自然保護課 田中 敦...

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事 業 報 告 1 スケジュール 9:30~ 9:35 開会 所長あいさつ 9:35~10:10 講義「支援員の役割等について」 10:10~11:30 講義「笠山の環境と植物について」 昼食・休憩、移動 12:40~14:50 野外観察会「笠山自然研究路」 14:50~15:00 アンケート記入、閉会 2 活動内容 サンライフ萩の教養文化室3で開会し、重田所長のあいさつの後、山口県環境生活部 自然保護課の田中敦氏から「支援員の役割等について」、萩市まちじゅう博物館推進部ジ オパーク推進課の伊藤靖子氏から「笠山の環境と植物」の講義を行った。 午後からの野外観察会は、笠山虎ヶ崎の近くにある駐車場まで移動し、萩市まちじゅ う博物館推進部ジオパーク推進課の伊藤靖子氏と自然観察指導員の斉藤みよ子氏の案内 により、「笠山自然研究路」の観察を行い、アンケートを回収して閉会した。 「笠山山頂火口」「明神池、風穴」でもその環境と植物を観察する予定であったが、「笠 山自然研究路」の観察を想定より時間をかけて行ったことや、天候も優れず雨模様であ ったため割愛した。 ◇ 講 義 「支援員の役割等について」 自然保護課 田中 敦 氏 PWPにより説明(別添資料参照) 1 希少野生動植物種保護支援員について ○支援員の活動例 保護活動:ナベヅルのねぐら整備。 普及啓発活動:自然の大切さを伝える。 保全活動:秋吉台山焼き、竹林の伐採。 ふれあい活動:観察会への参加。 ○支援員の登録 登録の方法と流れ。 10月現在で819名登録。 講座名 平成28年度希少野生動植物種保護支援員研修会(第2回) 日 時 平成28年12月4日(日) 9:30~15:00 場 所 サンライフ萩(萩市土原) 笠山自然研究路(萩市椿東越ヶ浜) 参加者数 11人

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Page 1: 自然保護課 田中 敦 氏eco.pref.yamaguchi.lg.jp/learning/sys/003/uploads/attach/...・カサヤマイノデ ホソイノデとイノデの雑種。 ・カタホソイノデ

事 業 報 告

1 スケジュール

9:30~ 9:35 開会 所長あいさつ

9:35~10:10 講義「支援員の役割等について」

10:10~11:30 講義「笠山の環境と植物について」

昼食・休憩、移動

12:40~14:50 野外観察会「笠山自然研究路」

14:50~15:00 アンケート記入、閉会

2 活動内容

サンライフ萩の教養文化室3で開会し、重田所長のあいさつの後、山口県環境生活部

自然保護課の田中敦氏から「支援員の役割等について」、萩市まちじゅう博物館推進部ジ

オパーク推進課の伊藤靖子氏から「笠山の環境と植物」の講義を行った。

午後からの野外観察会は、笠山虎ヶ崎の近くにある駐車場まで移動し、萩市まちじゅ

う博物館推進部ジオパーク推進課の伊藤靖子氏と自然観察指導員の斉藤みよ子氏の案内

により、「笠山自然研究路」の観察を行い、アンケートを回収して閉会した。

「笠山山頂火口」「明神池、風穴」でもその環境と植物を観察する予定であったが、「笠

山自然研究路」の観察を想定より時間をかけて行ったことや、天候も優れず雨模様であ

ったため割愛した。

◇ 講 義

◆「支援員の役割等について」 自然保護課 田中 敦 氏

PWPにより説明(別添資料参照)

1 希少野生動植物種保護支援員について

○支援員の活動例

保護活動:ナベヅルのねぐら整備。

普及啓発活動:自然の大切さを伝える。

保全活動:秋吉台山焼き、竹林の伐採。

ふれあい活動:観察会への参加。

○支援員の登録

登録の方法と流れ。

10月現在で819名登録。

講座名 平成28年度希少野生動植物種保護支援員研修会(第2回)

日 時 平成28年12月4日(日) 9:30~15:00

場 所 サンライフ萩(萩市土原)

笠山自然研究路(萩市椿東越ヶ浜)

参加者数 11人

Page 2: 自然保護課 田中 敦 氏eco.pref.yamaguchi.lg.jp/learning/sys/003/uploads/attach/...・カサヤマイノデ ホソイノデとイノデの雑種。 ・カタホソイノデ

○保護に関する制度

・絶滅の恐れのある野生動植物の保存に関する法律

環境省レッドデータブック(3,596種)

・山口県希少野生動植物種保護条例

レッドデータブックやまぐち(1,076種)

・文化財保護法(天然記念物)

オオサンショウウオ、八代のナベヅル。

2 ツキノワグマの出没について

○ツキノワグマの生態について

・分布…本州以南(九州は絶滅)。北海道はヒグマ。

・体長100~150cm、体重40~130kg。

植物食寄りの雑食。着床遅延。

レッドリストの扱い

地域個体群。地域を定めて狩猟禁止。

○ツキノワグマの出没増加の背景

・里山の荒廃。耕作放棄地。

・ブナ等のドングリ類の豊凶。

○西中国地域のツキノワグマ

・分布域(確認地点)は拡大傾向。

・偶数年に捕獲数が増加。

○クマの生息域で事故に遭わないために

・出会わないために…存在を知らせる。鈴やラジオ。

出没情報や新しい痕跡(糞、爪あと)に注意。

・出会ったら…ゆっくりと立ち去る。刺激しない。走らない。

○人里にクマを誘引しない。

・誘引物の除去(生ゴミ、放置農作物・果樹)

・進入防止柵、耕作放棄地の整備。

◇ 講 義

◆「笠山の環境と植物について」 萩市まちじゅう博物館推進部

ジオパーク推進課 伊藤靖子 氏

PWPにより説明(別添資料参照)

1 萩の大地の成り立ち

(1)ジオパークってご存知ですか

○ジオパーク=大地の公園

・科学的に見て貴重な地形・地質

・景観として美しい地形・地質

○ジオ ⇔ エコ ⇔ ヒト

今から観察する動植物も地形や地質の影響

を大きく受け、人間生活にも影響を与える。

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(2)萩の大地の始まりは3億年前

○8つのステージを経て現在の萩ができている。

・圧倒的に多い火成岩に混じって堆積岩が点在している。

・半田石灰岩:サンゴ礁の時代

見慣れた石垣の色は育った地域

で異なる。(白、黒、斑点)

・長門峡、田床山:白亜紀(火山活動)

大陸での超巨大火山活動により

厚さが数千メートルの大規模な

火砕流が発生し凝灰岩ができた。

・須佐のホルンフェルス

砂岩・泥岩の層が、熱源となる

熱いマグマ(斑れい岩になった)

に触れ、ホルンフェルスに変わった。熱源との距離で影響の大きいものから小さ

いものまで、連続して見られる貴重な場所である。

※観光地としても有名な畳岩は熱の影響が少ない場所。

※ホルンフェルスとは角のように堅く変成した岩石。

・見島(1200万年前に誕生)の観音崎

日本海での火山活動で、マグマ溜り1個分の噴出物(溶岩、火山弾、火山灰)

が見られる。

※近くの平原には昔「ミシマノイバラ」があったが現在は確認できていない。

(3)阿武火山群と笠山

○日本の活火山:110個ある。(常時観測火山は47個)

・活火山の定義の変更(1万年前から現在までに噴火したことがある)

※笠山は死火山から活火山に変更されたが、常時観測火山ではない。

・単成火山群:①阿武火山群 ②福江火山群(五島列島) ③伊豆東部火山群

○阿武火山群の火山体は約50個(海中にもある)

・マグマ溜りから地殻の弱いところを狙ってマグマが出てくるので広く点在する。

・笠山展望台から見る萩1億年の歴史

1億年前:指月山(花崗岩) 21万年前:尾島 19万年前:大島

16万年前:羽島 9万年前:肥島 7万年前:相島 6万年前:櫃島

※萩六島は世界でも稀な火山地形(安山岩の溶岩台地の島が連なる)

安山岩なのに粘度が小さい?→線状の噴火口の可能性あり

→玄武岩質に多くの二酸化珪素の粒がある

※枕状溶岩がないため、陸上での噴火と見られる。

・笠山は約8800年前に噴火

溶岩台地にストロンボリ噴火で2段重ねのスコリア丘ができている。

※海岸では溶岩堤防(溶岩が流れるときにできる)が観察できる。

※温度が高いスコリア(噴き上げたマグマが飛散・冷却してできた岩塊)

だったため、岩塊が互いに接着し、崩れない。

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2 笠山 ~火山地形が生んだ特殊環境~

(1)温暖な環境

○沖合いを対馬海流(暖流)が流れている

・萩市と山口市の気温の比較

夏の最高気温は変わらないが、冬の最低気温は萩市のほうが2~3℃高い。

(2)冷涼な環境

○風穴のなぞ

・溶岩台地とスコリア丘の境目に多い。

・厚い溶岩流の端が崩れてできた岩石の空間が内部にあり、冬季に冷気を溜め、夏

季に吐き出す。

・高温時は上穴から暖気が入り、下穴から冷気が出る。低温時は逆。

※下穴周辺に寒地性植物が生育している。

(3)塩水池

○干満のある池

・溶岩塊のすき間から潮の干満に応じて海水が出入りするため、汽水の池になる。

明神池には海水魚が泳ぎ、エビ池には塩水性植物が生育している。

3 笠山の植物相

(1)暖地性植物

・コウライタチバナ(県 RDBⅠA)

日本では笠山のみに自生。葉柄に狭い翼がある。果皮が厚い。

・タチバナ(県 RDBⅠA)

雛飾りの右近の橘。葉柄に翼はない。コミカンに似る。

・マツバラン(県 RDBⅠA)

葉も根もなく、茎のみ。原始的で、生きている化石と呼ばれる植物。

・バクチノキ(県 RDB 準)

成長とともにうろこ状に樹皮がはがれる。博打で身ぐるみはがれることに由来。

・タマシダ(県 RDB 準)

県内の自生は笠山のみ。今年の冬の寒波で数箇所枯れたところがある。

・ホウビシダ(県 RDB 準)

葉の形を鳳凰の尾に例えている。

・シマサルナシ、

キウイフルーツの原種に近い仲間。祝島ではコッコウと呼ばれる。

・カンコノキ

今は紅葉している。

・フウトウカズラ

コショウの仲間で、林床に多く生えている。

・カカツガユ(県 RDBⅡ)

一見ミカンのような実がなる。別名ヤマミカン。今年は実が少ない。

他にホウロクイチゴ、ハスノハカズラなど

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(2)寒地性植物

・コタニワタリ

笠山では風穴の周辺にしか生えないシダ植物。

・キンギンボク(県 RDBⅠA)

春から初夏にかけてスイカズラに似た花を咲かせるが、咲き始めは白色でだんだ

んと黄色になり赤い実がなる。今年は暖かく、秋に出た枝から今花が咲いている。

・ホソイノデ(県 RDBⅠA)

山口県では笠山の特定の風穴のみに自生。

他にミヤコミズ(県 RDB 準)など

(3)寒地性植物と暖地性植物の雑種

特定の風穴周辺で見られる。日本では笠山のみに自生。

・カサヤマイノデ

ホソイノデとイノデの雑種。

・カタホソイノデ

ホソイノデとカタイノデの雑種。

(4)塩水性植物

・シバナ(県 RDBⅡ)

北海道のサロマ湖にも成育する。花は終わっているがまだ葉はある。

・イワタイゲキ

何もしなくても丸く刈り込んだような形になる。

傷つけると白い汁が出て、弱い人は被れることがある。

他にウラギク(県 RDB 準)など

(5)海岸性植物

・ダルマギク(県 RDB 準)

角島が有名だが長門・萩・須佐までずっと自生している。厚い葉で毛が密生する。

まだ少し花が残っている。

・ハマビワ

枇杷の葉を連想させる。瀬戸内海側にはない。

・トベラ

実が熟して、粘る赤い種子が出ている。

他にハマナタマメ、ハマエンドウ、ハマボッス、ハマヒサカキ、シャリンバイなど

(6)椿の群生林

江戸時代は萩城の鬼門にあたり、入ってはならないお止め山であった。明治になり、

解禁されてからは、用材や薪炭材として伐採され、切株から吹いた芽が成長したため、

株立ちになっている。虎ヶ崎周辺だけ、椿以外の樹木をすべて除去したため、現在の

ような群生林になっている。1株あたり平均5本の幹が出たヤブツバキが約5000

株あるので25000本あるとしている。

土壌の下は岩塊や岩盤であり、根を深く張ることができないため、地表面に長く張

っている。

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◇ 野外観察会「笠山自然研究路」

◆観察会の様子

笠山虎ヶ崎手前の山手側で休憩所(資料展示室)のある駐車場に集合した。講師や職員

を含めても15名と野外観察にはほどよい人数であり、講師の説明をしっかりと聞くこと

ができた。午前中から降っていた雨は歩き始めてすぐに小止みになり、樹林の中でもある

ため、途中からは傘を差す必要はなくなった。

まずエビ池に沿って観察を開始した。樹林の中にはリュウキュウマメガキがあり、黒く

熟した実が落ちていた。大きなホルトノキもあった。雨模様で湿度が高いため、サンイン

マイマイというカタツムリが多く木の幹についていた。エビ池ではシバナとイワタイゲキ

を観察した。

エビ池周辺の樹林 リュウキュウマメガキの実

エビ池で観察

シバナとエビ池 イワタイゲキ

サンインマイマイ

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椿群生林の中を歩き、海岸に向かった。椿の花期は長く、木によって早いものから遅い

ものまでばらつきがあり、すでに多く開花している椿もあった。

地表近くまで岩塊や岩盤があり、根を深く張ることができない木は、横に長く根を伸ば

したり、熱帯地方の樹木に見られる板根のように、根を板状に発達させ体を支えているも

のもあった。また、幹を伸ばすときに、小さな岩を抱えたり取り込んだりしている木も

見受けられた。

椿群生林 ヤブツバキ

木によっては花が散り敷いている

岩を抱えた木

地表に根を広げている 板状に発達した根

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椿群生林を抜け北側の海岸に出た。ダルマギクやトベラなどの海岸植物や、溶岩台地が

できたときの溶岩堤防を観察した後、天然記念物に指定されているコウライタチバナ自生

地を目指した。コウライタチバナは日本では笠山にしか自生しない大変希少な種である。

指定地にはコウライタチバナ5本とタチバナ1本が自生している。数年前に他の木を切り、

日当たりが良くなったせいか、どの木もたくさんの実をつけ黄色く熟していた。

自生地の手前には大きなバクチノキとハマセンダンがあった。

溶岩堤防 海岸植物の観察

ダルマギク バクチノキの樹皮

コウライタチバナ タチバナ

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コウライタチバナ自生地から引き返し、山頂に向かうルートをたどり、途中の風穴に向

かった。風穴周辺では、寒地性のコタニワタリや暖地性のフウトウカズラ、ホウビシダ、

バクチノキなどが混生していた。カサヤマイノデとカタホソイノデの自生地は踏み荒らす

ことの悪影響を避けるため、遊歩道からの説明にとどめた。風穴から海岸に引き返し、暖

かいせいか秋に出た枝から開花していたキンギンボクを観察した後、出発地の休憩所に戻

った。寸前にまた雨が降り出し、時間も15時前になっていたため、当初予定していた「笠

山山頂火口」と「明神池、風穴」は中止し、アンケートを記入して研修会は閉会とした。

初めは気づかなかったが、駐車場横に大きなハマセンダンがあり、紅葉していた。

コタニワタリとフウトウカズラ ホウビシダ(鳳尾シダ)

キンギンボク ミヤコミズ

ハマセンダン紅葉 ハマセンダン樹皮(横に長い皮目)

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◆観察した植物等 ※筆者の記録で記載しています

ホウビシダ、コタニワタリ、タマシダ、クリハラン、ヒトツバ、アカマツ、クロマツ、

フウトウカズラ、ハマビワ、タブノキ、シロダモ、シバナ、ハスノハカズラ、イスノキ、

ハマナタマメ、バクチノキ、ビワ、ヤマザクラ、エノキ、ムクノキ、カカツガユ、

ミヤコミズ、マサキ、ツルウメモドキ、ホルトノキ、イワタイゲキ、カンコノキ、

コウライタチバナ、タチバナ、ハマセンダン、センダン、ハマヒサカキ、クロキ、

リュウキュウマメガキ、タイミンタチバナ、ハマボッス、ヤブツバキ、シマサルナシ、

アオキ、ハマヒルガオ、ハマゴウ、ハマクサギ、ダルマギク、ツワブキ、シマカンギク、

キンギンボク、トベラ

サンインマイマイ

(感想)

研修会の定員30名に対して16名の参加申込みがあったが、最終的にはキャンセル

等もあり、11名の参加となった。

伊藤靖子氏の講義「笠山の環境と植物について」では、萩のジオパーク構想を導入と

し、阿武火山群から笠山の成り立ちと環境について説明し、特徴的な植物相ができてい

る理由へと話を進め、大変興味深くわかりやすい構成になっていた。

野外観察会は12月でもあり花の少ない時期であったが、例年と比べて暖かいせいか、

ヤブツバキはかなり咲いているしハマセンダンやカンコノキの紅葉もまだ見られた。ま

た、コウライタチバナとタチバナは果実が熟して黄色くなっており、ちょうど見頃であ

った。植物の種類は多く、レッドデータブックやまぐちに記載されている希少植物も多

く観察することができた。

天気予報のとおり10時前から雨が降り始めたが、野外観察会の時間はほとんど降ら

ず風もなく、観察しやすかったことは幸いであった。しかし、想定以上に参加者が熱心

で時間がかかったこともあり、「笠山山頂火口」と「明神池」の観察ができなかったこと

は残念であった。

笠山は地味であるが、環境と植生の特異さにおいては、山口県では秋吉台と並んです

ばらしい場所であると思う。気候の良いときに自然観察会が開催できれば良いと思われ

る。

休憩所(資料展示室) 休憩所の内部