膠原病患者へのサポート・グループの展開 ―グループ構造の観点 … ·...

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- 163 - 膠原者へのサグの展開 ―グ構造の観点からの検討― 東成大学臨床理学,16号,2016,163-172 原著 膠原病患者へのサポート・グループの展開 ―グループ構造の観点からの検討― 大河内 範子 1 高松 2 根津 克己 3 膠原者を対象としたサグを年間実施した。実践に際して膠原の特を概 観し,これを基に膠原の特に則したサグの構造を決定した。参加者は会孤 立からの脱却,気にまつわる報の取,を含めた自己理解をとして参加した。グ での話題は気と治,会活,対関係がであった。また状の影響で持続参加が阻まれ るケスがあること,精状への配が要であることが明らかとなった。これらの結果から,膠 原者を対象としたサグを実施するでは①会孤立の防止と居場所作り,② 報共有,③を含めた自己理解の促進,④対関係の改善が標となることがわかった。また 状に則した場所と時間の設定,精状に配した対象者の決定,クズの構造,専門家によ る催について考察した。 キーワード:サグ,膠原,グ構造 問題と目的 膠原とは複数のの総であり,結合組織に 変の見られる自己免である。いずれも な経過をたどるで,このには国の難に指定さ れているものも多い。難とは「希少」「原因明」 「効果な治法未立」「活面への長期にわたる支 障」という要素を含む。このため膠原は後良と されるがほとんどであったが,昨今は早期見の 実現,第選択薬であるスイ剤の使法の展, 免抑制剤や物学製剤などの新薬開により, 存率が高まっている。これらの医の進歩は,定期 な通院による寛解状維持を促進し,者の会参加 も可能とした。ただし寛解状にあっても者の身体 負担や活面の困難,これによる理負担は大き い。このため者への理支援は須であるが,専 門家の支援は会活場面に行き渡っていないのが現 状である(堀内2006)。 海外においては膠原者の理側面に関する が様々な形で行われている。Liang(1984)は全身 エス及び関節ウ者を対象とし たにおいて,これらのにおいても他の身体 同様に後の精負担があることを認して いる。電話カウグ,グ, 集団精法など多岐に渡る支援を試みたthumboo (2007)は,これらの全ての方法がQOL改善に役立つ とした。その他にも気について表現するでの認 行動法の活(Goodman,2005)やうつ状を呈し た多化者への認行動法支持表出 グ抗うつ剤治の比較(Mohr,2001) など,後の理状のだけでなく,それに 対する理援助理教育など幅広いがある。 我が国においては後の受容や対関係の (菊岡2008,2005など)が行われているが者への 理援助に関するは少ない。 者を対象とした支持表出グを行った Spiegel (2000)は,これらの支持表出グ―が (1)治にまつわる安に対処する(2)治に関す る決定の根拠をよりよく理解する(3)医師との 明なコケシを通して治計をコ する(4)治に取り組むために友や家族か らより効果にサを引き出すことができる支援 であるとした。またこのようなグが以外の 気にでもできるものであるとして全身エ スや多化を対象とした支持表出グ の例を挙げている。Edworthy(2003)は全身 エス者を対象とした期支持表 出グを行い,グへの参加が気によって 引き起こされた混を減少させることを証明した。こ のことは膠原者に向けたグアの有 効を唆するものである。しかし我が国においては 支持表出グを含め,膠原者を対象とし たグアは報告されていない。 膠原は経過を測しにくく,再燃と寛解を繰り返 しながらに経過する。再燃や合併への配を 要とする活には制限も多い。また寛解状にある 者の活も,みやこわばりなどの状を伴うもの である。状のつとされる精状や,スイ カウグ野崎 州大学学 東成大学理学部

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膠原病患者へのサポート・グループの展開  ―グループ構造の観点からの検討―東京成徳大学臨床心理学研究,16号,2016,163-172  原著

膠原病患者へのサポート・グループの展開

 ―グループ構造の観点からの検討―

大河内 範子1  高松  里2  根津 克己3

 膠原病患者を対象としたサポート・グループを二年間実施した。実践に際して膠原病の特徴を概

観し,これを基に膠原病の特徴に則したサポート・グループの構造を決定した。参加者は社会的孤

立からの脱却,病気にまつわる情報の取得,疾患を含めた自己理解を目的として参加した。グループ

での話題は病気と治療,社会生活,対人関係が中心であった。また症状の影響で持続的参加が阻まれ

るケースがあること,精神症状への配慮が必要であることが明らかとなった。これらの結果から,膠

原病患者を対象としたサポート・グループを実施する上では①社会的孤立の防止と居場所作り,②

情報共有,③疾患を含めた自己理解の促進,④対人関係の改善が目標となることがわかった。また症

状に則した場所と時間の設定,精神症状に配慮した対象者の決定,セミクローズドの構造,専門家によ

る主催について考察した。

 キーワード:サポート・グループ,膠原病,グループ構造

問題と目的

 膠原病とは複数の疾患の総称であり,結合組織に病

変の見られる自己免疫性疾患である。いずれも慢性的

な経過をたどる疾患で,この中には国の難病に指定さ

れているものも多い。難病とは「希少性」「原因不明」

「効果的な治療法未確立」「生活面への長期にわたる支

障」という要素を含む。このため膠原病は予後不良と

される疾患がほとんどであったが,昨今は早期発見の

実現,第一選択薬であるステロイド剤の使用法の発展,

免疫抑制剤や生物学的製剤などの新薬開発により,生

存率が高まっている。これらの医療の進歩は,定期的

な通院による寛解状態維持を促進し,患者の社会参加

も可能とした。ただし寛解状態にあっても患者の身体

的負担や生活面の困難,これによる心理的負担は大き

い。このため患者への心理的支援は必須であるが,専

門家の支援は社会生活場面に行き渡っていないのが現

状である(堀内2006)。

 海外においては膠原病患者の心理的側面に関する研

究が様々な形で行われている。Liang(1984)は全身

性エリテマトーデス及び関節リウマチ患者を対象とし

た研究において,これらの疾患においても他の身体疾

患同様に発症後の精神的負担があることを確認して

いる。電話カウンセリング,セルフヘルプグループ,

集団精神療法など多岐に渡る支援を試みたthumboo

(2007)は,これらの全ての方法がQOL改善に役立つ

とした。その他にも病気について表現する上での認知

行動療法の活用(Goodman,2005)やうつ症状を呈し

た多発性硬化症患者への認知行動療法・支持感情表出

グループ・抗うつ剤治療の比較研究(Mohr,2001)

など,発症後の心理的状態の研究だけでなく,それに

対する心理的援助・心理教育など幅広い研究がある。

我が国においては発症後の疾患受容や対人関係の研究

(菊岡2008,福田2005など)が行われているが患者への

心理的援助に関する研究は少ない。

 癌患者を対象とした支持感情表出グループを行った

Spiegel(2000)は,これらの支持感情表出グル―プが

(1)治療にまつわる不安に対処する(2)治療に関す

る意思決定の根拠をよりよく理解する(3)医師との

明快なコミュニケーションを通して治療計画をコント

ロールする(4)治療に取り組むために友人や家族か

らより効果的にサポートを引き出すことができる支援

であるとした。またこのようなグループが癌以外の病

気にでも応用できるものであるとして全身性エリテマ

トーデスや多発性硬化症を対象とした支持感情表出グ

ループの例を挙げている。Edworthy(2003)は全身性

エリテマトーデス患者を対象とした短期的支持感情表

出グループを行い,グループへの参加が病気によって

引き起こされた混乱を減少させることを証明した。こ

のことは膠原病患者に向けたグループアプローチの有

効性を示唆するものである。しかし我が国においては

支持感情表出グループを含め,膠原病患者を対象とし

たグループアプローチは報告されていない。

 膠原病は経過を予測しにくく,再燃と寛解を繰り返

しながら慢性的に経過する。再燃や合併症への配慮を

必要とする生活には制限も多い。また寛解状態にある

患者の生活も,痛みやこわばりなどの症状を伴うもの

である。症状の一つとされる精神症状や,ステロイド

1 カウンセリングルーム野崎

2 九州大学留学生センター

3 東京成徳大学応用心理学部

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大河内 範子  高松  里  根津 克己

剤の副作用による精神症状の影響による心理的負担も

大きい。これらのことから膠原病患者に対して心理的

支援が求められる場面は多いが,現段階で膠原病患者

に対して心理専門家が関わる場は限られている。

 サポート・グループは現代における諸問題に対処す

るため様々な分野で開かれており,この中には身体疾

患を持つ者を対象としたグループも数多くある。サ

ポート・グループは「特定の悩みや障害をもつ人たち

を対象に行われる小グループのことであり,その目的

は,仲間のサポートや専門家の助言を受けながら参加

者が抱えている問題と折り合いをつけて生きていくこ

と」(高松2009)と定義されおり,医療現場や地域な

ど様々な場で,対象者の特徴に応じた構造のサポー

ト・グループが実施されている。膠原病患者を対象と

したサポート・グループについても疾患の特徴に応じ

た構造の設定が必要とされるであろう。 

 筆者(大河内)は,2013年より2年間に亘り膠原病患

者を対象としたサポート・グループを実施した。そこ

で本研究では,膠原病患者の症状の特徴を概観し,こ

れらの特徴に則したサポート・グループの構造につい

て検討する。

方  法

 まず膠原病の特徴を記述し,それを踏まえて決定さ

れたグループ構造を示す。さらに、2年間のサポート・

グループの経過をまとめ,膠原病患者に適したグルー

プ構造の枠組みについて検討する。

膠原病の特徴

1)疾患の特徴

 膠原病は全身の多臓器を障害する慢性疾患である。

複数の疾患の総称であるが,共通する症状には原因不

明の発熱,関節・筋肉の痛みとこわばり,皮膚の斑点,

紅斑・硬化・潰瘍・出血斑・結節,日光過敏症,レイ

ノー現象,体重減少,リンパ腺の腫れ,手足のむくみ

などがある。これらの症状は再燃時だけでなく寛解時

にも出現することがあり,生活上の制限となる。症状

や治療の影響で身体機能が低下し障害者手帳を持つ者

も多い。

2)治療

 原因不明とされるため根本的治療は難しい。このた

め異常な免疫反応や炎症反応を抑え,障害された組織

をできるだけ正常に戻し,良い状態を維持し社会復帰

を可能にすることが目標とされる。使用される薬は,

ステロイド剤に加えて,免疫抑制薬,生物学的製剤な

どが挙げられる。再燃時は入院治療となることが多い

が悪化の時期は予測しにくく,これが持続的な社会と

の関わりを難しくさせることがある。また,臓器に症

状が及んだ場合には,治療により多くの時間を割くこ

ととなる。ステロイド剤によるムーンフェイス・にき

び等,外見の変化が社会参加に影響することもある。

3)精神症状

 膠原病に随伴する精神症状は,発症後比較的早期に

出現するとされている。また多くの場合可逆的で比較

的予後良好のものが多い。これらの精神症状は全身性

エリテマトーデスを始め,関節リウマチ,強皮症,多

発性硬化症,シェーグレン症候群,混合性結合組織病

などいくつかの疾患において生じやすいとされる。精

神症状の出現頻度は諸家の報告によってばらつきがあ

り,精神症状の内訳に関しても分類方法の相違などか

ら様々な報告がある。精神病レベルの病態については

十条(1989)が意識障害中心の病像(50%),抑うつ

状態(30%),分裂病状態(12%)程度とし,赤沢(1986)

は最多が抑うつ状態(78%),次いで意識混濁(57%),

自殺企図・念慮(44%),不安焦燥(44%)としている。

また,明らかな精神病レベルではない軽微な精神症状

が出現することも指摘されている(Kremer1981)。

 症状に随伴する精神症状の他に,治療薬であるステ

ロイド剤によって精神症状が引き起こされることもあ

る。ステロイド剤の副作用による精神症状の有病率に

ついては,抑うつ状態(40%),躁状態(28%),精神

病状態(14%),せん妄(10%),躁鬱混合状態(7.6%) 

とされる(河野2011)。ステロイド剤による精神症状

は気分障害の病態をとりやすく,なかでも抑うつ状態

が比較的多いとされる。

4)心理的側面

 発症による社会的孤立や経済的困窮は膠原病に共通

する重要な問題とされている(堀内,2006)。代表的

な疾患とされる全身性エリテマトーデスは20代から

40代の女性が発症することが多い。このため患者は発

症により就労や結婚出産就学・就労・結婚・出産など

の展望を描きにくい状態に置かれやすい様々な問題に

直面しやすい。中年期における発症は就労への影響が

大きく,家事育児の困難にもつながりやすい。中には

高齢で発症することが多い疾患もあり,これまで築い

てきた生活や描いている老後生活を変革せざるを得な

い状況に直面することもある。中年期に発症した場合

には就労や家事育児の困難にもつながりやすい。この

ように疾患や発症時期,社会的背景によって発症後

の心理的負担の在り様は異なるが,社会での孤立は

どの疾患にも共通する重要な問題とされている(堀

内,2006)。ただし全身性エリテマトーデス患者を対

象とした研究において,患者が「病気を見せる」場面

と「病気を見せない」場面を意識的に調整することで

社会生活における心理的負担を軽減させている(福田,

2005)ことが明らかとなっているように、患者が自ら

の心理的負担を表明する場は限られている。膠原病患

者への心理的援助に関する研究では同疾患患者の存在

が情報機能として役立つこと(菊岡,2008)や,医療

情報及び社会資源に関する情報が疾病受容の助けとな

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膠原病患者へのサポート・グループの展開  ―グループ構造の観点からの検討―

ること(矢倉,2003)が示されている。菊岡は多発性

硬化症患者の求める心理的援助についてピア(同疾患

患者)の存在が情報機能として役立つことや,対人関

係の変化が病の受容に影響することを示している。対

人関係については福田(2005)がエリテマトーデス

患者を対象とした研究を行い,患者が対人関係を意識

的に調整していることを明らかにしている。また矢倉

ら(2003)は患者が疾病受容過程において医療情報及

び社会資源に関する情報を求めていることを示してい

る。これらの研究からは膠原病患者の孤立防止,病気

にまつわる情報の提供,対人関係の調整の必要性を示

しており,これによる心理的負担軽減の可能性をが示

唆すされる。

特徴に合わせたグループ構造の設定

 膠原病の特徴を踏まえた上で,Spiegel(2000)及び

高松(2004)を参考にグループ構造を決定した。膠原

病の特徴に合わせた構造を提供するために,開始後も

部分的に構造の変更を行った。また,第一期終了後に

アンケートを取り,それを受けて第二期の構造を決定

した。

1)目標

 ①社会的孤立の防止と居場所作り、②医療及び社会

資源の情報共有、③疾患を含めた自己理解の促進、④

対人関係の改善。

2)期間

 一年間を1タームとしてグループを開催し,二年間

継続。

3)開催日時

 第一期は毎月第二火曜日午後1時開始。就労との兼

ね合いで日中の出席が困難との声が複数あったため,

第二期は毎月第三金曜日午後6時開始とした。開催時

間は2時間とした。

4)対象

 患者会(会員数約600名)の会員を対象とした。第

一期は発症後10年以内の患者を対象としたが,参加者

の中には確定診断前から症状が認められる者,発症年

数がはっきりしない者が多かった。このため第二期は

発症年数の制限を排除した。

5)場所

 第一期は患者会の事務所を会場とした。第二期は利

便性や施設の環境を考慮した上で会場を選んだ。

6)スタッフ

 第一期は筆頭筆者に加えて二名をスタッフとした。

患者会は「患者自らが主体となって行う活動」とされ

るためスタッフはいずれも膠原病患者である。第一期

のスタッフは身体的な負担から継続的な参加が難し

く,第二期のスタッフは筆頭筆者のみであった。

7)会費

 第一期は参加費100円。患者会の方針変更により第

二期は無料とした。

8)メンバー募集方法

 患者会発行の支部報にメンバー募集記事を掲載し

た。

 募集記事で①サポート・グループとは何か,②サ

ポート・グループの構造,③参加希望者に対する説明

会開催を案内した。グループへの参加を希望した者に

説明会を行い,グループ参加の可否を筆頭筆者が決定

した。開催期間中,メンバーは随時募集した。

9) 参加希望者との連絡方法

 サポート・グループ専用のメールアドレスを作成

し,説明会参加者及びメンバーとメールで連絡を取り

合った。

10)説明会

 説明会は1時間行い,この中で筆頭筆者より①サ

ポート・グループとは何か,②サポート・グループ

の構造,③サポート・グループのお約束を説明した

(Appendix1)。また患者会支部報及び研究発表等で筆

頭筆者がグループについて報告を行う可能性があるこ

とを伝えた。これらの説明の後,趣旨についての合意

の是非を確認し,申込書(Appendix2)に記入して

頂いた。

11)グループの決まり

 「グループのお約束」は以下の五点である。①グルー

プの中で聞いたことは他では話さない,②話したい時

に話す,話したくない時は話さなくてよい,③他の人

の話を批判しない,④グループ以外の関係は各自の責

任とする,⑤宗教・健康食品・代替療法の勧誘禁止。

 これらの決まりは説明会時に詳しく解説したが,各

期グループ初回及び新しいメンバーが加わった際に

「グループのお約束」の紙(Appendix3)を配り,グルー

プの中で改めてお約束を共有した。

12)アセスメント

 説明会において申込書の記載事項を基に①症状の経

過と治療,②生活環境や社会参加状況,③精神症状と

心理状態,④参加動機の確認を行った。これらの聴き

取りを基に,グループへの参加の可否を筆頭筆者が決

定した。

13)グループの時間配分

 開催時間の2時間を前半と後半に分けた。途中15分

間の休憩をはさみ,水分補給や服薬等をできるように

配慮した。前半は自己紹介や近況,“お話したいこと”

を一人ずつお話し,それを受けてその日の気になるト

ピックについてお互いの経験や意見を交換した。後半

はそれまでに出てきたトピックや,それ以外のトピッ

クについて互いの意見を交換した。最後の5分間で一

人ずつその日の感想を述べて終了とした。

14)欠席者への配慮

 開催日の10日前に全メンバーに対して日時確認のお

知らせをメールし,出欠席の確認を行った。欠席者予

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大河内 範子  高松  里  根津 克己

定者については病状等を確認。欠席者からのメッセー

ジがあった場合はグループの中で伝えた。第二期はグ

ループで共有した医学的知識,福祉の情報など,関連

する資料のファイルを作成し,欠席者が確認できるよ

うにした。

実践結果

1)説明会

 「説明会」は毎回1~2名の参加者と筆頭筆者との

面接という形で行われた。第一期の説明会参加者は7

名。うち5名(全員女性)がメンバーとなった。第二

期の説明会参加者は6名。うち5名(男性1名,女性

4名)がメンバーとなった。第一期のスタッフは,第

二期にメンバーとして参加した。このため第二期のメ

ンバーは計7名であった。

2)アセスメント

 説明会参加者の中には経過の中で精神症状が出現し

た者も居たが,説明会参加時点で精神症状が認められ

た者は居なかった。ただし漫然とうつ状態が続く者や

不安の強い者は数名存在した。病名を告げられたこと

による心理的ショック等による心因症状を呈する者も

居た。このためこのような者については心理的側面に

配慮しつつメンバーとして迎えた。精神疾患や発達障

害の所見に該当する者は居なかった。説明会に参加し

てメンバーとならなかった者については,参加動機と

グループの主旨の不一致が主な理由であった。

3)参加者の特徴

 各期のグループ参加人数をTable1に示す。

 2期を通して全身性エリテマトーデスのメンバーが

最も多く(8名),その他にリウマチ性多発筋痛症(1

名),混合性結合組織病(1名),関節リウマチ(1名),

全身性強皮症(1名)のメンバーがいた。また中心的

疾患の他にシェーグレン症候群や抗リン脂質抗体症候

群などの膠原病,悪性リンパ腫など膠原病以外の疾患

を併発している者がいた。参加者の年齢は10代から60

代。就学や就労等により社会との関わりがある者,社

会的に孤立している者などがいた。

 参加動機は「病気のことを知りたい」「同じ病気の

人と話したい」「家族に話せないことを話したい」「社

会参加のきっかけが欲しい」「ほっとできる場が欲し

い」「病気との折り合いのつけ方を学びたい」「病気の

経験を生かして人の役に立ちたい」「病院との関わり

方を考えたい」などであった。

 メンバーの中には疾患が再燃してグループに参加で

きずに期間を終える者や,開催期間中に入院し欠席が

続く者も居た。夏期は特に病状の悪化により欠席する

者が多かった。

4)グループの経過

 第一期はメンバーが少ないだけでなく,連続的にグ

ループに参加するメンバーが居なかった。このため参

加者は共通した体験を持つ仲間を得にくい状況であっ

た。ただしどの参加者も医学的知識の蓄積や情報の共

有に積極的であった。複数回参加して自らのテーマを

提示し,将来を模索する者も居た。引きこもりがちで

あった者が社会参加への足掛かりとしてグループに参

加する様子も見受けられた。

 第二期に参加したメンバーは第一期とは対照的に全

員が連続的な参加を意識するメンバーであった。この

ことからグループの内容にも連続性が生まれた。メン

バー同士が治療生活を支え合い,体調の優れないメン

バーや再燃して欠席が続くメンバーを見守る雰囲気が

生まれた。第一期と同様に病気と治療についての話題

が最も多く,それぞれのメンバーが医学的知識の蓄積

を行った。その他に仕事や学業などの社会生活,家族

や周囲との人間関係のテーマが繰り返し話題になり,

これらのテーマの中で新しい視点を獲得する様子が見

受けられるようになった。

5)グループでの話題

(1)病気と治療

 それぞれの病状とこれまでの経過,検査や治療,病院

の利用の仕方等が話題になった。疾患や経過が異なる

者同士の集まりであったが,共通した話題も多かった。

特に日常的な症状と生活の中での工夫についての話題

は頻回に上った。障害者手帳を持っている者も多く,

身体機能の低下から生じる問題や生活上の工夫も話題

となった。検査の必要性の判断や検査にまつわる工夫

も話題となった。治療についてはステロイド剤の効果

と副作用が中心的なテーマであった。また,メンバー

の多くが医療との関わりにおいて葛藤を抱えていた。

すなわち治療への疑問,医師や医療機関への不満など

である。これらの話題が出た際にはそれぞれの体験が

提示され,意見を交換した。話し合いの影響で医療と

Table1 各期のグループ参加人数

第1期 第2期

実施月 メンバー スタッフ 実施月 メンバー スタッフ

X月 0 3 Y月 3 1

X+1月 2 3 Y+1月 3 1

X+2月 2 3 Y+2月 2 1

X+3月 0 1 Y+3月 3 1

X+4月 0 1 Y+4月 3 1

X+5月 1 2 Y+5月 5 1

X+6月 0 3 Y+6月 3 1

X+7月 0 2 Y+7月 5 1

X+8月 1 2 Y+8月 6 1

X+9月 0 1 Y+9月 6 1

X+10月 0 1 Y+10月 5 1

X+11月 1 1 Y+11月 7 1

※いずれの実施回とも、スタッフのうち1名は筆頭筆者

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膠原病患者へのサポート・グループの展開  ―グループ構造の観点からの検討―

の関係が悪化した者は少なく,むしろ医療との関係が

安定する様子が頻繁に見受けられた。

 メンバーの中には激しい増悪の末に障害が残る者が

居る一方で,比較的症状が軽いまま寛解状態を維持す

る者も居た。同じ病名や似た症状を呈していても経過

や治療方法は様々であり,それぞれの体験を聞くこと

で病気についての知識が蓄積された。経過年数の長い

者は病気についての知識が豊富であり,これらのメン

バーから疾患や治療についての知識を学ぶことができ

た。また経過年数の短い者からは最新の治療について

話を聞くこともあった。

(2)社会生活

 膠原病は経過を予測しにくい疾患であるため,医師

から社会参加の是非について具体的な指示を得られ

ることは多くないられないことも多い。グループで

は個々の状態に応じた自己管理方法を身につけるため

に,お互いの社会参加状況について情報交換が行われ

た。既に社会参加している者にとってもどの程度社会

参加するかということは大切なテーマであった。また

再燃状態が収束し再度社会に復帰する際に,新しい場

への適応やそのための体力の調整に多くの精神的負担

がかかる様子が報告され、孤立を費やす様子が語られ

た。社会で孤立した者が再度社会に復帰することの難

しさが見受けられた。は度々話題となった。若い女性

が年上のメンバーの話をヒントに就職や結婚,出産,

育児などの可能性を探る様子も見受けられた。

(3)対人関係

 メンバーの多くが医師や医療機関への不満を持って

いた。これらの話題が出た際にはそれぞれの体験が提

示され,意見が交換された。話し合いの影響で医療と

の関係が悪化した者は少なく,むしろ関係が安定し治

療への抵抗感が緩和されることが頻繁にあった。

 病状を抱えながら生きる上でどのように家族関係を

作っていくかは重要なテーマであった。メンバーの家

族構成は家庭を持ち生計を支える者,子育てのただ中

に居る者,親元で生活する者,親元から離れて一人暮

らしする者など様々であった。学童期から青年期に発

症した者は親の賢明な看病に感謝しつつ「親が心配す

るので本当の症状を言えない」ことや「親任せにしな

いでどのように自分で管理していくか」というテーマ

を持っていた。自ら病気を患いながらも親の介護の要

請に迫られる者もおり,症状病を調整しつつどの程度

介護に関わるかが話題となった。家族構成は異なる者

同士がなっていたが,それぞれお互いの話に耳を傾け,

それぞれの立場から家族関係を再考する様子がうかが

われた。会社や友人関係等,社会の中での人間関係も

話題になった。病気についてどこまで伝え,理解を促

すか。どこは伝えずに自らの力で解決するか。その際

どのような方法で伝えるか,お互いの経験を踏まえて

意見交換が行われた。

考  察

 二年間の実践を基に,膠原病の特徴に合わせたグ

ループの枠組みについて検討する。

1)目標

膠原病患者を対象としたサポート・グループにおいて

は以下の点が目標となり得るであろう。

 ①社会的孤立の防止と居場所作り

 この度実践したグループでは再燃状態を脱した後に

社会復帰の足掛かりをつかめず社会的に孤立している

事例があった。また病気を理解されにくいため健常者

集団の中に所属感を得にくいということも話題になっ

た。堀内(2006)が指摘する通り,膠原病患者の生活

圏の縮小は明らかであった。高松(2009)はサポート・

グループの目標の一つとして居場所作りと孤立感の緩

和を挙げている。社会参加の足掛かりとしてグループ

を利用する者が見られたように,サポート・グループ

への参加は膠原病患者の孤立を防ぐ手立てともなるで

あろう。

 ②情報共有

 膠原病は希少疾患であるため情報が少なく,求めて

いる知識を得にくい。また菊岡(2008)は「同疾患患

者からの情報が病院や専門書からは得られない生きた

情報源として活用される」としている。この度実践し

たグループでは病名や経過の相違を超えてお互いの医

療的な知識,社会資源に関する知識を持ち寄り,共有

する様子が見受けられた。医療的知識に留まらない生

の情報を得ることは治療および生活上の選択肢を増や

すことにつながった。病気にまつわる様々な情報を得

ることがサポート・グループの目標となり得るであろ

う。

 ③疾患を含めた自己理解の促進

 疾患の経過やその時々の症状や発症時からの経過を

振り返り,を他者に向けて語ることは,メンバーそれぞ

れにとって改めて自身の病気を振り返る機会になって

いた。また他のメンバーの経過を聞くことで,事実と

感情を切り分けて客観的に病気を見つめなおす機会と

もなっていた。自己理解は疾患に留まらず,それぞれ

の性格や人間関係のパターンなどにまで及んでいた。

内省や気づきの機会を得ることで内省が及び,治療へ

の積極的な関わりが促進される様子も見受けられた。

Spiegel(2000)はグループの効果として「病気の不可

避な側面を受け止めながら,生活の中で自分にできる

部分を見つけ出し,できるだけのことをするという姿

勢を培う」という点を挙げている。サポート・グルー

プへの参加は,疾患を含めた自己理解を促進する機会

となるであろう。

④対人関係の改善

 サポート・グループに参加したメンバーの多くは福

田(2005)の示す通り,病に関して表明する相手や

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大河内 範子  高松  里  根津 克己

場所を意識的に選んでいた。このためグループはメン

バーにとって,意識せずに病について表明できる稀な

場となった。またサポート・グループへの参加は医療

従事者との間に協調的な関係を再構築する築く手立て

となるだろう。また日常生活における対人関係を見つ

めなおす場ともなる。もなった。病を抱えながら生き

る上でどのように家族関係を作っていくか意見交換す

ることは,実生活における対人関係の改善にもつなが

るであろう。メンバーの多くは福田(2005)の示す通り,

日常の中で病気に関して表明する相手や場所を意識的

に選んでいた。膠原病患者にとってグループは包み隠

さず病気について表明できる稀な場となるであろう。

また、グループにおける率直なまた,グループにおけ

る相互的なやり取りそのものが,対人関係スキル向上

の訓練となる可能性もある。

2)場所・時間

 メンバーには関節の変形,関節の壊死や視力低下な

ど様々な形で身体機能の低下が見受けられた。このた

めグループの会場を選ぶ際は,交通の利便性の良い場

所,バリアフリーに配慮した施設等,身体に配慮した

場の選定の必要がある。気温の影響を受けやすいため

空調を整えること,口渇への対処として水分補給をで

きる環境にすることなど,会場内の環境にも配慮が必

要である。また,寛解状態にあっても長時間の拘束は

身体的に負担であるため,開催時間にも配慮する必要

があるだろう。

3)対象

(1)対象範囲の限定

 Spiegel(2000)は支持感情表出グル―プのガイドラ

インの中で癌のタイプや病気のステージによってグ

ループの対象を絞る方法を提案している。本研究にお

ける第一期では対象を発症年数10年以内に設定した。

しかし現実には発症年数がはっきりしない者が多く,

対象を区切ることが難しかった。このため第二期はこ

の制限を排除することとした。膠原病は複数の疾患の

総称であるため疾患別にグループを設定することも可

能であろう。ただし膠原病は希少な疾患であるため,

疾患別に区切ることで一定人数のメンバー確保が難し

くなることが見込まれる。本研究ではこのことも対象

を区切ることの難しさに影響していた。ただし海外に

おいては全身性エリテマトーデスや関節リウマチなど

一つの疾患を対象にしたグループの事例もある。今後,

疾患別や年齢別,性別による対象の設定について検討

する意義があるだろう。

(2)アセスメント

 これまで述べてきたように膠原病の心理的支援にお

いては精神症状の出現に注意が必要である。本研究で

はこれらの精神症状の見極めのために説明会の機会を

設け,アセスメントを行った。グループを行う上で必

要とされる精神面の見極めについて検討する 

 ①精神症状

 本研究においては参加者の中に精神病レベルの病態

を示すものは居なかった。ただし膠原病では明らかな

精神症状が認められない患者にも軽微な精神症状が出

現する場合があることが指摘されている。恩田(2000)

は「精神症状の成り立ちは身体的症状,生活状況因,

あるいは心因から単純には理解しがたく,この症状群

を総括的に捉えることは極めて困難」としながらも臨

床精神病理学的見地から事例研究を行い,精神症状の

改善を促すためには一見軽微な精神症状であっても細

やかに配慮し辛抱強く対応することが精神療法的意味

からおろそかにできないとしている。実際に参加者の

中にはうつ状態が漫然と続く者や不安症状を呈する者

などが居た。グループの対象を設定する際は,これら

の軽微な精神症状にも注意を向けることが必要であろ

う。また明らかに重い精神症状を呈する者については

グループへの参加そのものが精神症状の悪化をもたら

す可能性もあるため慎重な対応が必要である。ただし

精神症状の出現の有無が必ずしもグループ参加の可否

に反映するとは限らない。グループの運営においては

目標に向けて協調関係が築ける状態であるかどうかの

判断が欠かせない。本研究においては精神疾患や発達

障害の有無も確認したが,膠原病以外の側面からも目

標に向けて協調関係を築ける状態であるかの判断が求

められる。いずれの視点においてもグループそのもの

の安定性維持を考慮した上でのメンバー設定が必要で

あろう。

 ②服薬の影響

 参加者は比較的症状が落ち着き,ステロイド剤を減

量維持している者がほとんどであった。ただしうつ状

態やうつ状態などステロイド剤の影響が考えられる者

は存在した。Lewisら(1983)はプレドニゾロン換算

で40mg/day以上を投与されていた患者に精神症状が

多く生じると報告したが,河野(2011)は「実際の臨

床現場においては10mg/dayで精神症状が生じたと考

えざるをえない患者に遭遇することはあり,少量で

あっても精神症状には注意を要する」としている。症

状が落ち着きステロイド剤を少量で維持している患者

についても,ステロイド剤の精神症状への影響には注

意が必要であろう。グループ参加中に再燃しステロイ

ド剤を増量したメンバーへの配慮も不可欠である。

 ③心理的側面

 矢倉ら(2003)は膠原病を中心とした難病患者の疾

病受容過程について検討し疾病受容に至る心理過程に

おいては蔓延化する不透明感,確定診断後の苦悩,疾

患の受容,再起に至る段階があることを示している。

疾病を受容し再起の段階に至った患者にも,症状と共

に暮らすことの身体的負担,再燃時の混乱や,病気と

共に生きる上での人間関係の葛藤など様々な心理的負

担がある。受容の段階によっては他者の症状を聞くこ

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膠原病患者へのサポート・グループの展開  ―グループ構造の観点からの検討―

とで不安をかき立てられる者,語ることそのものに負

担を感じる者も居るだろう。参加希望者が疾病の受容

過程のどの段階に居るか,また環境の中でどのような

心理的負担を抱えているかを判断した上でグループに

迎え入れ,グループでの心理的変化を見守る必要があ

るだろう。

(3)クローズかオープンか

 本研究においては連続的な参加を心がけるメンバー

の中にも病状の悪化により欠席が続いた者が居た。膠

原病の治療においては入院が数か月に及ぶことも多

く,寛解後も感染症に配慮し外出を慎重にする場合が

ある。また,日光に当たることによる症状の悪化や,

気温の低下のよるレイノー現象,関節痛の出現など,季

節や気候の変化も参加の可否に関連する。膠原病のサ

ポート・グループにおいては身体症状の悪化による欠

席が見込まれるため毎回同じメンバーが同じ人数集ま

るクローズドのグループは難しさがある。また,オー

プングループとして設定した場合はこれまでに述べた

精神症状への配慮や,安心して話せる場の提供が難し

いこともある。社会的孤立を防ぐことを目標とするな

らば,ある程度の関係性の維持による所属感が必要で

ある。このため膠原病患者を対象としたサポート・グ

ループではセミクローズドの設定が効果的であると考

える。  

(4)スタッフ 

 第一期におけるスタッフは膠原病患者であったが,

継続的にグループを運営する上では身体的負担が大き

かった。第二期においてメンバーの中にスタッフ的役

割をとるメンバーが出現したことからも,サポート・

グループの主旨を理解し持続的に参加するメンバーが

スタッフの役割を部分的に担うことが可能であろう。

ただし膠原病患者に対するサポート・グループにおい

ては身体症状のみならず精神症状についてのアセスメ

ントが必要である。グループの安定性維持のためにも

専門家がアセスメントの役割を担うことが望ましいだ

ろう。セルフヘルプグループの中での専門家の役割に

ついては繰り返し議論されて来ている(久保1998)が,

同疾患患者のグループを専門家が運営する際の知見の

蓄積が期待される。

今後の課題

 本研究は患者会の中で行ったサポート・グループで

ある。サポート・グループには医療の場や教育の場な

どで開かれるものがあり,サポート・グループを開催

する場についての検討が求められる。膠原病患者への

心理的支援における精神症状のアセスメントについて

も更に詳細な検討を要する。また,グループの効果に

ついてQOLや対人関係の変化,心理教育的側面など,

様々な観点から検証する必要があるだろう。

<付記> 研究にご協力いただきました全国膠原病友

の会東京支部の皆様,サポート・グループメンバーの

皆様,に感謝いたします。スタッフとしてご尽力くだ

さった方々には様々な観点からご示唆いただきました

感謝いたします。会場をご提供くださいました関連施

設の皆様にはきめ細やかなご配慮をいただきました。

心より感謝いたします。また,精神病理学的見地から

ご意見を賜りました松浪克文先生,膠原病に関するご

意見を賜りました岡田里佳先生に御礼申し上げます。

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-2016.1.31受稿,2016.3.12受理-

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膠原病患者へのサポート・グループの展開  ―グループ構造の観点からの検討―

Appendix

Appendix 1a 説明会配布資料 表面

Appendix 1b 説明会配布資料 裏面

Appendix 2 グループへの参加申込書

Appendix 3 「グループのお約束」

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大河内 範子  高松  里  根津 克己

Development of a support group for collagen disease patients:

Consideration about the group structure

Noriko OOKOUCHI (CounselingRoom Nozaki)

Satoshi TAKAMATSU (Kyushu University International Student Center)

Katsumi NEZU (Department of Applied Psychology, Tokyo Seitoku University)

  A support group aimed at patients of collage disease was implemented over a two year 

period.   The characteristics of collagen disease at the time of implementation were outlined, 

and  the structure of a support group adapted  to  the characteristics of collagen disease 

decided based on this.  Participants took part with the aims of escaping from social isolation, 

acquiring  information concerning the disease, and achieving a self-understanding which 

encompassed their condition.   Among the group’s conversation topics, the disease and its 

treatment, social life, and interpersonal relationships were at the center.   It also became clear 

that there are cases in which sustained participation is hampered by the effects of symptoms, 

and that consideration should be given to psychiatric symptoms.   From these results,  the 

goals of establishing support groups aimed at patients with collagen disease were found to 

be (1) prevention of social isolation and the creation of a place where people feel they belong; 

(2)  information sharing;    (3) promotion of self-understanding,  including of  the disease; 

and (4)  improvement of  interpersonal relationships.    In addition,  the setting of a  location 

and time appropriate to symptoms, determination of target  individuals taking into account 

psychiatric symptoms, a semi-closed structure, and hosting services provided by experts were 

considered. 

Key words: support group, collagen disease, group structure

Bulletin of Clinical Psychology, Tokyo Seitoku University

2016, Vol. 16, pp. 163-172