鉱さいたい積場跡措置工法選定のための取組み -...

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鉱さいたい積場跡措置工法選定のための取組み (固結鉱さい試験の概要について) 国立研究開発法人日本原子力研究会開発機構 核燃料・バックエンド研究開発部門 人形峠環境技術センター 鉱委20-06 2019.3.15 20回鉱山跡措置技術委員会 資料)

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鉱さいたい積場跡措置工法選定のための取組み

(固結鉱さい試験の概要について)

国立研究開発法人日本原子力研究会開発機構核燃料・バックエンド研究開発部門

人形峠環境技術センター

鉱委20-06

(2019.3.15 第20回鉱山跡措置技術委員会 資料)

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工法

比較項目

圧密工法盛土荷重載荷工法併用カードボードドレーン工法

固結工法中層混合処理工法

(代表工法:パワーブレンダー工法)

工事日数 42ヶ月 × 29ヶ月 ○

工事費 1.2 △ 1 ○施工時の推定最大発生水量 523.5m3/日 × 102.4m3/日 ○

施工時のRa推定最大濃度 3.57×10-3Bq/cm3 × 2.41×10-3Bq/cm3 ×

総合評価 × ○

概念図

圧密工法と固結工法の比較

これまで、圧密及び固結の両工法を鉱さいたい積場跡措置のための対象として比較検討を進

めてきた結果、総合的に固結工法が鉱さいたい積場の跡措置に有利な工法と判断した。これに伴い、固結工法の実施工の可能性を探るため、現時点で当鉱さいたい積場で最も有効

であると考えられる固化材を用いて固結鉱さい試験を行うこととした。

Ⅰ.鉱さいたい積場跡措置工法の選定について

固化処理 施工状況 トレンチャ―による鉛直撹拌混合概念図

1

トレンチャ―

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夜次鉱さいたい積場

Ⅱ.夜次鉱さいたい積場の概要

2

教育棟

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Ⅱ.夜次鉱さいたい積場の概要

面積 : 約18,400m2

廃泥たい積場平面図

3

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Ⅱ.夜次鉱さいたい積場の概要

鉱さい試料採取地点 地質縦断図

地層名 土質名

表土草根

腐植物土有機質土

色調

褐灰,黒灰,暗褐など

鉱さい層 上部

下部

黒土層

粘性土層

マサ土層

砂質シルト,シルト質砂

シルト粘土

砂混じり粘土

腐植土砂混じり粘土,シルト質砂

粘土混じり砂礫など

砂質シルト,粘土,

粘土混じり砂礫,シルト混じり砂など

マサ土粘土混じり砂など

風化花崗岩

花崗岩

灰,茶褐,暗灰

赤褐,暗青灰,黄褐,黒,淡緑

など

黒,黒灰,褐など

褐灰,褐,灰など

褐,赤褐,黄褐など

赤褐,暗褐,灰褐など

灰褐

分布箇所層厚

0.4~1.0(0.55)

1.7~2.0(1.83)

2.2~5.7(4.28)

0.5~1.4(0.86)

0.2~4.3(1.46)

0.4~7.1(2.64)

-

-

N値(平均)

-

0~0.86(0.29)

0~1(0.03)

0~6(0.99)

0~5.14(1.43)

1.71~19(7.7)

20~50以上(41)

50以上

:m(平均)

常時冠水している箇所には分布しない.葦の茎や根が主体である。

廃泥たい積場の上流部の地盤浅部に分布.層厚は2m弱.砂分が50%程度含まれる鉱さいである.H21-1,H21-2の調査地点で確認.

含水がきわめて高く軟弱.上部ほど高含水で液状である.層厚は4m程度.土質はシルトが主体.細粒分が95%以上で,砂や礫などの粗粒土はほとんど含まない.

鉱さいの下に1m程度の厚さで分布.鉱さい堆積前の旧表土である.炭化の進んだ腐植土,泥炭が主体である.所々,黒土の代わりに砂礫層や砂層が分布する.

旧表土層の下に1m程度の厚さで分布.砂質シルトが主体である.砂は25%程度まじる.所々,粘性土の代わりに砂質土や砂礫層が分布する.

粘性土層の下に分布.風化の激しい花崗岩.砂は粗砂が主体で,全体に30%程度細粒分が混じる.

花崗岩が風化しているが,岩の組織を残している.全体にもろく指圧で容易に崩れマサ状となる.N値20以上であり下部ほどN値が高い.

F地点で確認.その他の調査地点では,確認する前に掘止めている.未風化の花崗岩で灰色主体.

記 事

花崗岩類

dep = 4.

00 mH26-

2

717.15m

dep = 4.

00 mH26-

3

717.25m

715.00

720.00

725.00

705.00

710.00

700.00

715.00

720.00

725.00

705.00

710.00

700.00

730.00 730.00

0.00 10.00 20.00 30.00 40.00 50.00 60.00 70.00 80.00 90.00 100.00 110.00 120.00 130.00 140.00 150.00 160.00 170.00 180.00 190.00

Ⅰ-1

Ⅰ-2

Ⅰ-3

Ⅰ-4

Ⅰ-5

Ⅰ-6

Ⅰ-7

Ⅰ-8

Ⅰ-9

Ⅰ-10

Ⅰ-11

Ⅰ-12

Ⅰ-13

Ⅰ-14

Ⅰ-15

Ⅰ-16

Ⅰ測線

H=1:600

V=1:300

鉱さい表土層

鉱さい上部層

黒土層

粘性土層

マサ土層

花崗岩類

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

13

14

H13 E

GH=717.4

23m

Dep.=23.

00m

695.00

15

盛土層

695.00

No.Ⅰ

-01

No.Ⅰ

-02 No

.Ⅰ-04

No.Ⅰ-05

No.Ⅰ

-06

No.Ⅰ

-07

No.Ⅰ

-08

No.Ⅰ

-09

No.Ⅰ

-10

No.Ⅰ

-12

No.Ⅰ

-13

No.Ⅰ-14

No.Ⅰ

-15

No.Ⅰ

-16

かん止堤

かん止堤天端718.32

0 2000 4000

1

2

3

4

5

6

0 2000 4000

1

2

3

4

5

6

0 2000 4000

1

2

3

4

5

6

0 2000 4000

1

2

3

4

5

6

0 2000 4000

1

2

3

4

5

6

0 2000 4000

1

2

3

4

5

6

0 2000 4000

1

2

3

4

5

6

0 2000 4000

1

2

3

4

5

6

0 2000 4000

1

2

3

4

5

6

0 2000 4000

1

2

3

4

5

6

0 2000 4000

1

2

3

4

5

6

0 2000 4000

1

2

3

4

5

6

0 2000 4000

1

2

3

4

5

6

0 2000 4000

1

2

3

4

5

6

0 2000 4000

No.Ⅰ

-03

No.Ⅰ

-11

0 2000 4000qt(kN/m2)先端支持力

qt(kN/m2)先端支持力

qt(kN/m2)先端支持力

qt(kN/m2)先端支持力

qt(kN/m2)先端支持力

qt(kN/m2)先端支持力

qt(kN/m2)先端支持力

qt(kN/m2)先端支持力

qt(kN/m2)先端支持力

qt(kN/m2)先端支持力

qt(kN/m2)先端支持力

qt(kN/m2)先端支持力

qt(kN/m2)先端支持力

qt(kN/m2)先端支持力

qt(kN/m2)先端支持力

qt(kN/m2)先端支持力

7

8

9

10

11

7

8

7

8

7

8

7

8

7

8

7

99

9

7 7 7

7

鉱さい下部層

※N値は換算値(貫入量30cmに換算したN値)

※層厚はボーリング位置での確認深度

【地質凡例】

地質推定断面図(Ⅰ測線)

N値0 2010

715.12m

5030 40

三マテクノH21-5

dep = 10

.50 m

N値3010 200 5040

dep = 8.

50 m715.55m

A(H22基礎地盤)

30N値

0 10 20 40 50

三マテクノH21-3

dep = 12

.21 m715.

65m

50 40 30 20N値

10 0

B(H22基礎地盤)716.45mdep = 11.50 m

50 10N値3040 20 0

dep = 11.18 m

3(三マテH14)716.69m

C(H22基礎地盤)

dep = 7.

50 m

40200 10 30N値

716.58m

50 30 40100 20N値

50

dep = 10

.50 m

D(H22基礎地盤)

716.71m

50

三マテテクノH21-1

dep = 13

.00 m

100N値

3020 40

717.46m

100 3020 40 50N値

dep = 15

.00 mKBM7

18.81mNo.1

(応用地質H20)

40 5030200 10N値

dep = 12

.32 m

三マテクノH21-2

716.89m

夜次鉱さいたい積場地質縦断図(排泥たい積場)

*N値: 標準貫入試験で求められる地盤の強さを示す指標の一つ。重さ63.5gのハンマーを75cmの高さから落下させて円筒形の試料採取器を土中に打ち込み、30cm打ち込むのに必要な落下回数で表す。N値が大きいほど地盤が強固となる。なお、粘性土のN値2~4は軟弱地盤となる。

4

鉱さい表土層

鉱さい上部層

黒土層

粘性土層鉱さい下部層

マサ土層

花崗岩層

6m

~7

.5m

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Ⅳ.固結鉱さい試験の流れ

固結鉱さい実用試験のフロー

5.試験体浸漬・Ra溶出(検液抽出)(タンクリーチング試験に準ずる)

(ろ過)

固結鉱さい試験完了

6.Ra溶出量分析(エマネーション法)

4. 一軸圧縮試験(土の一軸圧縮試験方法:日本

工業規格JIS A 1216)

(一軸圧縮強度試験)

1.試料採取

2.テーブルフロー試験(JIS -R5201)

3.供試体作製

(ボーリングによる試料採取)

(固結鉱さい供試体作製完了)

(テーブルフロー試験)

(塩化バリウム計量)

フ ロ ー 図

(供試体浸漬)

(ろ過)

5

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固結鉱さいに必要な性能値

Ⅴ.固結鉱さい試験の概要

固結鉱さい試験の目的

固結鉱さい試験の配合条件

深層混合処理工法・施工マニュアル 参考

Ra許容溶出量

3.7×10-5Bq/cm3

環境基準協定値

一軸圧縮強度(材齢28日)

目標室内配合強度 現場設計基準強度

qul=900KN/m2 quck=300KN/m2

6※( )の値はRa溶出試験に用いる固化材配合量

試 験

予備試験

実用試験

目       的

複数の固化材より夜次鉱さいたい積場において強度特性、Ra溶出低減に最も優れた効果を示す固化材の選定を目的とする。

実施工を視野に入れ、予備試験で最も有効であることが確認された固化材と改良対象となる軟弱層を用いた固結鉱さい試験を行うことで夜次鉱さいたい積場における固結工法の可能性の実証を目的としています。

鉱さい下部層

80%

鉱さい層・在来地盤層

60%

200・300kg/m3

(200kg/m3)

200・300kg/m3

(300kg/m3)

200・300kg/m3

(300kg/m3)

200・300kg/m3

(200kg/m3)

200・300・400kg/m3

高炉セメントB種(BB) NB46セメント(NB)試料試 験

固   化   材

早強セメント(H) 普通セメント(N)

・Ba成分量 0 ・ 13.5 ・40.5  (g-Ba/kg-鉱さい)

実用試験 -

添加剤

塩化バリウム

予備試験

W/B

・BaCl2・2H2O

0 ・ 24.3 ・ 72.8 (g-BaCl2/kg-鉱さい)

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863

631

570722

687

498

1776

763

481

1758

829

553

1139

1304

923

1223

1230

861

2156

1461

1161

2373

2128

1455

0

500

1000

1500

2000

2500

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45

一軸

圧縮

強度

(kN

/m2)

添加剤量(g-Ba/kg-鉱さい)BaCl2(0,13.5,40.5g-Ba/kg-鉱さい)

添加剤量と一軸圧縮強度の関係

(鉱さい下部層、N・H・BB・NB)

H200

N200

BB200

NB200

H300

N300

BB300

NB300

目標室内配合強度 900KN/m2

(凡例)

一軸圧縮強度試験結果

Ⅴ.固結鉱さい試験で得られた試験結果と考察

予備試験

7試験結果:予-1S,予-2S

高炉スラグ配合

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9.83E-04

1.60E-03

7.54E-05

3.42E-034.13E-03

1.08E-032.36E-03

2.05E-03

1.04E-03

4.75E-02

6.46E-03

2.08E-03

1.00E-05

1.00E-04

1.00E-03

1.00E-02

1.00E-01

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45

Ra溶

出量

(B

q/cm

3)

添加剤量(g-Ba/kg-鉱さい)BaCl2(0,13.5,40.5g-Ba/kg-鉱さい)

添加剤量と溶出液のRa濃度の関係(鉱さい下部層、N・H・BB・NB)

NB200

H200

BB300

N300

Ra許容溶出量 3.7×10-5Bq/cm3

(凡例)

Ra溶出試験結果

Ⅴ.固結鉱さい試験で得られた試験結果と考察

予備試験

8試験結果:予-1R,予-2R

高炉スラグ配合

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2217

1563

1783

3720 3718

2943

5642

4812 4752

2489

18581570

32803508

3134

5378 5410

4908

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45

一軸

圧縮

強度

(NK

/m2

)

添加剤量と一軸圧縮強度の関係

NB200A NB300A NB400A NB200B NB300B NB400B

実用試験

一軸圧縮強度試験結果

Ⅴ.固結鉱さい試験で得られた試験結果と考察

9

2720

3720

4812

3139 3719

4542

2258

2943

3596

500

1500

2500

3500

4500

7 35 63 91

一軸

圧縮

強度

(kN

/m2

)

材齢(日)

材齢と一軸圧縮強度の関係固化材(NB)配合量300kg/m3

0g/kg 13.5g/kg 40.5g/kg

(凡例)

28

2217

3720

5642

24893280

5378

y = 17.125x - 1277.8y = 14.445x - 617.83

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000

0 100 200 300 400

一軸

圧縮

強度

(kN

/m

2)

固化材配合量(kg/m3)

一軸圧縮強度と固化材配合量の関係添加材0g/kg-鉱さい

0A 0B

目標室内配合強度 900kN/m2

目標室内配合強度 900kN/m2

125

(凡例)

試験結果:実-1S,2S,3S,4S

添加剤量(g-Ba/kg-鉱さい)BaCl2(0,13.5,40.5g-Ba/kg-鉱さい)

目標室内配合強度 900kN/m2

(凡例)

予-NB200

予-NB300

実-NB300

実-NB200

添加剤0gでσ28に対するσ91の増加割合 約30%

添加剤40.5gでσ28に対するσ91の増加割合 約20%

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2.78E-04

3.60E-04

2.37E-03

7.86E-04

2.71E-04

2.35E-03

6.55E-044.65E-04

1.81E-03

5.50E-04

7.37E-04

4.72E-03

1.77E-03

7.21E-04

3.35E-03

1.87E-03

4.32E-04

1.86E-03

1.E-05

1.E-04

1.E-03

1.E-02

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45

Ra

溶出

量(B

q/cm

3)

添加量と溶出液のRa濃度の関係(鉱さい層+在来地盤層、NB)

NB200A

NB300 A

NB400 A

NB200 B

NB300 B

NB400 B

Ra許容溶出量 3.7×10-5Bq/cm3

実用試験

Ⅴ.固結鉱さい試験で得られた試験結果と考察

Ra溶出試験結果

(凡例)

10試験結果:実-1R,2R,3R添加剤量(g-Ba/kg-鉱さい)BaCl2(0,13.5,40.5g-Ba/kg-鉱さい)

添加剤量0(g-Ba/kg-鉱さい)において固化材最少配合量200kg/m3のRa溶出量が最も少量となる。

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XRD回折測定分析結果

固結鉱さいの添加剤BaCl₂による強度低下の要因について

Ⅴ.固結鉱さい試験で得られた試験結果と考察

3CaO・Al₂O₃・3CaSO₄・32H₂O(エトリンガイト)+3BaCl₂ ->

3CaO・Al₂O₃・CaCl₂・10H₂O(F塩)+3BaSO₄(硫酸バリウム)+2CaCl₂+22H₂O

BaCl₂添加によりエトリンガイト成分は下記の化学反応式のように変化したと考えられる。

5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60

Inte

nsity

2θ[deg] Cu - kα1

BaCl2無添加 28d

BaCl2添加 28d

E Cl B

Q

E E E E E E E ClClClCl B BB

Q Q Q

Q

F

Q

Q

FF

FF

F

F

C

【マーカー】

E:エトリンガイト

Cl:フリーデル氏塩

B:硫酸バリウム

Q:石英 F:長石類

C:CSH

F

FFFQ

生成物のXRD定性分析結果材齢28日のXRDチャートと主要ピーク同定結果

【記号】E:エトリンガイト、Cl:フリーデル氏塩、B:硫酸バリウム、C:CSH

X 線回折ピーク強度 : ○(大) > △(小) > ×(不検出)

※ 固化材:NB46セメント(配合量300㎏/m3)

強度に寄与するエトリンガイトが消失又は極微量となったため固化体の強度が低下した。11

試験結果:実-5S

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Ⅵ.固結鉱さい試験結果のまとめ

12

考 察

1.「予備試験」では添加剤BaCl2の影響によるRaの溶出低減効果を確認する一方で、強度特性の低下作用も確認した。 この結果より、鉱さい層を試験試料とした場合、固結鉱 さいに必要な性能である強度特性とRa溶出量についてはトレード・オフの関係にあることが知見として得られた。(予-1R,予-1S)

2.「実用試験」では試験データが乏しいため不確かな部分もあるが、添加剤BaCl2によるRa溶出増加作用と強度特性の低下も確認され、改良対象となる軟弱層を試験試料とした   場合、総じて固結鉱さいに必要な2つの性能が低下することが明らかとなった。(実-1R・2R,実-2S)

3. 当初から高炉スラグを配合したNB46セメントが強度特性において優れていることが予想されたが、Ra溶出低減にも有効な固化材であることが「予備試験」の結果により推察 できる。これにより固結鉱さいに必要な性能である強度特性の向上とRa溶出量の低減に高炉スラグ微粉末が資するものであることが示唆された。(予-2R,予-2S)

   また、「実用試験」のRa溶出試験の結果では、添加剤を加えない場合、「予備試験」を下回るRa溶出量となり、高炉スラグがRa溶出低減に有効であることが傍証できると   思われる。(実-3R)

4. 「実用試験」の強度発現量が「予備試験」を上回ったが、この要因として試験試料の性状の相違及び水・固化材比変更によるものと推察される。(実-3S)

5. 実用試験では、材齢91日の一軸圧縮強度試験を行った結果、材齢28日に比べ1.2~1.3倍の伸びを示した。この原因としては、高炉スラグの潜在水硬性により長期にわたり強度   発現に資するカルシウムシリケート水和物等が生成されたためと推察される。(実-4S)

6. 添加剤BaCl2による強度特性の低下の要因は、初期のセメント水和反応により生成されたエトリンガイト(強度発現に寄与)がBaCl2と反応し,F塩やBaSO4等に変化したこ とにより、消失またはごく微量となったためで、初期強度が低下したことによると推定される。(実-5S)

今後の試験について

 これまでの試験結果により高炉スラグが夜次鉱さいたい積場において強度及びRa溶出低減に有効であるあり、NB46セメントが複数の固化材の中で最も優れていることがわかっ

た。また、この他、主な結果として次のことが確認した。

   【実用試験】    ・ 一軸圧縮強度試験おいて最小固化材配合量200kg/m3で一軸圧縮強度の基準値900kN/m2を大きく上回った。    ・ 添加剤を増量するとRaが概ね増加することを確認した。   【予備試験】    ・ 高炉スラグの配合量がRa溶出量低減と相関があることが推察される。  以上の結果から今後の固結鉱さい試験では次のような試験を行う。

 1.「実用試験」の結果を踏まえ、経済的な視点に配慮し、添加剤を用いない「実用試験」を中心として取り組む。また、固化材配合量200㎏/m3で一軸圧縮強度の基準値を十分 上回る結果を得たが、今後は固化材配合量をさらに減量するため近似線により外挿した最低固化材量125㎏/m3を用いて最も経済的な固化材配合量を求める。

2.「予備試験」の結果より、高炉スラグがRa溶出量の低減に効果があると考えられるが、今後の実用試験では、当鉱さいたい積場で最も有効な固化材と考えられるNB46セメン    トの高炉スラグの割合を上回る固化材を用いてRa溶出低減効果を検証する。  3. 現在、当鉱さいたい積場で最も有効な固化材はNB46セメントと考えているが、別途、長期強度発現に優れた固化材(フライアッシュセメント、中庸熱ポルトランドセメン ト・低熱ポルトランドセメント)を用いた実用試験を行い、強度特性、Ra溶出低減における性能についての比較を行う。  4. 鉱さいたい積場の地層は一応でないため、場内の位置により試験結果が変わることが予想される。このため、場内の地層の異なる地点を選定して、より多くの試験データを    取得し、固化処理実施工の計画に資する実用試験を行う。

   固 化 材(W/B)        N・H・BB・NB  (80%)              NB   (60%)

試 験 結 果

Ra溶出量

・添加剤BaCl2の増量に伴いRaの溶出量が低下した。(予-1R)

・Ra溶出量は高炉スラグを配合した固化材NB46セメントが最小となり、続いて高炉セメン トB種が小さくなった。(予-2R)

・配合量200㎏/m3ではBaCl2の増量に伴いRa溶出量が増加した。(実-1R)

・固化材配合量300、400㎏/m3では添加剤BaCl2が少量の場合にはRaの溶出量が低下したが 添加量の増量に伴ないRa溶出量の低減作用がなくなりRa溶出量が増加した。 (実-2R)

・添加剤BaCl2無添加の場合では、最小固化材配合量200㎏/m3でRa溶出量が最小となっ た。(実-3R)

強度特性

・添加剤BaCl₂の増量に伴い一軸圧縮強度の発現量が低下した。(予-1S)

・固化材配合量300㎏/m3では4種の固化材がほぼ一軸圧縮強度において基準値を満足した が、配合量200㎏/m3ではNB46セメントと高炉セメントB種のみが添加剤を加えない場合 に基準値を満足した。 尚、強度発現量は高炉スラグを配合したNB46セメントが最も大きく、続いて高炉セメン トB種、早強セメント、普通セメントの順となった。(予-2S)

・全ての固化材量(200・300・400㎏/m3)で、一軸圧縮強度が基準値を上回った。

(実-1S)

・添加剤BaCl₂の増量に伴い一軸圧縮強度の発現量が低下した。(実-2S)

・予備試験の一軸圧縮強度に対する伸びは、NB46セメント配合量200㎏/m3で1.4~2.8倍 、配合量300㎏/m3で1.5~1.7倍となった。(実-3S)

・固化材配合量300㎏/m3における材齢28日から材齢91日の一軸圧縮強度の伸びは1.2~ 1.3倍を示した。(実-4S)

試  験 予 備 試 験 実 用 試 験

試験試料 鉱さい層 鉱さい層+在来地盤層今後の固結鉱さい試験の取組みについて

1 . 「実用 試 験 」 の結 果 を踏 まえ 、 経済 的な 視 点に 配慮 し 、添 加剤 を 用いない「実用試験」を中心として取り組む。また、固化材配合量 2 0 0㎏/ m 3で一軸圧縮強度の基準値を十分上回る結果を得たが、今後は固化材配合量をさらに減量するため近似線により外挿した 最低固化材量 1 2 5 ㎏ / m 3 を 用 い て 最 も 経 済 的 な 固 化 材 配 合 量 を 求 め る 。

2. 「予備試験」の結果より、高炉スラグがRa溶出量の低減に効果があると考えられるが、今後の実用試験では、現在、当鉱さいたい積場で最も有効な固化材と考えられるNB46セメントの高炉スラグの割合を上回る固化材を用いて、強度特性、Ra溶出低減効果を検証する。

3. 現在、当鉱さいたい積場で最も有効な固化材はNB46セメントと考えているが、別途、長期強度発現に優れた固化材(フライアッシュセメント、中庸熱ポルトランセメント・低熱ポルトランドセメント)を用いた実用試験を行い、強特性、Ra溶出低減における性能についての比較を行う。