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行政の情報化と文字情報基盤

政府 CIO 補佐官経済産業省 CIO 補佐官     平本 健二

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コンピュータ導入時から漢字の扱いは課題 昔のコンピュータやプリンタは、現在の機器ほど性能がよく

ないため、多くの文字を扱うことができなかった。 そのため、コンピュータに標準搭載される文字以外に、外字

と呼ばれる、利用者が自由に登録する文字が使われていた。

現在も、多くのシステムが独自の外字を保有し、その維持費がかかるとともに、システム間での情報交換を阻害している。 名前の「文字化け」等

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正確な文字の必要性Q :貴団体において、戸籍・住民基本台帳以外に、正確な文字

を表示する必要がある業務として考えられるものはありますか。

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%

国内自治体の文字情報基盤への取り組み状況に関する質問紙調査( 2014.5  国際大学 グローバル・コミュニケーション・センター( GLOCOM ) )

税、料金徴収、保険・医療、福祉、学校・教育

は必要性が高いと考えられている

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全ての文字を使えるようにすればよいのか? 文字はコミュニケーションの手段であり、他の人に伝わらな

ければ問題がある。 そのために、常用漢字が制定され、公用文をはじめ社会全体

での文字利用には一定のルールが存在している。 但し、氏名等はアイデンティティの問題もあり、より広く文

字が使えるようになっている。

一方、「宮沢さん」にメールを書くときに、「宮沢さん」「宮澤さん」のどちらで書くのか迷う等、漢字に種類があると迷う場面も多い。 渡辺の「辺」は、 30 近くの種類があり、日常的に使い分けるのは困

難である。

正確な表記 日常的な利用

両立した解が必要

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解としての文字情報基盤 全ての国民の氏名をコンピュータで扱うことが可能になるよう、無

償のフォントを整備し提供。 日常生活での利便性も確保するため、簡易な文字で代替する対応表

を平成26年度中に整備。 マイナンバー導入までに、氏名や法人名を正確に情報交換できる環

境が整備完了。

文字情報基盤: IPAmj明朝フォント(漢字 58,814文字)戸籍統一文字(漢字 55,270文字)

住民基本台帳ネットワークシステム統一文字(漢字 19,563文字)JIS漢字コード( 10,050文字)常用漢字( 2,136文字)

法令、公用文書、新聞、雑誌、放送等、一般の社会生活において、現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安を示す。

実用上の情報交換の必要性から、出現頻度等を元に文字を選定( JISX2013:2004 )

戸籍のオンライン手続に使用することを目的として整理した文字(辞書をベースに整理)

多くの住民が氏名に使う文字を整理

渡辺

戸籍や住民票での表記

日常事務での表記

23 年度「市区町村が使用する外字の実態調査」で、 1,386 市区町村から収集した外字 1,166,536 文字について、文字情報基盤の漢字 58,712 文字に対し、包摂基準を策定し、同定した。同定できた外字総数 934,812 文字。

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文字情報基盤全体像

IPAmj明朝フォント

変体仮名フォント

文字情報一覧

一覧

導入ガイド

テクニカルスタディ

文字データベース

仕様例縮退マップ

文字 ガイド

支援ツール

導入事例

IPAmj明朝フォント拡大縮小が自由にできる Opentypeフォーマット文字の画像ファイルも併せて提供文字情報一覧表各種文字コード間の関係や部首などの文字の基本情報を一覧で整理文字情報基盤導入ガイド業務によって使うべき文字範囲の例示など基本的方針文字情報基盤導入テクニカルスタディコード化完了までの暫定運用推奨案文字縮退変換マップ( H26予定)文字情報基盤から JIS第 4水準までの縮退対応表参考:変体仮名一覧変体仮名のフォントを提供し、文字情報基盤の運用を補助導入事例札幌市等での文字情報基盤導入実証の結果を整理調達仕様書記載例( H26予定)調達仕様書への記載例を提示文字データベース(構築中)文字をだれでも使いやすくするデータベース

適用業務と文字の範囲(参考)

(*A) 必要に応じ、文字情報基盤で整備された文字図形以外の文字図形を、「外字」等として利用することが有り得るが、できる限り文字情報基盤の文字範囲に収まるよう、調整することが望ましい。

(*B) 市場にある一般的情報機器の対応状況に応じ、変化する。(*C)JIS X 0213 範囲以外の文字については、図形イメージによる表示、伝送を検討する。(*D)JIS X 0213 範囲以外の文字については、表示を図形イメージによるものとするほか、 Web 上

に漢字入力を支援するサービスを設けることを検討する。

( *) IVS( 字形選択子)を使用するシステムでは文字情報基盤で整備した全ての文字(約 6 万文字図形)を区別可能。使用しないシステムでは約 5 万文字図形を区別可能。

普及セミナー

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歴史

年 発行主体等 内容1978(S53)

日本規格協会 JIS C 6226 「情報交換用漢字符号系」( 78JIS )

1994(H6) 法務省 戸籍事務の電算化開始1997(H9) 閣議決定 「行政情報化推進基本計画 (改定 )」 JIS3,4 水準制定により解消。残る外字の交換

ルール策定。2000(H12)

日本規格協会 JIS X0213  「情報交換用符号化拡張漢字集合」( JIS 第 3,4 水準)

2002(H14)

総務省 住民基本台帳ネットワーク統一文字

2002(H14)

経済産業省他 汎用電子情報交換環境整備プログラム開始(戸籍、住民基本台帳ネットワーク、登記を検証)

2003(H15)

IT 戦略本部決定 「 e-Japan 戦 略 Ⅱ」公開用文字情報データベースの構築。文字コード規格を整備。

2004(H16)

法務省 戸籍統一文字(戸籍手続オンラインシステムの構築のための標準仕様書)

2005(H17)

IT 戦略本部決定 「 IT 政策パッケージ -2005 」

2008(H20)

IT 戦略本部決定 「 IT 政策ロードマップ」

2010(H22)

経済産業省、 IPA

文字情報基盤プロジェクト開始

2011(H23)

IT 戦略本部決定 「電子行政推進に関する基本方針」文字情報基盤の活用

2011(H23)

経済産業省、 IPA

文字情報基盤プロジェクト成果公開  IPAmj 明朝フォント、文字情報対応表

2011(H23)

総務省 「市区町村が使用する外字の実態調査」 1,386 市区町村の外字を文字情報基盤に同定

2013(H25)

閣議決定 「世界最先端 IT国家創造宣言」文字情報基盤を原則

2014(H26)

総務省 「電子自治体の取組みを加速するための 10 の指針」

2014(H26)

CIO連絡会議 「電子行政分野におけるオープンな利用環境整備に向けたアクションプラン」導入ガイドの活用、縮退マップの整備

1982(S57)   PC9801発売

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文字情報基盤等で何が変わるのか

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異体字セレクター( IVS )・一括検索・表示の自動切り替え

交換・文字送信時の正確性の維持

国民・利便性と正確性の両立

行政や企業内部・コスト削減・事務効率化・システム選択の自由度向上

文字情報基盤による変化

その他技術による変化

証明書や賞状は、戸籍上の表記が可能

名簿や名札は、日常的な表記

シームレスな運用

渡 渡渡

文字化けをしない

外字作成コスト削減

複数システムでデータを交換

ベンダーを変更しても問題なし

代表文字を使って一括検索可能表示する文字を切り替えられる

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ケース1 生活の場面に応じて文字を使い分けることができます。

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小中学校では、名簿等、普段は渡辺を使っていました。

です。

卒業証書は、   でした。

高校入学書類は住民票の文字と指定されているので、  でした。

会社に入ってからは、パソコンで使える渡辺で通しています。

結婚式では、   で案内状を作りました。

その後も生活では渡辺で通していますが、銀行等で、住民票と字が違うと指摘されることがあります。

渡 太郎

自治体から送られてくる学齢簿の文字と通常使用の文字を管理

個人の PC に文字情報基盤のフォントを導入

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ケース2 引越時の外字作成をなくすことで、時間とコストを削減

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A 市 B 市外字作成

\\\\\ 3 日後

住民票

A 市 B 市

住民票

即時発行

渡渡

渡渡

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その他のフォントとの関係 文字情報基盤は、情報交換用の参照モデルであり、この文字

を使わなければいけないという標準ではない。 もちろん、このフォントで、すべて処理してもよい

従来との連続性、文字のデザイン、拡大利用等のために市販フォントを使い、情報交換時に文字情報基盤を使う等の様々な使用方法を想定している。

市販フォント

独自プラットフォーム

既存のフォント

Unicode 対応プラットフォーム

外字 外字

IPA mj

対応表

他システムとの連携不可 他システムとの連携可

従来 今後

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ロードマップ 多くの文字関係者の努力により、解決への道筋が開けた。 これから先、百年、二百年耐えうる日本の社会基盤として推進していくことが重要である。

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1978• 78JIS

2014(36 年 )• 文字情報基盤

 整備完了• ガイド等含む

2020(42 年 )• 文字情報基盤

 定着

2028(50 年)• 文字を気にし

ないで生活できる社会の実現

2100 2200

※運用面の整備は、制度所管省庁において実施していく。

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文字だけではない、情報活用への流れ電子行政分野におけるオープンな利用環境整備のためのアクション

プラン表面的な改革でなく、基盤から抜本的に整理し、 2020 年に機動的にサービスを創出する環境を実現

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Web 用の政策関連情報データカタロ

文字用語

コードドメインルール 標準化・共通化した基盤

・基本情報の共通化・持続的に発展可能な標準の採用・設計・開発の共通化

新たな利便性の高いサービス・情報の組み合わせ・プロセスの見直し・ API を通じた民間サービス開発

府省のwebサイト

テーマ別のwebサイト

民間の webサイト

調達・制度

情報等の改革

組み合わせ自由な素材群・情報構造の共通化・見出しデータの共通化・重要な情報の集積

ハードウェア・基盤ソフト(共通プラットフォーム)

サービス政府のサービス、民間のサービス

コンテンツ

ガバナンス

従来は統一方針なく独自サービスを構築

アクションプランでは基盤から積み上げるのでサービス構築、連携、更新が容易

未整理

未整理


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