赤坂五丁目再開発...

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はじめに 赤坂五丁目再開発は,㈱東京放送が所有する赤坂の約 33,000m 2 の敷地に,末永く魅力的な街を誕生させるとい う大型プロジェクトである。本開発は,業務・商業施設 の赤坂Bizタワー,文化施設の赤坂ACTシアターと赤坂 BLITZ,居住施設の赤坂ザ・レジデンスの4施設を核 に,洗練された新しい生活シーンの創出を期待した街区 整備と,公園や防災倉庫などの地域関連整備を一体的か つ効率的に行う点が特徴である(図-1)。開発コンセ プトは,赤坂のまちの歴史を継承しつつ,TBS放送セ ンター(既存棟)を含めて,将来にわたって永く文化が 息づく魅力的な街区を創造することで,2008年3月20日 のグランドオープン以降,「赤坂サカス」という愛称で 親しまれている。 ここでは,本開発の主要4施設(図-1)と本開発に あわせて新たに整備した地域冷暖房施設(赤坂熱供給㈱, 第2プラント)を対象に,設備計画の概要を紹介する。 1.本開発の全体概要 所在地 東京都港区赤坂五丁目 用  途 事務所,商業施設,劇場,共同住宅等 建  主 ㈱東京放送 P  M 三井不動産㈱ 設  計 ㈱久米設計 監  理 ㈱久米設計 敷地面積 33,095.74m 2 建築面積 14,288.54m 2 延床面積 218,526.17m 2 建蔽率 43.17% 容積率 568.35% 地域地区 商業地域,近隣商業地域,第二種住居地域 道路幅員 東15m,西6m,南15m,北4m 駐車台数 489台 設計期間 2001年6月~2004年12月 施工期間 2005年1月~2008年1月 14 建築設備士・2008・9 赤坂五丁目再開発 赤坂サカス Akasaka 5-chome redevelopment : Akasaka Sacas 田村 富士雄 FUJIO TAMURA (㈱久米設計 環境設備設計部 統括部長) 中 村 導 彦 MICHIHIKO NAKAMURA (㈱久米設計 環境設備設計部 主管) 町野 陽一郎 YOICHIRO MACHINO (㈱久米設計 環境設備設計部 主管) OSAMU KODAMA (㈱久米設計 環境設備設計部 主管) 織 間 正 行 MASAYUKI ORIMA (㈱久米設計 環境設備設計部 主管) AKIRA HATANAKA (㈱久米設計 環境設備設計部 上席主査) FLASH 空調 衛生 電気 写真-1 本開発の全景 図-1 「赤坂五丁目再開発」の施設概要

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はじめに

赤坂五丁目再開発は,㈱東京放送が所有する赤坂の約

33,000m2の敷地に,末永く魅力的な街を誕生させるとい

う大型プロジェクトである。本開発は,業務・商業施設

の赤坂Bizタワー,文化施設の赤坂ACTシアターと赤坂

BLITZ,居住施設の赤坂ザ・レジデンスの4施設を核

に,洗練された新しい生活シーンの創出を期待した街区

整備と,公園や防災倉庫などの地域関連整備を一体的か

つ効率的に行う点が特徴である(図-1)。開発コンセ

プトは,赤坂のまちの歴史を継承しつつ,TBS放送セ

ンター(既存棟)を含めて,将来にわたって永く文化が

息づく魅力的な街区を創造することで,2008年3月20日

のグランドオープン以降,「赤坂サカス」という愛称で

親しまれている。

ここでは,本開発の主要4施設(図-1)と本開発に

あわせて新たに整備した地域冷暖房施設(赤坂熱供給㈱,

第2プラント)を対象に,設備計画の概要を紹介する。

1.本開発の全体概要

所 在 地 東京都港区赤坂五丁目

用  途 事務所,商業施設,劇場,共同住宅等

建  主 ㈱東京放送

P  M 三井不動産㈱

設  計 ㈱久米設計

監  理 ㈱久米設計

敷地面積 33,095.74m2

建築面積 14,288.54m2

延床面積 218,526.17m2

建 蔽 率 43.17%

容 積 率 568.35%

地域地区 商業地域,近隣商業地域,第二種住居地域

道路幅員 東15m,西6m,南15m,北4m

駐車台数 489台

設計期間 2001年6月~2004年12月

施工期間 2005年1月~2008年1月

14 建築設備士・2008・9

赤坂五丁目再開発 赤坂サカスAkasaka 5-chome redevelopment : Akasaka Sacas

田村 富士雄FUJIO TAMURA

(㈱久米設計環境設備設計部統括部長)

中 村 導 彦MICHIHIKO NAKAMURA

(㈱久米設計環境設備設計部主管)

町野 陽一郎YOICHIRO MACHINO

(㈱久米設計環境設備設計部主管)

小 玉 敦OSAMU KODAMA

(㈱久米設計環境設備設計部主管)

織 間 正 行MASAYUKI ORIMA

(㈱久米設計環境設備設計部主管)

畠 中 章AKIRA HATANAKA

(㈱久米設計環境設備設計部上席主査)

③ FLASH 空調 衛生 電気

写真-1 本開発の全景 図-1 「赤坂五丁目再開発」の施設概要

2.本開発の概要

本開発では,敷地北側住宅地と隣接する静的ゾーンを

「丘と緑の軸」,赤坂通りおよび一ツ木通りに面する動的

ゾーンを「にぎわい軸(TBSの軸)」として位置づけて

いる(図-2)。本開発の核施設で,低層部に商業施設

を有する赤坂Bizタワーは,赤坂通りと一ツ木通りに面

して配置し,にぎわい軸の連続性に配慮している。また,

人の目線を意識したスケール感などへの配慮から,2つ

の通り沿いの空地に低層のアネックス棟(独立店舗棟)

を設け,中央広場(ウェルカムプラザ)からサカス広場

(イベントプラザ)に自然と繋がる計画としている。サ

カス広場は,TBSの顔(玄関口)として機能するほか,

広場に隣接して赤坂BLITZと赤坂ACTシアターを配置

することで,にぎわいの創出を図っている。

一方,赤坂ザ・レジデンスは,高低差のある本敷地に

あって最もレベルの高い静的ゾーンに配置し,“丘の上

にたたずむ住宅”を具現化している。また,丘と緑の軸

との連続性を保ち,ジョギングや散策などを含めて人が

集い楽しむ生活シーンを演出する。

赤坂サカスのランドマークとして機能する赤坂Bizタ

ワーは,敷地周辺への威圧感の軽減などに配慮するため,

高層部のファサードを縦に流れる細やかなフィンを用い

たガラスカーテンウォールとしている。また,本開発で

は,土地の記憶を継承する視点から,丘や坂を機能的に

残した全体計画としており,掘削土量の少ない環境に配

慮した計画としている。

3.赤坂Bizタワー

3.1 建築概要

本施設は,大別して4階以上のオフィスゾーン,地下

2階~地上3階のショップゾーンの2ゾーンで構成され

る。建物内へは,東京メトロ千代田線赤坂駅から地下で

直結する利便性の高いアクセスのほか,地上では,一ツ

木通り側や建物北側車寄せのオフィスエントランス,中

央広場からの商業エントランスなど,目的に応じた動線

が確保されている(図-3)。

基準階はコの字型の平面構成で,1フロアあたりの専

有部面積は約2,800m2,天井高2,850mm,OAフロア

150mm,奥行き約17m,基本スパン7,200mmと,ゆと

りのある計画としている(図-4)。オフィスレイアウ

トなどの変更にフレキシブルに対応するため,照明器具,

吹出口,スプリンクラーヘッドなどがグリッド単位で変

更(移設)できる600×600のグリッドシステム天井を用

いている(写真-2)。また,1フロアあたり8テナン

ト区画を設定する一方で,専有部に階段の設置も可能で,

大口テナントニーズにも対応している。強電および弱電

用EPSや空調機械室などの設備は,将来変更や拡張にも

フレキシブルに対応するため,テナント区画ごとに設け

2008・9・建築設備士  15

にぎわい軸

丘と緑の軸

にぎわい軸

丘と緑の軸

図-2 配置図(1階平面図)および低層部の外観

図-3 配置図(1階平面図)

図-4 基準階平面図

写真-2 オフィス専有部のグリッドシステム天井

て共用部からの維持管理が可能な計画とした。各階南側

のスカイビューラウンジは,十分な換気量を確保して喫

煙対応とし,分煙による受動喫煙防止に配慮している。

また,南側の東西両サイドのメカニカルデッキは,テナ

ントニーズに応じて空調増強用のPAC室外機置場など

として機能する。

空調,衛生,電気の主要設備室は,地下3階に大部分

を集約し,エネルギー供給や維持管理業務などの効率性

の向上に配慮した。また,1階北側車寄せに近接して防

災センター(監視室)を設けることで,防災計画の合理

性にも配慮した。

3.2 空調設備概要

熱源受入・搬送設備

東京都地域冷暖房計画区域に本開発エリアが指定され

ていることなどから,本施設では,地域冷暖房(DHC)

である赤坂熱供給㈱から,冷水・蒸気を受け入れる計画

とした。受入設備は地下3階の熱源受入設備室に設け,

冷水(往き6℃~還り14℃,ピーク時受入熱量

66,269MJ/h)と蒸気(0.78MPa,ピーク時受入熱量

28,665MJ/h)を受け入れている。

熱源搬送システムは,年間を通した冷暖房選択への対

応性などを考慮し,全館にわたり冷水および蒸気(また

は温水)の4管式とした。また,“搬送動力の低減,供

給圧力の適正化,安全性の確保”などを目指し,①オフ

ィステナントが入居する4階以上は「冷水と蒸気」,②

ショップテナントが入居する3階以下は「冷水と温水」

による計画とし,供給エリアに応じた適切な熱源選定と

している。冷水供給では,二次側温度差の拡大(往き

7℃~還り15℃),および,熱負荷に応じた変流量制御

によって省エネルギー性の向上に配慮した。また,空調

機冷水コイルの耐圧を標準仕様とするため,3つの階層

区分で構成している(図-6,図-7)。一方,蒸気供

給では,暖房と加湿系統の配管を独立し,二次側蒸気圧

力を0.2Mpaとして安全性などに配慮した(図-6,

図-8)。

冷水および温水配管系統は,溶存酸素などの影響に伴

う配管内部劣化を防止し,配管の長寿命化を図るため,

脱気装置を設けている。

空気調和設備

各室の空調方式は,室用途,利用時間,非常時対応,

課金対応,建築空間の特異性などを考慮し,空調対象

(室またはエリア)に応じて選定した(表-1)。

1)オフィス専有部の空調システム

インテリアゾーンとペリメータゾーンの2系統を受け

持つマルチ型空調機を用いて,インテリアゾーンは変風

量単一ダクト方式,ペリメータゾーンは定風量単一ダク

ト方式としている(図-9)。本システムは,大部屋使

用に限らず,窓際に小部屋ができても,良好な室内温熱

環境の確保が可能である(図-10)。インテリア系統は

搬送動力の低減を図るため,室内負荷に応じた可変風量

制御に加えて,吹出し温度差13℃の大温度差送風方式を

併用した。また,冬期の室内相対湿度を良好に維持する

ため,加湿はレタン空気側で行っている。一方,スキン

ロード処理を主な目的とするペリメータ系統は,「窓際

天井吹出し+ペリカウンター吸込み」によるエアバリア

方式としている。窓際温熱環境を良好に維持するため,

ペリメータ系統の吹出し温度は,“方位別日射量および

外壁やガラスなどの外皮熱特性”から,最適な吹出し温

度を中央監視で演算処理し,制御する方式を開発し採用

した。また,Low-eペアガラスであっても,冬期のガラ

ス面では結露の恐れがあるので,ペリメータ系統は加湿

なしとした。

2つの方位に面する空調機系統(図-11中の“4

(北と東に面する)”と“5(北と西に面する)”のエリ

ア)では,窓際に小部屋ができた場合の室内温熱環境を

良好に維持するため,デュアルVAV方式によって適切

に制御できるシステムとしている(図-11の“★印”の

想定小間仕切り部分)。

空調発停制御は,テナント区画毎に設けた2系統マル

チ空調機8台と,室内負荷の偏在を考慮した47台の

VAV(50~100m2程度ごとに設置)によってきめ細か

く対応できるものとした(図-11)。また,外気冷房に

よる省エネルギー性の向上を図るため,外気温湿度条件

に応じて必要外気量の2倍の外気量まで導入可能とした。

空調増強対応はPAC方式によるものとし,室外機はメ

16 建築設備士・2008・9

図-5 断面図

カニカルデッキ(図-4)に設ける計画とした。空調増

強容量は,一般階で22W/m2程度,特殊階で36W/m2程

度に対応できる。

本システムは,導入外気の一部を廊下にパスして共用

部から排気するので,コアタイム外で空調機が停止した

場合,エアバランスがくずれる欠点がある。そこで,本

システムでは,空調機停止台数に応じてトイレ排気を間

欠運転制御に切替える工夫などを行っている(図-12,

表-2)。

2)店舗専有部の空調システム

飲食店舗に対応した換気量を確保した上で,エリア単

位での外気処理空調機と4管式FCU方式(ゾーン切替

え)を組み合わせた空調方式とした。

各店舗への外気は,①厨房内温熱環境の向上,②給気

ダクト展開の容易性確保などの観点から,すべて外気処

理空調機で処理し,客席および厨房用のCAVを介して

供給する。外気量は店舗ごとの床面積あたり,客席で10

m3/h・m2,厨房で35m3/h・m2を確保した。一方,店

舗排気は客席と厨房の2系統とし,各々CAVを設けて

排気する。なお,厨房排気系統に設けるCAVは,油脂

分の付着などに伴う動作不良が生じないよう,清掃の容

易性を考慮した機器仕様としている。また,厨房からの

有臭排気系統には,脱臭装置(セラミックフィルター)

を設けている。

室内負荷処理用のFCU能力は,照明・コンセン負荷

96W/m2,人員密度0.6人/m2などから選定した。また,

ガラスからの熱輻射が懸念される店舗では,設計室内温

度をやや低めの24℃とし,温熱不快感の抑制に配慮した。

空調増強対応は,冷水・温水とも標準容量の20%増強

に対応している。さらに,外部から直接出入り可能な店

舗は,5HP相当のPACによる増強も可能とした。

3)高天井部分の空調システム

オフィスロビーや商業エントランスは,省エネルギー

性と快適性を両立するため,居住域空調方式とした。具

体的には,二重床内に空調空気を送風し,“窓廻りでの

2008・9・建築設備士  17

図-7 冷熱源システムの概要

図-6 熱源搬送における階層区分の概要

床吹出し”と“インテリア側の壁幅木レベルからの吹出

し”を併用する計画とした。本方式は,床からの冷輻射

または温輻射効果によって,快適性の向上が期待できる。

また,種々の案内装置設置などの将来ニーズに伴い,後

打ちアンカーの対応などが必要となっても,全空気式の

床輻射空調方式であるので,漏水の危険がなく,比較的

容易に対応できる利点がある。

4)そのほかの空調システム

防災センター(監視室)や管理事務室などの24時間空

調の室は,「床置ダクト型PAC空調機+単一ダクト方式」

とし,個別運転制御性,水損対策,非常時の空調対応な

どに配慮した。また,PAC空調機は100%容量を2台設

置とすることで,より高い安全性と更新時などの対応の

容易性も確保した。

煙突効果による外気侵入や室内空気漏洩に伴う室内温

18 建築設備士・2008・9

表-1 空調対象に応じた与条件と空調システムの概要

空調対象部分 選定した空調システム

空調機+変風量単一ダクト方式

空調機+単一ダクト方式

PAC空調機+単一ダクト方式 PAC空調機(+単一ダクト)方式 外調機+定風量単一ダクト+FCU方式 空調機+輻射併用床吹出し方式

外調機+FCU方式

与条件 年間 冷房 ○

○ ○ ○ ○

専有部

共用部

防災センター 電気関連諸室 店舗専有部 高天井部分

上記以外の諸室

基準階 低層階

時間外 空調 ○

○ ○

24時間 空調 ○ ○

非常時 空調 ○ ○

水損 対策 ○

○ ○ ○

課金 対応 ○

その他の配慮事項 ①室内負荷偏在への対応 ②空調発停および制御単位の適正化 ③窓廻りの温熱環境の快適性を確保 ④省エネルギー性の向上 ①第3種換気エリアとのエアバランスを確保 ①故障や更新時の対応 ①省エネルギー性の向上 ①全店舗飲食店化への対応 ①省エネルギー性の向上 ①特になし

図-8 温熱源システムの概要

図-9 オフィス専有部の空調システム概念図

熱環境の悪化を防止するため,オフィスロビーは外気処

理空調機によって,商業エントランスは給気ファンによ

って,風除室を加圧している(加圧風量は5回/h程度)。

また,オフィス用エレベータ(8台×4バンク)のエレ

ベータホールに設けた自動扉のほかに,エレベータ扉は

遮煙仕様,屋上から屋外に通ずる扉は気密仕様,換気や

排煙系統の竪ダクトからの分岐ダクトに設けるダンパは

気密仕様とするなど,十分な対策を行っている。

換気設備

清らかな室内空気環境を実現するため,建築基準法,

ビル衛生管理法などに準拠し,室用途に応じて第1種ま

たは第3種換気設備を設けている。ただし,防災計画上,

地下駐車場に供する倉庫などは,油塵などによる汚れを

防止するため,第2種換気(倉庫に外気を給気,倉庫か

ら駐車場に排気)とした。

換気量が大きい地下駐車場は,省エネルギー性の向上

を図るため,駐車場内のCO濃度によって換気ファン

(可変ピッチファン)の風量を制御するシステムとした。

さらに,併用する小型誘引ファンの分散設置によって,

換気量が絞られた場合でも排ガスなどの滞留に伴う空気

のよどみが生じない計画とした。

排煙設備

全館避難安全検証法(Cルート)により,①機械排煙,

②自然排煙,③蓄煙(ロビーなどの高天井部分),④告

示による排煙免除を組み合わせることで,安全避難計画

上,支障がない設備としている。

機械排煙は,低層部(3階以下の階)で5系統,高部

(4階以上の階)で1系統,附室2系統の計8系統で構

成した。機械排煙風量は,オフィス専有部の微排煙0.2

m3/min・m2を除き,1m3/min・m2を確保している。

また,押出し排煙方式とした附室系統の送風機は,火災

時における附室への煙の流入を確実に防止するため,十

分な能力(35,700m3/hと38,400m3/h)を確保した。

監視制御設備

中央監視システムは,汎用性や拡張性などに優れた

BACnet/web(メインバス)とLonworks(フィールド

バス)を併用したオープンシステムとしている。また,

機能分散による信頼性の向上や,増設および変更の容易

性などを考慮し,設備機器単位での個別分散制御装置

(DDC)方式による階層化構成とすることで,万一,中

央処理装置に障害が生じた場合でも,末端側の機能が確

保でき,運転制御が維持できるシステムとしている

(図-13)。

2008・9・建築設備士  19

図-11 基準階設備の概要

図-10 小部屋内温熱環境の検討例(左:夏期・西面,右:冬期・北面)

オフィス専有部では,新たに開発したVAV統合リモ

コン(W170×H136×D23,5.7インチカラー液晶)か

ら,タッチパネルでの操作によって空調延長運転や室内

温度の設定などが可能である(図-14)。VAV統合リモ

コンは,VAV15台までの接続が可能で,web通信接続

やパスワード入力による機能制限などにも対応している。

中央監視盤は1階防災センター内に設け,中央監視盤

の画面上から,空調および衛生設備などの各種機器の発

停,スケジュール設定,運転表示,警報監視などが可能

な計画とし,約24,000点の十分な監視点数を設けている

(表-3)。また,運転および維持管理機能の向上を図る

ため,施設台帳管理,契約先管理,保全計画管理,履歴

20 建築設備士・2008・9

運転 パターン

空調機 停止台数 0台 1台 2台 3台 4台 5台 6台 7台 0台

レタンパス [m3/h] 4,800 4,200 3,600 3,000 2,400 1,800 1,200 600

共用部排気 [m3/h] 4,800 4,800 4,800 2,000 2,000 2,000 2,000 2,000

エアバランス [m3/h]

停止

男女便所同時運転時 0 -600 -1,200 1,000 400

-200 -800 -1,400

共用部排気 [m3/h] 4,400 4,400 4,400 4,400 4,400

エアバランス [m3/h] -1,400 -2,000 -2,600 -3,200 -3,800

通常時 運 転

バランス 運  転

※バランス運転は,湯沸室・自販機の排気は停止,便所は人感センサによる間  欠運転とする。

表-2 基準階のエアバランスの概要

図-12 基準階のエアフローの概要

図-14 オフィス専有部の空調端末

図-13 中央監視システム概念図

台帳,エネルギー管理,時間外運転管理などの種々の機

能を有したBEMSを導入した。エネルギー管理は,エネ

ルギー解析支援ツール(Ene Works)を活用し,設備

システムの運転状況,エネルギー消費量,室内環境など

に関する“データ分析,分析結果による傾向把握”など

がより簡単に行える計画とした。

3.3 衛生設備概要

給水設備

上水は,赤坂通りの水道本管250φから150φで引き込

み,地下3階に設けた受水槽(有効208m3,FRP製)に

導いている。本施設の給水源は,上水と中水(雑排水,

厨房排水,雨水の排水再利用水)とし,貴重な水資源の

保全や都市インフラへの負荷軽減に配慮している。上水

は,飲用水,手洗用水,散水,冷却塔補給水(DHC),

中水は,便器洗浄水(一部,植栽灌水も含む)に使用す

る(図-15)。

給水方式は,給水圧力の適正化,省エネルギー性の確

保などを考慮し,上水および中水とも加圧給水方式と重

力給水方式を組み合わせた方式としている(図-16)。

飲食店舗などの集積に伴い,給水負荷が大きい低層部

(3階以下の階)は,加圧給水方式により給水箇所に供

給する。なお,加圧給水ポンプは低負荷時や故障時など

の対応を考慮し,5台ローテーション・4台並列運転と

している。一方,4階以上のオフィスゾーンは,4~17

階と18~38階の2つの給水ゾーニングに区分し,屋上の

高架水槽と20階の中間水槽から重力給水方式により給水

箇所に供給する。重力給水系統は,給水圧力が400kPa

を超えないように,必要箇所に減圧弁装置(設置箇所で

は90kPa程度に減圧,減圧弁はダブル設置とし,給水圧

力異常によって切替弁の自動切替え)を設け,給水圧力

の適正化に配慮した。

便器洗浄水系統の中水には,尿石による配管の閉塞に

伴う排水障害などを抑制するため,活水器(流動電解式,

100φ×415L/min)を設けている。

2008・9・建築設備士  21

区  分 空調設備

衛生設備

電気設備 防災設備 防犯設備

系 統 名 称

合 計 約24,000ポイント

操作 ○ ○ ○ ○ ○ ○

冷熱源,温熱源 店舗系統外調機 オフィス系統空調機 店舗系統ファンコイル 電気室・ELV機械室PAC 漏水警報 気象計測 店舗系(上水・電力・熱量)計量 オフィス系(電力)計量 オフィス系(熱量)計量 送風機・排風機 水槽廻り 消火設備 受変電設備 火災警報 オフィス入退室監視

表-3 中央監視ポイントの概要

状態 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

警報 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

設定 ○ ○ ○

計測 ○ ○ ○ ○ ○ ○

積算 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

備考 課金用 BEMS用 空調機,店舗天井内排水管など 温湿度,風向風速,日射量など 課金用 課金用 BEMS用(5,15,25,35,38階) BEMS用 火災停止用 空調停止用

図-15 水の循環システムの概要

図-16 給水における階層区分の概要

オフィス専有部内への厨房や湯沸しの設置など,テナ

ントニーズに対応するため,基準階には,厨房給水用竪

管(50A)を2系統,一般給水用竪管(25A)を3系統,

合理的な位置に設けている(図-11)。一方,店舗専有

部には,各店舗の床面積あたり30L/min・m2の一次側

給水管を設けている。

給湯設備

給湯の大部分を占める「トイレ内の洗面給湯と湯沸室

の飲用および洗い用給湯」は,貯湯式電気温水器による

局所給湯とし,配管熱損失の抑制による省エネルギー性

の向上に配慮した。また,地下2階の維持管理関連諸室

ゾーンに設けたシャワー系統は,DHCからの熱源に頼

らず,24時間使用できる自由度の高い計画とするため,

十分な貯湯量(700L×1台,900L×1台)を確保した

貯湯式電気温水器を設けている。

一方,低層部の店舗専有部には,低圧ガス一次側を設

け,テナントニーズに応じてガス湯沸器を設置できる計

画としている。

排水設備

屋内は,汚水,雑排水,雨水,厨房排水,機械排水の

5系統による分流方式とし,屋外は,雨水を除く排水と

雨水の分流方式とした。下水道本管には,敷地内最終桝

から公設桝に接続(赤坂通り側は200φ,一ツ木通り側

は300φ)し,放流する。汚水は,敷地周辺インフラへ

の流出抑制を考慮し,一部の直放流系統を除き,汚水貯

留槽(有効283m3,二重ピット利用)に貯留し,夜間に

放流する計画とした。また,雨水は,十分な雨水抑制槽

(約2,470m3)を設けて,周辺環境に配慮した流出抑制を

行っている。

専有部内への厨房や湯沸しの設置など,オフィステナ

ントのニーズに対応するため,基準階には,厨房排水用

竪管(150φ)を2系統,汚水・雑排水用竪管(100φ)

を3系統,合理的な位置に設けている(図-11)。

衛生器具設備

保健衛生的な要求やハートビル法の利用円滑化基準な

どを満足し,節水,節電,使いやすさなどを考慮した器

具を選定し,サニタリー空間の快適性の向上とユニバー

サルデザインに配慮した。また,基準階のトイレは,将

来の配管更新の容易性などに配慮し,ユニットトイレと

した。

消火設備

消防法,東京都火災予防条例などに準拠し,室用途な

どに応じて安全性および信頼性に優れた消火設備を設け

ている(表-4)。基準階は,オフィスでの水損対策を

考慮し,湿式予作動スプリンクラー設備による警戒を基

本としている。また,水系消火設備は,適切な圧力ゾー

ニングを考慮し,スプリンクラーで3系統,連結送水管

で4系統の階層区分としている(図-17)。

高圧電気室,通信情報機械室,非常用発電機室などに

設ける不活性ガス消火設備の系統区分にあたっては,危

険物の対象となる重油燃料を使用する発電機室系統など

を,一般系統と区分する計画とした。

ガス設備

都市ガスは,一ツ木通り側の中圧ガス本管から150φ

で引き込み,地下3階のDHCエリアに供給している。

また,中圧ガスは,地下1階に設けたガバナーユニット

により圧力調整後,低圧ガスとして各店舗(単位容量

0.1Nm3/h・m2)に供給している。各店舗への低圧ガス

供給に際しては,ガス漏れ警報設備や業務用緊急遮断弁

を設け,安全性の確保に十分配慮した。

中水製造設備

中水製造設備の原水は,雑排水,厨房排水,屋根雨水

とした。雑排水および厨房排水(油脂除去後)の有機性

汚濁物質の分解は,経済性や維持管理性に優れた「土壌

菌」による生物処理方式とした。処理水は,屋根雨水と

併せてろ過設備および塩素注入装置で処理後,便器洗浄

水などの水源として再利用する。

3.4 電気設備概要

受変電設備

東京電力㈱城南変電所から,3φ3W66kV50Hz,特

別高圧ループで受電している。受電形態は,本施設の地

下3階に設けた“赤坂熱供給株式会社の第2プラント

(DHC第2プラント)”と“本施設の特高受変電設備”

を共用受電とし,イニシャルコストの軽減などを図って

22 建築設備士・2008・9

施設全体 高天井部分

地階および3階以上の階 地下駐車場 電気室など 厨房

ニュースプリンクラー(補助散水栓)設備,消火器 放水型スプリンクラー設備 連結送水管設備 スコール消火設備(泡消火設備同等設備) 不活性ガス消火設備(N2ガス) ダクト・フード消火設備(別途工事)

表-4 消火設備の概要

図-17 水系消火設備における階層区分の概要

いる。本施設側では,“東京電力㈱からの商用電力”と

“DHC第2プラントのCGS発電電力”を系統連系し,各

サブ電気室へ電力を供給している。高圧変電設備は,地

下3階,地下1階,3階,39階の4ヵ所に設け,用途ご

とに区分した電源計画とした(図-18)。また,共用系

統およびテナント系統は,高圧2回線によりバックアッ

プ機能を確保している。

基準階は,3階および39階の電気室から電源供給を行

い,20階で供給エリアを区分している。専有部,共用部

と別に変電設備を構築し,発電機供給エリアの区分を明

確にしている。

発電機設備

非常電源は,“DHC第2プラントのCGS(ガスタービ

ン常用防災兼用発電機2,500kVA)”と“本施設側の非常

用発電機(ガスタービン1,500kVA)”から,共用部に供

給する計画とした。また,停電時におけるテナントの非

常電源要求に対応するため,テナント用発電機(ガスタ

ービン2,000kVA)を実装している。なお,基準容量は

20VA/m2を基本とした。また,テナント専用の非常電

源などのニーズに対しては,入居者負担を原則とした。

ただし,必要に応じて入居者が発電機を設ける場合に備

えて,ガスタービン発電機5台分(2,000kVA×2台,

500kVA×3台)相当のスペースを地下と屋上に分散し

て確保している。

UPS設備

防災センターの電源は,電気室内にUPS(100kVA)

を設け,全負荷を無停電電源とすることで,より高い安

全性を確保している。また,UPSを集約することによっ

て,保守点検や計画停電時の電源切替えの容易性に配慮

した。

計画停電対応設備

保守点検時における計画停電に対しては,1階に電源

車接続盤を設け,保守専用幹線を実装することで,比較

的容易に対応できる計画としている。また,保守時でも

テナント負荷は,テナント用発電機からの電源供給が可

能なバンク構成により対応している。電源車による供給

電源を表-5に示す。電源車の供給電源は,二次側でダ

ブルスローによる自動切替えも可能なシステムとしてい

る。

電力監視制御設備

電力監視制御は,単独システム構築とする一方で,

BACnet通信によって中央監視設備ともリンクできる計

画とした。防災センター内の“モザイク式グラフィック

パネル(2,200×1,100)および卓上TFTモニター”から

監視が可能で,遠方操作は液晶タッチパネル方式として

いる(写真-3)。

電気室は,各々の盤面操作部以外に現地操作盤を設け,

集中操作が可能な仕様とした。高圧配電の主電気室では,

各電気室の状態監視も可能である。

照明設備

オフィス専有部の照明は,将来のレイアウト変更など

に容易に対応できる600グリッド照明とし,平均照度は

600Lx以上を確保している(図-20)。照明器具の配置

は,1,800×2,400ピッチとした(写真-2)。専有部は,

“窓側,中央,コア側の3つのゾーン”に区分して,各

ゾーンに照度センサを組込み,昼光利用と初期照度補正

によって,照明用エネルギーの低減を図っている(図-

21)。

オフィスロビーはペンダント照明とし,空間全体を演

出する計画とした。器具自体の演出と必要照度の確保を

両立するため,下部にはCDM35W×4,上部には

CDM35W×1を配置している。また,点滅を上下で区

分することによって,時間帯などに応じた空間演出の可

変性を確保した(写真-4)。

商業エリアは,地下1階,1階,2階の3層にわたる

空間構成である。また,部分的に3層吹抜けがあり,2

階アトリウムのトップライトからの自然光が期待できる。

そこで,地下1階から2階に対する照度設定は,昼間で

は“低から高”とし,逆に夜間では“高から低”として,

時間帯によって空間の雰囲気を演出できる(写真-5)。

ランドスケープ計画では,赤坂サカス全体での景観照

明などに配慮した計画とした。ベース照明は,低い位置

からの光を主体として,建築物からの光や樹木のライト

アップなどで鉛直面照度を確保する,やわらかい光の演

出を基本とした。また,演出用にLED照明を用いて,

時間帯や季節などに応じた演出の可変性を有した計画と

している。

コンセント設備

オフィス専有部の標準コンセント容量は,75VA/m2

とている。一般階でH150mm,特殊階(12,21,30,

38階)でH300mmの設定としている。また,幹線は,

一般階で95VA/m2,特殊階で180VA/m2の余裕ある容

量を見込んでおり,変圧器の需要率に問題がない場合は,

2008・9・建築設備士  23

図-18 高圧幹線系統の概要

24 建築設備士・2008・9

図-19 全体単線結線図

幹線の増設を伴わずに将来増設に対応できる計画として

いる。

接地設備

本施設では,統合接地方式を選定し,新JIS対応の雷

害保護設備としている。内雷保護は,重要負荷系統およ

び屋外系統にSPDを標準設置し,テナント分電盤などは,

将来設置可能な回路構成としている。

通信情報設備

本施設への引き込みは,一ツ木通り側からの数キャリ

ア対応を可能としたほか,地下鉄や東京電力㈱側からの

展開などにも対応している。また,地下1階に通信情報

機械室を設け,各通信事業者の回線を収容可能なスペー

スを確保した。携帯不感対応は4社対応とし,通信情報

機械室内に各社の機器を設けている。

基準階への展開は,“建物標準で設けたメタルケーブ

ル展開シャフト”と“通信事業者用に設けた光ケーブル

専用シャフト”に区分し,防犯性や保守管理性などを含

めた運用に配慮している(図-22)。また,ハイセキュ

リティシャフトなどのテナントニーズにも対応するため,

専有部には情報系の専用シャフトを設けている。

2008・9・建築設備士  25

表-5 電源車対応負荷表

1φ3W 210V/105V ①電気室内の照明・コンセント ②EPS内の照明・コンセント ③防災センター内の電源 ④防災センター内のPAC室内機 ⑤発電機室内の照明・コンセント ⑥特定トイレ内の照明・コンセント(自動水栓や電磁弁を含む) ⑦通用口から電気室までの廊下照明 ⑧設備要員ロッカー室内の照明・コンセント・PAC空調機 ⑨警備要員ロッカー室内の照明・コンセント・PAC空調機 ⑩管理センター内の照明・コンセント・PAC空調機 ⑪防災センター内までのTVアウトレット(ブースター電源) ⑫B2F通信情報機械室内の照明・コンセント ⑬CGS室供給幹線 3φ3W 210V ①防災センター内のPAC ②管理センター内のPAC ③設備要員ロッカー室のPAC室外機 ④警備要員ロッカー室のPAC室外機 ⑤駐車場出入口シャッター ⑥テナント用発電機補機電源および給油ポンプ制御盤 3φ3W 415V ①非常用ELV35号機 ②非常用ELV35号機 機械室PAC(室内外機共) ③操作用直流電源

明暗感知センサ

一定照度設定により昼光制御

センサ制御回路

1回路

写真-3 電力グラフィックパネル

図-20 オフィス専有部の照度分布図

図-21 オフィス専有部のセンサ制御区分図

写真-4 オフィスロビーの照明

写真-5 商業エリアの照明

将来の通信展開を容易にするため,4階,20階,32階,

39階に通信情報機械室を計画し,今後の通信事情の動向

に対応可能なスペースを確保している。

防犯設備

防犯監視は,本施設および赤坂サカス外構全体を対象

としている。防犯監視用ITVカメラは,全体で320台を

設け運用している。ITVモニターは,21インチ×5台,

45インチ×3台で常時監視し,全カメラ映像は10日間記

録できる。21インチモニターは,4画面分割を基本とし,

20エリアの主要場所を固定表示で監視する。また,45イ

ンチモニターは,30分割画面シーケンシャル,12画面分

割,21画面分割とし,1画面表示やポップアップ表示

(火災信号連動)なども可能なシステムとした(写真-

6)。カメラや画面表示切替えは,操作性に優れたタッ

チパネル方式とした(写真-6)。

本施設では,ICカードを主体とした入館管理によっ

てセキュリティの強化に配慮している。具体的には,1

階エレベータホール入口にはセキュリティゲート,オフ

ィス専有部への出入口扉にはICカードリーダーを設け

て,関係者以外の入館を制限している。また,エレベー

タ内部にもICカードリーダーを設置し,時間外などは

セキュリティレベルを強化できるシステムとした。テナ

ントへの来訪者は,QRコードを利用した発券システム

によって入館を管理するシステムとしている(写真-7)。

防災設備

1階防災センターを防災拠点とし,赤坂サカス全体で

の多重防災監視体制を構築するため,TBS放送センタ

ー(既存棟)と本施設間で防災に関する情報伝達を行う

ほか,赤坂ACTシアター,赤坂Blitz,赤坂レジデンス

の状態監視も連携した監視システムとしている(図-

23)。赤坂ACTシアターと赤坂Blitzは,建物運用上,

TBS放送センターと関係するので,TBS放送センター

内で防災に関する詳細な情報を監視できるものとしてい

る。

また,赤坂サカスには,防災センターを有する3つの

施設(本施設,赤坂レジデンス,TBS放送センター)

があるので,相互連絡用ホットラインの構築によって,

必要に応じたエリア内相互連絡を可能とし,より高い安

全性の確保に配慮した。

4.赤坂ACTシアター・赤坂BLITZ

ACTシアターおよびBLITZは,本開発以前には必要

機能を備えた仮設建物として,ほぼ同じ場所で運用され

てきた。本施設は,本開発にあわせて既存仮設建物を解

体し,現行法規に照らした安全性の高い建物として,

TBSギャラリーなどの新機能を含めて再整備したもの

(以降,2施設まとめて本文化施設とする)である。

4.1 建築概要

本文化施設は,「ミュージカルや演劇のACTシアター,

ライブハウスのBLITZ」という従前形態を継承してい

る。そして,これらの2つの劇場を軸に,新たにサカス

広場とTBSギャラリーをTBS放送センター前に有機的

に配置することで,エンターテイメントの発信拠点とな

ることを目指している。

26 建築設備士・2008・9

図-22 基準階コア部分のシャフト構成

写真-6 ITVモニターおよびITVタッチパネル 写真-7 QRコード発券機

建物は,「丘や坂の地形を活かす」という本開発コン

セプトを踏まえて,敷地の高低差になじませるように配

置した。また,一般的な劇場にみられる形状とは異なり,

折屋根による多面的な構成として,ボリュームを抑えた

彫刻的なデザインとしている(写真-8)。また,“折り

紙”のような造形によって和の趣を与えて,赤坂の「ハ

レの場」を具現化している。

ACTシアターは,1階890席と2階434席,BLITZは,

1階1,147人・2階151人のスタンディングスペースと2

階120席を確保している。2つの施設とも,1,300人を超

える要求人員数を収容する上で,効率的な平面および断

面計画とした(図-24~図-26)。客席の配置は,赤坂

Bizタワー側に設けたメインエントランスやホワイエか

らスムーズに導く動線計画とし,にぎわい軸との連続性

にも配慮した。また,2つの劇場の間には,適切な外部

空間を設けることで,音の相互干渉の防止を図っている。

同時に,屋根をかけた外部空間は,屋外ロッカースペー

スとして機能する。

一方,事務室や楽屋など,施設関係者や出演者が利用

する諸室などは,来館者との動線分離やTBS放送セン

ターとの連続性などを踏まえて,西側ゾーンに合理的に

配置している。また,TBSギャラリーは,サカス広場

に正対して設けることで,にぎわいの演出や利用率の向

上などに配慮した。

4.2 空調設備概要

本文化施設の空調および衛生設備の計画にあたっては,

TBSの“文化・情報発信の場として要求されるグレー

ド,社会に対する企業姿勢など”に配慮して,以下の3

点を基本方針とした。

・安全性,供給安定性,省エネルギー性,経済性など

に優れたシステムの構築

・運転操作や保守管理の容易性確保

・環境保全への配慮

熱源受入・搬送設備

本文化施設では,ホールなどの空調用熱源として,

DHC第2プラント(赤坂Bizタワー地下3階)から冷水

および蒸気を受け入れている。冷水および蒸気の受け入

れは,ACTシアター地下1階の熱源受入設備室にて行

い,BLITZにも供給している(図-27)。これは,赤坂

Bizタワーとの独立性を確保するという基本方針に加え

て,ACTシアターの方が“①BLITZと比べて熱負荷が

大きいこと,②DHC第2プラントからのエネルギー供

給経路が短縮されること”などの条件に基づいている。

館内の冷水供給は搬送動力の低減を図るため,大温度

差送水(往き7℃~還り15℃)と熱負荷に応じた変流量

制御を組み合わせた方式としている。

空気調和設備

室用途,利用時間,空間ボリュームなどを考慮し,適

切な空調システムを選定した(表-6)。

客席空調は,天井吹出し・床近傍レベルからの壁吸込

みによる単一ダクト方式とした。これは,①1,300人を

2008・9・建築設備士  27

図-23 赤坂サカス全体の防災システムの概要

写真-8 建物外観

超える収容人員に対して十分な新鮮空気を確実に供給す

ること,②客席レベルの利用状況に応じた空調発停およ

び制御に対応すること,③建築計画に整合したシステム

とすること,などに配慮し選定したものである。また,

ダクト系統には,必要に応じた消音装置を取り付け,室

内騒音の要求性能(ACTシアター:NC25,BLITZ:

NC35)を満足している。

舞台空調では省エネルギー性の向上を図るため,外気

条件に応じて全外気モードでの外気冷房が可能とした。

また,舞台演出時のスモークを効果的に排出するため,

種々の演出パターンに対応した排気運転モードの切替え

(ダンパ切替え)は,舞台袖から操作できる計画とした。

楽屋や事務室などは,出演者の冷暖房要求や室内負荷

の偏在などにフレキシブルに対応するため,個別運転制

御性に優れたPAC方式としている。

換気設備

室用途などに応じて,第1種または第3種換気設備を

設けている。館内での喫煙要求に対応するため,喫煙室

を確保した分煙計画を行い,健康増進法に準拠した換気

設備とした。

排煙設備

建築基準法などに準拠し,舞台,客席,避難動線とな

る排煙区画を対象に,ACTシアターで3系統,BLITZ

で2系統の機械排煙設備を設けている。

監視制御設備

ACTシアターおよびBLITZとも,1階事務室に壁掛

型の中央監視盤を設けて,空調および衛生設備の発停,

設定,警報監視などが行える計画とした。中央監視盤は,

TFT液晶画面(タッチパネル式)を実装し,操作の容

易性や視認性の向上に配慮した。また,本施設が無人の

場合の迅速な監視に対応するため,本施設の一括警報は,

TBS放送センター(既存棟)の中央監視盤に移報する

計画としている。

4.3 衛生設備概要

給水設備

貴重な水資源の保全,都市インフラへの負荷軽減とい

う本開発全体における基本方針を踏まえて,本文化施設

では,上水および中水(雑排水と屋根雨水の処理水)を

28 建築設備士・2008・9

図-24 配置図(1階平面図)

図-25 断面図(赤坂ACTシアター)

図-26 断面図(赤坂BLITZ)

表-6 空調方式の概要

施設名称 アクトシアター

ブリッツ

室名称 1階客席 2階客席 舞台

ホワイエ 楽屋

事務室

1階客席 2階客席

舞台

ホワイエ TBSギャラリー

楽屋

事務室

空調方式 単一ダクト方式 単一ダクト方式 単一ダクト方式 単一ダクト方式 第2種換気 +PAC方式 全熱交換器 +PAC方式 単一ダクト方式 単一ダクト方式

単一ダクト方式 単一ダクト方式 単一ダクト方式 第2種換気 +PAC方式 全熱交換器 +PAC方式

備考 890席 434席 スタンディング1,147人 120席+ スタンディング151人

図-27 冷水および蒸気の流れ

給水源とした給水システムとした(図-28)。

上水は,本文化施設の独立性を確保するため,一ツ木

通りの水道本管からACTシアターに設けた受水槽に引

き込む計画とした。給水方式は,上水および中水とも加

圧ポンプ方式とし,BLITZにはACTシアターから供給

する。受水槽,加圧ポンプなどは,ACTシアター地下

1階の受水槽室に設けている。

給湯設備

給湯用途・給湯量などに応じて,適切な給湯方式を選

定している。楽屋などのユニットバスやシャワーは,給

湯量や使用頻度が比較的多いことから,蒸気を熱源とし

た中央給湯方式とし,給湯負荷に応じて確実に供給する

計画とした。給湯温度は,レジオネラ対策を考慮し,

60℃で設定している。また,湯沸室やトイレ洗面給湯な

どは,館内に分散され,間欠使用となる傾向がより高い

ため,電気貯湯式温水器による局所給湯方式とし,配管

熱損失の抑制を図っている。

排水設備

汚水および雑排水は,屋内分流・屋外合流方式とした。

下水道本管へは,敷地内最終桝から赤坂通り側の公設桝

に接続し,すべて直接放流する(本開発エリア全体での

排水抑制(量)は,赤坂Bizタワー側でクリアしている)。

衛生器具設備

ACTシアターは,節水・節電および機能性などに優

れた新しいデザインの器具を選定した。一方,BLITZ

は,建築デザインとの調和を踏まえて,レトロフィット

を意識したシンプルな器具選定とした。

消火設備

消防法,東京都火災予防条例などに準拠した消火設備

を適切に設け,安全性の確保に配慮した(表-7)。

ACTシアターとBLITZは,防災計画上,一棟扱いの建

物であるので,消火ポンプなどの主要設備機器はACT

シアターに設けている。

中水製造設備

中水の処理原水は,雑排水および屋根雨水とした。雑

排水は「土壌菌」による生物処理,雨水はろ過処理を行

い,適切に処理する計画とした。処理水は,塩素滅菌処

理後,中水受水槽に貯留し,便器洗浄水系統などの給水

箇所に供給する。

4.4 電気設備概要

電力設備

ACTシアターとBLITZは“一棟扱い”とし,東京電

力㈱から3φ3W6kV50Hz,普通高圧で受電している。

受電は,電力負荷特性や他の設備計画(DHCの受け入

れや給水設備など)との整合性などを考慮し,ACTシ

アターで行い,BLITZ側の受変電設備には,高圧で供

給する計画とした(図-29)。

非常用発電機は各施設兼用とし,ACTシアターに設

けている。BLITZの非常電源は,必要に応じて高圧ル

ートを利用して供給する。

照明設備

1)ACTシアター

ミュージカルや演劇を主演目とした施設で,建築的に

は“温かみのある空間”がコンセプトである。したがっ

て,照明器具は色温度3,000Kを中心とし,全体的にや

わらかく温もりのある空間を演出した(写真-9)。照

明手法としては,コーニス間接照明を主体に,ダウンラ

イトをポイント的に配置した。

エントランスからホワイエに連続する大階段は,外部

空間との一体感を演出するため,外構照明と同様に,ア

ッパーライトによる計画とした。

2008・9・建築設備士  29

警戒エリア 全館 舞台

高天井部分 (天井高さが10mを超える部分)

屋外キュービクル置場

設置設備 閉鎖型スプリンクラー設備,消火器 開放型スプリンクラー設備 放水型スプリンクラー設備 移動式粉末消火設備

表-7 消火設備の概要

図-28 水の循環システムの概要

図-29 電力供給の概要

2)BLITZ

ライブハウスとして計画された施設で,建築的には,

“激しく鋭い”がコンセプトである。したがって,照明

器具は,ACTシアターとは対照的な色温度5,000Kを中

心に計画している(写真-10)。照明手法としては,ベ

ース照明をアッパー照明で計画した。

通信情報設備

NTT回線は,ACTシアターおよびBLITZでまとめて

引き込み,各施設に分配する。直回線以外に電話交換機

を1台設けて,施設間での内線網を構築している。また,

建物運用上,TBS放送センター(既存棟)の交換機と

も連携している。

LAN回線は,TBS放送センターの構内LANとインタ

ーネットLANを分離し,ホール運営者や出演者用のイ

ンターネット網も別に設けている。

舞台設備

1)ACTシアター

舞台照明は,演目にあわせたフレキシビリティを確保

するため,“可変性”をコンセプトに計画している。電

源盤と制御信号線(DMX+イーサーネットシステム)

は,舞台面,舞台すのこ,サイドギャラリー,投光デッ

キなどに設けて,各所から移動型調光ユニットの接続が

可能なシステムとした。持込み機器の運用時におけるフ

レキシビリティを確保するため,DMX信号は,調光ブ

ースに集約している。

舞台音響は,常設機器と演目にあわせた持込み機器で,

フレキシブルに運用できるシステム構成とした。メイン

スピーカーは,高出力・高性能のラインアレイシステム

とし,センタースピーカーは,昇降装置によって高さを

自由に可変できるシステムとした。調整機器はミラー化

し,バックアップシステムを備えることで,トラブル時

などにおける公演持続を可能とした。

舞台映像は,舞台面に対してDLP用接続端子を3箇

所常設し,映像演出対応を図っている。また,舞台進行

コミュニケーション用として,高感度カメラなどで舞台

全体を映すことが可能で,舞台監督専用の集中連絡シス

テムとしても機能する。

2)BLITZ

舞台照明は,舞台と客席の一体的な演出などに対応す

る計画とした。このため,舞台および客席部には,照明

ブリッジを常設している。また,すべてのトラスバトン

には,ムービングライトや持込機材用のDMX信号線と

電源を設けて,運用の自由度を確保した。

舞台音響では,ライブハウスとして十分な高音量・高

音圧を確保するため,メインスピーカーをラインアレイ

システムとした。

舞台映像は,公演の高画質収録に対応するため,必要

に応じたカメラを設けて,管理室で収録できる簡易収録

システムを導入している。また,持込カメラの収録編集

に対応するため,3階ユーティリティルームには,カメ

ラ伝送ケーブルを設けてステージ音響信号を出力できる

計画とした。

防犯設備

自己監視体制を基本とした運用を図るため,ACTシ

アターおよびBLITZとも,ITVカメラを主要出入口に設

けている。また,無人となる場合のセキュリティを確保

するため,バック出入口部分にICカードリーダー,内

部にパッシブセンサーを設けて,警備保障会社による外

部委託管理体制も併用している。

防災設備

消防法上,ACTシアターとBLITZは“一棟扱い”の

ため,ACTシアター側を防災拠点とし,自動火災報知

設備の受信機および非常放送アンプは,各施設に設ける

計画とした。また,各施設が無人となる場合などの安全

性を確保するため,TBS放送センター(既存棟)には,

副表示機および各施設の非常リモコンを設けている。

5.赤坂ザ・レジデンス

本施設は,“丘の上にたたずむ住宅”をデザインコン

セプトとした高級賃貸マンションである。住戸の外壁ラ

インを円弧状として計画地周辺の高層ビルとの正対を避

け,プライバシーの確保と眺望の確保を両立した。同時

に,円弧状のやわらかなフォルムは,北側に広がる住居

エリアへの威圧感も軽減している(写真-11)。

5.1 建築概要

地下1階・地上22階の建物で,地下1階には居住者用

駐車場,主要機械室など,1階には受付,ロビーなどを

配して,2階から21階を住戸フロアとしている。また,

30 建築設備士・2008・9

写真-9 ACTシアター 写真-10 BLITZ

生活スタイルの拡大などに配慮し,1階にはフィットネ

スルーム,22階には展望パーティルームおよびゲストハ

ウスなど,居住者が使用できる多様な室を設けている。

全住戸数は141戸で,4つのバリエーション(グレー

ド)に大別した計画としている(図-33)。基準階(住

戸階)は階高3,300mm,平均天井高さ2,550mmで,ゆと

りのある空間構成とした。また,水廻りのスラブの立ち

下げは,すべての設備配管や配線をメーターボックス内

に収納するため,最大300mmとしている。

5.2 空調設備概要

熱源受入・搬送設備

住戸専有部の温熱源として,DHC第2プラントから

蒸気を受け入れている。蒸気受け入れ用のシェル&チュ

ーブ式熱交換器は,制御性などを考慮して,高層および

低層系統に分割し設けている。二次側蒸気は,各住戸メ

ーターボックス内の蒸気-温水熱交換器に供給し,住戸

内の給湯,床暖房,浴室暖房乾燥機の温熱源として利用

2008・9・建築設備士  31

図-30 舞台設備の概要(ACTシアター)

図-31 舞台設備の概要(BLITZ)

写真-11 建物外観および内観(右上:ラウンジ,右下:展望パーティールーム)

する。

空気調和設備

エントランスホールやラウンジなどの共用部,事務室

などの管理諸室やパーティールームなどの室を対象に,

個別制御が可能なビル用マルチエアコンを設けている。

住戸専有部は,リビングルームおよび全居室を対象に

ハウジング用マルチエアコンを設けている。リビングル

ームのエアコンは,携帯電話を使った外部からの遠隔操

作や状態確認ができるほか,居住者ニーズに応じて住戸

内インフォメーションボードからの操作にも対応可能と

した。

換気設備

住戸専有部の換気は,室内空気質(シックハウス対策)

や省エネルギーなどへの配慮から,全熱交換器ユニット

を利用した24時間システムとした。給排気口は,外部風

の影響などに伴う換気量の低下を抑制するため,外部風

圧を直接受けない軒下などに設けている。住戸内のレン

ジフードは,使用時の室内環境の悪化を抑えるため,強

制給排気型とした。

排煙設備

地下1階駐車場,地下1階と1階の附室兼乗降ロビー

を対象に,機械排煙設備を設けている。その他の部分は,

自然排煙または建築基準法告示などに基づく排煙免除と

している。

監視制御設備

空調,換気,衛生設備などの運転管理および警報監視

に対応するため,1階防災センターに壁掛け型の中央監

視盤を設けている。

5.3 衛生設備概要

給水設備

集合住宅という建物用途を考慮し,給水源は上水のみ

とし,衛生的環境の確保の徹底に配慮した。上水の引き

込みは,本施設の独立性などに配慮し,一ツ木通りの水

道本管から単独で引き込んでいる。

給水方式は「受水槽+加圧給水方式」とし,推定末端

圧一定型の加圧給水ポンプユニット1系統で全館に給水

する。住戸内の配管方式は,信頼性および施工性などに

優れた“工場加工の先分岐配管方式”としている。

給湯設備

住戸内の給湯は,メーターボックス内に設けた蒸気-

温水熱交換器によって対応する。高級賃貸住宅のため,

住戸あたり2つのバスルームなどを有するバリエーショ

ンも多く,蒸気-温水熱交換器は必要に応じて住戸あた

り2組としている。また,住戸内の配管方式は,給水設

備同様,“工場加工の先分岐配管方式”としている。一

方,共用部のトイレ洗面や湯沸しなどは,貯湯式電気温

水器による局所給湯方式とした。

32 建築設備士・2008・9

図-32 断面図

住戸

図-33 住戸階平面図

排水設備

屋内の住戸排水は,汚水・雑排水合流系統(単管式排

水方式)と台所排水系統の2系統としている。排水竪管

は,すべてメーターボックスまたは共用部パイプシャフ

ト内に収納し,共用部からの維持管理(定期的な高圧洗

浄など)に対応できるものとした。各住戸からの合流排

水の竪管は,1階天井裏で2系統に集約し,排水用中継

槽を介してポンプアップにより公共下水道に放流する。

衛生器具設備

住戸内の衛生器具は機能性に加え,デザイン性に優れ

た器具(シャワー水栓など)を採用した。また,共用部

トイレなどは,節水・節電性,機能性などを考慮した器

具とした。

消火設備

東京都共同住宅特例(253号)を適用し,屋内消火栓

設備および共用部への消火器設置を免除している。地上

31mを超える10階以上の階には,共同住宅用スプリンク

ラー設備を設けている。住戸内のスプリンクラーヘッド

は,外部からの衝撃に対して比較的安全な全周保持型ス

プリンクラーヘッドとした。消火設備の概要を表-8に

示す。

ディスポーザー設備

生ゴミ処理の利便性,および,生ゴミの減少に伴う台

所の衛生環境の向上などを考慮し,ディスポーザ設備を

設けている。ディスポーザの選定にあたっては,シンプ

ルな操作性,安全性,低騒音などに配慮した。また,排

水管の勾配や曲がりの箇所数などは,採用メーカーが保

有する実験施設での実大実験を行った上で決定した。

5.4 電気設備概要

電力設備

共用部は「東京電力㈱より3φ3W6kV50Hz,普通

高圧受電」,住戸は「東京電力借室より低圧受電」とし

ている。住戸は,オール電化に対応した電源容量を確保

し,主開閉器契約としている(表-9)。また,停電時

および火災時の共用部非常電源を確保するため,非常用

発電機(ガスタービン発電機300kVA)を設けている。

住戸階共用部の共用盤は,4~5フロアごとに設け,多

層フロア電源管理方式を構築した。

照明設備

エントランスホールは,ガラスのオブジェと水盤を正

面に配置し,光溜りを集中させることで,空間全体に和

みを演出している(写真-13)。2層吹抜けの空間であ

るラウンジは,窓側のアルミブラインドを上部ダウンラ

イトで演出すると同時に,上部ペンダントにて空間全体

照度を確保する計画とした(写真-11)。

住戸階の廊下は,小口径のダウンライトをベースとし

て住戸表示部をスポット的に照射したメリハリのある照

明計画とした。また,エレベータホールは,間接照明に

よって全体照度を確保する計画とした。

夜景を眺めながら飲食できる22階の展望パーティルー

ムは,中央上部にダウンライトを設けて,夜景の演出に

配慮した(写真-14)。

通信情報設備

NTT回線を1階MDF室に引き込み,各住戸に4回線

メタルケーブルと4芯光ケーブルを敷設することで,

IT化に対応した「構内LANおよび住戸内LANシステム」

を構築している(表-10)。構内LANは,①受付との通

話機能,②周辺案内,館内連絡,宅配ボックス着荷など

の種々の情報収集,③携帯電話からの住戸内家電制御や

住戸内警報受信,などが可能なシステムとした。集合住

宅インターホンシステムは,汎用システムとし,情報系

を構内LANシステムとすることで,情報機器更新時な

どの容易性に配慮した。

2008・9・建築設備士  33

警戒エリア 地下自走式駐車場 地下機械室

(開口部面積が4m2を超える部分) 地下階の居室 3階以上の階 住戸専有部

10階以上の階の居室

設置設備 泡消火設備

泡消火設備 スプリンクラー設備 連結送水管 共同住宅用消火器 共同住宅用スプリンクラー設備

表-8 消火設備の概要

住戸面積 60~80m2 90~110m2 130~170m2 200m2以上

契約容量 12kVA 15kVA 20kVA 30kVA

表-9 住戸タイプに応じた設備容量

写真-12 住戸メーターボックスまたは熱交換器

写真-13 エントランスホールの照明

住戸内は,全住戸のリビングルームの天井内にアンテ

ナを設け,携帯電話の不感対策を行っている。

防犯設備

外部出入口のエントランスホールをはじめ,エレベー

タホールや各住戸扉に至るまで,すべてカードキー方式

とし,入居者以外がアクセスできない安全性の高いセキ

ュリティシステムを構築している。また,巡回警備など

の人的対応もあわせて行うことで,物品紛失などにも速

やかに対応できる運用体制が確立されている。

主要出入口などを対象に計28台のITVカメラを設け,

1階防災センターで24時間監視が可能なシステムとした。

また,事務室や受付フロントでも監視できる多重監視シ

ステムとし,より高い安全性の確保に配慮した。そのほ

か,1週間分の画像録画による映像保存や,IP方式を利

用した将来の外部監視,などにも対応している。

防災設備

1階防災センターで防災設備などの集中管理が行える

計画とした。住戸部分は,住戸自動火災報知システムに

よって,各住戸の状態監視を可能とした。また,サカス

全体での防災体制を確立するため,赤坂Bizタワーおよ

びTBS放送センター(既存棟)の防災センター監視盤

に一括情報を移報する計画とした。

6.地域冷暖房施設(DHC)

6.1 全体概要

「赤坂サカス」の各施設には,赤坂熱供給株式会社が運

営する“第1プラント(TBS放送センター地下の既設

プラント)と第2プラント(赤坂Bizタワー地下の新設

プラント)”から冷水・蒸気を供給し,空調などに利用

している(表-11,図-34)。

総延床面積20万m2を超える「赤坂サカス」にエネル

ギーを安定供給するため,再開発エリアの建物(赤坂

Bizタワー,赤坂ACTシアター/赤坂BLITZ,赤坂ザ・

レジデンス)の熱負荷にあわせた第2プラントを新設し

た。第2プラントでは,効率に優れたエネルギー(熱・

電力)供給を実現するため,天然ガスを燃料とするコー

ジェネレーションシステム(CGS)を主体とした熱電併

給システムを構築した。CGSの発電電力は,赤坂Bizタ

ワーに供給する。また,TBS放送センターを中心とし

た需要家に対して,熱を供給している第1プラントとの

ネットワークにより,熱媒の供給安定性の向上を図って

いる。同時に,中間期などには,第2プラントのCGS排

熱を第1プラントでも有効利用することで,最高レベル

のプラント総合効率を目指している。

熱供給対象建物は,第1プラントから供給している

「TBS放送センター,クレールタイヨービル」に加えて,

第2プラントから新たに供給する「赤坂サカスの3施設」

となった(表-12)。

6.2 第2プラントの概要

主要機器構成

本熱供給プラントでは,第1および第2プラントとも

に天然ガスコージェネレーションを組み合わせている点

が特徴である。第1プラントのガスエンジン発電機は,

需要家(TBS放送センター)の所有であるものの,排

熱はすべて地域冷暖房の熱源として有効に利用している。

一方,第2プラントでは,ガスタービンコージェネレー

ションシステムを軸としたシステム構成としている。各

プラントの主要機器の概要を表-13に示す。

地域導管

地域導管は,冷水管(往,還),蒸気管,還水管の4

管式としている。赤坂サカスの“土地の記憶を継承する,

すなわち,地形を活かして整備する”という計画コンセ

プトに従い,住宅棟に至る地域導管(蒸気)は,高低差

十数mの擁壁を越えて供給している。

プラント間の連係

第1プラントと第2プラント間の冷水および蒸気の連

係(ネットワーク)によって,CGS排熱を有効に利用し,

省エネルギー効果を高める計画とした。基本的なシステ

ム運転方法は,以下の通りである。また,熱源機器の運

34 建築設備士・2008・9

写真-14 展望パーティルームの照明

表-10 IT化への対応項目

対応設備

昇降機

防犯

インターホン

電話回線 情報回線

IPフォン

テレビ共同受信 携帯電話不感対策

モバイルサービス (構内LAN)

設備内容 ・各階不停止制御 ・籠内CRリーダー設置 ・各階電気錠制御 ・IPカメラ ・住戸扉電気錠 ・felicaカード ・集合玄関扉制御 ・受信機一体型 ・訪問者画像保存 ・各種宅内警報 ・モバイル転送IF ・4回線(LAN方式) ・FTTH 光ケーブル4C ・受付テレビ電話 ・周辺情報検索 ・タッチパネル/自動発信 ・館内連絡表示 ・宅配ロッカー着荷表示 ・FTTH 光ケーブル利用 ・各住戸リビングルーム ・照明/確認・操作 ・エアコン/確認・操作 ・訪問者画像確認 ・防犯モード確認 ・非常,火災などの警報 ・施錠,解錠/確認・操作

転優先順位を表-14に示す。

① 電力

赤坂サカスには,“第2プラントが設けられる再開発

エリア”と“TBS放送センター”の2つの需要場所が

ある。再開発エリアは,赤坂Bizタワー地下3階の第2

プラント内の特高電気室に66kVループ方式で受電し,

高圧にて各施設の変電所に配電される。また,第2プラ

ントのガスタービン発電機の発電電力は,赤坂Bizタワ

ー地下3階電気室に高圧にて送電され,商用電源と系統

連係する。発電電力はベース負荷に利用され,CGS排熱

利用率100%を目標に運転する。

② 温熱

蒸気供給量は,第1および第2プラントの需要合計か

ら決定する。需要家から購入する第1プラントのCGS排

熱利用が最優先となる。第2プラントのCGS排熱蒸気は,

連係配管により第1プラントにも供給する。蒸気不足分

および負荷変動は,第1プラントの蒸気ボイラを追従運

転し対応する。

③ 冷熱

冷水供給量は,第1および第2プラントの需要合計か

ら決定する。優先的に運転する第2プラントの高効率蒸

気吸収冷凍機で製造する冷水は,連係配管により第1プ

ラントにも供給する。冷水不足分は,第1プラントの蒸

気吸収冷凍機およびターボ冷凍機を追掛運転し対応する。

2008・9・建築設備士  35

図-34 赤坂五丁目地区の熱供給地域

事業主体 供給区域 供給開始

供給熱媒

設備能力

地域導管

赤坂熱供給㈱ 東京都港区赤坂五丁目3・4番(7ha) 平成6年5月1日 冷水   往き:6℃ 還り:14℃ 蒸気   飽和蒸気0.78MPa 冷熱最大 128.6GJ/h(10,160USRt) 温熱最大 121.9GJ/h 4管方式 総延長  約900m 冷水管  最大口径 400A 蒸気管  最大口径 250A 還水管  最大口径 100A

表-11 赤坂熱供給の全体概要 表-13 主要機器の概要

第2プラント

第1プラント

機器名称 ガスタービン発電機(新設) 排熱回収ボイラ(新設) 蒸気吸収冷凍機(新設) 炉筒煙管ボイラ(新設) 炉筒煙管ボイラ(新設)

炉筒煙管ボイラ 炉筒煙管ボイラ 蒸気吸収冷凍機 蒸気吸収冷凍機 温水吸収冷凍機 ターボ冷凍機

ガスエンジン発電機

概略仕様および能力 2,000kW 6t/h 4,220kW(COP:1.51) 12t/h(ボイラ効率93%) 6t/h(ボイラ効率93%) 12t/h(ボイラ効率92%) 6t/h(ボイラ効率92%) 4,220kW(COP:1.23) 2,813kW(COP:1.23) 985kW(COP:0.71) 1,407kW(COP:3.58) 需要家設備

台数 2 2 5 1 1 1 2 2 1 2 1 2

供給対象建物 TBS放送センター クレールタイヨービル 赤坂Bizタワー

赤坂ACTシアター・赤坂BLITZ 赤坂ザ・レジデンス

供給開始時期 平成6年5月 平成17年1月 平成20年3月 平成20年3月 平成20年3月

表-12 熱供給対象建物の概要

高効率機器の採用

第2プラントの蒸気吸収冷凍機は,最新の高効率機器

(COP=1.51,蒸気消費率=3.5kg/h・USRt)で,第1

プラントの蒸気吸収冷凍機(COP=1.23,蒸気消費率=

4.3kg/h・USRt)と比べて効率が20%以上向上した。

配管およびチューブ内へのスケール付着に伴う冷凍能力

の低下を防止するため,冷却水系にスポンジボールを用

いた自動洗浄システムを導入している。冷却塔は設計湿

球温度を28℃WBとし,将来増設冷凍機用のモジュール

も先行設置しているため,現時点での冷凍能力に対して

1.2倍の冷却能力を確保している。

赤坂サカスオープン後の需要増に対応するため,第1

プラントに追加設置した炉筒煙管ボイラは,ボイラ効率

93%以上の高効率機とした。

コージェネレーションシステムの採用

第2プラントには,発電容量2,000kWのガスタービン

コージェネレーションシステムを2基設置し,すべての

発電電力を赤坂Bizタワーに供給する。排熱ボイラによ

り高圧蒸気で取り出す熱は100%有効利用され,第2プ

ラント熱供給にあてる計画としている。ガスタービン発

電機には,気化式吸気冷却システムを採用し,夏期にお

ける発電効率の低下を抑制する。吸気温湿度が35℃・

45%の条件において,冷却器出口では26℃程度まで冷却

可能であり,発電量を約6%増加させることができる。

また,ガスタービン発電機は常用防災兼用型として,有

事の際には非常用発電機として赤坂Bizタワーに電力を

供給する。72時間連続運転可能な燃料タンクを備えると

ともに,高速遮断器により瞬時電圧低下にも対応できる

システムとしている。

大温度差・変流量送水の採用

冷水および冷却水系統は,送水温度差8℃に加えて,

インバーターポンプによる変流量制御とし,搬送動力の

低減を図っている。冷水および冷却水ポンプと冷凍機は

1対1の台数としているが,冷水または冷却水の総流量

に応じて運転台数および電源周波数を可変させる制御と

している。

省エネルギー性評価指標

第2プラントのCGS排熱は,同プラントだけでなく第

1プラントでも有効利用し,さらに高効率冷凍機を適切

に組み合わせることにより,第2プラントの省エネルギ

36 建築設備士・2008・9

図-35 特高単線結線図

表-14 熱源機器の運転優先順位

優先度 1 2 3 4

蒸気(温水) 第1プラントCGS(需要家所有)

第2プラントCGS 第1プラント新設ボイラ 第1プラント既設ボイラ

冷水 第1プラント温水吸収冷凍機 第2プラント蒸気吸収冷凍機 第1プラント蒸気吸収冷凍機 第1プラントターボ冷凍機

ー性評価指標は,排熱依存率80.7%,省エ

ネルギー率22.5%,プラント総合効率1.20と

予測している。今後は,実際のシステム運

用において,プラントネットワークのノウ

ハウを蓄積し,省エネルギー性の実証を図

る所存である。

おわりに

本施設の設計から完成までには約6年半

の歳月を費やし,直面する数多くの課題を

着実に解決しながら,無事グランドオープ

ンの運びとなった。これもひとえに,㈱東

京放送,三井不動産㈱,赤坂熱供給㈱,建

設工事関係者の皆様の多大なるご指導とご

協力のたまものと深く感謝しており,誌面を借りて厚く

御礼申し上げます。

(平成20年6月18日 原稿受理)

2008・9・建築設備士  37

図-36 システムフロー

主用途 建築面積 延床面積 階数 構造 最高高 施工

項目 概要 □建築概要 赤坂Bizタワー

事務所,店舗,駐車場 地下1階,地上39階,塔屋1階 S造(一部SRC造,RC造) 179.25m

建築  空調  衛生  電気 

8,629.15m2 186,865.57m2

大林組・鹿島建設・前田建設工業・清水建設の建設工事共同企業体 同上JV(協力 高砂熱学工業) 同上JV(協力 三晃空調) 関電工(コストオン)

情報通信設備 防犯設備 防災設備 その他

幹線・動力設備

照明設備

避雷・接地設備

電話交換機

放送設備

表示設備

ITV設備

入退室管理設備 ICカードによる入館管理,訪問者はQRコードによる入館管理

設置設備 自動火災報知設備,非常照明設備,誘導灯設備

設置設備 インターホン設備,駐車管制設備,TV共聴設備,携帯電話不感対応 設備,無線通信補助設備,業務用無線設備,航空障害灯設備 緊急救助用照明設備

蓄電池形式 動力負荷 電灯コンセント負荷 放送中継用負荷 配線方式 照  度 照明制御 監視点数 避雷方式 接地方式・性能 電話交換機 主装置 アンプ容量 トイレ呼出表示 トイレ炎検知表示 受付呼出表示 全館設置 

MS-E型(長寿命型) 3φ3W210V,3φ3W415V 1φ3W210/105V 3φ4W182/105V CVT,FPケーブル,バスダクト エントランスロビー 200~300 lx 基準階オフィス   600 lx 商業施設      500~800 lx 基準階オフィスは全体に初期照度補正センサー 基準階トイレ・バックトイレ部に人感センサー 基準階は防犯連動一括消灯 15,360点 棟上導体方式(一部突針) 新JIS対応 統合接地 電子交換機局線40/内線443 アナログ 80台 デジタル 50台 PHS 70台 非常兼用業務用ロッカー型防災アンプ 5,160W 60窓 40窓 5窓 全カメラ10日間カメラ映像録画可能

項目 概要 電力設備

□電気設備概要

特高受変電設備(DHCプラント)

CGS設備(DHCプラント)

高圧受変電設備

非常用発電設備

直流電源設備

電力引込 受変電形式 変圧器容量 変圧器形式 発電機形式 発電機容量 燃  料 設置階 受変電形式 変圧器容量 変圧器形式 発電機形式 発電機容量 燃  料 計画運転可能時間 用  途 定格容量

66kV ループ受電(設備共用) 屋内設置/CGI-S 15MVA×2 ガス封入 ガスタービン 2,500kVA×2 常用時:ガス 非常時:灯油 地下3階,地下1階,3階,39階 屋内設置/薄型キュービクル 31,000kVA(1φ13,400kVA,3φ17,700kVA) モールド型(トップランナー) ガスタービン 常用兼用機  2,500kVA  非常用機 1,500kVA テナント用機 2,000kVA 常用兼用・非常用:灯油,テナント用:A重油 48時間 受変電機器操作表示用,非常照明用 操作表示用:100Ah×2,120Ah×1 非常照明用:400Ah×1,1,200Ah×2

38 建築設備士・2008・9

項目 概要 熱源設備

空調設備 各施設参照 換気設備 各施設参照 排煙設備 各施設参照 監視制 御設備

□空調設備概要

熱源方式 搬送方式 主要機器

通信・制御 監理点数 その他

地域冷暖房受入れ 冷水・蒸気(または温水)の4管式にて全館に供給 冷水熱交換器(プレート式) 低層階(B2~3F) 2,445kW×2基 中層階(4~20F)  3,265kW×2基 高層階(21~38F)  3,488kW×2基 蒸気熱交換器(シェル&チューブ式) 低層階(B3~3F)  419kW×2基(暖房用) 基準階(4~38F)  2,126kg/h×2基(加湿用)

メインバス:BACnet/web,フィールドバス:LonWorks,DDC 約24,000点 BEMS,Ene-Works

項目 概要 給水設備

□衛生設備概要

給水源 給水方式

処理方式 処理能力

給湯設備   各施設参照 排水設備   各施設参照 衛生器具設備 各施設参照 ガス設備   各施設参照 消火設備   各施設参照 中水製造設備

上水,中水(雑排水,厨房排水,雨水の排水再利用水) 低層階:加圧給水方式 上水 受水槽:有効208m3,FRP製・複合板・

中仕切付 加圧給水ポンプ:1,500L/min(375L/min×4台並列運転)

中水 受水槽:有効290m3,二重ピット利用 加圧給水ポンプ:1,200L/min(300L/min×4台並列運転)

中層階:重力給水方式 上水 中間水槽:有効6m3,FRP製・複合板・

中仕切付 揚水ポンプ:1,550L/min×140m

中水 中間水槽:有効21m3,FRP製・複合板・中仕切付 揚水ポンプ:1,300L/min×140m

高層階:重力給水方式 上水 高架水槽:有効25m3,SUS製・保温板・

中仕切付 揚水ポンプ:800L/min×250m

中水 高架水槽:有効42m3,SUS製・保温板・中仕切付 揚水ポンプ:1,300L/min×250m

土壌菌ばっ気による生物処理方式 570m3/d

主用途 建築面積 延床面積 階  数 構  造 最高高 施  工

項目 概要 □建築概要 赤坂ACTシアター・赤坂BLITZ

劇場 地下1階,地上4階 S造(一部SRC造,RC造) 28.9m

建築 空調 衛生 電気

4,133.39m2 8,139.47m2

大林組・鹿島建設・前田建設工業・清水建設の建設工事共同企業体 同上JV(協力 高砂熱学工業) 同上JV(協力 三晃空調) 関電工(コストオン)

項目 概要 電力設備 通信情報報設備 防犯・防災設備 舞台設備 その他

□電気設備概要

受変電設備

非常用発電設備

直流電源設備

幹線・動力設備

照明設備

避雷・接地設備

拡声設備

電話設備

表示設備

防犯監視として共用部に設置 最終出入口非接触カード式による入退室管理

ITV設備

入退室管理設備

自火報設備

舞台照明設備

舞台音響設備

舞台映像設備

インターホン設備

TV共同受信設備

電力引込 受変電形式 変圧器容量 変圧器形式 発電機形式 発電機容量 燃  料 計画運転可能時間 定格容量 蓄電池形式 用  途 動力負荷 電灯コンセント負荷 舞台音響映像負荷 舞台照明負荷 大型映像負荷 配線方式 照  度 照明制御 監視点数 避雷方式 接地方式 主装置 アンプ容量 電話交換機 トイレ呼出 主受信機 感知器 ACT BLITZ ACT BLITZ ACT BLITZ 夜間受付 CATV方式

6kV 1回線 屋外設置/キュービクル ACT 2,050kVA  BLITZ 2,950kVA 油入型(トップランナー) 低圧ガスタービン 500kVA A重油 8時間 ACT 100Ah   BLITZ 150Ah MS-E型(長寿命型) 受変電機器操作,非常照明兼用 3φ3W200V 1φ3W200/100V 1φ3W200/100V 3φ4W182/105V 3φ3W200V CVT,FPケーブル,バスダクト(舞台照明) エントランスロビー 200~400 lx 舞台客席      200 lx 楽屋        400 lx 管理室に主装置設置 239点(MAX256点) 棟上導体方式 単独接地 非常兼用業務用ロッカー型防災アンプ ACT 120W   BLITZ 120W デジタル交換機局線10/内線126 アナログ 41台 デジタル 26台 PHS 20台 GR型 412アドレス アナログ式煙感知器(自動試験機能付)等 電源容量3φ3W 235kVA 3φ4W862.5kVA 調光卓 4,096ch CPUデュアルシステム 電源容量3φ3W 235kVA 3φ4W780kVA     1φ3W 200kVA 調光卓 Diamond4 VISION スピーカ :Meyer Sound コンソール:YAMAHA スピーカ :NEXO コンソール:Digico カメラ :高感度1台,ドーム型3台 モニター:37インチ3台,50インチ3台      20インチ18台,15インチ17台 カメラ :HDカメラ2台,DLP1台 モニター:37インチ1台,50インチ2台      20インチ10台,15インチ8台

2008・9・建築設備士  39

項目 概要 熱源設備 空調設備 換気設備 排煙設備 監視制御設備

□空調設備概要

熱源方式 各施設参照 各施設参照 各施設参照 通信・制御 監理点数 その他

地域冷暖房受入れ

項目 概要 給水設備 給湯設備 排水設備 衛生器具設備 ガス設備 消火設備 中水製造設備

□衛生設備概要

給水源 給水方式 各施設参照 各施設参照 各施設参照 各施設参照 各施設参照 処理方式 処理能力

上水,中水(雑排水,厨房排水,雨水の排水再利用水) 土壌菌ばっ気による生物処理方式

主用途 建築面積 延床面積 階  数 構  造 最高高 施  工

項目 概要 □建築概要 赤坂ザ・レジデンス

共同住宅 地下1階,地上21階,塔屋1階 RC造(一部S造) 79.58m

建築 空調 衛生 電気

1,467.11m2 23,456.13m2

同上JV 同上JV 関電工(コストオン)

項目 概要 電力設備

□電気設備概要

受変電設備(共用部)

受変電設備(専有部)

非常用発電設備

直流電源設備

幹線・動力設備

電力引込 受変電形式 変圧器容量 変圧器形式 電力引込 受変電形式 変圧器容量 発電機形式 発電機容量 燃  料 常用・非常用の別 計画運転可能時間 定格容量 蓄電池形式 用  途 動力負荷

6kV 1回線 屋内設置/薄型キュービクル 1,050kVA モールド型 6kV 1回線 東京電力 借室 1,000kVA 低圧ガスタービン 300kVA A重油 非常用 13時間 50Ah MS-E型(長寿命型) 受変電機器操作用 3φ3W200V

通信情報設備 防犯・防災設備 その他

照明設備

避雷・接地設備

電話設備

LAN設備 棟内LAN方式+FTTH

防犯監視として共用部に設置

全館内ICカードリーダーアクセスによる入退出室管理

保守用8台,夜間受付用2セット(カメラ付き)

ループコイルと出庫警報機とのスタンドアローン型(2箇所)

表示設備

TV共聴設備

ITV設備

鍵管理設備

自火報設備

インターホン設備

車路管制設備

電灯コンセント負荷 配線方式 照  度 照明制御 監視点数 避雷方式 接地方式・性能 管理用電話交換機 案内表示 CATV方式 主受信機

1φ3W200/100V CVT,FPケーブル エントランスロビー 200~300 lx ラウンジ      200 lx 廊下        150 lx 共用部リモコン制御 256点 棟上導体方式 単独接地 アナログ5回線+ISDN2回線 1階エレベーターホール脇に20インチモニター設置 光ケーブル引込 複合GR型 2,040アドレス(255×8アドレス)

項目 概要 熱源設備 空調設備 換気設備 排煙設備 監視制御設備

□空調設備概要

熱源方式 搬送方式 各施設参照 各施設参照 各施設参照 通信・制御 監理点数 その他

地域冷暖房受入れ

項目 概要 給水設備 給湯設備 排水設備 衛生器具設備 ガス設備 消火設備

□衛生設備概要

給水源 給水方式 各施設参照 各施設参照 各施設参照 各施設参照 各施設参照

上水

〔自己学習型(CPD)について〕

この原稿は,JABMEE CPDの対象原稿です。47頁の設

問に解答してバーコードシールを「JABMEE CPD手帳」

に貼っていただくと自己学習型で「1単位」となります。