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治験結果の概要 一般の方向け 全体的な概要 乾癬性関節炎は、関節の痛み、こわばり、 腫れを引き起こす病気です。 乾癬性関節炎は長期間持続し、時間がたつ につれ重症度が変化することがあります。 より重篤な症状の時期を再燃といいます。 ヒトが乾癬性関節炎になる原因はわかって いませんが、研究者らは遺伝子、身体の免 疫系および病気の引き金となる外因などが 混合して引き起こされるものと考えてい ます。 この治験では、治験担当医師(研究者)が リサンキズマブと呼ばれる薬物を使って以 前に治験を完了した患者さんを対象に同じ 薬物を試験しました。 この治験では、医師は乾癬性関節炎の成人 患者さんを対象にリサンキズマブの安全性 を調べました。 この治験のすべての患者さんに、同じ用量 の治験薬が36週間投与されました。 この治験は201612月から20187月の間 10ヵ国で実施されました。 この治験では、患者さんの約60%に副作用 が認められました。最も一般的な副作用 は、ウイルス性上気道感染(感冒) でした。 この薬物の更なる開発のために研究者らが この治験の結果を使用します。 この治験に参加し、あなた個人のケアにつ いてもっとお知りになりたい場合は、ご自 分の治験実施医療機関の医師またはスタッ フに連絡してください。 乾癬性関節炎の成人患者さんを対象に、治験薬リサンキズマブを含む薬物がどれ ほど安全でおよび有効的に作用するかを研究する治験

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Page 1: 治験結果の概要...治験結果の概要 一般の 全体的な概要 • 乾癬性関節炎は、関節の痛み、こわばり、 腫れを引き起こす病気です。•

治験結果の概要一般の方向け

全体的な概要• 乾癬性関節炎は、関節の痛み、こわばり、

腫れを引き起こす病気です。

• 乾癬性関節炎は長期間持続し、時間がたつにつれ重症度が変化することがあります。 より重篤な症状の時期を再燃といいます。

• ヒトが乾癬性関節炎になる原因はわかっていませんが、研究者らは遺伝子、身体の免疫系および病気の引き金となる外因などが混合して引き起こされるものと考えてい ます。

• この治験では、治験担当医師(研究者)がリサンキズマブと呼ばれる薬物を使って以前に治験を完了した患者さんを対象に同じ薬物を試験しました。

• この治験では、医師は乾癬性関節炎の成人患者さんを対象にリサンキズマブの安全性を調べました。

• この治験のすべての患者さんに、同じ用量の治験薬が36週間投与されました。

• この治験は2016年12月から2018年7月の間に10ヵ国で実施されました。

• この治験では、患者さんの約60%に副作用が認められました。最も一般的な副作用は、ウイルス性上気道感染(感冒) でした。

• この薬物の更なる開発のために研究者らがこの治験の結果を使用します。

• この治験に参加し、あなた個人のケアについてもっとお知りになりたい場合は、ご自分の治験実施医療機関の医師またはスタッフに連絡してください。

乾癬性関節炎の成人患者さんを対象に、治験薬リサンキズマブを含む薬物がどれほど安全でおよび有効的に作用するかを研究する治験

Page 2: 治験結果の概要...治験結果の概要 一般の 全体的な概要 • 乾癬性関節炎は、関節の痛み、こわばり、 腫れを引き起こす病気です。•

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研究者らは、乾癬性関節炎と呼ばれる疾患を治療するより良い方法を探しています。乾癬性関節炎は、世界の成人人口の0.3%~1%に影響を及ぼす長期にわたる炎症性疾患です。この病気は関節の痛み、こわばり、腫れの原因となります。乾癬性関節炎の正確な原因は不明です。研究者らは遺伝子、身体の免疫系および病気の引き金となる可能性のある外因などが混合して引き起こされるものと考えています。

乾癬性関節炎の治療法はありませんが、研究者らは患者さんの症状を緩和するための免疫系の活動をコントロールする治療を探しています。乾癬性関節炎の治療に使用する薬物は、すべての患者さんにとって同じ作用があるわけではなく、治療にもかかわらず一部の患者さんでは症状が改善しない場合もあります。そのため、研究者らは患者さんを治療するための別の薬物を探しています。

第II相試験では、病態または疾患を有する少数の患者さんで新たな治療の候補を検査します。この第II相試験では、乾癬性関節炎の成人患者さんを対象としたリサンキズマブの利益と副作用を調査しました。この治験は「非盲検」であり、患者さんと治験担当医師のどちらも、患者さんが治験薬を投与されたことを知っていました。

この治験の主な目的は、この薬が乾癬性関節炎の患者さんに安全かどうか、また望まない副作用があるかどうかを調べることです。この概要にはこの治験の結果のみが記載されており、他の治験の結果とは異なっている可能性があります。

1. この治験に関する全般的な情報1.1. この治験の主な目的は何でしたか。

Page 3: 治験結果の概要...治験結果の概要 一般の 全体的な概要 • 乾癬性関節炎は、関節の痛み、こわばり、 腫れを引き起こす病気です。•

57.9% 男性 42.1% 女性

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フィンランド

フランス

スペイン

米国

1.2. 治験はいつどこで実施されましたか。この治験は2016年12月から2018年7月の間に以下の国で実施されました。

2. どのような患者さんがこの治験に参加しましたか。合計145名の成人患者さんがこの治験に参加しました。すべての患者さんに乾癬性関節炎が認められ、全員がリサンキズマブまたはプラセボ(偽薬)を調べる以前の治験で、すべての治療来院を完了していました。

この治験の145名の患者さんのうち、106名がリサンキズマブでの治療を終了し、39名が終了しませんでした。中止の内訳は、4名が副作用のため、10名が個人的理由で治験を中止ました。1名が治療の継続または検査に来院せず、24名がその他の理由や理由が判明しないままで治験を完了しませんでした。

本試験では女性(42.1%)より男性(57.9%)の参加が多く 患者さんの年齢は21~78歳でした。

台湾

カナダベルギー

日本

ポーランド

チェコ共和国

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リサンキズマブ皮下注射として12週ごとに36週間

治療後の追跡調査

前の治験で第24週来院を終了した患者さん

第0週治験開始

第36週治療終了

第56週治験完了

第4週圧痛または腫脹関節数に十分な改善が認められない場合リサンキズマブを追加投与

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3. どの薬物が研究されましたか。この治験での薬物は、リサンキズマブと呼ばれています。治験担当医師が、治験の開始時、全ての患者さんに皮膚注射でこの薬物を1回投与し、その後最長36週間にわたり12週ごとに投与しました。初回投与の4週間後に圧痛や腫脹関節数が改善しなかった場合には、第4週に皮下注射で追加の治験薬が投与される場合がありました。

治験がどのように行われたかを下図に示します。

治験開始時に、すべての患者さんを1つのグループに入いれました。治験担当医師は、それぞれの患者さんが、乾癬性関節炎に対するリサンキズマブまたはプラセボの前の治験完了しており、健康状態が良好であることを確認しました。

この治験では、患者さんは12週ごとに治験薬の投与を受けました。4週間後に患者さんが治験薬に反応しなかった場合、治験担当医師によって追加の治験薬が投与されました。患者さんと治験担当医師のどちらも、患者さんが投与された治験薬およびその用量を知っていました。

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4. 副作用には何がありましたか。副作用とは治験中に生じた望ましくない医療事象です。それらは治験での治療により引き起こされた可能性もあれば、そうでない可能性もあります。

死亡に至る、生命を脅かす、患者さんが入院する、患者さんが長期的に入院する、または長期的に持続する障害を引き起こす場合、副作用は重篤です。

関連のある副作用とは、少なくとも治験薬に関連あるかもしれないと治験医師が考える副作用のことです。

この治験中、約3.4%の患者さん(5名)が重篤な副作用を発現しました。治験薬と関連あるかもしれないと考えられた患者さんは、全部で0.7%(1名)でした。

治験薬を投与された患者さんの約3.4%(5名)が、治験期間中の副作用のために治験薬の使用を中止しました。治験薬と関連あるかもしれないと考えられる副作用のために治験薬の使用を中止した患者さんの数は、患者さんの0.7%(1名:尿性敗血症)でした。治験薬の中止に関するその他の理由には、 患者さんの決断および乾癬性関節炎の症状の悪化が含まれていました。

治験期間中に死亡した患者さんはいませんでした。

この治験で患者さんに発症した関連のある重篤な副作用、患者さんが治験薬の投与を中止するに至った患者さんに発症した関連のある副作用、および死亡に至った関連のある副作用についての情報を下の表に示します。

リサンキズマブ (n = 145)

関連のある重篤な副作用の発症があった患者数 1(0.7%の患者)

関連のある重篤な副作用•尿性敗血症(尿路の感染が血流に入ったことで引き起こされ

る感染症)1(0.7%の患者)

関連のある副作用のため治験薬の使用を中止した患者数 1(0.7%の患者)

死亡に至る関連のある副作用の件数 0(0%の患者)

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この治験中、約60%の患者さん(87名)が副作用を発現しました。治験薬と関連あるかもしれないと考えられた患者さんは、全部で15.2%(22名)でした。

この治験において、よく見られる(最低2名以上の患者さんに発現した)関連のある副作用についての情報を下の表に示します。最もよく見られる副作用は、気管支炎(肺に空気を運ぶ気管支の内側の感染)でした。

5. 治験の全般的な結果はどうでしたか。治験は計画通りに完了しました。治験担当医師は、治験薬は乾癬性関節炎の症状の治療のために患者さんが使用しても安全であることを確認しました。約60%の患者さんに副作用が認められましたが、ほとんどは軽度であり、治験薬の投与の中止に至ることはありませんでした。

6. この治験は患者さんと研究者らをどのように助けましたか。

この治験は、乾癬性関節炎の治療薬として、リサンキズマブの安全性について研究者らがより深く知るために役立ちました。この治験からの知見は、リサンキズマブが乾癬性関節炎患者さんの助けとなるか否かを調べるための他の研究の開発を助けるために使用される可能性があります。

この概要はこの治験の結果のみが記載されており、他の治験の結果とは異なっている可能性があります。

患者さんは、かかりつけ医および/または治験担当医師と個々の治療についてさらに話し合うべきであり、1件の治験結果だけに基づきご自身の治療を変更すべきではありません。

7. 将来的な治験の計画は何かありますか。乾癬性関節炎の患者さんを対象としたリサンキズマブの治験がこの先も予定されています。

8. この治験の治験依頼者は誰ですか。この治験はAbbVie社により実施されました。この概要の可読性は患者支持団体が審査しました。

リサンキズマブ (n = 145)

関連のある副作用を最低1件発症した患者数 34(23.4%の患者)

一般的な関連のある副作用(最低2名以上の患者さんに発現した関連のある副作用)

•感染症(気管支炎、風邪、喉の痛み)•注射部位反応•正常でない血液検査値(肝臓の損傷を示す可能性のある肝酵

素検査値の増加)•組織障害(乾癬性関節炎の症状の悪化)

13(9.0%の患者) 3(2.1%の患者) 2(1.4%の患者)

2(1.4%の患者)

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9. この治験に関する詳しい情報はどこで見つけることができますか。

治験課題名 M16-002 (1311.5)試験の第24週来院を完了した乾癬性関節炎被験者を対象としたリサンキズマブの安全性を評価する第II相単群非盲検継続投与試験[A Phase 2 Single-Arm Open-Label Extension Study to Investigate Safety with Risankizumab in Psoriatic Arthritis Subjects Who Have Completed Week 24 Visit of Study M16-002 (1311.5)]

治験実施計画書番号

M16-244

ClinicalTrials.gov NCT02986373https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02986373?term=M16-244&draw=2&rank=1

EudraCT 2016-003113-94https://www.clinicaltrialsregister.eu/ctr-search/search?query=2016-003113-94

治験依頼者 AbbVie, Inc.電話:(800) 633-9110電子メール: [email protected]

ありがとうございました!AbbVie社は治験参加者の皆様に対して、本治験実施のために、時間と労力を割いて頂いたことに感謝いたします。

治験参加者は科学の発展に寄与します!

2020年5月26日 この資料には資料の最終化時点での既知の事実が記載されています。