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術前の各種検査データは 術中モニタリングの変化を 予測できるか ~頸動脈内膜剥離術(CEA)についての検討~
医療法人社団 英明会
大西脳神経外科病院 臨床検査室 永井 唯
兒玉 裕司 衣笠 千典
黒北 恵津子 池田 紘二 三宅 紗由美
共同演者
動脈硬化により肥厚した頸動脈内膜を剥離する手術
頸動脈の血流を一時的に遮断して 行うため、脳の血流に変化が生じる
頸動脈内膜剥離術(CEA)
側副血行
動脈輪の各部の発達には個人差が著しく、 完全な輪が形成されないこともある。
Stamp pressure 側副血行により 反対側から補わ れる血圧
前交通動脈 (A-com)
後交通動脈 (P-com)
脳底動脈
椎骨動脈
内頸動脈
Willis 動脈輪
術中モニタリング
脳波(EEG)
・50%以上の振幅の低下
体性感覚誘発電位(SEP)
・50%以上の振幅の低下
・1.0mm/sの潜時の遅延
遮断中に脳が虚血状態になれば麻酔薬を追加
目的 内シャントを用いない頸動脈内膜剥離術を行っている為、術中モニタリングが重要
術前検査データから、術中モニタリングの変化を予測できるかを検討
2009年~2012年の間にCEAを施行した172例のうち、術前にSPECT検査もしくはXeCT検査をしている112症例
対象
男性 女性 合計
症例数(例) 97 15 112
年齢(歳) 71±6.3 71±6.2 71±6.3
方法
術中モニタリング波形の変化の有無
・脳血流評価(SPECT検査・XeCT検査)
・Acom・Pcomを介しての側副血行の有無
・Hb量
・Area狭窄率(Echo)
・Stump pressure
術前脳血流評価と 術中モニタリング波形との関係
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
Stage0 1 2
モニタリング波形の変化無
モニタリング波形の変化有
Stage0:正常 Stage1:正常値の80%以下(脳血流) もしくは血管予備能<10% Stage2:上記の両方を満たすもの
(p=0.7286)
有意差なし
See-JET分類に準じる
14.8% 0% 10.4%
側副血行の有無と 術中モニタリング波形との関係
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
無 有
モニタリング波形の変化無
モニタリング波形の変化有
36.4% 5.5%
(p=0.0016) 側副血行路なし 側副血行路あり
有意差あり
Hb量と 術中モニタリング波形との関係
0%
20%
40%
60%
80%
100%
基準値以上 基準値未満
モニタリング波形の変化無
モニタリング波形の変化有
(p=0.9072) Hb量
ヘモグロビンの基準値 男性:13.5~17.6mg/dl 女性:11.3~15.2mg/dl 有意差なし
72
74
76
78
80
82
84
Are
a%(E
cho)
無 有
Area狭窄率(Echo)と 術中モニタリング波形との関係
モニタリング波形の変化
(p=0.0639)
28
30
32
34
36
38
40
42
無 有
Stump pressureと 術中モニタリング波形との関係
Stu
mp p
ress
ure
(mm
Hg)
モニタリング波形の変化
(p=0.3403)
考察 Acom・Pcomが遮断中の脳血流維持に影響していると言え、この術前評価が重要である。
Area狭窄率(Echo)の高い症例でモニタリング波形が変化しない傾向があった。
側副血行が発達し、モニタリング波形に変化が出にくかった可能性が考えられる。
結語
側副血行の有無とArea狭窄率(Echo)が、術中モニタリング波形変化に影響する。
ご清聴ありがとうございました