Download - 糖尿病診断法としての10gブドウ糖 - CORE · 2020. 2. 21. · 17 (東女医大誌 第46巻.第12号頁999~1015昭和51年12月) 糖尿病診断法としての10gブドウ糖
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17
(東女医大誌 第46巻.第12号頁999~1015昭和51年12月)
糖尿病診断法としての10gブドウ糖 静注法に関する研究
東京女子医科大学内科学教室(主任:鎮目和夫教授)
岩イワ
谷タニ
(指導:鎮目和夫教授指導:平田幸正教授)
征 子マサ コ
(受付 昭和51年10月6日)
Studie80凱10 g htravenou8 Gluco8e Tolefance Te醜a5 a Method
fbr the Diagno5is omiabete5 Mellit囎3 W仙Spedal
Ref6rence 1:0 the Co猶ロpari50n wi止10090ral
Glucose Tolerance Te8t
Masako IWATAN1, M.D.
Department of Interna!Medicine(Director:ProL Kazu6 SHIZUME),
Tokyo Women’s Medical College
Ten g intravenous glucose tolerance test(IVGTT)and l OO g oral glucose tolerance test(OGTT)
were compared in l 43 su切ects. These su均ects were divided in 4 groupsr Grgup A was composed of
9persons with normal curve by OGTT, Group B of 30 patients w三th borderl三hとdiabetic curve, Group
Cof 69 patients w呈th d三abetic curve alld Group D of 35 perso且s with var三〇us diseases whic与mi帥t impa量r
GTT and th6ir OGTT curves were either norma1, borderline O士. @diabetiと..
The results. were as fbllows: . ’
1. 41RIμBs(insulinogenic童11dex)two minutes諭er i.》. i垣ec止ion of glucose was o.79±o.22 in
Group A. The index was 1.54土0.4230 minutes aRer orai glh60se i可ection.
2.The value of index of江VGTT to discriminate Group C倉om Group A was O.4. The indices of
G…pCp・・i・n・・w・・e l。W・・th・n・hi・曲・・..Th・i・dice・・fG…pBp・聯・関耳tt・・ed・・岬坤valg・・
3.In Group D, the index of∠IRIμBS 2 minutes in. IVGTT was relatively higher thah the index
30minutes ih OGTT.
4.lnゆ・lu・i・n, th・d・t・・min・ti…f∠IRIμBS 2 minut㏄ln lVGTT i・a・・itab1・m・th・d飴・
diag耳osis of d三abete5 mellitus.
1.はじめに
H.対象および方法
皿..成績
A....10090GTT
内容目次 (1)血糖反応
(2)IR耳.反応
B.10g IVGTT
(1)血糖反応
(2)IRI反応
一. X99一
-
18
C.10090GTT∠BS 30分と,10g IVGTT∠BS 2
分ならびに5分の比較
D.10090GTT 41RI 30分置10g IVGTT」IRI 2
分ならびに5分の比較
E.100g oGTT∠IRI14Bs 30分と10g IvGTT
∠IRI/∠BS 2分ならびに5分の比較
F.10g IVGTTのK値について
G.IvGTT∠IRI/4Bs 2分値およびK値とoGTT
糖尿病型との関係
IV.考按
V.結語
文献
1.はじめに
糖尿病の診断法として現在広く経ロブドウ糖負
荷試験(以後OGTTと略す)が使われており,
とくに1009法は標準ブドウ糖負荷試験Standard
glucose tolerance testとよぼれている.ただし,
この経口法においては,胃から腸への移行速度,
消化管ホルモンの影響,ブドウ糖の腸管吸収速度
など成績に影響を与えると想像される各種の因子
を除外しえない.これに比べ静脈内ブドウ糖負荷
試験(以後IVGTTと略す)は上記の諸因子を除
くことができると考えられる.そこで多数の同
一症例について10090GTTと10g IVGTTを2週間以内に施行し,それぞれの糖負荷時におけ
る血糖ならびにimmunoreactive i旧ulin(以後
IRIと略す)の反応を比較検討した. Selzer1),
Yalow2), Porte3)らによつて糖尿病にみられるブ
ドウ糖負荷後のIRIの上昇阻害は, IVGTTにお
いて著明に認められると報告されているので,と
くにこの点に留意して検討を行うこととした.従
来から検討されていたIVGTTの血糖消失率K値
とともに,今回はとくに静注後2分,5分にお
ける血糖上昇率∠BS,血中インスリンの上昇率
∠IRI,さらにその比∠IRI/∠BSを求めることと
し,これらの値による糖尿病診断について検討を
加えた。
皿・対象および方法
対象は,次のA,B,C,D群の4群である.その内容は
次の通りである.(1)糖尿病の遺伝を認めず,また肥
満を認めないOGTT正常の健康者9名をA群とした.
(2)糖尿病の診断を求めて昭和46年から48年の間に東
京女子医大糖尿病専門外来をおとずれた患者のうち,二
次性糖尿病の原因となる疾患を有することなく,糖尿病
としては未治療であり,経ロブドウ糖負荷試験の異常を
示したもの99例選び,そのうち境界型を示したもの30例
をB群,(3)そのうち糖尿病型を示したもの69例をC
群とした.この経ロブドウ糖負荷試験の型分類は日本糖
尿病学会の勧告値4)に従った.(4) さらにD群として
二次性糖尿病を惹起しうる疾患を有するもの35例をとり
あげた.その内容は甲状腺機能尤進症12例,ステロイド
投与8例,急性肝炎8例,肝硬変7例である.糖尿病型
を示した上記C群は,更に10090GTT施行時の空腹
時血糖値別に11gmg/dl以下,120~15gmg/d1,160mg/dl
以上に分類した.さらにB,C,D群はそれぞれ非肥満群
と肥満群に分けた.非肥満者,肥満者は標準体重に比
べ+10%未満,+10%以上とした.この標準体重は1970
年栄養審議会の性別身長別標準体重表を使用して計算し
た.D群中ステロイド投与中の患者の原疾患は,全身性
エリテマトーデス3名,多発性筋炎:1名,ネフローゼ症
候群2名,肝炎2名であり,糖負荷試験前日までのステ
ロイドはプレドニンに換算して30~60mg/日の投与が行
なわれていたものである.
以上,143例の対象者について,早朝空腹時に1009
0GTTをおこない,その後2週間以内に再び10g IVGTT
をおこなった.
なおこれらの対象の性別,年齢別は表1-aの通りであ
る.
10g IVGTTは50%ブドウ糖溶液をもちい,30~45秒
で左四静脈から注入し,右側肘静脈より採血した.採血
は静注直前,静注終了直後から2,5,10,20,30,
60,90分の各時点に施行した5》.血糖は耳朶血でHage・
dom-Jensen法6),血中IRIはMorgan・Lazarow7)2抗
体法により測定した.IVGTTにおける血糖消失率Kは
血糖実測値を片対数グラフに描き,それに近似の直線
から・点の血眼Qを求め,次に争の血糖徹達・
糟汁・(分)を求めて・K-0. ロ93・1・・を計算・・
K値とした8}.ブドウ糖負荷後の初期血糖上昇率として
OGTTでは30分値, IVGTTでは2分値,5分値のそれ
ぞれと負荷前値の差4BSを求めた.ブドウ糖負荷後
の初期インスリン分泌の増加をOGTTでは30分値,
IVGTTでは2分,5分値をもちいて負荷前値との差
41RIを求めた.ブドウ糖負荷後の初期血糖上昇に対
するインスリン分泌増加の割合,すなわち」IRI14BS
一1000一
-
19
表1-a10090GTTにおけるA,B,C群の各時点の血糖値
分 類例 数 騰 100g OGTTの血糖mg/dl(M±SD)
合計男 女 才 0分 ・・分・・分・・分1 12剛 180分
非
肥
満
肥
満
A群 正常型 94527.091±10133±11122±19112±16101±1995±11
B群 境界型 17 12 5 52.1 ユ04±16 ユ90ゴ=23 ユ94±29 175±31 147=±:17 112±26
糖尿病型空血119↓mg/dl
C群 腹糖120~159 時値160↑
4 2 2 47.5
147754.425 11 14 48。4
109±7206±19261±32253±31227ゴ=34154±62133=ヒ10 222±37 270=ヒ42 276±66 246±58 180=ヒ50
223±44 319±69 384±72 409±72 427±95 371=ヒ 109
B群 境界型 13 9 4 42,5 104±13 186±21 197±29 173±26 154±25 111±25
糖尿病型丁丁119↓mg/dl
C群 腹糖120~159 時値1601
5 4 1 47.2
12 8 454.09 5 4 53.9
95±20 189ゴ=25 251±17 258±35 231±38 152±24
137± 9 227±36 262=ヒ34 256±54 245±60 198±60
218±35 322=ヒ57 371ゴ=50 397±43 429±72 326±55
表1・b10090GTTにおけるD群の各時点の血糖値
D 群 100g GTTの血糖 mg!dl(M±SD)
分 類 0分・・分1
60分 90分 112・分 118・分
正常型
非肥満
肥 満
}非肥満
境界型1
糖 尿病 型
肥 満
非肥満
甲状腺機能充進症
ステロイド投与中
急 性 肝 炎肝 硬 変
ステロイド投与中
日 硬 変
甲状腺機能充進症
ステロイド投与中
急 性 肝 炎肝 硬 変
甲状腺機能充進症
甲状腺機能尤進症
肝 硬 変
8 92±7
4 93±6
6 86±13
2 88±8
154±17 151±40 142±32 119±18 90±;18
149±25 161±20 132=ヒ28 107=ヒ18 101±17
137=ヒ14 135±26 129=ヒ33 116±32 93±17
166±17 151±12 145± 2 140±16 100±18
1 83 170 162 146 116 98
2 90±18 149:ヒ23 163=ヒ21 159=ヒ12 131±33 86=ヒ31
2 103±:19
3 86±8
2 98±10
2 95±11
198±23 207±47 178±25 149±10 135±10
正74±18 177±16 196±26 187±19 152±31
161±34 174±26 170±14 102±16 135±42
171=ヒ13 192±13 228±42 154± 6 116±52
1 110 211 167 131 70 89
1
1
117
91
267
158
284
213
268
208
271
192
138
160
はOGTTでは30分二)9)10)11),10g IVGTTでは2分と5
分で計算し,それぞれ∠IRI14Bs 30分,41RI14Bs 2
分,41RI1∠SB 5分とした.
1コ1・成 績
A. 10090GTT (1)血糖反応
表1-aに示したごとく,頂値はA群では30分,
B群では60分,C群では空腹時血糖値が上昇する
につれて,60分,90分,120分に認められた.負
荷後上昇した血糖の下降の遅延はA群,B群,さ
らにC群で空腹時血糖の上昇につれて次第に著明
となった.D群においては正常型,境界型,糖尿
病型の順に血糖は高値となり,頂値は30分から90
分内にあった(表1-b).
A,B,C群において10090GTTの成績を非肥
満,肥満の間で比較したが差はみられなかった.
(2)IRI反応 頂値は負荷後A群では30分,B群では90分, C
一1001一
-
20
表2・a10090GTTにおけるA,B,C群の各時点のIRI値
分 類
非
肥
満
肥
満
A因州一型
B群境界型
糖尿病型空販1191mg/dl
C群 腹糖120~159 時値160↑
B群境界型
糖尿病型空血119↓mg/dl
C群 腹糖120~159 時値1601
例
時
9
17
4
14
25
13
5
12
9
100g GTTのIRIμu/ml(M±s.D)
0分
13±5、3
7±7.1
6±4.2
9±4,1
8±:6、0
11±9,1
10±5、0
14±7.4
12±7,8
30分
76±14.5
33±24.7
27±23.8
24±14.7
14±13.6
45±36.8
30±20.7
39±32.7
18±12.2
60分
56±45.3
40±23.2
28±20.5
30±17.9
18±14.5
64±4!.0
46±25.王
54±4LO24±20.2
90分
40±19.3
47±34.9
47±27.5
37±21.3
19±12.9
70±45.1
51±19.4
53土31.4
25±23.3
120分 180分
38±25.2
43±28.7
26±15.9
38.9±27.5
16±8.6
65±38,9
56±31.4
58±40.7
29±20.9
24±16.8
17±11.6
20±14.9
27±16.3
15±10.5
36±23.2
26±16.8
38±20.1
22±16.7
表2・b10090GTT}こおけるD群の各時点のIRI値
D 群
分 類
正常型
非肥満
肥 満
境界型
}非肥満
糖 尿病 型
肥 満
非肥満
甲状腺機能充進症
ステロイド投与二
股 性 肝 炎肝 硬 変
ステロイド投与中
肝 硬 変
甲状腺機能充進症
ステ戸イド投与中
急 性 肝 炎肝 硬 変
甲状腺機能充進症
甲状腺機能充進症
肝 硬 変
例数
8
4
6
2
1
2
2
3
2
2
1
1
1
100g oGTTのIRIμu/ml(M±s.D)
0分
21±9.8
22±8.4
15±8.9
26±25.5
5
19±7,8
14±L429土14.2
12±10.6
29±8.5
11
6
28
30分 60分
過99±38.6 106±44.1
132±32.0 140±45.4
89±32.1 120±71.3
164±109.6 150±85.6
111
176=ヒ94.8
136±71.4
148±24.6
49±5.7
120=±=22。6
110
36
64
142
230±87.0
207±67.2
167±92.7
】.02±41.0
148±105.4
80
31
100
90分
108±45.9
92±50.7
115±56.4
191±154.2
206
208±114.6
256±50.9
1ユ6±42.4
92±76.4
196±135.1
46
46
156
120分
88±44.1
62±21.7
82±55,8
142±59.4
240
168±10.6
235±82.7
114士53.8
77±44.6
173±84.9
15
69
143
180分
46±46.7
65±26.8
43±24.6
163±147.8
269
73±53.7
139±82.7
78±53.5
54±42
68±3。5
9
20
168
群(ごは空腹時血糖値119mg/dl以下で90分,120
-159m9/dlで120分となった.これらIRI反応
の上昇はA,B,Cの順に低くなり, C群の空腹時
血糖160mg/d1以上のグループではほとんど反応
がみられなかった.B,C群ともIRIは肥満群に
おいて非肥満よりも高値を示した(表2-a).D群
においては,正常型,境界型においてA群よりも
空腹時IRIはやや高ぐ,負荷後においてA群よ
りも著明な高反応を示した.糖尿病型において
は30分のIRI上昇はAよりも低値であった(表2-b).
3。 1091VGTT
(1)血糖反応
IVGTTにおける正常型者A群の血糖値は,負
荷後2分で即値となり,急速に下降し30分でほ
ぼ前程にもどった.境界型者B群では非肥満,肥
一1002一
-
21
司
登
算ミ
e
q屯く
思
8ヒ
留
調
巨
十1
爲
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9十1
鵠
曽十1
δ
8十}
8一
鶉
十1
濁
一
茜十[
專
一
当
十1
沼
一
網
十1
お
一
曽十1
8
①
姑
く
畠⊂;
十1
等
日
明十}
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8
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H
爲十1
8一
鵠十1
等
H
鎚÷1
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十1
諾
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OLOOQ一りくPc刈uうくつ の十1十1十1十1,一→oOαD寸σつ。刈トーσ》
一。刈一一
oOo-o ね 十1十1十1十1000う00卜一σうト・σ)oO
寸OON 十1十1十1十1-ocooNoocgo- 7■司 一
。⊂\】寸(刈 十1十1十1十1
-oσ㌧一⊂つOLOF司Ψ一→ ▼一→ 三一→ ▼■司
寸一F」O のごつ十1十i十1十l
cつ寸りoOゆ。’qくΩN▼一→ 7一→ 一 一
㊤oピ)くΩ バぐつひユ十1十1十1十1◎Oocつq⊃りくρCOUう一 7一→ 一 一
一くPくρ㊤ね ぺ ぐゆ十1十1十i十1
卜CつαDOOO◎OO㊤一▼一4c刈▼一司
寸〇一「ぜね ねへ ・H十i十1十lHくOcり(♪Qq oO◎つト・(N-c『一
寸ぽ)ooc団
ね・H・H十1十1◎Ocつ。つ山OOQO(♪O▼一→ ▼■司
。団。つ。刈。博
環号耀爆筒石
攣生鰹や嚢ロ…組目旦ト
肝K利生
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曽
一
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竈
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祠
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択
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製
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oq⊃冒一→o▼一4 一
ooc織(NF→ F→
cつ]Drドぐ◎一 一
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22
満ほぼ同様の負荷後の血糖値を示し,A群よりも
わずかに高値を示し,2分で二値となり,60分で
ほぼ三値となった.糖尿病型者C群では,非肥満
群,肥満群ともにほぼ同様の1血糖値を示した.す
なわち,負荷後2分で三値を示し,空腹時血糖値
が高くなるにつれて負荷後の血糖は上昇しその下
降も遅延した(表3-a).
諸種疾患D群において,空腹時値はほとんど正
常範囲にあった.D群の正常型者,境界型者,糖
尿病話者いずれも2分で頂値を示した.ステロイ
ド投与の正常型で非肥満と肥満の両者,境界型に
属する非肥満の甲状腺機能充進症と急性肝炎など
において,負荷後2分の血糖値が健常三者A群よ
りも高値を示した.正常型非肥満のステロイド投
与と急性肝炎,境界型非肥満の甲状腺機能充進症
と急性肝炎,糖尿病霊山肥満の甲状腺機能雨滴症
と肝硬変などでは,負荷後30分でなお前値まで低
下しなかった(表3-b).
(2)IRI反応
負荷前の血中IRI値は, C群の非肥満空腹時
血糖119mg/dl以下群において軽度の高値を示し
たが,その他はほぼ同値であった.A群における
負荷後のインスリンの頂値は,2分にみられその
後減少し,30分でほぼ前値となった.B群では,
頂値は2分で非肥満,肥満の差はなく,A群より
も低温をしめし,徐々に下降し,60分でほぼ前面
にもどった.C群での頂値は,非肥満空腹時血糖
値119mg/dl以下での5分をのぞいてすべて2分
であり,負荷後のIRI反応において,非肥満,
肥満の差はほとんどみられず,空腹時.血糖値の上
昇とともにIRI反応は低値を示し,空腹時血糖
値1601ng/dl以上ではごくわずかの反応にすぎな
かった.IRI反応はA,B,C群の順に低下した(表4-a).
諸種疾患D群における空腹時の血中IRI値
は,A群よりも高値を示した.負荷後のIRI反
応は,正常型老,境界義義,糖尿病話者において
二値は2分であり,糖尿病型甲状腺機能詠進症1
例をのぞいてA群よりも高値を工めし,その後下
降し60分でほぼ負荷前屈となった(表4-b).
C・10090GTTβS 30分と,1091VGTT∠BS 2分ならびに5分の比較
10090GTTにおける負荷後30分の血糖上昇
すなわち∠BS 30分の平均値はA群とB群の間で
著明であり,B,C群の間の差は軽度であったが,
いずれにしてもA,B,C群の順に増加した.しか
し,C群の空腹時血糖値の高い160mg/d1以上群
でも∠BS 30分がA群の平均値以下のものが25例
中2例にみられた.B,C群の∠BS 30分につい
ても非肥満,肥満の間に差はみられなかった(図
1-a).
10g IVGTT負荷後2分,5分での血糖上昇∠BS
2分目∠BS 5分を検討した. B,C群の∠BS 2分
は非肥満,肥満にかかわらずA群よりも著明に増
加したが,非肥満と肥満の差はB,C群において
みられなかった.空腹時血糖値が160mg/dl以.ヒ
のグループでも正常型のAより4BSが小さいも
のが非肥満で25名中2名にみられた(図1-b).
10g IVGTTの∠BS 5分は, A,B,C群でほぼ同
程度で差がみられなかった.非肥満,肥満の差は
みられず,C群の肥満者において∠BS 5分の著
しい低下のあるものが1例あった(図1-c).
A群,B群の差をOGTTの∠BS 30分および
IVGTTの∠BS 2分で比較し,つぎにともに
IVGTTの∠BS 2分および∠BS 5分を比較する
と,その差は前司では4BS 2分より∠BS 30分
前,後者では∠BS 5分より∠BS 2分の方が著明
であった.故に以後10090GTTと10コ口IVGTT
の比較には,主にOGTT 4BS 30分とIVGTT∠BS
2分値を用いて検討することとした.ただし,D
群における4BS 30分と∠BS 2分値を比較する
と,正常型,境界型,糖尿病型のすべてにおい
て∠BS 2分は∠BS 30分よりも高値であった(図
1-d,e)。
D・10090GTT∠n虹30分と,1①91VGTT41R12分ならびに5分の比較
10090GTT∠IRI 30分の平均値は, A,B,C
群の順に低下した (図2-a).10g IVGTT∠IRI
2分の平均値もA,B,C群の順に低下した (図
2-b).いずれの場合もA,B群の差は明らかに有
一1004一
-
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一1005一
-
24
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図1。8A,B,C群における10090GTT 4BS 30分
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葬 隠 贋 肥濁
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●
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茶
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璽■M,so
図1・bA,B,C群における10g IVGTT4BS 2分
薩 犀 禰
掴
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鵬 ●
■M2bひ
図1鴫 A,B,C群における10g IVGIT JBS 5分
喜
蚕
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「● 4 6 .’ 幽 r1 ., 3 ! 2 F l r
■M±S.D
図1d D群諸種疾患における10090GTT 4BS (30分)
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郭 肥 潤 肥 湖 灘 肥 泊 聰崩 囎 肥 澗
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一阯SD、
図1・e D群諸種疾愚における1091VGTr 4駐S 2分
意であった(P<0.001).
41RI 5分も∠IRI 2分と同様にA,B,C群の
順に低値とはなった(図2-c).ただし5分値にお
けるA,B群の差は2分のそれよりも小さかった
が,なお有意の差ではあった(P<0.02).以上よ
り10g IVGTTにおいて41RI 2分の方が41RI
5分より鋭敏であると考えられた.A,B,C群に
おける100g OGTTの∠IRI 30分と10g IVGTT
2分の41RIとの比較では,むしろ後者の方で
A,B群の差が著明であった。図2一・d,eに示した
ように,D群における10090GTTの41RI 30
分と10g lVGTTの∠IRI 2分の比較では,41RI
一1006一
-
25
ミ
ミ
翁
§
100重
藷 罵 費
100
肥 淵
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図2・a A,B,C群における10090GTT 41RI 30分
ミ
ミ 20。
§
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琴冗轟嘘 ”50 「 糟等■ 肝π■儒 檜う。 聴λ己応 畦冗眞昼
厩M±SD
図2d D群諸種疾患’における10090GTT 41RI
30分
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二
書
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霧 罵 煽 厭 月
2』聰尿塾。、墨」
一M±~D
図2-b A,B,C群における10g IVGTT 41RI 2分
ミ
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条
き
を
『
門口Mよ50
図2・e D群諸種疾患における10g IVGTT」IRI 2分
妻
二
雲
考
露 肥 澗 屍 幽
■一M±S.D.
図2・c A,B,C群における10g IVGTT 41RI 5分
2分の方が前者より一般に大きくなった.また,
D群の∠IRI 30分,∠IRI 2分ともにA,B,C群よ
り高く,とくに境界型,糖尿病型における∠IRI
30分,∠IRI 2分はB,C群より高値を示した.
E.10①goGTT∠IR1/4Bs 30分と1091vGTT
∠1R1/」BS 2分ならびに5分の比較(表.5-a, b)
A群ではoGTT 41RI/」Bs 30分値 (1,54±
o.42)の方がIvGTT∠IRI/4Bs 2.分値(o.79±
0.22)より明らかに高値を示した(P<0.001).
oGTT∠IRI/∠Bs 30分をみると, A群ではすべて
1.0以上にあり,B群との差は著明であり有意の
一1007一
-
26
表5・aA,B,C群における10090GTT 41RI/∠BS 30分と10g IVGTT』RI/4BS 2分および5分
分 類
非
肥
満
肥
満
A群 正常型
B群 境界型
糖尿病型 空血 l19↓mg/dl
C群 腹糖 120~159 時値 160↑
B群 境界型
糖尿病型空騒11gimg/dl
C群 腹糖 120~159 時値 1601
例 数
9
17
4
14
25
13
5
12
9
OGTT41RI/4BS 30分
1.54±0.42
0,30±0.28
0.22±0,25
0.16±0.14
0.08=ヒ0.15
0.41=ヒ0.37
0.18±0.15
0,27±0.27
0.07±0.06
IVGTT41RI/∠BS 2分
0.79±0.22
0.30±=0.23
0.11±0.18
0.07±0.11
0.06±0.07
0.33±0.26
0.21±0.36
0。09±0.12
0.03±0.03
IVGTT∠IRI/∠BS 5分
0.63±0.32
0.31=ヒ0.25
0.18±0,21
0.08±0.09
0.04±0.08
0.37±0.35
0.20±0.17
0.09;to.12
0.02±0.03
表5・bD群における100g oGTT JIRI/」BS 30分と10g lvGTT JIRI/」Bs 2分および5分
分 類 i例 数
正常型
境界型
糖尿病型
非肥満
肥 満
非肥満
肥 満
非肥満
甲状腺機能:充進症
ステロイド投与中
急 性 肝 炎肝 硬 変
ステロイド投与中
田 硬 変
甲状腺機能:充進症
ステロイド投与驚
動 性 肝 炎
肝 硬 変
甲状腺機能累進症
甲状腺機能充進症
肝 硬 変
8
4
6
2
1
2
2
3
2
2
1
1
1
OGTT l IVGTT∠仙RIμBS 30分i41RI/4BS 2分
1.29±0。62
2.21±0.87
1.48±0.69
1.84±1.28
1.22
2.9Q±0。58
1.23±0.20
1.38±0.46
0.82±0.65
1.29±0.59
0.98
0.20
0.54
1.15±0。62
1,63±0.38
1.07±0.32
1.52±1.15
2.48
1.39±0.44
1,81±1。48
1.73±0.93
0.68±0
1.27±0.62
1.33
0。45
1,32
IVGTT∠IRI/∠BS 5分
1.17±0.65
1.14=ヒ0.72
1.08±0.72
1,42±1.70
2.53
1.20±0.58
1.81ゴ=1.48
1.10±0.55
0.62±0,13
1.73±0.25
1.31
0.29
0.84
差をみとめた(P<0.001).C群をまとめてM±
SDを出してB群と比較すると, C群はB群より
も二値を示した(P<0.001).なお1.0より高値
をしめしたものはB群30例中2例(7%),C群69
例中1例(1%)であった(図3-a).
次にA群のIVGTT∠IRI/∠BS 2分は0.79±
0.22であり,非肥満B群のそれは0.30±0,23で
あり,A,B群では有意の差をみとめた(P<
0.001)(図3-b).またC群のそれはA,B群より
三値を示した.しかし,B群30例中6例(20%),
C群69例中1例(1%)の41RI/∠BS 2分は,
A群のM-SDすなわち0.57以上を示した.なお
IVGTT/IRI/4BS 2分よりもOGTT 41RI/」BS
30分の方がA群とB群との間の差を著明に示し
た.B群OGTT∠IRI/4BS 30分の分布はA群の
それと明らかに異なるのに対し,B群IVGTT
∠IRI/4BS 2分はA群の範囲に入るものがかなり
あることが認めら;れた.IvGTT 41RI/4Bs 5分に
おいては,A,B,C群の順に低値となるがA,B群
で比較するとその差は小さくなり,かさなる部分
が多くなる(図3-c).したがってIvGTT∠IRI/
4BS 2分が5分よりも鋭敏であると考えられ,三
一1008一
-
27
2.5
2.0
§
§1『5
路
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2.G
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肥 属
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図3・a A,R,c群における100g oGTT 41RI1∠Bs
30分
露
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コ・隻
正 零 型 墳 昇 ” 億 服 “ 型
非 渦 肥 潤 非 肥 絢 麗4 馨 肥 爾
孫 ・・
・徳
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● ●
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孕㌶鴨魔 「rO., 等嘔賢嚢 騨 耀 曹 17己顎., 騨 の 幽 .”・層 岡司‘「 ■暖晒曇 酬 響 ● ■サ喀咀 o膜●● “ ■ 雷
蝿π畳畷 曜今。 閣う。 賦ミ虞電 撞9蓼 唖山農。 量産。劇
り コ ヒ ぼ
■口M±so
図3・d D群諸種疾患における10090GTT∠IRI! ∠BS 30分
条
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Σ
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ε
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葬肥潤壷
〕、8
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こ、4
厘 膚 壷
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図3・b A,B,c群における10g IVGTT 41RI/∠BS
2分
露 聰 」 鱈 4 ●
■■M■5D
図3・c A,B,c群におけるIog IvGTT 41RIIJBS
5分
警
ヨ
路
コ・
考
2
正 冨 聖
罪 肥 溺
Q 頃■覧・層 星,=1マ脚 ,昼F負 腎 量 雪 置2qf卜
餌冗畳壇 ゆ%o 障弓。 臆冗己電 携与中 闘麗 鍛罵己醒
り ゐ ロ ン ご ど ヨ ど ど ロ ロ
■■吐5a
図3鴫 D群諸種疾患における10g IvGTT 41RI1
」BS 2分
後2分値についてのみ述ることとした.図3-d,e
に示したように,D群におけるoGTT 41RI/4Bs
30分とIVGTT 41RI/∠BS 2分目おいては,
∠IRI/∠BS 2分の方が境界型,糖尿二型でやや高
値を示した.D群の正常型においてはOGTT41RI/∠Bs 30分とIvGTT∠IRI/4Bs 2分ともに
ほぼ同値であった.
次に各例ごとに10090GTT∠IRI!∠BS 30分,
10g IvGTT∠IRI/∠BS 2分を図4-a,4-bに示
した.B群の1例のみで∠IRI/∠BSがOGTT,
IVGTTともに正常範囲を示した.他のB群5例
一1009一
-
28
/
・二
型 (9}
ゆ
;二
。三1【忌
悲,
非 肥 満
10α匿00丁丁6R吻日唱〔30分1
4 3 2
10g IVGTT JIR,七BS‘2分〕
e 1 2 3 瑳
1。
「・
1型
….』u !
i
o騨
属㎜㎝
1⊥‘25〕1
産.
琵
」
囲A群ハ M=ムs」).
図4・a A,B,C群の非肥満者各例の10090GTT 41RI14Bs 30分とlog IvGTT∠IRI/∠Bs 2
分の比較
填 8
界 二
型
肥 満1DD‘00丁T 」IRI耐8S130分1
4 3 2
108 [VGTT J旧1/JBS{2分1
0 1 2 3 4
「11DO醒・・T・△IRI、ム8S[39甘. ,06,・OG了丁ム旧14日S〔2分lI 4 3 2 0 1 2 3
1 非 2
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甲駄脚履能冗魯D症 〔21.
非1ステロでド投与
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属. X 段 服 炎 ト ㈲
…肝 硬 董 2
肥 甲頓臆履能充‘
?促 11
.. T綿縦冗誘! μ一:絶
一 . . 4
〔13〕
719↓
〔5)
■■■A肝.7. M-sD.
図4・C D群諸種疾患における各例についての1009
0GTT∠IRI!∠BS 30分と10g IVGTT∠IRI/
4BS 2分の比較
自C
原口
痢 120噌1田
型
‘121
169,π1星/劇
91
判_■ …
醗A群のM±S.P、
図4・b B,C群の肥満者各例についての10090GTT 41RI14Bs 30分と10g IvGTT∠IRI/∠Bs 2
分の比較
では∠IRI/∠BsはoGTTで正常以下で, IvGTT
のみに正常範囲に入った.逆にOGTTの方で
正常範囲に入りIVGTTで正常以下であったもの
は,B群で1例をみたのみであった.残りのB群
23例ではともに正常範囲以下であった.C群では
1例においてOGTTは正常以下でIVGTTが正常範囲に入る∠IRI/∠BSを示したが,他のC群
例で正常範囲に入るものはなかった.次にD群に
ついてoGTT∠IRIIJBs 30分でIvGTT∠IRI/
∠BS 2分を比べてみると,後者の方が前者より高
値を示す例が多く,IvGTT∠IRI/∠Bs 2分が正
常範囲をこえて高いのにかかわらずOGTT∠IRI/
∠BS 30分が正常範囲,あるいはそれ以下であっ
たものが10例に認められた(図4-c).これに対し
oGTT 41RI1∠Bs 30分の方だけが正常範囲をこ
えて上昇したものは1例もなかった.
以上をまとめると,Aを基準としてみると
B,C,D群とも10g IVGTT∠IRI/∠BS 2分の方
が,10090GTT∠IRI/4BS 30分に比べ比較的大
きい値をとりやすいといえるようであった.
F・10g WGTTのK値について
K値は非肥満においてはA,B,C群の順に小さ
くなるが,肥満者のC群の119mg/dl以下,120
~159mg/dlの両群とB群との間に差はなく,
160mg/dl以上の群においてのみ差をみとめた
(図5-a).K値でみるかぎりA群とB群,さらに
肥満C群との差はあまり明確であるとはいえなか
った.D群におけるK値は,正常型でも広範囲に
分布し,正常型,境界型,糖尿病型に一定の傾向
はみられなかった(図5-b).
G・WGTT∠1R1/∠BS 2分値およびK値と
OGTT糖尿病型との関係
A群のM-SD(0.79-0.22)とC群非肥満のM
一.P010一
-
29
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3
2
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図5・a A,B,C群における10g IVGTTのK値
。
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l図5・b D群諸種疾患における10g IVGTTのK値
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1
●●
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●
● ●
●
●
十SD(0.11十〇.18)の中間をとると0.4となっ
た.c七一肥満において∠IRI1∠BS 2分値。.4以
上は43例中1例(2%),C群肥満においても26例
中2例(8%)にすぎなかった.非肥満のB群境
界型は∠IRI/∠BS 2分値0.4以上は17例中7例
(41%)であったが,D群の境界型と糖尿病型計
12例中(loo%)すべてが41RI1∠Bs 2分値は。.4
以上であった.D群においては正常型で41RI/
」BS 2分値が0.4以下は,甲状腺機能充進症の
1例にすぎなかった.この例はOGTT 41RI!4BS
30分値ともに低下していた.以上から1VGTT
∠IRI1∠Bs 2分値はoGTTによる糖尿病型判定
によく一致を示すといえた.つぎにK値は」IRI1
∠BSほど明確な差がなかったが, A群K値M・SD
(2.27-o.71)と。群の空腹時血糖値160mgld1以
上の群M十SD(0.57十〇.24)との間をとってK
値1を境とした。このようにしてみると,C群非
肥満でK値1以上のものは43例中6例(14%),C
群肥満26例中10例(38%)となった.また諸種疾
患群正常型非肥満20例中3例がK値1以下であっ
た.以上K値のみによる分類ではOGTTの型分
類に一回目ないことが多かった.ただし,C群空
腹時血糖値160mg/dl以上ではA群に比べ明らか
に三値であった.
rv・考 案
インスリンのradioimmuロoassay法がBerson&
Yalowにより確立されてから,経ロブドウ糖負
荷試験における糖尿病,又は二次性糖代謝障害な
どの血中インスリン反応について数多くの研究が
報告された9)10)11).現在では,糖尿病者では経ロ
ブドウ糖負荷試験での初期インスリン反応の低下
と遅延反応が特徴とされている.経ロブドウ糖負
荷試験における初期の血糖上昇に対する血中イン
ス・リン反応の増加の比をとり,∠IRI!4BS 30分値
の低下を糖尿病に特異性があることを小坂ら9)10)
は報告し,その値が0.5以下を糖尿病としている.
今回の私の成績では,健常正常者として検査し
たA群のそれは1.0以上の高値であった.IVGTT
も古くからおこなわれ,血糖消失率K値を求め
る方法がとられることが多かった.今回私は静
脈内ブドウ負荷試験の急激な血糖上昇に対する膵
B細胞のインスリン反応に注目し,糖尿病診断の
一つの手段となるのではないかと考えた.すなわ
ち100g OGTTによる分類を基準に10g IVGTT
での負荷後の初期の血糖増加∠BS,並びに血中イ
ンスリンの増加41RI,それらの比41RI14BS 2
分,∠IRI1∠BS 5分値, K値などについて,臨床
的応用の可能性といずれの値が最も優れているか
ということについて検討した,現在,IVGTTに
おけるブドウ糖の負荷量,方法は報告者により異
なり,標準的な方法は確立されていない.Selzer1)
は,o.591kg, va認ano-AharonとYalow2)らは
25g, Po沈eらは598),1.0~40912)の静注法を
あげ,さらにCerasi&Luft18)らはグルコース
一1011一
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30
o.59/kgを静注し,引き続いて60分間にわたり
1分間20mg/kgを静脈内に持続注入する方法を
あげている.小田桐5)は初期の血糖上昇に対する
血中インスリン反応をみるには10g IVGTTで充
分と認められると報告した.またこのような少量
は急激に一度に注入しても,血管痛などの副作用
も少ないことから,これを適当と考え使用した.
LernerとPorteら12)は健常老にブドウ糖1.Og
~40g投与し,初期のインスリン分泌と, K値に
ついて検討し,ブドウ糖10gと20gの比較で血糖
は,20gでより多く増加するが,初期のインスリ
ン分泌にほとんど差がなく,10gと20gでのK値
をみるとほぼ同じであり,rapid insulin release
には10gが最適であると報告している.実際に50
%ブドウ糖溶液20cc(10gブドウ糖)を静注する
ことは臨床負荷試験法としては便利と思われる.
10g IVGTTの2分での血糖増加量∠BS(IVG
TT∠BS 2分)と,10090GTT 30分(OGTT」BS 30分)の血糖上昇値を比較すると, OGTT
における血糖は正常型(A群),境界型(B群),糖
尿病型(D群)のすべてにおいて,IVGTT∠BS
2分の:方が高値を示した.以上により10g IVGTT
はたとえ短時間の血糖上昇とはいえ,膵B細胞を
刺激するには充分の高血糖をもたらすと考えた.
実際に,A群では10g IVGTT初期の」血中インス
リン増加量∠IRI 2分値(IVGTT∠IRI 2分)
は10090GTT 30分での血中インスリン増加量
(OGTT∠IRI 30分)より大であった. Buchanan
と Mcklddie14)は,5090GTTと25g IVGTT
を正常者に行い,OGTTの方がIVGTTよりplasma insulin増加は多いと報告し, OGTTと
同じ血糖値と同じうごきを20%ブドウ糖の持続注
入でおこしてみると,経口の方がplasma insulin
は2-3倍に大きいと報告している.しかし,私
の成績では,IVGTTでの4BS 2分と41RI 2
分は,OGTT 4BS 30分および∠IRI 30分よりや
や大であった.非肥満のB,C群では,41RIは
低下し,IVGTT∠IRI 2分の方がOGTT∠IRI
30分より二値となった.このOGTTとIVGTTとの関係はA群とは逆であった.これは糖尿病者
では,IVGTTの方が消化管ホルモンなどの影響
をうけずに膵B細胞の血糖反応機能の障害をより
直接的に示すからではないかと思われる.
これら∠BSと∠IRIの比で10g IVGTTと1009
0GTTと比較すると (∠IRI/∠BS), A群での109
1vGTT」IRI/∠Bs 2分値は。.79±o.22,1009
0GTT∠IRI/∠Bs 30分値は1.54±o.42と1009
0GTTの方が高値を示した.また,これらの
∠IRI/4BSにおいて, Aと旦C群の差は明確
であった.とくに空腹時血糖値160mg/dl以上
というような確実な糖尿病においては,むしろ
10g IvGTTの方で∠IRI/∠Bsの低下はより明確
となった.これに対し,A群と8群の区別には
oGTT∠IRI/4Bs 30分の方がすぐれており,
IvGTT 41RI/∠Bs 2分でみると, A群とB群は
かなり接近しているといえた.
IvGTT∠IRI/∠Bs 2分値の判定基準は,正常
型A群とC群の中間をとり0.4を境いとしてみる
と,0.4以上はA群100%,B群非肥満41%, C
群2%であり妥当の線であると思われた.D群の
境界型と糖尿病型ではIvGTT」IRI/∠Bs 2分値
はすべて0.4以上であった.D群で0.4以下は正
常型の一例であり,これは100g oGTT∠IRI1
4BS 30分でも低下していた.この例は甲状腺機能
充進症の患者で空腹時インスリン値が高かった
ため∠IRIが小さく,∠IRI/∠BSも小となった例
であった.D群でOGTT∠IRI/∠BS 30分値と
IVGTT∠IRI/∠BS 2分値を比べてみると,IVGTT
∠IRI/∠Bs 2分値の方が高い例が多く,oGTT
∠IRI/∠BS 30分が正常範囲あるいはそれ以下であ
ったものでもIvGTT∠IRI/∠Bs 2分が正常範囲
以上の例が35例中10例(28%)にみられたことか
ら,私の対象としたD群すなわち二次性糖代謝障
害例では,OGTTよりも, IVGTTにおいて膵
島B細胞の糖に対する機能をより特異的に明確に
示すことができたようである.すなわちD群では
OGTTで境界型や糖尿病型を示してもIVGTTによるブドウ糖刺激に対するインスリン分泌の低
下はみられなかったといえる.糖尿病C群では
IVGTTによるブドウ糖刺激に対するインスリン
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分泌の低下が特徴的であることを示した.一方,
インスリン分泌の低下のみで糖尿病と診断できな
い場合がある.すなわち,糖尿病状態のきわめて
悪化した末端巨人症紛,褐色細胞腫16)において
ノルアドレナリンによりインスリン分泌の抑制さ
れたもの,膵炎などの膵疾患などではインスリン
の分泌の低下をみる.これらは原疾患の諸種の検
査,既往歴,原疾患の治療前後の経過をみて判定
する必要がある.その他にCerasi&Luft17)18)をま
糖尿病老のみならず非糖尿病者の中にもブドウ糖
に対するインスリン分泌反応の乏しい例がある,
すなわち糖忍容力に異常のない者にも15~20%程
度の割合でこの異常が存在するとして,これらを
low-insuHn responderと名づけている.
ここに述べた報告と同様に糖尿病者ではIVGTT
の初期インスリン反応は低下しているという報告
が多い.seltzerら1)は, o.59/kgのブドウ糖を
静注し,健常者と軽症,中等糖尿病老における,
初期10分間の∠IRI/∠Bs値は,それぞれ。.66±
0.07,0.31±0.66,0.12±0.04であり,中等糖
尿病では初期インスリン分泌の低下,すなわち
insulinogenic indexが低値を示し,インスリン分
泌反応がより少なく,IVGTTのtotal insul量no-
genic indexは, OGTTのtotal insulinogenic
indexと一致していると報告している.
古くからIVGTTでは血糖消失率が糖尿病で低
下していることが報告されている.前にのべたよ
うにIVGTTのブド・ウ糖負荷量はまちまちであ
るが,Lerner&Porte12)は,健常者でブドウ糖
1.0,2.5,5,10,20,40g負荷量で初期のイ
ンスリン分泌と血糖消失率について検討し,10g
と20gで初期のインスリン分泌はほとんど差がな
いのに,血糖値は20gの方が高値であったと.ま
たインスリン分泌,血糖消失率について,10gま
ではブドウ糖負荷量が増すとともにふえた.しか
し,10gと20gでの血糖消失率をみるとほぼ同じ
であり,血糖消失率とacute insuliロresponseとの
相関は大であるとのべている.血糖消失率は109
2.9±1.25,2093.3±1.48と報告している.
Luftら13)は血糖消失率1.0以下を異常と報告し
ている.Bruzell&Porteら19)は糖尿病患者に20g
IVGTTを施行し,空腹時血糖値と初期のインス
リン分泌,血糖消失率との関係を検討し,空腹時
血糖値115mg/dl未満,115mg/dl以上それぞれ
1.42±0.46と1.06,空腹時血糖150mg/dl以上で
はtotal insulin respo鵬e幹ま著しく減少し,血糖
消失率は空腹時血糖が上昇するにつれて小さく
なると述べている.acute insuHn responseをま血
糖消失率とよく相関するという報告が多い.今
回私の成績では,A,B,C群のK値による分類は
∠IRIμBS 2分より悪かった.すなわちC群の空
腹時血糖値160mg/dl以上の群においてのみK値
の特異的低下をみた.そこでA群とC群の空腹時
血糖値160mg/d1以上の群との間をとり,K値1
を正常の下限とした.しかし,C群非肥満でK値
が1以上43例中6例(14%),C群肥満群で26例中
10例(38%)になった.諸種疾患正常型非肥満20
忌中3例が1以下であったことより,K値による
分類はA,B,C,Dの分類に対して特異性が低く,
IvGTTでは41RI/4Bs 2分値に著しく劣るもの
であった.
今回,IVGTTにおける年齢の検討はおこなっ
ていないが,100g OGTTでの加齢についての
検討は羽倉20)により示され,∠IRI/∠BS 30分値は
加齢とともに次第に低下するが,とくに10代から
20代の落差が著しく,30代以上の年齢についての
差は比較的少なくないと報告している.Feldman
ら21)は,正常者のIVGTTにおけるインスリン分
泌と加齢について検討し,加齢と∠1/∠G(insu1-
inogenic index)とは相関関係がないと報告して
いる.以上,膵B細胞の血糖に対するインスリン
反応を直接にみることのできる方法としての10g
IVGTTをとりあげ,血糖ならびに血中インスリ
ン変化の特徴を求め,臨床に応用できる正常値な
どについて検討した.実際に臨床に応用される場
合,長所として,試験時間が短く,∠IRI/∠BS 2
分でほぼ判定ができること,負荷時の副作用は殆
どなく,OGTTにみられる下痢,悪心など伴わな
いこと,妊婦,えん下障害のある者,胃切除老,
尿毒症の人など経口摂取不可能な人におこなう
一1013一
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ことができることなどがあげられる,欠点として
は,採血時間の正確さが必要であること,多人数
を一度に行うには熟練が必要であること,A,B直
間の区別がOGTT 30分ほど明確でないことなど
である。
以上,IVGTTについて,これを臨床検査法と
して応用する場合の利点と欠点にいくつかの知見
を述べた.
V・結 語
1) 10090GTT∠BS 30分頃10g IVGTT∠BS
2分との比較では,血糖正常型A,境界型B,糖
尿病型Cのすべてにおいて,∠BS 2分が高値であ
った.
2)正常型A群の10g IVGTT 41RI 2分は,
10090GTT∠IRI 30分より大であった.
・3)血糖増加に対する血中インスリツ増加の比
は,A群では10g IVGTT∠IRI/4BS 2分0.79±
o.22,100g oGTT∠IRI/∠Bs 30分値1.54±o.42
となって,10090GTTの方が高値を示した。
またOGTTにおけるA,B,C群の差は明確であ
った.これに対し,空腹時血糖160mg/dl以上と
いうような確実な糖尿病においては,むしろ10g
IVGTTの方が∠IRI/∠BSの低下はより明確とな
った.
4) 100g oGTT∠IRI/∠Bs 30分と,10g Iv
GTT∠IRI/∠BS 2分の相関が明らかであった.
またIvGTT∠IRI/4Bs 2分は,5分よりも判定
に適していた.
5)私の検討では,10g IvGTT 41RI/∠Bs 2
分において正常型A群と糖尿病型C群とを分ける
値は0.4となった.
6)諸種疾患D群において100g oGTT∠IRI/
∠BsよりもIvGTT∠IRI/∠Bsが比較的に高値
の例が26%にみられ,またA群の∠IRI!∠BS 2分
の正常範囲以上の高値を示したものはD群の63%
にみとめられ,糖尿病と諸種疾患時の糖代謝障害
の相違点は,IvGTT 41RI/∠Bs 2分でより特徴
づけることができるようであった.
7)K値の正常範囲は1.0以上であり,空腹時
血糖160mg/dl以上の確実な糖尿病では,それ以
下であった.
8) IVGTTにおいKて値よりも41RI/∠BS 2
分値の方が優れており,OGTTによって分けら
れたA,B,c群の間の差を∠IRI/∠BS 2分がより
明瞭に示した.
以上から,ブドウ糖静注法負荷試験における検
査値の中で,IVGTT 41RI/4BS 2分は糖尿病診
断上,最も鋭敏であり,かつ特異性が高いので,
価値のあるものと考えられた.
稿を終るのにのぞみ,ご助言,ご指導,ご校閲を頂
きました鎮目和夫教授,平田幸正教授に深謝いたしま
す.ご協力頂きました水野美淳教授,田坂仁正講師,
小田桐玲子博士はじめ教室員各位に感謝いたします.
(本研究要旨は第16回,第17回糖尿病学会総会にて
発表した).
文 献
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