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Page 1: DTMDTM 講座 2 1-1 譜 表 と は 音楽は、いくつかの音から成り立っています。その音は、音程、音長、音量の三大要素からな り、音が幾つか集まって旋律(メロディ)や伴奏(バッキング)、リズムがつくられます。これらを

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DTM 講座

Page 2: DTMDTM 講座 2 1-1 譜 表 と は 音楽は、いくつかの音から成り立っています。その音は、音程、音長、音量の三大要素からな り、音が幾つか集まって旋律(メロディ)や伴奏(バッキング)、リズムがつくられます。これらを

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■1-1■ 譜 表 と は

音楽は、いくつかの音から成り立っています。その音は、音程、音長、音量の三大要素からな

り、音が幾つか集まって旋律(メロディ)や伴奏(バッキング)、リズムがつくられます。これらを

いつでも同じように演奏するために、音楽の三大要素を中心とする演奏に必要な事項を符号で表

したものを譜表といい、譜表がいくつか集まったものを大譜表といいます。譜表や大譜表は楽譜

とよばれるシートに記述されます。楽譜をかくことを記譜といいます。

1つの譜表は原則として1つの楽器に対応しています。大譜表は譜表の集まりですから、生演

奏をするなら譜表の数だけミュージシャンを集めなければなりません。或いは譜表の数だけ音源

が必要です。音楽は、いくつかの音から成り立っています。その音は、音程、音長、音量の三大

要素からなり、音が幾つか集まって旋律(メロディ)や伴奏(バッキング)、リズムがつくられます。

これらをいつでも同じように演奏するために、音楽の三大要素を中心とする演奏に必要な事項を

符号で表したものを譜表といい、譜表がいくつか集まったものを大譜表といいます。譜表や大譜

表は楽譜とよばれるシートに記述されます。楽譜をかくことを記譜といいます。

11..譜譜 表表 第第 11 章章

楽楽典典~~基基礎礎のの基基礎礎~~

Page 3: DTMDTM 講座 2 1-1 譜 表 と は 音楽は、いくつかの音から成り立っています。その音は、音程、音長、音量の三大要素からな り、音が幾つか集まって旋律(メロディ)や伴奏(バッキング)、リズムがつくられます。これらを

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■1-2■ 譜 表 の 歴 史

楽譜のおかげで音楽は、時を越え場所を越えて、いつでもどこでも同じように演奏できるよう

になりました。楽譜の書き方、読み方がきちんと統一されていれば、演奏者の個性を表現する部

分を除き、楽曲は伝承が可能となったことになります。

わかっている範囲で最も古いとされる楽譜は、ギリシャ時代にまでさ

かのぼれます。ギリシャ時代の楽譜は、現代のものとは大きく異なりま

すが、たいへん洗練されており、その機能は優れていました。ギリシャ

時代に音楽理論は大きく進化し、体系化が進んでいたために、それに見

合う楽譜が開発されたわけです。

中世のヨーロッパでは、ネウマと呼ばれる記法で音楽を表減していました。

ネウマは音程に関しては正しく表現することができたのですが、リズムを表

現することができませんでした。リズムを正しく表現するためにモドス・リズ

ム法という記法が開発されましたが、今度は逆に音程を表すことができなく

なりました。人々は音程とリズムの両方を正確に表す楽譜の表記を求めてい

ましたが、13世紀の後半に黒符定量法が開発され、3分割符が記譜できるよ

うになりました。更に、14世紀に入り2分割符と 3分割符の両方が記譜可能となりました。

譜表はより正確な表記を求めて白符定量法が開発されました。この譜表はたいへん合理的な構

造をしており、紙の普及とあいまって一気に広まりました。

15 世紀ごろから、楽譜は単に音程とリズムを表記するだけでなく、奏

法も同時に書き込まれるようになりました。この

楽譜を奏法譜(タブラチュア)といいます。特に鍵

盤楽器やリュートではタブラチュアが中心となり

楽譜が発展していきました。リュートのタブラチュアは、現代のギターの

TAB譜の原型です。

様々な変遷を経て、現代の五線譜が完成していきました。五線譜は音程やリズムはもちろん、

奏法や発想なども表記できる優れた楽譜ですが、まだ完全とはいえません。しかし、これに代わ

る楽譜の形式はまだ統一した形で開発・普及していないので、しばらくはこのまま使い続けられ

るものと思われます。

人間が読むための楽譜は五線譜が中心ですが、昨今の電子機器の発達で、電子機器が読める楽

譜の表記として MIDIという規格が 20世紀後半から広く使われています。MIDI は互換性も高く、

表現の幅も広いために、電子楽器やコンピュータでの演奏で標準的な規格となっています。

課 題 1

楽譜の歴史についてまとめ、楽譜の必要性と楽譜に求められる機能について論ぜよ。

まとめたレポートを作成せよ。

⇒ 後日提出

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■1-3■ 五 線 譜

現代の音楽の殆どで五線譜が利用されています。五線譜は、5つの長い線を中心に利用され、

その範囲に音程がおさまらないときに利用される短い線で表されます。その5つの長い線で書か

れた部分を五線、臨時に追加された線を加線といいます。特に加線は、上の加線を上線、下の加

線を下線といいます。また、線と線の間は間と呼ばれています。

五線は、相対的な音の高低を半音という単位で表しています。歴史的、地理的には、様々な音

の高さを表す方法が存在していましたが、その高い利便性から、現在は殆どの音楽が五線譜で表

されています。しかし五線譜で表すと、その音楽は西洋のものに準じてしまうので、各民族に伝

わる独特な音階やリズムを表現することが出来ないという欠点もあります。一部の伝統的な民族

音楽の演奏では、独特の譜表を保っています。

課 題 2

上の五線譜の図の空欄に適する名称を入れよ。

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■1-4■ 音 部 記 号

五線譜に対して、基準となる音を定めるために使用する記号が音部記号です。譜表には演奏す

る音域にあわせて音部記号が付きます。音部記号により、音程は一通りに定まり、いつどこでそ

の譜表を演奏しても同じ音程となるわけです。幾つかの譜表が集まっている譜表は、中カッコで

左側がくくられています。

ト音記号は真中の丸まったところがト音(G:ソの音)、ハ音記号はとがったところがハ音(C:

ドの音)、ヘ音記号は点々の間の音がヘ音(F:ファの音)です。それぞれの音部記号は指し示す音

がそのまま名称になっています。また、ト音記号とヘ音記号の書かれる位置は固定していますが、

ハ音記号は移動することが出来ます。

課 題 3

下のような譜表を完成させよ。 ⇒ File名:R01NKKBB.ENC

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■1-5■ 小 節 線

定められた拍子によって分けられる拍の数を等しく分けるために引かれた線を小節線といい、

小節線で分けられた矩形を小節といいます。

課 題 3

下のような譜表を完成させよ。 ⇒ File名:R02NKKBB.ENC

縦 線

複縦線

終止線

反復記号

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■1-6■ 変 化 記 号

ある音の音程を変化させる記号を変化記号といいます。変化記号で音符につけることにより、

半音或いは1音上げたり下げたりすることができます。半音変化させる記号は、譜表の調号とし

ても利用されます。

課 題 4

下のような譜表を完成させよ。 ⇒ File名:R03NKKBB.ENC

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■1-7■ 音 符 と 休 符

音符は音程だけでなく、音長も表している記号です。音符は上下の位置で音程を表し、符頭と

旗で音長を表します。音程は奏でられている音を聞くと比較的捉えやすいのですが、音長は鳴っ

ている音の長さ、つまり時間を感じとるわけで、直感的になり易く曖昧に捉えがちです。しかし、

リズムは音楽の最も重要な要素であり、これを使いこなさないと音楽を正確に、そしてノリよく

表すことが出来ません。皆さん頑張って音符の長さをマスターしましょう。

休符は演奏を休む長さを表す記号です。休符には当然音程はありませんが、長さはあります。

休符を単に音を出さないものとだけ考えてはいけません。音楽には間が大切で、効果的な休符は

音楽をグレードアップさせます。音を出さないという効果も理解しましょう。

全音符 二分音符 四分音符 八分音符 十六分音符

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■1-8■ 付 点 音 符 と 休 符

音符の符頭の右横に点を 1 つ打つことによって、音符の長さは元の長さに 50%加えた長さに

なります。即ち、元の音符の 1.5倍の長さになわけです。これを付点音符といいます。休符も同

様に付点を打つことが出来ます。

. = +

. = +

. = +

. = +

音符の右横に点を 2 つ打つことによって、音符の長さは元の長さに 50%加えたものに更に加

えた長さの 50%を加えた長さ(つまり元の長さの 25%)になります。即ち、元の音符の 1.75倍

の長さになるわけです。これを複付点音符といいます。休符も同様に複付点を打つことが出来ま

す。

= ++

= ++

= ++

= ++

以下同様のルールで、音符の符頭の右横に点を 3つ、4つ ・・・・ と打つことも可能ではありま

す。それらは複々付点音符、複々々付点音符と呼ばれます。しかし、これらを使用するとリズム

はとてもわかりにくくなるので、特別な場合を除いて使用しないほうが賢明です。

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■1-9■ 連 音 符

1つの音符を三等分したリズムを三連符、四等分した長さを四連符(これは余り意味がありま

せんね!)、五等分した長さを五連符、・・・・ これらを総称して連音符、または単に連符といいま

す。連音符を使用すると、突然リズムが変わったような何とも言えない面白い効果が得られます。

3 5

= =

3 5

= =

3 5

= =

連音符は、付点のつかない基本の音符を分割してつくるのが原則です。合計の長さがちょうど

越えるような長さの基本の音符を並べてつくります。

3 3

= ⇒ ×3=×2

⇒ 3:2

3 3

= ⇒ ×3=×2

⇒ 3:2

3 3

= ⇒ ×3=×2

⇒ 3:2

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■1-10■ 拍 子 記 号

小節の中の拍数を指定する記号を拍子記号といいます。拍子記号は、通常曲の始まりに指定さ

れますが、曲の途中で小節の拍数を変更する場合にも利用されます。拍子記号がかかれている小

節以降がすべてその拍子に変わります。

○分音符を 1拍として、△拍で 1小節

通常これを○分の△拍子と読みます。

2

2 :2分音符を 1拍として 2拍 = 2分の 2拍子

4

2 :4分音符を 1拍として 2拍 = 4分の 2拍子

4

3 :4分音符を 1拍として 3拍 = 4分の 3拍子

4

5 :4分音符を 1拍として 3拍 = 4分の 5拍子

8

6 :8分音符を 1拍として 6拍 = 8分の 6拍子

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課 題 5

下のような譜表を完成させよ。 ⇒ File名:R04NKKBB.ENC

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■1-11■ 速 度 記 号

速度記号には、数字によるメトロノーム記号と言葉による速度標語の 2 種類があります。メト

ロノーム記号は、音符の種類とそれを 1分間に数える数で表します。速度標語は、メトロノーム

記号のようにきっちりとした楽曲の速度を指定するのでなく、概ねの速度と楽曲を演奏する際の

発想も指し示しています。

時代とともに速度は、だんだんと速くなる傾向にあります。また、速度に対しての人間の感覚

は地域によっても差異があります。たとえば「中くらいの速さ」といっても、どの国のどの時代

の「中くらい」なのかで楽曲の速さが異なってしまいます。この問題を解決するためにはメトロ

ノーム記号は優れた記号といえます。

しかし同じ速さでも、重々しく演奏するのか、軽快に演奏するのか、流れるように演奏するの

かなどのように、発想を変えて演奏することが可能な場合が多々あります。演奏の発想までを表

現するためには速度標語が優れているといえます。

=40 Grave 荘重に緩やかに

Largo 幅広く緩やかに

Largetto Largo より速く

Lento 遅く

Adagio 緩やかに

Andante 歩くような速さで

Andantino Andante より速く

=108 Moderato 中ぐらいの速さ

Allegretto やや快速に

Allegro Moderato ほどよく快速に

=120 Allegro 快速に

Vivace 生き生きと速く

=180 Presto 急速に

Prestissimo できる限り速く

課 題 6

各速度標語が使用されている有名な楽曲を調べてレポートにまとめよ。

⇒ 後日提出

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■1-12■ 強 弱 記 号

強弱記号には、範囲に対する強弱の指定と、音符に対する強弱の指定があります。また絶対的

な強弱を表す記号と相対的な強弱を表す記号があります。

これらを上手く使いこなすことで、楽曲の表現は見違えるほど豊かになります。強弱は音楽に

作曲者や演奏者の感情を移入するために、なくてはならないものです。

ppp できるだけ弱く

pp きわめて弱く

p 弱く

mp やや弱く

mf やや強く

f 強く

ff きわめて強く

fff できるだけ強く

>(Λ) アクセント(強いアクセントは縦)

fz 特に強く

sfz 特に強く

rfz 急に強く

fp 強く、すぐ弱く

subito(sub.) すぐに

crescendo(cresc. <) だんだん強く

decrescendo(decresc. >) だんだん弱く

diminuendo(dim.) だんだん弱く

課 題 7

各強弱記号を範囲に対するものと音符に対するものに分類せよ。また、絶対的なものと相対的

なものに分類せよ。分類したものをレポートにまとめよ。

⇒ 後日提出

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■1-13■ 奏 法 記 号

演奏の仕方を指定した記号で、作曲者や編曲者の意図する奏で方を伝えるためのものです。地

域や時代によって演奏の仕方が若干異なります。

スタッカート

40-50%

スタッカティシモ

20-25%

テヌート

95%以上

メゾスタッカート or 半スラー

60-75%

メゾスタッカート or ハーフスタッカート

60-75%

タイ

音をつなげる

スラー or レガート

滑らかに

トレモロ

旗が省略されている

トレモロ or 反復記号

2音を指定された音符で反復

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アルペジオ

下げる場合は記号の 最下部に↓をつける

グリッサンド

演奏者により、時代により異なる

プラルトリル

臨時記号がつけられる

モルデント

臨時記号がつけられる

トリル

臨時記号がつけられる

シェイク

もともとは楽器を振っていた

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ターン

転回ターン

装飾音符 長前打音 50%弱

装飾音符 短前打音 25%ぐらい

複数の短前打音は 複前打音

音形の反復

二重線で 2 小節分

休符をまとめたもの

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課 題 7

下のような譜表を完成させよ。 ⇒ File名:R05NKKBB.ENC

フェルマータ 2~3 倍にのばす

間を空ける

ブレス 息継ぎ

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■1-14■ 反 復 記 号

同じフレーズを繰り返すときに利用するのが、反復記号です。反復記号によって、楽譜はすっ

きり見たすくなります。

D.S. al Coda

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■1-15■ 楽 号

こんな感じで演奏してほしい、というという作曲者や編曲者の要望を楽譜に書き込むときに、

楽号という形で楽譜に書き込み、指定します。伝統的な楽号は、イタリア語である場合が多いで

すが、最近は英語で書かれている場合も多々見受けられます。

ad lib. poco a poco

ad libitium con ped.

accel. con pedal

accelerando rit.

agitato ritardando

allarg. riten.

Allargando ritenuto

Animato r.h.

Assai right hand

a tempo scherzando

brillante sempre

calando senza

cantabile sim.

con brio simile

comodo smorz.

Commodo smorzando

Dolce sostenuto

Energico TempoⅠ

espress. Tempo primo

espressivo tempo giusto

legato tempo rubato

leggiero ten.

l.h. tenuto

left hand tranquillo

marc. tre corde

marcato una corda

meno

molto

morendo

N.C.

non troppo

piu

poco

課 題 8

楽号それぞれの意味について調べ,レポートを作成せよ。

⇒ 後日提出

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■2-1■ 音 程 に つ い て

音程のはかり方には 2通りあります。1つはピアノの鍵盤を意識したはかり方で、音程の最小

幅である違いを半音、その 2 倍の音程を全音と呼び、例えば「2 音半」や「2.5 音」のようにい

います。「2.5音」の場合は「2音」は全音 2つ分を表し、「半」は半音を表します。

もう 1つは五線符を意識したはかり方で、度と呼ばれる単位を使用します。これは音階(スケ

ール)とも深く関わっています。基本的には同じ音を 1度、隣どうしの音を 2度のように呼びま

すが、同じ度数でも違う音程が存在するため、増・減、長・短の接頭語を用いて区別しなければ

なりません。

【自然な音階の音程】

度数 音程名 具体的な音程例 距離

1度 完全 1度 C-C,D-D,E-E,F-F,G-G,A-A,H-H 0音

2度 短 2度 E-F,H-C 0.5音

長 2度 C-D,D-E,F-G,G-A,A-H 1音

3度 短 3度 D-F,E-G,A-C,H-D 1.5音

長 3度 C-E,F-A,G-H 2音

4度 減 4度 C♯-F,D-G♭,E-A♭,G♯-C 2音

完全 4度 C-F,D-G,E-A,G-C,A-D,H-E 2.5音

増 4度 F-H 3音

5度 減 5度 H-F 3音

完全 5度 C-G,D-A,E-H,F-C,G-D,A-E 3.5音

増 5度 C-G♯,D♭-A,E♭-H,F-C♯ 4音

6度 短 6度 E-C,A-F,H-G 4音

長 6度 C-A,D-H,F-D,G-E 4.5音

7度 短 7度 D-C,E-D,G-F,A-G,H-A 5音

長 7度 C-H,F-E 5.5音

8度 完全 8度 C-C,D-D,E-E,F-F,G-G,A-A,H-H 6音

22..音音ののししくくみみ 第第22章章

和和声声~~基基礎礎のの基基礎礎~~

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課 題 9

上の譜表を完成させよ。 ⇒ File名:R06NKKBB.ENC

完全1度

短 2 度 長 2 度 増 2 度

短 3 度 長 3 度 増 3 度

減 4 度 完全 4 度 増 4 度

減 5 度 完全 5 度 増 5 度

短 6 度 長 6 度 増 6 度

短 7 度 長 7 度 増 7 度

完全 8 度

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■2-2■ 音 階 に つ い て

音階とは音楽を形成する音の並びを指します。音階には様々なものが存在し、それらには固有

の雰囲気があります。西洋音楽のように、過去に理論体系が整理されてしまった地域を除いて、

各民族には古来から伝承されてきた音階が存在しているのが一般的です。それらは、民謡として、

或いは民族音楽として今も脈々と活き続けています。

音階はメロディを、伴奏を形成する最も大切な要素の1つで、その扱いによって、曲想は大き

く変貌をとげます。音階に強くなることで、表現できる音楽の幅が大きく広がるといってよいで

しょう。

長音階(Major Scale)

自然短音階(Natural Minor Scale)

和声短音階(Marmonic Minor Scale)

旋律短音階(Melodic Minor Scale)

主音

下属音

属音

導音

主音

主音

属音

下属音

主音

主音

下属音

属音

導音

主音

主音

属音

下属音

主音

主音

下属音

属音

導音

主音

主音

属音

下属音

主音

主音

下属音

属音

導音

主音

主音

属音

下属音

主音

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【教会旋法 グレゴリアンモード】

課 題 10

上の譜表を完成させよ。 ⇒ File名:R07NKKBB.ENC

Ionian

Dorian

Phrygian

Lydian

Mixolydian

Aeolian

Locrian

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■2-3■ 和 音 に つ い て

和音とは、異なる音程の音を重ねて奏でるものです。和音により音楽の表情は大きく変わり、

変化に富んだものになります。

【トライアド】

トライアド(Triad三和音)とは、元になる音(Rootルート)に対して 3度の音程の音を 3つ

重ねたものです。

第 5 音

第 3 音

根 音

長 短 短 長 長 長 短 短

長和音 短和音 増和音 減和音

基本型 第 1転回 第 2転回

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【テンション】

テンション(Tension note 追加音)とはトライアドに対して音を付け加え、和音の響きに変

化(緊張?)を持たせることをいいます。

課 題 11

上の譜表を完成させよ。 ⇒ File名:R08NKKBB.ENC

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■2-4■ 和 音 の 役 割 カ デ ン ツ

和音には大まかに分けて 3 つの役割があります。その 3 つの役割を総称して、カデンツ

(Cadenza)またはケーデンス(Cadence)といいます。

トニック(Tonic) 主音を根音としたトライアド T

サブドミナント(Subdominant) 下属音を根音としたトライアド S

ドミナント(Dominant) 属音を根音としたトライアド D

C major のカデンツ(例)

カデンツ コード 代理コード

T C Cmaj7,Am,Am7,(Em)

C6

S F Dm,Dm7,Fmaj7,(Am)

F6,F7,Fm,Cmaj7,F#

m7-5,B7

D G Em,Em7,G7,Bdim,Bm7

-5,Cmaj7

D♭

7,Gaug,Cmaj7, G7-5

A minor のカデンツ(例)

カデンツ コード 代理コード

T Am Am maj7,Fmaj7

Am6

S Dm Bdim,Bm7

-5,Dm7,(F)

B♭

maj7,Dm6,Fm,Dm maj7,Fmaj7

D E Caug,Cmaj7

+5,E7,G#

dim

B♭

7,Eaug7,E7-5, G7

課 題 12

3つのカデンツ T,S,Dについて、音楽事典やインターネット等で調べよ。調べた内容はメー

ルで提出せよ。

⇒ Mail [email protected]

Page 28: DTMDTM 講座 2 1-1 譜 表 と は 音楽は、いくつかの音から成り立っています。その音は、音程、音長、音量の三大要素からな り、音が幾つか集まって旋律(メロディ)や伴奏(バッキング)、リズムがつくられます。これらを

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■2-5■ 終 止 形

ドミナントⅤからトニックⅠのように、4度上の和音に進行することをドミナントモーション

といいます。ドミナントモーションは最も自然な進行であるといえます。特に、Ⅴ→Ⅰの進行は

最も強い進行感と終止感を生み出します。曲の区切りや終止部分での進行感や終止感で、終止形

は次のように分類されている。

【完全終止形】

● 正格終止 Ⅴ→Ⅰ

最も強いドミナントモーション。

最も強い終止感がある。全終止とも呼ばれる。

● 変格終止 Ⅳ→Ⅰ

サブドミナントからトニックへの進行。

静的に落ち着いた形で終止する。全終止とも呼ばれる。

(賛美歌で多く使われる終止形であるため、アーメン終止とも呼ばれる)

【不完全終止形】

● 半終止 任意の和音→Ⅴ

適当な和音からドミナントへ進行。

曲が続く印象を受ける進行である。途中で使用される。

● 偽終止 V→トニックの代理コード

ドミナントからトニックの代理コード(Ⅵ)に進行。

終止感があるので、終止すると見せかけて続くときに使用される場合が多い。

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■2-6■ 終 止 形

一定の調の範囲のコード進行をダイアトニック・コード進行といいます。このタイプのコード

進行は、ダイアトニック・スケールに登場する音を根音とする和音を使うため、自然な響きが得

られる反面、当たり前の響きになりがちになってしまいます。

● Ⅰ → Ⅴ7 → Ⅰ 強いドミナントモーション

(T → D7 → T)

Ⅰ → Ⅴ 7→ Ⅴ7 → Ⅰ,Ⅰ → Ⅴ7 → Ⅰ → Ⅰ と使われる場合もある。

● Ⅰ → Ⅳ → Ⅴ7 → Ⅰ 最も一般的

(T → S → D7 → T)

● Ⅰ → Ⅳ → Ⅰ 変格終止

(T → D → T)

Ⅰ → Ⅳ → Ⅰ → Ⅰ のように使われる場合もある。

● Ⅰ → Ⅴ7 → Ⅳ → Ⅰ

( → → → )

● Ⅰ → Ⅵm → Ⅳ → Ⅴ7 →Ⅰ

( → → → → )

● Ⅰ → Ⅵm → Ⅱm → Ⅴ7 →Ⅰ

( → → → → )

● Ⅰ → Ⅲm → Ⅳ → Ⅴ7 →Ⅰ

( → → → → )

● Ⅰ → Ⅲm → Ⅳ → Ⅴ7 →Ⅰ

( → → → → )

● Ⅱm → Ⅴ7 → Ⅱm → Ⅴ7 → ・・・・ → Ⅰ ツゥ・ファイブ

( → → → → ・・・・ → )

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■2-7■ 借 用 和 音 を 用 い た 終 止 形

長調の楽曲の途中に同主短調のコードを用いることがあります。このようなコードは短調から

の借用和音と呼ばれます。

● Ⅰ → Ⅳm → Ⅰ

● Ⅰ → ♭Ⅵ → Ⅳm → Ⅴ7 → Ⅰ

● Ⅰ → Ⅵ7 → Ⅱm → Ⅴ7 → Ⅰ

● Ⅰ → Ⅰ7 → Ⅳ → Ⅳm → Ⅰ

● Ⅰ → Ⅱ7 → Ⅴ7 → Ⅰ

● Ⅰ → Ⅲ7(/Ⅶ) → Ⅵm (→ Ⅵm) → Ⅰ

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■2-8■ メ ロ デ ィ に あ う コ ー ド を つ け る

何らかのメロディが与えられたとき、そこに付けるコードやベースラインによって、出来上が

る音楽は大きく変化します。付けるコードは原則として、そのメロディの強起の音に合うものを

付け、出来るだけ大きな跳躍がないように展開しながらつけるのが良いでしょう。

伴奏の和音は後打ちと呼ばれる、リズムを明確にする伴奏と、オブリガートと呼ばれる長く伸

ばす伴奏に分かれる。場合によって、対旋律と呼ばれる第 2 メロディ的なものも付け加わること

もあります。

ベースラインはコードの根音を割り当てるのを原則とし、補助的に第五音を割り当てます。ベ

ースラインのリズムは、その楽曲のリズムにより決定されるのが原則です。

【メロディが与えられている】

適当なメロディが与えられたときに、カデンツを考えながらコードを振っていく。はじめは小

節単位で考え、次に半小節単位や各拍単位で考えると良い。

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【標準的な和音を付けてみる】

【工夫を試みる】

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■3-1■ 基 本 の リ ズ ム

メロディにつけるコードをつけた後は、リズムを決める作業が待っています。つけるリズムに

よってメロディの表情は大きく変化するので、リズムを決める作業はたいへん重要です。

リズムが決まるとベースラインや伴奏のパターンも影響を受けて変化します。ときにより、メ

ロディも変化することがある。

ベースラインはコードの根音を割り当てるのを原則とし、補助的に第五音を割り当てます。ベ

ースラインのリズムは、その楽曲のリズムにより決定されるのが原則です。

リズム楽器は、ドラムスを中心に様々なものがあります。MIDI の音源は標準的なリズム楽器

を殆ど網羅しています。また、音源メーカによって+α的なリズム楽器の音源が付加されていま

す。それぞれの特徴にあった音を使いましょう。

【譜表のどの部分に何の楽器がふられているか調べよう】

33..リリズズムムととビビーートト 第第33章章

リリズズムム~~基基礎礎のの基基礎礎~~

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■3-2■ 代 表 的 な リ ズ ム

【マーチ】

【4ビート】

【8ビート】

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【6ビート】

【12 ビート】

【8ビート】

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■3-3■ ラ テ ン の リ ズ ム

ラテンと呼ばれる音楽は、本来は南米

(=ブラジル,アルゼンチン,チリ,ペル

ー等)の音楽の総称であったが、現在は中

米や大西洋をはさんだ国をも含め、キュー

バ,ジャマイカ,メキシコなどの音楽も含

んで指し示されている。全体的な特徴とし

ては、アフリカから連れて来られた黒人奴

隷を中心とする貧困階層から発生してい

て、アフリカのリズムや音階と西洋の音楽

が融合して形成されている。

西洋にない強烈なリズムとアフリカの独特な

節回し、そして譜面に頼らない即興性を重視し

た演奏スタイルは、アメリカにおけるジャズと

共通する部分が多く、ラテンは 20 世紀に入りジ

ャズとも融合し、世界を席巻する一大音楽の分

野へと発展した。ラテンは、ジャズとの強い結

びつきのため、ラテンジャズとも呼ばれる。

リズムを学ぶ上でラテンは、重要な位置を占

めている。16 分音符を中心とする細かなリズム

と、各ビートひとつひとつのアクセントの細か

さがポイントで、音楽におけるいわゆるノリを

出すためのコツをつかむための勉強に最適であ

る。

ラテンは大まかに分けて、南米のリズムとカ

リブ海のリズムに分かれる。それらは似て非な

るもので、それぞれのリズムの根底に流れる背

景と精神を汲み取って臨んで欲しい。

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【南米のリズム】

■サンバ■

ブラジル音楽のなかで最も代表的なリズム。歴史はかなり古いが形式としてまとまったのは

1910 年代。バイーアにあったアフリカ的な歌付きダンスが、リオの黒人街に移植され、カーニ

バルの音楽になった。

■ボサノバ■

サンバとジャズの影響を受け、アクセントが細かく変化する洗練したリズムと四和音を中心とす

る現代的な和音を特徴としている。1960 年頃より流行りだした。

■タンゴ■

アルゼンチンの下層市民より起こり発展した舞曲。起源はハバネラなど。

■クンビア■

コロンビアのカリブ海沿岸地方で生まれた4分の2拍子のリズムである。トランペットなどを加

えたオーケストラ編成をとることで大衆音楽化した。現在では中南米でもっとも広範な人気を誇

るトロピカルダンス音楽である。

■カンシオン■

サンバがカーニバルを離れて歌謡化しスローになったもの。

■ショーロ■

「泣き」という意味。木管楽器のメロディーと、低音で泣くようにからむギターが特徴の音楽。

■バイヨン■

ブラジル北西部のフォークミュージックが都会化。軽快なリズムと明るい曲想

■フォホー■

ブラジル内陸の農牧地帯のダンス音楽の総称。ヨーロッパから移入した舞曲が変化・発展したも

ので、アコーディオンが使われることが多い。

【カリブのリズム】

■ルンバ■

キューバに渡ったアフリカ直系のリズム。コール&レスポンスによる歌と何種類かの太鼓のリズ

ムによって奏でられる。ザビア・クガート楽団の活躍で 30 年代以降世界的に広まった。

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■マンボ■

50 年代ペレスプラードが全世界に広めたキューバのリズム。キューバのソン、モントゥーノと

いう形式の発展形でジャズによるビッグバンドスタイルがとられた。

■チャチャチャ■

40 年代キューバでダンス音楽からうまれたギロの刻むリズムが重要。通常ストリングスとフル

ートを主体とするチャランガ編成で演奏される。スポーツの応援の「にっぽん、チャチャチャ」

はまさしくこのリズム。

■ボレロ■

4分の2拍子によるキューバ産の歌曲。ゆったりとしたテンポによるロマンチックな歌謡で、ト

リオ・ロス・パンチョスなどの演奏で親しまれた。

■ハバネラ■

キューバの社交界から始まった優雅なダンスリズム

■ラ・パローマ■

???

■グァヒーラ■

18世紀からあったプントというリズムをもとに作られたキューバの民族音楽

■ソンアフロ■

アフリカ色の濃い、キューバの音楽の総称。

■グァラーチャ■

スペイン系のキューバ舞曲。現在は二拍子の激しいリズムが主流

■メレンゲ■

ドミニカの伝統的なダンスのリズム。初期はアコーディオン・ギロ・タンボーラ(太鼓)を主体

とする素朴なものだったが、後にサックスが加わり発展する。70 年代以降サルサと共にダンス

音楽としての人気を獲得。

■ビギン■

カリブのマルティニック島(フランス)でうまれたダンス音楽。

■カリプソ■

トリニダード島で 19 世紀にうまれ発達した 2/4 拍子。社会的風刺や批判をウィットをきかせた

歌詞で歌う「批評性」が特徴。近年は最近はソウルとカリプソをミックスしたソカも人気。

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■パチャンガ■

コロンビア・ドミニカ・ハイチのリズムをもとにキューバで作られた

■プレナ■

プエルトリコの世俗的な民族音楽。タンバリンでリズムを刻む

■ランバダ■

???

【新しいリズム】

■サルサ■

ニューヨークでキューバ音楽をもとにジャズの要素を加味し音楽家達が作った。70 年代ロッ

ク・ソウルなどの要素を吸収しつつ、ラテンアメリカ各国に広まる。日本では現在は解散したオ

ルケスタデラルスの活躍により一気に知名度があがった。

■レゲエ■

60 年代後半ジャマイカの首都で生まれたけだるいビート感の音楽。2.4拍目を長めにとる、

上下にゆれるようなリズム。

カリスマ的歌手ボブ・マーリィの出現で広く認知され、タブ・DJ スタイルと多様化しつつ、世

界的人気を獲得。レゲエの源流で R&B の影響が強いスカもリバイバル。

■ズーク■

ビギンなどの伝統的リズムをシンセサイザーなどで現代向きのダンス音楽として再構成したも

■コンパ■

60 年代に成立したハイチの音楽。ソウルやズークの感覚を盛り込んでいる。最近はメッセージ

色が強くより伝統的なリズムを取りいれた「新しい歌」が台頭。

■MPB エンペーベー■

ムジカ(音楽)ポプラール(大衆)ブラジレイラ(ブラジルの)の頭文字をとった呼称。ボサノバの延長

にある世代の、ブラジル独自性を意識したシンガー・ソングライター中心のポピュラー音楽