表Ⅱ-11 盛土材料試験結果...f・g (下層土) 柴田郡柴田町成田字川 尻11番1...
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42
工区
NO
盛土
材料
採取
地種
別物
理性
化学
性参
考
項目
透水
性硬
さ電
気伝
導率
酸度
評価
指標
飽和
透水
係数
礫含
有量
電気
伝導
度(EC
)pH
単位
cm
/s
g/kg
ds/m
-
測定
方法
透水
試験
篩い
分け
試験
EC
メー
タガ
ラス
電極
法
基準
値10-4以
上200以
下0.5
以下
(砂
質土
)1.0
以下
(そ
の他
)5.6
~6.8
良
(4.5
~8.0
可
)
仙台
9工
区A・B
黒川
郡大
郷町
東成
田字
長松
沢12
外測
定値
7.4
6E-04
127
-6.7
中-後
期中
新世
(N2)の
海成
また
は非
海成
堆積
岩類
仙台
7工
区C
黒川
郡大
郷町
東成
田字
板谷
西山
39-1
外3筆
測定
値1.8
0E-04
63
0.0
22
6.5
中-後
期中
新世
(N2)の
海成
また
は非
海成
堆積
岩類
D黒
川郡
大郷
町川
内字
長福
寺19-22
測定
値3.0
5E-03
34
0.0
12
5.7
中-後
期中
新世
(N2)の
海成
また
は非
海成
堆積
岩類
仙台
17
工区
E黒
川郡
大郷
町川
内字
長福
寺19-22
測定
値3.0
5E-03
34
0.0
12
5.7
前期
中新
世-中
期中
新世
(N1)の
海成
また
は非
海成
堆積
岩類
岩沼
9工
区F・G
(下
層土
)柴
田郡
柴田
町成
田字
川尻
11番
1
外1字
12筆
測定
値2.7
4E-03
184
0.0
0412
7.1
前期
中新
世-中
期中
新世
(N1)の
海成
また
は非
海成
堆積
岩類
F・G
(上
層土
)宮
城郡
利府
町澤
乙字
白石
沢31番
10
測定
値5.4
7E-03
28
0.0
0742
6.7
後期
更新
世-完
新世
(H)の
海成
また
は非
海成
堆積
岩類
岩沼
7工
区H
・I
角田
市鳩
原字
瀬ノ
木橋
89番
1
外6筆
測定
値1.2
2E-03
182
0.0
996
6.6
前期
中新
世-中
期中
新世
(N1)の
海成
また
は非
海成
堆積
岩類
※地
質図
Nav
i(国
立研
究開
発法
人 産
業技
術総
合研
究所
/ 地
質調
査総
合セ
ンタ
ー)
表Ⅱ
-11 盛土
材料
試験
結果
45
仙台森林管理署で収集した盛土材料試験結果報告書には、盛土材料の粒度分布に
関する試験結果(仙台 7 工区Cを除く)として粒径加積曲線が示されている(図Ⅱ
-9~図Ⅱ-13)。
一般的に曲線が急なほど粒径が均等であり、緩やかほど様々な粒径で構成されて
いることを示す。また、急な場合には締固め特性が悪く、緩い場合には締固め特性
が良い土とされている。海砂は粒径が揃っているため、粒径加積曲線を描くと急に
立ち、締め固まりにくい土となる。
このような観点から見ると、岩沼 9工区F・G(上層土)、仙台 9工区A・B、仙
台 7工区D、仙台 17 工区Eは、粒径加積曲線が急に立ち、均等係数(Uc)も小さい
ため、海砂に近い粒径分布を示し、盛土材料として適していると判断される。
図Ⅱ-9 粒径加積曲線(仙台 9工区 A・B)
工区 ID 請負者 販売者 盛土材料採取地礫含有量g/kg
仙台9工区 A・B (株)笹原組(株)鈴幸商店
黒川郡大郷町東成田字長松沢12 外
127
最大粒径 19㎜ 均等係数Uc 4.36
60%粒径 D60 0.48㎜ 曲率係数Uc' 1.59
50%粒径 D50 0.40㎜
30%粒径 D30 0.29㎜
10%粒径 D10 0.11㎜
※ Uc=D60/D10 Uc'=(D30)^2/(D60×D10)
46
図Ⅱ-10 粒径加積曲線(仙台 7工区、仙台 17 工区 E)
図Ⅱ-11 粒径加積曲線(岩沼 9工区 F・G下層土)
工区 ID 請負者 販売者 盛土材料採取地礫含有量g/kg
仙台7工区 D (株)笹原組(株)東北マイタック
黒川郡大郷町川内字長福寺19-22
34
仙台17工区 E北東北復旧・復興建設工事共同企業体
(株)東北マイタック
黒川郡大郷町川内字長福寺19-22
34
最大粒径 9.5㎜ 均等係数Uc 6.3
60%粒径 D60 0.421㎜ 曲率係数Uc' 2.8
50%粒径 D50 0.362㎜
30%粒径 D30 0.2800㎜
10%粒径 D10 0.0665㎜
※ Uc=D60/D10 Uc'=(D30)^2/(D60×D10)
工区 ID 請負者 販売者 盛土材料採取地礫含有量g/kg
岩沼9工区F・G(下層土)
東野建設工業(株)花本建設(株)
柴田郡柴田町成田字川尻11番1 外1字12筆
184
最大粒径 9.5㎜ 均等係数Uc 120
60%粒径 D60 1.0㎜ 曲率係数Uc' 6.94
50%粒径 D50 0.69㎜
30%粒径 D30 0.24㎜
10%粒径 D10 0.0083㎜
※ Uc=D60/D10 Uc'=(D30)^2/(D60×D10)
47
図Ⅱ-12 粒径加積曲線(岩沼 9工区 F・G下層土)
図Ⅱ-13 粒径加積曲線(岩沼 7工区 H・I)
工区 ID 請負者 販売者 盛土材料採取地礫含有量g/kg
岩沼9工区F・G(上層土)
東野建設工業(株) 大翔(株)宮城郡利府町澤乙字白石沢31番10
28
最大粒径 19㎜ 均等係数Uc 2.38
60%粒径 D60 0.31㎜ 曲率係数Uc' 1.09
50%粒径 D50 0.27㎜
30%粒径 D30 0.21㎜
10%粒径 D10 0.13㎜
※ Uc=D60/D10 Uc'=(D30)^2/(D60×D10)
工区 ID 請負者 販売者 盛土材料採取地礫含有量g/kg
岩沼7工区 H・I北東北復旧・復興建設工事共同企業体
(株)宮城林産
角田市鳩原字瀬ノ木橋89番1 外6筆
182
最大粒径 26.5㎜ 均等係数Uc -
60%粒径 D60 0.440㎜ 曲率係数Uc' -
50%粒径 D50 0.260㎜
30%粒径 D30 0.0705㎜
10%粒径 D10 -
※ Uc=D60/D10 Uc'=(D30)^2/(D60×D10)
48
(2)施工方法
工事請負業者は施工に当たって特記仕様書によるほか治山工事標準仕様書を遵守す
ることとなっている。生育基盤盛土工に関する治山工事標準仕様書の内容を抜粋して
再掲すると以下のとおりである。
第4節 森林造成
(生育基盤盛土工)
第809条 受注者は、生育基盤盛土工の施工に当たっては、施工前に施工に支障
を与える地物等を除去しなければならない。
2 受注者は、地下水位の位置や基礎地盤の状況等が設計図書に示されたものと著
しく異なることを確認した場合には、速やかに監督職員と協議しなければならな
い。
3 盛土材料は、指定された土質のものとする。なお、特に指定されない場合は、
工事の目的に適したものとする。
4 受注者は、生育基盤盛土工敷内を清掃後、設計図書に従い、各測点ごとに丁張
を設けなければならない。また、丁張を設ける場合には、所要の余盛高を考慮し
なければならない。
5 受注者は、生育基盤盛土工に先立ち、盛土地盤の表面をかき起して、なじみよ
くしなければならない。
6 受注者は、傾斜地盤に行う場合は、盛土の質、量、断面形状、傾斜程度等を考
慮し、適切な幅、深さを有する段切りを行い、盛土と原地盤の密着をはかり、滑
動を防止するようにしなければならない。
7 受注者は、生育基盤盛土工の表層部は植栽木の根系の発達に影響があることか
ら、過度の締固めを行ってはならない。
8 受注者は生育基盤盛土工ののり面は、土羽打ちを行い、所定の勾配に仕上げな
ければならない。
9 受注者は、のり面の侵食防止を図るための緑化工については、第635条~第
646条に準ずるものとする。
治山工事標準仕様書によれば、生育基盤盛土工の作業内容としては、支障物の除去、
地盤の確認、盛土材料の選定、清掃・丁張、掻き起こし、段切り、締固め、土羽打ち、
緑化となる。聞き取り調査ではこれらの内容に即してヒヤリング項目を決定したため、
項目に準じて調査結果を作業順に整理する。なお、各調査地の施工状況写真を巻末資
料3に示す。
ア.支障物の除去
東日本大震災により津波被害を受けた仙台湾沿岸地区では、マツの倒木処理をし
ている。また、生存木が残っている場合は伐倒し、伐根の除去を行っている。津波
を受けていない千葉県有林では、マツクイムシによる枯死木や倒木が存在する疎林
にニセアカシア等の雑木が侵入していたが、伐倒後盛土内に埋設している。
49
イ.盛土敷内の清掃
仙台湾沿岸地区では津波に運ばれてきた瓦礫の除去とその後の整地を行っている
箇所が多い。千葉県有林でも整地が行われている。
ウ.盛土地盤の掻き起こし
元々の地盤と盛土のなじみをよくするための掻き起こしについては、基本的にど
の箇所でも実施されていない。ただし、仙台 17 工区Eおよび岩沼 7 工区H・Iは、
敷内に重機を移動させるため、整地後に厚さ 30 ㎝の基盤材を敷設して締め固め、重
機の移動後に基盤材を掻き起こす処置をとっている。
エ.段切り
対象地が平坦であるため、いずれの箇所も段切りを行っていない。
オ.締め固め
仙台湾沿岸地区では生育基盤盛土を施す前に、敷地の周囲に堤防を築くように盛
土し、 終的にその外側の面を生育基盤盛土工の法面としている。堤防の天端幅は
1.8m、3.0m、6.5mと請負業者により異なっている。敷地の周縁部は植栽をせずに
防風柵を設置する部分であるため、盛土を実施する重機と同じ機械を用いて締め固
めを行っている。
カ.盛土
1)盛土高
仙台湾沿岸地区(田ノ神国有林 Jを除く)は地下水位+2.4mの盛土を実施してい
る。この高さは前述の「今後における海岸防災林の再生について」で、「地下水位等
から 2~3m程度の地盤高さを確保するための盛土を実施することが望ましい」とさ
れていることによるものである。地下水位面より上部に地山や津波堆積土が存在す
る場合は、その高さを補う形で盛土を行っている(仙台 9 工区 A・B、仙台 7 工区 C・
D、仙台 17 工区 E)。また、存在しない場合には高さ 2.4mの盛土を実施している(岩
沼 9工区 F・G、岩沼 7工区 H・I)。一方、千葉県有林 Kでは地下水位+2.1mの盛土
を実施している。
2)使用機械
盛土に用いる重機は請負業者により異なるが、バックホーないしブルドーザーを
用いている。バックホーは出力 62.5~110.0kw、 大積載量 0.45~0.7m3、重量 11.8
~19.4tのもの、ブルドーザーは出力 79~175kw、質量 10.35~27.95tのものであ
る。また、いずれも接地圧 0.30~0.45kg/cm2の重機を用いている。
3)層厚および層数
一般的な盛土は 0.5m程度ごとに盛ってその都度締め固めるのが通常である。しか
し、調査地の生育基盤盛土では過度に締め固めると植栽木の根系成長に悪影響を与
えるため、層数は基本的に 1 層で盛り、締め固めは行っていない。したがって、仙
台湾沿岸地区における層厚は地下水位+2.4mを確保できるように、1.2~2.4mの層
50
厚となっている。ただし、岩沼 9工区 F・Gだけは 2層構造としている。上層土は層
厚 1.0m、下層土は 1.4mで、前者には透水係数が高く礫含有量の少ない良質な土を
用い、後者には比較的透水係数が低く礫含有量の多いものを用いている。また、千
葉県有林 Kでは、1層の層厚を 0.5mとし、層数を 3~4層としている。
キ.散水
一般的な盛土では、 も良く締固めができる含水比となるように散水する場合が
あるが、調査地の生育基盤盛土では一部の調査地で土埃が飛散することを防止する
粉塵対策として散水を行っているのみである。
ク.横断勾配
雨水の排水を目的として盛土面の天端に横断勾配を付ける場合があるが、調査地
の盛土では平坦な生育基盤を確保するために横断勾配を付けていない。
ケ.排水溝(素掘り)
仙台湾沿岸地区では盛土工事と併せて雨水の排水を目的として天端に排水溝(素
掘り)を設置している場合が多い。また、盛土工事後に別工事として設置している
場合もある。排水溝の規格は幅 0.5m、深 0.3mである。一方、千葉県有林では盛土
天端面に排水溝を設置していない。
コ.法面
仙台湾沿岸地区では、盛土周囲の法面は田ノ神国有林 J を除いて、前述のように
盛土に先立ち十分な締め固めを行って堤防状に構築し、人工芝伏工による法面緑化
が施されている。法面勾配は田ノ神国有林 Jが 1:1、他は 1:1.8 となっている。千
葉県有林 Kでは法面勾配 1:2で締め固め、人工芝伏工が施されている。
(3)土壌改良方法
生育基盤盛土工の実施中、あるいは実施後の植栽までの期間ないし植栽後において、
圧密等により盛土が硬くなり植栽に適さなくなる場合がある。このような場合、盛土
された土壌を機械によって掻き起こし軟らかくする必要がある。
仙台湾沿岸地区では 5 箇所の調査地(仙台 7 工区C、岩沼 9 工区F・G、岩沼 7 工
区H・I)で掻き起こしが行われている。機械は農業用トラクターにリッパ、ロータ
リー、プラソイラ等の大型ナイフを装着したものを用いており、掻き起こしの深さは
0.3~0.6mとなっている。
植栽木の根系伸張を考えると、深さ 0.6mでは足りず、さらに深く掻き起こす必要が
ある。機械メーカのカタログ収集や担当者への聞き取りにより、さらに深い掻き起こ
しが可能な土壌改良機械について調べた(表Ⅱ-8)。
農業用トラクターに装着するものとしてはサブソイラ( 大深 0.8m)やトレンチャ
ー( 大深 1.2m)があるが、大型のトラクターが必要となり、重量増に伴う締め固め
が懸念されるほか、全幅が大きくなるため植栽後の土壌改良には不適である。グロー
51
スガンは、圧縮空気の土中噴射により、硬化した土壌を軟化させて、通気性と透水性
を改善するものである。全幅 980 ㎜と小型であるため、植栽後の土壌改良も可能であ
るが、深さは 0.6mしか得られない。打込器を長くすればさらに深い土壌改良も可能と
考えられるが、メーカに問い合わせたところ、本体も大型にする必要があり、その開
発には多大な労力を要するとのことである。リッパドーザーでは 大深 0.9mの掻き起
こしが可能であるが、本体のブルドーザーが極めて大型となり、生育基盤盛土工での
適用は現実的ではない。一方、ミニバックホーは重量 980kg、全幅 990 ㎜と小型であり、
他の機械と比較して 大掘削深(1.8m)が も深い。盛土面を締め固めないようにミ
ニバックホーを後退させながら、掘削と埋め戻しを繰り返して掻き起こしていけば土
壌改良が可能となる。ただし、作業効率については試験施工等により検証する必要が
ある。
表Ⅱ-12 土壌改良機械(例)
機械名 サブソイラ トレンチャーグロース
ガンリッパドーザー ミニバックホー
製造元スガノ農機株式会社
株式会社ササキコーポ
レーション
マックエンジニアリング
株式会社
株式会社小松製作所
株式会社クボタ
最大深(㎜)
800 1200 600 900 1800
重量(kg)
105~850 532~930 820 33100 980
全幅(㎜)
680~2400 1750~2501 980 2765 990
備考農業用大型トラクタに装着
農業用大型トラクタに装着
単体使用、圧縮空気の噴射
ブルドーザーにリッパを装
着
単体使用、植栽後使用可
52
2 生育基盤盛土の物理特性の把握
2.1 土壌断面調査および現場透水試験
調査地ごとの土壌硬度分布、根系到達深、現場透水試験、土壌断面調査等の結果は以下
のとおりである。(巻末資料4参照)
■調査地 A(仙台 9工区_南)
20 cm より浅い部分で S 値 0.7 以下の硬い層が現れる箇所が多かった(図Ⅱ-14a)。深
さ 30 cm での減水能は 10 mm/hr より小さく、透水性は非常に低かった(表Ⅱ-13)。根系
到達深は、22~39 cm の範囲であった。土壌断面調査において、土壌深 50 cm の上下で盛
土の性状(土色、土性、土壌硬度)が不連続に変化した様子が認められた(巻末資料5)。
115 cm 深までは搬入堆積土、地山の痕跡は確認できなかった。
■調査地 B(仙台 9工区_北)
浅い部分の土壌硬度にはばらつきがあったが、どの箇所も深さ 100 cm までには S値 0.7
以下の層が現れた(図Ⅱ-14b)。深さ 30 cm での減水能は 30 mm/hr より小さく、透水性
は低かった(表Ⅱ-13)。根系到達深は、27~76 cm の間であった。土壌断面調査において、
土壌深 80 cm の上下で盛土の性状(土性、水分状態、石礫の混入具合、土壌硬度)が不
連続に変化した様子が認められた(巻末資料5)。120~130 cm 深には黒色の津波堆積土、
130 cm 以深には地山由来の砂土の存在を確認した。
■調査地 C(仙台 7工区_掻起)
100 cm 程度の深さまでに S値 0.7 以下の層が現れることは少なかった(図Ⅱ-14c)。深
さ 30 cm での減水能は 30 mm/hr より大きく、100 mm/hr よりは小さかった(表Ⅱ-13)。
根系到達深は、49~114 cm の間であった。土壌断面調査において、土壌深 110 cm の上下
で盛土の材料が異なっていることが確認された(巻末資料5)。表層から 110 cm 深まで
は砂土で、それ以深は壌質砂土で構成され、土色や土性、水分状態、土壌硬度などの土
壌の性状が異なっていた。
■調査地 D(仙台 7工区_未掻起)
20 cm より浅い部分で S 値 0.7 cm 以下の層が現れることが多かったが、60 cm 程度よ
り深い部分では S 値 0.7 cm 以下の層はあまり現れなかった(図Ⅱ-14d)。深さ 30 cm で
の減水能は 30 mm/hr より大きく、100 mm/hr よりは小さかった(表Ⅱ-13)。根系到達深
は、22~77 cm の間であった。土壌断面調査において、土壌深 10~70 cm までは砂土で構
成され、ほとんど礫は混じらず、同一の材料で盛られていることが確認できた(巻末資
料5)。表層から 40 cm 深までは土壌硬度は高く、固結している様子が見られた。40 cm
53
以深は比較的軟らかな土層が存在していた。
■調査地 E(仙台 17 工区)
浅い部分を除いては S値 0.7 以下の層が多かった(図Ⅱ-14e)。深さ 30 cm での減水能
は 30 mm/hr より小さく、透水性は低かった(表Ⅱ-13)。根系到達深は、22~33 cm の間
であった。土壌断面調査において、土壌深 125 cm の上下で、盛土の材料が異なっている
様子が確認された(巻末資料5)。そのため、その上下で土性、土色、水分状態などの土
壌の性状が異なっていた。土壌硬度は、全層で固結している様子が確認された。
■調査地 F(岩沼 9工区_西)
100 cm 程度の深さまでは、S 値 1.5 以上の層が多かったが、それより深い部分では S
値 0.7 以下の層が現れた(図Ⅱ-14f)。深さ 30 cm での減水能は、地点ごとの差が大きく、
15 mm/hr より小さい透水性の低い地点と、300 mm/hr より大きい透水性の高い地点があ
った(表Ⅱ-14)。根系到達深は、37~105 cm の間であった。土壌断面調査において、土
壌深 98 cm の上下で土色が不連続に変化した様子が認められた(巻末資料5)。盛土全層
で、粘土の混じりを認めた。また、比較的径の大きな亜角礫が全層に混入している様子
も認められた。
■調査地 G(岩沼 9工区_東)
浅い部分の土壌硬度にはばらつきがあったが、どの箇所も深さ 80 cm 程度以深では S
値 0.7 以下となった(図Ⅱ-14g)。深さ 30 cm での減水能は、60~300 mm/hr の範囲で透
水性は高かった(表Ⅱ-14)。根系到達深は、28~56 cm の間であった。土壌断面調査にお
いて、土壌深 44 cm、78 cm の上下で土色、土性、水分状態などの土壌の性状が不連続に
変化した様子が認められた(巻末資料5)。盛土全層で、小さな亜角礫が全層で混入して
いる様子も認められた。
■調査地 H(岩沼 7工区_西)
60 cm 程度までは S 値 1.5 以上の層が多かった(図Ⅱ-14h)。100 cm 以深でも S 値 0.7
以上の層が多かった。深さ 30 cm での減水能は、30~70 mm/hr の範囲であった(表Ⅱ-14)。
根系到達深は、73~84 cm の間であった。土壌断面調査において、土壌深 115 cm の上下
で土色、土性、水分状態などの土壌の性状が不連続に変化した様子が認められ、土壌の
材料が異なっていた(巻末資料5)。盛土全層で、比較的大きな亜角礫が全層で混入して
おり、土壌調査坑の作成が困難であった。
■調査地 I(岩沼 7工区_東)
50 cm 程度までは S値 1.5 以上の層が多かったのに対し、50 cm 以深では S値 0.7 以下
54
の層が多くなった(図Ⅱ-14i)。深さ 30 cm での減水能は 100 mm/hr 以上で、透水性は高
かった(表Ⅱ-14)。根系到達深は、61~85 cm の間であった。土壌断面調査において、土
壌深 52 cm、78 cm の上下で土色や礫の混入具合が異なっている様子が認められた(巻末
資料5)。下層では、大きな亜角礫が混入する様子も認められた。
■調査地 J(田ノ神国有林)
50 cm 程度までは S 値 1.5 以上が多く、100 cm 以深でS値 0.7 以下が多くなった(図
Ⅱ-14j)。深さ 30 cm での減水能は、測定した 4点でいずれも 800 mm/hr 以上で透水性は
非常に高かった(表Ⅱ-15)。根系到達深は、81~158 cm の間であった。土壌断面調査に
おいて、80 cm 深と 100 cm 深付近で土壌の材料が変化していることが確認された。80~
100 cm 深の 2C 層は埴土(粘土質土壌)で構成されていることから(巻末資料5)、津波
襲来後の基盤整理・造成時に近隣の農地や宅地の土壌が混入した物と推察された。100 cm
以深は地山に由来する土壌である。0~80cm 深までに盛られた土壌は、砂土で構成され、
ほとんど礫は混じらず、固結層も確認されなかった。いずれの土層でも土壌構造は認め
られなかった。
■調査地 K(千葉県有林(白子町))
地点ごとに S値のばらつきが大きかったが、深さ 120 cm 付近には一様に非常に硬い層
が現れているようだった(図Ⅱ-14k)。深さ 30 cm での減水能は 300 mm/hr 以上で透水性
は非常に高かった(表Ⅱ-15)。根系到達深は、2本の対象木ともに 120 cm 程度であった。
土壌断面調査において、120 cm 以深に埴壌土で構成される固結層の存在が確認され、そ
の地点までクロマツとトベラの根が到達している様子が確認された(巻末資料5)。120 cm
以浅の土壌は砂土で構成されていた。
55
図Ⅱ-14a,b 試験地 A、Bの土壌の硬さ(軟らかさ)分布と根系到達深
(H24 春、改良無、透水能:不良)
(H25 秋、改良無、透水能:可~不良)
元地盤位置:-200cm
盛土 1層
津波 堆積土
元地盤
盛土 1層
津波 堆積土
0 200 400 600 800 1000 1200–200
–180
–160
–140
–120
–100
–80
–60
–40
–20
00 200 400 600 800 1000 1200
a) 調査地 A(仙台 9 工区南)
0 200 400 600 800 1000 1200–120
–100
–80
–60
–40
–20
00 200 400 600 800 1000 1200
b) 調査地 B(仙台 9工区北)
深さ(
cm)
調査ライン起点からの水平距離(cm)
調査ライン起点からの水平距離(cm)
深さ(
cm)
S 値
根系到達深
元地盤位置:-200cm
56
図Ⅱ-14c,d,e 試験地 C、D、Eの土壌の硬さ(軟らかさ)分布と根系到達深
0 200 400 600 800 1000 1200–140
–120
–100
–80
–60
–40
–20
00 200 400 600 800 1000 1200
0 200 400 600 800 1000 1200–140
–120
–100
–80
–60
–40
–20
00 200 400 600 800 1000 1200
0 200 400 600 800 1000 1200–140
–120
–100
–80
–60
–40
–20
00 200 400 600 800 1000 1200
(H28 春、改良無、透水能:不良)
(H27、改良有、透水能:可)
(H27、改良無、透水能:可)
盛土 1層
元地盤
盛土 1層
盛土 1層
c) 調査地 C(仙台 7 工区掻起)
調査ライン起点からの水平距離(cm)
深さ(
cm)
d) 調査地 D(仙台 7 工区未掻起)
深さ(
cm)
調査ライン起点からの水平距離(cm)
S 値
深さ(
cm)
調査ライン起点からの水平距離(cm)
根系到達深
e) 調査地E(仙台17工区)
元地盤位置:-160cm
改良深 0.6m
元地盤位置:-150cm
元地盤位置:-140cm
57
図Ⅱ-14f,g 試験地 F、Gの土壌の硬さ(軟らかさ)分布と根系到達深
0 200 400 600 800−120
−100
−80
−60
−40
−20
00 200 400 600 800
(H27 秋、改良有、透水能:良好、不良)
(H27 秋、改良有、透水能:良好~可)
盛土 2層
盛土 2層
盛土 2層
盛土 2層
f) 調査地 F(岩沼 9 工区西)
調査ライン起点からの水平距離(cm)
深さ(
cm)
調査ライン起点からの水平距離(cm)
深さ(
cm)
g) 調査地 G(岩沼 9 工区東)
根系到達深
0 200 400 600 800−120
−100
−80
−60
−40
−20
00 200 400 600 800
S 値
元地盤位置:-240cm
改良深 0.3~0.4m
元地盤位置:-240cm
改良深 0.3~0.4m
58
図Ⅱ-14h,i 試験地 H、Iの土壌の硬さ(軟らかさ)分布と根系到達深
0 200 400 600 800−180
−160
−140
−120
−100
−80
−60
−40
−20
00 200 400 600 800
0 200 400 600 800−120
−100
−80
−60
−40
−20
00 200 400 600 800
(H28 春、改良有、透水能:良好)
(H28 春、改良有、透水能:可)
盛土 1層
盛土 1層
改良深 0.6m
改良深 0.6m
h) 調査地 H(岩沼 7 工区西)
調査ライン起点からの水平距離(cm)
深さ(
cm)
調査ライン起点からの水平距離(cm)
i) 調査地 I(岩沼 7 工区東)
根系到達深
S 値
深さ(
cm)
元地盤位置:-240cm
元地盤位置:-240cm
59
図Ⅱ-14j 試験地 Jの土壌の硬さ(軟らかさ)分布と根系到達深
(H24 春~H25 春、改良有、透水能:良好)
元地盤位置:-140~-170cm
盛土 1層
元地盤
改良深不明
0 200 400 600 800 1000 1200−200
−180
−160
−140
−120
−100
−80
−60
−40
−20
00 200 400 600 800 1000 1200
調査ライン起点からの水平距離
深さ(
cm)
j) 調査地 J(田ノ神国有林)
S 値
根系到達深(H24 春~H25 春、改良有、透水能:良好)
60
図Ⅱ-14k 試験地 Kの土壌の硬さ(軟らかさ)分布と根系到達深
–50 0 50 100 150 200 250 300 350–140
–120
–100
–80
–60
–40
–20
0–50 0 50 100 150 200 250 300 350
−50 0 50 100 150 200 250 300 350−140
−120
−100
−80
−60
−40
−20
0−50 0 50 100 150 200 250 300 350
(H8、改良有、透水能:良好)
元地盤位置:-160cm
元地盤位置:-160cm
盛土 3~4 層
盛土 3~4 層
改良深 1.0m 間隔 1.0m 幅 0.6m
根系到達深
根系到達深
k) 調査地 K(千葉県有林(白子町))
調査ライン起点からの水平距離(cm)
深さ(
cm)
S 値
調査ライン起点からの水平距離(cm)
対象木 1
対象木 2
深さ(
cm)
61
表Ⅱ-13 透水能(調査地 A~E)
調査地名 番号 深さ
(cm)
減水能
(mm/hr)
A 仙台 9 工区_南 A1 30 3 不良
A 仙台 9 工区_南 A1 60 12 不良
A 仙台 9 工区_南 A2 30 0 不良
A 仙台 9 工区_南 A2 60 15 不良
A 仙台 9 工区_南 A3 15 12 不良
A 仙台 9 工区_南 A3 25 1.5 不良
A 仙台 9 工区_南 A3 60 300 良好
B 仙台 9 工区_北 B1 30 6 不良
B 仙台 9 工区_北 B1 60 36 可
B 仙台 9 工区_北 B2 30 30 可
B 仙台 9 工区_北 B2 60 63 可
B 仙台 9 工区_北 B3 30 3 不良
C 仙台 7 工区_掻起 C1 30 60 可
C 仙台 7 工区_掻起 C1 60 72 可
C 仙台 7 工区_掻起 C2 30 39 可
C 仙台 7 工区_掻起 C3 30 30 可
C 仙台 7 工区_掻起 C3 60 15 不良
D 仙台 7 工区_未掻起 D1 30 48 可
D 仙台 7 工区_未掻起 D1 60 45 可
D 仙台 7 工区_未掻起 D2 30 66 可
D 仙台 7 工区_未掻起 D2 60 110
D 仙台 7 工区_未掻起 D3 30 45 可
D 仙台 7 工区_未掻起 D3 60 over 300 良好
E 仙台 17 工区 E1 30 15 不良
E 仙台 17 工区 E2 30 3 不良
E 仙台 17 工区 E2 30 6 不良
62
表Ⅱ-14 透水能(調査地 F~I)
調査地名 番号 深さ
(cm)
減水能
(mm/hr)
F 岩沼 9 工区_西 F1 30 330 良好
F 岩沼 9 工区_西 F1 60 159 良好
F 岩沼 9 工区_西 F2 30 15 不良
F 岩沼 9 工区_西 F2 60 15 不良
F 岩沼 9 工区_西 F3 30 18 不良
F 岩沼 9 工区_西 F3 60 24 不良
G 岩沼 9 工区_東 G1 30 66 可
G 岩沼 9 工区_東 G2 30 over 300 良好
G 岩沼 9 工区_東 G2 60 53 可
G 岩沼 9 工区_東 G3 30 over 300 良好
H 岩沼 7 工区_掻起 H1 30 36 可
H 岩沼 7 工区_掻起 H1 60 32 可
H 岩沼 7 工区_掻起 H2 30 66 可
H 岩沼 7 工区_掻起 H2 60 29 不良
H 岩沼 7 工区_掻起 H3 30 72 可
H 岩沼 7 工区_掻起 H3 60 33 可
I 岩沼 7 工区_掻起 I1 30 105 良好
I 岩沼 7 工区_掻起 I2 30 174 良好
I 岩沼 7 工区_掻起 I3 30 132 良好
I 岩沼 7 工区_掻起 I4 60 27 不良
63
表Ⅱ-15 透水能(調査地 J~K)
調査地名 番号 深さ
(cm)
減水能
(mm/hr)
J 田ノ神国有林 J1 30 over 300 良好
J 田ノ神国有林 J1 60 over 300 良好
J 田ノ神国有林 J2 30 over 300 良好
J 田ノ神国有林 J2 60 over 300 良好
J 田ノ神国有林 J3 30 over 300 良好
J 田ノ神国有林 J3 60 over 300 良好
J 田ノ神国有林 J4 30 over 300 良好
J 田ノ神国有林 J4 60 over 300 良好
J 田ノ神国有林 J5 30 over 300 良好
J 田ノ神国有林 J5 60 over 300 良好
J 田ノ神国有林 J6 30 over 300 良好
J 田ノ神国有林 J6 60 over 300 良好
K 千葉県有林(白子町) K1 30 over 300 良好
K 千葉県有林(白子町) K1 60 over 300 良好
K 千葉県有林(白子町) K2 30 over 300 良好
K 千葉県有林(白子町) K2 60 over 300 良好