三菱電機 ai技術 取...

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安心・安全・快適な社会の実現に貢献する 三菱電機AI技術AI*技術とは、 「識別・理解」、 「診断」、 「予測・推論」、 「計画」、 「最適化」といった人間の知的活動をコンピューターで実現する 技術です。2010年頃から「ディープラーニング(深層学習)」という機械学習の手法が発展し、AI技術が急速に注目を集めるよう になりました。ディープラーニングとは、多くのデータから特徴的要素を抽出し、データに潜むルールをコンピューターが学習 するものです。この学習したルールを用いることで、新たに与えられたデータに対しても効率的かつ最適な予測・推論等を 行えるようになりました。 AI技術は、社会の様々な課題解決や新たな付加価値を提供することができる技術として、製造業、農業、金融、医療、教育等、 幅広い業種・分野における活用が期待されています。 *AI:ArtificialIntelligence 三菱電機のAI技術ブランドと今後の展開 三菱電機は、AI技術ブランド「Maisart (マイサート)」を制定。当社AI技術の認知度の向上を図るとともに、搭載機器の事業展開 を加速していきます。総合電機メーカーとして多数の機器を保有する強みを生かして、このAI技術を機器・エッジに適用し、 更なる価値を創出することでより安心・安全・快適な社会の実現に貢献してまいります。 音声分離・再現のイメージ図 ロボットの知能化 1. ロボットの目となって自律的に物を認識するビジョンセンサー と、人のように力を感じながら、ロボットを柔らかく動かす 力覚制御動作をAIにより自動最適化。通常のロボットでは 困難であった、工場で扱われる多種多様な部品の認識や 部品の組み付け作業に適用し、生産ラインの効率化に貢献。 カメラ映像の自動解析 2. 少し先の体感温度を予測するルームエアコン 3. AIを活用した世界初 の赤外線センサー「ムーブアイ mirA.I. (ミライ) 」により、少し先の体感温度を予測し、 「先読み運転」を行うことで暑い・寒いと感じる体感温度変化 を減らし、快適性と省エネ性を向上。 高精度3次元地図の自動作成・更新 4. 三菱モービルマッピングシステム *1 が収集した情報から、 地図作成に必要な情報を自動的に抽出・認識するとともに、 過去情報との変更箇所を判別。高精度3次元地図 *2 を正確 かつ短期間で作成することに加え、更新作業を高速化し、自動 運転に不可欠なダイナミックマップ *3 の早期整備に貢献。 複数話者の音声分離・再現 5. マイク1本で録音した2者及び3者の同時音声を、世界 で初めて 分離し、きれいに再現することに成功。自動車・ 家庭・エレベーター等における音声認識システムにおいて、 音声通話の品質改善や音声認識の性能向上に貢献。 *2017年5月24日現在(当社調べ) 様々な形状の バラ積み部品 部品の形状・つかむ位置を認識 力を感じながら組立 収集した地図情報 三菱ルームエアコン 「霧ケ峰 FZシリーズ」 高度なセンシング技術と予測に基づく 先読み運転で快適性向上 高精度3次元地図 三菱電機のAI技術の特長 三菱電機のAI技術適用事例 IoTの進展により機器から多くのデータを取得する環境が整ったことで、AI技術が実用段階に入っています。一般的には、 機器から取得したデータはクラウドサーバーに集約して、ディープラーニングなどで活用します。しかし、クラウドサーバー上 でディープラーニングなどを行う場合、クラウドサーバーやネットワークの設備設置によるコスト上昇に加え、機密情報 のアップロードに対するセキュリティー対策やネットワーク遅延・障害への対策が必要になります。このため、クラウドサーバー ではなく、機器に搭載可能なAIが求められていました。 このような課題に対し、当社は、ディープラーニングの演算量を削減することにより、AIを容易に車載機器やFA機器等の 組み込み機器に搭載できる「コンパクトな人工知能」を開発しました。これにより、従来大規模サーバーが必要であった高度 な推論処理などを、機器やエッジ で実現することが可能となります。 * エッジ:機器で収集したデータを一次処理し、 ITシステムとシームレスに連携する、又は機器で収集したデータをリアルタイムに分析・処理するためのコンピューター。 AI (人工知能)技術とは *2017年11月1日現在。家庭用エアコンにおいて(当社調べ)。部屋の中を360°センシングして、外気温と日射熱影響から、少し先の体感温度を予測する技術 *1 GPSアンテナ・レーザースキャナー・カメラ等の機器を車両に搭載し、走行しながら道路や周辺の建物等の3次元位置情報を高精度(絶対精度10cm以内)に収集する装置 *2 ダイナミックマップの基盤となる路面情報・車線情報等の静的情報を持つ地図 *3 信号情報や周辺の車両情報等、動的情報を持つ地図 人工知能の 搭載場所・推論処理方法 処理速度 設備コスト セキュリティーレベル 自動車における自動運転支援、 ドライバーモニタリングの事例 FA機器における故障診断、 予防保全、自律制御の事例 カメラシステムにおける 人物属性認識、人物行動認識の事例 サーバーを経由するためネット ワー ク の 遅 延・切 断 等 に より、 推論処理に時間がかかる 大規模サーバー・ネットワークの 設置に多大なコストがかかる 人物属性等の機密情報をサーバーに アップロードするため、サーバー側の セキュリティー対策を講じる必要がある ネットワークに依存せず、車載機器 で推論処理し、リアルタイムな 制御を実現 シーケンサーやロボットで推論 処理が可能であり、大規模サーバー ネットワークの削減を実現 カメラシステムで推論処理が可能 であり、高いセキュリティーを 実現 クラウドコンピューティング エッジコンピューティング サーバー サーバー サーバー AI AI AI サーバー 不要 高度な 推論 様々な データ サーバー 身の回りの機器 人工知能 (AI) AI コンパクトな 人工知能 AI AIで認識・最適化 3次元ビジョンセンサー 力覚センサー ふらつき検知 ヒト属性検知 置き忘れ検知 カメラ映像を解析し、特定の「ヒト・モノ・コト」をリアル タイムかつ自動的に検知して通知。これまで人が見ている だけでは気づかなかったことへの対応 *1 や未来予測 *2 支援を実現。 *1 弱者サポート、混雑状況把握、事故状況把握など *2 マーケティング用データ収集、故障・危険予測、ヒトの流れ分析など 映像解析ソリューション 自動 生成 三菱電機株式会社 株主通信2017 三菱電機株式会社 株主通信2017 5 6

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安心・安全・快適な社会の実現に貢献する特 集

三菱電機のAI技術の取り組み

 AI*技術とは、「識別・理解」、「診断」、「予測・推論」、「計画」、「最適化」といった人間の知的活動をコンピューターで実現する�技術です。2010年頃から「ディープラーニング(深層学習)」という機械学習の手法が発展し、AI技術が急速に注目を集めるよう�になりました。ディープラーニングとは、多くのデータから特徴的要素を抽出し、データに潜むルールをコンピューターが学習�するものです。この学習したルールを用いることで、新たに与えられたデータに対しても効率的かつ最適な予測・推論等を�行えるようになりました。 AI技術は、社会の様々な課題解決や新たな付加価値を提供することができる技術として、製造業、農業、金融、医療、教育等、幅広い業種・分野における活用が期待されています。*�AI�:�Artificial�Intelligence

三菱電機のAI技術ブランドと今後の展開 三菱電機は、AI技術ブランド「Maisart(マイサート)」を制定。当社AI技術の認知度の向上を図るとともに、搭載機器の事業展開 を加速していきます。総合電機メーカーとして多数の機器を保有する強みを生かして、このAI技術を機器・エッジに適用し、 更なる価値を創出することでより安心・安全・快適な社会の実現に貢献してまいります。

音声分離・再現のイメージ図

ロボットの知能化1.  ロボットの目となって自律的に物を認識するビジョンセンサー�と、人のように力を感じながら、ロボットを柔らかく動かす�力覚制御動作をAIにより自動最適化。通常のロボットでは�困難であった、工場で扱われる多種多様な部品の認識や�部品の組み付け作業に適用し、生産ラインの効率化に貢献。

カメラ映像の自動解析2.

少し先の体感温度を予測するルームエアコン3.  AIを活用した世界初*の赤外線センサー「ムーブアイmirA.I.(ミライ)」により、少し先の体感温度を予測し、�「先読み運転」を行うことで暑い・寒いと感じる体感温度変化�を減らし、快適性と省エネ性を向上。

高精度3次元地図の自動作成・更新4.  三菱モービルマッピングシステム*1が収集した情報から、地図作成に必要な情報を自動的に抽出・認識するとともに、過去情報との変更箇所を判別。高精度3次元地図*2を正確かつ短期間で作成することに加え、更新作業を高速化し、自動運転に不可欠なダイナミックマップ*3の早期整備に貢献。

複数話者の音声分離・再現5.  マイク1本で録音した2者及び3者の同時音声を、世界で初めて*分離し、きれいに再現することに成功。自動車・家庭・エレベーター等における音声認識システムにおいて、�音声通話の品質改善や音声認識の性能向上に貢献。*2017年5月24日現在(当社調べ)

様々な形状のバラ積み部品

部品の形状・つかむ位置を認識

力を感じながら組立

収集した地図情報

三菱ルームエアコン「霧ケ峰 FZシリーズ」

高度なセンシング技術と予測に基づく先読み運転で快適性向上

高精度3次元地図

三菱電機のAI技術の特長

三菱電機のAI技術適用事例

 IoTの進展により機器から多くのデータを取得する環境が整ったことで、AI技術が実用段階に入っています。一般的には、�機器から取得したデータはクラウドサーバーに集約して、ディープラーニングなどで活用します。しかし、クラウドサーバー上�でディープラーニングなどを行う場合、クラウドサーバーやネットワークの設備設置によるコスト上昇に加え、機密情報�のアップロードに対するセキュリティー対策やネットワーク遅延・障害への対策が必要になります。このため、クラウドサーバー�ではなく、機器に搭載可能なAIが求められていました。 このような課題に対し、当社は、ディープラーニングの演算量を削減することにより、AIを容易に車載機器やFA機器等の組み込み機器に搭載できる「コンパクトな人工知能」を開発しました。これにより、従来大規模サーバーが必要であった高度な推論処理などを、機器やエッジ*で実現することが可能となります。*�エッジ:機器で収集したデータを一次処理し、ITシステムとシームレスに連携する、又は機器で収集したデータをリアルタイムに分析・処理するためのコンピューター。

AI(人工知能)技術とは

*2017年11月1日現在。家庭用エアコンにおいて(当社調べ)。部屋の中を360°センシングして、外気温と日射熱影響から、少し先の体感温度を予測する技術

*1 GPSアンテナ・レーザースキャナー・カメラ等の機器を車両に搭載し、走行しながら道路や周辺の建物等の3次元位置情報を高精度(絶対精度10cm以内)に収集する装置*2 ダイナミックマップの基盤となる路面情報・車線情報等の静的情報を持つ地図 *3 信号情報や周辺の車両情報等、動的情報を持つ地図

人工知能の搭載場所・推論処理方法

処理速度 設備コスト セキュリティーレベル自動車における自動運転支援、ドライバーモニタリングの事例

FA機器における故障診断、予防保全、自律制御の事例

カメラシステムにおける人物属性認識、人物行動認識の事例

従来

サーバーを経由するためネットワークの遅延・切断等により、 推論処理に時間がかかる

大規模サーバー・ネットワークの設置に多大なコストがかかる

人物属性等の機密情報をサーバーにアップロードするため、サーバー側の セキュリティー対策を講じる必要がある

三菱電機のAI

ネットワークに依存せず、車載機器�で推論処理し、リアルタイムな�制御を実現

シーケンサーやロボットで推論�処理が可能であり、大規模サーバー�・�ネットワークの削減を実現

カメラシステムで推論処理が可能�であり、高いセキュリティーを�実現

クラウドコンピューティング

エッジコンピューティング

サーバー サーバー サーバー

AI

AI AI

サーバー不要

高度な推論

様々なデータ

サーバー

身の回りの機器

人工知能(AI)

AI

コンパクトな人工知能

AI

AIで認識・最適化

3次元ビジョンセンサー

力覚センサー

ふらつき検知ヒト属性検知 置き忘れ検知

 カメラ映像を解析し、特定の「ヒト・モノ・コト」をリアルタイムかつ自動的に検知して通知。これまで人が見ているだけでは気づかなかったことへの対応*1や未来予測*2の支援を実現。*1 弱者サポート、混雑状況把握、事故状況把握など*2 マーケティング用データ収集、故障・危険予測、ヒトの流れ分析など

映像解析ソリューション

自動生成

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