2018 TOBU Corporate Social Responsibility Report
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鉄道事業の安全・安心・快適・地域活性化各施策の取り組み
住みやすい沿線に向けた取り組み
ステークホルダーとともに 環境配慮の取り組み特集① 特集② コーポレート・
ガバナンスコンプライアンス/リスクマネジメント
東京スカイツリータウンの技術的な取り組み先端地域冷暖房システム(高効率熱源機器)東京スカイツリータウンでは先端地域冷暖房システム(高効率熱源機器)を導入しています。このシステムは、多くの建物
の冷暖房をまとめることで、効率的に冷暖房用の熱エネルギーを生成・供給することができるシステムです。高効率熱源機器を含めたこのシステムの運用により、消費エネルギーを1とすると、生み出した熱エネルギーは国内トップレベルの1.3以上(国内平均値は0.74)となっています。
蓄熱システム(大容量水蓄熱槽)東京スカイツリータウンではエネルギー効率の高い蓄熱システム(大容量水蓄熱槽)を導入しています。このシステムは、
需要の少ない夜間電力を利用して冷水、温水を大容量蓄熱槽に蓄え、同熱エネルギーを昼間に使うことで、昼間のピーク時の消費電力を抑えることができます。また、冷水・温水にする機器の能力を、昼と夜に分散することで設備容量をコンパクトにでき、効率の良い一定出力の運転を長く行うことができるため、高レベルの効率性を維持することが可能となります。なお、災害時には墨田区ならびに東京
消防庁との協定により、蓄熱槽水を生活(23万人分)・消防用水として提供します。
「トップレベル事業所」に認定2017年3月、東武鉄道と東武タワースカイツリーの両社が事
業主体である「東京スカイツリータウン」は、東京都環境確保条例における「トップレベル事業所」に認定されました。これは、東京都環境確保条例に基づく「温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度」において、東京都が規定する二酸化炭素削減の管理体制・建物設備の性能等に関する全213の評価項目に対して、取り組み内容が優れている事業所が認定されるものです。なお、すでに東武エネルギーマネジメントが運営する「東京スカイツリー地域熱供給施設」は「トップレベル事業所」に、同じく東武グループの西池袋熱供給のセンタープラントは、「準トップレベル事業所」に認定されています。
●環境配慮の取り組み ―温暖化防止
蓄熱槽により昼間のピーク電力を大幅カット
システムフロー
東京スカイツリー地域の主な熱供給施設
東京スカイツリータウンⒸTOKYO-SKYTREETOWN
CO2削減
東武グループではCO2削減や省エネルギーの推進を図ることで、地球温暖化防止に取り組んでいます。
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グリーン電力の利用東武鉄道ではバイオマス発電による「グリーン電力証書
システム」を導入し、様々な事業活動に利用しています。分譲住宅事業に2004年から「グリーン電力証書システム」を導入し、
2017年からは、戸建住宅「ソライエ清水公園アーバンパークタウン」の販売センターで使用する電力を賄っています。
定時株主総会会場の運営電力に東武鉄道定時株主総会(2018年6月)の会
場運営電力を賄いました。グリーン電力の利用は、2010年から定時株主総会に用いており、2018年で9回目の利用実績です。列車の運行電力に2017年12月31日深夜から2018年1月1日早朝にか
けての年末年始の終夜運転列車、2018年9月に開催した環境配慮エコツアーの移動に伴う特急りょうもう号の運行電力を賄いました。各種発行物の印刷関係電力に各種発行物の印刷に賄いました。
【マンスリーとーぶ、会社要覧、安全報告書、アドメニュー、高架化事業のお知らせほか】
「低炭素熱」の供給事業者に認定 「東京スカイツリー地域熱供給施設」を運営している東武エネルギーマネジメントが、高効率熱源機器や大容量水蓄熱槽等の導入効果によって、2018年2月、東京都環境確保条例における「低炭素熱」の供給事業者に認定されました。これは、「温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引
制度」において、CO2排出係数(電気や熱の供給量あたりのCO2排出量)の小さい事業者が認定されるもので、同施設のCO2排出係数は、東京都が指定する熱供給施設の標準CO2排出係数よりも約40%小さく、東京都内でもトップクラスとなっています。このほか、東武グループの西池袋熱供給と錦糸町熱供給
も同時期に「低炭素熱」の供給事業者に認定されています。
CO2削減ライトダウンキャンペーンに参加東京スカイツリーでは、夏至にあたる2018年6月21
日と七夕にあたる7月7日の各日20時~22時の間、環境省が主催する、低炭素社会への歩みを実感し地球温暖化防止の啓発活動である「ライトダウンキャンペーン」に賛同して、消灯しました。この活動で、東京スカイツリーでは両日合計229kwh、108.5kg-CO2のCO2排出量を削減し環境に配慮することの重要性を発信しました。
●環境配慮の取り組み ―温暖化防止
東京スカイツリー地域の熱供給施設(東武エネルギーマネジメント)
都市ガスと電気の一次エネルギーをベストミックスした熱源システム(錦糸町熱供給)
安定した熱エネルギー供給で西池袋の街づくりを支える省エネの取り組み(西池袋熱供給)
ソライエ清水公園アーバンパークタウン販売センター
ライトダウン前 ライトダウン後
※ 電力事業者による2017年度実績・調整後係数を用いて算定したもの(係数0.474kg-CO2/kWh)
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森林保全とJ-VER 制度(オフセットクレジット)の活用 森林は国土の保全、水資源の涵養、災害の防止、生物多様性の保全・形成等の様々な機能を持ち、中でもCO2を吸収する機能は、地球温暖化防止に大きな役割を担っています。 東武鉄道では栃木県、群馬県等に所有する社有林を適切に維持管理しており、このうち栃木県宇都宮市の社有林においては、環境省が地球温暖化対策のために創設したJ-VER制度※を活用し、地元森林組合の協力を得て実施した間伐によるCO2吸収量について、オフセットクレジット(J-VER)の認証を取得しています。 取得したJ-VERは東武タワースカイツリーや東武トップツアーズ等の企業活動で発生するCO2排出量とのオフセット(埋め合わせ)に利用されています。※ J-VER制度は、経済産業省が所管する国内クレジット制度と統合し、2013年度より「 J-クレジット」制度として継続されています。
太陽光発電事業の取り組み 東武エネルギーマネジメントでは、環境の負荷低減への対策を進め、持続可能な活力ある低炭素・循環型社会づくりの一助にすべく、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」による太陽光発電事業に参入しています。2013年7月からの東武佐野線葛生駅南側土地(栃木県佐野市)における民鉄グループ初のメガソーラー「葛生太陽光発電所」を皮切りに、東武鉄道社有地などを有効活用して事業に取り組んでいます。現在8か所の発電所が稼働しており、合計設備容量(太陽光パネル容量)は8,970kW、年間発電量は約969万kWh(一般家庭約2,692世帯分)、年間CO2削減量は約4,896トン(約44万5千本のブナの木を植林したのと同程度の効果)となっています。
地球温暖化防止活動 環境大臣表彰 2017年12月4日、平成29年度地球温暖化防止活動環境大臣表彰が行われ、東武ゴルフサービスの4ゴルフ場が参画している東武沿線ゴルフ場連絡会が「地球温暖化防止活動 対策活動実践・普及部門」において、環境大臣表彰を受けました。 これは同連絡会が主催する「電車でゴルフ! 72daysオープンコンペ」によって、公共交通機関の利用を促し、地球温暖化防止対策活動の実践・普及に積極的に取り組んできた功績が認められたものです。
●環境配慮の取り組み ―温暖化防止
J-VER制度に登録した宇都宮市内の社有林
東武岩舟太陽光発電所
表彰状
J-VER制度登録社有林の間伐実施風景
東武高柳太陽光発電所
東武藤が丘カントリー倶楽部
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住みやすい沿線に向けた取り組み
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●環境配慮の取り組み ―温暖化防止
省エネルギーの推進 ―鉄道車両の取り組み東武鉄道では、駅・踏切等の安全対策、冷暖房やエスカレーター設備、エレベーターをはじめとするバリアフリー設備等の
拡充など電気使用量の増加要因がありますが、省エネルギー車両の導入等により運転電力の消費削減に努めています。
車両形式環境配慮機器項目 500系 70000系 60000系 50000型 30000系 20400型 10080型 9050型 250型 100系
(a)永久磁石同期電動機(モーター) ○ ○ ― ― ※1 ― ― ― ※1 ―
(b)誘導電動機(モーター) ― ― ― ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
― ― ○ ― ― ― ― ― ― ―(c)全閉式内扇式誘導電動機(モーター)
(d)操舵台車 ― ○ ― ― ― ― ― ― ― ―
(e)VVVFインバーター制御装置 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
(f)回生ブレーキシステム ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
(g)アルミ製軽量車体 ○ ○ ○ ○ ― ― ― ― ― ○
(h) LED照明(車内) ○ ○ ○ ※1 ― ― ※2 ― ― ―
(i)LED照明(前照灯) ○ ○ ○ ― ― ○ ― ― ― ―
(j)紫外線(UV)反射ガラス ○ ○ ○ ― ― ― ― ― ― ―
(k)防音車輪 ○ ○ ※3 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
(l)滑走防止装置 ○ ○ ○ ○ ○ ― ― ― ○ ○
※1:一部車両に搭載 ※2:リニューアル工事にて設置 ※3:操舵軸の車輪を除く
500系 10080型70000系 20400型 100系30000系 250型60000系 50000型 9050型
各車両の環境配慮型装置
南栗橋車両工場ISO14001認証取得東武鉄道南栗橋車両管区と東武インターテックでは、南
栗橋工場部門において、環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001を2005年9月に認証取得しました。その後、3年ごとの更新審査に合格。そして2017年9
月には、ISOの2015年新規格での審査にも合格し、活動を継続しています。
1車両1キロ走行あたりの電力消費量【車両原単位】の推移
省エネルギー車両率(省エネルギー車両の在籍車両に対する割合)の推移
正門(認証取得プレート)
(2018.07)
南栗橋車両管区(工場棟)
2,500 100(両) (%)
在籍車両数
2013年度 2014年度 2015年度 2016年度 2017年度
2,000
0
1,500
1,000
90
80
70
60
50
500
1,430 1,478 1,4901,574
1,936 1,914 1,884
73.8677.22 79.09
1,920
83.07
1,5961,900
84.00
省エネルギー車両数 省エネルギー車両率2.0
●運転原単位(kWh/car・km)
2013年度 2014年度 2015年度 2017年度2016年度
1.8
1.6
3 1.822
1.782
1.847
1.920
1.82
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電力の流れ
回生ブレーキ中の電車
ブレーキをかける
発電した電力を架線に戻す
あまった電力は貯めておく
架線から取り入れた電力で加速
架線から電力を取り入れる
車輪
モーター
走行(加速)中の電車
●環境配慮の取り組み ―温暖化防止
永久磁石同期モーター
永久磁石同期モーター( PMSM)は、従来の主電動機において一部部品に電磁石(電気を流すことで磁力が発生)を用いていたものを、永久磁石(電気を流さなくとも磁力が発生)に変更した装置です。これにより、電磁石に流す電気が削減されるため、省エ
ネルギー化の向上を図ることができます。2011年度から試験的に搭載し、新型車両500系・
70000系に本格的に導入しました。
VVVFインバーター制御装置従来は速度制御の比較的容易な直流モーターが一般的
に用いられていましたが、近年の半導体技術の進歩により、直流1500Vを交流電圧に変換する装置を用いて電圧と周波数を自由に制御することができるようになりました。この変換装置をVVVF制御装置といいます。直流モーターで行っていた主抵抗器の抵抗値を変える方式よりもモーターの回転力をなめらかに変化させることで、より効率的な制御が可能になるとともに、大きな省エネルギー効果をもたらします。
回生ブレーキシステム回生ブレーキシステムとは、主電動機を発電機として利用し、発生した電力をパンタグラフ・架線を通して、近くを走行(加速)中の他の電車に供給することにより、発電時の回転抵抗が負荷となり、その結果ブレーキ力を得る方式のことです。これまでは熱として捨てていたエネルギーを有効活用できます。近年のVVVF制御装置搭載車両は、回生ブレーキシステムを簡単に組み込むことができます。
アルミ合金製の軽量車体アルミ合金は他の金属と比べ軽量ですので、従来の鋼板製の車体と比べ、少ない消費電力で、列車の走行が可能となります。
LED車内照明車内照明を従来の蛍光灯からLED灯に替えることで、
消費電力量の低減を図っています。現在、LED車内照明の導入率は約17%です。
500系 70000系 主電動機〈PMSM〉
60000系
500系
50000系
70000系
70000系車両内観
500系VVVFインバーター制御装置
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●環境配慮の取り組み ―温暖化防止
省エネルギーの推進 ―鉄道施設の取り組み
電力貯蔵装置 概要図
照明器具のLED化(駅照明)駅施設の照明器具も順次、省エネルギー性の高いLED
への更新を図っています。豊春駅は、昼白色の照明を用いており、視認性の向上を実現しています。蛍光灯器具をLED照明器具に更新することで、40,000時間の長寿命化を実現し、かつ旧照明設備と比較して約70%以上の消費電力量の削減を実現しています。また、LEDの熱を効率良く放熱させる設計により光束維持率85%を実現するとともに、無駄に光を広げないよう灯下光の範囲を定めて設置することで、ホーム上の均整度を高め乗降時の安全性を確保するよう努めています。
回生電力貯蔵装置回生電力貯蔵装置は、電車がブレーキを使用した際に発生する回生電力を架線を通して吸収・貯蔵し、その貯蔵した電力を他の電車が加速する時に供給し、電力の安定供給と有効活用を実現するものです。本装置は2012年に東上線上福岡き電区分所、2014年
度に東武アーバンパークライン運河駅構内に導入・供用開始を行いました。その後、運河駅構内の装置は、2016年3月に運河変電
所を新設したため、2017年2月に大宮公園駅構内に移設されました。
回生電力貯蔵装置
◀▲豊春駅構内コンコース・ホーム
施設外観
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環境に配慮した住宅の供給戸建住宅「ソライエ清水公園アーバンパークタウン」で
は、自然の力を利用して快適な居住空間を創造する「パッシブデザイン」という手法を導入しました。この手法に基づき、風が自然に通り抜ける機能的な間取りや、オープンな外構設計を採用しています。また、省エネルギー等級4の基準をクリアした高い断熱
性能を有する住宅を供給しています。
スマートマンション認定エネルギーの節電を実現するマンションとして、スマートマンション推進協議会の評価制度において評価を得、スマートマンション認定を受けています。※ 「スマートマンション」認定は一般社団法人スマートマンション推進協議会による評価制度です。
導入実績:ソライエ成増、ソライエ葛飾小菅 ほか導入予定:ソライエ流山おおたかの森
省エネルギー高効率給湯器の導入省エネルギー高効率給湯器を導入し、CO2排出量の削減、地球温暖化防止を図っています。導入実績:ソライエ東川口プレミアムレジデンス、
ソライエ成増、ソライエ葛飾小菅ソライエ清水公園アーバンパークタウン ほか
導入予定:ソライエ流山おおたかの森
分譲マンション共用部LED照明マンション共用部の一部の照明に、消費電力の少ない
LEDを採用し、環境および省エネルギー化に配慮しています。導入実績:ソライエ東川口プレミアムレジデンス、
ソライエ成増、ソライエ葛飾小菅 ほか
導入予定:ソライエ流山おおたかの森
●環境配慮の取り組み ―温暖化防止
省エネルギーの推進 ―分譲・賃貸事業の取り組み
ソライエ清水公園アーバンパークタウン 街並み
ソライエ成増 外観
ソライエ成増 ラウンジ
高効率化設備の導入駅ビル等のリニューアルに合わせて、順次、高効率化設備を導入し、環境
にやさしい機器の選定をしています。例として、新越谷ヴァリエのレストランフロアのリニューアルでは、空調
設備の共用部に高効率化設備を導入し、13%強の消費電力の削減効果が得られました。また、照明設備では、同施設の4・5階の共用部照明を高効率化設備にしたことにより、約64%の消費電力をカットできました。今後も技術の進歩に合わせ、新しい高効率化設備の導入を計画していきま
す。
新越谷ヴァリエ レストランフロア