2136

118.611. 36: 611. 38: 616. 3

實驗的急性腹膜炎 ト肝臟病理組織學的所見

(第4編)

肝 臟 「ミ ト ビ ヨ ン ド リ ア」ニ 就 テ

岡山醫科大學津田外科教室(主 任津田教授)

醫學士　 岩 藤 良 秋

[昭 和7年11月1日 受 稿]

Aus der Chirurgischen klinik der Medizinischen Fakultal Ohayama, fopan

(Vorstand: Prof. Dr. Seiji Tsuda).

Experimentelle Untersuchungen

uber die pathologisch-histologischen Veranderungen der Leber

bei den akuten Bauchfellentzundungen.

IV. Mitteilung.

Mitochondrien der Leber.

Von

Dr. Yoshiaki Iwato.

Eingegangen am_??_ l. November 1932.

Ich untersuchte histologisch die Mitochondrien der Leberzellen bei den akuten,

experimentellen Baucbfellentzundungen des Hundes, die durch die schon erwahnte

Methode hervorgerufen wurden, und verglich das kurz vor oder direkt nacb dem Tode

aus dem erkrankten Tiere herausgeschnittenen Leberstuckchen mit dem normalen

Probe-Leberstucke des betreffenden Tieres. Zur histologischen Untersuchung der

Mitochondrien nahm ich Hamatoxylin-Eosin-Farbung und Kopsch'sche Farbung.

Meine Ergebuisse seien folgendermassen kurz zusammengefasst:

1) Bei dem Probe- Leberstucke des normalen Hundes finden sich die Mitochondrien

in den Leberzellen als grob- oder klein-kugelige oder als pulverige Korner. Die Form

und die Verteilung der Mitochondrien in den Leberzellen sind je nach der Lokalisation

im Azinus verschieden. Im allgemeinen sind die grob- oder klein-kugeligen Mitochon

94

實驗的急性腹膜炎ト肝臟病理組織學的所見(第4編) 2137

drien diffus in den periazinosen Leberzellen nachweisbar. In den Zellen der inter

mediaren Zone des Azinus sind die groben Korner nicht mehr vorhanden, und man

findet kleinere und weniger zablreiche stab-, faden-formige Korner in netzartiger

Anordnung. In den zentroazinosen Leberzellen sired feine und unregelmassig angeord

nete, fadeuformige oder pulverige Mitochondrien nachweisbar. Der Typus der Mito

chondrien im Leberazinus des normalen Hundes ist also nach der Taniguchi'schen

Einteilung bei der Menschenleber mit dem I. und II. Typus vergleichbar.

2) Operative Eingriffe wie Morphinanasthesie, Laparotomie und Exzision des

kleinen Probe-Leberstuckes geben keine nennenswerten Einflusse auf die Leber

mitochondrien.

3) Die Mitochondrien der Leberzellen bei den akuten experimentellen Bauch

fellentzundungen des Hundes zeigen bedeuteude Veranderungen. Im allgemeinen

werden die Korner in den Leberzellen kleiner. und finden sich in der Minderzahl. Die

Verteilung der Korner im Azinus ist unregelmassig, und die Farbbarkeit der Korner im

Azinus ist ungleichmassig. Solche Befunde sind insbesondere in den periazinosen

Leberzellen auffallend, und die grob- oder klein-kugeligen Korner vermindern sich

oder verschwinden fast total und es treten dafur die stab-, faden-formigen oder pulveri

gen Korner auf, die als die stillstehende Form der Zellfunktion angenommen werden.

Nach der Taniguchi'schen Einteilung gehoren solche Befunde zu dem III. bis VI.

Typus.

4) In der Leber findet man bei den akuten Bauchfellentzundungen des Hundes

der Menge nach die Fettsubstauzen im umgekehrten Verhaltuisse und das Glykogen im

gleichen Verhaltnisse zu den Mitochondrien. Man konnte daher annehmen, dass die Mitochondrien an der Fettbildung in den Leberzellen teilnehmen und mit dem Glyko

gen physikalisch verbunden rind. (Autoreferat.)

内 容 目 次

第1章　 緒 言

第2章　 實驗材料竝 ニ實驗方法

第3章　 實驗成績

第1節　 胃穿 孔

第2節　 大腸穿 孔

第3節　 膽嚢穿孔

第4節　 葡萄状球菌「ブ イヨン」純粹 培養液腹 腔内

注入

第5節　 連鎖状球菌「ブ イヨ ン」純粹培養液腹腔内

注入

第6節　 大腸菌「ブ イヨン」純粹培養液腹腔 内注入

第7節　 諸種細菌「ブ イヨ ン」純粹 培養 混合液腹腔

内注入

第8節　 對 照 試 驗(開 腹.肝 小 切 除)

第4章　 正 常 犬 肝臟 ニ於 ケ ル「ミ トヒ ヨ ン ド リア」

第5章　 開 腹,肝 小 切除 ノ肝 臟 「ミ トヒ ヨ ン ド リア」

ニ及 ボ ス影 響

第6章　 急 性 腹 膜 炎 罹 患 犬 肝 臟 「ミ トヒ ヨ ン ド リア」

第7章　 肝 臟 ニ於 ケ ル「ミ トヒ ヨ ン ド リア」 ト 「グ リ

コゲ ー ン」竝 ニ脂 肪 體 トノ關 係

第8章　 總 括 竝 ニ結 論

引用文獻

附圖説明

95

2138 岩 藤 良 秋

第1章　 緒 言

Benda(1898)4)ニ 依 リテ,各 種 體 細 胞 内 「 ミ ト ヒ ヨ ン ド リ ア 」 ノ存 在 ガ確 立 セ ラ レテ 以 來,

Metzner (1890)25), Meves (1900)22), Rubaschkin (1910)30), Arnold (1907)2), Kolster (1911)20),

Cowdry (1914)6), Wallin (1922)34)等 ノ コ レ ガ形 態 ニ 關 ス ル 詳 細 ナ ル 報 告 ア リ.又Duesberg

(1908)10), Dubreiul (1911)13), Morean, Kolster (1911)20), Cowdry (1914-1922)6,7,8), Bang

u. Sjovall (1916)5), Lewis (1914)21), Noel (1923)26), Anitschkow (1923)1),古 賀(昭2)16),大

串(昭2, 3)27,28),谷 口,引 間(昭5)32),小 林(昭6)15), Kater (1931)19)等 ニ據 レバ「ミ トヒヨ ン

ドリア」ハ細 胞 機 能状 況 ニ ヨ リテ其 ノ珍 態 ヲ變 化 ス ト云 フ.即 チMeves22-24), Cowdry7)ハ 「ミ

トヒ ヨ ン ドリア」 ハ絲 状 又 ハ桿 状 ニ シテ,之 ガ短 縮 分裂 シテ顆 粒 型 ヲ作 ル ト唱 へ, Lewis21)モ

組織 培 養 實 驗 ニ於 テ,「 ミ トヒ ヨ ン ド リア」 ハ 種 々 ノ形 態 ヲ有 シ常 ニ變 形 スル 事 ヲ認 メタ リ.

Rubaschkin30)ハ 顆 粒 形 ヲ静 止型 トナ セル モ, Dubreiul13)ハ 絲 状 形 ガ静 止 型 ニ シテ,顆 粒 形 ヲ

機 能 亢 進 型 ト見 做 シタ リ. Noel26)ハ 「マ ウ ス」肝 臟 ニ於 テ,肝 機 能 ト肝 細 胞 内「ミ トヒ ヨ ン ドリ

ア」 ノ形 態 竝 ニ顆 粒 ノ大 サ トハ 密 接 ナル 關 係 ヲ有 スル ノ ミナ ラズ,肝 小 葉 内 ニ於 テ モ之 ガ分布

竝 ニ形 態 ハ著 シク相 違 スル 事 ヲ主張 シ,小 葉 最 外層 肝細 胞 ハカ カ ル肝 機 能状 態 ニ ヨル 影響 ヲ受

ク ル 事最 モ 多 ク シテ永 久活 動 帯 ト命 名 シ,反 之 小 葉 最 内 層 ハカ カ ル影 響 ヲ受 クル 事少 ク シテ永

久 休 止 帯 ト稱 へ,且 球形 「ミ」ヲ機 能 亢 進 型,絲 状 形 ヲ静 止 型 ドナ セ リ.谷 口,引 間22)モ 肝 細 胞

「ミ トヒ ヨ ン ドリア」(特 ニ小 葉 外 縁 ノ肝細 胞 ニ於 ケル)ハ,肝 臟 「グ リコゲ ー ン」,血 中乳 酸 量

等 ヨ リ推 定 セル肝 機 能 状 態 ト密 接 ナ ル關 係 ヲ有 スル 事 ヲ唱 へ,肝 細 胞 「ミ トヒ ヨ ン ドリア」ノ肝

小 葉 内 形 態 及 ビ分 布 ヲ次 ノ6型 ニ分類 セ リ.

第1型　 小 葉 最 外 縁 即 チGlisson氏 鞘 ニ接 スル 肝細 胞 ニ於 テ ハ,「 ミ」ハ殆 ド總 テ球 状粗 大 ナ

ル モ ノ ヨ リナ リ,之 ヨ リ内 方 第2,第3層 肝 細 胞 ニ於 テ ハ,カ カル 球 状 「ミ」ハ漸 次 其 ノ大 サ ヲ

減 ズル ト共 ニ連 鎖 状 ニ配 列 セル モ ノ増 加 シ,其 ノ 間所 々 ニ 間隙 ヲ生 ズ.更 ニ内方 肝 細 胞 ニ於 テ

ハ カ カ ル間 隙 ハ益 々廣 ク,「 ミ」ハ核 又 ハ胞 體 膜 ニ偏 倚 スル ガ如 キ傾 向 ヲ示 ス.

第2型　 小葉外層肝細胞ニ於 テハ殆 ド全部球状「ミ」ヨリナルモ,第1型 ト異 リ稍々小ナル球

状「ミ」ヲ有スルノミナラズ,小 形球状「ミ」ハ小葉内方 ニ進 ム ト共 ニ益々其 ノ數 ヲ増加 シ,中 間

層 ニ近接スルニ從 ヒテ大形球状「ミ」ハ殆 ド消失 シ,同 時ニ不平等 ニ核又ハ胞體膜ニ近ク集合シ,

且連鎖 ヲ呈スル傾向ヲ有 シ,所 々間隙 ヲ生ズ.コ ノ間隙ハ漸次大 トナル.

第3型　 外層ニ於 テハ大部小形球状「ミ」ガ不規則ニ散在スルモ,稀 ニ連鎖状ヲ呈ス.内 方ニ

到ルニ從 ヒ連鎖状 「ミ」ハ漸次増多スルモ,其 ノ方向不定ナ リ.中 間層肝細胞 ニ到 レバ獨立球

状「ミ」ハ殆 ド散在 セズ,且 又連鎖状「ミ」ノ方向益々不規則ニシテ,同 時 ニ網状ヲ呈スル傾向ア

リ.

第4型　 最外層ハ小形球状「ミ」ヲ有 スルモ其 ノ數益 々少 クナ リ細胞内全顆粒 ノ約1/3ヲ 占メ,

96

實驗的急性腹膜炎 ト肝臟病理組織學的所見(第4編) 2139

他ハ桿状又 ハ連鎖状 「ミ」ヨリナ リ,第2, 3列 肝細胞ニ於テハ小形球状「ミ」ハ益々少數 トナ リ,

中間層 ニ於テハ既ニ全ク之ヲ見ズ,連 鎖状「ミ」ヨリナ リ稀 ニ絲状「ミ」ヲ混 ズ.内 層肝細胞ニ到

レバ多數例 ニ於テ纎細ナル連鎖状「ミ」ガ存在 シ,第3型 内層 ニ比 シ「ミ」ハ核 又ハ胞體膜 ニ偏在

ス.

第5型 Glisson氏 鞘 ニ接 スル細 胞 ニ小 形 球状 「ミ」ノ多 少 混在 セル ヲ除 ケバ,之 ヨ リ内層 肝

細 胞 ハ殆 ド全 部 絲状 及 ビ連 鎖 状「ミ」ヨ リナ リ,而 モ第4型 ニ比 シ連 鎖 状 「ミ」ハ少 ク,内 層 細 胞

ニ於 テハ絲 状 「ミ」ヨ リ連 鎖 状 「ミ」ガ多 量 ニ シテ,又 小形 球 状 「ミ」ヲ多 少 混 ズル場 合 ア リ.

第6型　 小 形 球状 「ミ」ハGlisson氏 鞘 ニ接 スル肝 細胞 中 ニ モ消 失 シ,又 全 體 ト シテ連 鎖 状

「ミ」モ甚少 數,殆 ド全 部 絲状 「ミ」ヨ リナ リ,而 シテ 内層 細胞 ニ於 テ ハ微 細 ナル 連鎖 状 「ミ」ヲ 混

ズ ル モ,第5型 ノ如 キ球 状 「ミ」ナ シ.

谷 口,引 間 等 ハ,小 葉 最外 縁 肝 細 胞 「ミ」ガ絲 状 又 ハ連 鎖 状 ヲ呈 シ,球 状 「ミ」ノ存 在 セザル ハ

肝 機 能 停 止 セル ノ シナ ラズ,肝 機 能 ノ低 下 ヲ表 ハス モ ノ トナ シ,同 氏 分類I-IV型 ヲ 正常 型,

V, VI型 ヲ病 的 トナ セ リ.

上 述 諸家 ノ説 ヲ總 括 ス ル ニ,肝 臟 機 能 障 碍 時 ニ際 シ,肝 細胞 「シ トヒ ヨ ン ド リア」ノ形 態 竝 ニ

分布 ニ變 化 ヲ來 スハ疑 ヲ容 レザ ル所 ナ リ.而 シテ急 性 腹 膜 炎 ニ於 ケ ル肝 細 胞 内 「ミ トヒ ヨ ン ド

リア」 ニ就 キ系 統 的 ニ檢 索 セル 業績 ハ予 寡 聞 ニ シテ,未 ダ知 ラズ.

予ハ第1, 2, 3編 ニ亙 リテ,實 驗的急性腹膜炎犬肝臟 ノ一般組織學的所見竝ニ 「グ リコゲー

ン」,脂肪體 ノ如キ新陳 代謝物質 ニ就 キ檢索 シ,實 驗的急性腹膜炎ニ於テハ肝臟 ノ著明ナル組織

學的變化,「 グ」減少竝 ニ脂肪變性 ヲ認 ノ,肝 臟 ノ高度 ナル機能障碍 ノ存 スル事ヲ記述 セリ.予

ハ急性腹膜炎ニ於ケル肝臟機能ヲ檢スルニ當 リ,肝 細胞内「ミトヒヨンドリア」ニ就 キ檢索 スル

モ亦徒爾ナラズ ト思惟 セルヲ以テ,本 編ニ於テハ既 ニ前數編ニ述 べタルガ如ク,正 常時採取セ

ル肝試驗切除標本 ト,急 性腹膜炎罹患後採取セル肝 切除標本(何 レモ生體又 ハ死直後採取 セル

新鮮材料)ニ 於ケル肝細胞「ミトヒヨン ドリア」ニ就キ比較研究 シ,得 タル成績 ニ就キ報告セン

トス.

第2章　 實驗材料竝ニ實驗方法

實驗材料ハ第1編 ニ既述セル如 ク,實 驗的急性腹

膜炎ヲ惹起 セシメタル犬 ニ於テ,正 常 時(空腹時)試

驗的肝小切除竝 ニ同一實驗動物罹患後可及的生存 中

又ハ死亡直後肝小切除 ニ依 リテ得 タリ.實 驗 的急性

腹膜炎 ヲ惹起 セシムル爲 メ用ヒ タル手術的操作例 ヘ

バ 「モル フイ ン」麻醉,開 腹,肝 小切除等 ノ肝細胞

「ミトヒヨンドリア」ニ及 ボス影 響ニ就キテハ別 ニ對

照 試 驗 ヲ行 ヒ タ リ.肝 臟 切除 標 本 ハ 新鮮 ニ シテ 尚 ホ

體 温 ノ存 ス ル 中,可 及 的 小 片(約2-mm3)ト ナ シ,「 フ

オ ル マ リ ン」固 定,「 ヘ マ トキ シ リン.エ オ ジ ン」重 染

色 ヲ行 フ ト共 ニ,他 方Kopsch氏 變 法18)ニ ヨ リ染 色

セ リ.即 チ

1) 重 「ク ロム」酸 加 里　 80ccm

中性 「フオ ル マ リ ン」20ccm中ニ24時 間 固定

97

2140 岩 藤 良 秋

2)蒸 餘 水 ニテ 瞬 間 洗 滌

3)新 鮮 ニ調 合 セ ル3.5%重 「ク ロム」酸 加里 液 中

ニ2日

4) 1/2-1日 水 洗

5)酒 精 ニテ 脱 水,酒 精 上 昇,「 バ ラ フ イ ン」包埋

6)「 バ ラ フイ ン」切 片,「 パ ラ フイ ン」脱 却

7) 1%鐵 明 礬 液 中12時 間

8) 10% Heidenbaui氏 鐵 「ヘマ トキ シ リ ン」酒 精

(Merck製)ヲ 使 用 時l%ニ 稀 釋 シ12時 間染 色

9)水 洗

10) 0.5%鐵 明 礬 液 ニテ30分-2時 間 脱 色

11)水 洗,酒 精,「 キ シ ロ ール」,「 バ ル サ ム」封 鎖

第3章　 實 驗 成 績

各 實 驗 動 物(犬)ニ 於 ケル 正 常 時,急 性 腹 膜 炎 罹 患 後 竝 ニ單 ニ麻 醉,開 腹,肝 小 切 除 ヲナ セル

後 ニ於 クル 肝 細 胞 「ミ トヒ ヨ ン ド リア」所 見 ヲ列 記 セ ン.肝 臟 「ミ トヒ ヨ ン ド リア」ハ小 葉 内 ニ於

テ,種 々ナ ル 條 件 ノ下 ニ最 モ著 明 ナル 變 化 ヲ主 トシテ外 層 ニ於 テ示 ス事 ハNoel26),谷 口31,32)等

ノ認 メタ ル所 ナ リ.予 モ亦 各 個體 ニ ヨ リ,又 疾 病 ノ有 無 ニ從 ヒテ最 モ著 明 ナ ル變 化 ヲ呈 ス ル 部

ハ小 葉 外層 特 ニGlisson氏 鞘 ニ接 スルレ肝 細 胞 内 「ミ」ナ ル 事 ヲ知 リ得 タルレヲ以 テ,特 ニ小葉 外 層

肝 細 胞 ニ於 ケル 「ミ」ノ状 態 ニ注 意 シ,又 便 宜上 コノ部 ニ於 ケル 「ミ」ヲ前述 谷 口,引 間32)ノ 分類

轟 從 ヒテ分 類 セ リ.

第1節　 胃 穿 孔

犬第1號 〓8kg

對照　 (正常時試驗肝小切除標本肝臟「ミトヒヨンドリア」)

小葉 外層 肝 細 胞 ハ黒背 色 ニ濃 染 シ,特 ニGlisson氏 鞘 ニ接 スル肝 細 胞 ハ濃 染 スル モ,小 葉 中

心 部 ハ稍 々透 明 ナ リ.強 擴 大 ニ テ檢 スル ニ, Glissou氏 鞘 ニ接 ス ル 小葉 最 外 縁肝 細胞 列 及 ビ其

ノ 内側1列 ニ於 テ ハ,肝 細 胞原 形質 中 極 メテ濃 染 セル核 小體 大 ヨ リ1/2核 大 ノ球 珍「ミ」ガ散 在性

ニ存 在 シ,之 ヨ リ内 方細 胞 列 ニ赴 ク ニ從 ヒテ カ カ ル粗 大 球 形 「ミ」ハ減 少 シ,「 ミ」ハ小 球 形 トナ

リ,而 モカ カ ル「ミ」ノ間 隙 大 トナ リ其 ノ配 列 粗 トナ ル.小 球 形 「ミ」ハ多 クハ細 胞 周邊 部 ニ存 在

シ,又 ハ連 鎖 状,網 状 トナ リ配 列 ス.更 ニ内 方 ニ進 メバ カ カル 小 球 形 「ミ」モ全 ク消 失 シ,絲 状

又 ハ粉 状 「ミ」ガ相 連 リ梁 材 状 又 ハ網 状 ニ配 列 ス.谷 口氏 第1型 ニ酷 似 ス.

罹患後肝臟「ミ」　胃穿孔後96時 間　輕快,生.

Glisson氏 鞘 ニ接 スル 小 葉 最 外 層 肝 細 胞 及 ビ ソ レ ヨ リ内方2, 3列 肝 細胞 ニ於 テ ハ1/2核 大 以下

ノ球 形 顆 粒 が多 數 散 在 性 ニ存 在 シ,前 者 ニ認 メタ ル粗 大 球 形 「ミ」ハ認 メザ リキ.中 間層 ニ於 テ

ハ 顆 粒 ハ更 ニ 小,且 連 鎖 状 ニ配 列 シ,原 形 質 中 ニ網 眼 ヲ作 ル.内 層 ニ於 テ ハ球 形 「ミ」ハ認 メズ,

太 キ絲 状 「ミ」ガ存 在 ス.谷 口氏 第2型 ニ近 似 ス.

同上　 再手術後56時 間　死.

小葉最外層肝細胞中ニ於テ粗大又ハ1/2核小體大球形 「ミ」ハ影 ヲ沒 シ,極 メテ細小ナル球形

「ミ」ハ細胞外縁 ニ近ク存在 シ,又 中間層 ニ於テハ,稍 々太キ蟲様「ミ」ト細小球形「ミ」トハ相混

98

實驗的急性腹膜炎 ト肝臟病理組織學的所見(第4編) 2141

在 ス.内 層 ニ於テハカカル太キ絲状「ミ」モ其ノ影 ヲ沒 シ,細 小粉状「ミ」ハ細胞周邊部及 ビ連鎖

状ニ核周圍ニ存在 ス.谷 口氏5型 ニ近似ス.

犬第2號 ♀10kg

對照

小葉 外1/3部 ハ稍 々濃染 ス.小 葉 最 外 層 第1, 2列 肝 細 胞 原形 質 中 ニ ハ極 メテ多 數 ノ小球 形 「ミ」

ノ存 スルレ外1-2箇 核 小體 大粗 大球 形 「ミ」 テ交 フ.中 間層 ニ到 レバ粗 大球 形 「ミ」ハ全 ク認 メザ

ルレノ ミナ ラズ,小 球形 「ミ」モ減 少 シテ連 鎖 状 「ミ」トナ リ,而 モ空 間 多 ク ナ リ,染 色度 淡 ク,内

層 ニ於 テ ハ小 球 形 「ミ」ハ全 ク消失 シ,主 トシテ絲 状 又 ハ砂 状 微 細 連鎖 状 「ミ」トナ ル.谷 口氏 第

2型 ニ近 似 ス.

罹患後肝「ミ」　胃穿孔後32.5時 間　増惡,生.

小葉内肝細胞 ハ平等 ニ染色ス.小 葉周邊部肝細胞内ノ粗大球形「ミ」ハ全ク消失 シ,稍 々多數

ノ小球形「ミ」ガ連鎖状ニ配列ス.中 間層肝細胞 ニテハカカル小球形「ミ」モ減少 シ,其 ノ間隙大

ナル連鎖状配列 ヲ呈 シ,又 ハ絲状「ミ」トナリ出現ス.而 シテ細胞周邊部ニ於テ,細 胞外膜ニ直

角ニ配列ス.内 層ニ於テハ「ミ」ハ粉状 トナリ,且 其ノ數 モ減 少.一 般 ニ小葉内「ミ」配置不整.

谷口氏第4型 ニ近似 ス.

犬第3號 〓10kg

對照

小葉外層 ｌ/4部ハ濃染 ス. Glisson氏 鞘 ニ接 スル第1, 2列 肝細胞原形質中ニハ核小體大粗大球

形「ミ」ガ多數散在性 ニ存在 シ,第3, 4列 ニ於テハカカル粗大「ミ」ハ減少 シテ,間 隙大 トナル.

中間層 ニ於テハ微細砂状顆粒 ハ連鎖状ニ且細胞周邊部ニ配列 シ,内 方ニ於テ ハ網眼 ヲ作ル.中

心静脉周圍ニ於テハ粉状ナ リ(谷口氏第1型).

罹患後肝「ミ」　胃穿孔後48時 間　増惡,生.

一般 ニ染 色 不 良且 不等 . Glisson氏 鞘 ニ接 スル肝 細 胞 ニ於 テ ハ粗 大球 形 「ミ」ハ認 メザ ル モ,

小 球形 「ミ」ハ細 胞 内 散 在性 ニ存 在 ス.其 ノ配 列 極 メテ不 整,小 葉 内 方 ニ進 ム ニ從 ヒ「ミ」ハ桿 状

トナル.中 間層 ニ於 テ ハ「ミ」ハ對 照 ニ比 シ著 シク減 少 シ,中 心 静 脉 周 圍 ニ於 テ ハ殆 ド認 メズ.

谷 口氏 第3型 ナ リ.

犬第4號 〓6kg

對照

小葉最外層肝細胞原形質中ニハ少數ノ粗大球形及 ビ多數ノ小球形「ミ」ヲ認ムルモ,小 葉内層

ニ赴クニ從ヒテ球形顆粒ハ減少 シ,細 小桿状又ハ砂状顆粒 ノミトナル.サ レド中心静脉周圍肝

細胞ニ於テハ却ツテ小球形「ミ」ガ出現ス.谷 口氏第2型 ニ一致ス.

罹患後肝「ミ」　胃穿孔後22時 間　死.

小葉最外縁第1, 2, 3列 肝細胞原形質中ニハ所々粗大球形「ミ」ヲ見,中 間層肝細胞ニ於テモ

99

2142 岩 藤 良 秋

小球形 「ミ」ヲ多數含有 ス.然 レドモ細胞ニヨリ染色不等,染 色不良ニシテ 「ミ」ラ含有 セザル

細胞 アリ.又 之ヲ多數含有 スル細胞アリテ,小 葉内竝 ニ細胞内配列極メテ不整(谷 口氏第2型

(染色不定)).

犬第5號 〓10kg

對照

小葉外層1/4部 ハ濃染 シ,中 央部ハ淡染 ス.最 外層ニ於テハ所々ノ肝細胞中少數ノ粗大球形

「ミ」ガ散在性 ニ存在スルモ,多 クノ肝細胞ニ於テハ小球形「ミ」ガ多數存在 シ,第2列 ヨリ内層

ニ於テハ粗大球形「ミ」ヲ見 ズ(谷 口氏第2型).

罹患後肝「ミ」　胃穿孔後23時 間　死.

小葉最外線肝細胞中ニ,砂 状,小 球形顆粒 ヲ多數認 メ,粗 大球形「ミ」モ極 メテ不規則 ニ殘存

セリ.第2列 ヨリ内方細胞 ニ於テハ連鎖状ニ配列シ,而 モ内層 ニ赴 クニ從 ヒテ顆粒ハ小且少數

トナ リ,殆 ド認 ムルヲ得 ズ.一 般 ニ「ミ」ノ配列ハ極メテ不整,染 色モ不等 ナリ(谷 口氏第3型).

犬第6號 〓7kg

對照

一 般 ニ肝 細 胞 内「ミ」多量 ニ シテ, Glisson氏 鞘 ニ接 ス ル肝 細 胞 及 ビ第2列 肝 細 胞 内 ニ核 小體

大 粗 大 球 形 「ミ」ガ中等 量 存 在 シ,小 葉 中央 ニ赴 ク ニ從 ヒテ「ミ」ハ小 且 増 量 シ,又 連 鎖 状 ニ配 列

ス.中 心 静 脉 周 圍 ニ於 テ ハ「ミ」ハ粉 状 トナ リ,所 々桿 状 ヲ 呈 スル モノ ア リ(谷 口氏 第1, 2型 移

行 型).

罹患後肝「ミ」　胃穿孔後125時 間　輕快,生.

粗大球形「ミ」ハ小葉外層肝細胞中ニ多量證明 シ,對 照ニ比 シ著變ナシ.中 間層ニ於テハ球形

「ミ」ハ殆 ド認 メズ,連 鎖状「ミ」ヨリナル(外 層ハ第1型,中 間層ハ第4型 ニ近似ス).但 シ小葉

内「ミ」配列不整ナ リ.

第2節　 大 腸 穿 孔

犬第9號 ♀5kg

對照

小葉周邊部肝細胞ハ濃染 ス.最 外縁肝細胞内ニ小球形 「ミ」ヲ中等量證明スルレモ,第3, 4列

ヨリ中間層細胞 ニ於 テハ「ミ」ハ少量且桿状又ハ連鎖状 トナ リテ網状 ニ配列ス.而 モ細胞周邊部

ニ主 トシテ存在 シ,桿 状「ミ」ハ細胞外膜 ニ直角 ニ配列 ス.毛 細膽管ニ面スル側ニハ殆 ド認 メズ

(外層第2型,中 間層第4型).

罹患後肝「ミ」　盲腸穿孔後17時 間　死.

肝細胞内空胞形成著明,原 形質ハ爲ニ1側 ニ排壓 セラレ,球 形「ミ」ハ認メズ.僅 ニ細小絲状

「ミ」ガ小葉周邊部肝細胞 中ニ認 メラルノミ(谷 口氏第6型).

100

實驗的急性腹膜炎ト肝臟病理組織學的所見(第4編) 2143

犬第10號 〓10kg

對照

小葉周邊部肝細胞原形質中ニ極ノテ少數ノ粗大球形「ミ」ガ存在 スルニ過 ギズ,小 葉内方ニ赴

クニ從 ヒテ顆粒 ハ細小且多數 トナリ,又 絲状,連 鎖 状ニ配列 シ,中 心静脉周圍肝細胞 ハ主 トシ

テ透明,「 ミ」ハ粉状 トナ リテ細胞周邊部ニ存 シ網状ニ配列 ス(谷 口氏第2型).

罹患後肝「ミ」　盲腸穿孔後56時 間　増惡,生.

肝細胞中ニハ多數 ノ核大空胞ヲ認 メ,「 ミ」ヲ認 メザル細胞多シ.唯 小葉内散在性 ニ所々小球

形「ミ」ノ原形質中ニ殘存スル肝細胞ヲ認ムルニ過ギズ.細 胞内「ミ」ノ染色竝 ニ「ミ」殘存肝細胞

ノ小葉内配置ハ極 メテ不整ニシテ,肝 細胞ハ著 シク障碍 セラレタル事ヲ知ル(谷 口氏第5型).

犬 第11號 〓8kg

對照

小葉周邊部肝細胞 ハ濃染ス. Glisson氏 鞘ニ接 スル肝細胞原形質中ニハ數箇ノ粗大球形「ミ」

及 ビ多數ハ小球形「ミ」ガ存在 ス.第2, 3列 肝細胞 ヨウ内方ニ赴クニ從 ヒテ粗大球形「ミ」ハ認 メ

ズ,小 球形「ミ」ガ細胞内瀰蔓性ニ認 メラル.中 間層 ニ於テハ多數ノ小球形「ミ」ガ或 ハ細胞内普

遍性ニ,或 ハ細胞周邊部 ヨリ内方ニ連鎖状ニ配列 シ,核 周圍ニ於テハ蜂窩状 ニ配列 ス.小 葉内

層肝細胞内ニハ粉状又ハ桿状「ミ」ヲ見ル(谷 口氏第2型).

罹患後肝「ミ」　盲腸穿孔後124時 間　輕快,生.

小葉中間層濃染 ス.肝 細胞染色不等且汚染 ス.外 層及 ビ中間層 ニハ粗大球形「ミ」ハ全ク認 メ

ザルモ,主 トシテ連鎖状又ハ桿状「ミ」ガ中等量存ス.内 層肝細胞 ニ於テハ「ミ」ハ殆 ド認 メズ,

細胞ハ普遍性 ニ紫染 シ,蜂 窩状ヲ呈ス.「 ミ」ノ小葉内配列極 メテ不整ナ リ(谷 口氏第5型).

犬第12號 〓10.4kg

對照

小葉周 邊 部 濃 染 ス. Gliason氏 鞘 ニ接 ス ル第1, 2列 肝 細 胞 中 ニハ 多 量 ハ小 球 形 「ミ」ヲ認 メ,

第1列 肝細 胞 中 ニ ハ所 々粗 大球 形 「ミ」ノ混 在 スル ヲ認 ム.第3.4列 肝 細 胞 内 ニハ多 數 ハ小球 形

「ミ」ガ存 在 シ,内 層 ニ赴 ク ニ從 ヒテ「ミ」ハ小 且 少 數 トナ リ,細 小絲 脉,粉 状 トナ リテ細 胞 周 邊

部 ニ存 在 ス(谷 口氏 第1, 2型 移 行型).

罹患後肝「ミ」　盲腸穿孔後22.5時 間　死.

小葉最外層肝細胞列ニ於テハ尚ホ粗大球 形顆粒ヲ僅 ニ認ムルモ,多 數ハ肝細胞ニ於テハ小球

形「ミ」ヲ證明ス.前 者ニ比 シ稍々減少 ス.然 レドモ既 ニ第1列 肝細胞 ニ於テモ粉状又ハ連鎖状

「ミ」ノミニシテ蜂窩状 ヲ呈スル細胞 アリ.内 層 ニ於テハ球形顆粒ヲ認 メズ.砂 状,絲 状「ミ」ガ

網状ニ配列 シテ多數 ノ間隙 ヲ認 ム(谷 口氏第3型).

101

2144 岩 藤 良 秋

犬 第16號 ♀13.5kg

對照

Glisson氏 鞘 ニ接 スル 肝 細 胞 中 ニハ核 小體 大 粗 大 球形 「ミ」ヲ各 々4-5ヲ 認 メ,他 ニ小球 形

「ミ」ヲ混在 ス(Fig. 1).第2, 3列 ヨ リ内 方 肝 細 胞 ニ於 テ ハ小 球 形 「ミ」ハ 増 量,中 間層 ニ於 テ ハ

細 胞周 邊 部 ニ連 鎖 ヲ作 リ又 ハ内 方 ニ網 状 ニ配 列 ス(Fig. 2).中 心静 脉 周 圍 ニ テ ハ細 小粉 状 又 ハ

絲 状 トナ リ(Fig. 3),定 型 的 第2型 ナ リ.

罹患後肝「ミ」　横行結腸穿孔後24時 間　死.

粗 大 及 ビ小 球 形 「ミ」ハ對 照 ニ 比 シ著 シク減 少 シ,中 間層,内 層 肝 細 胞 「ミ」ハ殆 ド總 テ桿 状,

絲 状,粉 状,細 胞 内配 列 モ不 整 ニ シテ網 眼 ヲ形成 セズ(Fig. 4).又 「ミ」含 有肝 細胞 ノ小葉 内配

置竝 ニ染 色 共 ニ著 シク不 整 ニ シテ,周 圍 肝 細 胞 ニ比 シ著 シク萎 縮 セ ル ニ拘 ラズ多 數 ノ粗 大 球 形

「ミ」ノ殘存 スル 細 胞 ア リ(Fig. 5).又 之 ヲ含 有 セ ザ ル細 胞 ア リ(Fig. 6). Glisson氏 鞘 ニ接 ス

ル 小葉 最 外 縁 肝 細 胞 ニ於 テ モ同 様 ナル 所 見 ヲ呈 シ,多 數 細胞 ハ絲 状 又 ハ粉 状 「ミ」ヲ含 有 スル ニ

拘 ラズ,其 ノ間粗 大 球 形 「ミ」ノ殘 存 ス ルレ萎 縮 肝 細 胞 ヲ所 々認 ム(谷 口氏 第6型 ニ近 似).

第3節　 膽 嚢 穿 孔

犬第13號 〓10kg

對照

小葉最外縁肝細胞中ニモ粗大球形「ミ」ヲ認 メズ,無 數 ハ小球形「ミ」ガ存在 シ,尚 ホ第2, 3列

肝細胞中ニモ之 ヲ認 ム.中 間層 ニテハ球形 「ミ」ハ減少 シ,桿 状又ハ連鎖状 「ミ」ガ細胞周邊部

ニ存在ス.小 葉内層 ニ於テハ球形 「ミ」ハ認 メズ.粉 状,砂 状 「ミ」ガ細胞内ニ不規則ニ配列 ス

(外層第2型,内 層第6型).

罹患後肝「ミ」　膽嚢穿孔後192時 間　輕快,生.

粗大球形「ミ」ナシ.小 葉最外縁肝細胞中ニハ小球形「ミ」ガ中等量存在 シ,第2, 3列 ヨリ内層

ニ赴クニ從 ヒテ連鎖状ニ配列 シ,「 ミ」ハ少數且小 トナル.内 層 ニ於テハ粉状 又ハ砂状顆粒 ハ極

メテ不規則ナル配列 ヲ呈ス(外 層谷口氏第4型,内 層第6型).

同上　再手術後504時 間　輕快,生.

粗大球形「ミ」ハ認 メズ.小 球形「ミ」モ著 シク減少 シ,小 葉最外縁肝細胞 ニ於 テ既ニ染色不同,

透明 ニシテ峰窩状 ヲ呈スルモノア リ.肝 細胞「ミ」ハ含有量不定.中 間層ニ於テハ砂状又ハ粉状

微細「ミ」ハ散在性 ニ存在 シ,又 ハ連鎖状ニ配列ス.内 層肝細胞 ニ於 テハ粉状「ミ」ハ極 メテ不規

則ニ存在 ス(谷 口氏第6型).變 化著明ナ リ.

犬第14號 〓14kg

對照

Glisson氏 鞘 ニ接 スル小葉最外縁及 ビ第2列 肝細胞ニ於テハ粗大球形「ミ」ハ増量 シ,尚 ホ内

102

實驗的急性腹膜炎ト肝臓病理組織學的所見(第4編) 2145

方ニ進メバ連鎖状「ミ」トナリ網状ニ配列 ス.中 心静脉近部肝細胞ニ於テハ「ミ」ハ益々細小且減

少スルレモ,尚 ホ小球形「ミ」ノ連鎖状ニ配列 スルヲ見ル.絲 状,桿 状「ミ」ハ認 メズ(第2型).

罹患後肝「ミ」　膽嚢穿孔後21時 間　死.

染色極メテ不等.小 葉周邊部萎縮肝細胞中ニ核小體大「ミ」ヲ認 ムルモ,細 胞萎縮 ノ爲 メカカ

ルレ「ミ」ハ融解凝集 シ,汚 染黒色大顆粒 トシテ認 メラルモノ多 シ.中 間層 ニ於 テハ連鎖状「ミ」ハ

集合 シテ星状ヲ呈 シ,中 心静脉周圍細胞ハ一般 ニ溷濁,「 ミ」ヲ認 メザル細胞多 シ.即 チ染色不

平等,「 ミ」ノ小葉内及 ビ細胞内配列不整且減少著明(谷 口氏第2型).

犬 第15號 〓9.5kg

對照

小葉周邊部濃染.外 層 ニ於テ粗大球形「ミ」ヲ認 ムルモ,小 球形「ミ」ガ稍々多量存在ス.中 間

層 ニ於テハ「ミ」ハ連鎖状又ハ網状 ニ配列 ス.中 心静脉周圍ニ於テハ球形「ミ」ハ認 メズ,粉 状 ト

ナル(谷 口氏第2型).

罹患後肝「ミ」　膽嚢穿孔後93時 間　死.

極 メテ著明ナル變化ヲ示ス.染 色不整,汚 染ス.肝 細胞ハ萎縮分散 シ,原 形質 ハ溷濁 シ空胞

ヲ有ス.特 ニ中間層肝細胞ニ於テ小球形 「ミ」ノ殘存スルヲ認ムルモ,多 數 ノ肝細胞 ニ於テハ

「ミ」ヲ見ル能ハズ. Glisson氏 鞘ニ接 スル肝細胞ニ少量 ノ球形 「ミ」ヲ認 ムルモ内層ニ於テハ

「ミ」ヲ認メズ(谷 口氏第5型).

第4節　 葡萄状球菌「ブイヨン」純粹培養液腹腔内注入

犬第17號 ♀13.5kg

對照

Glisson氏 鞘 ニ接 ス ル肝 細 胞 中 ニ ハ粗 大球 形 「ミ」ヲ多 量 認 メ,第2,第3列 肝 細 胞 ヨ リ内層 ニ

赴 ク ニ從 ヒテ球 形「ミ」ハ小 トナ リ,且 増 多 ス.内 層 ニ於 テ,中 心 静 脉 ニ近 接 スル 肝細 胞 中 ニハ

球 形 「ミ」ヲ認 メズ(谷 口氏 第2型).

罹患後肝「ミ」　術後65時 間　死.

Glieson氏 鞘 ニ接 スル肝 細 胞 ニ於 テ ハ ミ稍 々多 量 ノ小 球 形 「ミ」ヲ認 ムル モ,第2列 ヨ リ内 方

ニ於 テ ハ「ミ」ハ細 小絲 状 トナ リ,中 間層 ニ於 テ ハ 之 ガ網 状 ニ配 列 ス.中 心 静 脉 周 圍 ニ於 テ ハ砂

状 トナ ル.對 照 ニ比 シ「ミ」ハ著 明 ニ減 少 ス(谷 口氏 第5型).

犬 第18號 〓13.7kg

對照

Glisson氏 鞘 ニ接スル肝細胞及 ビ第2列 肝細胞ニハ核小體大粗大球形「ミ」ガ稍々多量存在 シ,

中間層ニ於テハ多クハ桿状「ミ」力又ハ小球形「ミ」ガ連鎖状ニ配列ス.内 層中心静脉附近ニ於テ

ハ「ミ」ハ減少 シ,多 クハ細 小絲状又 ハ稍々太キ絲状ヲ呈 スルモ,尚 ホ小球形「ミ」ヲモ認 ム.一

103

2146 岩 藤 良 秋

般 ニ「ミ」ハ極 メテ多 量 ナ リ(谷 口氏 第1型).

罹患後肝「ミ」　術後110時 間　死亡.

Glisson氏 鞘 ニ接 スル肝細胞中尚ホ粗大球形「ミ」ノ多數殘存スルモノアリ,又 粗大球形「ミ」

ヲ認 メズ シテ小球形「ミ」ハ少數存在スル細胞アリテ顆粒ハ大小不等.中 間層 ニ於テハ「ミ」ハ減

少 シテ細 小,粉 状,絲 状,連 鎖状 トナ リ,間 隙形成著明.尚 ホ所々粗大球形「ミ」ノ殘存スルレ細

胞ヲ散在性ニ認 ム.内 層肝細胞 ニ於テハ「ミ」ハ絲状 トナル,要 スルニ小葉内配列極メテ不整ナ

リ(外層第2型,内 層第4型).

犬 第35號 ♀9.5kg

對照

Glisson氏 稍ニ接 スル第1列 肝細胞及 ビ第2, 3列 肝細胞内ニ於 テハ,粗 大及 ビ小球形「ミ」ヲ

多量認 ム.中 間層 ニアリテモ肝細胞用邊部ニ小球形顆粒 ヲ認 メ,中 心静脉周圍肝細胞 ニ於テハ

細小桿状又ハ粉状「ミ」ヲ散在性 ニ認 ム(谷 口氏第2型).

罹患後肝「ミ」　術後48時 間　増惡,死.

Glisson氏 鞘 ニ接 スル 肝 細 胞 ニハ尚 ホ粗 大及 ビ小 球 形 「ミ」ヲ認 メ,又 中 間層 ニ於 テ ハ細 胞周

邊 部 ニ小 球 形 「ミ」ヲ認 ムル モ,多 ク ハ桿 状 「ミ」ニ シテ細 胞 膜 ニ直 角 ニ並 立 存 在 ス.内 層肝 細

胞 ニ於 テ ハ絲 状 トナル.對 照 ニ比 シ「ミ」ハ減 少 シ,殊 ニ中 間 層 ニ於 テハ顆 粒 ハ小 且 桿状 ヲナ ス

(外 層2型,中,内 層4型).

第5節　 連鎖状球菌「ブイヨン」純粹培養液腹腔 内注入

犬第19號 〓14kg

對照

Gliason氏 鞘ニ接 スル肝細胞及 ビ第2列 肝細抱原形質中極 メテ多數 ノ小球形「ミ」ヲ認ムルモ,

第1列 以外 ノ肝細胞ニ於 テハ粗大球形 「ミ」ヲ認 メズ,中 間層 ニ於テハカカル球形 「ミ」ハ少數

トナ リ,主 トシテ絲状又 ハ粉状「ミ」ハ細胞周邊部ニ竝 ビ又ハ連鎖状 ニ配列 シテ内方ニ綱眼ヲ形

成 シテ侵入ス.小 葉内層 ニ於テハ肝細胞 ハ透明,絲 状又ハ粉状 「ミ」ガ散在性 ニ存 ス(谷 口氏

第1型).

罹患後肝「ミ」　術後170時 間　輕快,生.

小葉外層肝細胞 ニ尚 ホ粗大球形「ミ」ノ殘存 スル細胞 ヲ極 メテ少數認ム.中 間層 ニ於テハ球形

「ミ」ナク,絲 状「ミ」ハ多 ク細胞周邊部ニ存在 シ,而 モ定型的網眼ヲ認 メズ,細 胞内配列不整,

内層 ニ於 テハ粉状「ミ」トナル(第5型).

犬 第20號 ♀15kg

對照

小葉最外縁及 ビ第2列 肝細胞中ニハ粗大球形「ミ」ハ中等量存在ス.中 間層ろ於 テハ「ミ」ハ粉

104

實驗的急性腹膜炎ト肝臟病理組織學的所見(第4編) 2147

状 トナリ網眼ヲ形成 シ空隙ヲ作ル.所 々稍々太キ絲状又ハ粉状「ミ」ヲ含有ス(外 層第1型,内

層4型).

罹患後肝「ミ」　術後20時 間　死.

小葉周邊部ハ濃染 ス,小 葉最外縁肝細胞内粗大球形「ミ」ハ殆 ド認 メズ.「 ミ」ハ第2, 3列 肝細

胞 ヨリ既ニ粉状又ハ細小絲状 トナリ,連 鎖状球菌状 ニ配列 シ,中 間層 ニ於テハカカル絲状「ミ」

モ減少 シテ定型的網眼テ形成セズ.小 球型「ミ」モ著 シク減少ス(谷 口氏第5型).

犬 第21號 ♀18.3kg

對照

小 葉 外層 第1, 2列 肝 細 胞 中 ニ ハ極 メテ多 數 ノ超 核 小體 大粗 大竝 ニ小 球形 「ミ」ヲ散 在 性 ニ認 メ

(Fig. 7).第3, 4, 5列 及 ビ所 々 ノ 中 間層 肝 細 胞 中 ニ於 テ モ粗 大 球形 「ミ」ヲ含 有 セルレテ 認 ム.

然 レ ドモ多數 肝 細 胞 ニ於 テ ハ多 數 ノ小 球形 「ミ」 ヲ含 有 ス(Fig. 8).内 層 肝 細 胞 ニ テ ハ小 球 形

「ミ」ハ減少 シ,絲 状,連 鎖 状 「ミ」ガ網 状 ニ配 列 ス(Fig. 9).(谷 口氏 第1, 2型 混 合 型).

罹患後肝「ミ」　術後103時 間　増 惡,生.

變化 著明.一 般 ニ染 色 不 同,島 嶼 状 ニ所 々肝 細 胞 内 ニ極 メテ微 量 ノ小球 形,砂 状 「ミ」ガ連 鎖

状 ニ配 列 シ,又 ハ細 小絲 状 「ミ」ガ細 胞 周 邊 部 ニ存 在 シ,又 ハ核 周 圍 ヲ圍 繞 ス.肝 細 胞 中 ニ多 數

ノ空 胞 ヲ有 シ,其 ノ間細 長 キ絲状 「ミ」ヲ認 ム(Fig. 10, 11, 12).(谷 口氏 第6型).

第6節　 大腸菌「ブイヨン」純粹培養液腹腔内注入

犬第22號 ♀9.5kg

對照

小葉 最 外 縁肝 細 胞 ニ於 テ,特 ニGlisson氏 鞘 ニ面 スル側 ニ少 量 ノ粗 大球 形 「ミ」ヲ藏 ス.第2

列 ヨ リ内方 ニ於 テモ尚 ホ粗 大球 形 「ミ」ヲ含 有 スルレ肝 細 胞 テ認 ムル モ,多 ク ハ粉 状,絲 状 「ミ」が

連 鎖 状 ニ配 列 ス.中 間層 ニ於 テ モ尚 ホ粗 大球 形 「ミ」ヲ含 有 スル肝 細 胞 ガ島 嶼 状 ニ存 在 ス(谷 口

氏 第1型).

罹患後肝「ミ」　術後19時 間　死.

肝細胞萎縮,分 散著明.肝 細胞原形質中所々微量 ノ小球形又ハ絲状「ミ」ヲ認 ムルレモ,多 數肝

細胞ニハ著明ナルレ「ミ」ヲ認 メズ(谷 口氏第6型),

犬 第23號 〓10kg

對照

小葉周邊部濃染.小 葉最外縁肝細胞原形質中粗大球形「ミ」テ多量認 メ,尚 ホ散在性 ニ中間層

及 ビ内層ニ於テモ多量ノ粗 大球形「ミ」ヲ認ムル細胞アリ.内 層中心静脉周圍肝細胞中ニモ小球

形顆粒ヲ認 メ,且 細胞内ニ充満 シ又 ハ連鎖状ニ配列 ス.粉 状,絲 状「ミ」ハ認 メズ(谷 口氏第1

型).

105

2148 岩 藤 良 秋

罹患彼肝「ミ」　術後14時 間　死.

染色不整,汚 染 ス.肝 細胞中ニ粗大球形「ミ」ヲ認 メズ.僅 ニ散在性 ニGlisson氏 鞘 ニ接 スル

肝細抱ニ小球形「ミ」ノ殘存 セルレヲ認ム.外 層大部竝ニ中間層肝細胞内「ミ」ハ極 メテ細小,粉 状

又 ハ連鎖状ナリ.尚 ホ「ミ」ヲ含有セザル肝細胞ヲ散在性 ニ認 ム(谷 口氏第6型).

犬 第24號 〓9.8kg

對照

小葉周邊部濃染.小 葉外層 ニ於テ散在性 ニ粗大球形「ミ」ヲ含有 スルレ肝細胞 ヲ認 メ,其 ノ間ノ

,肝細胞 中ニハ細 小絲状又ハ連鎖状「ミ」ヲ證明ス.内 層肝細胞ニ於テハ「ミ」ハ粉状且之ヲモ含有

セザルレ肝細胞ヲ認ム.本 例ニ於 テハ外層 ニ粗大球形「ミ」ヲ認メザル肝細胞アルニ拘 ラズ,中 間

.層ニ於テハ却 ツテ之ガ増量 シ,小 葉内配列不整ナ リ(谷 口氏第1型).

罹患後肝「ミ」　術後241時 間　輕快,生.

Glisson氏 鞘 ニ接 スル 外 層 第1, 2, 3列 肝 細 胞 中 ニ ハ多量 ノ小 球 形 「ミ」ヲ認 ノ,中 間層 ニ於 テ

モ 尚 ホ細 胞 周邊 部 ニ小 球形 「ミ」ヲ認 ム.内 層 ニ到 レバ 「ミ」ハ益 々 小 トナ リ,粉 状,網 眼 ヲ形 成

ス.一 般 ニ對 照 ニ比 シ粗 大球 形 「ミ」ハ減 少 シ,小 球 形 「ミ」ハ却 ツテ増 量 ス(谷 口氏 第2型).

犬 第25號 ♀13kg

對照

小葉周邊部濃染.小 葉最外縁肝細胞中中等量 ノ核小體大粗大球形「ミ」ヲ認ム.第2, 3列 肝細

胞 ニ於 テハ粗大球形「ミ」ハ減少 シ多數ノ小球形「ミ」ヲ認 ム.中 間層 ニ於テハ小球形「ミ」ハ散在

性 又ハ連鎖状 ニ存在 シ,又 絲状「ミ」ガ放射状 ニ核周圍ニ配列 セル細胞 アリ.内 層肝細胞 ニテハ

連鎖状又ハ絲状「ミ」ヲ多數認 ムル外,尚 ホ粗 大球形「ミ」ヲ含有スル肝細胞ヲ所々ニ見ル(谷 口

.氏第2型).

罹患後肝「ミ」　術後168時 間　輕快,生.

一 般 ニ染 色 不整 .所 々「ミ」ヲ全 ク認 メザ ル肝 細 胞 ア リ.粗 大球形 「ミ」ハ全 ク認 メズ. Glisson

氏 鞘 ニ接 スル 小 葉 最 外 縁 肝 細胞 中 少 量 ノ小 球 形 「ミ」ヲ認 ム.第2, 3列 肝 細 胞 ヨ リ中 間層 ニ於 テ

ハ 顆 粒 ハ僅 少 且 細 小絲 状 ヲ呈 シ,間 隙 多 ク網 状 ニ配 列 ス.内 層 ニ於 テ ハ「ミ」ハ粉 状 ナ リ(谷 口

氏 第5型).對 照 ニ比 シ染 色不 同,顆 粒 減少 シ,小 葉 内配 置不 整 ナ リ.

第7節　 諸種細菌「ブイヨン」純粹 培養混合液腹腔内注入

犬 第26號 〓16kg

對照

小葉最外層及 ビ第2列 肝細胞原形質中ニハ多數ノ小球形「ミ」ヲ證明 シ,尚 ホ少數 ノ粗大球形

「ミ」ガ混在 ス.第3列 ヨリ内方中間層ニ於テハ「ミ」ハ減少 シ,細 胞ハ透明,且 絲状又 ハ細菌状

ニ連鎖配列 シ,粗 ナル網眼ヲ形成 ス.内 層肝細胞内ニ於テハ「ミ」ハ粉状ナ リ(谷 口氏第2型) .

106

實驗的急性腹膜炎ト肝臟病理組織學的所見(第4編) 2149

罹患後肝「ミ」　術後168時 間　輕快,生.

小 葉 外層 ニ粗 大球 形 「ミ」ヲ含 有 スルレ肝 細 胞 ア リ.中 間層 ニ於 テ ハ多 數 ノ 小球 形「ミ」ヲ認 メ,

又 桿 状 「ミ」モ存 在 ス.一 般 ニ網 眼 ヲ形 成 セズ,瀰 蔓 性 ニ細 胞 内 ニ存 ス.小 葉 内 層 ニ於 テ ハ「ミ」

ハ小 ニ シテ粉 状 ヲ呈 スル モ,毛 細 血 管 ニ面 セ ルレ側 ニ於 テ微 量 ノ小 球 形 「ミ」 ヲ認 ム ル細 胞 ア リ

(谷 口氏 第2型).對 照 ニ比 シ「ミ」ハ却 ツテ増 量 セル モ小 葉 内竝 ニ細 胞 内配 列 不整 ナ リ.

同上　再手術後　49時 間　増惡,生.

染色不等,汚 染ス.小 葉外層ニ於テハ粗大球形「ミ」ヲ含有スル肝細胞ハ之ヲ全ク含有 セザル

細胞群中ニ殘存 ス.中 間層 ニ於テハ「ミ」ハ桿状 トナ リ且細胞内配列粗ナ リ.内層 ニ於 テハ粉状,

前者ニ比 シ著變ナキモ其ノ小葉内配列極メテ不整(谷 口氏第2型).

犬 第27號 ♀13kg

對照

小葉外層肝細胞中ニハ稍々多量ノ粗大球形「ミ」ヲ認 メ,中 間層 ニ於テハ「ミ」ハ桿状,中 心静

脉周圍ニ於テハ「ミ」ハ網 小絲状且蜂窩状ニ配列 ス(外層第1型,内 層第4型).

罹患後肝「ミ」　術後15時 間　死.

「ミ」ハ著 シク減 少,之 ヲ認 メザ ル 肝 細 胞 多 シ.唯 所 々 ノGlisson氏 鞘 ニ接 スル 肝 細 胞,所 々

ノ中 間層肝 細胞 中 ニ粗 大 球 形 「ミ」ノ殘 存 セル ヲ認 ム.染 色 不 整,小 葉 内 「ミ」配 列 著 シ ク不 整

(第6型?).

犬 第28號 〓10.5kg

對照

小 葉 最外 縁 及 ビ第2列 肝 細 胞 中 ニハ小 球 形 又 ハ桿 状 「ミ」 極 メテ多 量,其 ノ 間所 々粗 大 球 形

「ミ」ヲ認 ム.中 間層 ニ 到 ル ニ從 ヒテ「ミ」ハ減 少 シ網 眼 ヲ形 成 シ,其 ノ間隙 大 トナ リ尚 ホ 其 ノ間 「

所 々粗 大 「ミ」ヲ混 ズ.中 心 静 脉 周圍 肝 細 胞 「ミ」ハ粉 状,連 鎖 状 ニ シテ其 ノ間 所 々 ノ肝 細 胞 中 ニ

小 球形 「ミ」ヲ認 ム(外 層 第2型,中 間層 第4型).

罹患後肝「ミ」　術後51時 間　死.

小葉最外縁肝細胞中ニ所々粗大球形「ミ」ノ殘存ヲ認 メ,中 間層肝細胞中ニハ粉状又ハ小桿状

「ミ」ハ極 メテ多量存在シ,其 ノ間粗大球形「ミ」ア リ.内 層肝細胞 ニテハ粉状「ミ」ハ連鎖状 ニ配

列 ス.對 照ニ比 シ中間層ノ粗大球形顆粒減少 シ,小 球形顆粒増量 ス,且 小葉内配列 不整(谷 口

氏外層2型,中 間層5型).

犬 第29號 〓8.5kg

對照

球形 顆 粒 極 メ テ多 量. Glisson氏 鞘 ニ接 スル 第1, 2, 3列 肝 細 胞 ニ於 テ,粗 大及 ビ小 球 形 「ミ」

ハ極 メ ラ 量,中 間層 ニ到 ル モ尚 ホ多 量 存 在 シ,之 等 ノ球 形 「ミ」ハ網 眼 ヲ形 成 シ,其 ノ間 隙 ハ

透 明 ナ リ.内 層 肝 細 胞 ニテ ハ カ カ ル小 球 形 「ミ」ハ細 胞 周 邊 部 ニ存 在 ス.桿 状 「ミ」ナ シ(谷 口氏

107

2150 岩 藤 良 秋

第2型).

罹患後肝「ミ」　術後15時 間　死.

Glisaou氏 鞘ニ接スル第1, 2, 3列 肝細胞中ニハ尚ホ粗大球形「ミ」ヲ殘存 スルモ,中 間層ニ於

テハ「ミ」ハ粉状又ハ細小絲状 ヲ呈 シ,粗 大球形「ミ」ハ減少ス.中 心静脉周圍肝細胞 ニ於テモ尚

ホ小球形「ミ」ヲ含有ス(谷 口氏第2型).

第8節　 對照試驗(開 腹,肝 小切除)

犬第30號 〓8kg

對照

小葉外層 ハ濃染ス. Glisson氏 鞘 ニ接スル小葉最外縁肝細胞原形質中ニ超核小體大ナル粗大

球形 「ミ」ガ散在 ス.第2, 3列 ヨリ中間層ニ赴 クニ從 ヒテ 「ミ」ハ小球形 トナ リ,或 ハ核周圍,

或ハ連鎖状ニ配列 シ,特 ニ毛細血管ニ面セル細胞外膜ニ近ク密集 ス.中 間層 ニ於 テモ粗 大球形

「ミ」テ含有スル肝細胞 テ所々發 見ス.中 心静脉周圍肝細胞中ニハ「ミ」ヲ認 メザルモノ多 シ(谷

口氏第1型).

術 後48時 間肝 「ミ」　輕 快,生.

對照 ニ比 シ肝小葉,肝 細胞内「ミ」配置,顆 粒大及 ビ量等ニ著變 ヲ認 メズ(谷 口氏第1型).

犬 第31號 〓12.5kg

對照

Glisson氏 鞘 ニ接 スル第1, 2列 肝 細 胞 中核 小 體 大 ノ粗 大球 形 「ミ」ガ散 在 性 ニ存在 ス.第3, 4

列 肝 細 胞 ニ於 テ ハ球 形 「ミ」ハ細 胞 周 邊 部 ニ存 在 スル ニ到 リ,特 ニ毛 細 血管 ニ 面 セル側 ニ位 ス.

中 間層,内 層 ニ於 テ モ小 球 形 「ミ」ハ多 量 ニ シテ,僅 ニ中心 静 脉 周 圍肝 細 胞 中 ニ粉 状 「ミ」ヲ認 ム

ル ニ過 ギ ズ(谷 口氏 第1型).

術 後24時 間肝 「ミ」　輕 快,生.

對照 ニ比 シ「ミ」顆粒大,量 及ビ小葉竝 ニ細胞内分布ニ著變 ヲ認 メズ(谷 口氏 第1型).

犬第32號 ♀9kg

對照

小葉周邊部濃染 ス. Glisson氏 鞘ニ接 スル第1, 2列 肝細胞原形質中ニハ瀰蔓性 ニ特 ニ核周圍

ニ於 テ核小體大粗大球形「ミ」ヲ中等量證明ス.中 間層 ニ於テモ尚ホ所 々ハ肝細胞中ニ粗大球形

「ミ」フ認 ムルモ,多 數 ノ肝細胞 ニ於 テハ小球形顆粒 トナ リ,連 鎖状ニ細胞周邊部ニ配列 シ,又

ハ網状 ニ細胞内方ニ配列 ス.中 心静脉周圍 ニ於テハ「ミ」ハ粉状 ニシテ,球 形「ミ」ハ認 メズ(谷

口氏第1型).

術後48時 間肝「ミ」　輕快,生.

小葉外縁第1, 2列 肝細胞原形質中ニハ粗大及 ビ小球形「ミ」ハ多量存在 シ,特 ニ核周圍ニ於テ

108

實驗的急性腹膜炎ト肝臟病理組織學的所見(第4編) 2151

ハ小球形「ミ」多量ナリ.中 間層,内 層 ハ共ニ對照 ニ比 シ著變ナシ(谷 口氏第1型).

犬 第33號 〓16.5kg

對照

小葉周邊部 ハ濃染 ス. Glisson氏 鞘 ニ近接 スル第1,第2列 肝細胞中ニハ粗大球形「ミ」ヲ中等

量證明シ,中 間層 ニ於テハ細胞周邊部ニ小球形「ミ」アリ.又 桿状又ハ連鎖状「ミ」ハ細胞内層 ニ

網眼ヲ形成 シ配列ス.中 心静脉周圍肝細胞原形質中ニハ粉状又ハ細小絲状「ミ」ガ瀰蔓性 ニ存在

ス(谷 口氏第1型).

術 後48時 間 肝「ミ」　輕 快,生.

對 照 ニ比 シ著 變 ナ シ.

犬第34號 ♀12kg

對照

小 葉周 邊 部 濃 染.小 葉 外縁 第1, 2列 肝 細 胞 中 ニ ハ粗 大及 ビ小 球 形「ミ」ヲ中 等 量 認 メ,ソ レヨ

リ中 間層 ニ於 テ ハ原 形質 中空 隙 多 ク,「 ミ」ハ連 鎖 状 ニ配 列 シ,粗 ナル網 眼 ヲ形 成 ス.中 心 静 脉

.周圍肝 細 胞 ニ於 テ ハ,「 ミ」ハ細 小 粉 状 ニ シテ稍 々多 量存 在 ス(谷 口氏 第1型).

術後23時 間「ミ」　輕 快,生 。

小葉外層ニ於テ特 ニ小球形「ミ」ハ極 メテ多量ニシテ對照ニ比 シ増量 ス.且 粗大球形「ミ」ヲモ

認 ム.中 間層 ニ於テモ尚ホ多量 ノ小球形顆粒ヲ認メ,連 鎖状ニ配列 シ其 ノ軸 ヲ毛細 血管 ト直角

ニ交又ス(谷 口氏第2型).

前述 各實 驗例 正常 時竝 ニ急 性 腹膜 炎罹 患 後 ニ於 ケル肝 「ミ」所 見 ヲ次 ニ表 示 セ リ.表 示 スル量

ハ主 トシテ球 形 「ミ」ノ量 ヲ,又 「ミ」ノ顆 粒 ノ大 サ竝 ニ分 類 ハ 主 トシテ肝 小 葉 外 層 ニ於 ケ ル ソ レ

ヲ示 セ リ.

正 常 時 竝 ニ急 性 腹 膜 炎 罹患 後 ニ於 ケル肝 臓 「ミ トヒ ヨ ン ド リア」

(量竝 ニ顆粒 大ハ主 トシテ小葉外層肝細胞 ニ於 ケル夫 レヲ表 ス)

109

2152 岩 藤 良 秋

110

實驗的急性腹膜炎ト肝臟病理組織學的所見(第4編) 2153

肝 小 葉 内 「ミ トヒ ヨ ン ド リア」配 列 模 型

A正 常 時

B急 性腹膜炎罹 患後

a小 葉外 層

b中 間層

c内 層

第4章　 正常犬肝臟 ニ於ケル 「ミ トヒヨン ドリア」

人 類竝 ニ動 物 ニ於 テ食 餌採 取 ヨ リ肝 切除 ニ到 ル時

間 ト肝「ミ」ノ形 態 竝 ニ分 布 ハ重 大 ナ ル關 係 ヲ有 ス ル

事 ハ既 ニAltmann (R)(1876), Traina (1904)33),

Okuneff (1923)29), Noel (1923)26).古 賀(昭2)16),谷

口,引 間(昭5)32)等 ノ唱 ヘ タル 所 ナ リ.サ レバ予 ノ

實 驗 ニ於 テ 正常 時.急 性 腹 膜 炎 罹 患後 及 ビ對 照試 驗

トシテ ノ單 ナ ル開 腹,肝 小 切 除 後 ニ於 ケル肝 「ミ」ノ

状 態 ヲ檢 セ ン トシテ ナ セ ル肝 切 除 ニ關 シテ ハ,可 及

的 食 餌 其 ノ他肝 「ミ」ニ影 響 ヲ及 ボス ベキ外 的 條件 ヲ

避 ケ ン ト努 力 セ リ,即 チ試 驗 肝 小 切 除 ハ前 日 ヨ リ食

餌 ヲ投 與 セザ ル室 腹 時 ヲ選 ビ,又 罹 患 後 ニ於 ケル肝

切 除當 日 モ食 餌 ヲ與 ヘ ズ,又 罹 患 後衰 弱 臨終 ニ向 ヘ

ル モ ノニ於 テ ハ肝 切除 當 日ハ 自 ラ食 餌 ヲ採 取 セザ ル

ヲ以 テ,食 餌 ニ ヨル 影響 ヲハ 避 ケ得 タリ ト信 ズ.且

麻 醉 法 トシテ「エ ー テ ル」,「 ク ロ ロ フオ ル ム」等 ハ 古

賀(昭2)16)ニ 據 ル ニ肝 「ミ」ニ著 明 ナ ル 影響 ヲ有 ス ル

ヲ以 テ 之 ヲ避 ケ,比 較 的 肝 臟 ニ影 響 ヲ與 ヘ ザ ル 「モ

ル フイ ン」麻 醉 ヲ選 ビ タ リ.

予 ノ正 常 犬33頭 ニ 於 ケ ル 正常 時試 驗 切除 肝 臟 ニ

就 キ「ミ」ヲ檢 セル ニ, Noe126),谷 口,引 間32)ノ 唱 ヘ

タ ル如 ク.肝 細 胞 内「ミ」ハ肝 小 葉 内 ニ於 テ 其 ノ部 位

ニ ヨ リ其 ノ形 態,顆 粒 大 及 ビ其 ノ量 ニ於 テ 著 明 ナ ル

相 違 ヲ認 メ タ リ.而 シテ 略 ボ2型 ニ之 ヲ分 ツ事 ヲ得

タ リ.

其 ノ第1ニ 於 テハ小葉外 層肝細胞待 ニGlisson氏

鞘 ニ接 スル第1列 肝細 胞 ニ於テハ,「 ミ」ハ粗大球形

核小體大顆粒 トナ リ,多 數且瀰蔓 散在性 ニ細胞 内 ニ

出現 ス.ソ レヨリ内方第2, 3, 4列 肝細胞 ニ到 レバ

111

2154 岩 藤 良 秋

球形 顆粒 ハ小 トナ リ.且 少量 トナ リテ間隙 ヲ擴 ム.

中 間層肝 細胞 内 ニ於 テハ粗 大球 形「ミ」ハ殆 ド認 メズ

シテ,少 量 ノ小球 形 「ミ」 ハ多 ク細胞周邊部 ニ存在

シ,又 ハ連 鎖状 ニ配列 シテ網眼 ヲ形成 シテ内方 ニ侵

入 シ.或 ル細胞 ニ於テハ核 ヲ圍繞 ス.内 層肝細胞 内

ニ ハ球 形「ミ」ヲ認 メズ,淡 染 セル絲状 又ハ砂 状,粉

状「ミ」ガ宛 モ連鎖 状球 菌 ノ如 ク核周 圍ニ放線 状 ニ配

列 ス.カ カル「ミ」ノ肝 小葉 内配列ハ谷 口氏 ノ人肝 ニ

於 ケル第1型 ニ酷似 セルモハナ リ.

他 ノ型 ニ於テハGlisaon氏 鞘 ニ接 スル第1, 2, 3列

肝細 胞 ニ於 テ,細 胞 内 ニ數箇 ノ核小 體 大 粗 大 球 形

「ミ」ヲ認 ムル ハミナラズ,多 數 ノ稍 々小ナ ル小球 形

「ミ」ヲ細胞 内瀰蔓性 ニ含 有セル ヲ認 メ,中 間層肝細

胞 ニ到 ルニ從 ヒテ小球形「ミ」ハ小且少數 トナ リ,室

隙廣ク,且 淡染 シテ連鎖状 ニ配列 スルニ到 リ,又 内

層肝細胞 ニ於テハ球形「ミ」ヲ認 メズ主 トシテ絲状又

ハ砂状,粉 状「ミ」ガ連鎖 状 ニ配 列 シ.谷 口氏人肝 ニ

於 ケル「ミ」分布型第2型 ヲ呈 ス.

以 上2種 ノ「ミ」小葉 内分布 型ハ正常犬肝臟 ニ於テ

最多數 ニ認 メラ レタル型ナ リ.

要 スルニ小葉 最外縁肝 細胞 ニ於テハ,正 常時 ハ粗

大球形「ミ」ヲ細胞 内瀰蔓 性 ニ認ムル事多 ク,第2, 3

列肝細胞 ヨ リ内方ニ於 テハ粗大球形「ミ」ハ減少 スル

カ又ハ稍 々多數 ノ小球形 「ミ」ニヨ リ置換 セラレ,中

間層 ニ於 テハ粗 大球形「ミ」ヲ認 ムル事少 ク(23, 24

例 ハ例外),少 數 ハ小球 型 「ミ」又 ハ桿状,絲 状,砂

状.粉 状「ミ」トシテ出 現 シ,桿 状「ミ」ハ細胞外膜特

ニ毛細血管 ニ直角 ニ交叉 存在 シ,又 絲状,砂 状,粉

状「ミ」ノ多 クハ連鎖 状 ニ配列 シテ主 トシテ細胞 周邊

部 ニ存 在 シ,又 網眼 ヲ形 成 シテ内方核周圍 ニ侵入 シ

廣 キ間隙 ヲ殘 ス.内 層特 ニ中心静脉周圍肝細胞 ニ於

テハ球 形「ミ」ハ殆 ド認 メズ,絲 状,粉 状「ミ」トナ リ

其 ノ細胞 内配 列ハ不規 則 ニシテ定型的網 眼 ヲ形成セ

ザル事多 シ.

谷 口,引 間 ノ人 肝 ニ於 ケル肝「ミ」分類 ヲ参 考 トス

ルニ,正 常 犬肝臓 「ミ」ハ コノ分 類 ニ一致 ス ベキ例ヲ

認 メタルモ.大 多數 ニ於テ ハ之 ト全 ク合致スル事 ハ

少 ク,肝 小葉 外,中,内 層 ニ於 テ種々 ノ移 行型又ハ

混合型 ヲ認 ムル事多 シ.然 レ ドモ肝機能 状態 卜最重

大 ナル關係 ヲ有 スルハ小葉外層肝細胞 ナル ヲ以テ,

外層肝 細胞 ニ於 ケル「ミ」ノ形態,細 胞 内分布状態 ヲ

主 トセバ,大 體 ニ於 テ同 氏等 ノ分 類 ニヨ リ分 類スル

事 ヲ得 タ リ.

上 述小葉外 層肝細胞 内「ミ」ノ状態 ヲ目標 トシテ谷

口,引 間 ニ從 ヒテ之 ヲ分類 セルニ,正 常犬正常時肝

「ミ」ノ小葉 内分布ハ主 トシテ第1型 及 ビ第2型 竝ニ

コ ノ混合型 ニシテ,稀 ニ第3型 ヲ認 メタ リ.谷 口,

引間 ハ人肝 「ミ」ハ第1-4型 ヲ正常型 トナセルモ,

同氏等 ノ人肝 ニ於 ケル分 類ヲ正常 犬 ニ應用 シ分 類セ

ル結果 ニヨ レバ,犬 ニ於テハ第1及 ビ第2型 ヲ以テ

正常型 トナスヲ得 べ シ.

尚 ホ 弱擴 大 ニ テ 檢 スル ニ.小 葉 周 邊 部 約1/4ハ 「ヘ

マ トキ シ リ ン」 ニ濃 染 シ,中 央 部 ハ 淡 染 シテ 透 明 ナ

リ.即 チBest氏 染 色 ニ ヨ ル正 常 犬肝 臟 「グ リコゲ ー

ン」ノ小 葉 内配 置 卜反 對 像 ヲ呈 セ リ.

第5章　 開腹,肝 小切除 ノ肝 臟「ミ トヒヨン ドリア」ニ及ボス影響

予 ノ實 驗目的 タル實驗的急性腹膜 炎罹患犬肝「ミ」

ヲ,同一個體 正常 時肝 「ミ」ト比較 研究 スルニ當 リ,此

急性腹膜 炎 ヲ惹起 スべキ手段 トシテ用ヒ タル麻醉,

開腹又 ハ肝試驗小 切除 ノ如 キ手術的 操作 ハ肝「ミ」ニ

如 阿ナル影響 ヲ與 フルヤニ就キ對 照試驗 ヲ行 ヘ リ.

即 チ5頭 ノ正 常 犬 ヲ用 ヒ單 ニ「モ ル フイ ン」麻 醉,

開 腹,肝 小 切 除 ノ ミヲ ナ シ タ ル後, 23-48時 間 後 再

ビ同 様 操 作 ニ ヨ リテ 肝 切除 ヲ行 ヒ,之 ガ「ミ」ヲ試 験「

切除 標 本 ノ「ミ」ト比 較 研 究 セ リ.

而 シテ此成績 ヲ總 括 スル ニ,開腹.肝 小切除 後23-

112

實驗的急性腹膜炎ト肝臟病理組織學的所見(第4編) 2155

48時 間 ニ於テ ハ,肝 「ミ」ハ試驗切除標 本ニ於 ケル

「ミ」ト比較 スル ニ形 態,顆 粒 大,小 葉 内竝 ニ細胞 内

配置 ニ於テ著變 ヲ認 メズ.即 チ小葉外層肝細胞 ノ粗

大球形「ミ」又ハ小球形「ミ」ハ減少 セズ.中 間層肝細

胞 ニ於 テモ尚ホ粗大球形「ミ」ヲ認 ムル例 ア リ.小 葉

内層中心静脉周圍肝細胞 内「ミ」ハ試驗切除標本 ニ於

ケル ソレト同様 ニ纎細 ナ リ.唯第34例 ニ於テハ粗大

球形「ミ」ハ減少 セズ.小 球 形「ミ」ガ試驗 切除 標本 ニ

比 シ却 ツテ増 量セ リ.

之 ヲ要 ス ル ニ,「 モ ル フ イ ソ」麻 醉,開 腹,肝 小 切

除 等 ノ手術 的 操 作 ハ,手 術 時 間 遷 延,又 ハ 感 染 等 ノ

如 キ技 術 上 ノ失 態 ナ キ限 リ,肝 「ミ」ニ著 明 ナ ル影 響

ヲ與 ヘザ ル モ ノ ト言 フ ヲ得 べ シ.

第6章　 急性腹膜炎罹患犬肝臟 「ミ トヒヨン ドリア」

實驗的急性腹膜炎罹患犬肝「ミ」ハ,同 一個 體正常

時試驗切除肝「ミ」所見 ニ比 シ,著 明ナル變化 ヲ表ハ

ス.急 性腹膜炎罹患後 ニ於 ケル肝細胞 内「ミ」ハ其 ノ

顆粒 ノ大 サバ小 トナ リ,其 ノ數 モ減少 シ,且 肝細 胞

内配列 不整 トナル.即 チ小葉外層肝細胞内粗大球 形

「ミ」ハ減少 シ,小 球形又ハ絲状,桿 状 トナ リ,又 變

化 ノ著 シキ例ニ於 テハ「ミ」ハ粉状 トナル.而 モ各肝

細胞 ニヨ リ「ミ」ノ含有量竝 ニ形態不正等 ニシテ,周

圍肝細胞 ニ於テハ殆 ド「ミ」ヲ認 メザ ル カ或 ハ單 ニ幽

微「ミ」ヲ認ムルニ過 ギザルニ拘 ラズ,粗 大球形「ミ」

ノ殘存セル萎縮肝細胞 ヲ所 々認 ムル例 ア リ.中 間層

肝細胞 ニ於 テハ小球形「ミ」ハ連鎖状 ニ配列 シ,又 ハ

桿状,絲 状「ミ」ガ主 トシテ細胞外膜 ニ近 ク瀰蔓性 ニ

存在シ.細 胞内「ミ」配列 ハ正常 時 ニ比 シ著 シク不整

ニシテ,定 型的網眼ヲ形成セザ ル例多 シ.小 葉内層

肝細胞 内ニ於テハ「ミ」ハ細小絲状又ハ粉状 トナ リ,

細胞 内ニ不規則 ニ配列 ス.

上述實驗的急性腹膜 炎罹患犬肝臟 ニ於 テハ,球 形

「ミ」ハ減少 シ,顆 粒小 トナ リ絲 状,連鎖状,粉 状「ミ」

トナ リ,又 細胞内配列 ノ著 シク不整 トナル外,急 性

腹膜炎犬肝臟 ニ認 メラルル最 モ著明 ナル變化ハ.肝

臟「ミトヒヨ ンドリア」ノ小葉内分布 ノ著 シク不整 ナ

ル事竝 ニ「ミ」染色 不良且不整 トナル事 ナ リ.即 チ肝

小葉内肝細胞 ハ「ミ」ノ形態竝 ニ含有状態 ハ極 メテ不

整ナ リ.即 チ多數 ノ肝細 胞 ニ於テ ハ,極 メテ少數 ノ

絲状,砂 状又ハ連鎖状「ミ」ヲ含 有 セル カ或 ハ之 ヲモ

全 ク含有セズ肝細 胞原形質 ハ淡青色均等 ニ染色 セル

ニ拘 ラズ,之 等細 胞 ノ間 ニ挾 リテ所 々 ニ尚ホ粗 大又

ハ小球形「ミ」ノ多數殘 存セル肝細胞 ヲ認 メ,又 同一

操作 ニヨ リテ染 色 セルニ拘 ラズ肝 細胞 内「ミ」染色 不

良 且不整 ニシテ,甚 シキ例 ニ於テ ハ「ミ」ヲ全 ク證 明

セザル淡染肝 細胞 ノ存 スル ト共 ニ.一 方濃染 シテ細

胞 内「ミ」ノ形態 ヲ知悉 シ得ザ ル肝細胞 ヲ同一標本 ニ

於テ認 メタリ.カ カル所見ハ小葉外層 ノミナ ラズ,

中間層,内 層肝細胞 ニ於テ モ認 メラルル所 見ナ リ.

尚ホ脂 肪沈着 ニヨル肝細胞 内室胞又 ハ水腫性變性

ニ基 ク空胞 ヲ有 スル肝細胞 ニ於テハ,「 ミ」ハ一般 ニ

幽微 且少 數ナ リキ.

之ヲ要 スルニ急性腹 膜炎罹患犬肝臟 ニ於 ケル肝細

胞 内「ミ」ハ減少 シ,顆 粒ハ小 トナ リ機能停 止型 タル

絲状.粉 状,連 鎖 状「ミ」トシテ出現 シ,又 「ミ」ノ小

葉 内竝 ニ肝細胞 内配列 ハ齊 シク不整 トナル ト共 ニ,

染色力微弱且不整 トナル.カ カル所見ハ食 餌採取 竝

ニ急性腹膜炎 ヲ惹起 セ シムル爲用 ヒ タル手術 的操 作

ニ基 クモノナラザル事 ハ前章實驗 ニヨ リテ 明 ナ リ.

即 チカカル肝「ミ」ノ著明 ナル變化 ハ主 トシテ急性腹

膜 炎夫 レ自體 ニヨ リ起 リタル モ ノニ シテ,カ カル肝

「ミ」所見 ヨ リ推定 ス ルモ,急 性腹膜 炎 ニ於テハ著 明

ナル肝細胞 機能障碍ガ存ス ルモ ノト言 フヲ得 べ シ.

而 シテ 此 急性 腹 膜 炎 罹 患 犬 肝 臟 ニ於 ケ ル「ミ」ヲ,

谷 口,引 間32)ハ 人 肝 ニ於 ケ ル「ミ」分 類 ニ從 ヒテ 之 ヲ

分 類 セ ン ト試 ミタ ル ニ,各 實 驗 例 ニ於 ケ ル 肝 「ミ」ハ

113

2156 岩 藤 良 秋

同 氏等 ノ分類型 ト全 ク合致 スル事 ハ極 メテ稀 ニシテ,

合致 セザル例ガ寧 ロ多數 ナ リキ.即 チ小葉外層肝細

胞 内「ミ」ノ状 態 ニヨ リ分 類 セバ,中 間層又ハ内層肝

細胞 内「ミ」ハ形状 ニ一致 セズ,急 性腹膜 炎犬 肝「ミ」

ノ小葉 内分布 ハ同 氏等 ノ示 セル6型 以外 ニ尚 ホ多數

ノ混 合 型 又ハ移 行 型 アル ノ ミナ ラズ,前 述 ノ如 ク

「ミ」ハ小葉内配列竝 ニ染色極 メテ 不整 ナル ヲ以テ,

之 ヲ6型 ニノ ミ分 ツ事ハ不能 ナ リ.サ レバ予ハ主 ト

シテGlisson氏 鞘 ニ接 スル小葉最外縁肝細胞 内 ニ於

ケル「ミ」ノ状態 ヲ目標 トシテ,同 氏等 ノ分類 ニ從 ヒ

テ分類セル ニ第2-6型(主 トシテ第3-6型)ヲ 表

ハセ リ.

予ハ第4章 ニ於テ, 正常犬肝 「ミ」ハ主 トシテ第

1-2型 ニ シテ,之 ガ 正 常型 ナ ラ ン ト推 定 セ リ.急 性

腹 膜 炎 犬 肝 臟 ニ於 テ モ 時 ニ第2型 ヲ認 メ タル モ,カ

カ ル例 ハ常 ニ小 葉 内 「ミ」配 列竝 ニ染 色 不 整 ニ シテ 病

的 所 見 ヲ呈 セ リ.谷 口,引 間等 ハ第5-6型 ヲ以 テ 肝

機 能 障 碍 相 ナ リ トナ セ ル モ,予 ノ實 驗成 績 ヨ リ考 察

ス ル ニ,第2-4型 ニ於 テ モ必 ズ シ モ肝 機 能 障 碍 ナ シ

ト言 フ ヲ得 ズ,特 ニ 第3-6型 ヲ呈 セ ル例 ニ於 テ ハ,

多 クハ 炎 症,變 性 ヲ見 タル ノ ミナ ラ ズ 「グ リコゲ ー

ン」,脂肪 體 等 ノ新 陳 代 謝 物 質 ニ於 テ モ著變 ヲ認 メ タ

リ.故 ニ少 ク トモ犬 ニ 於 テ ハ 染 色 竝 ニ小 葉 内「ミ」配

列 不整 ナ ル第3-6型 ハ肝 機 能 障 碍 ヲ表 ハ セ ル モ ノ

ナ リ ト言 フ ヲ得 べ シ.

第7章　 肝臟ニ於 ケル 「ミ トヒヨン ドリア」 卜

「グ リコゲーン」竝ニ脂肪體 トノ關係

予 ハ 第3編 ニ於 テ.正 常 時 竝 ニ急 性 腹 膜 炎 罹 患 後

ニ於 ケ ル肝 臟 ノ「グ リコ ゲ ー ン」竝 ニ脂 肪 體 ハ關 係 ヲ

見 ルニ,此 兩 者 ハ量 及 ビ其 ノ小 葉 内分 布 共 ニ 略 ボ 相

拮 抗 セ ル 事 ヲ述 べ タ リ.然 ラバ「ミ トヒ ヨ ン ドリア」

ト コ ノ兩 者 トノ關 係 ハ如 何.

「ミ」ガ 細胞 物質 代 謝 ニ重 大 ナ ル意 義 ヲ有 ス ル事 ハ

Altmann (R)(1876)以 來 想 像 セ ラ レ タル所 ナ リ.組

織 ノ代 償 的 増 殖 ニ際 シ,又 細 胞 再生 ニ際 シ「ミ」ガ増

加 ス ル事 ハHirsch17), Suderlen17), Romies17), Tor

rmca17)等 ノ唱 ヘ タル所 ニ シテ,又Shipley17)ハ 細 胞

分 化 成 熟 過 程 ノ進 ム ト共 ニ其 ノ數 ヲ減少 スル 事 ヲ唱

へ,又 古 賀16),大 串27, 28),谷 口,引 間32)及 ビ予 ノ實

驗 ニ於 テ,肝 機 能 障 碍 ニ「ミ」ノ形 態 及 ビ分 布 ニ變 化

ヲ來 ス事 ハ明 カ ナ リ.

「ミ」ガ 主 ト シ テ 「レ チ チ ン」,燐 脂 體 及 ビ 「ア ル ブ

ミ ン」 ニ ヨ リ組 成 セ ラ ル ル 事 ハRegaud12), Faure-

Fremiet12), Mayer12), Schaeffer12), Rathery12), Lows

chin9)等 ノ研 究 ニ ヨ リ殆 ド疑 ヒ ナ キ ガ 如 シ.又 細 胞

内 顆 粒 特 ニ 「 ミ」 ガ 細 胞 内 脂 肪 組 成 ニ 關 與 ス ル 事 ハ

Altmann17), Amold3), Regaud17), Champy17), Du

breiul13), Prenaut17), Traina33), Metzner25),古 賀16)

等 ノ 唱 ヘ タ ル 所 ナ リ.

予 ノ實 驗 ヲ見 ル ニ,一 般 ニ急 性腹 膜 炎 罹 患後 ハ正

常 時 ニ比 シ肝 細 胞 脂 肪 沈 着 著 明 ニ シテ,カ カ ル例 ニ

於 テ ハ肝 細 胞 「ミ」 ハ 幽 微 ニ シテ染 色 不等,小 葉 内

「ミ」分布 不 整 ナ リ.特 ニ「ミ」染 色 標 本 ニ於 テ,肝 細

胞 内 ニ 多 數 ノ小 空 胞(脂 肪球)ヲ 有 ス ル例 ニ於 テ ハ

「ミ」ハ極 メテ 幽 微 且 不 整 ナ ル カ,又 ハ 之 ヲ證 セザ ル

事 多 シ(第10, 21, 22例 等).カ カ ル鮎 ヨ リ考 察 スル

ニ,肝 細 胞 内 ニ於 ケル 脂 肪 沈 着 ト,「 ミ」ノ形 態 竝 ニ

其 ノ量 ト ノ間 ニ ハ何 等 カ ノ關 係 ヲ有 スル モ ノ ノ如 ク,

或 ハAltmaun, Arnold,古 賀 等 ノ唱 フル如 ク,「 ミ」

ヨ リ細 胞 内脂 肪 體 ノ成 生 セ ラ ル ル モ ノナ ラ ン.

「ミ」ト「グ」トノ關 係 ニ就 キテ ハ, Arnold3)ハ 「グ」

ト正 比 例 シテ「ミ」ノ増 大 ス ル事 ヲ唱 ヘ タ ルモ, Bang

& Sovall5), Noel26)等 ハ「グ」ト「ミ」ハ無 關係 ナ ル事

ヲ報 告 シ,又 谷 口.引 間32)ハ 人 肝 ニ於 テ 「ミ」 ノ第

1-4型 ハ「グ」多 量,第5-6型 ニテ ハ「グ」僅 少 ナル

114

實驗的急性腹膜炎 ト肝臟病理組織學的所見(第4編) 2157

事 ヲ認 メ タ リ.又Kater19)ハ 猫 肝 ニ於 ケ ル 肝 細 胞 「 ミ」

トGrlycogen-Glucose eguilibriumト ノ 間 ニ何 等 カ ノ

關 係 ヲ 有 ス ル 事 ヲ 唱 ヘ タ リ.

予 ノ實 驗 例 ヲ見 ル ニ,正 常 時 ニ於 テ ハ 「グ」 及 ビ

「ミ」ハ 〓 行的 ニ多 量 ニ シテ.「 ミ」ハ 谷 口氏 第1-2

型 ヲ表 ハ シ,小 葉 内分 布 モ極 メテ 整 然 タ リ.急 性 腹

膜 炎罹 患 後 肝「グ」ノ消 失 又 ハ 減 少 シ,小 葉 内 配 置 不

整 トナ レル 例 ニ於 テ ハ,肝 「ミ」ノ染 色 モ 亦 不良,「 ミ」

顆粒 ハ 小 トナ リ,第3-6型 ヲ示 シ,且 細胞 内 及 ビ小

葉 内「ミ」配列 不整 ナ リ.即 チ肝 臟 「グ」ト「ミ」ハ量 及

ビ分布 共ニ〓行的所見 ヲ呈 セ リ,尚 ホ弱 擴大 ニテ檢

セルニ,正 常 時「グ」ノ小葉 内分布 ハ主 トシテ中心型

又 ハ瀰蔓型 ナルニ反 シ,「 ミ」ハ主 トシテ小葉周 邊部

又 ハ中間層 ニ於 テ著 明ナル顆 粒 ヲ認 メ,中 心部 ニ於

テ ハ極 メテ幽微 ナ リ.

上 述 所 見 ヨ リ考 察 ス ル ニ「グ」ハ 脂 肪 體 トハ異 ナ リ

テ「ミ」ト直 接 ノ關 係 ヲ有 セ ズ,恐 ラ クRosenberg15)

等 ノ主 張 ノ如 ク,「 グ」ハ「ミ」ト物 理 的 ニ結 合 又 ハ

遊 離 シ,量 ニ於 テ ハ 此 兩 者 ハ 並行 的 ニ増 減 ス ル モ ノ

ナ ル べ シ.

第8章　 總 括 竝 ニ結 論

予ハ健康犬正常時,開 腹,肝 小切除竝ニ實驗的急性腹膜炎罹患後 ニ於ケル肝臟 「ミトヒヨン

ドリア」 ニ就キ檢索 シ,得 タル成績 ヲ次ニ總括 セン.

1)犬 ニ於クル正常時肝細胞 「ミ」ハ粗大球形,小 球形,桿 状,絲 状,粉 状(砂 状)及 ビ連鎖

状顆粒 トシテ出現 ス.

2)肝 臟 「ミ」ハ正 常 時 ニ於 テ モ,肝 小 葉 内部 位 ニ ヨ リテ其 ノ形 態,顆 粒 ノ大 サ,肝 細 胞 内 分

布 及 ビ量 ニ著 明 ナル相 違 ヲ認 ム.即 チ小 葉 外 層 持 ニGlisson氏 鞘 ニ接 ス ル肝 細 胞 ニ 於 テ ハ粗 大

球 形又 ハ小 球形 「ミ」ガ細 胞 内 ニ瀰 蔓性 ニ存 在 ス.中 間層 ニ到 ル ニ從 ヒ ラ粗 大 球 形 「ミ」ハ消 失 シ

小 球形 「ミ」モ小 且少 數 トナ リ,且 主 トシテ細 胞 周 邊部 ニ集 合,之 ヨ リ細 胞 内 方 ニ向 ヒ連 鎖 状,

放 射状 又 ハ網 状 ニ配列 シテ 間 隙 ヲ作 ル.尚 ホ桿 状又 ハ絲 状 「ミ」モ 出現 ス.小 葉 内層 肝 細 胞 ニ於

テ ハ「ミ」ハ絲 状 又 ハ粉 状 ニ シテ其 ノ細 胞 内配 列 ハ不 規 則 ナ リ.正 常 犬肝 小 葉 外 層 肝 細 胞 内 「ミ」

所 見 ハ,谷 口氏 人肝 「ミ」分類 ニ從 ツテ分 類 セバ其 ノ第1-2型 ヲ呈 ス.即 チ犬 肝 「ミ」ハ第1-2

型 ヲ以 テ 正 常型 ナ リ トナ ス ヲ得 べ シ.

3)「 モル フ イ ン」麻醉 ニ ヨルレ開腹,肝 切除 等 ノ手術 的操 作 ハ,術 後23-48時 間 ニ於 テ ハ肝

「ミ」ニ著 明 ナル 影 響 ヲ與 ヘズ.

4)實 驗的急性腹膜炎犬肝「ミ」ハ對照ニ比 シ著明ナル變化ヲ呈 ス.即 チ一般ニ肝細胞内「ミ」

顆粒ハ小且少數 トナ リ,其 ノ配列モ極 メテ不整 トナル.カ カル所見ハ特ニ小葉外層肝細胞 ニ於

テ著明 ニシテ,コ ノ部 ノ細胞内ニ見 タルレ粗 大球形,小 球形顆 粒ハ減 少又ハ消失 ン機能停止型 タ

ル桿状,絲 状,粉 状「ミ」トシテ出現 シ,谷 口,引間ノ第3-6型 ヲ表ハス.尚 ホ急性腹膜炎犬肝

臟ニ認 メラルル著明 ナル變化 ハ小葉内個々肝細胞ノ「ミ」含有量不整ナルレ事(即 チ「ミ」ノ小葉内

配列不整)竝 ニ染色不 正等且不整 ナル事ナ リ.カ カル肝臓「ミ」所見ヨリスルモ,急 性腹膜炎 ニ

於テハ肝細胞機能障碍 ノ存スル事ヲ推定シ得ベシ.

115

2158 岩 藤 良 秋

5)正 常時竝ニ急性腹膜炎罹患後ニ於ケル肝細胞「ミ」ハ,脂 肪體 トハ相反的所見ヲ呈 シ,脂

肪沈着著明ナル例ニ於テハ「ミ」ハ幽微,不 整又ハ之 ヲ認 メザル事多 シ、肝細胞内「ミ」ハ肝細胞

内脂肪體形成ニ何等カノ關係 ヲ有 スルモノノ如 シ.

6)肝 「ミ」ト肝 「グ リコグ ー ン」ハ共 ニ並 行 的 ニ増 減 シ,此 兩 者 ハ物 理 的 ニ結 合 又 ハ遊 離 スル

モ ノ ノ如 シ.

擱筆 ニ當 リ終始御懇 篤ナル御 指導 ト御 校閲 ヲ賜 リタル恩師津田教授 ニ深謝 シ,種 々御 助言 ヲ賜 リタル

西山助教授 ニ深謝 ス.

(本 論文 内容要 旨ハ第32囘 日本外 科學會總會竝 ニ第42囘 岡山醫學會總會席上 ニテ發表 セ リ)

引 用 文 獻

1) Anitschkow, N., Arch f. mikrosk. Anat., Bd. 97, S. 1, 1923. 2) Arnold, J., Anat. Anzeig., Bd. 31, S. 640, 1907. 3) Derselbe, Virchow's Arch., Bd. 194, S. 266, 1908. 4) Benda, Zit,

n. Meves (Anat. Anzeig., Bd. 31, S. 399, 1907). 5) Bang, J. u. Sjovall, E., Ziegler's Beitr., Bd.

62, H. 1, S. 1, 1916. 6) Cowdry, E. V., The Americ. Journ. of Anat., Vol. 17, S. l, 1914-1915.

7) Derselbe, The Americ. Journ. of Auat., Vol. 19, S. 423, 1916. 8) Derselbe, The Amerie. Journ. of Anat, Vol. 30, S. 25, 1922. 9) Zit. n. Cowdry (The Americ. Journ. of Anat., Vol. 19).

10) Duesberg, J., Arch. f. mikrosk. Anat., Bd. 71, S. 284, 1908. 11) Derselbe, Merkel-Bonnet's Ergeb. d. Anat. u. Entwicklungsgeschichte, Bd. 20, 2, S. 567, 1911. 12) Zit. u. Duesberg (Ergeb.

d. Anat., Bd. 20, S. 603). 13) Dubreiul, G., Comp. rend. Soc. Biol, 1911; zit. n. Kaga. 14)

岩 藤 良 秋 岡 醫雜,第43年,第2號,第498頁,昭 和6年,第32囘 日本 外 科 學 會總 會 日程,第27頁,昭 和

6年, Verhandl, d. Japan. Chir. Gesel., 32, Jahresversamml., S. 38, 1931. 15)小 林 平吉,岡 醫雜,

第43年,第12號,第3207頁,昭 和6年. 16) 古 賀 収 藏,福 岡 醫 科 大 學 雜 誌,第20卷,第8號,

第923頁,昭 和2年. 17) Zit. n, Koga. 18) Kamakwa, R., Arbeiten a. d. med. Univereit.

z. Okayama, Bd. 1, H. 4, S. 515, 1930. 19) Kater, j. M., The Anatom. Record., Vol. 49, S,

277, 1931. 20) Kolster, R., Zielger's Beitr., Bd. 51, S. 209, 1911. 21) Lewis, M. R. u. Lewis,

W. H., The Americ. Journ. of Anat., Vol. 17, S. 339, 1914-1915. 22) Meves, F., Arch. f.

mikr. Anat. u. Entwicklungsgesohichte., Bd. 56, S. 553, 1900. 23) Derselbe, Arch. f. mikroskop.

Auat., Bd. 72, S. 816, 1908. 24) Derselbe, Anat. Anzeig., Bd. 31, S. 399, 1907. 25) Metzner,

R., His u. Braune's Arch. f. Anat. u. Physiol. Anat. Abth., S. 82, 1890. 26) Noel. R., Titres

et travaux scientifiques,1923; Zit. n. Tariguchi u. Hikima. 27) 大 串 市 郎 右 衛 門,日 本 病 理 學 會

會 誌,第17卷,第200頁,昭 和2年. 28) 大 串 市 郎 右 衛 門,日 本 病 理 學 會 會 誌,第18卷,第143頁,

昭 和3年. 29) Okuneff, N., Arch f. mikro. Anat., Bd. 97, S. 187, 1923. 30) Rubasckkin, W.,

Anat. Hefte, Beitr. u. Referate z. Anat. u. Entwicklungsgeschichto., Ed. 41, S. 400, 1910. 31) 谷 口 健

康,日 本 病 理 學 會 會 誌,第18卷,第140頁,昭 和3年. 32) 谷 口 健 康,引 間 正 中,日 新 醫 學,第20年,

第2號,第311頁,昭 和5年. 33) Traina, R., Ziegler's Beitr., Bd. 35, S. 1, 1904. 34) Wallin,

I. E., The Americ. Journ. of Anat., Vol. 30, S. 451, 1922. 35) Rosenberg, O., Ziegler's Beitr.,

Bd. 49, S. 284, 1910. 36) 岩 藤 良 秋,岡 醫 雜,第45年,第6號,第7號,第8號,昭 和8年.

116

岩 藤 論 文 附 圖

Fig. 1.

Fig. 2.

Fig. 3.

Fig. 4.

Fig. 5.

Fig. 6.

岩 藤 論 文 附 圖

Fig. 7.

Fig. 8.

Fig. 9.

Fig. 10.

Fig. 11.

Fig. 12.

實驗的急性腹膜炎卜肝臟病理組織學的所見(第4編) 2159

附 圖 説 明

Fig. 1.犬 第16號 正 常 時 肝 臟 「ミ トヒ ヨ ソ ド リ

ア」,小 葉 外 層

Glisson氏 鞘(a)ニ 接 ス ル肝 細 胞 中 ニハ 粗 大 竝

ニ小球 形 「ミ」ヲ認 メ,内 方 ニ赴 ク ニ從 ヒ テ 顆 粒

ハ小 且 網 状 ニ配 列 ス.

(Zeiss Ok, K 7, Cbj. 2mm, KL. 35cm)

(原圖1/4縮 小)

Fig. 2.同 上,小 葉 中 間 層

小球形「ミ」ハ細胞周邊部 ニ連鎖 ヲ作 リ,内 方ニ

テ ハ網眼 ヲ作 ル.

(擴大同 上)(原 圖1/4縮 小)

Fig. 3.同 上,小 葉 内層

中心靜脉(b)周 圍肝細胞 内「ミ」ハ細小粉状又ハ

絲状 ヲ呈 ス.

(擴大 同上)(原 圖1/4縮 小)

Fig. 4.犬 第16號 急 性 腹 膜 炎 罹 患 後 ニ於 ケル肝

臟 「ミトヒ ヨ ン ド リア」,小 葉 外 層

Glisaon氏 鞘(a)ニ 接 ス ル肝 細 胞 ニ於 テ粗 大 球

形 「ミ」ハ 殆 ド認 メズ,小 球 形 又 ハ 桿 状.絲 状「ミ」

トナ リ,細 胞 内配 列 不整.

(擴大同上)(原 圖1/4縮 小)

Fig. 5.同 上,中 間 層

殆 ド總テ ノ「ミ」ハ細 小絲状 ヲ呈 セルモ,一 部 ノ

肝細胞ハ強 ク萎縮 シ粗大球形「ミ」ノ殘存 セル ヲ

認 ム(↓).小 葉内配列 不整.

(擴大 同上)(原 圖1/4縮 小)

Fig. 6.同 上.内 層

中心靜脉(b)周 圍肝細胞 内 「ミ」ハ極 メテ細 小,

且之 ヲ含 有セザ ル細胞 ア リテ,其 ノ配列,染 色

不整.

(擴大同上)(原 圖1/4縮 小)

Fig. 7.犬 第21號 正 常 時 肝 臟 「ミ トヒ ヨ ン ド リ

ア」,小 葉 外 層

Glieson氏 鞘(a)ニ 接 ス ル第1, 2列 竝 ニ3, 4列

肝細 胞 中 ニ極 メテ 多 數 ノ核 小體 大 粗 大 竝 ニ小 球

形「ミ」ヲ認 ム.

(Zeiss Ok. K 7, Obj. 2mm, KL. 35cm)

(原圖1/4縮 小)

Fig. 8.同 上.中 間 層

中間層肝細胞 中ニモ尚ホ粗 大竝 ニ小球形「ミ」ヲ

認ム.

(擴 大同上)(原 圖1/4縮 小)

Fig. 9.同 上,内 層

小球形 「ミ」ハ稍 々減少 シ,連 鎖状,粉 状,絲

状 トナ リ,細 胞周邊 部 ヨ リ内方 ニ網状 ニ配列 ス

(b.中 心靜脉).

(擴 大同上)(原 圖1/4縮 小)

Fig. 10.犬 第21號 急 性 腹 膜 炎 罹 患後 ニ於 ケ ル肝

臟 「ミ トヒ ヨ ン ド リア」,小 葉 外 層

染 色 不 整, Glisson氏 鞘(a)ニ 近 キ 肝 細 胞 中 ニ

モ粗 大球 形 「ミ」ヲ詔 メズ.島 嶼 状 ニ所 々 ノ肝 細

胞 中 ニ砂 状,絲 状「ミ」ヲ認 ム.細 胞 内空 胞 ハ脂

肪 ナ リ.

(擴 大同上)(原 圖1/4縮 小)

Fgi. 11.同 上,中 間 層

「ミ」ハ砂状,粉 状,連 鎖状 トナ リ,細 胞周 邊部

又 ハ核周圍 ヲ圍繞 ス.

(擴大 同上)(原 圖1/4縮 小)

Fig. 12.同 上,内 層

粉状「ミ」ヲ少量細胞 内ニ認 ムル ノミニシテ,網

眼 ヲ形成 セズ,細 胞 内配列 不整 ナ リ(b.中 心静

脉).

(擴大 同上)(原 圖1/4縮 小)

117