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変容する学び舎 : 臨海部におけるフローティング スクールの提案 著者 後藤 正太郎 出版者 法政大学大学院デザイン工学研究科 雑誌名 法政大学大学院紀要. デザイン工学研究科編 4 発行年 2015-03-31 URL http://hdl.handle.net/10114/11691 brought to you by CORE View metadata, citation and similar papers at core.ac.uk provided by Hosei University Repository

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変容する学び舎 : 臨海部におけるフローティングスクールの提案

著者 後藤 正太郎出版者 法政大学大学院デザイン工学研究科雑誌名 法政大学大学院紀要. デザイン工学研究科編巻 4発行年 2015-03-31URL http://hdl.handle.net/10114/11691

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法政大学大学院デザイン工学研究科紀要 Vol.4(2015 年 3 月)  法政大学

変容する学び舎

ー臨海部におけるフローティングスクールの提案ー

THE TRANSFORMATION TO SCHOOLPROPOSAL OF FLOATING SCHOOL IN COASTAL AREAS

後藤正太郎

Shotaro GOTO主査 下吹越武人   副査 網野禎昭・赤松佳珠子

法政大学大学院デザイン工学研究科建築学専攻修士課程

 Nowadays, there is the problem that schools aren't enough in areas around Tokyo bay.

Planning to build new schools to solve the shortage of class rooms caused by temporary population growth

may cause elimination and consolidation of the schools in the future.

 Could schools be classified as one of the facilities of the community in the first place?

 By considering a system that schools can blend in with the community, not the way which schools ought

to be so far, the education is fully supported by the community, I visualize a learning field, which feels like

the whole community is the school.

Key Words : Elemetary school,Floating,transform,Harumi

児童数急増を事例に研究を行った。 学校建築はその規

模や特性から転用に適した用途というものが限られている

ため、 廃校となった学校は生涯学習センターや福祉施設

などに多く転用される。 その他の用途に転用する場合は

学校の部分利用や用途の複合等が多く、 広大な敷地な

対して有効な利用が行われていない事例が見られた。 こ

れらの問題を解決する上で転用のあり方を追求するので

はなく学校そのもののあり方を再考し、 設計の提案とする。

  また計画対象地である東京湾臨海部の水の都としての

賑わいの時代から現在の再開発に至るまでの変遷をたど

ることで街と水辺との関係が希薄になってきていることが分

かったため、 両者の関係を再生するきっかけとなる様な提

案を含めて今回の学校計画を構想する。

3 . 方針

  晴海の運河を利用した水上に建つ学校を考えることで、

教室数の変化に対応するとともに水辺の賑わいをつくり、

街の中に溶け込む様な学校を提案する。

4 . 構想

  晴海の運河を利用した水上に浮かぶ学校を考えること

で、 教室数の変化に対応するとともに水辺の賑わいをつ

くり、 街の中に溶け込む様な学校を提案する。 具体的な

敷地を二カ所選定し、 朝潮運河のネットワークを利用する

ことで互いが機能を補完し合うような運営システムとする。

0 . はじめに

 学校は子供たちにとっては学びや出会いの場であり

地域にとってはコミュニティの拠点となる場所であ

る。しかし近年の少子化により学校の統廃合が進み、

地域コミュニティの原単位が失われてきている。

 一方で東京湾臨海部では再開発により人口が急増

し、それに伴い学校不足が問題として取り上げられる

ようになった。しかし、一時的な人口増加による教室

不足を解消する為に新しく学校を計画することは、将

来的な学校の統廃合という結果を招きかねない。そも

そも学校とは都市の中の一つの施設としてまとめられ

るものなのだろうか。従来的な街の中であるまとまり

を持った学校のあり方ではなく、街に溶け込む様な仕

組みを考えることで、地域が教育を支え、街全体が学

校となる様な学びの場を構想する。

1 . 研究目的 

 本研究は、児童数の急増する地域における教室不足

という問題と将来的に児童数が減少してきた時の学校

のあり方を追求し、街の中で新しく計画される学校が

どのようなもので在るべきなのかを再考する。

2 . 研究方法

現存する小学校の数から、 廃校数やその後の活用法等

を調査し我が国における小学校の現状を把握すると共

に、 戦後の高度経済成長期に発生した郊外型団地での

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5 . 設計

  設計では建築の構成や具体的な学校としての使われ

方、 地域施設としての使われ方をダイアグラムを用いて設

計の詳細を示す。

  (1) 配置計画

  学校としての機能を運河にフローティングし、 周辺住民

も利用可能な地域施設を陸上に配置する。 学校の特別

教室はこの地域施設を利用する形式で運営していく。

  (2) 形態操作

  水に関わる要素で構成することで親和性のある場所を

作り出し、風景として水辺と調和する様な建築を構想する。

 

(3) クラスルームの使われ方

  フローティングする教室部分にはバージ船 (台船、 艀)

を利用して空間を展開していく。 軽やかな風景と子供たち

の活動を可視化させる為、 最小限の部材と膜によって構

成する。 教室としての機能が失われた後も解体が容易で

あるため、 様々な用途に転用することが可能である。

  (4) 展望

 移動する教室は子供たちの自由な活動を許容し、 自然

環境を享受しながら生活する本来在るべき学び舎の姿と

なる。 また移動することで街全体が学びの場となり地域が

教育を支え、 街と共に育つ学校になる。

 

6 .  おわりに

・ 謝辞

  本研究を進めるにあたり、 多くの方にご指導とご協力を

頂きました。 学部の頃からお世話になり、 ご迷惑をおかけ

した下吹越武人教授には心から感謝申し上げます。 また、

副査としてご指導を頂いた網野禎昭教授、 赤松佳珠子教

授ならびに修士のスタジオを担当して頂いた飯田善彦先

生には貴重な時間を割いて多くの助言、 叱咤激励をいた

だきまして、 とても感謝しております。

 そして今まで支えて下さった先輩方、 相談にのってくれ

る同期の皆様、 共に頑張ってきた下吹越研究室の方々、

忙しい中お手伝いをして頂いた後輩の皆様のおかげで本

修士設計を完成させる事が出来ました。 大変感謝してお

ります。 本当に有り難うございました。

・ 参考文献

1 ) 「東京港湾局」

http://www.kouwan.metro.tokyo.jp/

2 ) 水の都市 江戸 ・ 東京 / 陣内秀信 / 講談社

3 ) 豊洲 ・ 晴海開発整備計画

h t t p : / / w w w . m e t r o . t o k y o . j p / I N E T /

KEIKAKU/2014/03/70o3h100.htm

4 ) 中央区の人口 ・ 世帯数

http://www.city.chuo.lg.jp/kusei/tokeiderta/zinko/

tyuuoukunozinkousetaisuu.html

5 )El Croquis Sanaa(Sejima Nishizawa)2004-2008

AA A

600 人 1200 人

運河のネットワークを利用

600 人

B

学校

地域施設

水深3〜4m

渡り橋

潮位差に合わせて上下する

教室

教室

教室

桟橋

オープンスペース

アンカー

バージ船を活用した水上教室 桟橋がバージ船を接続する役割を持つ

港のクレーン桟橋船帆 雁木

フレームドッキングステーション湾曲する形態膜による軽やかな屋根 親水空間

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