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奈良県後期高齢者医療広域連合

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高齢期の

食生活

ガイドブック

監修●杉山みち子

神奈川県立保健福祉大学

保健福祉学部栄養学科教授

高齢期の

食生活

ガイドブック

奈良県後期高齢者医療広域連合

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※主な参考文献

平成15年「高齢者のためのヒューマンサービスに関する研究」報告書(神奈

川県立保健福祉大学)、「これからの高齢者の栄養管理サービス」(第一出版)

はじめに………………………………………………1

知っておこう

低栄養とはどんな状態でしょうか…………………2

知っておこう

低栄養予防で健康寿命を延ばしましょう…………4

知っておこう

低栄養をチェックしてみましょう…………………6

やってみよう

高齢期からはこんな食生活にしましょう…………10

やってみよう

かむ力を取り戻しましょう…………………………12

やってみよう

飲み込む力が弱くなってきたときは………………14

やってみよう

脱水症状予防のため水分を十分にとりましょう……15

やってみよう

運動習慣で相乗効果が期待できます………………16

やってみよう

社会参加の機会を増やしましょう…………………17

*もくじ*

12312345

1

高齢期の食生活は、

それまでとは異なる、新しい常識が必要です。

◆まず、食生活にかかわる事がらについて、

みなさんの常識をチェックしてみましょう。

どちらかというとやせているほうが健康的だ 

肉や卵はひかえめにしている

年をとったら粗食のほうが健康にいい

◆「はい」がひとつでもあった人は、要注意です。

どうしてでしょうか。

食事に気をつけるというと、多くの人は生活習慣病予防――たとえば「食事の量をひか

えめに」「肉や卵をひかえめに」など――を、まず考えます。しかしこうした食事は、高齢

者にとって必・ず・し・も・良いものではありません。

特に、75歳以上になると心身機能の低下が急激に進み、介護が必要(要介護)な状態に

なりやすくなりますが、その最大の要因は、全身の栄養状態が悪いこと、すなわち「低栄

養」にあると考えられています。ですから高齢期に入ったら「生活習慣病予防」から「低

栄養予防」へと、食生活の目標を変えていく必要があります。

いいえ

いいえ

いいえ

は い

は い

は い

はじめに

高齢期の食生活で、本当に気をつけたいことは何なのか。この冊子ではそれを解説していきます。

6

年をとるにつれ、食事の内容があっさりしたり、量が減ったりしがちなため、たんぱく質やエネルギーが不足しやすくなることから、筋肉や脂肪から不足分が補われ、身体機能がどんどん低下してしまいます。これが「低栄養状態」です。高齢期に低栄養状態に陥りやすいのには、かむ力や飲み込む力の

低下、胃腸の消化・吸収能力の低下といった身体的な理由のほか、一人暮らしで料理をしなくなるなど、精神的・社会的な理由も関係してきます。「食べること」は、特に高齢期の方には、他の年代の人以上に重要です。この冊子では、低栄養状態になるのを防ぐためのさまざまな方法をご紹介します。

高齢期こそ、バランス良く、しっかりと栄養をとりましょう

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食事は人間の生命と活動を支える源となるもので

す。特に、老化を防ぎ、活力ある生活を送るために

は、生きるための「タンパク質」と活動するための

「エネルギー」を毎日の食事から十分にとることが

大切です。

タンパク質は、筋肉や臓器、血液など体の主要な

構成成分であるとともに、生命の維持に欠かせない

酵素やホルモンをつくる大切な栄養素です。一方、

体を動かす活動源となるエネルギーは、タンパク質

のほか、脂質、糖質の三大栄養素から供給されてい

ます。

低栄養とは、このタンパク質とエネルギーが不足

している状態のことです(「タンパク質・エネルギ

ー低栄養状態」)。低栄養におちいると、不足するタ

ンパク質やエネルギーを補うために体の筋肉や脂肪

が使われます。すると身体機能の低下が進み、要介

護状態(介護を必要とする状態)や病気になりやす

くなります(4〜5ページ参照)。

低栄養とはどんな状態でしょうか

1

タンパク質・エネルギーが

不足する「低栄養」

知っておこう

高齢期には、「食事の回数や量が減る」「同じものばかり食

べる」「食欲がわかない」といったことがよくみられます。し

かし、本人や家族が「高齢者は食が細いもの」などと考え、

それを放っておくと、低栄養におちいる危険性が非常に高く

なります。

体重は全身のエネルギー貯蔵状態

を反映するので、体重の減少は、タ

ンパク質やエネルギーが不足してい

ることを示します。半年間で5%以

上体重が減少した場合(体重60㎏の

人なら3㎏以上減少した場合)は低

栄養の危険があるので、医師など専

門家に相談することが必要です。

体重減少率=(平常時の体重※-現在

の体重)÷平常時の体重×100

※平常時の体重とは、心身の健康状態が良く、6~12か月間安定しているときの体重です。

食事の量が減ったのは、「自分で食事の用意ができない」

せいかもしれません。「気分が落ち込んで食欲がない」「入

れ歯があわない」「手に麻痺があって食事がとりにくい」と

いった理由も考えられます。疾病が背景にあることも少な

くありません。

食事の量の減少や、栄養の偏りがなぜ起こっているのか、

その原因をきちんと考え対処することが、低栄養予防の大

切なポイントとなります(6〜9ページ参照)。

こんな理由から低栄養になる

身体的な理由

かむ力の低下、手の麻痺など

精神的な理由

うつ状態など

社会的な理由

ひとり暮らしなど

病気やけがなど

低栄養の背景には

さまざまな要因がある

3 2

最低でも月に1度は

体重チェックを

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身体機能の低下

●免疫機能が低下し、感染症にかかりやすくなる

●病気やけがの回復力が低下する

●皮膚や筋肉が弱り、床ずれしやすく

なる

症などが多いことがわかりま

した(グラフ参照)。

このうち高齢による衰弱や

転倒・骨折などは低栄養と深

い関わりがあります。認知症

の予防にも低栄養予防は欠か

せません。まさに「高齢期の

心身の健康維持は低栄養予防

から」といえるでしょう。

健康で、自立した高齢期を送るためには、生活習慣病な

どの疾病を予防するだけではなく、要介護状態になること

をいかに防ぐかという視点が必要になります。

要介護状態になる最大の危険因子が低栄養です。低栄養

におちいると、筋肉量や筋力が低下して転倒や骨折を起こ

しやすくなるばかりでなく、外出や食事、入浴、排せつとい

った日常生活動作に徐々に支障をきたし、やがては介護を

必要とするようになります。

さらに、いったん筋力が低下する

と安静にする時間が長くなるため、

筋肉・骨の萎縮や関節の拘縮、心

肺機能や消化器機能の低下など、

全身の機能がますます衰えていき

ます(これを老年症候群といいます)。

心身の機能を維持し、要介護状態にならないようにする

ためには、低栄養を防ぐことが大きなポイントとなります。

低栄養予防で健康寿命を延ばしましょう

知っておこう2

要介護状態にならないために

何が必要か

日常生活動作の低下

このように、低栄養は自立した生活を損ない、余命を短くする危険因子で

す。要介護状態となるのを防ぎ、健康寿命を延ばすためには、低栄養の予防

が大きなポイントとなります。

何が原因で要介護状態になってしまうのかを分析したところ、

歳以上の場合、脳血管疾患、高齢による衰弱、転倒・骨折、認知

75歳以上の要介護状態の原因

5 4

出典:平成19年国民生活基礎調査

しゅく

こうしゅく

要介護状態の原因と低栄養の関係

●食事や入浴、排せつなどの自立度が低くなる

●転倒・骨折をしやすくなる

●「自分は健康だ」と思えなくなる

閉じこもりや意欲の低下

要介護状態への移行

入院日数の長期化

余命の短縮75

ろう

ねんしょう

ぐん

こう

脳血管疾患18.2%

高齢による衰弱16.7%

認知症16.0%

間接疾患

12.4%

骨折転倒10.4%

脊髄せきずい

損そん

傷しょう

2.3%

パーキンソン病2.5%

その他21.5%

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メンタルヘルス 身体活動・生活活動の自立 社会支援

身 体 状 況入院・薬剤食 習 慣 ◆まず、あなたにあてはまる番号にチェック□を入れてください。

あてはまる番号がある場合は、低栄養の傾向があります。

番号に従って7〜9ページを参照したうえで、医師や保健

師、管理栄養士などの専門職に相談し、栄養指導や生活上

のアドバイスを受けましょう。

低栄養をチェックしてみましょう

知っておこう3

歯や口腔

こうくう

、飲み込みの問題がありますか。

最近、入院・手術などを経験しましたか。

1日に5種類以上の薬を飲んでいますか。

毎日、ひとりで食事をしていますか。

日常的に体を動かさなくなってきましたか。

食べるのが楽しいと

感じなくなってきましたか。

食べる気力がなくなってきましたか。

牛乳・乳製品をあまり食べないですか。

主菜(肉、魚などのおかず)を食べる量が

少なくなってきていますか。

主食(ご飯など)を食べる量が

少なくなってきていますか。

1日に食べるのは2食以下ですか。

この6か月間に、以前に比べて体重が

減少(5%以上がめやす)してきていますか。

この6か月間に、以前に比べて筋力が落ちてき

ていますか。

便秘が続いていますか。

下痢が続いたり、下剤を常用していますか。

自分で食事の用意をするのに

不自由を感じますか。

自分で食べ物を買いに行くのに

不自由を感じますか。

食事姿勢や食べる動作に

不自由を感じていますか。

経済的な理由により十分な食事をすることが

できないことがありますか。

11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1

1213141516171819

6

8ページを参照

9ページを参照

7ページを参照

4 235 ◆あなたは何番にチェック□が入りましたか?

番号ごとに「どんな心配があるのか」「どうすればよいか」を解説します。

1

こんな心配があります

こんな対策をとりましょう

7

にあてはまる人にあてはまる人にあてはまる人にあてはまる人にあてはまる人

エネルギー摂取量の減少、消化吸収効率の低下、あるいは消費エ

ネルギー量の増大(消費エネルギーは疾患が原因で増えることも

あります)などが考えられます。6か月は一応のめやすです。

エネルギー、タンパク質を通常よりも十分にとり、定期的(最低

でも月に1回)に体重測定をしましょう。

タンパク質・エネルギー摂取量の減少、運動量の減少などが考え

られます。

エネルギー、タンパク質を通常よりも十分にとり、身体状況に

あわせた筋力トレーニングをしましょう。

食物摂取が十分にできなくなり、低栄養になる可能性があります。

歯科医師の診察を受け、専門職の指導のもとで歯科・口腔内の

ケアを行いましょう。

下痢により、脱水、タンパク質・エネルギーの摂取不足におちい

り、栄養不良が急速に進行している可能性があります。

消化管機能の低下により消化吸収効率が低下し、タンパク質・エ

ネルギー不足におちいっていることが考えられます。

下痢が続いている場合は、医師に相談してください。

便秘の改善のためには、運動不足を解消し、水や食物繊維を十

分に摂取して、生活リズムを改善してください。

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こんな心配があります

こんな対策をとりましょう

11 10 9 8 7 61213141516171819

※ヘルスアセスメントマニュアル~生活習慣病・要介護状態予防のために~(監修:ヘルスアセスメント検討委員会)をもとに改変

9 8

にあてはまる人 にあてはまる人にあてはまる人にあてはまる人 にあてはまる人 にあてはまる人にあてはまる人 にあてはまる人 にあてはまる人 にあてはまる人にあてはまる人 にあてはまる人 にあてはまる人 にあてはまる人

ひとりで食事する人は、気づかないうちに食事摂取量が低下して、

低栄養におちいりやすくなります。

日常の身体活動の低下はエネルギー代謝、筋力の低下などを生じ

て身体機能を低下させるばかりでなく、食欲低下などから低栄養

におちいりやすくなります。

食事姿勢や食事動作、食事関連器具が不適切なために、食欲が低

下したり、摂取量が不十分になる場合があります。

食欲があっても、買い物のための外出が困難なために栄養状態の

低下につながっていることがあります。

食欲があっても、食事の支度が困難なために栄養状態の低下につ

ながっていることがあります。

意欲の低下は、食事摂取量の低下だけではなく、自律神経系や内

分泌系にも影響を及ぼし、消化吸収率の低下などをきたすと考え

られています。

抑うつ的な状態が認められる場合は、栄養摂取への影響を考慮す

る必要があります。

極端な貧困状態でなくても、経済状態が理由で食事摂取量が低下

することがあります。

入院や手術にともなう生理的なストレスや、絶食などにより、血

清アルブミン値が低下していることが考えられます。

高齢者は1回に食べられる量が少なくなってきているので、食事

回数が減ると1日の栄養・エネルギーの必要量が満たせなくなり、

低栄養をきたす危険があります。

主食摂取量の低下は、エネルギーやタンパク質不足の原因となり

ます。1週間続けて通常の80%以下しか摂取できないときには、

低栄養におちいりやすいので注意しましょう。

主菜摂取量の低下は、タンパク質やエネルギー不足の原因となり

ます。1週間続けて通常の80%以下しか摂取できないときには、

低栄養におちいりやすいので注意しましょう。

牛乳・乳製品は良質なタンパク質の供給源なので、その摂取不足

は低栄養の原因となります。

牛乳・乳製品を積極的にとりましょう。乳糖不耐症(牛乳を飲

むと腹痛や下痢を起こす人)のある場合は、スキムミルク、ア

イスクリーム、ケーキなどの菓子や、大豆製品などを利用しま

す。

食事回数を増やしたり、「好きなものを、食べたいときに、好

きなだけ」食べるようにしてみましょう。少量でタンパク質や

エネルギーを補給できる栄養補助食品も活用してみましょう。

1日3食を基本に、一度に食べられない場合は少量ずつ何回か

に分けて、十分な食事量をとるようにしましょう。それでも十

分にとれない場合は、栄養補助食品の利用も有効です。

食事回数を増やしたり、「好きなものを、食べたいときに、好

きなだけ」食べるようにしてみましょう。少量でエネルギーや

タンパク質を補給できる栄養補助食品も活用してみましょう。

定期的に多種の服薬をしていると、栄養素と薬剤、薬剤と薬剤の

相互関係によって、栄養素の吸収率が低下したり、吐き気や口の

かわき、便秘、下痢などが起こります。そのために、栄養状態が

悪いことが多くなります。

退院後、体重減少や食事量の減少が続く場合は、入院・手術を

行った医師に報告して、専門職による栄養指導を検討しましょ

う。

医師に相談し、病状等に十分配慮した、専門職による栄養指導

を受けることを検討しましょう。

抑うつ的な状態が続く場合は、心療内科や精神科など、心の専

門医に早めに相談してください。

友人との外食の機会を増やしたり、趣味やボランティア活動に

参加してみましょう。意欲の低下が続く場合は、心療内科や精

神科など、心の専門医に早めに相談してください。

保健福祉サービス、介護サービス、地域ボランティアや民間の

宅配サービスなどの利用を検討しましょう。

保健福祉サービス、介護サービス、地域ボランティアや民間の

宅配サービスなどの利用を検討しましょう。

積極的に体を動かすとともに、ストレッチやウォーキング、筋

力トレーニングなど運動習慣をつくるようにしましょう。

食事姿勢の改善や、食事の自立を支援するための食器、机、イ

スなどの改善、食事動作を向上させる機能訓練などについて、

専門職に相談してください。

食事の量や回数を意識して増やすようにしてみましょう。また、

友人との外食の機会を増やす、趣味やボランティア活動に参加

することも、低栄養の予防に有効です。

市町村窓口や民生委員、ソーシャルワーカーなどに相談してみ

ましょう。

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中年期以降、生活習慣病を予防するために、食生活で「食

事量をひかえめにする」「動物性タンパク質をひかえめにす

る」ことを心がけてきた人も多いことでしょう。しかし特に

高齢者の場合、加齢にともない食事量が低下していくことも

あり、今までの食生活を続けていると、必要な栄養素がとれ

なくなってしまうことがあります。

身体機能を維持するためにも、70歳頃からはタンパク質・

エネルギーを効率的にとることに重点を置いた食生活へと切

り替えていきましょう(腎臓障害などがある場合を除く)。

すでに高血圧症、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病が

ある人でも、体重減少や血清アルブミン値の低下などがあり

低栄養のリスクが高い場合には、まず低栄養の予防・改善を

優先してください。

高齢期からはこんな食生活にしましょう

1

今までの常識から

頭を切り替えよう

やってみよう

アイスクリームやプリン、プロセスチーズなどは、食欲がないと

きでも食べやすく、少ない分量でもタンパク質やエネルギーが比較

的多くとれる食品です。10時のおやつ、3時のおやつ(間食・補食)

でとるのも良い方法です。

間食を上手にとり入れよう

【肉・魚介類】肉と魚は1:1をめやすに

【乳製品】牛乳1日コップ1杯を習慣に

【卵】1日1個をめやすに

【大豆製品】動物性と両方をバランス良く

低栄養を予防するためには、植物性タンパク質だけでなく、

体内での利用効率がより高い動物性タンパク質の摂取が不可欠

です。

植物性タンパク質

動物性タンパク質

低栄養を予防・改善するためには、

食生活のこんなところに気をつけましょう。

低栄養を防ぐ食生活のポイント

食べたいものを食べたいときに

栄養補助食品を上手に利用しましょう

11 10

タンパク質が豊富な食品を積極的に!

食欲がないときには、自分の好物を、好きなときに、好きなだけとる。

食欲がないときなどに、少量で効率良くタンパク質やエネルギーの補給ができます。

ビタミン・ミネラル類もしっかりとりましょう小松菜、ピーマン、いちご、ほうれん草、ナッツ類、海藻類などをとろう。

食欲を増進するくふうを

運動や趣味、社会参加など、活動的に行動することが大切。

主食(ごはんを中心に、麺やパン)、主菜(肉、魚など)をきちんととろう。

主食・主菜をしっかりとりましょう

間食には乳製品、チーズケーキ、プリンなどタンパク質食品をとろう。

タンパク質が不足しないように

☆上記の内容は「低栄養予防ハンドブック」(監修:東京都老人総合研究所 熊谷修 企画・発行:地域ケア政策ネットワーク)などを参考に作成しています。

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やってみよう

高齢者が食事をとりにくくなる大きな原因は、実は口の

中にあることをご存じですか。

年をとると、かむ力が少しずつ衰えてきます。よくかん

で食べることができないと、食事の量や消化吸収率が低下

するため、低栄養の危険性が高くなります。

かみにくくなる原因としては、

●歯が抜けたり欠けたりしている

●かみあわせが悪い

●義歯(入れ歯)があっていない

●あごの関節に痛みがある

●虫歯や口内炎などの痛みがある

などが考えられます。

適切なケアを受ければかむ力は改善されますので、「食べ

にくくなった」と感じたら歯科医師などに相談してください。

かむ力を取り戻しましょう

2

かめない原因を確かめよう

老化にともない、だ液の量が減ってくると、口の中の自浄作

用が弱まります。口の中の粘膜も傷つきやすくなり、細菌感染

をおこして口内炎などになりやすくなります。

毎食後歯をきちんとみがき、口の中をいつも清潔にしておく

ことが大切です。

13 12

じょう

口の中の健康を保とう

●夜、寝る前は特にていねいに

●入れ歯の手入れも忘れずに

●半年に1度は歯科医師のチェックを

食べ物をしっかりかんで飲み

込むためには、舌・ほお、唇、そ

れぞれの筋肉が十分に動くこ

と、またこれら3つの部分が協

調して働くことが必要です。こ

こでは、そのための体操を紹介

します。毎日行って、かむ力を

鍛えましょう。

「食べ物をかむ力」を

つける体操

唇の運動

●唇を思い切り「ウーッ」と、とがらせ、次に「イーッ」と開きます。これを5回ぐらい繰り返します。

ほおの運動

●口を閉じたまま、ほおを膨らませたり、すぼめたりしましょう。

舌の運動

●口を大きく開けて、舌を出したりひっこめたりしましょう。●舌を出して上下、左右に動かしてみましょう。

ほお・唇・舌トータルの運動

●口を閉じて、口の中で舌を上下、左右に動かしてみましょう。(唇やほおを舌で押し出すように)。

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15 14

やってみよう

高齢になると、水分や食べ物を

飲み込む力(嚥下機能)が衰えて

きます。これは、飲み込みに必要

な筋肉の収縮力や、のどの反射の

機能が低下するからです。

すると、食べ物などが食道では

なく、誤って気管から肺に入って

しまう誤嚥が起こりやすくなりま

す。誤嚥が重なると、肺の中で細

菌感染を起こしたり(誤嚥性肺

炎)、呼吸困難におちいったりする

危険があるので気をつけなければ

なりません。

飲み込む力が弱くなってきたときは

3

低栄養のほか肺炎の危険も

飲み込む力が低下して、嚥下障害を起こしている人の場

合、その機能のレベルによって適切な食品や形状、量などが

異なりますので、医師や管理栄養士の指示をあおぐことが

大切です。

飲み込む力に応じた食事を

●食事中にむせることが多くなった…………………………□●口の中に食べたものが残る…………………………………□●お茶が飲みにくくなった……………………………………□●錠剤が飲みにくくなった……………………………………□●のどの奥に食べたものが残っている感じがする…………□

チェックしてみましょうひとつでも該当する場合は、飲み込む力が弱くなっている可能性があります。医師や専門職に相談してみましょう。

※細かく刻んだ食事は口の中でばらばらになり、誤嚥を起こ

しやすいので注意が必要です。

※ミキサー食に混ぜるだけでとろみを調整したり、ゼリー状

にできる調整食品も市販されています。

軟 食

ミキサー食

とろみ食

ゼリー食

3分粥、5分粥、7分粥、全粥など。

副食は主食の状態にあわせたやわらかいもの。

ご飯やおかずをミキサーにかけて食べやすくした食事。

ミキサー食に、でんぷんやくず粉でとろみをつけた食事。

ゼラチンなどでミキサー食を固めた食事。

えん

えん

えん

えん

せい

はい

やってみよう

高齢期は脱水症状になりやすいので、意識的に水分をと

るようにしましょう。

一般的に1日に必要な水分量は、2200〜2400

(食事から1000

、飲み物から1200〜1400

と考えられます。一食抜くと約500

の水分が不足する

ことになるので、食事をしっかりとり、水分補給すること

が大切です。

運動するとき、また特別に体は動かさなくても、夏場や、

初夏・初秋の蒸し暑い日などは特に注意が必要です。

水分をよくとることは、血栓を予防し、脳梗塞や心筋梗

塞の予防にも効果があります。ただし、腎機能の低下など

で排泄障害により、むくみなどが起こる場合もありますの

で、体調管理には留意してください。

脱水症状予防のため水分を十分にとりましょう

4

意識的に

水分をとることが必要

こんな人は特に意識して

水分補給を

●頻尿、尿失禁などが気になって水分を控えがち

●口が渇く、口のまわりがカサカサする

●尿の量が少ない

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17 16

やってみよう

低栄養を予防するためには、食習慣以外の生活習慣を見

直すことも必要です。中でも運動習慣は、低栄養予防と密

接な関わりがあります。

運動習慣で相乗効果が期待できます

5

運動と食生活改善は

セットで行おう

やってみよう

社会参加の機会を増やしましょう

6

活動的な人ほど

栄養状態が良い

趣味や生きがいを持とう

低栄養を予防する日常生活のポイント

1日1回は外出しよう

ボランティア活動をしてみよう

地域に知り合いを増やそう

世の中の動きやニュースに関心を持とう

1日10分程度の運動を1日2~3回行うのが理想

栄養状態と身体機能がともに高まり、老化を遅らせることができる

●食欲が増進する

●食物摂取量の低下が防げる

●体力や筋力がアップする

低栄養を防ぐためには、筋肉量を低下させないこと、少しで

も筋肉を増大させることが大切です。そのためには、筋力トレ

ーニングが効果的。最近の研究から、どんなに年をとっていて

もトレーニングを行うことで、筋肉・骨の力やバランスをとる

力が向上することが明らかになっています。 ストレッチ

買い物や家事など

ウォーキング

スイミング

筋力トレーニングも効果的

適度に運動すると

趣味やけいこ事を行っている人や、社会的な役割や交流

の機会を持っている人ほど、栄養状態が良いことがわかっ

ています。張りのある生活によって、日常生活の活動量が

自然に増えること、気分がリフレッシュされて食欲が増進

することなどが、低栄養予防に役立っていると考えられま

す。好

きなこと、やってみたかったことにどんどんチャレン

ジしてみましょう。栄養状態もおのずとよくなっていくは

ずです。

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この冊子は環境に配慮し、古紙配合率100%の再生紙 及び大豆インキを使用しています

平成22年度から健康診査を充実します

 後期高齢者医療制度の被保険者を対象に、奈良県後期高齢者医療広域連合がお住まいの市町村に委託して、年1回の健康診査を実施します。  疾病の早期発見や重症化予防のため、健康診査を受診しましょう。

後期高齢者健康診査のご案内

健康診査の実施時期などについては、お住まいの市町村ごとに異なります。

 詳しくは平成22年5・6月ごろに、 お住まいの市町村広報誌などにより、

お知らせします。

●クレアチニン検査を健康診査の検査項目に追加します。 クレアチニン検査は、血中のクレアチニンを調べるものです。血中のクレアチニンの値によって腎臓の機能が正常かどうか、腎機能障害の有無を確認することができる有効な検査のため、検査項目に追加することにしました。

●健康診査受診券を郵送する予定です。 被保険者のみなさまに健康診査を受診していただきやすくするため、対象者の方に受診券を郵送することを予定しております。 (※集団健診を実施する市町村では、配布方法が異なる場合があります。)