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夫に愛を求めた妻と、何も求めなかった愛人・・・
一人の男に捨てられた二人の女の、プライドを賭けた会話劇
新国立劇場では、2014/2015シーズンにおいて、現代の良質な二人芝居を三人の演出
家が演出する、シリーズ「二人芝居-対話する力-」を企画。その第一弾は、英国の劇作
家デイヴィッド・ヘアの『ブレス・オブ・ライフ~女の肖像~』です。
夫に捨てられた妻が、その夫のかつての愛人を訪ねる・・・という刺激的な場面から物語
は始まります。妻と愛人が異なる人生観をぶつけあう対立劇でありながら、最終的にそれぞ
れの新しい人生を歩み出す生命力あふれる大人の戯曲です。
日本初演となる同時代の翻訳劇の初演出に、劇作家、演出家として活躍中の蓬莱竜太
が挑みます。出演は、キャリアウーマンの愛人マデリン役に、舞台・映画・TVと幅広く活躍
する若村麻由美、人気作家の妻フランシス役に、元宝塚トップスターの久世星佳。実力派
女優による濃密かつ繊細な二人芝居にご期待ください。
【8月3日(日)チケット前売り開始 ☞ 新国立劇場ボックスオフィス 03-5352-9999】
写真・資料のご請求、取材のお問い合わせ
◎新国立劇場 制作部演劇 広報担当 藤沢 花
TEL: 03-5352-5738 / FAX: 03-5352-5709
◎新国立劇場 制作部演劇 制作担当 田中晶子
新国立劇場 2014/2015 シーズン演劇公演
二人芝居 ―対話する力― Vol.1
ブレス・オブ・ライフ ~女の肖像~
作◎デイヴィッド・ヘア
翻訳◎鴇澤麻由子 演出◎蓬莱竜太
2014年10月8日(水)~10月26日(日)
新国立劇場 小劇場
平成26年度(第69回)文化庁芸術祭主催公演
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◎作品について
新国立劇場演劇部門では、2014年 10~12月に、シリーズ「二人芝居―対話する力―」
として、極めて高い評価を受けている英語圏の現代作家の作品を三作品連続で上演しま
す。
二人芝居とは俳優がたった二人で、台詞、感情、思考、表現のすべてを駆使して“対話”
をしながらドラマを紡いでゆく、いわば、演劇の最も基本となる形態です。
たった二人の俳優が舞台の上で描き出す、全身全霊で相手と向き合う濃密な人間関係
を、閉塞する現代社会におけるひとつのヒントにしたいという、宮田慶子芸術監督の意図が
この企画には込められています。
その第一弾となるのが、英国作家デイヴィッド・ヘア作『ブレス・オブ・ライフ~女の肖像~』
です。2002 年にロンドンで上演されたこの戯曲は、マデリン役にマギー・スミス、フランシス
役にジュディ・デンチを据え、二大女優の共演であっという間に話題となり、当時のウエスト
エンドでのストレートプレイの興行記録を塗りかえました。
今回は演出に作家・演出家として活躍めざましい蓬莱竜太を迎え、二人芝居というシン
プルかつスリリングな舞台を創り上げます。
◎あらすじ
イングランドの静かな島・ワイト島。海岸沿いのテラスハウスに一人で暮らすマデリン(若村
麻由美)を、フランシス(久世星佳)が訪れる。
専業主婦だったフランシスは、現在流行作家となり、夫の長年の不倫相手だったキャリア
ウーマンのマデリンとの回想録を書くために会いに来たのだという。
二人の子供を持つフランシスと、一人でキャリアを積んできたマデリン。それぞれの生き方
に反発しつつも、ときには彼との思い出に共感しあう・・・。
一人の男を愛した二人の女の夜を徹した対話の末、朝の光の中で彼女たちが出した答え
とは――――
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◎翻訳 鴇澤麻由子からのメッセージ
この戯曲の冒頭には、画家ポール・ゴーギャンの名言が添えられています。それは「Life
being what it is, one dreams of revenge.」。拙訳ながら日本語にしてみると「人生とはこういう
ものであるから、(人は)復讐を夢見るものだ」と言ったところでしょうか。
しかしこの名言、実は続きがあって、「--and has to content oneself with dreaming.」と締
めくくるのだそうです。作家デイヴィッド・ヘアはこの続き部分は添えていませんが、それも訳
してみると「――そして夢見ることで満足しなければならない」。確かに、ただ復讐を夢見ると
いうのが、社会の中で、私たち人間ができる精一杯なのでしょう。
さてこの戯曲、二人の女性が登場します。登場するのはこの二人だけ。読み始めた当初、
この二人が単に夢見るだけではなく、お互いへの復讐を実行するのかと思っていました。ナ
イフなどは出てきやしないだろうけれど心理的に相手をネチネチと追い詰めるとか、そんな
女の戦いのドラマかと。
ところが復讐はお互いへの同情となり、やがてそれさえも溶けだし、知恵と相互理解という
形を見せてくれるのです。最後には何とも言えない清々しさ、爽やかな風が吹き抜けます。
その風を感じられるような翻訳を目指したい、と夢見ています。
◎演出 蓬莱竜太からのメッセージ
女の戦いである。それも渇いた女二人の戦いだ。この二人は諍うことで刹那に渇きを癒そ
うとする。
現代に生きる日本人は容易に諍うことも出来ない。渇きを確認しなくて済むように、色々な
ものが向こうから飛び込んでくる。スマホがある。アプリがある。つぶやくことだって出来る。む
しろラインに追われる日々だ。そうやって他人に自分の弱さ醜さ、そして渇きを隠し続けるこ
とが出来る。しかしそれらは確実にそこにある。鎮座している。
駅や電車の中を見渡すとディスプレイを無表情にいじっている人数は尋常じゃない。何と
繋がり、何を隠しているのか。
この際登場人物の女二人には我々が出来ない分までとことん争ってもらいたい。面白い
のはそれぞれが互いの弱点を知りながら争っている節があるということだ。互いが必殺の間
合いにいつもいる。スリリングだが精神の体力が現場では必要そうだ。
この渇きの争いの後に「息吹」の風が吹くように。
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◎プロフィール
作◎ デイヴィッド・ヘア (David Hare)
1947年イギリス生まれ。劇作家・脚本家・映画監督。
ケンブリッジ大学で学び、70 年『スラッグ』でイヴニング・スタンダード新人作家賞
に選ばれる。95 年『スカイライト』で、ローレンス・オリヴィエ賞受賞。戯曲として
『ブルールーム』『エイミーズ・ビュー』ほか。
映画でも活躍しており、監督作品として、85 年『ウェザビー』がベルリン国際映画
祭金熊賞受賞。
Photo : Daniel Farhi
翻訳◎ 鴇澤麻由子 (ときざわ・まゆこ)
1971年、神奈川県生まれ。日本大学芸術学部演劇学科卒。
2001 年『青春・最終章~僕たちの決算』『ザ・ウィアー』で第八回湯浅芳子賞受
賞。これまでの主な翻訳作品は、95,98年・共訳『The Boys~ストーンヘンジアパ
ートの隣人たち』、96年『モーリー・スウィーニー』、99年『夢の島イニシュマーン』
『クローサー』、2002年『ロンサム・ウエスト~ 神の忘れたまいし土地~』、02年~
08 年『アラビアンナイト』、06 年『欲望という名の電車』、10 年『ブルー/オレンジ』、
13年『熱帯のアンナ』など。
演出◎ 蓬莱竜太 (ほうらい・りゅうた)
1999 年に劇団「モダン・スイマーズ」の旗揚げに参加。以降、すべての作品の作・
演出を務める。劇団の代表作として、『デンキ島』三部作、『さよなら西湖クン』『夜
光ホテル』など。
劇団外にも、チーム申『時には父のない子のように』、三田村組『イヌよさらば』『仰
げば尊とくなし』『天井』『男の一生』、アル☆カンパニー『罪』、パルコ劇場『ハンド
ダウンキッチン』の作・演出。戯曲としてフジテレビ『第32進海丸』、TBS『世界の
中心で、愛をさけぶ』、CUBE『東京タワー~オカンとボクと、時々、オトン~』、パ
ルコ劇場『Triangle~ルームシェアのススメ』、松竹『赤い城黒い砂』、こまつ座&
ホリプロ『木の上の軍隊』、WOWOW『パレード』の脚本、映画『ピアノの森』の脚本およびノベライズ、『ガ
チ☆ボーイ』原作など、多岐にわたり活躍中。新国立劇場では 2008 年『まほろば』(第 53 回岸田國士戯
曲賞受賞)、10年『エネミイ』の脚本を手がける。
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マデリン ◇ 若村麻由美(わかむら・まゆみ)
東京都出身。高校卒業後無名塾入塾。1987 年NHK連続テレビ小説『はっさ
い先生』のヒロインに選ばれデビュー。エランドール新人賞をはじめ、紀伊國
屋演劇賞個人賞、アカデミー賞優秀助演女優賞ほか数々受賞。聖女から悪
女まで、ドラマ、映画、舞台と幅広く活躍。ライフワークの『原典・平家物語』で
新たなジャンルを確立。近年の舞台は『カリギュラ』『マクベス』『頭痛肩こり樋口
一葉』『鉈切り丸』『昔の日々』『若村麻由美の劇世界』他。映画は『金融腐食列
島~呪縛』『蒼き狼~地果て海尽きるまで』『じんじん』『臨場』他。 連続ドラマ
は『純と愛』『鴨、京都へ行く』『Wの悲劇』『科捜研の女』『パンドラⅢ革命前夜』
他。新国立劇場へは初めての出演。
フランシス ◇ 久世星佳(くぜ・せいか)
東京都出身。1983 年宝塚歌劇団に入団。96 年より月組トップスター就任。97
年の退団後は、舞台を中心に映画やTVドラマなど多方面で活躍。近年の主
な出演作は、映画『おろち』、TVドラマ『第二楽章』『あさきゆめみし~八百屋
お七異聞』(共にNHK)、舞台『OUT』(第 8回読売演劇大賞優秀女優賞受賞)
『フラガール』『リチャードⅢ世』『ブラッド・ブラザーズ』『カフカの「変身」』『今は
亡きヘンリー・モス』『祈りと怪物~ウィルヴィルの三姉妹~』『9days Queen 九
日間の女王』などがある。新国立劇場へは初めての出演。
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◎マンスリー・プロジェクトについて
一人でも多くの方に気軽に劇場に足を運んでもらいたいと、“開かれた劇場”を目指す芸
術監督の宮田慶子。その一環として、リーディングあり、トークショーありの、多彩な無料プロ
グラムを用意し、その月々に関連した演劇公演に多角的にアプローチしています。
応募期間内に、新国立劇場ウェブサイト所定のフォーマットもしくは往復ハガキでのお申
し込みが必要です。詳しくは、新国立劇場マンスリー・プロジェクトのウェブサイト
(http://www.nntt.jac.go.jp/play/mp/)か、情報センター(03-5351-3011(代))でご
確認ください。
ワークショップ プチ・ミュージカルをやってみる?
講 師:伊藤和美(ヴォイストレーナー)、宮田慶子
日 時:2014年8月2日(土)13:00~18:00
会 場:新国立劇場 A リハーサル室
応募期間:6月17日(火)~7月14日(月)
ミュージカルってなんだろう?ちょっと興味があるかも。ちょっとだけ歌ってみたいかも、演じ
てみたいかも。15歳から25歳までの方を対象に、実際に身体を動かして、小さな小さなミュ
ージカル作りを体験するワークショップです。
演劇講座 「三文オペラの魅力」
講 師:大田美佐子(神戸大学大学院准教授)、谷川道子、宮田慶子
日 時:2014年9月13日(土)18:00~
会 場:新国立劇場 中劇場
応募期間:8月5日(火)~9月8日(月)
「三文オペラ」という作品が、これほどまでに人の心を捉えて離さないのは何故か?その秘
密を、音楽と戯曲という2つの観点からとことん読み解きます。クルト・ヴァイル研究者である
大田美佐子氏とブレヒト研究の第一人者、谷川道子氏を講師に迎え、「三文オペラ」を三度
にわたり演出してきた宮田芸術監督を交えてお送りする演劇講座です。
トークセッション 「二人芝居 ―対話する力―」
出 席 者:蓬莱竜太、ノゾエ征爾、小川絵梨子、宮田慶子
日 時:2014年10月12日(日)18:00~
会 場:新国立劇場 小劇場
応募期間:9月16日(火)~10月7日(月)
シリーズ企画「二人芝居―対話する力―」で、同時代の海外戯曲三作品の演出を担う3
人の演出家が一堂に会し、演劇の最も基本となる形態である「二人芝居」の楽しさ、難しさ、
そしてどのように作品に挑むのかを存分に語り合います。
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◎公演概要
【タイトル】 ブレス・オブ・ライフ ~女の肖像~
【スタッフ】 作 デイヴィッド・ヘア
翻訳 鴇澤麻由子
演出 蓬莱竜太
美術 伊藤雅子
照明 中川隆一
音響 長野朋美
衣裳 前田文子
ヘアメイク 鎌田直樹
演出助手 城田美樹
舞台監督 福本伸生
芸術監督 宮田慶子
主催 新国立劇場
【キャスト】 若村麻由美、久世星佳
【会場】 新国立劇場 小劇場 (京王新線 新宿駅より1駅、「初台駅」中央口直結)
【公演日程】 2014年10月8日(水)~10月26日(日)
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水 木 金 土 日 月祝 火 水 木 金 土 日 月 火 水 木 金 土 日
13:00 ●◎●
★ ● ● ●◎ ● ●
14:00 ● 休 ● ●◎ ● 休 ●
18:00 MP 演 演 ●
19:00 ● ● ● ● ●◎
2014年
10月
◎=託児室あり(要予約) / ★=終演後、シアタートーク /10/12 18:00 マンスリー・プロジェクト
【前売開始】 2014年8月3日(日)10:00~
【料金】 A席 5,400円 B席 3,240円 (税込)
※四作品特別割引通し券【名作と二人芝居を堪能する~秋から冬~】を発売。
『三文オペラ』S席、『ブレス・オブ・ライフ~女の肖像~』『ご臨終』『星ノ数ホド』A席をセットで
正価 24,840 円のところ、通し券価格 21,600 円で販売。
【チケット申し込み・問い合わせ】
新国立劇場ボックスオフィス TEL:03-5352-9999 (10:00~18:00)
新国立劇場Webボックスオフィス http://pia.jp/nntt/
【その他チケット取り扱い】
チケットぴあ、イープラス、ローソンチケット、CNプレイガイド ほか
* Z席 1,620円 公演当日10時よりボックスオフィス窓口で販売。1人1枚。電話予約不可。 * 当日学生割引 公演当日残席がある場合、Z席を除く全ての席種について50%割引にて販売。要学生証。電話予約不可。*新国
立劇場では、高齢者割引(65歳以上5%)、障害者割引(20%)、学生割引(5%)、ジュニア割引(中学生以下20%)など各種の割引サービスをご用意しています。
【全国公演】 会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール TEL:0798-68-0255
日程:11月1日(土) 13:00