameMaker各種プラグイン: インフォパース株式会社

Suite Solutions SuiteHelp: インフォパース株式会社

Omni Systems DITA2GO: www.dita2go.com

まとめ今回のテクニカル白書では、Liximation社の各種FrameMaker DITAプラグインについてDITAコンテンツ開発ライフサイクルの視点から個別に解説しました。FrameMaker/LiximationプラグインとXDocs DITA CMSとの連携によって、より完全なDITAコンテンツ開発環境を構築することができるようになります。Liximation社のプラグインを活用することで、非構造化FrameMakerからデータを移行し、スモールスタート的にDITA導入を開始し、エンタープライズレベルのXDocs CMS環境を構築するという、段階的なDITAコンテンツ開発環境への移行が具現化されます。このテクニカル白書の情報を参考にすることによって、多くの企業がFrameMakerの資産を生かしたDITA環境構築に取り組んでいただけたら幸いです。