アニメ・マンガ聖地巡礼を活用した
地域づくりを考えるアンケート
報告書
北九州市立大学法学部政策科学科
森裕亮ゼミナール
2015年3月
1
1.調査概要
・実施時期:2014 年 10 月~11 月。
・調査対象:『舞台探訪アーカイブ』(釧路工業高等専門学校准教授・大石玄氏運営、
http://legwork.g.hatena.ne.jp、以下、アーカイブとする)の情報を参考として抽出した
全国市区町村 473 団体の商工観光担当部署。
本アーカイブを本稿が利用するにあたって、以下の通り修正を施した。第 1 に、都道府
県/市区町村/巡礼対象の作品名のリストがある(なお、海外の舞台についてもリストがあ
る)が、(1)市区町村名がない場合には名称を追記した。(2)リストで作品の舞台が複数
の市区町村に股がる場合は、全ての市区町村を取り上げることとした(空港についてはタ
ーミナルビルの所在市区町村とした)。(3)「北海道周遊」など市区町村を特定できなった
ケースは対象から除外した。第 2 に、PC 関連の作品は、アニメ・マンガの範囲外としたの
で、調査対象から除外することとした。この修正を施したものを質問紙調査で使用した。
なお、アーカイブは適宜更新されるようになっており、今回用いるのは 2014 年 10 月 4 日
アクセス分である。
・回収率: 71.9%(340 団体、有効回答 339)。10 月末に返送確認を一度行った。
【アニメ・マンガ聖地巡礼】
「アニメやマンガ等の作品が地域を舞台として取り上げ、そこから派生するイメージを
地域と共有することによって生み出される観光」(岩間英哲ほか(2013)「コンテンツによる地域振興の
研究-アニメツーリズムの成立条件と構造」『専修ネットワーク&インフォメーション』21:17-26)のことをいう。
「コンテンツツーリズム」の一種である。アニメ・マンガ分野のツーリズムは、特に「聖
地巡礼」と呼ばれる。ある場所がアニメ・マンガの舞台となり、そこにファン達が訪れる
現象が近年全国的に見受けられ、研究も進められている。2007 年の TV アニメ『らき☆す
た』で舞台となった場所へファンが赴いたことが大きな画期となり、その後 TV アニメ『け
いおん!』の放映を経て聖地巡礼が一定の市民権を得たとされている(筒井隆志(2013)「コン
テンツツーリズムの新たな方向性-地域活性化の手法として」『経済のプリズム』110:10-24)。
2
2.調査結果
2.1.アニメ・マンガ聖地巡礼を活用した地域づくりの取り組みの有無(問1)
図1 取り組みの有無(%)
「取り組みはない」と回答した自治体・団体が 72.2%と大半を占める結果となった。「取
り組みがある」、「現在はないが取り組む動きがある」、「現在はないが取り組んだことがあ
る」と回答した団体が、23.1%と 2 割を超える結果となった。
以下では、「取り組みがある」と回答した団体に取り組みの具体的な事情について質問を
することにした。
4.7
72.2
3.6
5.3
14.2
0 20 40 60 80 100
わからない
取り組みはない
現在はないが取り組んだことがある
現在はないが取り組む動きはある
取り組みがある
3
2.2.取り組みの発案者(問2)
図2 発案者(%)
取り組みの発案者は誰かという問で多くを占めたのが地元事業者である(39.1%)。やは
り、事業者は環境の変化に対して敏感に反応するのだろうか。次に行政職員である(29.8%)。
行政職員という立場は、先行の取り組みにおける知名度の向上、観光誘客の成功等の情報
を得やすいのではないかと推測できる。次に住民である(25.5%)。住民が 20%以上を占め
るというのは意外な結果であった。以前に比べ、協働のまちづくりが積極的に行われてい
るということの表れととらえることもできる。また少数であるが、議会議員(2.1%)・首長
(4.3%)もきっかけとなっているケースがある。
その他の回答としては、ファンからの要望、観光協議会、財団職員と地元の大学の漫画
キャラクターコースの講師の推奨、NPO 法人、地域おこし協力隊、観光施設などがあげられ
た。
27.7
25.5
21.3
39.1
19.1
4.3
29.8
4.3
2.1
0 20 40 60 80 100
その他
住民
観光協会
地元事業者
商工団体
都道府県
行政職員
首長
議会議員
4
2.3.取り組みのきっかけ(問2)
取り組みのきっかけを具体的に訊ねた。全体的に以下のようにまとめることができる。
① 事業者等からの働きかけ・提案
・アニメーション制作事業者より、協力の依頼があった。・アニメファンの住民より市に提
案があった。・商工会が企画したツアーを実施したところ町外からファンが多数参加し、フ
ァンから観光協会への問い合わせが多く、それに対応したのがきっかけ。・地元事業者で企
画を開催したが、もっと広がりがほしいということで市がバックアップした。・市を舞台と
したマンガのアニメ化により、出版社から働きかけがあった。・地元鉄道事業者からアニメ
の舞台として制作会社への紹介があり、採用されたことがきっかけ。
②観光資源化、聖地化
・アニメに本町の施設が登場したこと。・監督が映画の構想を練った地と言われたことがき
っかけ。・当市を舞台とした作品が電子書籍として出版されたのがきっかけ。・商店街協議
会が主体となり商店街の集客増やイメージアップを図る目的で、キャラクター像の制作をは
じめとする取り組み。・映画の舞台モデルとなり、興味を持った観光客が多数訪れたため。
③作者ゆかりの地
・マンガの作者のイラストをパッケージにした商品を販売したのがきっかけ。・ゆかりのマ
ンガ家・アニメクリエーターが多いものの、地域を舞台にした作品は多くなかった。そこで
市を舞台にしたアニメを市で創り聖地巡礼を活用した地域づくりに取り組んでいる。
2.4.取り組みの実態(問3)
2.4.1.取り組みの開始時期(問3-1)
2007 年放映の『らき☆すた』が近年の聖地巡礼のきっかけとなったとされているので、
結果を見ると 2007 年以降に取り組みを始めたケースが多い。特に 2012 年以降の開始が全
体的に多くなっている(2012 年 26.7%、2013・14 年それぞれ 15.6%)。取り組み自体は、
まだそれほど時間が経過していないというべきである。
5
2.4.2.取り組みの内容(問3-2)
図3 取り組みの内容(%)
多くを占めたのが情報発信(パンフ、ホームページ、マップ等)である(89.6%)。多く
の自治体は、大河ドラマや映画など舞台やロケ地になればこうした方法で PR をすることが
多い。アニメ聖地巡礼も同様といえる。次に関連商品開発・販売である(79.2%)。ご当地
限定で関連商品を売り出すことでファンを魅了することができる。イベントや、祭りを行
う団体も多い(75.0%)。
一方、施設の新設整備は少なかった(10.6%)。既存施設の活用(37.5)については、ア
ニメ等の舞台となった場所が廃校になった校舎であったり、歴史的な遺産であったりする
場合等がここにあてはまる。
こうした取り組みの主体として以下のような回答が得られた。行政(市区町村)、商工会
議所、観光協会、事業者、民間会社、制作会社、商店街、住民、ファン、プロジェクト実
行委員会である。やはり多くを占めるのは、地方公共団体(行政)、商工会議所(商工会)、
観光協会といえるが、ファン自身が主体となっているケースもあることが分かった。
6.7
10.6
16.7
37.5
39.6
41.7
52.2
58.3
75.0
79.2
89.6
0 20 40 60 80 100
その他
施設の設備(新設)
イメージキャラクター採用
施設の設備(既存施設活用)
キャラクター彫像等
ラッピング車両等
取り組みの取りまとめ
体験メニュー・ツアー
イベント・祭り
商品開発・販売
情報発信
6
2.5.来訪者の特徴(問4)
図4 来訪者の特徴(%)
来訪者の特徴として、男性が圧倒的に多いという結果になった。また、年代については、
若者が多いようである。若い男性が聖地巡礼のメインとなっているようである。一方、女
性向けアニメもあるために、女性も聖地巡礼には参加しているようである。
次に、来訪客が既存の観光地に行っているかどうかについては、半数近くの来訪者は既
存の観光地へ赴いているようである(45.7%)。聖地巡礼の来訪客は、別段アニメ・マンガ
の舞台だけを訪れているのではなく、その土地の他の観光施設等にも足を運んでいる傾向
がありそうである。その意味では、聖地巡礼は各地域の観光資源を活性化する契機になり
えるのではないか。いわば地域全体の観光誘客に活かす起爆剤としての役割も見いだせる。
11.8
14.7
41.2
32.4
0 20 40 60 80 100
女性がほとんど
女性がやや多い
男性がやや多い
男性がほとんど
0.0
20.0
45.7
34.3
0 20 40 60 80 100
既存の観光地にほとんど行かない
既存の観光地にはあまり行かない
既存の観光地にも少しは行っている
既存の観光地に多く行っている
7
2.6.取り組みの効果(問5)
図5 取り組みの効果(%)
取り組みの効果については、「かなりあてはまる」から「あてはまらない」まで 5 段階で
評価してもらった。結果は、かなりあてはまる、ややあてはまるを合計した数値である。
「来訪者の数が増加した」(56.5%)、「地域の知名度が向上した」(55.3%)、「メディア露
出度が高まった」(51.1%)が効果として大きい。アニメ・マンガを題材にしたまちづくり
は、近年徐々にメジャーになりつつあるが、まだまだ新しい分野のため、注目される分野
であるのだろう。他方、「転入者の数が増加した」(0.0%)、「消費による経済効果が増加し
た」(23.4%)、「地域に愛着を持つ人が増加した」(27.7%)、「地域の元気度が高まった」
(27.7%)といったポイントは、少し効果が弱いようである。「アニメ・マンガを製作する
企業が創出された」(4.2%)もわずかである。
「住民・地元事業者と来訪者との交流が進んだ」については、山村(山村高淑(2011)『アニ
メ・マンガで地域振興』東京法令出版)等では、地元商店街と来訪者との交流の重要性が指摘さ
れてきたが、効果が上がっているのは 4 割弱(38.3%)という評価であった。ここには時
間がそれほど経過していない取り組みが多いことが影響しているのかもしれない。
0.0
4.2
21.3
23.4
27.7
27.7
29.8
36.9
38.3
40.4
51.1
55.3
56.5
0 20 40 60 80 100
転入者数増加
アニメ・マンガ制作企業創出
舞台の景観保存・創出への住民関心向上
消費経済効果増加
地域の元気度向上
地域に愛着を持つ人増加
取り組みへの住民理解浸透
関連商品増加
住民・事業者と来訪者の交流促進
取り組みへの事業者理解浸透
地域の知名度向上
メディア露出度増加
来訪者数増加
8
2.7.来訪者をめぐるトラブル(問6)
図6 来訪者をめぐるトラブル(%)
来訪客がおとずれることによって起こったトラブルはなかったのか。「特になし」との回
答が約 7 割(68.1%)を占め、岡本(岡本健(2013)『n 次創作観光-アニメ聖地巡礼/コンテンツツーリズ
ム/観光社会学の可能性』北海道冒険芸術出版)が言う通り、聖地巡礼の来訪者はとても礼儀が正しい
ことが分かる。トラブルとして「住民の不安」が約 2 割(17.0%)あがっている。観光地
でもないのに、いつの間にか見たことがない人々が集まりはじめるというのは、確かに不
安になってしまうかもしれない。
騒音、交通マナー違反、器物持ち去り、盗難、施設の破損等が少数ながらもあげられて
おり、より住民の不安を煽ることにも繋がりかねず、心ない来訪客によって、聖地巡礼自
体が成立たなくなってしまうことが危惧される。
そういったトラブルをどう解決するかが、取り組みを行う団体に求められるところであ
ろう。
68.1
4.3
17.0
0.0
4.3
4.3
2.1
2.1
2.1
0 20 40 60 80 100
特になし
その他
住民の不安
乱暴な行為
器物等の持ち去り・盗難
施設等の破損・汚損
ごみの放置
交通マナー違反
騒音
9
2.8.モデルとした先行事例の有無(問7)
図7 モデル先行事例の有無(%)
取り組みを行う際にモデルとした先行事例はあったか否かを訊ねたが、多くの団体がな
い、もしくはわからないと答えたが、2 割程度(25.5%)の自治体は、あると答えた。最も
多かったのは、『らき☆すた』の舞台となった埼玉県久喜市(旧鷲宮町)であった。やはり、
旧鷲宮町は、聖地巡礼の草分け的存在ということができるだろう。
2.9.取り組みに関する行政計画の有無(問8)
図8 行政計画の有無(%)
約 8 割(83.0%)の団体が行政計画に位置付けていないと回答したが、12.8%は位置づ
けていると回答した。最も多かったのは総合計画であり、また観光振興計画やアニメ・マ
ンガを活用したまちづくり構想、文化創造都市ビジョンなどもあった。
19.1
55.3
25.5
0 20 40 60 80 100
わからない
ない
ある
4.3
83.0
12.8
0 20 40 60 80 100
その他
位置付けていない
行政計画に位置付けている
10
2.10.商工観光担当部署が接触する機関・団体(問9)
図9 接触頻度(%)
商工観光担当部署は、この取り組みを通じてどのような機関や団体と接触しているのだ
ろうか。以下では、「月 1 回以上」の接触頻度を見てみよう。
「観光協会」(38.1%)、「地元事業者」(34.1%)、「商工団体」(26.8%)の 3 つの頻度が
高い。逆に、「財政担当部署」(4.9%)、「市民活動担当部署」(2.4%)、「都市計画・景観担
当部署」(0.0%)と行政の内部部署との接点はあまりなさそうである。言わば、民間部門
とのつながりが特色なのである。他方、「著作権者」(21.4%)は、観光協会や商工団体と
違って、通常は地域外のアクターであり、アニメ・マンガ聖地巡礼の分野で重要な存在と
思われる。同時に、ファンないしファンの団体も重要と思われるのだが、9.8%と接触の度
合いは少なかった。
0.0
2.4
2.4
2.4
2.4
4.9
4.9
4.9
7.3
9.8
11.1
12.2
16.3
19.5
21.4
26.8
34.1
38.1
0 20 40 60 80 100
都市計画・景観担当部署
審議会・懇談会
市民活動担当部署
他の地方公共団体
中央省庁
自治会,NPO等住民団体
大学等教育機関
財政担当部署
議会議員
ファンないしファンのグループ
その他
都道府県
新聞社等取材機関
首長
著作権者
商工団体
地元事業者
観光協会
11
2.11.著作権者とファン団体の取り組みに対する影響力(問10、11)
図10 著作権者とファン団体の影響力(%)
では、アニメ・マンガ聖地巡礼の取り組みの上で、とても重要と考えられる著作権者と
ファン団体は、取り組みを進める上でどれくらいの影響力をもっているのだろうか。
著作権者の場合は、「影響力がある」が圧倒的に多く(72.3%)、作品を使って取り組みを
行う際には、その作品の著作権者が影響してくるのは当然のことであるため、この結果は
妥当な結果といえよう。
対して、ファンないしファン団体に関しては、著作権者と違って、影響力は弱い。まっ
たく影響力を持っていないとはいえないのだが、山村(前掲書)では、旧鷲宮町の商工会
では、取り組みの中でいつもファンの声に耳を傾けていることが明らかにされているため、
そのことからすると意外な結果でもあった。
14.6
0.0
2.1
33.3
16.7
33.3
8.5
0.0
2.1
8.5
8.5
72.3
0 20 40 60 80 100
わからない
影響力がない
あまりない
ある程度
多少はある
影響力がある
著作権者
ファン団体
12
2.12.現在取り組みがない場合の今後の取り組む動き(問12)
現在取り組みはないが、取り組む動きがある場合、具体的にはどのような動きが見られ
るのだろうか。大きな傾向としては、何らかのイベントを開催していることがあげられる。
例えば、コスプレイベント、舞台にパネル等を設置、デモツアーの開催、作品の展示会が
あげられる。
2.13.取り組みが終わった理由(問13)
現在はないが取り組んだことがある場合、その事情はどのようなものだったのだろうか。
大きく分けて 2 つの傾向がある。1 つは、作品の放映等の終了とともに取り組みも終了し
たという事情である。もう 1 つは、イベント期間とか、電車等のラッピング運行期間、記
念切符の販売期間が終了したという事情である。前者は、アニメ・マンガの放映・連載の
終了で来訪者が少なくなったという状況が考えられる。後者は、もともと取り組み自体の
大規模化や継続化を想定していなかったことが影響していると考えられる。
2.14.取り組みがない理由(問14)
取り組みがない団体では、どのような事情があるのか。各回答を整理すると、概ね以下
の通りにまとめることができた。
第 1 に、「特になし」である。第 2 に、聖地巡礼という旅行行動をそもそも認知していな
いか、舞台となっていることを認知していないという理由である。これらの理由が全体的
にかなり目立っているのだが、アニメ・マンガ聖地巡礼の動向が活性化の導火線と認知さ
れていないことが分かった。第 3 に、舞台となっていることは認知しているが、メインの
舞台とはなっていないので取り組みが難しいという回答である。自分たちの地域が舞台と
して毎回オープニングに出たり、主人公が通う学校のモデルとされたりといった、アニメ
やマンガに頻出するものでなければ活用が難しいというのは頷ける。第 4 に、そもそも作
品の知名度が低く、活用の成果が見込めないという理由である。これは第 3 とよく似てい
る。第 5 に、すでに別の方法で取り組みを進めているという理由である。既存施設がすで
に名所になっているとか、フィルムコミッションを実施しているので、特段アニメ・マン
ガの切り口は考えていないという事情がある。第 6 に、巡礼先として不適切な場所(例え
ば、人が入れない場所)が舞台になっているという回答である。第 7 に、1 市町村の回答で
あるが、制作会社から舞台として認めないでほしいという依頼があったことである。
13
2.15.アニメ・マンガ聖地巡礼を活用した地域づくりに力を入れたいか(問15、全団体)
図11 アニメ・マンガ聖地巡礼を活用した地域づくりに力を入れたいか(%)
取り組みの有無に拘らず、全団体に対して、今後、アニメ・マンガ聖地巡礼を活用した
地域づくりの取り組みに力を入れたいか否かを訊ねた。
「わからない」が半数(53.2%)を占める結果となったが、実際のところ注力してよい
のかどうか、まだその効用が確実ではないという判断があるのかもしれない。それでも「力
を入れたくない」という回答は少なく、「ある程度力を入れたい」以上の回答は全体の 4 割
にのぼっている。
53.2
4.8
5.1
24.6
7.5
4.8
0 20 40 60 80 100
わからない
力を入れたくない
あまり力を入れたくない
ある程度
やや力を入れたい
かなり力を入れたい
14
2.16. 力を入れたい分野(問16、全団体)
図12 力を入れたい分野(%)
では、どのような分野に力を入れていきたいかを訊ねた。当然と言えば当然だが、「観光
産業の振興」が大多数であった(78.2%)。観光産業は、それ自体が多くの利益をもたらす
だけでなく、副産物として新たな雇用や他の産業にもプラスの影響をもたらすことから、
自治体が力を入れようとするのではないだろうか。他には「取り組みを行う地域諸団体の
支援」(35.5%)も特徴的である。行政主導というより、アニメ・マンガ聖地巡礼を活用し
た地域づくりは、民間部門がリードして取り組みを行う傾向があるのだが、民間部門の活
動と行政の支援の協働が不可欠なのだろう。
4.0
7.3
8.9
9.7
22.6
30.6
35.5
78.2
0 20 40 60 80 100
その他
公共施設の整備
アニメ制作会社等の誘致促進
公共交通の整備・充実
地域景観の保存・創出
中心市街地活性化
取り組みを行う地域諸団体の支援
観光産業の振興
15
2.17. 聖地巡礼以外のアニメ・マンガをテーマとした取り組み状況(問17)
図13 聖地巡礼以外のアニメ・マンガをテーマとした取り組み状況(%)
問 15 で、「力を入れたい」から「ある程度」と回答した団体に対して、すでに聖地巡礼
の活用以外にアニメ・マンガをテーマとした取り組みを行っているかを訊ねた。結果、
66.0%がなしと回答したものの、記念館やコンテスト、フェスタなどを開催している地域
も少なからずあるようである。
66.0
5.8
13.5
19.2
19.2
0 20 40 60 80 100
特になし
アニメ・マンガ産業育成
アニメ・マンガ記念館・資料館・美術館等設置
その他
アニメ・マンガのフェスタ・コンテスト等開催
16
資料編(質問票)
17
アニメ・マンガ聖地巡礼を活用した地域づくりを考えるアンケート
調査主体:北九州市立大学法学部森裕亮ゼミナール
email:[email protected]/Tel:093-964-4227
≪記入上のお願い≫
イ.このアンケートで言う「アニメ・マンガ聖地巡礼を活用した地域づくりの取り組み」は、
アニメ・マンガ(及びゲーム等を含)作品の舞台となった場所や登場人物ゆかりの地等に
ファンが訪問すること(聖地巡礼)を活用した地域活性化の取り組みを言います。ここで
は、市区町村(地方公共団体)の取り組みの他、市区町村内の民間営利ないし非営利部門
における取り組みを含めたものとします。
ロ.各質問で「貴団体」とある場合は、貴市区町村地方公共団体を念頭にご回答ください。
ハ.ご回答は、各問の選択肢番号に○をつけてください。自由解答欄には具体的に回答をご記
入ください。 ニ.「その他」のご回答には、( )の中にその内容を具体的にご記入ください。 ホ.以下の設問は、数も多く、中には回答できないとお考えになるものもあるかと思います。 万一未回答の設問が残りましても、ぜひご返送くださるようにお願いいたします。 ご回答いただきましたアンケート用紙は、 返信用封筒にて10月20日(月)までにご返送くださるようお願い申し上げます。
最初に、貴都道府県・市区町村の名称を、下の〔 〕欄にご記入ください。
〔 都・道・府・県 / 市・区・町・村 〕
アニメ・マンガ聖地巡礼を活用した地域づくりに関するご意見等がありましたら、ご自由にお書きください。
18
アニメ・マンガ聖地巡礼を活用した地域づくりの取り組みの有無についてお聞きします
【問1】貴市区町村では、アニメ・マンガ聖地巡礼を活用した地域づくりの取り組みがありますか。あてはま
るもの1つに○をおつけください。
1.取り組みがある
2.現在はないが取り組む動きはある 【問12】へ
3.現在はないが取り組んだことがある 【問13】へ
4.取り組みはない 【問14】へ
5.わからない 【問15】へ
(【問1】で、選択肢1.の団体は、【問2】からご回答ください。取り組みの対象となるアニメ・マンガ作品が
複数ある場合は、最初に取り組まれたものについてご回答ください)
アニメ・マンガ聖地巡礼を活用した地域づくりの取り組みの実態についてお聞きします
【問2】貴市区町村のアニメ・マンガ聖地巡礼を活用した地域づくりの取り組みの発案者はどなたでしょう
か。あてはまるものすべてに○をおつけください。
1.貴団体の議会議員
2.貴団体の長
3.貴団体の行政職員
4.都道府県
5.商工団体
6.地元事業者(企業、商店街等)
7.観光協会
8.住民
9.その他( )
取り組みのきっかけについて、具体的にお教えください。(お分かりの範囲内で結構です)
【問3】貴市区町村のアニメ・マンガ聖地巡礼を活用した地域づくりの取り組みの開始時期、また内容につ
いてお聞きします。
【問3-1】取り組みの開始時期はいつですか。 ( 年頃)(できれば西暦で)
19
【問3-2】これまで取り組みの内容としてどのようなことをしてきましたか。各項目の「取り組みの有無」で
あてはまるもの1つに◯をおつけいただき、「1.あり」の場合は、「取り組みの主体」を具体的にご記入く
ださい。取り組みの主体が途中で変化している場合には、時系列順にすべてご記入ください。
取り組みの内容 取り組みの有無 取り組みの主体
(例:行政、商工団体、事業者、住民、ファン等)
①施設の整備
(施設の新設) 1.あり 2.なし
②施設の整備
(既存施設の活用) 1.あり 2.なし
③イベント・祭りの開催 1.あり 2.なし
④体験メニュー・ツアーの実施
(スタンプラリー等) 1.あり 2.なし
⑤商品の開発・販売 1.あり 2.なし
⑥情報発信の手段(パンフ、ホ
ームページ、マップ等) 1.あり 2.なし
⑦公共交通機関の装飾(ラッピ
ング車両等) 1.あり 2.なし
⑧キャラクター等の彫像・モニ
ュメント設置 1.あり 2.なし
⑨市区町村/地域のイメージ
キャラクター採用 1.あり 2.なし
⑩取り組み全体のとりまとめ・
調整 1.あり 2.なし
⑪その他
( ) 1.あり 2.なし
【問4】アニメ・マンガ聖地巡礼を行う来訪者がおられると思いますが、その来訪者の実態についてお聞き
します。次の各項目で、あてはまるもの1つに○をおつけください。
男女の区分 1.男性がほとんど 2.男性がやや多い 3.女性がやや多い 4.女性がほとんど
年齢の区分 1.若者がほとんど 2.若者がやや多い 3.中高年がやや多
い
4.中高年がほとん
ど
既存の観光資源との
連携
1.来訪者は既存の
観光地にも多く行
っている
2.来訪者は既存の
観光地にも少しは
行っている
3.来訪者は既存の
観光地にあまり行
かない
4.来訪者は既存の
観光地には全く行
かない
来訪者数 (約 人/年間) (調査時期 年(できれば西暦で))
20
【問5】貴市区町村のアニメ・マンガ聖地巡礼を活用した地域づくりの取り組みの効果についてお聞きしま
す。次の各項目で、1~5のうち最もあてはまるもの1つに○をおつけください。
かなり あてはまる
やや あてはまる ある程度 あまりあて
はまらない あてはまら
ない 1.来訪者の数が増加した 1 2 3 4 5
2.転入者の数が増加した 1 2 3 4 5
3.関連商品の種類が増加した 1 2 3 4 5
4.来訪者の消費による経済効果が増加した 1 2 3 4 5
5.メディアへの露出度が高まった 1 2 3 4 5
6.アニメ・マンガを制作する企業が創出された 1 2 3 4 5
7.地域の知名度が向上した 1 2 3 4 5
8.地域に愛着を持つ人が増加した 1 2 3 4 5
9.地域の元気度が高まった 1 2 3 4 5
10.取り組みへの住民の理解が広まった 1 2 3 4 5
11.取り組みへの地元事業者の理解が広まった 1 2 3 4 5
12.住民・地元事業者と来訪者の交流が進んだ 1 2 3 4 5
13.アニメ・マンガの舞台やゆかりの地の景観保
存・創出に対する住民の関心が高まった 1 2 3 4 5
【問6】これまでに、アニメ・マンガ聖地巡礼を行う来訪者をめぐるトラブルや問題はありましたか。あてはま
るものすべてに◯をおつけください。
1.騒音が生じた
2.交通マナー違反が生じた
3.ごみの放置が生じた
4.施設等の破損・汚損が生じた
5.器物等の持ち去り・盗難が生じた
6.乱暴な行為が生じた
7.具体的なトラブルはなかったが住民の間に不
安の声が聞かれた
8.その他( )
9.特になし
【問7】貴市区町村のアニメ・マンガ聖地巡礼を活用した地域づくりの取り組みが進められる上で、モデル
(参考)とされた先行事例がありますか。あてはまるもの1つに○をおつけください。
1.あり(都道府県・市区町村名 ) 2.なし 3.わからない
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取り組みに対する貴団体及び貴部署の状況についてお聞きします
【問8】貴団体ではアニメ・マンガ聖地巡礼を活用した地域づくりの取り組みに関して、総合計画・観光振
興計画・都市計画・景観計画等、行政計画上の施策・事業として位置付けていますか。あてはまるもの1
つに○をおつけください。
1.位置付けている
(該当する計画名をすべてご記入ください)
・
・
・
・
・
2.位置付けていない
3.その他 ( )
【問9】貴市区町村のアニメ・マンガ聖地巡礼を活用した地域づくりの取り組みが進められる中で、貴部署
はどのような機関・団体と接触(面会、電話、手紙、E メール等)しますか。次の各機関・団体で、あてはま
るもの 1 つに◯をおつけください。
月に 1 回以上=1 半年に 1 回以上=2 半年に 1 回未満=3 接触はない=4
1.中央省庁 1 2 3 4
10.著作権者 1 2 3 4
2.都道府県 1 2 3 4
11.新聞社等取材機関 1 2 3 4
3.他の地方公共団体 1 2 3 4
12.商工団体 1 2 3 4
4.貴団体の議会議員 1 2 3 4
13.地元事業者 1 2 3 4
5.貴団体の長 1 2 3 4
14.観光協会 1 2 3 4
6.貴団体の財政担当部署 1 2 3 4
15.大学等教育機関 1 2 3 4
7.貴団体の市民活動担当部
署 1 2 3 4
16.ファンないしファンのグ
ループ 1 2 3 4
8.貴団体の都市計画・景観
担当部署 1 2 3 4
17.自治会・町内会、NPO等
住民団体 1 2 3 4
9.審議会・懇談会 1 2 3 4
18.その他
( ) 1 2 3 4
【問10】貴部署からみて、貴市区町村のアニメ・マンガ聖地巡礼を活用した地域づくりの取り組みを進め
る上で、著作権者はどの程度の影響力を持っていると思いますか。あてはまるもの1つに○をおつけくださ
い。
1.影響力がある 2.多少はある 3.ある程度 4.あまりない 5.影響力がない 6.わからない
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【問11】貴部署からみて、貴市区町村のアニメ・マンガ聖地巡礼を活用した地域づくりの取り組みを進め
る上で、ファンないしファンのグループはどの程度の影響力を持っていると思いますか。あてはまるもの1つ
に○をおつけください。
1.影響力がある 2.多少はある 3.ある程度 4.あまりない 5.影響力がない 6.わからない
【問15】へ
(【問1】で、選択肢 2.から 4.をご回答の団体は【問12】からご回答ください)
アニメ・マンガ聖地巡礼を活用した地域づくりが現在おありでないご事情についてお聞きします
【問12】【問1】で「2.現在はないが取り組む動きはある」とご回答の団体にお聞きします。どのような動き
があるのでしょうか。以下に具体的にご記入ください。
【問15】へ
【問13】【問1】で「3.現在はないが取り組んだことがある」とご回答の団体にお聞きします。その取り組み
内容、また現在はない理由はどのようなことだったのでしょうか。以下に具体的にご記入ください。
取り組み内容
理由
【問15】へ
【問14】【問1】で「4.取り組みはない」とご回答の団体にお聞きします。その理由が特にございましたら、
以下に具体的にご記入ください。
【問15】へ
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(全団体がご回答ください)
今後の方向性、さまざまな取り組みについてお聞きします
【問15】貴団体はアニメ・マンガ聖地巡礼を活用した地域づくりに関して、力を入れていきたいですか。あ
てはまるもの1つに○をおつけください。
1.かなり力を入れたい
2.やや力を入れたい
3.ある程度
4.あまり力を入れたくない
5.力を入れたくない
6.わからない
【問16】【問15】で、選択肢 1.から 3.をご回答の団体にお聞きします。具体的に、貴団体として今後ど
の分野に力を入れていきたいですか。あてはまるものすべてに○をおつけください。
1.公共施設の整備
2.観光産業の振興
3.地域景観の保存・創出
4.公共交通の整備・充実
5.アニメ制作会社等の誘致促進
6.中心市街地活性化
7.取り組みを行う地域諸団体の支援
8.その他( )
【問17】貴団体では、以下のようなアニメ・マンガをテーマとした取り組みはありますか。あてはまるものす
べてに○をおつけください。
1.アニメ・マンガ記念館・資料館・美術
館等設置の取り組み
2.アニメ・マンガのフェスタ・コンテス
ト等開催の取り組み
3.アニメ・マンガ産業育成の取り組み
4.その他( )
5.特になし
貴部署についてお聞きします
【問18】貴部署名をご記入ください。
〔 〕部・〔 〕課・〔 〕係
【問19】ご回答者様のご職位をお聞きします。あてはまるもの 1 つに○をおつけください。
1.係長相当職
2.係長と課長の中間
3.課長相当職
4.課長と部長の中間
5.部長相当職以上
6.上記以外
7.その他( )
【問20】ご回答者様が貴部署に就任されたのはいつですか。ご記入ください。
〔 〕年(できれば西暦で)
アンケートはこれで終わりです。ご協力ありがとうございました。
【問18】へ
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【演習生紹介(出身地)】
秋野寛子 福岡県福岡市。
岩元仁志 鹿児島県鹿児島市。
中村桃子 宮崎県美郷町。
畠山剛史 熊本県熊本市。
松下友梨香 福岡県行橋市。
三根優希 長崎県諫早市。
宮近茉那 福岡県直方市。
山口椋也 福岡県田川市。
山﨑瑞希 福岡県北九州市。
横田茜 福岡県福岡市。
森裕亮 北九州市立大学法学部政策科学科 准教授(指導教員) 三重県四日市市。
アニメ・マンガ聖地巡礼を活用した地域づくりを考えるアンケート報告書
2015 年 3 月 23 日発行
著 者 北九州市立大学法学部政策科学科 森裕亮ゼミナール
(秋野寛子、岩元仁志、中村桃子、畠山剛史、松下友梨香、
三根優希、宮近茉那、山口椋也、山﨑瑞希、横田茜)
発行所 北九州市立大学
©北九州市立大学法学部政策科学科森裕亮ゼミナール