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ゲーミング勉強会のご紹介
“Game×Learning”に関心のある研究者の勉強会
(2010年8月から活動開始)
○ゲームと学習に関する文献の講読
○メンバーの研究のサポート
○ゲーム形式が戦略に与える影響の実験(5月にシミュレーション&ゲーム学会で発表)
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とは
勉強会の成果発表+”ゲーム×学習”の普及の場
ー学習ゲームの体験と、学習理論の紹介
ーゲーム企画・制作のワークショップ(2,3カ月に1度開催予定)
第1回 “Game × Learning × eco”
プレゼン:15分で分かるゲームと学習
体験:環境問題を体験して学習するカードゲームの体験
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ビジネスゲームとは?
• 会社経営の模擬演習を行う教育ツール
日常業務から困難な状況までを想定
⇒経営体験による学習(小嶌,2009)
⇒コンセプチュアルスキル
コミュニケーションスキル
テクニカルスキル
の訓練などに使用される
ビジネスゲームの歴史
• 1932年にMary Birshteinがロシアで
War Gameのコンセプトをビジネスに適応
⇒マネージャー向けの生産や分業に関するゲーム
• アメリカでは1955年にRAND社が空軍の物資供給の訓練目的で開発
⇒56年~有名ゲームが誕生(ex.BUSINESS MANAGEMENT GAME)
⇒大学に導入されるようになる
⇒2004年には30%のMBA教員が採用
ビジネスゲームの分類
• ビジネスゲームの分類(Wolfe.1993)
1.トップマネジメントゲーム→会社のトップとして、組織の全てを操作する
2.機能的ゲーム→ある領域(マーケティング)などに特化した
ゲーム
3.概念ゲーム→より狭い領域(セールスマネジメント)等に
集中したゲーム
ビジネスゲームの発展
年代 発展
1955~1963手計算ゲームの誕生と普及
1962~1968メインフレームを利用したゲームの誕生市販ゲームの誕生
1966~1985メインフレームゲームの普及ビジネスゲームの複雑化
1984~2000PC-baseのゲームの誕生意思決定ゲーム(Decision making game)の普及
1998~インターネットを利用したビジネスゲームの普及(ex.CAPSIM,MARKET PLACE)
ビジネスゲームはなぜ行われるか
• 304のビジネスゲーム研究をレビュー
⇒5つの目的が浮かび上がった
1.ビジネスゲームを通しての経験
2.戦略形成
3.意志決定スキル
4.ゲームからの学習結果や目標
5.チームワークの形成
ゲーム目的の変遷(順位)
1970s 1980s 1990s 2000s
学習成果や目標 1 2 5 3
意志決定 2 4 2 4
チームワーク 3 5 4 5
経験の獲得 4 3 3 1
戦略形成 5 1 1 2
まとめ
• ビジネスゲームは1950年頃から流行始め、
テクノロジの進歩と共に発展してきた
• かつては学習成果自体が目標にされていたが、近年はゲームを通して「経験」を得ることが主流
• テクノロジがより発達すれば、現実の環境により近いゲームが作られるだろう
ビジネスゲームの変遷と学習観(1)
• 70年代~80年代の学習観
○教える(教師)-学ぶ(生徒)」という二者関係
○学習とは、「知識の注入-習得」のプロセス
⇒目標や学習成果が明確な、
「答えがある」ゲーム中原師匠のblogよりNakahara-lab.net
ビジネスゲームの変遷と学習観(2)
• 近年の学習観(社会構成主義)
○現実は「社会的に構成される」
○学習は人々や環境との相互作用によって成り立つもの
⇒経験により自分の中に知識を再構成する
⇒「良い」経験を与えるためのゲーム
教育ってなに?
• 教育とはなんでしょうか?
“他者に対して,意図的な働きかけを行い,「望ましい」方向へ変化させること”
⇒「教育目的」のゲームには、教授者・設計者の世界が大きく反映されている
⇒「経験」によって相手にどのような「永続的」な変化を起こすのか?
最後に…
• 半年経っても、ゲームの参加者は、
“葛藤”を感じた部分を覚えています
• どちらの学習観に立つにせよ、
参加者にもたらす変化や経験について
自覚的になり、精緻にデザインをしてい
く必要性
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総括!
• みなさま、私の想定よりも遥かに激しい交渉をしていただきました!
• 思うところは色々あると思いますが、
良い経験になったのではないでしょうか?
⇒高橋さんからのコメントを元にして、
福山なりに今日のまとめをします
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ゲーム利用のメリット
1モチベーションの喚起・維持
2全体像の把握や活動プロセスの理解
3安全な環境での体験学習
4重要な学習項目を強調した学習体験
5行為・失敗を通した学習(藤本, 2007)
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6 他者の戦略からの学び (福山 2011)
原因帰属
• セルフ・サービング・バイアス
人は成功は内的要因に、失敗は外的要因に
帰属させやすい
・原因帰属理論(Weiner,1981)
成功は“能力”に、失敗は“努力”に
原因帰属させると、動機付けが高まる
マインドセット
・こちこちマインドセット(fixed mindset)
自分の能力は決して変わらないと思う
・しなやかマインドセット(growth mindset)
人間の基本的資質は努力で伸ばせると思う
固いマインドセットは人を学びや努力から
遠ざけてしまう(Dweck,2006)
ゲームと葛藤
• 今日の最初のプレゼン(覚えてますか?)の時、半年後に裏切られた話を覚えていた男性の話をしました
⇒今ならなんとなく理解できるのではないでしょうか??
(「あのとき裏切られた!」というコエも振り返りで聞こえてきました)
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ビジネスゲームの可能性
• ゲームでは難しいことが沢山発生し、上手くいかないことも沢山おきる.普段の生活の文脈から切り離されての違和感も生じる
⇒そこには葛藤・緊張・矛盾が生じる.
⇒“個人”・“組織”を問わず、前提を問い直す学習(変容学習・ダブルループ学習)の可能性
変容学習
• アタリマエだと思っていた認識を、新しい認識に変化させること
①ジレンマ
②負の感情を伴った自己分析
③想定の批判的評価
④新しい行動・役割の試行・策定(Mezirow 1978..etc)
ダブルループ学習
フィードバック
見直し
・シングルループ学習これまで学習してきたやり方を続けるような閉じた学習
・ダブルループ学習学習しながら学習の仕方そのものを問う既に学んだことを“Unlearn”し、新しい枠組を構築する
⇒ゲームはこれまでに作り上げた“固定観念”をアンラーンし、新しい枠組を導入するのに向いている!