テスト車輌概要 MODEL TESTED ●モデル名:Ferrari 458 Italia●車輌本体価格:2830万円●日本発売時期:2010年5月●最高出力:570ps/9000rpm●最大トルク:55.1kgm/6000rpm●0-100km/h加速:3.4秒●113-0km/h制動距離:41.8m●最大求心加速度:1.16G●テスト平均燃費:5.9km/ℓ●二酸化炭素排出量:307g/km
1AIR INTAKES エアインテーク
360とF430のリアボディにあった印象的なエアインテークは458ではこの三角形のインテークに代わった。往年の308から続く両サイドのエアインテークもなくなった。
We like Accessible performance , Excellent handling balance , The sense of occasion
ROAD
TEST
Ferrari 458 Italiaフェラーリ458 イタリア
扱いやすいパフォーマンス、素晴らしいハンドリングバランス、スペシャル感
1
4
3
2
もはやジュニアではない
4INLET WINGS インレットウイング
インテーク内のウィングに角度が付けられ、低速度でもラジエーターに十分な風が流れるようにしている。逆に高速域では空気抵抗を減らし、ダウンフォースの発生にも寄与している。
3HEADLIGHT ヘッドライト
ヘッドライトに向かう特徴的なインテークがブレーキに冷却風を導き、反対側のベントから逃がすことで、フロントホイールアーチで発生するリフトを軽減させている。
2WHEELS ホイール
標準のアルミホイールは、20インチが装着される。さらにオプション代を支払えば、ペイント仕上げのスポーツホイールも選択可能だ。
086 AUTOCAR 11/2010
5SMALL LIPスモールリップ
フェラーリによれば、トランクリッドの小さなリップが十分なダウンフォースを発生し、可動式ウィングは必要ないという。われわれのテストでも、それに異議を唱える理由は見つからなかった。
We like Accessible performance , Excellent handling balance , The sense of occasion We don't like Expensive, especially with options , No manual option , Ergonomic slips
ジュニアという枕詞がつくと、それは不名誉を意味するものであったが、458イタリアはもはや兄貴分の599にも匹敵する実力を手に入れたことは実証済みだ。今回、われわれの厳正なるロードテストでは、この458が、真に歴史に名を残すことが出来る、フェラーリの中のフェラーリか否かを、ジャッジする。
高価な価格(特にオプション追加時)、M/Tの選択肢がないこと、人間工学的な欠点
ミドエンジンV8ベルリネッタは1973年の2+2、ディーノ308GTから始まった。比較的最近では、2シーターの
“ベビー”フェラーリとして最も記憶に残るのは1994年のF355であろう。3.5ℓのF355
は1999年に生産中止となった後、360とF430という2世代を経て、458が誕生した。
HISTORYベビーフェラーリの系譜
7
6
5
フェラーリのミドシップV8クーペフォーマットの出発点となった308。
8
6MUFFLERマフラー
ハードなドライビング時には、サイレンサー内のバイパスバルブが3本のパイプすべてにガスを流し、ドラマチックなサウンドを奏でる。低回転では、ガスは中央のパイプ内の2本の小さいアウトレットに流される。
7REAR LIGHTSリアライト
458の全体的なデザインにはエンツォに似た要素がある。特にリアランプの形状と位置がそうだ。その下にあるベントはギアボックスとクラッチを冷却するラジエーター用である。
8EINGINEエンジン
4.5ℓのV8はカリフォルニアと同じブロックを使っているが、より高回転(9000rpm)まで回り、ストロークを拡大して排気量増を図っている。フェラーリのミドエンジンロードカーとして初めて直噴を採用。
ROAD TEST / No.4973
087www.autocar-mag.com
3 CENTRE CONSOLE センターコンソール
リバースとオートモード、ウィンドウ開閉のスイッチ類をセンターコンソールの下の方に取り付けるのはあまり合理的ではない。
4 MULTI-FUNCTION STEERING WHEELマルチファンクションステアリング
標準のマルチファンクションステアリングホイールはステアリングホイールから手を離す機会が減って便利。
2LED REVCOUNTER レブカウンター
ステアリングに備わるLED式のレブカウンターはオプションのカーボンファイバードライビングパックの一部。それ単独でも取り付けられる。
1DISPLAY CONTROLS ディスプレイコントロール
運転席のディスプレイの操作装置はドライバーの左側にあり、GPSナビの操作装置は右側に位置する。どちらも直感的ではない。
5 NAVIGATION ナビゲーション
オプションのG P Sナビは高精度のカラーディスプレイがステアリングホイール裏側のメーターナセルに組み込まれ、使いやすい。
2
4
4
3
1
088 AUTOCAR 11/2010
ジュニアという言葉はスーパーカーにとってはいさ
さか不名誉な形容詞にも思えるが、2、3の例外を
除けばマラネロ生まれのV8ミドエンジンモデルはジュニ
アフェラーリと呼ばれてきた経緯がある。308GTBと、
その後に続くモデル群がそうだ。だが今、フェラーリに
おいて自社のラインナップに変革が起こっている。フェ
ラーリは、ソフトなドライビングを指向する顧客をター
ゲットにした第4のモデルライン、カリフォルニアを送り
出したのだ。
そしてこれによりフェラーリの最新V8モデル、458イ
タリアはよりシリアスな領域に踏み込んでも構わない
立場を得た。570psのパワーと320km/hを超えるトッ
プスピードは、もはやジュニアという形容詞とは程遠い
ものだ。
それどころか、458はいろんな点で兄貴分の599にも
匹敵するクルマである。97km/h-161km/hまでの加速
タイムは458の方が速い。さらに今回のテスト車が示す
ように、オプションなしで2830万円のプライスタグを掲
げる458は、各種装備を追加すると購入価格が3000万
円を楽にオーバーするクルマなのだ。
だが数字はあくまで数字でしかない。われわれが今
回確かめたいのは、この新しいジュニアが単に進化を遂
げただけでなく、フェラーリの歴史に名を残す真に素晴
らしいモデルと呼べるレベルにまで発展したかどうかで
ある。
DESIGN & ENGINEERING●意匠と技術★★★★★★★★★☆
それほど昔の話ではないが、われわれはフェラーリが
車重わずか1000kgを目標に、新しいテクノロジーや生
産テクニックを用いてスポーツカーの軽量化プロジェク
トを進めていると報じたことがある。テスト車の実測で
車重1535kgの458イタリアはそのクルマではない。し
かし、458はスペースフレームとアルミ製ボディパネル
という確立されたフォーミュラを用いているが、F430か
らはかなり進歩している。まず第一にシャシーの剛性が
15%アップしている。
そしてエンジンは新型の直噴4.5ℓV8を積む。鋳造
ブロックはカリフォルニアに使われているものと同じ
だが、458のユニットの方が排気量が大きく、より高回転
(9000rpm)まで回る。フェラーリによれば、さらに高回
転まで回るユニットだが、そうすると低回転域での燃費
悪化を招くために抑えてあるという。そんな配慮は要ら
ないようにも思えるが、フェラーリが458の燃費がF430
に比べて15%改善されたことを、71psのパワーアップ
とほとんど同じくらい誇りにしていることが実に時代を
物語っている。
ギアボックスについてはフェラーリの選択に異議を唱
える人もいるだろう。458イタリアはフェラーリのスポー
ツカーとしては初めて(フェラーリがGTと呼んでいるカ
リフォルニアは先例には含まれない)、M/Tの選択肢が
用意されないクルマとなった。装備されるのは、フェラー
リのためにゲトラグが製作した7段式のデュアルクラッ
チギアボックスである。
スタイリングに対する評価はもちろん主観的なもの
だが、編集部内でのコンセンサスとしては、458イタリ
アはセンセーショナルなルックスのフェラーリへの回帰
を示すもの、ということで一致した。アンダーボディは
フラット化されているものの、458は目立った空力付加
装置を持たない。だが458はF430よりも強力なダウン
フォースを発生し(最高速度時で360kg)、しかもそれで
いてF430よりも優れた空力性能を備えている。F430と
のスタイリング上の大きな違いは、エンジンルーム冷却
用のインテークがボディ後部側面からボディ下面に移さ
れた点だ。これによりボディの効率とリアディフューザー
の作用が向上している。
INTERIOR●室内★★★★★★★★★☆
もしF430から降りて、458イタリアに乗り込んだとし
たら、1世代ではなく2世代違うクルマのように感じられ
るはずだ。458ではすべてがモダンに感じられ、F430に
は欠けていた手仕上げ感が漂っている。
ほとんど抽象的にさえ見える突き出した形のエアベン
トが、ダッシュボードがドライバーを囲み込んでいるよう
00
20
40
60
80
100
120
4 8
High-performance ABS
Traditional ABS
35.0m
32.5m
12 16Distance (m)
spee
d (k
ph)
20 24 28 32 36
0-15
-10
-5
0
4 8
Steeper deceleration curve
Improvement in deceleration
12 16Distance (m)
Dec
eler
atio
n (m
/S2 )
20 24 28 32 36
Ferrari 458 Italia ROAD TEST
革張りのカーボンファイバーシートは素晴らしいが、これまたオプション。
6.4ºobscured
8.5ºobscured
2650mm
4527mm 39%
1213mm
0.33
1937mm
42% 58%
980mm min
1170mm max
1606mm1672mm
890m
m
230 litres
HOW BIG IS IT?Cd=0.33
VISIBILITY TEST 視認性テスト458イタリアはスーパーカーとしては比較的視認性が高い。
奥行き:670mm
幅:520-810mm
高さ:340-580mm
「センセーショナルなルックスのフェラーリへの回帰」
操作系統とダッシュボードのレイアウトがドライバー指向の運転環境を作り出している。
1週間の旅行の荷物(さほど大荷物でなければ)を積めるスペースがある。
フェラーリは全モデルにカーボンセラミックブレーキを装備しているが、その理由はサーキット走行でのブレーキの寿命を延ばすことと、バネ下重量の軽減だけではない。テクニカルディレクターのロベルト・フェデリによると、カーボンセラミックは摩擦係数が10~15%高く、制動距離の短縮をもたらすのだという。さらにフェダリは、カーボンセラミックディスクがスティールディスクよりもペダルフィールに優れ、また熱で変形せず、ジャダーが発生しない点をメリットに挙げる。 だがもっと重要な点がある。カーボンセラミックディスクは温度変化や摩耗によって性能が急激に低下することがなく、さらにフェラーリはそれ以外の選択肢をなくすことで、ABSとスタビリティコントロールシステムを最適化させているのだ。カーボンセラミックディスクはスティールと違って、物理的な特性をより長く維持できるため、理想的なパフォーマンス・パラメーターにより近づけることができるというわけだ。458にはドライバーがスロットルを戻すとブレーキに予圧がかけられる機能が備わり、ペダルレスポンスが早まる仕組みになっている。 マイナス要素はそれが高価だという点だ。しかしフェラーリは、それだけの価値があるものだと強調している。
STOP WATCHセラミックのワケ
カーボンセラミックブレーキによって、フェラーリは先進のABSモードを最適化することができた(グラフの赤い線)。
な印象を与える。操作装置の多くはステアリングホイー
ルとドライバーの右側に配置されて、ドライバー指向の
キャビンに仕上がった。
ステアリングホイールに取り付けられたウィンカーと
ウィンドスクリーンワイパー、ヘッドライトの操作には慣
れが必要だが、実際にはこれはとても使いやすい配置で
ある。問題はステアリングを大きく切ったときにボタンに
指が届かない場合があることだが、458のクイックなス
テアリングを考えれば、ステアリングを持ち替える機会
はごく少ないはずだ。
今回のテスト車はオプションのカーボンファイバー製
レーシングシートを備えていた。これはどんな基準から
鑑みても高額なシートだが、ハイト調節が付かない点以
外はこのシートはほとんど非の打ち所がない。
内装は幅広い選択肢が用意されており、マテリアル、
カラー、スティッチの幅に至るまでパーソナライズ可能
だ。したがって458の内装が素晴らしく見えるかどうかは
オーナーのチョイス次第であったりする。ただし、標準装
備はもう少し充実させて欲しかった。この価格帯のクル
マならGPSナビは標準装備すべきだろう。
PERFORMANCE●動力性能★★★★★★★★★★
動力性能に関して、現代のスーパーカーならこれくら
いクリアすべきだと貴方が考える基準数値を思い浮か
べてみてほしい。たいていの場合、458イタリアの動力
性能値はそれらの数値とほぼ同じではないだろうか。
0-97km/hは3秒台、トップスピードは320km/hオー
バー、161km/hまでのタイムは7秒前後、0-400mは
12秒を切り、0-1000mでの到達速度は240km/hを超
える。
だが数値よりも素晴らしいのが、458がそのパフォー
マンスを発揮するときの振る舞いである。少し前まで
は、4.5ℓの自然吸気ユニットから570ps(リッターあたり
127ps)ものパワーを引き出そうとしたら、ひどく扱いに
くいエンジンになっていたはずだ。そしてさらにその少
し前までは、ロードカーで4.5ℓNAから570psを発生す
るクルマ自体、存在しなかったのだ。
つまり、4 5 8 の エンジンが す ん なりと目 覚 め、
3000rpmという低回転でF430の最大値を凌ぐトルク
を発生し──それでいて9000rpmまで回るという事
実は、生産やマテリアル、燃料噴射、電子制御テクノロ
ジーなどの分野における進歩の証しなのである。そし
て6500rpmでF430の最高値に匹敵する出力を発生し、
トータルでF430よりも70ps近いパワーアップを果たし
ている。これは同系列モデルとしてはいわば一足飛びの
進化である。何よりも感心するのは吹け上がりの良さで
ある。淀みもラグも一切ない。スロットルの踏み込み量
に正確に比例して直線的に立ち上がるのだ。
フェラーリはフラットプレーンV8のサウンドのチュー
ニングには手慣れている。このモデルでもその技が活か
され、458のV8は単にふたつの4気筒を一緒にしたエン
ジンとは明らかに異なるサウンドを発する。そもそもイ
タリア車の吸気音と排気音のチューニングは独特だ。し
かし、それにも増して458のエンジンはメカニカル的に
も、サウンド的にも魅力的なユニットだ。
カリフォルニアと同様、458のパワーはデュアルクラッ
チトランスミッションを経由してホイールに伝達される。
これについては、シングルクラッチのロボタイズドM/T
のような興奮が味わえないと思う人がいるかもしれな
い。だが458のトランスミッションはメカニカルなフィー
089www.autocar-mag.com
Start/finishT1
T2
T3
T4
T5T6
T7
48km/h-0
48km/h-0
80km/h-0
80km/h-0 113km/h-0
113km/h-0
41.8m
48.2m24.6m
21.6m
9.0m
8.1mDRY
WET
20m10m 40m30m0
257km/h
24.8s
241km/h
20.1s
225km/h
17.1s
177km/h
10.5s
193km/h
12.2s
209km/h
14.0s
45km/h 64 80 97 113 129 145 161
1.6s 2.1 4.7s3.2s 3.9 8.4s6.2s 7.3s
10s5s0 20s15s
257km/h
19.1s
241km/h
16.2s
225km/h
13.6s
177
8.2s
193km/h
9.8s
209km/h
11.5s
45km/h 64 80 97 113 129 145 161
1.6s 2.1 4.02.7 3.3 7.0s4.9s 5.8s
10s5s0 15s
Ferrari 458 Italia DATA 計測テストデータ
■ドライサーキット ラップタイム:1分8秒9
(ポルシェ911 GT3 RS 参考タイム:1分9秒6)458はGT3 RSよりも速いだけでなく、430スクーデリアのラップタイムよりも0.5秒速かった。458の方がパワーに優り、またそのパワーをより効率よく使えるからだ。
TRACK NOTES 「458はどのダンパーセッティングでも、比較的しなやかな乗り心地を示す」
ハードなラップを繰り返してもブレーキフェードの兆候は現われなかった。
高速コーナーでは、スクーデリアよりもずっと早めにパワーをかけることができる。パワースライドもやりやすい。
■発進加速テストトラック条件:天候晴れ、乾燥路面、気温摂氏24.0度0-402m発進加速:11.3秒(到達速度:207km/h)0-1000m発進加速:20.3秒(到達速度:264km/h)
乾燥路面
湿潤路面
■ウェットサーキット ラップタイム:1分12秒7
(ポルシェ911 GT3 RS 参考タイム:1分16秒0)ウェットサーキットでのパフォーマンスはまあまあといった程度で、それ以上ではなかった。あらゆるコンディションで安全で速いクルマだが、全天候型スーパーカーではない。もっとも、ドライで同等のペースで走れるライバルも、全天候型はほとんどない。
■制動距離
Ferrari 458 Italia
Porsche 911 GT3 RS
タイムが落ちた原因は横方向のグリップではない。トラクションである。コーナリングスピードを維持する能力はまずまずである。
458はメインストレートで簡単にトラクションを失い、横滑りを始める。
中間加速〈秒〉湿潤路面 mph(km/h) 2速 3速 4速 5速 6速 7速
20-40(32-64) 1.3 2.0 ー ー ー ー30-50(40-80) 1.2 1.7 2.3 3.4 4.8 ー40-60(64-97) 1.3 1.6 2.0 2.9 4.3 6.150-70(80-113) ー 1.6 2.0 2.6 3.8 5.760-80(97-129) ー 1.7 2.0 2.5 3.5 5.270-90(113-145) ー ー 2.1 2.6 3.4 4.880-100(129-161) ー ー 2.2 2.7 3.4 4.690-110(145-177) ー ー 2.4 2.8 3.5 4.6100-120(161-193) ー ー ー 3.0 3.7 4.8110-130(177-209) ー ー ー 3.3 3.9 5.2120-140(193-225) ー ー ー 3.6 4.3 5.6130-150(209-241) ー ー ー ー 4.9 6.1140-160(193-257) ー ー ー ー 5.5 ー
0 02000 10,0004000 6000 80000
Engine (rpm)
55.0kgm at4750rpm
570ps at6800rpm
Powe
r out
put (
ps) Torque (kgm
)
27.7
83.0
69.1
55.3
41.5
13.8
96.8
507
101
203
304
406
608
エンジン形式:V8気筒,4499cc
最高出力:570ps/9000rpm
最大トルク:55.1kgm/6000rpm
許容回転数:9000rpm
比出力:127ps/ℓ馬力荷重比:384ps/t
駆動方式:リアミド縦置き後輪駆動ブロック:アルミ軽合金/ヘッド:アルミ軽合金ボア×ストローク:94.0×81.0mm
バルブ配置:4バルブDOHC
圧縮比:12.5
シャシー/ボディ車輌重量:1485kg/1535kg(テスト実測値)抗力係数:0.33
ホイール:(前)20╳8.0J、(後)20╳10.5J
タイヤ:(前)235/3Z5R20、(後)295/35ZR20
変速機7段A/T
ギア比/1000rpm時車速<km/h>
na
最終減速比:na
燃料消費率メーカー公表値:市街地/郊外/混合モードna/na/7.4km/ℓオートカー実測値総平均/動力性能計測時/ツーリング5.9/3.1/7.1km/ℓ燃料タンク容量:86ℓ現実的な航続距離:513km
二酸化炭素排出量:307g/km
サスペンション前:ダブルウィッシュボーン式/コイルスプリング後:マルチリンク式/コイルスプリング
ステアリング形式:油圧アシストラック&ピニオンロック・トゥ・ロック:2.0
最小回転半径:na
ブレーキ前:φ398mm通気冷却式 カーボンセラミックディスク後:φ360mm通気冷却式 カーボンセラミックディスク
静粛性アイドリング:55dB
3速最高回転時:91dB
3速48km/h走行時:68dB
3速80km/h走行時:73dB
3速113km/h走行時:76dB
安全装備安全装置ABS/TCS
Euro NCAP/na
エンジン性能曲線
発進加速乾燥路面 実測車速mph(km/h) 秒
0-30(48) 1.60-40(64) 2.10-50(80) 2.70-60(97) 3.30-70(113) 4.00-80(129) 4.90-90(145) 5.80-100(161) 7.00-110(177) 8.20-120(193) 9.80-130(209) 11.50-140(225) 13.60-150(241) 16.20-160(257) 19.10-170(274) 23.6
090 AUTOCAR 11/2010
ルを失うことなく、優れた効率の変速を実現している。
フェラーリのほかの現行全モデルと同様、458はカー
ボンセラミックブレーキを標準装備する。このブレーキ
は強力な制動力を発揮し、また連続制動でもその能力
は衰えない。
RIDE & HANDLING●乗り心地と操縦安定性★★★★★★★★★★
これまで、現在市販されているミドエンジン車でベス
トハンドリングを備えているのはロータス・エヴォーラと
ノーブルM600の2台だった。だが今回、458イタリアの
登場で情勢が変わった。その2台を完全に凌駕するまで
には至っていないが、458は難なくその仲間入りを果た
した。だが458にできて、エヴォーラとM600にはできな
いものがあり、それが458を際立たせている。
まず458はノーブルM600よりも乗り心地に優れる。2
種類のアジャスタブルダンパーをノーマルとバンピーな
道路向けのセッティングのどちらに切り替えても、乗り心
地がいいのだ。フェラーリはほかのメーカーとは違って、
2種類のダンパーモードに極端な差を付けることはしな
かった。この手のクルマではダンパーモードの片方がソ
フトすぎで、もう片方は路面を新しく舗装したサーキット
以外ではほとんど乗れないほどハードなセッティングに
TOP FIVES スーパーカーの新機軸
Ferrari 458 Italia ROAD TEST
われわれはこう考える
結論
車両価格最高出力最大トルク
0-100km/h加速最高速度
燃料消費率(欧州/混合)車輌重量(公称値)二酸化炭素排出量
2830万円 2173.5万円 2554.125万円 2430万円 2365万円570ps/9000rpm 510ps/6500rpm 570ps/8000rpm 571ps/6800rpm 530ps/6250-6750rpm55.1kgm/6000rpm 58.1kgm/5750rpm 55.0kgm/6500rpm 66.3kgm/4750rpm 71.4kgm/2100-4250rpm3.3秒 4.2秒(0-100km/h) 3.4秒(0-100km/h) 3.9秒 3.3秒(0-100km/h)325km/h 306km/h 325km/h 314km/h 315km/h7.4km/ℓ 6.1km/ℓ 7.4km/ℓ 8.7km/ℓ 8.8km/ℓ1485kg 1680kg 1340kg 1710kg 1585kg307g/km 388g/km 319g/km 308g/km 268g/km
FERRARI 458 Italiaフェラーリ458イタリア
ASTON MARTIN Vantage V12アストン・マーティン・ヴァンテージV12
LAMBORGHINI Gallardo LP570-4 Superleggeraランボルギーニ・ガヤルドLP570-4スーパーレジェーラ
MERCEDES-BENZ SLS AMG メルセデスベンツSLS AMG
PORSCHE 911 Turbo Sポルシェ911ターボS
フェラーリがすべてにおいてベストの仕事を、これまでより少々ハイテク指向で達成した。
★★★★★★★★★★
クラシックで美しいボディにスリリングなV12を積む。ベストハンドリング・アストン。
★★★★★★★★☆☆
騒 し々く、ドラマティック、そして最も昔風のスーパーカー。
★★★★★★★★☆☆
素晴らしいエンジンとルックス、ハンドリングを備えるが、エモーショナルな魅力はない。
★★★★★★★★☆☆
暴力的な速さと、扱いやすい911のキャラクターを備える。スタンダードのターボの方がベター。
★★★★★★★☆☆☆
ROAD TEST No 4973
Ferrari 458 ItaliaAUTOCAR VERDICT ★★★★★★★★★★「ついに完全なるスーパーカーに進化した」
TESTERS' NOTES テスターのひと言コメント
●この458イタリアから新たにEデフ、トラクション/スタビリティコントロールシステムが共通のECUで制御されるようになって、応答速 度が速まった。 ヴィッキー・パロット
●マネッティーノを“ローグリップ”セッティングに切り替えると、エグゾーストのフラップがより長く閉じられている。周囲の関心をあまり 引きたくない人には便利だ。 マット・プライアー
●このクルマに求められる装備として優先順位の高い事項ではないが、ノーズの下に素晴らしい広さの収容スペースを備えている。 ジェイミー・コースターフィン
JOBS FOR THE FACELIFT マイナーチェンジ時に望むこと
●ナビとスピードメーター。●レースモード時のスロットルレスポンスをもっとスムーズにしてほしい。●標準装備をもっと充実させてほしい。
せても、サーキットを全力で走らせても愉しいのだ。
残念なのは、エントリー向けのベルリネッタの価格が宝くじで
も当たらないと買えないレベルに跳ね上がってしまったことだ
が、その能力を考えればF430との価格差は正当化できる。ジュ
ニアフェラーリは今やあらゆる点において完全なスーパーカー
である。
ロードカーの製作に関していえば、フェラーリは間違いなく今
勢いに乗っている。素晴らしく魅力的な599GTOを考慮に入れて
も、この458イタリアでフェラーリは素晴らしい偉業を達成した。
これは458が扱いやすく速いだけでなく、ハイテクを駆使して
いながら、インタラクティブで走らせて愉しいクルマに仕上がっ
ているからだ。カントリーロードを全力の3割程度のペースで走ら
なることが多いが、458ではどちらのモードでもコンディ
ションを問わず概ね良好な乗り心地を示す。
セッティングを問わず、458は(スーパーカーとしては)
しなやかな乗り心地のクルマで、クイックで軽いステア
リング(ロックトゥロック2.0回転)を備え、敏捷に感じら
れた。しかも直進付近でナーバスということもない。車
重は458の方が重いが、M600やエヴォーラ(そしてほか
のライバル)よりも回頭性に優れているように感じられ
る。クイックで軽いステアリングは、ロータスやエヴォー
ラ、あるいはポルシェ911 GT3ほどの親密感をもたら
してくれないが、ステアリングホイールからは豊富な
フィールが伝わってくる。
458は通常の道路状況で、そう極端に飛ばさなくて
も愉しめるクルマである。ポルシェのGTモデルやレク
サスLF-A、ノーブルM600とは違って、458はそのポテ
ンシャルをフルに使わなくても、そこそこのハイペース
で走らせることができる。つまり、極端にハードなドラ
イビングをしなくても走らせ甲斐があるのだ。嬉しいこ
とに限界に近づいても、458はわれわれがミドエンジン
V8フェラーリに期待する落ち着きを備えてくれている
のだ。
458を超えるライバルはきわめて少ない。ステアリン
グに関しては、おそらくM600とGT3 RS、エヴォーラ
の方がもっと満足できるだろう。またエヴォーラの方が
より愉しめるシャシーである。しかし、たいていの場合、
458がハンドリングカーとしてのチョイスとなるだろう。
BUYING & OWING●購入と維持★★★★★★★★☆☆
値段が安いからという理由ではフェラーリを買う人は
いない。458も標準価格は2830万円だが、オプションを
追加すると3000万円近くなる。
リセールバリューは優秀だろう。しかも4年間、走行距
離無制限の保証が付く。ランニングコストは当然安くは
ないが、天文学的に高いわけでもない。ライバルのラン
ニングコストもひどく悪いわけではないが、おそらく458
を凌ぐことはないだろう。
091www.autocar-mag.com