保険点数 1,000点...
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重症筋無力症診療ガイドライン2014.(一部改編) 慶應義塾大学MGデータベース(n=430)
Caress JB, et al. Anti-MuSK myasthenia gravis presenting with purely ocular findings. Arch Neurol. 2005; 62: 1002-3.Ishii W, et al. Myasthenia gravis with anti-MuSK antibody, showing progressive muscular atrophy without blepharoptosis. Intern Med. 2005; 44: 671-2.
1)2)
重症筋無力症(MG)の診断に
抗MuSK抗体監修:慶應義塾大学医学部神経内科 鈴木 重明 先生
保険点数 1,000点
抗AChR抗体陰性例では、抗MuSK抗体の測定が重要です
抗MuSK抗体陽性MGに特徴的な症状
抗MuSK抗体陽性重症筋無力症の症状は、嚥下障害や咀嚼障害、顔面・頸部筋力低下を呈する場合が多く特徴的であると言われております。一方、眼症状のみ1) や筋萎縮2) が主体の抗MuSK抗体陽性例も報告されており、臨床症状のみで確定・除外診断をすることは難しいです。そのため、MGの確定・除外診断に多く使われている抗AChR抗体が陰性であれば、抗MuSK抗体を測定することが重要です。
診断における抗AChR抗体と抗MuSK抗体の役割が重要視され、「症状」+「自己抗体」での診断が可能になりました
重症筋無力症診断基準案2013A
B
C
症状 上記「MGの代表的な症状」を参照
神経筋接合部障害
病原性自己抗体1. 抗アセチルコリンレセプター(AChR)抗体 陽性2. 抗筋特異的チロシンキナーゼ(MuSK)抗体 陽性
1. 眼瞼の易疲労性試験陽性2. アイスパック試験陽性3. テンシロンテスト陽性4. 反復刺激試験陽性5. 単繊維筋電図でジッターの増大
判定・Aの1つ以上、かつBのいずれかが認められる・Aの1つ以上、かつCのいずれかが認められ、他の疾患が鑑別できる
MGにおける病因論的自己抗体の頻度のグラフ
抗体陰性抗Lrp4抗体
抗MuSK抗体
MGの代表的な症状
保険適用項目:抗 AChR抗体、抗MuSK 抗体保 険 適 用 外:抗Lrp4 抗体
嚥下障害 顔面筋力低下 構音障害 眼球運動障害咀嚼障害 頸部筋力低下 呼吸障害
抗AChR抗体
抗MuSK抗体陽性MGで報告されている症状
眼瞼下垂四肢筋力低下
抗MuSK抗体が発見された2001年以前、本症例は抗AChR抗体陰性MGの診断のもと拡大胸腺摘除術と免疫吸着療法が行われた。現在、いずれも抗MuSK抗体陽性MGでは無効な治療とされている。またカルシニューリン阻害薬は2000年から使用可能になったが、本症例ではステロイドを長期にわたり大量に使用したため多彩な副作用に苦しむことになった。抗MuSK抗体が容易に測定できるようになり、MGの診断だけでなく患者さんにとって最適な治療を提供することが可能となった。
抗MuSK抗体測定は、最適な治療への指針になります
抗MuSK抗体が測定されていない時代に、最適な治療が行われなかった症例
246-01-1503-500S
〒112-0002 東京都文京区小石川2-7-3TEL:03-5802-5971 FAX:03-5802-5974http://www.cosmic-jpn.co.jpe-mail: [email protected]
1997年 1998年 2004年 2009年 ~現在
MGと診断
●メスチノン投与 無効
急速増悪
抗AChR抗体陰性
●退院 → 退職 → ADLの制限大
●症状は軽快傾向
●長期ステロイド内服 に伴う副作用発現
抗MuSK抗体陽性
症例のポイント
【検査要項】
検査項目名
抗筋特異的チロシンキナーゼ抗体(抗MuSK抗体)
測定方法 基準値*1 実施料*2
*1:基準値は施設毎に設定してください *2:平成27年4月現在
0.02nmol/L 未満 1,000点RIA
【症例】 41歳女性1997年(24歳) 日内変動を伴う嚥下困難、頚部筋力低下で発症。神経学的所見では眼球運動障害を認め、四肢近位筋、頚部の筋力低下を認めた。抗AChR抗体陰性、筋電図では連続刺激でwaningなし。テンシロンテストは陽性、他の疾患は除外でき、重症筋無力症と診断。
●上気道炎 → クリーゼ → 人工呼吸管理 → 気管切開
中心性肥満ムーンフェイス精神症状骨粗鬆症緑内障
ステロイド5mg/dで経過観察中
6ヵ月間入院
抗AChR抗体陰性例では、抗MuSK抗体の測定が重要です抗AChR抗体陰性例では、抗MuSK抗体の測定が重要です
●ステロイド減量ステロイド療法
●拡大胸腺摘除術
●免疫吸着療法 改善なし
+
ステロイド漸増・漸減
症例報告
●複視、四肢筋力低下、 構音障害を疲労時に 自覚