埋設管保安高度化技術 第5章 埋設管の腐食対策 第6章 埋設管 ...jis g...

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-77- 第5章 埋設管の腐食対策 1.LPガスにおける埋設管とは 本テキストでのLPガス埋設管は、「腐食の管理が必要な埋設管」と「損傷の管理が必要な埋設 管」と分け、各々次の定義による。 腐食の管理が必要な埋設管 (1) 配管が地中に埋設又は地面(土)に接触している部分の管。 LPガス埋設管 (2) 配管が水中又は水面に接触している部分の管。 *ただし、埋設管がガス用ポリエチレン管の場合は除く。 損傷の管理が必要な埋設管 (1) 地盤の沈下などが予想される地中に埋設されている部分の管。 *地盤沈下の場合は、ガス用ポリエチレン管の場合は除く。 (2) 道路下や他工事などにより損傷の可能性がある部分の管。 「腐食の管理が必要な埋設管」とは、LPガスを供給するための管であって、配管が地中に 埋設又は地面(土)に接触している部分の管、または配管が水中又は水面に接触している部分 の管を指し、腐食が起こる可能性がある部分の管をいい、それ以外の場所の管は埋設管としな い。 ただし、埋設管がガス用ポリエチレン管の場合は、腐食の管理が必要な埋設管から除く。 損傷の管理が必要な埋設管とは、地盤の沈下などが予想される地中に埋設されている部分の 管または、道路下や他工事などにより損傷の可能性がある部分の管を指す。

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    第5章 埋設管の腐食対策

    1.LPガスにおける埋設管とは

    本テキストでのLPガス埋設管は、「腐食の管理が必要な埋設管」と「損傷の管理が必要な埋設

    管」と分け、各々次の定義による。

    腐食の管理が必要な埋設管

    (1) 配管が地中に埋設又は地面(土)に接触している部分の管。

    LPガス埋設管 (2) 配管が水中又は水面に接触している部分の管。

    *ただし、埋設管がガス用ポリエチレン管の場合は除く。

    損傷の管理が必要な埋設管

    (1) 地盤の沈下などが予想される地中に埋設されている部分の管。

    *地盤沈下の場合は、ガス用ポリエチレン管の場合は除く。

    (2) 道路下や他工事などにより損傷の可能性がある部分の管。

    「腐食の管理が必要な埋設管」とは、LPガスを供給するための管であって、配管が地中に

    埋設又は地面(土)に接触している部分の管、または配管が水中又は水面に接触している部分

    の管を指し、腐食が起こる可能性がある部分の管をいい、それ以外の場所の管は埋設管としな

    い。

    ただし、埋設管がガス用ポリエチレン管の場合は、腐食の管理が必要な埋設管から除く。

    損傷の管理が必要な埋設管とは、地盤の沈下などが予想される地中に埋設されている部分の

    管または、道路下や他工事などにより損傷の可能性がある部分の管を指す。

  • -78-

    1.1 腐食の管理が必要な埋設管の例

    腐食の管理が必要な埋設管

    C/Sマクロセル腐食は、土や水など電気抵抗が最も低い所から、腐食電流が流出し、流失

    した部分が腐食となる。

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    2.埋設鋼管の腐食対策

    LPガスの埋設管に発生する腐食は、C/Sマクロセル腐食が多いため、C/Sマクロセル

    対策を中心に施工する。鋼管を用いたC/Sマクロセル腐食の対策として、最も効果的なのは

    絶縁継手の使用である。

    表5.1 防食法の効果

    防 食 法

    プラスチック 被 覆 鋼 管

    絶 縁 継 手 電 気 防 食 効 果

    ○ ○ ○ 完全

    ○ ○ ― 良好

    ― ○ ○ 理論的にOKになる施工上困難

    ― ○ ― 効果大、自然腐食が残る。

    ○ ― ― 完全な施工を要求される。

    ○ ― ○ 良好(狭い範囲において有効)

    ― ― ○ 技術的に困難

    (1) 被覆鋼管

    鋼管を埋設する場合、亜鉛めっき鋼管(JIS G 3452)は液石法で使用禁止されているので、

    あらかじめメーカにおいてポリエチレン被覆したポリエチレン被覆鋼管(JIS G 3469)及び

    外面樹脂被覆継手(JIS G 2301)の使用を奨めたい。ポリエチレン被覆を使う場合継手は亜

    鉛めっき品を使い防食テープで処理する場合が見受けられるが、エルボやチーズ(T)に防

    食テープを巻き、防食上効果を発揮させる(電気的な隙間を埋める)のは、過去の事例から

    判断してかなり難しい。また、継手にねじ込み式の他、メカニカル式のものもある。メカニ

    カル式の継手もポリエチレン樹脂あるいは硬質塩化ビニール樹脂で被覆されている。

    ポリエチレン被覆鋼管のJIS規格の抜粋を示す。

    外面樹脂被覆継手の端部形状と寸法を示す。

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    ポリエチレン被覆鋼管(抜粋)JIS G 3469-1992

    Polyethylene Coated Steel Pipes

    1.適用範囲

    この規格は、ガス、油、水などの輸送を用いるもので、主に地中(1)埋設用の外面ポ

    リエチレン被覆鋼管(以下、被覆鋼管という。)について規程する。

    注(1) ここでいう地中とは、河川及び海の底などを含む。

    備考 この規格のなかで、{ }を付けて示してある単位及び数値は、従来単位によ

    るものであって、参考として併記したものである。

    2.種 類

    被覆鋼管の種類は、3種類として、その記号は、表1による。

    表1 種 類

    備考1.受渡当事者間の協定により、ポリエチレン1層に粘着剤、ポリエチレン2層

    に接着剤を使用することができる。この場合の種類の記号は、それぞれP1S、

    P2Hとする。

    2.P2Sに使用するポリエチレンの外側の層は包装を目的としたものとする。

    3.材 料

    3.1 原 管

    3.1.1 原管被覆鋼管に用いる原管(2)は、表2及び表3のいずれかによる。ただし、

    それ以外の原管を必要とするときは、受渡当事者間の協定による。

    注(2) 原管とは、被覆前の直管及び異形管をいう。

    種類の記号 ポリエチレン アンダーコート 適 用

    P1H 1 層 接着剤 直 管

    P2S 2 層 粘着剤 直 管

    P1F 1 層 ― 異形管

  • -81-

    表2 直 管

    表3 異 形 管

    3.1.2 原管の両端の形状

    原管の両端の形状は、表4のいずれかによる。ただし、表4以外の管端形状を必要

    とするときは、受渡当事者間の協定による。

    表4 管端形状

    3.2 被覆材料

    ポリエチレンは、附属書1による。

    アンダーコートとして接着剤及び粘着剤は、附属書2及び附属書3による。

    呼び径A 直 管

    15~2,000

    JIS G 3452(配管用炭素鋼鋼管)

    JIS G 3454(圧力配管用炭素鋼鋼管)

    JIS G 3457(配管用アーク溶接炭素鋼鋼管)

    呼び径A 異 形 管

    15~2,000

    JIS B 2311(一般配管用鋼製突合せ溶接式管継手)

    JIS B 2312(配管用鋼製突合せ溶接式管継手)

    JIS B 2313(配管用鋼板製突合せ溶接式管継手)

    JIS G 3451(水道用塗覆装鋼管の異形管)

    呼び径A 管 端 形 状

    150 以下 プレンエンド、ベベルエンド、ねじ付又はフランジ付

    150 を超えるもの プレンエンド、ベベルエンド又はフランジ

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    〔外面樹脂被覆継手の端部形状と寸法〕

    外面樹脂被覆端部

    (単位:mm)

    呼び スリーブの入り口内径

    D(最小)

    スリーブ長さ

    L(最小)

    被膜の厚さ(2)

    t1(最小)

    スリーブの厚さ(3)

    t2(最小)

    1/2(15A) 26.5 14 2.0 1.0

    3/4(20A) 32.0 14 2.0 1.0

    1 (25A) 39.0 19 2.0 1.5

    1 1/4(32A) 47.7 19 2.0 1.5

    1 1/2(40A) 53.6 19 2.0 1.5

    2 (50A) 65.5 20 2.0 2.0

    2 1/2(65A) 81.5 22 2.0 2.0

    3 (80A) 94.4 22 2.0 2.0

    4 (100A) 120.0 22 2.0 2.0

    注(2) リブの部分には適用しない。

    (3) 口元に面取りがあってもよい。

    備考 図は参考例であり、断面形状及びスリーブ内面形状は、規定しない。

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    (2) 絶縁継手

    C/Sマクロセル腐食の電気回路の遮断を目的とした継手に絶縁継手がある。絶縁継手に

    は「タイプⅠ」と「タイプⅡ」があり、その構造を図�1に示す。タイプⅠの継手はねじ部

    にエポキシ樹脂を塗布し一体構造に組み立てたもの。タイプⅡの継手は左右のねじ部にFR

    Pが貼り付けられてねじを形成している構造で、鋼管がねじ込まれても継手本体鉄部と鋼管

    の間は電気的導通が無いようになっている。

    1) 構造と種類

    「タイプⅠ」

    「タイプⅡ」

    図5.1 絶縁継手の構造

    表5.2 絶縁継手の種類

    呼 び(B) ソケット エルボ チ ー

    1/2 3/4 1

    1 1/4 1 1/2

    2 2 1/2

    3 4

    1×3/4×3/4

    ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

    ○ ○ ○ ○ ○ ○

  • -84-

    2) 施 工

    建物に対するLPGの一般的な配管を図5に示す。

    鉄の電位はコンクリートの中と土の中とでは異なりおよそ、0.3~0.5V程度の電位差が

    発生します。そしてこの電位差の結果、電流は、A(鋼管又は継手)⇒土中およびコンク

    リート⇒B・C(コンクリート内の鉄筋又は鉄骨)⇒D(鋼管はコンクリートと接続して

    いる)⇒E(吊り金具、デッキブレートに接している)⇒鋼管F・G(この部分に絶縁継

    手が入ります)、H⇒(樹脂製スリーブ)⇒I・J⇒(樹脂製スリーブ)⇒K・Aの電気

    回路を流れ、鋼管から土中に流出するA部に短期間に大きな腐食を発生させる。この腐食

    をC/S系マクロセル腐食と言う。

    C/S系マクロセル腐食は短期間に激しく腐食し、大きな被害を起こす。

    この種の腐食を防止するには、電気回路を遮断する必要があり

    ① 鋼管を樹脂被覆し電気的に土と接触させない。(被覆防食)

    ② 管路に絶縁継手を入れる(絶縁防食)G部。

    絶縁継手の抵抗値は、500KΩもあれば十分である。G部に絶縁継手を入れた場合鋼管

    とコンクリートを接続させない(H・IおよびJ、K間に樹脂スリーブを入れる)の方法

    が一般に採用されている。

  • -85-

    図5.2 C/Sマクロセル腐食回路

    3) 絶縁継手のメンテナンス

    施工後、この絶縁継手が機能しているかどうかをチェックするのに、誰もが絶縁継手の

    前後の配管、F及びH間にテスターを当てる。しかしテスターに表示される数値は、H・

    I・J・K・A・B・C・D・E・Fのループ回路の抵抗値が表示され、絶縁継手を使っ

    たのに絶縁継手が機能していないように錯覚/誤解する。

    そこで一般には、埋設管の管対地電位を測定する。硫酸銅電極を使って管対地電位を測

    定すると絶縁継手を使った場合と、使っていない場合とでは明瞭な差が観測される。

    また、埋設管腐食測定器を用いて腐食測定を絶縁継手の埋設側の配管で行えば、通電変

    化が大きな値になる。建屋側と差が少ないときは、他所での鉄筋等の接触や絶縁継手の不

    良(施工含)が発生している。

    また、絶縁箇所が2ヶ所ある「絶縁継手・タイプⅡ」を使えば普通の/先程テスターで、

    管Fと絶縁継手Gの間にテスターを当てれば測定することが出来ます。その理由は絶縁継

    手Gと管Hの間も絶縁されているからである。

  • -86-

    (3) 電気防食

    流電陽極の材料

    腐食用には、マグネシウムやマグネシウム合金が用いられ、海水中など抵抗の低いところ

    では亜鉛やアルミニウムなどの合金が使用されている。

    埋設ガス管は、陽極電位が最も卑で単位面積当りの発生電流が大きいマグネシウム(Mg)

    系陽極が用いられている。

    1) Mg陽極構造

    図5.3 Mg陽極の構造例

    A-A断面図 バックフィルの組成

    品 名 混 合 比

    (重量比)

    ベントナイト

    石 膏

    芒 硝

    2) 埋設ガス管用Mg陽極材の例

    腐食用Mg陽極本体の寸法、重量および製品(バックフィル付)の寸法、重量を表5.

    3に示す。

  • -87-

    表5.3 埋設ガス管等のMg陽極材の例

    陽 極 本 体 製 品 (バックフィル付) 型 式

    概略寸法 m/m 標準重量 kg 長さ m/m 口径φ m/m 標準重量kg

    5S 36×45×700 2.0 1,000 200 32.0

    7S 44×45×700 3.0 1,000 200 33.0

    9S 52×62×700 4.0 1,000 200 33.0

    11S 62×65×700 5.0 1,000 200 34.0

    13S 69×70×700 6.0 1,000 200 34.0

    15S 72×78×700 7.0 1,000 200 35.0

    17S 75×85×700 8.0 1,000 200 35.0

    25S 88×100×700 11.0 1,000 200 36.0

    32S 101×100×700 14.0 1,000 200 38.0

    50S 125×140×700 22.0 1,000 200 43.0

    TG-1S 52×62×89 0.5 250 140 5.5

    TG-5S 52×62×350 2.0 600 140 11.0

    MG-4 32×34×1,000 2.1 1,200 150 23.0

    MG-5 35×41×1,000 3.0 1,200 150 24.0

    MG-7 43×44×1,000 3.8 1,200 150 24.0

    MG-9 45×53×1,000 5.2 1,200 150 25.0

    MG-11 50×60×1,000 5.3 1,200 150 25.0

    MG-17 62×72×1,000 8.9 1,200 200 43.0

    MG-19 76×67×1,000 10.0 1,200 200 43.0

    MG-25 87×74×1,000 12.5 1,200 200 44.0

    MG-27 88×80×1,000 14.1 1,200 200 45.0

    MG-29 80×93×1,000 15.1 1,200 200 46.0

    MG-38 106×94×1,000 19.3 1,200 200 47.0

    MG-54 117×120×1,000 26.9 1,200 200 51.0

    MG-71 139×131×1,000 34.6 1,200 240 71.0

    MG-140 209×173×1,000 66.3 1,200 300 134.0

    A-42M100B 35×30×1,000 2.08 1,200 150 26.0

    A-49M100B 41×35×1,000 3.01 1,200 150 27.0

    A-63M100B 53×45×1,000 4.72 1,200 150 27.0

    A-70M100B 60×50×1,000 6.28 1,200 200 48.0

    A-86M100B 72×61×1,000 8.85 1,200 200 49.0

    A-102M100B 80×80.5×1,000 12.9 1,200 200 50.0

    A-121M100B 100×90×1,000 17.5 1,200 200 52.0

    TG-5SB 36×45×700 2.3 1,000 200 38.0

    TG-9SB 52×62×700 4.3 1,000 200 39.0

    TG-17SB 75×85×700 8.3 1,000 200 40.0

    TG-32SB 101×110×700 14.6 1,000 200 43.0

    TG-50SB 130×120×700 23.1 1,000 200 46.0

    3-M 50×60×200 1.36 350 130 6.0

    5-M 42×47×650 2.49 1,000 200 39.0

  • -88-

    3) 流電陽極法の設計

    既設管に流電陽極法を設置する場合は、実際に既設管に防食電流を流し必要な防食電流

    を求め、その電流を流しうるMg陽極の形状、本数、埋設位置等を決めるのが一般的であ

    る。

    ① 埋設管腐食測定器の測定

    (1) 所要防食電流の測定

    埋設管腐食測定器で腐食調査をしたときの値を用いて、次の方法で求める。測定器

    の取扱は腐食測定のときと同じである。

    目標電位(設計電位)は、-1,000mVとする。

    所要防食電流

    通電電位(V2)-管対地電位(V1) (目標値-管対地電位(V1))/ 通電電流(A1)

    * 絶対値で計算する

    計 算 例

    埋設管腐食測定器の測定結果

    管対地電位(V1) -200mV

    通電電位(V2) -1,200mV

    通電電流(A1) 2mA

    1,200-200 (1,000-200)/ =1.6 2

    所要防食電流 = 1.6mA

    (2) マグネシウム陽極の所要本数N

    陽極所要本数は以下の手順に従って算出する。

    a.土壌比抵抗測定:防食対象管路に沿って、管理設深さ近辺の土壌比抵抗を適当箇

    所測定し、その平均値を求め、陽極所要本数計算の基礎資料とする。

    b.陽極1本当たりの発生電流IMg

    管/マグネシウム間有効電位差△E IMg[A]= マグネシウム陽極1本当りの接地抵抗RMg

    -200mV

    (1.6mA)

    目標値 -1,000mV

    -1,200mV

    2mA

  • -89-

    ρ RMg[Ω]= fIL L

    △E≒0.6~0.65V

    ρ:土壌比抵抗[Ω・cm]

    L:陽極長さ(=100cm)

    fIL:形状係数(=0.4)

    通常使用されるバックフィル(200mm φ×1,000mml)入り陽極では、L=100cm、

    fIL=0.4で計算する。

    c.陽極所要本数N

    全防食所要電流∫I N = 陽極1本当りの発生電流IMg

    d.陽極寿命Y

    使用陽極の発生電気量[mA・年] Y = ×0.85 陽極1本当りの発生電流IMg

    0.85:有効利用率

    使用陽極は、陽極の発生電流所要値と必要寿命からそれに見合う陽極重量のもの

    を選択する。

    〈参 考〉

    土壌比抵抗

    [Ω・cm]

    陽極1本当りの発生電流

    [mA]

    1,000

    3,000

    5,000

    10,000

    150

    50

    30

    15

    〈マグネシウム陽極の重量と発生電気量〉

    重 量

    [kg]

    発生電気量

    [mA・年] 備 考

    16

    8

    6

    4

    2

    1

    0.5

    2,000

    1,000

    750

    500

    250

    130

    60

    一般によく

    使用される

  • -90-

    (3) 陽極の配置

    算出された陽極本数は、防食対象管に対し均等配置することが望ましい。

    ただし、掘削箇所が膨大になる場合等は、1つの掘削箇所に2~3本の陽極をまと

    めて埋設してもよいが、陽極発生電流が阻害されないように、陽極間隔を1m以上離

    すことが適当である。陽極取付方法については図�4を参考にする。

    図5.4 流電陽極取付方法

    ② 計算で求める方法

    計算の例を示す。なお、ここでは埋設管の管対地電位(自然電位)として-05Vが

    用いられている。

    流電陽極方法の設計例

    (1) 防食面積[S(㎡)]

    S=π×Dp×L

    S :防食面積(㎡)

    Dp :管路外径(m)

    L :管路延長(m)

    (2) 防食電流密度[i(A/㎡)]

    △е i= ω

    i :防食電流密度(A/㎡)

    △е:管路の自然電位(-0.5V)-設計防食電位(-1.0V)=0.5(V)

  • -91-

    ω :塗膜抵抗(Ω・㎡)

    プラスチックの被覆の場合 5,000(Ω・㎡)

    白ガス管の場合 50(Ω・㎡)

    0.5 ∴i= =1×10-4(A/㎡)(プラスチック被覆の場合) 5,000

    0.5 i= =1×10-2(A/㎡)(白ガス管の場合) 50

    (3) 防食所要電流[I0(A)]

    I0=S×i

    I0:防食所要電流(A)

    S :防食面積(㎡)

    i :防食電流密度(A/㎡)

    (4) 陽極接地抵抗[Ra(Ω)]

    陽極1本当りの接地抵抗は通常以下の実験式より求める。

    Ra=k・ρ

    Ra:陽極1個の接地抵抗(Ω)

    ρ :土壌抵抗率(Ω-m)

    k :バックフィル形状による定数

    (5) 陽極発生電流[Ia(A/個)]

    △E-△e Ia= Ra

    Ia :陽極1個の発生電流(A/個)

    △E:管路の自然電位(-0.5V)-陽極閉路電位(-1.5V)=1.0(V)

    △e:管路の自然電位(-0.5V)-設計防食電位(-1.0V)=0.5(V)

    Ra :陽極1個の接地抵抗(Ω)

    1.0-0.5 0.5 ∴Ia= = Ra Ra

    (6) 陽極所要本数[N(本)]

    I0 N≧ Ia

    N :陽極本数(個)

    I0:防食所要電流(A)

    Ia:陽極1個の発生電流(A/個)

  • -92-

    (7) 陽極単位重量[Wa(kg)]

    Wa=Ia×Y×C

    Wa:陽極1個当りの必要正味重量(kg)

    Ia:陽極1個当りの発生電流(A)

    Y :設計耐用年数(年)

    C :陽極消耗率 8.0(kg/A・年)

    (8) 陽極型式の選定

    陽極型正味重量WがWaより大きな陽極を選定する。

    (9) 陽極総重量の確認

    W×N≧I0 ×Y×C

    W :陽極正味重量(kg)

    N :陽極所要本数(個)

    I0:防食所要電流(A)

    Y :設計耐用年数(年)

    C :陽極消耗率 8.0(kg/A・年)

  • -93-

    ③ LPガス埋設管でのMg陽極の効果

    LPガスの埋設管に、Mg陽極材を使用するときの例を第1章、5.LPガス埋設管の

    腐食の表1.3及び表1.4のデータを用い所要防食電流を計算した結果を示す。

    埋設管が建屋に接触しているものは、大きな防食電流を必要とするため、流電陽極方

    法による防食は、建屋との接触を絶縁継手で切ることが重要である。

    なお、管対地電位は、もっとも大きな値(貴側)を用いた。

    表5.4 LPガス白ガス管の防食所要電流例

    埋 設 管 No 施設名称 建屋種別

    管 径 配管種類

    経過年数

    (年)

    管対地電位

    (-mV)

    通電変化編

    (mV/mA)

    建屋接触

    の有無

    所要防食電流

    (mA)

    1 社宅K 鉄筋 32A 白管 25.5 286 0.22 有 3,245

    2 社宅A 鉄筋 50A 白管 20.7 340 0.42 有 1,571

    3 公務員住宅P 鉄筋 40A 白管 20.4 270 0.17 有 4,294

    4 マンションY 鉄筋 50A 白管 14.5 229 0.13 有 5,931

    5 ビルT 鉄骨 25A 白管 18 170 4.26 有 195

    6 社宅T 鉄筋 50A 白管 15 170 11.5 無 72

    7 ホテルH 鉄筋 32A 白管 14 370 0.43 有 1,465

    8 ビルS 鉄筋 32A 白管 20.2 355 0.42 有 1,536

    9 公務員住宅T 鉄筋 15A 白管 20 144 35.2 無 24

    10 学校S 鉄筋 15A 白管 23 556 20 無 22

    11 社宅O 鉄筋 20A 白管 13 620 2.96 有 128

    12 住宅M 木造 20A 白管 18.7 590 1.26 有 325

    13 住宅Y 木造 20A 白管 24 530 13.3 無 35

    19 学校K 鉄筋 80A 白管 18.5 430 0.02 有 28,500

    20 マンションK 鉄筋 50A 白管 20 170 0.1 有 8,300

    表5.5 防食テープ巻白ガス管及び被覆鋼管の防食所要電流例

    埋 設 管 No 施設名称 建屋種別

    管 径 配管種類

    経過年数

    (年)

    管対地電位

    (-mV)

    通電変化編

    (mV/mA)

    建屋接触

    の有無

    所要防食電流

    (mA)

    14 マンションG 鉄筋 50A 被覆鋼管 15.6 370 0.16 有 3,938

    15 マンションS 鉄筋 32A テ ー プ 11.2 400 578 無 1

    16 学校T 鉄筋 25A テ ー プ 10.3 300 1 有 700

    17 マンションD 鉄筋 50A テ ー プ 19.75 423 2.11 有 273

    18 公務員住宅F 鉄筋 20A 被覆鋼管 8.1 290 0.18 有 3,944

    21 マンションN 鉄骨 80A テ ー プ 13.1 340 0.4 有 1,650

    23 社宅N 鉄筋 50A テ ー プ 19 200 1.55 有 516

    24 公務員住宅K 鉄筋 40A 被覆鋼管 21 2 100 3.69 有 244

    25 マンションNT 鉄筋 50A テ ー プ 8 182 1.01 有 810

    26 マンションC 鉄筋 40A テ ー プ 12 140 0.53 無 1,623

  • -94-

    (4) ガス用ポリエチレン管

    ガス用ポリエチレン管は日本に於いては1982年より使われ始め、各地で起こった地震に良

    く耐え、耐酸、耐アルカリ性に優れ腐食の心配がない。ガス用ポリエチレン管の接続は、メ

    カニカル方式、熱融着方式(ヒートヒュージョン)、電気融着(エレクトロヒュージョン)が

    ある。

    (5) ガス配管用ステンレス製フレキシブル管

    屋内配管用として日本で開発されたものである。使い勝手が良いために埋設配管にも使わ

    れるようになった。埋設する場合は管を土に接触させないため、鞘管を使う。

    1) 配管用フレキ

    部材:配管用フレキを埋設するに際し次の部材が必要である。

    図5.5 フレキ管 図5.6 片ねじソケット

    (サイズ 10~25A) (サイズ 10~25A)

    図5.7 埋設用CD管 図5.8 防滴カバー

    (呼び 16~42) (サイズ 10~25A)

    2) 埋設箇所:表�6に建物ごと、供給方式ごと示します。図5.9に配管用フレキ管の埋

    設に際して基本事項を示します。

    表5.6 フレキ管の埋設箇所

    供給方式 戸建て住宅 テラス住宅 集合住宅

    集中供給 図5.10 図5.11 図5.12

    ボンベ供給 図5.13

  • -95-

    図5.9 配管用フレキ埋設の基本事項

    図5.10 戸建て住宅の場合

    図5.11 テラス住宅の場合

  • -96-

    図5.12 集合住宅の場合

    図5.13 戸建て住宅の場合

  • -97-

    3.調査点検

    次の「腐食の管理が必要な埋設管」は、特に著しい腐食が予想されるため、入念な腐食の管

    理、腐食によるガス漏れ対策(漏えい検知装置の設置)を行うこと。

    (1) 鉄筋、鉄骨などコンクリート建築物に係る埋設管

    (2) 設置後20年以上経過した埋設管

    (3) 電気的絶縁継手を施工していない被覆白管又はプラスチック被覆鋼管の埋設管

    著しい腐食(C/Sマクロセル腐食)は、鉄筋コンクリート建築物に限らず、鉄骨コンクリ

    ート建築物も同様に発生するため、コンクリート建築物は注意を要する。コンクリート建築物

    以外の木造の一般家屋やアパートでも、土台に鉄筋コンクリートが使用され、鉄筋と接触した

    C/Sマクロセルが見られ、著しい腐食となっている。C/Sマクロセル腐食は、建築物が大

    きいほど腐食が激しくなるため、重量建築物や集合住宅は特に注意をすること。

    また、配管材が電気的絶縁継手を施工していない被覆白管又はプラスチック被覆鋼管の埋設

    管は、被覆材の傷など腐食層の欠陥部分に集中し、さらに激しい腐食が発生する。

    3.1 埋設管腐食測定器での調査

    埋設管腐食測定器を用いた腐食の管理は、図�14の方法により測定を行い記録し対策を実施

    する。新築や改築の場合も測定し、埋設管の防食効果を測定し確認し記録する。

    *Mg陽極を設置し、防食電位(-850mV以下)を保つことができたものは腐食の恐れなしとする。

    図5.14 埋設管腐食測定器による調査

  • -98-

    4.施工方法

    「腐食の管理が必要な埋設管」の腐食防止対策は、省令補完基準28節「供給管等の適切な材料

    及び使用制限、腐食及び損傷を防止する措置」により施工すること。

    プラスチック被覆鋼管を使用する場合は、電気的絶縁継手は必ず施工をすること。

    表�7に設置場所別供給管等の種類を示す。改修の注意点について図5.15~5.17に示す。

    表5.7 設置場所別供給管等の種類一覧(高圧部以外)

    供給管等

    の種類

    設置場所

    白管 被覆

    白管

    塗装

    白管

    塩化ビ

    ニル

    被覆鋼

    ポリエチ

    レン被覆

    鋼管

    ナイ

    ロン

    被覆

    鋼管

    ポリエチ

    レン管

    注(2)

    配 管 用

    フレキ管 銅 管

    低圧配管

    用継手金

    具付金属

    フレキシ

    ブルホー

    被覆

    黒管

    注(1)

    塗装

    黒管

    注(1)

    電気的

    絶対継

    手の施

    工を必

    要とす

    るもの

    屋 外 ○ ○ ○ ○ ○

    (さや管内) 注(6)

    ○ ― ○ ○ ○ ○ ○ ―

    溝 内 注(8)

    ― ― ― ○ ○ ○ ― ○

    注(3) ○ ○ ○ ○ ―

    多温・水

    ― ― ― ○ ○ ― ― ○ ― ○ ○ ― ○ 床

    それ以外

    ○ ○ ○ ○ ○ ― ― ○ ○

    (さや管内) ○ ○ ○ ―

    多湿部

    ― ○ ○ ○ ○ ― ― ○ ○ ○ ○ ― ○

    水の影響

    ― ― ― ○ ○ ― ― ○ ○ ○ ○ ― ○

    内 それ以外

    ○ ○ ○ ○ ○ ― ― ○ ○ ○ ○ ○ ―

    屋 外 ― ― ― ― ○ ○ ○ ○

    (さや管内) ―

    ○ (点検箱内)

    ○ 注(7)

    ― ○

    床 下 ― ― ― ― ○ ○ ○

    (深さ30m以上) ○

    (さや管内) ― ― ○

    注(7) ― ○

    溝 内 注(9)

    ― ― ― ― ○ ○ ○ ○

    (さや管内) ―

    ○ (点検箱内)

    ○ 注(7)

    ― ○

    埋込・ 貫通

    ― ○ ― ○ ○ ○ ― ○

    注(4) ○

    (さや管内) ― ○ ― ― 壁・床等の内部 空洞部 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ―

    ○ 注(5)

    ○ (さや管内)

    ○ ○ ○ ―

    (備考) ○ … 使用できるもの

    ― … 使用できないもの。

    (注)(1) 被覆(塗装)黒管は、溶接接合する必要がある場合に限り使用できるものとする。

    (2) ポリエチレン管は、埋設部からの立上がり部等であって止むを得ず一部露出する場合または基礎等を貫通す

    る場合は、さや管その他の防護措置を講ずること。

    (3) 配管用フレキ管を地表面に開口部を有する溝内に設置する場合は、ふた付きのものに限り使用できるものと

    する。

    (4) 埋込部に使用する場合はさや管を使用すること。

    (5) 釘打ちおそれのある場所には金属製の防護板、穴あけのおそれのある箇所には防護管その他防護措置を講ず

    ること。

    (6) 耐候性を有するポリエチレンを被覆した以外のものはさや管内に収納すること。

    (7) 63立局第760号通達および平成5年12月20日付通達によると、可能な限り露出配管とするか、埋設管として設

    置せざるを得ない場合には、可能な限り管はプラスチック被覆鋼管、ポリエチレン管を用いることとされてい

    る。

    (8) 地表面に開口部を有する溝内(ふた付きのものを含む。)

    (9) 地表面に開口部のない溝内

  • -99-

    図5.15 C/Sマクロセル腐食例

    図5.16 悪い改修例(C/Sマクロセル腐食促進)

  • -100-

    図5.17 C/Sマクロセル腐食の影響を受けない改修例

  • -101-

    第6章 埋設管の損傷対策

    1.損傷の基礎

    (1) 不等沈下

    埋設管の埋設地盤は一様ではなく、次に列記するような要因が複雑に作用して埋設管の沈

    下が生じるものと考えられる。

    ① 埋め戻し土砂の地盤安定までに生ずる沈下

    ② 地盤上の上載荷重(盛土・車輪荷重)の増加、あるいは地下水の汲み上げによる圧密沈

    ③ 他工事によって引き起こされる沈下

    固定構造物附近で断層的な沈下が生じた場合、ガス管には過大な荷重が作用し、ガス管を

    変形や損傷させる。

    図6.1 構造物背面の沈下による影響

    盛土層または軟弱土層が圧密沈下を起こし、ガス管を変形させる。

    図6.2 盛土荷重または谷状に推積した軟弱土層の沈下による影響

  • -102-

    公道等の地盤の良い所から田畑等のような軟弱な地盤地帯へ敷設する場合に見られ、軟弱

    地盤層の沈下によりガス管を変形させる。

    図6.3 強固な地盤と軟弱地盤との断層的な地盤沈下による影響

    ガス管の1点が杭等で支持され、周辺の地盤の沈下の影響によりガス管を変形させる。

    図6.4 ガス管が杭等で支持された場合に

    周辺の軟弱な地盤の沈下による影響

    シールド工事等で代表されるような掘削による地盤のゆるみの影響によりガス管を変形さ

    せる。

    図6.5 掘削に伴う地盤のゆるみによる影響

  • -103-

    圧密沈下量の計算はTerzaghiの理論が多用されている。

    a) 圧密沈下量:Sc

    e0-e1 Sc= ― ・H 1+e0

    ここに、e0:圧密層の初期間げき比

    e1:圧密層の圧密後間げき比で、図6.6に示すようにe~log p曲線に中央

    深度のp0+△pを適用して求める。

    H:圧密層の層厚

    � 正規圧密土 � 過圧密土

    図6.6 cU~p及びe0~p0の関係

    なお、正規圧密土からなる軟弱層の場合で、区分された圧密層ごとに圧縮指数CCまたは

    体積圧縮係数mvが求められている場合には、それぞれ式によって圧密層ごとの一次元圧密

    沈下量を求めることができる。

    CC p0+△p Sc = ― ・log ― ・H 1+e0 p0

    Sc =mv・△p・H

    mv:平均体積圧縮係数で図6.7により推定できる。

  • -104-

    図6.7 Wnと平均体積圧縮係数mvの関係

    (高速道路、一般国道盛土)

    前式を用いた場合の圧縮指数(CC)の推定法

    圧縮指数CCはe~log p曲線より求められるが、概略の値を推定する方法として次のよ

    うな関係式がある。

    粘土に対して CC=0.014(WL-20)

    泥炭に対して CC=0.0075Wn

    があるといわれている。さらに自然間げき比enとの間には平均的に

    粘土に対して CC=0.46(en-0.4)

    泥炭に対して CC=0.5 (en-1.0)

    の関係が認められている。

    b) 沈下速度:t

    圧密沈下の速度は排水が鉛直方向にだけ行なわれるとする一次圧密によって求める。

    (HO/2)2 D2

    t= ― ・TV= ― ・TV CVO CVO

    ここに、t :圧密時間 day

    D :圧密最大排水距離 cm

    両面排水の場合は、HO/2

    HO :圧密層の層厚 cm

    CVO :圧密層の圧密係数 cm2/mm

    TV :時間係数

  • -105-

    図6.8 UとTVの関係(一列)

    なお、圧密層が多層の場合は、各層のCV値から、任意のCVをとって排水層全体を代表

    させ、単一土層に換算したときの層厚を次式によって計算する。

    CV3 CV3 H0 = H1

       +H2

       +H3

    CV1 CV2

    図6.9 圧密排水層の区分

    (2) 土圧及び車輪荷重

    埋設管は、埋め戻しによる土圧(Wf)と車輪荷重にる土圧(Wt)を受ける。埋め戻し

    による土圧(Wf)は、土の重量を2.0t/m3とし、埋設深さ(h)との積により算出され、

    車輪荷重による土圧(Wt)はブシネスクの式により算出される。

    Wf=0.2h ····················································(1)

    3Q h Wf=

         

    5

         1+ 

    ···············(2)

    2πh2 h2+x2

  • -106-

    ここで、Qは25トン車の後輪荷重で10,000kgとし、衝撃係数1.5をみて15,000kgとする。

    hは、埋設深さ (cm)

    xは、2台同時走行のときの後輪間隔で100cm

    これらの土圧から埋設管に生ずる応力σbは次式による。

    max〔Mf+Mt〕 σb=

             ··································· (3)

    ここで、Mfは埋め戻し土圧により管の断面に発生する曲げモーメント

    Mtは車輪荷重により発生する曲げモーメント

    Zは断面係数 Z=t2/6 (tは管厚 mm)

    曲げモーメントは、Wf、Wtにより次式で表される。

    Mf=kf・Wf・D02

            ······································ (4)

    Mt=kt・Wt・D02

    ここで、D0は管の外径 (mm単位)

    従って、(3)、(4)式より

    σb=6D0(kfWf+ktWt)/t

    kf及びktは導管の材質、形状(口径と管厚の比率)及び支持の条件によって異なる係数

    であり、その値については国内・国外の実験例及び規格を参照して次の土圧分布モデルから

    計算で求めた。以下に鋼管、球状黒鉛鋳鉄管、ポリエチレン管等たわみ性の大きい管につい

    てのkf及びktを示す。

  • -107-

    Wtは、路面荷重による土圧であって、次の図から求めた値

    (kg/cm2を単位とする。)

    車両荷重による土圧分布

  • -108-

    2.埋設管の損傷対策・材料

    (1) 不等沈下対策

    コンクリート建築物等の重量建築物に係る管及び継手には、次の措置を講ずる必要がある。

    ① 管(ポリエチレン管を除く。)の立上り部、分岐部等のねじ接合部及び基礎等の貫通部等

    建築物の自重及び土圧を受けた場合応力がかかる箇所には、継手の組み合わせにより管に

    可とう性を持たせること。この場合、その継手部に不乾性のシール材を使用すること。

    曲がり部の例:曲がり部は1つエルボによらず、2つエルボとすることを原則とする。

    立上り部の例:立上り部は必ず2つエルボとし、1つエルボで立ち上ってはならない。

    分岐部の例:分岐部には2つ以上の継手を使用して分岐する。

  • -109-

    継手の複数使用の例

    ねじ継手による特殊な伸縮配管例

    図6.10 鋼管において継手の組合せにより可とう性を持たせる場合の参考例

  • -110-

    ② 埋立地等において地盤が軟弱であること等により地盤の沈下が予想される場合には、金

    属製フレキシブルホース又は伸縮継手の挿入により管に可とう性をもたせること。伸縮継

    手の挿入とは、スライド型伸縮継手又はスネークパイプによる変位を吸収する方法を言う。

    この場合、スライド型伸縮継手は縦引きに使用し、収縮力がかかると予想される場合は、

    さや管その他の保護措置を講じ、金属製フレキシブルホースを埋設するときは、その状況

    を外部から点検することができる措置を講ずること。

    伸縮継手の使用例(埋設管の場合)

    スネークパイプによる配管例

  • -111-

    低圧配管用継手付金属製フレキシブルホースの使用例

    (埋設管の場合)

    低圧配管用継手付金属製フレキシブルホースの使用例

    (露出管の場合)

    図6.11 供給管等の伸縮吸収措置参考例

  • -112-

    不等沈下継手

    25A・32A・40A・50A 80A

  • -113-

    全体形状

    山の形状 a部詳細

    内面塗装:エポキシ樹脂系

    外面塗装:ポリエチレン被覆

    スネークパイプ

    単位mm

    呼び系 (A)

    D T t H P R a b L 山 数

    100 150 200

    114.3 165.2 216.3

    4.9 5.5 6.4

    4.5 5.0 5.8

    28 40 52

    49 78

    103

    12.3 19.6 25.9

    150 150 150

    882 936 927

    1,182 1,236 1,227

    18 12 9

    (2) 埋設管の埋設深さ及び他工事対策

    管及び継手を埋設する場合は、その場合に応じ次に定める深さのうち最も深い深さ以上の

    位置に埋設しなければならない。

    ① 道路法施行令 第12条第3号の規定による深さ

    ② 埋設部分の地盤面上を自動車が常時通過する場合(①に掲げる道路を除く。):60cm以上

    の深さ

    ③ 埋設された管及び継手が地盤の凍結による影響を受けるおそれのある場合:30cm以上の

    深さで地盤の凍結による影響を受けるおそれのない深さ

    ④ ①から③までの場所以外の場所:30cm以上

  • -114-

    また、埋め戻しに際しては管床は管の支点を作らないように埋め戻し、管の支持が平均化

    するようにすること。

    さらに、他工事業者が工事中に誤って埋設管を損傷させることを未然に防止させるため消

    費者との連絡体制・埋設管の敷設状況の確認・防護措置の設置等他工事施工の際に必要な具

    体的保安管理対策に関するパンフレット等により他工事業者に対して周知を図ることが必要

    である。

    3.調査点検

    (1) 不等沈下

    コンクリート建築物等の重量建築物は重量に対して十分な基礎設計を行っており、建物の

    沈下は考えられず、むしろ周辺の地盤が沈下し不等沈下となる。よって、不等沈下対策とし

    て、伸縮継手を使用すると共に、沈下状況の調査用に沈下観察棒を設置する。

    埋設設置状態

    (2) 漏洩調査

    埋設部分が漏洩していると考えられるときは、当該埋設部分の配管等について、5m間隔

    (図面等により埋設管の接合部分が確認できる場合は、当該部分について)ボーリングバー

    を使用してボーリング調査を行い、漏洩箇所の確認を行う。この場合、ボーリングバーの先

    端は、埋設管に接触することを防止するため、当該埋設管の上端から10cm程度高い位置より

    深く打ち込まないこと。

  • -115-

    4.施工方法

    (1) 改修工事上の留意点

    既設管の不等沈下による埋設管の損傷防止として、ねじ接合、機械的接合継手の組合せを

    用いて配管の可とう性により変位を吸収する方法が有効である。

    その施工例を示す。

    不等沈下対策措置例

    ① ねじ継手の組み合わせによる配管例

    ② 機械的継手の組み合わせによる配管例(地中貫通の場合)

  • -116-

    (2) 新築工事上の留意点

    新設工事の場合、埋設管の腐食対策および損傷防止対策の両面からポリエチレン管または

    SUSフレキ管を用いることが有効である。両管を用いる場合の留意点として

    〔ポリエチレン管を用いる場合〕

    ① 標識シートを管と地表面との間に設置し、さや管その他の防護措置を講じ、又は地表面

    に埋設位置を明示すること。

    ② ①の措置がとれない場合は、パイプロケータの使用に備え、管に添わせて金属線を埋設

    すること。

    ③ 床下に埋設する場合は、30cm以上の深さに埋設し埋設部から立上り部等であってやむを

    得ず30cm未満の深さに埋設する場合、やむを得ず一部露出する場合又はコンクリートの基

    礎等を貫通する場合は、さや管その他の防護措置を講ずることにより、熱、直射日光及び

    衝撃等を避けること。

    ④ ポリエチレン管の施工は専門的知識・技能を有するものが行うものとする。

    〔SUSフレキ管を用いる場合〕

    ① 埋設フレキ配管を行なうときは、P.94に示すフレキ管、片ねじソケット、埋設用CD管、

    防滴カバー等の部材を使用する。

    ② 配管方法はP.95、96に示す図5.9~5.13を参考にすること。

    ③ 埋設に際しCD管、フレキ管共に強度的に強くないので、配管ルート、埋設深さは、他

    工事、外部圧力の影響の少ない場所を選定すること。なるべく深く、なるべく建物の直近

    がよい。

    ④ フレキ管の施工は設備士が上乗せ講習を受け、専門的知識・技能を有する者が行なうこ

    と。

    ポリエチレン管の配管施工例を示す。