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97 B 会場(白鳥) 15:10~15:35 青枯病ワクチンの開発とその有効利用法 広島大学 大学院先端物質科学研究科 教授 山田 隆 ● プレゼン技術の概要 RSMファージを感染させた青枯病菌(非病原化)をトマト等の植物に接種しておくと, その後に病原性青枯病菌を接種しても,強い抵抗性を示し高い予防効果を発揮する。 主要農作物,ならびに各種園芸作物の苗に適用でき,移植後の青枯病の発症を大幅に 予防することができる。 ● 従来技術・競合技術との比較 (1)臭化メチルやクロロピクリンのような化学農薬(燻蒸剤)に比べ,環境負荷,生 態系への影響,動植物への毒性が全くない。(2)任意の青枯病菌(レースに関係なく) を非病原化でき幅広い農作物予防ワクチンとして利用できる。(3)ファージ生産は安 価であり処理プロセスは簡単である。 ● プレゼン技術の特徴 ・自然界の天敵を用いるため,環境負荷,生態系への影響,動植物への毒性が皆無 ・幅広い農作物予防ワクチンとして利用可 ・安価,操作容易 ● 想定される用途 ・農作物,園芸植物等苗の病害予防剤 ・農作物,園芸植物の病害予防技術 ・科学研究用病原菌の非病原化技術

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Page 1: 青枯病ワクチンの開発とその有効利用法 - …...RSM ファージ感染細胞を植菌した植物(トマト)に強病原性の青枯 病菌を接種しても病害は発生しない(ワクチン効果)。

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B会場(白鳥)

15:10~15:35

青枯病ワクチンの開発とその有効利用法

広島大学

大学院先端物質科学研究科

教授 山田 隆

● プレゼン技術の概要RSMファージを感染させた青枯病菌(非病原化)をトマト等の植物に接種しておくと,その後に病原性青枯病菌を接種しても,強い抵抗性を示し高い予防効果を発揮する。主要農作物,ならびに各種園芸作物の苗に適用でき,移植後の青枯病の発症を大幅に予防することができる。

● 従来技術・競合技術との比較(1)臭化メチルやクロロピクリンのような化学農薬(燻蒸剤)に比べ,環境負荷,生態系への影響,動植物への毒性が全くない。(2)任意の青枯病菌(レースに関係なく)を非病原化でき幅広い農作物予防ワクチンとして利用できる。(3)ファージ生産は安価であり処理プロセスは簡単である。

● プレゼン技術の特徴・自然界の天敵を用いるため,環境負荷,生態系への影響,動植物への毒性が皆無・幅広い農作物予防ワクチンとして利用可・安価,操作容易

● 想定される用途・農作物,園芸植物等苗の病害予防剤・農作物,園芸植物の病害予防技術・科学研究用病原菌の非病原化技術

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青枯病ワクチンの開発とその有効利用

広島大学大学院先端物質科学研究科教授 山田 隆

Development of “Vaccine” preventing bacterial wilt caused by Ralstonia solanacearum

Takashi Yamada   Graduate School of Advanced Sciences of Matter, Hiroshima University 

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青枯病菌(Ralstonia solanacearum)                                     ★β‐プロテオバクテリアに属する土壌細菌(Burkholderiaceae)であり遍在する。

★広い宿主域を有し主要農作物を含む50科200種もの植物に感染する。★植物感染域により5つのレースに細分される:

レース1:ナス科作物など幅広い宿主域を持つ比較的多様性を有する一群。レース2:主としてバナナに感染する。レース3:主としてジャガイモ、トマトに感染する。レース4:主としてショウガに感染する。レース5:主として桑に感染する。

★二糖類および糖アルコールからの酸の産生能によって5つの生理型(biovar)に細分される。

★指標遺伝子(rDNA, egl, hrpB, mutS)のタイプにより4つのphylotypeに細分される。ファイロタイプI:アジア地域に広域に分布ファイロタイプII:南北アメリカ大陸に分布ファイロタイプIII:アフリカ地域に分布ファイロタイプIV:主としてインドネシアに分布

★日本には主としてレース1、3、4、ファイロタイプI,IVの菌株が分布している。★最近数種類の株についてゲノム解読が終了し、多くの遺伝情報が得られるように

なった。★植物根部等から侵入し、導管内で増殖・移動を繰り返しバイオフィルム形成・多糖

質蓄積によって通水性を低下させる。

研究背景

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従来の青枯れ病対策と問題点従来の対策 問題点(1)土壌消毒 土壌燻蒸剤 臭化メチルは使用禁止、クロロピ

クリン等は強い毒性、生態系混乱、環境汚染につながる。

(2)抵抗性品種 抵抗性は限定的、優良形質への影響、接ぎ木等の手間。

(3)バイオコントロール 有効性は限定的で、ケースバイケースの活用。(拮抗微生物使用)

(4)間作 感染土壌は数年間使用不可、リスクアセスメントに問題あり。

(5)隔離 感染植物の早期発見と処理、農機具消毒、排水対策。

土壌や植物から高感度に病原菌を検出でき、青枯病の診断と防除が確実に行える技術開発。また、予防剤を用いた予防技術が可能か?

研究背景

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バクテリオファージ(Bacteriophage)とその利用

バクテリオファージの特長(1)宿主細菌に対する特異性が極めて高い。(2)動植物、他の微生物には無害。(3)増殖速度が極めて速い。(4)大量生産が可能である。(5)安価に生産できる。(6)操作が極めて容易である。

標的細菌がいればいるほど感染し指数関数的に増殖する。病害現場で病原菌に最適なファージを選択できる。

バクテリオファージは細菌の天敵である。

新技術の基となる研究成果

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バクテリオファージを用いた青枯病診断・予防・防除システム

青枯病は特に深刻な感染症であり世界各地に蔓延して膨大な被害を与えている。一度感染した土壌は何年も使用できなくなる。土壌の汚染診断が必須である。

PCR法等を用いた従来の病原菌検出法は土壌などの複雑系にはほとんど無効である。

ファージコートタンパク質を蛍光標識し,特異的に病原菌を検出する。

宿主特異性の異なる多種類のファージ混合剤散布によって感染植物、汚染土壌から病原菌を駆除する。 ファージと宿主菌のゲノム解析から相互作用の分子機構を解明し防除に利用する。ファージ殺菌タンパク質を同定し、防除に用いる。

宿主特異性の異なる多種類のファージ混合剤で土壌、苗の前処理により感染を予防する。

簡易診断キットにより、土壌、苗の汚染診断が出来、栽培中の感染モニタリングが出来る。

次世代農業支援技術

次世代持続型食糧生産新産業

*食糧生産産業システムの創出、 *食糧生産基盤の維持、*安全な食糧

生産、*環境保全、*生態系保全 Vaccine

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発光ファージを用いた青枯病菌の高感度検出

A法 青枯病菌(Ralstonia solanacearum)を特異的に認識するバ

クテリオファージ(特に線状ファージ)のコートタンパク質に標識ペプチド(例GFP,量子ドット結合性)を呈示

し蛍光を検出する。細胞あたり多数のファージ結合によって蛍光強度が増強する(A法)がノイズが高い。

ファージが細胞内で増殖(数百倍)することで蛍光強度を増強できる(B法)。

診断キット:農作物生産現場での青枯病発生の危険性や農薬の使用量を算出する根拠を提供できる。PCR,ELISA法より高特異性

診断・検出

B法

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ルシフェラーゼ標識ファージによる青枯病菌の検出

菌体濃度(cells/ml)

測定値

5×105 98555×104 14355×103 1905×102 245×101 45×100 3

菌体濃度測定

~102 cells/mlの測定が可能

ルシフェラーゼ標識ファージ(RSS1)+MAFF106611ルシフェリン添加後発光測定

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モニターキット:病理学・土壌生態学等基礎研究・調査現場での必需ツールとなる。

ファージ・プラスミド系の特長①極めて安定で長期継続モニタリングが可能。②あらゆる細菌株に適用できる。③トランスポゾンのような組込みによる二次的影響がない。④必要に応じて随時標識を解除できる。⑤異なるレプリコンによる多色標識も可能。

診断キット:

標識ファージ・プラスミドセット(RSS1-6, RSM1-3, pRSS12)

標準菌 Ralstonia solanaceraumM4S

プロトコール

検出装置:蛍光実体顕微鏡

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φRSL1による青枯病予防効果 (土に植えたトマト苗への根からの感染に対して)

Jiffy7(ピートモスを

ネットに圧縮した培養土ポット)に吸水させ、トマトの種子を接種。φRSL1処理サ

ンプルにおいては、φRSL1 (1.3×1010pfu/ポット)。

種蒔きから37日後(発芽から約1ヶ月後)、全長20〜23cm となったト

マト苗に対して、再度φRSL1処理行った[方法は(i)と同様]。

(i) 種蒔きとφRSL1処理 (ii) 二度目のφRSL1処理 (iii) 青枯病菌接種(断根浸漬接種法)

① ② ③

① (ii)の2日後、苗床から出ている根をハサミを用いて適度に切断した。

② 青枯病菌培養液中(108 pfu/ml)にトマト苗を30秒間浸漬した。

③ 青枯病菌接種後のトマト苗をポリ鉢(黒, 直径9 cm)に植え、28℃、16時間照明下の人工気象機内において栽培した。

予防・防除

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【予防/防除】φRSL1による発病予防効果

Disease index;発病度0:外部病徴が認められない発病度1:1葉柄が萎凋発病度2:2〜3葉柄が萎凋発病度3:上位の2〜3葉柄を除いて他は全て萎凋発病度4:全葉が委凋発病度5:枯死

コントロール

φRSL1処理サンプル

Controlにおいては菌体接種16日以内で

100%の感染・発病株率が認められた。これに対してφRSL1処理株では、接種18日後

においても病徴を示す株は確認されなかった。以上の結果から、今回の実験条件においても、事前のφRSL1によって効果

的に青枯病の発病が予防される事が確認された。

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φRSL1処理による青枯病菌予防法

《トマトの場合》

《ジャガイモの場合》

(i) φRSL1処理

(i) φRSL1処理 (ii) ポットへの植え付け

(ii) ポットへの植え付け

圃場へ

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青枯病ワクチン

100 nm

★φRSMファージは繊維状ファージ(Inovirus)であり、宿主域の異なる多種が存在する。

★青枯病菌のほとんどはφRSM1かφRSM3の何れかに感染する。

★φRSMファージは感染細胞を溶菌せず共存状態で増殖する。

★φRSMファージ感染により宿主菌は病原性を失う。

★φRSMファージ感染細胞を植菌した植物(トマト)は正常通り生育する。

★φRSMファージ感染細胞を植菌した植物(トマト)に強病原性の青枯病菌を接種しても病害は発生しない(ワクチン効果)。

★ワクチン効果は2ヶ月以上持続する。

青枯病発生 菌を分離 φRSM感染

予防 抵抗性誘導 近隣作物に植菌

新技術とその特長

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φRSMファージ感染による宿主菌への影響

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Control(大腸菌一次接種) 一次接種なし φRSM3一次接種トマト

MAFF 106603野生株の2次接種

青枯れ病菌ワクチン

診断に基づき病害発生の危険性のある現場で、予防的に使用することで青枯病を発病しにくくする。 化学農薬より安全

線状ファージは宿主菌を溶菌せずに感染を継続する。φRSM1~φRSM3感染菌は病原性を消失し、ファージキャリア菌として青枯病菌ワクチン活性を発揮する。

病害植物から分離した病原菌そのものにφRSMファージを感染させピン

ポイントの効果的な予防(病害拡大予防)ができる。

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青枯れ病菌ワクチン

φRSMを用いたワクチン効

果は発芽直後から1から2ヶ月後まで安定効果を発揮する。

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何故φRSM感染細胞は病原性を無くすのか?

φRSM感染菌と非感染菌で病原性関連遺伝子の発現レベルを比較した。

病原性因子である菌体外多糖質(EPS),植物細胞壁分解酵素Egl, PehCの遺伝子発現レベルは感染菌で大きく低下し、さらにこれら遺伝子の発現調節マスター遺伝子phcAが大幅に低下していた。phcAを活性化するQuorum Sensing因子3‐OH PAMEを生産する遺伝子phcBも低下していた。これらのことから、φRSM感染による

細胞膜、細胞表面変化が病原性発現を抑制している事が推定される。

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φRSM感染菌(キャリア)は接種トマトの

病害抵抗性を誘導する。ここでは3種の病害抵抗遺伝子 (PR蛋白質遺伝子、PR‐1a, PR‐2b, PR7)の発現誘導を調べている。φRSM感染菌接種トマトでは、これら遺伝子の早期かつ持続的発現が起こっている。

何故ワクチン効果が出るのか?

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新技術の特徴・従来技術との比較

• 化学農薬に比して、動植物への毒性はなく、生態系へ影響もない。環境汚染の問題もない。極めて持続性の高いeco-friendlyな技術である。

• 特に抵抗性品種を用いる必要はなく、対象農作物に対して汎用性が極めて広い。

• 種々の拮抗菌等を用いたバイオコントロール法に対して、本技術はオンサイトで検出した病原菌にピンポイントで対応できる。

• ファージ生産は安価であり,操作自体も極めて容易である。

• 診断・検出・予防・防除の組み合わせにより効率的な青枯病のコントロールが可能となる。

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技術の新規性・優位性 (本技術に関する知的財産権)

(1)診断:青枯病菌の特異的検出に有効な新規ファージを取得している。

(RSS,RSM,RSB) 特開2005-278513,特願2007-228396

(2)予防・防除:青枯病菌を効率よく溶菌する新規広宿主域ファージを多種取得している(RSA,RSB,RSL)。特開2005-278513,特願2006-047865

(3)ワクチン:青枯病予防剤および青枯病の予防方法の開発(RSM)。特願2011-102153 出願人:広島大学、発明者:山田 隆 他2名

(4)ゲノム解読により、ファージの性質が明らかとなっており、各操作を確実かつ安全に行うことができる。

(5)病害の早期診断と的確かつ迅速な防除・予防が可能となる。診断・予防・防除の統合化は特段の優位性につながる。

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①診断キット:農作物生産現場での青枯病発生の危険性や農薬の使用量を算出する根拠を提供できる。PCR,ELISA法より高特異性

②予防剤:診断に基づき病害発生の危険性のある現場で、予防的に使用することで青枯病を発病しにくくする。化学農薬より安全

③防除剤:発生した病害現場で土壌に処理することで青枯病菌を効果的に死滅させ、または病害植物に直接投与することで病徴を遅らせ、トマト、なす、ジャガイモなどの収穫を可能にする。化学農薬より安全、ピンポイント殺菌

④モニターキット:病理学・土壌生態学等基礎研究・調査現場での必需ツールとなる。安定なプラスミド

⑤診断・予防・防除の体系化:危険な環境負荷の大きい農薬に替わる安心・安全・高効率(低コスト、省力)な農業技術(将来は農産業技術)として大きな貢献が出来る。生産現場と直結したコンサルタント機関を通じて徹底した農地診断、リスクアセスメント、生産モニタリング等が可能となる。

実用化する製品・技術・サービス(想定される用途)

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想定される業界

• 利用者・対象

農薬製造販売メーカー、種苗メーカー、農業コンサルティング機関、

地方自治体農業研究開発センター等、

JA, 各種農業研究機関

・市場規模

950億円と想定

(米国で年間ジャガイモ被害$950M/Y)

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実用化に向けた課題• 現在、実験圃場、グリーンハウスレベルでRSLを用いたトマ

ト、ジャガイモの青枯病予防技術の効果は実証中。これまでに良好な結果を得ている。さらに実証件数を増やし持続性,安定性のデータを得る必要がある。

• 今後、ワクチン処理植物について実験圃場、グリーンハウスレベルでの十分な実験データを取得し、実用化の条件設定を行っていく。

• 農水省生物特定防除資材(特定農薬)登録を行う。

企業への期待・農薬開発の実績を持つ企業との共同研究(開発)を希望する。

・農業コンサルティング関係の機関・企業との連携を希望する。

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お問い合わせ先

広島大学 産学・地域連携センター

国際・産学連携部門

TEL 082-421-3631

FAX 082-421-3639

e-mail techrd@hiroshima-u.ac.jp