財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2...

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財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について 令和元年5月 財務省 当資料は、平成30年~平成31年に開催された 全国財務局長会議における管内経済情勢報告で 使用した資料を基に作成したものです。

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Page 1: 財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2 財務局調査による「労働生産性向上の取組」について~はじめに(労働生産性)~

財務局調査による「労働生産性向上の取組」について

令和元年5月

財務省 当資料は、平成30年~平成31年に開催された

全国財務局長会議における管内経済情勢報告で

使用した資料を基に作成したものです。

Page 2: 財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2 財務局調査による「労働生産性向上の取組」について~はじめに(労働生産性)~

財務局調査による「労働生産性向上の取組」について目 次

Ⅰ はじめに

Ⅱ 海外需要の取り込みの動向

調査の結果

企業における特徴的な取組

・・・ 1

・・・ 4

・・・ 5

・・・ 9

Ⅲ 先端技術(IoT、AI等)の活用状況

調査の結果

企業における特徴的な取組等

・・・ 17

・・・ 18

・・・ 21

Ⅳ 従業員の処遇改善・働き方改革

調査の結果

企業における特徴的な取組

・・・ 31

・・・ 32

・・・ 37

Page 3: 財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2 財務局調査による「労働生産性向上の取組」について~はじめに(労働生産性)~

Ⅰ はじめに

1

(参考) 財務局等の管轄区域

Page 4: 財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2 財務局調査による「労働生産性向上の取組」について~はじめに(労働生産性)~

2

財務局調査による「労働生産性向上の取組」について ~はじめに(労働生産性)~

○ 人口減少・少子高齢化が進む中で、雇用の増加や賃金上昇を消費や投資の増加につなげていく「経済の好循環」を拡大していくためには、企業の「労働生産性の向上」が不可欠。

○ 企業においては、「①アウトプット(付加価値額)の増加」と「②インプット(労働投入量)の改善」という2つの経路を通じて、労働生産性の向上を図っており、本調査では、①の方策としての「(新規市場の開拓等を通じた)海外需要の取り込み」、②の方策としての「従業員の処遇改善・働き方改革」、①・②両方の方策としての「先端技術(IoT、AI等)の活用」について、企業等に対しヒアリングを実施。

(1)労働生産性の向上に当たり、より重視している点

労働生産性 =アウトプット(付加価値額)

インプット(労働投入量)

①アウトプットの増加

②インプットの改善

労働生産性の向上

回答社数:1,261社(未回答53社除く)

インプット

(労働投入量)の改善

61.7%、778社

アウトプット

(付加価値額)の増加

31.3%、395社

アウトプット/インプットの関係で

労働生産性を捉えていない

7.0%、88社

6.6%、26社

17.5%、69社

10.4%、41社

49.1%、194社

46.8%、185社

39.2%、155社

0% 20% 40% 60%

その他

組織改革

新技術導入

付加価値の付与

設備投資を通じた

製品等販売量増加

新規市場開拓等

(2)労働生産性の向上に向けた取組・成果

「インプット(労働投入量)の改善」を重視

<取組(最大2項目選択) > <取組(最大2項目選択)>

「アウトプット(付加価値額)の増加」を重視

1.5%、12社

9.8%、76社

5.1%、40社

14.3%、111社

40.9%、318社

5.3%、41社

57.5%、447社

9.6%、75社

33.8%、263社

0% 20% 40% 60%

その他

組織改革

新技術導入

社員教育充実

働き方改革

アウトソーシング

業務プロセス見直し

ICT推進

自動化・機械化

労働生産性

(新規市場の開拓等を通じた)海外需要の取り込み 等

従業員の処遇改善・働き方改革 等((例)人材育成(注)、テレワーク制度の導入、時間外労働の上限規制)

先端技術(IoT、AI等)の活用 等

<参考>企業の労働生産性の動向

(出典)財務省「財務局調査による『賃金等の動向』について」(平成30年4月24日)

従業員のモチベーション向上(注)イノベーション(技術革新)を通じたアウトプットの増加にも寄与。(参照)(公財)日本生産性本部「労働生産性の国際比較 2018年度版」

労働者がどれだけ効率的に成果を生み出したかを定量的に数値化したものであり、労働者の能力向上や効率改善に向けた努力、経営効率の改善などによって向上する。

・・・

Page 5: 財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2 財務局調査による「労働生産性向上の取組」について~はじめに(労働生産性)~

財務局調査による「労働生産性向上の取組」について ~はじめに(各調査の趣旨、結果(概要))~

<調査の趣旨>

○ 人口減少・少子高齢化が進む中、経済の好循環を拡大していくためには、企業に対し、先端技術(IoT、AI等)の活用による技術革新を通じた収益の更なる向上が期待される中、企業における「先端技術の活用状況」について調査を実施。

<調査結果(概要)>

○ 先端技術を「活用済」と回答した企業の割合は、「クラウド」や「ロボット」で4割弱となっている一方、「AI」では1割程度にとどまっている。(何らかの先端技術を活用済の企業は、全体の3分の2程度。)

○ 「活用済の先端技術」について、「業務効率の向上」や「コストの削減」を活用目的として挙げる企業が多い中、ほとんどの企業(9割超)が「成果有」と回答。

○ 「活用したくてもできない先端技術」について、活用できない理由を確認したところ、「人材(IT技術者等)の不足」や「費用対効果が低い」と回答した企業の割合が高い。

<調査の趣旨>

○ 企業においては、高水準の企業収益を、賃金の引上げや処遇の改善により従業員へ還元することで、働きがいを高めるとともに、経済の好循環の拡大につなげていくことが期待される中、賃金の引上げや処遇改善、働き方改革の動向について調査を実施。

<調査結果(概要)>

○ 各企業が(賃金引上げに並行して)、「長時間労働の是正(時間外労働の上限規制等)」や「処遇改善(福利厚生の充実等)」につながる取組を行っており、大多数の企業において「離職率の低下」や「時間外労働の減少」など何らかの効果がみられている。

○ 長時間労働の是正に伴い、企業にとっては時間外手当等の費用の減少につながることが考えられる中、費用の減少分を、賃金引上げ等により「従業員に還元した」企業は全体の3分の1強となったほか、省力化投資等により「人件費以外の業務等に活用した」企業も4分の1強となった一方、現時点で「コストの減少につながっていない」と回答した企業も一定数みられた。

<調査の趣旨>

○ 企業においては、海外需要を積極的に取り込むことで、企業収益の更なる拡大につなげるとともに、その成果を国内に還流させ、投資や賃金の引上げ等につなげるなど、経済の好循環の拡大に向けた取組が期待される中、リーマンショック(2008年9月)後における、企業の「海外需要の取り込みの動向」について調査を実施。

<調査結果(概要)>

○ 新規市場の開拓により得られた利益について、多数の企業(約7割)が、国内へ積極的に還元(活用)している姿がうかがえ、(設備投資、M&A、新製品等の研究・開発を通じた)企業活動の拡大や、(従業員・株主への還元を通じた)個人消費等の拡大が期待される。

○ 海外での生産拠点について、ほとんどの企業(約9割)が「新設・拡充した」と回答する中、国内での生産拠点についても、ほとんどの企業(約9割)が「新設・拡充」または「同程度の規模を維持」と回答しており、国内での生産活動等を拡充・維持しつつ、海外での生産活動等を拡充している姿がうかがえる。

○ 多数の企業(約8割)が「海外市場の成長(訪日外国人の増加を含む)」を背景に、海外需要を取り込んだと回答する中、多数の企業(約7割)が「売上高の増加等を通じて、営業利益が(リーマンショック前と比べ)増加した」と回答しており、海外の成長による恩恵を、「稼ぐ力」の向上を通じて、企業収益の拡大につなげている姿がうかがえる。

3

海外需要の取り込みの動向 (p.4~p.16)

先端技術(IoT、AI等)の活用状況 (p.17~p.30)

従業員の処遇改善・働き方改革 (p.31~p.46)

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Ⅱ 海外需要の取り込みの動向

1.調査期間等

(1)調査期間 :2018年12月上旬~2019年1月中旬

(2)調査対象 : 各財務局が管内経済情勢報告を取りまとめる際に従来から継続的にヒアリングを実施している企業等。全国計988社。

(3)調査方法 : 各財務局においてヒアリング調査を行い、回答を分類。

3.企業規模別及び業種別の回答状況

※ 大企業 : 資本金 10億円以上中堅企業 : 資本金 1億円以上 10億円未満中小企業 : 資本金 1億円未満

408

284

296

988

企業規模 調査対象社数

大企業

中堅企業

中小企業

合計

84

19

4

12

2

43

2

13

22

9

25

18

74

16

30

42

52

15

34

516

3

1

44

2

15 建設業

70 電気業

非製造業

01 農業、林業

08 漁業

39 その他の製造業

37 業務用機械器具製造業

35 電気機械器具製造業

29 情報通信機械器具製造業

小計

30 窯業・土石製品製造業

31 鉄鋼業

32 非鉄金属製造業

36 自動車・同附属品製造業

38 その他の輸送用機械器具製造業

24 パルプ・紙・紙加工品製造業

25 印刷・同関連業

26 化学工業

27 石油製品・石炭製品製造業

調査対象社数

製造業

18 食料品製造業

20 繊維工業

22 木材・木製品製造業

33 金属製品製造業

51 はん用機械器具製造業

34 生産用機械器具製造業

業種

1

10

26

4

8

38

193

19

6

2

55

23

7

9

2

5

1

1

1

3

7

1

472

988

74 広告業

82 純粋持株会社

49 小売業

76 生活関連サービス業

83 その他の学術研究、専門・技術サービス業

80 医療、福祉業

85 教育、学習支援業

79 娯楽業

小計

合計

86 職業紹介・労働者派遣業

89 その他のサービス業

銀行業

69 その他の運輸業

40 卸売業

調査対象社数

71 ガス・熱供給・水道業

60 情報通信業

75 宿泊業

50 飲食サービス業

59 不動産業

77 リース業

73 その他の物品賃貸業

非製造業

業種

61 陸運業

64 水運業2.注意事項

結果数値(%)は小数点第2位を四捨五入しているため、合計が100.0%にならない場合がある。

本調査における「海外需要の取り込み」は、リーマンショック(2008年9月)後において、「① 新たな市場の開拓」または「② 海外での、製品の生産や商品の販売、サービスの提供等の体制の拡充(生産活動等の拡充)」を通じて、直接(現地法人による研究開発・生産等)・間接(海外への輸出、インバウンド需要の取り込み等)問わず、海外の顧客を確保する取組とする。

本調査では、リーマンショック後における、企業の海外需要の取り込みや収益等の状況を調査することから、「リーマンショック後に設立した企業」や「本社以外の支社、支店、工場、営業所等」の場合は、本調査の対象外とする。

4

Page 7: 財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2 財務局調査による「労働生産性向上の取組」について~はじめに(労働生産性)~

【制度の変更の内容】

○ 外国子会社配当益金不算入制度の創設(近畿・大・電気機械 他)

○ 消費税免税制度の改正(関東・大・小売 他)52社9.6%

9社1.7%

16社3.0%

30社5.6%

51社9.5%

125社23.2%

245社45.5%

430社79.8%

その他

制度の変更

人手不足

為替の動向

原材料費等のコストの動向

他社・他業態との競争激化

人口減少等に伴う

国内市場の縮小

海外市場の成長

(訪日外国人の増加を含む)

286社53.0%

93社17.2%

161社29.8%

540社54.7%

17社1.7%

431社43.6%

○ リーマンショック(2008年9月)後、新たに海外需要の取り込みを行っている企業の割合は2分の1超(55%程度)となっており、当該企業に対し、その手段を確認したところ、「①新規市場の開拓」と回答した企業の割合が高い(83%程度(①と③の合計))。

○ 新たに海外需要を取り込んだ背景について、「海外市場の成長」(80%程度)や「人口減少等に伴う国内市場の縮小」(46%程度)と回答した企業の割合が高い。

○ 新たに海外需要の取り込みを行った地域について、「アジア大洋州」を回答した企業の割合(中国:58%程度、中国以外のアジア大洋州:79%程度)が高い中、「米国」(27%程度)や「欧州」(25%程度)も一定数みられる。

(1)海外需要の取り込みの状況

5

財務局調査による「労働生産性向上の取組」について ~海外需要の取り込みの動向①~

回答社数:988社 (2-1)海外需要を取り込んだ背景(複数回答)(注3)

回答社数:539社(未回答1社除く)

(注3)(2-1)、(2-2)について、(1-2)で「①、②両方」と回答した企業においては、より該当する手段における背景等を確認したもの。

(注4)(2-2)について、インバウンド需要を取り込む場合は、対象顧客の国・地域を選択。

(2-2)海外需要の取り込みを行った地域(複数回答)(注3、4)

回答社数:539社(未回答1社除く)

行っている 行っていない

① ① 新規市場の開拓(注1)

② 生産活動等の拡充(注2)

③ ①、②両方

② ③

(注1)これまで輸出を行っていなかった地域や、進出済の地域における新事業への参入のほか、海外における新たな客層(子育て世代、女性、高齢者等)をターゲットとした製品等の販売を含む。また、インバウンド需要の取り込みを含む。

(注2)海外での、製品の生産や商品の販売、サービスの提供等の体制の拡充。海外での委託生産を含む。

【① 新規市場の開拓の内容】 ※下記の他に企業からきかれた声については、p.8に記載。

○ 日本酒の国内市場が縮小していることから、海外需要の取り込みを強化している。(東北・中小・食料品、中国・中小・食料品 他)

○ インバウンド需要を取り込むため、宿泊設備への投資を進めた。(北海道・中小・宿泊、沖縄・中小・宿泊 他)

【② 生産活動等の拡充の内容】

○ 海外で販売・サービス拠点を拡充し、高機能製品の技術サポートや販売を進めた。(東海・大・生産用機械)

【海外需要の取り込みを行っていない理由】

○ リーマンショック前から進出済みである。 (東海・大・自動車、九州・大・生産用機械 他)

○ インバウンドより、まずは地域のニーズに応えることが先決。(中国・中堅・小売 他)

○ 輸送コストを考慮すると、海外市場には進出しづらい。(東北・大・電気機械 他)

○ 現地当局の規制が厳しく、参入が困難。(北陸・中堅・化学 他)

現在は行っていない

【その他の内容】

○ 取引先金融機関からの紹介を受け、輸出を開始。(関東・中小・食料品)

○ 自社製品が好評を博し、海外企業から引き合いがあったため。(四国・中小・生産用機械)

(1-1)

リーマンショック後、

新たに海外需要の

取り込みを行った企業

(1-2)

海外需要の

取り込みの手段

16社3.0%

29社5.4%

49社9.1%

423社78.5%

313社58.1%

136社25.2%

75社13.9%

147社27.3%

アフリカ

中東

南米

中国以外のアジア大洋州

中国

欧州(ロシア含む)

米国以外の北中米

米国

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10社4.0%

14社5.6%

31社12.3%

43社17.1%

81社32.1%

205社81.3%

特段のメリットは

生じなかった

その他

人手の確保

為替リスクの軽減

原材料費等の

コストの削減

売上の増加

○ 新規市場の開拓を通じた取組について、「製品等の開発・生産・販売等」や「製品等の輸出」、「インバウンド需要の取り込み」と回答した企業の割合は同程度となっており(40%~43%程度)、各取組により利益を得られた企業のうち、4分の3程度(71%程度)が、当該利益を国内に還元したと回答。また、還元策として「設備投資の実施」と回答した企業の割合が高く(57%程度)、賃金引上げ等の「従業員への還元」が続いた(31%程度)。

○ 国内外での生産活動等のうち生産拠点について、海外では「新設・拡充した」と回答した企業が9割超となった(93%程度)。また、国内では「新設・拡充した」と回答した企業が2分の1程度(46%程度)となった一方、「縮小・閉鎖した」と回答した企業は1割弱(9%程度)にとどまった。

○ 海外での生産活動等の拡充により生じたメリットが「有」と回答した企業のうち、「売上の増加」と回答した企業の割合が高く(81%程度)、このほか「原材料費等のコストの削減」(32%程度)や「人手の確保」(12%程度)と回答した企業もあった。

6

財務局調査による「労働生産性向上の取組」について ~海外需要の取り込みの動向②~

(3-1)新規市場の開拓を通じた取組(複数回答)回答社数:445社(未回答2社除く)

(3-2)新規市場の開拓により得られた利益の国内への還元(活用)策(複数回答)

回答社数:382社(未回答及び得られた利益が無かった企業65社除く)

(4-1)国内外での生産活動等の拡充の状況 回答社数:252社(未回答2社除く)

海外

国内

(4-2)海外での生産活動等の拡充により生じたメリット(複数回答)

回答社数:252社(未回答2社除く)

何らかのメリット有242社(96.0%)

特段メリット無10社(4.0%)

【還元(活用)策の内容】 ※下記の他に企業からきかれた声については、p.8に記載。

○ 工場棟の増設や自動化設備の導入に活用。(中国・大・業務用機械 他)

○ インバウンド需要の取り込みのため、免税カウンターの増設やキャッシュレス用レジの拡充等を実施。(東海・大・小売 他)

○ 人手不足解消のため、新規採用の原資として活用。(福岡・中小・小売 他)

※ 国内での設備投資やM&A等、何らかの形で国内への還元(活用)を行った企業は71.2%。

【生じたメリットの内容】

○ 国内と比べ液晶・半導体装置への投資が期待できる海外市場において、積極的な展開を行っており、売上高の50%以上を海外市場が占めるようになった。(中国・大・生産用機械)

○ 関税コストの削減につながった。(中国・大・自動車 他)

○ 出向させた社員が成長し、人材育成面のメリットがあった。(関東・中堅・食料品 他)

(設置していない等)

19社4.3%

178社40.0%

190社42.7%

188社42.2%

その他

インバウンド需要の取り込み

自社製(商)品・サービスの輸出

(越境ECを含む)

海外子会社等による、

製(商)品・サービスの開発・生産・販売等

57社14.9%

37社9.7%

73社19.1%

10社2.6%

56社14.7%

118社30.9%

75社19.6%

96社25.1%

27社7.1%

219社57.3%

その他

国内に還元等せず、

海外での取組等のみに活用した

現預金としての保有

資産運用

(有価証券(流動資産)として保有)

負債の圧縮

従業員への還元

株主への還元

新製(商)品・サービスの研究・開発

M&Aの実施

設備投資の実施

46.3%

35.3%

92.7%

34.0%

8.2%

0.4%

1.6%

0.9%

44.3%

61.3%

4.0%

35.3%

1.2%

2.9%

1.6%

29.8%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

生産拠点

研究・開発拠点

生産拠点

研究・開発拠点

①新設・拡充 ②縮小・閉鎖 ③同程度の規模を維持 ④その他

Page 9: 財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2 財務局調査による「労働生産性向上の取組」について~はじめに(労働生産性)~

98社, 18.2% 441社, 81.8%

①売上高の増加

258社72.7%

②売上原価・販管費の減少

30社8.5%

①、②両方

67社18.9%

356社73.0%

132社27.0%

7

○ 2017年度の企業収益(営業利益)が、リーマンショック前(2007年度)と比べ「増加した」と回答した企業の割合が高く(73%程度)、そのうち「売上高の増加」を要因として回答した企業の割合が高い(92%程度(「①売上高の増加」と「①、②両方」の合計))。具体的な取組でみても、「既存事業の規模拡大」(78%程度)や「新製(商)品・サービスの開発」(31%程度)など、売上高の増加につながる取組を回答した企業の割合が高い。

○ 米中貿易摩擦等の通商問題について、現時点において「影響は無い」と回答した企業の割合が高い(82%程度)。また、「影響有り」と回答した企業も一定数(18%程度)みられる中、そのうち半数弱の企業(43%程度)が「すでに何らかの対応策を講じた」と回答。

○ 今後の海外需要の取り込みについて、「強化する」と回答した企業の割合が高い(69%程度)。また、懸念事項が「有」と回答した企業の割合が高く(90%程度)、そのうち「海外の動向」を懸念事項として回答した企業の割合が高い(通商問題以外の海外の動向:40%程度 等)。

回答社数:488社(未回答及び不明と回答した企業69社除く)

(5-1)企業収益の動向

(5-2)増加の要因等

財務局調査による「労働生産性向上の取組」について ~海外需要の取り込みの動向③~

回答社数:355社(未回答1社除く)

新たに海外需要を取り込んだ企業において、2017年度の営業利益は、リーマンショック前(2007年度)と比べ

増加 減少

(6)通商問題(米中貿易摩擦等)の影響 回答社数:539社(未回答18社除く)

(6-1)現時点における影響の有無

(7-1)今後の海外需要の取り込み(見通し) 回答社数:539社(未回答18社除く)

(7-2)今後の海外需要の取り込み(懸念事項)(複数回答)

回答社数:480社(未回答4社除く)

懸念事項有433社(90.2%)

懸念事項無47社(9.8%)

① 新規市場の開拓

② 海外生産等の拡充

③ ①、②両方

<手段別>

(6-2)対応策

【対応策の内容】 ※下記の他に企業からきかれた声については、p.8に記載。

○ 中国から生産拠点を国内や他国へ移転。(関東・大・繊維、東海・大・電気機械 他)

○ 価格転嫁を検討。(関東・大・自動車、近畿・大・食料品 他)

【強化する理由】

○ 新興国を中心に長期的な市場の拡大が見込まれるため。(東海・大・自動車、近畿・大・化学 他)

○ インバウンド需要が増加傾向にあるため。(近畿・大・小売、沖縄・大・宿泊 他)

○ 現地での生産能力増強投資を積極的に行い、積極的に拡販を行える環境が整ったため。(中国・大・化学)

○ 海外向け製品の生産を増やし、工場の稼働率を上げるため(大量生産によるコスト減少)。(沖縄・中堅・食料品)

【懸念事項への対応策】

○ 新製品の開発やアライアンスによる事業強化を図る。(中国・大・生産用機械 他)

○ 事業の拡大によるポートフォリオの分散を図る。(関東・大・リース業 他)

有 無

講じた 講じていない

(注1)(5-1)~(7-1)について、(1-1)で「行っている」または「現在は行っていない」と回答した企業を対象としている。(注2)(7-2)について、(注1)に加え、(7-1)で「未定」以外と回答した企業を対象としている。

170社71.4%

68社28.6%

53社64.6%

29社35.4%

123社78.8%

33社21.2%

12社3.4%

38社10.7%

27社7.6%

10社2.8%

58社16.3%

28社7.9%

97社27.3%

109社30.7%

54社15.2%

276社77.7%

その他

その他経費の抑制

(広告宣伝費、研究開発費等)

人件費の抑制

設備投資の抑制

(減価償却費の減少)

不採算事業の

整理等の効率化

その他

製(商)品・サービスの

高付加価値化

新製(商)品・

サービスの開発

新事業への進出(多角化)

既存事業の規模拡大

(競争力強化)

43社, 43.9% 55社, 56.1%

強化

372社69.0%

現状維持

103社19.1%

縮小

2社0.4%

予定なし

7社1.3%

未定

55社10.2%

47社9.8%

54社11.3%

98社20.4%

159社33.1%

155社32.3%

161社33.5%

191社39.8%

153社31.9%

95社19.8%

特段の懸念事項は無い

その他

人手不足

コスト(原材料費、

人件費等)の動向

海外の他社・他業態

との競争激化

為替の動向

通商問題以外の

海外の動向

通商問題の動向

国内経済の動向

Page 10: 財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2 財務局調査による「労働生産性向上の取組」について~はじめに(労働生産性)~

8

財務局調査による「労働生産性向上の取組」について ~海外需要の取り込みの動向④~

海外需要の取り込みの手段

【① 新規市場の開拓の内容】

○ 将来的に少子高齢化により日本国内市場が縮小していくことが見込まれる中、事業規模の維持・拡大の観点から、欧米や中国等への海外展開のほか、将来成長性の高い新興国などへの海外市場の開拓を実施している。(近畿・大・化学)

○ 国内市場では飲食店が飽和状態であることに加え、人口減少の傾向にあるため、海外に店舗進出(北陸・大・飲食サービス)

【② 生産活動等の拡充の内容】

○ 海外工場の新設などで海外顧客の要求にタイムリーに応じることが出来、受注獲得に繋がっている。(福岡・大・情報通信機械)

新規市場の開拓により得られた利益の国内への還元(活用)策

○ 人手不足対応として、セルフレジや検品システムの導入等の省力化投資を実施。(近畿・大・小売 他)

○ インバウンドが多い地域への新規出店を実施。(近畿・中小・小売 他)

○ 持続的な成長を図るため、M&Aによる事業領域の拡大に取り組んでいる。(東北・大・卸売 他)

○ 研究開発により、新製品の開発に取り組んでいる。(福岡・中堅・化学 他)

○ 従業員に対し、賃金の引上げや賞与として還元。(中国・中小・食料品 他)

○ 負債を圧縮し、財務内容の改善を行った。(中国・大・生産用機械 他)

通商問題(米中貿易摩擦等)の影響

○ 米中貿易摩擦の影響を懸念した企業が設備投資に慎重になっているため、当社への受注が減少している。(北陸・大・情報通信機械 他)

○ 中国企業におけるスマートフォン、車載向け工作機械への投資が好調であったところ、米中貿易摩擦により受注が減少している。(福岡・大・生産用機械 他)

○ 中国市場での自動車販売が減少し、自社製品の売上に影響が生じている。(東海・大・自動車)

○ 中国で生産し、米国に輸出する車載機器等に対し追加関税が課せられ、中国拠点からの輸出コストが増加した。(近畿・大・電気機械)

○ 主原料である古紙について、中国が輸入先を米国から日本へ切り替えたため、仕入コストが増加した。(四国・中小・パルプ、紙、紙加工品)

通商問題(米中貿易摩擦等)への対応策

○ 出来る範囲の経営努力でコスト圧縮を図り、中国から他地域へ生産を移すことで関税の影響を最小化していくが、カバーしきれない部分は販売価格に転嫁せざるを得ない。(近畿・大・電気機械 他)

○ 米国の子会社から中国へ輸出していた商品について、第三国から中国への輸出に切り替え対応。 (関東・大・卸売)

○ 鉄鋼・アルミの現地(北米)調達を図った。(東海・大・その他輸送機械)

○ 能力増強投資を延期した。(近畿・大・化学)

○ 米国での人材採用や販促活動を強化し、景気に関わらず安定的な成長が見込める新規顧客の開拓活動を推進。(関東・大・業務用機械)

○ 中国以外の地域(インド、米国等)での販促に取り組んでいる。(東海・中堅・生産用機械)

今後の海外需要の取り込みに当たっての懸念事項

○ 英国のEU離脱により、英国内の経済状況の悪化や為替相場の変動、金利上昇、失業率の増加等による影響が懸念される。(関東・大・リース 他)

○ 当社の主要進出先である中国において、政策変更や各種規制の動向を注視。(福岡・大・窯業)

○ 品質・技術に対するキャッチアップのスピードが中国をはじめ加速しており、付加価値を得る前に汎用化や価格競争となるリスクが高まっている。(関東・大・繊維)

○ 海外進出先における商習慣の違いや法律、規則等の動向に注視。(関東・大・不動産 他)

○ 海外の同業他社において、技術力や価格競争力が向上し、競合が激化している。(東北・中小・生産用機械 他)

○ 海外の生産拠点(インドネシア、中国)の労務費が上昇している。(東海・大・その他製造)

○ 語学力をはじめ、海外展開ビジネスに精通している人材の確保が課題。(関東・大・不動産 他)

○ 台風や地震等の自然災害の発生による、インバウンド需要の減少。(北陸・中小・宿泊 他)

Page 11: 財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2 財務局調査による「労働生産性向上の取組」について~はじめに(労働生産性)~

企業における特徴的な取組 ~海外需要の取り込み(生産活動等の拡充①)~

海外現地との連携によって、安心・安全・信頼のブランドを確立

ピジョン(株)(本 社)東京都中央区 (資本金)51億9,900万円(従業員数)4,306名※連結 (2018年1月時点)(業 種)その他の製造

(企業概要)哺乳びんを中心としたベビー用品等製造・販売を行う。中国、東南アジア、欧米等に展開

背景

国内市場 売上高に占めるインバウンド比率が増加

海外市場 売上高が大幅に増加(約3.7倍)

⇒海外事業売上比率が50%超

成果

点から面へ海外展開を拡大 現地での利益は現地に投資する「地産地消」によ

り、更なる市場拡大。

アジア諸国の経済発展による需要拡大に加え、未進出の国・地域は世界中に存在し、市場拡大が見込めるため、今後も海外事業を強化。

今後の展開、課題

取組

(※)テキストや音声等により自動的な会話を行うプログラム

※ピジョン㈱公表資料を基に関東財務局にて作成。

国内で哺乳メカニズムの基礎研究を行い、海外で地域の需要に応じた製品を開発、生産。 基礎研究に基づく、哺乳びんの乳首部分の高付加価値商品の開発がコア・コンピタンス(他社にない強み)。

・2002年、年間出生数が約1700万人(日本の約15倍)の中国に進出・安心・安全意識の高まりとマッチ(2008年粉ミルクメラミン混入事件)

2年前からチャットボット※を導入し、深夜相談に対応。

⇒ マーケティングに活用

プロモーションの一環で、消費者参加型の新商品イベントに「インフルエンサー」を招待し、生中継などでメディア発信。

現地代理店と協力し、ベビー用品小売店に「ピジョンコーナー」を設置。

取扱商品(哺乳びん等) ※画像:ピジョン㈱HPより。

ブランド力・知名度が向上

「安心・安全・信頼」が浸透

【取組②:海外展開型対応】

○現地代理店との連携

○先端技術の活用

○ソーシャルメディアの活用

【取組①:国内拠点型対応】 品質への支持●基礎研究による競争優位性の確保

●中国での現地市場獲得

●地域の特性に応じた取組みにより市場を拡大(点から面への基盤形成)インド・インドネシアでは、日本・中国のように高価格商品が売れないため、地域のニーズにあった製品

を開発、生産。また、欧米では、マタニティ用品を扱う企業(ランシノ社)のM&Aにより事業展開。

当社の強みは、哺乳びんを始めとする高品質なベビー用品全般の商品を提供。ベビー用品は生活必需品のため、景気に左右されない安定した需要。

出生数の減少による国内マーケットの縮小。(年間95万人で毎年3%減)一方、全世界での出生数は年間1億3千万人 ⇒ 海外市場に期待

9

関東財務局

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企業における特徴的な取組 ~海外需要の取り込み(生産活動等の拡充②)~

富裕層をターゲットにハイクラス商品で海外需要を取り込み

TOTO(株)(本 社)福岡県北九州市(資本金)355億円(従業員数)32,428名(連結)(業 種)窯業・土石製品製造業

(企業概要)1917年創業。衛生陶器、ウォシュレット、水

栓金具、セラミックの製造等を扱う住設機器の総合メーカー。

訪日外国人の増加を含む、海外市場の成長。特に、リーマンショック以降、住宅需要が大きかった中国市場がけん引。

人口減少等に伴う国内市場の縮小。

背景

【海外(既進出地域)での生産・販売等の体制拡充】

各地域に合わせた商品を開発・生産・販売する体制を強化。

⇒富裕層をターゲットとしたハイクラス商品を展開

中国(’11年、‘14年)やベトナム(’10年、‘18年)等で製造工場を新増設。

海外の著名施設や国際空港における商品採用活動の展開、ショールームの拡充・強化。

【新たな市場の開拓】

リーマンショック以降、新たにタイ(‘09年)、インド(‘11年)に進出。

インバウンド向けに、成田空港などでプロモーションを実施。

取組

営業利益(連結) ’07年度⇒’17年度 2.3倍

営業利益の約半分が海外事業によるもの(売上では2割強)

⇒工場新設などの設備投資、国内従業員・株主への還元、

研究開発費等

研究開発は、海外への技術流出を避けるため、主に国内で実施。(’07年度 120億円⇒’17年度 206億円)

成果

海外の政策変更リスク等を鑑み、販売地域の拡大や新たな顧客層のニーズに沿った新商品の開発を行っていく。

今後の展開

(空港でのプロモーションの様子)

227

65 65

140 187

233

471

374

461 474 526

100 91 75 72 70 81

157 220 214 233 263

0

100

200

300

400

500

600

'07 '08 '09 '10 '11 '12 '13 '14 '15 '16 '17

営業利益推移

(成田空港内の体験型トイレギャラリー”GALLERY TOTO”)

5,010 4,645

4,219 4,335 4,526 4,762

5,534 5,445 5,678 5,673 5,923

602 559 543 557 626 751 1,011 1,248 1,273 1,281 1,379

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

'07 '08 '09 '10 '11 '12 '13 '14 '15 '16 '17

(参考)売上推移

全体 海外事業

(億円)

(億円)

福岡財務支局

10

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海外需要を積極的に取り込み、国内工場に設備投資

ナカシマプロペラ(株)(本 社)岡山県岡山市(資本金)1億円(従業員数)400名

グループ全体 1,050名 ※舶用事業のみ(業 種)船舶用推進機器の開発・製造・販売

(企業概要)世界で唯一の総合船舶用プロペラメーカー。大

小さまざまなサイズのプロペラを取り扱い、推進装置等も手掛けるのは当社のみ。船舶用大形プロペラでは国内8割、世界3割のシェアを持つ。

● 国内造船業の集約・縮小を受け、海外市場への展開・競争力の強化が必要。

国内で人口減少が進む中、海外で優秀な労働力を確保することが必要。

経済成長に伴い物流の増加が見込まれる東南アジアを中心に生産・販売拠点を置くことにより、船舶用プロペラ需要の取り込みを図ることが可能。

背景

工場新設とM&Aにより、海外の生産拠点を順次整備。これにより、大形プロペラは国内工場、中形プロペラはベトナム工場とマレーシア工場、小形プロペラはフィリピン工場を拠点として、国内と東南アジアでの分業による効率的な生産体制を確立。

人材育成の観点から、選抜した海外技能スタッフを1年間本社に呼び寄せ、「日本流のものづくり」を教えて帰すことで、海外工場でも高い技術力を維持。

販売面では、シンガポールに販社を設立し、東南アジアを中心に、海外マーケットでの受注・販売・マーケティング・アフターサービスを展開。さらに、中国上海市にサービス拠点を設置し、中国の造船所で推進機器の据え付けや修理を行う際にエンジニアを派遣するなど、迅速で高品質のサービスを提供する体制を確立。

取組

積極的に海外で事業展開することにより、東南アジアや欧州等、これまで価格・納期的に対応が難しかった新たな市場への対応が可能に。

海外需要の取り込みにより得られた利益は、現地工場の拡大・増強とともに、競争力の維持と生産能力の向上のため、主力生産拠点である国内工場の機械設備に積極投資。

具体的には、2017年2月に本社工場を大規模改修して、複合工作機械や塗装ロボットなどの新型設備を導入。2018年2月にも本社工場に国内最大級のX線非破壊検査装置を導入。品質向上と、製品の幅を広げて受注拡大につなげている。

成果

ベトナム、フィリピン、マレーシアに工場を置き、残る大きな市場はインドネシア。島国で船舶の需要が高いため、近い将来、事業展開を図りたいと考えている。

積極的な海外展開を続けていくためには、現地で責任を持って事業を行える現地責任者が必要。マネジメントとファイナンスだけでなく、地元の人との付き合い方まで、しっかりとできる人材を育成していくことが課題。

今後の展開、課題

玉島工場製造の大形プロペラは直径10m超

「日本流のものづくり」を導入したベトナム工場

本社工場を大規模改修して新型設備を導入

資料:ナカシマプロペラ

本社工場にプロペラ内部を検査する装置を導入

企業における特徴的な取組 ~海外需要の取り込み(生産活動等の拡充③)~

2005年 ベトナムに初の海外現地法人を設立

2007年 ベトナム工場が完成し、操業を開始

ベトナム第2工場が完成し、操業を開始

ベトナムでは中形プロペラを量産

M&Aにより日本企業のフィリピン工場を取

得し、小形プロペラを量産

2011年 シンガポールに販社を設立

2013年米国企業に資本参加。同社の販売網を活

かして小形プロペラの販売を強化

中国上海市にサービス拠点を設立

ベトナム工場の生産能力を増強

フィリピン工場の生産能力を増強

2017年M&Aによりマレーシア企業の工場をグ

ループ化し、中形プロペラを量産

2009年

2016年

海 外 事 業 展 開 の 沿 革

中国財務局

11

Page 14: 財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2 財務局調査による「労働生産性向上の取組」について~はじめに(労働生産性)~

企業における特徴的な取組 ~海外需要の取り込み(輸出拡大①)~

世界へ発信する旭川家具のリーディング企業

(株)カンディハウス(本 社)北海道旭川市(資本金)1億6,000万円 (従業員数)280名(業 種)その他製造業

(企業概要)住宅・オフィス・コントラクト家具、特注家具及び

ホームファニシング関連商品、インテリアアクセサリー、インテリアデザイン・設計・施工、インテリアデザインの企画・設計・施工・及び工事監理

1968年9月の設立当初から、世界に通じるデザイン、品質の家具づくりを目指す。日本製品の良さを世界に広めることを目的に、1984年にサンフランシスコ、2005年にドイツのケルンに現地法人を設立。

ものづくりで「和の美意識」を発信する理念のもと、心地よい暮らしを求める世界中の人と、旭川家具のやさしい形や繊細な機能を共有できると信じ、アジアを中心に積極的な海外展開を実施。

背景

2013年よりアジア地域への営業強化を実施。

韓国(2007年)、台湾(2013年)、オーストラリア(2014年)、中国(2015年)、香港、シンガポール(2016年)、インド、タイ(2018年)、フィリピン(2019年)に代理店を設置。

2005年のドイツ進出以降、連続出展している「ケルン国際家具見本市」をはじめ、中国や韓国など海外の展示会にも積極的に出展し、インテリアブランドの知名度を向上。

創立50周年を前に「CONDE HOUSE STYLE 2017」を開催。「日本のものづくりを世界へ発信する」という決意を込めた企画展や、世界各地のデザイナーやメーカーとの交流、商談を実施。

取組

世界を舞台にした競争が、製品開発に対する技術者のインセンティブとなり、品質・デザイン性が向上。

海外展開で得た利益や経験は、海外スタッフの人材育成(言語、商品知識など)に充当。

成果 ベトナム、ミャンマー、マレーシア、インドネシアなど、アジアを中心に出店を

進め、海外売上は現在の2倍(5億円程度)を目指す。

海外での代理店出店にあたり、当社の理念やビジョンを理解した信頼できる現地パートナーの確保が課題。

今後の展開、課題

2018年度(11月時点)の海外売上高比率は約7%(全体約32億円)※2007年度の同比率は約3%(全体約41億円)

デザインから生産、販売までを自社で行い、旭川でのものづくりにこだわり、テクノロジーによる効率生産と微妙なデザインを生み出す職人技を融合させた少量・高品質の生産体制が特徴。

0

50,000

100,000

150,000

200,000

250,000

300,000

2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018.11

Annual Overseas Sales

USA Europe Korea Taiwan Australia China Singapore Hong Kong India Thailand Others

海外売上推移(2007~2018)(千円)

北海道財務局

12

Page 15: 財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2 財務局調査による「労働生産性向上の取組」について~はじめに(労働生産性)~

企業における特徴的な取組 ~海外需要の取り込み(輸出拡大②)~

撤退した経験を糧に米国市場に再チャレンジ

四国化工機(株)(本 社)徳島県北島町(資本金)1億4,500万円 (従業員数)711名(業 種)はん用・生産用機械

(企業概要)飲料やヨーグルト等の食品充填機などを製造する機械事業、包装資材事業、食品事業の3事業運営。国内シェアは、屋根型紙容器成形充填機で約70%、カップ用充填機は約80%。

食品充填機について、かつては米国市場へ進出していたものの、プロダクトアウトの発想から市場調査などが不十分であった上、円高による企業収益の悪化などから、2008年に米国市場から撤退。

海外市場については、欧州や東南アジアにも進出。欧州市場は古くから紙容器の普及が進み米国市場よりも規模が大きく、高機能を強みとして売り込みを図り、一方東南アジア市場は中国工場で生産しているコストダウン機のニーズがある。

米国から一度は撤退したものの、米国の食品充填機器市場は今後拡大が見込まれる上、米国のメーカーによる寡占状態であり競合がなくイノベーションが進んでいないことから、再進出の機会をうかがっていた。

背景

再進出にあたってはマーケットインの発想を取り入れ、米国市場の調査を徹底。海外市場は品質以上にコスト削減が求められることから、同社の充填機を用いた場合の製品1個あたりのコストを検証し、実行可能性調査を行うなど綿密な分析を行った。その間、欧州や東南アジアでの業績も順調であったことから、米国市場への再進出を決定。2018年に米国現地法人を設立し、再進出後の1号機を輸出。

米国向け食品充填機は、部品点数削減によるコストダウンを図るとともに、充填速度は世界最速、充填精度も米国製より高い機種を投入。

取組

再進出1号機の輸出以降も米国からの受注があり、2年で7台程度の売上を見込んでいる(1台250百万円程度)。今後、年間10億円程度の売上となるよう取り組んでいく。

成果

米国の屋根型紙容器は、一般流通している大容量サイズだけでなく、一般流通はしていない学校給食用飲み切りサイズ(個食)の大きな市場も存在しており、その市場への参入も計画中。

世界的なプラスチックの環境問題に関しては、紙容器用の食品充填機を製造する同社にとってはビジネスチャンスであり、紙カップの製造まで手掛けることにより、顧客に対して幅広く商品提案を行いたい。

今後の展開、課題

アメリカではハーフガロンサイズ(1.89ℓ)(左)の紙容器が一般的

【食品充填機械の主な能力比較】

四国化工機 米現地企業

1時間あたりの充填能力 10千本 7~8千本

製品1本あたり充填回数 1回 4回

カップ

0

200

400

600

2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017

(億円) 全体売上高推移

現 状

欧州・アジア市場約30億円

今 後

米国市場約10億円

【食品充填機等機械事業の海外売上高】

【屋根型紙容器成形充填機(米国市場向け)】

紙容器

四国財務局

13

Page 16: 財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2 財務局調査による「労働生産性向上の取組」について~はじめに(労働生産性)~

20

30 3236 38

0

10

20

30

40

21年度 25年度 27年度 29年度 30年度

輸出国・地域数の推移

企業における特徴的な取組 ~海外需要の取り込み(輸出拡大+インバウンド需要の取り込み①-ⅰ)~

(株)南部美人(本 社)岩手県二戸市(資本金)2,000万円(創 業)明治35年 (従業員数)32名(業 種)日本酒、糖類無添加リキュールの製造・販売

国際化の取組「輸出拡大」①~世界38カ国へ輸出~【主な輸出先:米国、中国、韓国、台湾】

【取組のきっかけ・当初生じた課題】

平成9年、全国の若手蔵元20数社で「日本酒輸出協会」を立ち上げる。

協会が行ったニューヨークでの日本酒セミナーで、米国人から「今まで飲んでいた日本酒(※)は何だった」「これはいつになれば買えるのか」と大盛況であったことから、「絶対に成功する!」との手ごたえを感じた。※当時、米国で現地生産されていた普通酒

早速、商社経由で輸出を開始したものの、販売は不振。当時、商社の取引先である日本人向けレストランでは、新潟産の著名な地酒が珍重され、無名であった「南部美人」は日本人に浸透せず、受注に結びつかなかった。

毎年輸出相手国を拡大し、9年連続(30年度は見込み)で輸出金額は過去最高を更新中。 現社長が海外留学経験を有し、海外展開への指向性が高く、頻繁に自ら海外へ赴くフットワークの軽さが

成功のポイント。 テロワール(原料米の生育環境など)を重視した酒造りもあり、高付加価値化を実現。

【販路開拓】蔵元自らが直接営業

商社任せでなく、蔵元自ら、外国人が利用する日本食レストランをターゲットに、独自に販路を開拓。

多くの海外展示会に出展。展示会後(1ヵ月程度)に、名刺をもらった来場者の店舗まで出向き、営業することが成約へのポイント。

欧米人が発音し易いよう「サザンビューティー」と改称。

【価格戦略等】高付加価値の商品展開

主要価格帯は、720㎖の大吟醸ボトルが1本100~110ドル(海外では、ワ

インと同様にボトルで販売)。

富裕層向けには、10年冷蔵古酒「フローズンビューティー」をラスベガス、中東で販売(1本2000~3000ドル)、年間100本以上を輸出。

海外向けの商品規格(瓶の色、ラベルのデザインなど)にも工夫。

【輸出国拡大戦略】未開拓市場へ

主要な輸出先である米国(輸出割合約3割)は競争が激しく、著名な地酒が進出していない国々へ次々展開。アジア、北南米、欧州、アフリカなど世界38カ国まで拡大(見込)。

業界では珍しいコーシャ(ユダヤ教の食規定)の国際認証取得が、安心・安全の証明となり、輸出国の拡大に寄与。

〔国・地域〕

(見込)10年で約2倍に拡大

国内では酒米の銘柄や精米度合などで価格が形成

されるが、海外では、売り方次第で他社商品の動向に左右されず、売り手優位の価格設定が可能。

10年冷蔵古酒「フローズンビューティー」

【㈱南部美人 提供】

【㈱南部美人 提供】

20数年前に入社した現社長(五代目蔵元)が、以下のような背景から、先を見据え、販路を海外へ求めることを決断。

製品は地元で愛飲され、首都圏でも売上が伸長しているが、自分が社長となる20年後には、人口減で市場縮小が目に見えていた

高校時代にアメリカへホームステイした際に、土産に持参した自社の日本酒がワイン好きのホストらに大好評を得た経験

海外展開(輸出)の背景

4,000 7,600

10,000

13,500 14,100

7.8%

10.9%

14.0%

16.0% 16.0%

4.0%

9.0%

14.0%

0

5,000

10,000

15,000

20,000

21年度 25年度 27年度 29年度 30年度

輸出金額と輸出比率の推移

輸出金額 総売上高に占める割合

〔万円〕

(見込)

東北財務局

14

Page 17: 財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2 財務局調査による「労働生産性向上の取組」について~はじめに(労働生産性)~

37

133 4.2%

14.4%

0.0%

2.0%

4.0%

6.0%

8.0%

10.0%

12.0%

14.0%

16.0%

18.0%

20.0%

0

20

40

60

80

100

120

140

H22年 H30年

二戸市での南部美人向け

酒米生産量

生産量

県内酒米生産に占める割合

【地元産の酒米生産】

地元産の酒米による酒造りのため、地元の「金田一営農組合」に協力を依頼し、岩手県が開発した酒造好適米「ぎんおとめ」の生産に尽力。

【輸出用の主力商品は地元産の酒米を使用】

現在、輸出用の主力商品は、金田一営農組合など二戸市や近隣市町で契約栽培された酒米を使用(地元産酒米の使用率が約5割までに増加)。

【ストーリー性を持たせる】

醸造に関わる風土、気候などをストーリー仕立てに説明し、販路が拡大。

【IWCチャンピオンサケ受賞】

「ぎんおとめ」で作った「特別純米酒」が、平成29年に世界最大規模のワイン品評会「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)」でチャンピオンサケを受賞。

国際化の取組「輸出拡大」②~地元産原料にこだわり、地域の農業振興にも貢献~

【地域の現状】

岩手県内でも、八幡平市や花巻市などではインバウンドが増加。しかし、県北の二戸市まで足を延ばす客はまだまだ少ない。

しかし、海外コンクールでの受賞や販路拡大に伴う「南部美人」の評価の高まりは、当地へのインバウンド需要喚起につながっている。

【受入体制の整備(酒蔵ツーリズム)】

外国人観光客に酒米を作る田んぼを巡らせ、酒蔵での酒造りなど体験メニューを用意。「浄法寺漆」(二戸は漆の国内生産シェア7割)を用いた杯での試飲など、インスタ映えする体験観光「にのへ型テロワール」の確立を、行政と連携して計画。

本社蔵の改修後、来年4月から観光客を受け入れる予定。

インバウンド需要の取り込み~酒蔵ツーリズムによる地域観光推進に取り組む~

岩手県北部は、冷涼な気候から米作りには不利。

減反政策の下、主食用米の作付面積が減少。

【地元産酒米の利用拡大が地元農家の励みに】

二戸市内では、酒米栽培が約33haまで拡大(平成30年)。特に二戸市金田一地区で、販売目的の水稲作付面積の約1割が南部美人向け。

良質の酒米作りを促すため、無化学肥料減農薬栽培などには、買受単価に付加金を上乗せ。

【新規就農者の創出】

金田一営農組合は、契約栽培により経営が安定し、地元の若者6名を採用(うち3名は非農家)。

【IWCチャンピオンサケ受賞】

受賞は酒米生産者にとっても誇りであり、生産意欲や品質向上への取組につながっている。

○海外事業については、平成27年度以降黒字計上。得られた利益は、賞与アップなど従業員の給与に還元するとともに、分析器の導入など品質・生産性

向上のための設備投資に活用。

○平成30年度の輸出金額は、リーマンショック後の平成21年度から約3.5倍。売上高に占める輸出の割合も15%を超えるまでに伸長したが、欧米、アジア

に続き、今後も南米やアフリカなど、国内著名地酒メーカーが進出していない国に積極的に展開し、今後5年以内に30%を超えることが目標。

取組の成果及び今後の展開

地域農業への波及効果

アメリカでの試飲会の際に、ソムリエから「どうして岩手の酒なのに岩手の米を使っていないのか。」との一言から、世界で戦っていくには「テロワール」(原料米の生育環境など)の考え方を重視する必要があることに気付く。

「テロワール」がキーワード~ワイン用語を使って日本酒の魅力を伝える~

〔単位:t〕

(上):海外人気ブロガーによるモニターツアー

(左):浄法寺塗の杯

【㈱南部美人提供】

「ぎんおとめ」の栽培圃場

【農林水産省「米穀の農産物検査結果」、金田一営農組合調べ】

企業における特徴的な取組 ~海外需要の取り込み(輸出拡大+インバウンド需要の取り込み①-ⅱ)~

【金田一営農組合 提供】

15

東北財務局

Page 18: 財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2 財務局調査による「労働生産性向上の取組」について~はじめに(労働生産性)~

企業における特徴的な取組 ~海外需要の取り込み(輸出拡大+インバウンド需要の取り込み②)~

507

0

100

200

300

400

500

600

0

100

200

300

400

500

600

2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年

その他(左軸)アジア(除く中国)(左軸)中国(左軸)欧州(左軸)指数(和歌山県全体)(右軸)

0

500

1,000

1,500

2,000

2014年 2017年

<海外向け売上>(単位:万円)

3年で4倍

~ インバウンド需要の取り込みと輸出の拡大を両面で推進する事例 ~

湯浅醬油(有)(本 社)和歌山県湯浅町(資本金)3億円 (従業員数)12名(業 種)食料品製造

(企業概要)地域特産の金山寺味噌を生産する「丸新本家」のグループ会社として2002年に設立。国産原料にこだわり、昔ながらの製法で醤油を製造。

醤油発祥の地である湯浅町では、最盛期(江戸時代)には90軒以上あった醤油屋が現在では数軒程度まで減少していた。

そのような状況から、当社においては、醤油発祥の湯浅醤油を守りたいとの想いと地域活性化のために、その伝統を活かしたブランド力強化や新規需要開拓の必要があった。

海外市場においては、欧州中の有名レストランで使用されているのをはじめ、とりわけ所得水準が向上するアジアで、安価な他社商品と差別化できる高級調味料としてのニーズが生じていた。

背景

従来より伝統的な醬油の製造工程を公開してきたが、近年、関西圏において訪日外国人が大幅に増加していることから、観光会社と連携してインバウンド向けの観光ツアーの受け入れを開始。

湯浅醤油の海外需要の拡大に向け、アジア各国の展示会へ出品を行い、現地メディアを活用して商品のプロモーションを積極的に実施するなど、広報活動にも注力しつつ商社を通じて輸出を進めている。

取組

製造工程の公開やメディアを通じた発信(SNS等)が訪日客へのアピールや商品のブランド力向上などにつながっており、2017年は当社を訪れた訪日外国人客が約6,000人と3年前比で2倍以上の大幅増加しインバウンド需要の取り込みに成功している。

海外からの問合せも増え、アジアを中心に輸出先国が増加したことを受けて、海外向け売上も3年で4倍に跳ね上がり、全体の1割を占めるまでになった。

成果

現在の生産体制で、海外からの注文全てに応えるのは困難なため、長期的な視点にたって、商品の海外展開の在り方を検討。

その一環として、将来は各地域の特長を活かした現地生産も検討しており、欧州での展開も見据え、フランスで醤油製造に試行的に取り組むなど、伝統を守りつつ新しい商品の開発に挑戦している。

今後の展開、課題

工場見学過程(櫂入れ)の様子。昔ながらの製法と国産原料にこだわった醤油の製造工程を公開。

訪日外国人客の推移(和歌山県)

(出所)日本政府観光局(JNTO)、観光庁 外国人消費動向調査(注)和歌山の外国人訪問客数は、訪日外客数(全国)に

都道府県別訪問率を乗じて推計

(指数:2011年=100)(単位:千人)

アジア各国の展示会への出展がきっかけとなり、海外企業からの問合せが増加。

将来は現地生産も検討しており、フランスでワイナリーを利用した醬油製造に試行的に取り組んでいる。

売上全体の1割を占める

フランスのワイナリー

341286

234197

135

8567

近畿財務局

16

Page 19: 財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2 財務局調査による「労働生産性向上の取組」について~はじめに(労働生産性)~

Ⅲ 先端技術(IoT、AI等)の活用状況

3.企業規模別及び業種別の回答状況

※大企業 : 資本金10億円以上中堅企業 : 資本金1億円以上10億円未満中小企業 : 資本金1億円未満

622

338

317

1,277

中小企業

合計

企業規模 調査対象社数

大企業

中堅企業

65

13

8

20

4

64

6

22

35

11

32

14

82

17

39

70

63

20

25

610

5

1

1

84

1

非製造業

01 農業、林業

08 漁業

10 鉱業、採石業、砂利採取業

70 電気業

15 建設業

調査対象社数

製造業

18 食料品製造業

20 繊維工業

22 木材・木製品製造業

24 パルプ・紙・紙加工品製造業

25 印刷・同関連業

26 化学工業

27 石油製品・石炭製品製造業

30 窯業・土石製品製造業

35 電気機械器具製造業

29 情報通信機械器具製造業

36 自動車・同附属品製造業

38 その他の輸送用機械器具製造業

39 その他の製造業

小計

31 鉄鋼業

32 非鉄金属製造業

33 金属製品製造業

51 はん用機械器具製造業

34 生産用機械器具製造業

37 業務用機械器具製造業

業種

3

20

40

2

10

19

312

26

11

1

47

21

20

13

3

1

2

6

2

4

6

6

667

1,277

小計

合計

79 娯楽業

74 広告業

82 純粋持株会社

83 その他の学術研究、専門・技術サービス業

80 医療、福祉業

86 職業紹介・労働者派遣業

59 不動産業

77 リース業

73 その他の物品賃貸業

75 宿泊業

50 飲食サービス業

76 生活関連サービス業

調査対象社数

64 水運業

業種

69 その他の運輸業

40 卸売業

49 小売業

89 その他のサービス業

銀行業

85 教育、学習支援業

71 ガス・熱供給・水道業

60 情報通信業

61 陸運業

非製造業

1.調査期間等

(1)調査期間 :2018年9月中旬~10月中旬

(2)調査対象 : 各財務局が管内経済情勢報告を取りまとめる際に従来から継続的にヒアリングを実施している企業等。全国計1,277社。

(3)調査方法 : 各財務局においてヒアリング調査を行い、回答を分類。

2.注意事項

結果数値(%)は小数点第2位を四捨五入しているため、合計が100.0%にならない場合がある。

本調査における「先端技術」は、人間の能力を飛躍的に拡張する技術(頭脳としてのAI、筋肉としてのロボット、神経としてのIoT)や、豊富なリアルデータを活用して、従来の大量生産・大量消費型のモノ・サービスの提供ではない、個別化された製品やサービスの提供により、様々な社会課題を解決でき、大きな付加価値を生むものと位置づけている。

<参照>内閣府「平成30年度 年次経済財政報告」

本調査では、先端技術の代表類型である、「IoT」、「AI(人工知能)」、「ロボット」、「クラウド」、「ビッグデータ」を対象とする。

本調査には、先端技術の「提供(プロバイダー)側」・「利用(ユーザー)側」としてそれぞれ回答した企業が含まれていることに留意。

17

Page 20: 財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2 財務局調査による「労働生産性向上の取組」について~はじめに(労働生産性)~

93.9%, 31社

93.2%, 96社

95.4%, 293社

95.4%, 514社

90.0%, 144社

86.5%, 64社

91.7%, 22社

92.4%, 133社

2社

7社

14社

25社

16社

10社

2社

11社

0% 50% 100%

その他

人手不足の解消

コスト(人件費、保守費用等)の削減

業務効率の向上

(従業員の負担軽減)

既存製(商)品・サービスへの付加

価値の付与(品質・ブランドの向上)

新製(商)品・サービスの開発

新事業への進出

(多角化)

既存事業の規模拡大

(競争力強化)

24社2.9%

82社10.0%

499社60.8%

19社2.3%

375社45.7%

その他

研究開発投資

情報化投資

建設投資

機械投資

○ 先端技術を「活用済」と回答した企業の割合は、「クラウド」(39%程度)や「ロボット」(37%程度)で高くなっており、活用済の技術の中では、最も重要度の高い技術として「ロボット」と回答した企業の割合が高い(34%程度)。なお、何らかの先端技術を活用済の企業は、全体の3分の2程度(65%程度)。

○ 活用済の先端技術の中で、最も重要度の高い技術((2-1)で回答した技術)に関する手法等を確認したところ、

手法について、「情報化投資」(61%程度)の割合が最も高く、「機械投資」(46%程度)が続いた。また、活用目的について、「業務効率の向上」(66%程度)や「コストの削減」(37%程度)の割合が高い中、「既存製品等への付加価値の付与」(20%程度)や「既存事業の規模拡大」(18%程度)も一定数みられる。

活用による成果について、9割以上(94%程度)の企業が「有」と回答。技術別・目的別にみても、いずれも8割以上の企業が「有」と回答しており、項目毎に大きな差異はみられない。

(1)先端技術の活用状況 (2-1)「①活用済」のうち、最も重要度の高い技術

(2-3)活用目的(最大2項目回答) (2-4)活用成果

18

【活用内容】 ※下記の他に企業からきかれた声については、p.20に記載。

○ 建築・土木現場で、ドローンによる測量や、無人ブルドーザー等による効率化を図る(関東・大・建設 他)○ クラウドにより社内情報システムを管理し、効率化やコスト低減化を図る(福岡・大・情報通信機械 他)○ IoTによる生産設備の稼働状況の管理(東海・大・自動車 他)や在庫管理(東北・大・小売 他)

財務局調査による「労働生産性向上の取組」について ~先端技術(IoT、AI等)の活用状況①~

(2-2)手法(複数回答)

【成果有の内容】 ※下記の他に企業からきかれた声については、p.20に記載。

○ クラウドシステム移行により、コスト削減を実現。(関東・大・飲食サービス 他)○ ロボットの活用により、業務効率の向上やコストダウン、品質保持、安全性の向上を

実現。 (九州・大・自動車 他)

回答社数:1,273社(未回答4社除く)

回答社数:821社(未回答2社除く)

回答社数:821社(未回答2社除く)

回答社数:821社(未回答2社除く)

回答社数:821社(未回答3社除く)

<技術別> <目的別>

(注)(2-2~2-4)は、(2-1)で回答した技術に関する手法等を確認したもの。

19.6%

39.2%

37.1%

10.9%

23.1%

7.6%

4.7%

6.1%

9.7%

8.3%

32.0%

23.0%

20.6%

37.5%

31.0%

9.6%

6.6%

8.4%

10.3%

9.1%

31.3%

26.5%

27.7%

31.6%

28.4%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

ビッグデータ

クラウド

ロボット

AI

IoT

①活用済 ②活用予定 ③検討中 ④活用したくてもできない ⑤必要性を感じない

IoT

161社20% AI

57社7%

ロボット

279社34%

クラウド

216社26%

ビッグ

データ

108社13%

33社4.0%

103社12.5%

307社37.4%

540社65.8%

160社19.5%

74社9.0%

24社2.9%

144社17.5%

その他

人手不足の解消

コスト(人件費、保守費用等)の削減

業務効率の向上(従業員の負担軽減)

既存製(商)品・サービスへの

付加価値の付与(品質・ブランドの向上)

新製(商)品・サービスの開発

新事業への進出(多角化)

既存事業の規模拡大(競争力強化)

767社94%

53社6%

89.8%, 97社

94.9%, 205社

96.8%, 269社

91.2%, 52社

89.4%, 144社

11社

11社

9社

5社

17社

0% 50% 100%

ビッグデータ

クラウド

ロボット

AI

IoT

※ 上記のいずれかの技術を「①活用済」と回答した企業は、64.7%(823社)。

Page 21: 財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2 財務局調査による「労働生産性向上の取組」について~はじめに(労働生産性)~

63社28.8%

47社21.5%

42社19.2%

65社29.7%

11社5.0%

67社30.6%

その他

理解不足

資金不足

費用対効果が低い

情報漏えいを懸念

人材(IT技術者等)の不足

【活用内容】

○ AIを商品の自動発注システムを活用し、日常業務の効率化や省力化を図りたい。(中国・大・小売、福岡・大・小売 他)

○ IoTを生産管理システムに活用し、工場の稼働状況や生産状況をタイムリーに把握したい。(北陸・大・自動車、中国・大・生産用機械 他)

○ RPA(※)を活用し、管理業務を効率化したい。(関東・大・その他運輸、東海・大・小売 他)

○ 顧客データの活用により、購買行動を把握したい。(北海道・大・小売、近畿・大・小売 他)

19.6%

39.2%

37.1%

10.9%

23.1%

7.6%

4.7%

6.1%

9.7%

8.3%

32.0%

23.0%

20.6%

37.5%

31.0%

9.6%

6.6%

8.4%

10.3%

9.1%

31.3%

26.5%

27.7%

31.6%

28.4%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

ビッグデータ

クラウド

ロボット

AI

IoT

①活用済 ②活用予定 ③検討中 ④活用したくてもできない ⑤必要性を感じない

(3)「②活用予定」または「③検討中」のうち、最も優先度の高い技術

19

○ 「②活用予定」または「③検討中」の先端技術のうち、最も優先度の高い技術として「AI」と回答した企業の割合が高い(32%程度)。

○ 「④活用したくてもできない」先端技術のうち、最も優先度の高い技術として「ロボット」や「AI」、「ビッグデータ」と回答した企業の割合が高い(24%~25%程度)。また、最も優先度の高い技術について、活用できない理由を確認したところ、「人材(IT技術者等)の不足」や「費用対効果が低い」と回答した企業の割合が高い(30%~31%程度)。

○ 先端技術の活用について「⑤必要性を感じない」と回答した企業に対し、その理由を確認したところ、「業種の性質上、先端技術の活用は馴染まない」を挙げる企業が複数みられた。

回答社数:798社(未回答4社除く)

回答社数:219社(未回答2社除く)

(5)先端技術の活用について「⑤必要性を感じない」理由(4-1)「④活用したくてもできない」のうち、最も優先度の高い技術

(4-2)活用できない理由(最大2項目回答)

財務局調査による「労働生産性向上の取組」について ~先端技術(IoT、AI等)の活用状況②~

(1)先端技術の活用状況(再掲)

(注)(4-1)で回答した技術に対し、活用できない理由を確認したもの。

回答社数:1,273社(未回答4社除く)

IoT

196社25%

AI

252社32%

ロボット

136社17%

クラウド

84社11%

ビッグ

データ

116社15%

IoT

39社18%

AI

52社24%ロボット

54社25%

クラウド

21社9%

ビッグデータ

53社24%

○ 顧客との対面販売を重視しており、先端技術の活用は馴染まないと思料。(中国・中堅・小売 他)

○ 手作りでのサービスにこだわっている。(北陸・中小・飲食サービス)

○ ビッグデータによるマーケット分析等への関心も無いわけではないが、市場規模が縮小する中、先端技術を導入する緊急性は低い。(北海道・中小・小売)

○ 現状の設備で業務に支障はないため、活用の必要性を感じない。(四国・大・パルプ、紙、紙加工品)

○ 顧客との綿密な打ち合わせで仕様を決定しているため、自動化の必要性を感じない。(北陸・中小・生産用機械)

【その他の内容】 ※下記の他に企業からきかれた声については、p.20に記載。

○ データのサンプル数が少なく、精度が不十分。(北陸・大・陸運 他)

○ 安全面の観点から、活用が困難。(九州・中堅・陸運)

○ 品質等において各国の法規制をクリアしなければならず、現状では、手作業での精密部品組立とせざるを得ない。(東北・中小・業務用機械)

(注)(1)で、いずれの技術も「⑤必要性を感じない」と回答した企業(112社、回答社数の8.8%)における、必要性を感じない理由を記載。

※ Robotics Process Automation (ロボットによる業務自動化)

Page 22: 財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2 財務局調査による「労働生産性向上の取組」について~はじめに(労働生産性)~

20

財務局調査による「労働生産性向上の取組」について ~先端技術(IoT、AI等)の活用状況③~

先端技術の活用内容

○ RPAを活用した事務の自動化により、効率化を図る。(関東・大・リース 他)

○ ロボットの活用により、製造ラインでの効率化を図る。(東北・大・情報通信機械 他)

○ ビッグデータにより顧客の購買履歴を分析し、販売促進を図る。(近畿・中堅・小売 他)

先端技術の活用成果

○ 顧客データを持ち出す必要がなくなったことで、顧客データ流出等のリスクが低減するとともに、商談管理や見積もり業務が効率化された。(北海道・中小・小売 他)

○ トラブル発生時の対応時間が早くなったほか、品質管理の精度向上が不良品率の低下につながり、当社ブランド価値の上昇に寄与。

(関東・大・化学)

○ 定例業務に係る人員削減により、超過勤務の縮減に加え、サービスの高付加価値化に係る開発に人員を割けるようになった。

(北陸・中堅・印刷)

活用したくてもできない理由(その他の内容)

○ セルフレジの導入に当たっては、多様な商品券への対応が困難なため、導入に至っていない。(関東・中小・小売)

○ 業務の補助的な役割をロボットが担えればよいと思うが、現状実用に耐えうるものが存在しないと認識。(北海道・中堅・その他運輸)

活用後に顕在化した課題等

○ 技術の活用方法を、現場へ浸透させるための教育が必要。(近畿・大・小売 他)

○ 効率化が進んだのは間違いないが、本技術のみでどの程度効果があったのかについて、検証(費用対効果の可視化)が困難。(近畿・大・陸運 他)

○ IoT等の活用には電力を必要とするため、長時間の停電にも対応できる電力の自給を検討する必要。(北海道・中堅・窯業、土石製品)

○ 地震などの揺れの影響も受けやすく、故障した場合は、外部に委託しているため、修理までに時間を要する。(福岡・中小・食料品)

Page 23: 財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2 財務局調査による「労働生産性向上の取組」について~はじめに(労働生産性)~

システムの進化・知能化 人との共進化・協働

ものづくり・企業活動

交通

セキュリティー

くらし

医療・介護

ダイナミックプライシング最適航空運賃等の算出

RPA業務を自動化する

ソフトウェアロボット

交通ダイヤ最適化旅客の移動需要に応じて、

運転本数を最適化

無人店舗

画像診断 介護支援介護ロボット・ケアプラン作成

マーケティング分析需要予測

HRテック人事業務の効率化

現場作業支援生産現場の作業解析

金 融信用調査、金融市場分析、投資・ポートフォリオ管理

コネクテッドカー

創薬

見守り高齢者・児童の見守りサービス

チャットボット自動会話プログラム

スマートハウス広域監視インフラ点検、都市空間セキュリティ、

オープン空間セキュリティ

IoTプラットフォーム課題解決型クラウドサービス

自動運転

スマートファクトリー工場のIoT化、

ピッキング・物流支援ロボット

サービスロボット接客・警備・家庭用ロボット

21

企業における特徴的な取組等 ~AIを中心とした先端技術の全体像~

ヘルスケアリアルタイム健康診断

(出所)関東財務局公表資料

関東財務局

Page 24: 財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2 財務局調査による「労働生産性向上の取組」について~はじめに(労働生産性)~

【会社概要】➢ 昭和51年8月設立。知覧町(現南九州市)の誘致企業として立地。農業サポート製品や電子部品製造を手掛ける。

● 知覧は茶所であるが、近年、担い手の高齢化進んでいることから、無人茶園管理機を開発。

● 技術を要する摘採・集葉作業を自動で行いつつ、スムーズな収穫を可能とする自動走行システムを備える。全てセンサー制御でGPSを使用していないため低コストを実現。

【会社概要】➢ 平成24年6月設立。太陽光活用型野菜工場で、レタスの水耕栽培を手掛ける。県の「農商工連携ビジネスモデル創出事業」に認定。

● これまで人海戦術で行っていた移植・定植作業に、限りなく人間の動作に近い機能を設定したロボットを導入し、人員不足や社員の高齢化に対応。

● これまで1日6名で延べ36時間を要している作業を半減させる事が目標。

【会社概要】➢ 平成14年創業の遠隔監視システム設計施工等メーカー。畜産農家の働き方や収益の確保に貢献し、国内畜産の成長を目指す。

● 立ち会えば助かったであろう牛の分娩事故ゼロ(根絶)を目指し、体温センサー(牛温恵)を活用したシステムを開発。

● 親牛に留置した体温センサーで24時間監視しメールにて通知。安全かつ効率的な分娩対応につながる。

● 分娩事故は一般的に4%ほどあるものが、本システムの導入により、0.2%に低下。現在、全国1,900の牧場が本システムを活用。昨年の「第11回全国和牛能力共進会宮城大会」で各

部門のチャンピオン牛26頭のうち8頭がこのユーザー。

【会社概要】➢ 平成29年9月設立。IoTやAIを活用して、農家の日々の管理や心労が軽減され、経営的にも効果がある仕組みの提供を目指す。

● 畜産農家の生産性向上に向け、カメラ(IP、サーモグラフィ)を活用したシステムを開発。

● 牛舎に設置したカメラを活用し、牛の行動を監視。カメラから得られた情報をAIで画像解析し、分娩兆候等の行動をパソコンやタブレット等で把握が可能。

● 労働負担の軽減とともに、分娩事故(1件当たり損失60~70万円)を減少させ、農家収入の向上が図られる。(11月よりトライアル販売予定)。

㈱日本計器鹿児島製作所(鹿児島県南九州市)

㈱リモート(大分県別府市)

㈱ひむか野菜光房(宮崎県門川町)

ファーマーズサポート㈱(鹿児島市)

(移植・定植ロボット) (環境制御された施設内) (センサー等を装備した無人摘採機)

(体温センサー)

(工場内を一括管理するコントロールパネル)

野菜工場用移植・定植ロボット 無人茶園管理機

(集中コントロールパネル) (工場内部)

(分娩兆候等を動画で確認)

牛の分娩対応を安全かつ効率化

(体温情報を受信する子機)

企業における特徴的な取組等 ~先端技術の活用(1次産業①)~

22

ロボット等を活用した一次産業の生産性向上

九州財務局

Page 25: 財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2 財務局調査による「労働生産性向上の取組」について~はじめに(労働生産性)~

○ スマホ等の画像(野菜・果物の色)からおいしさをAIで解析、IoTで情報化

○ アプリ(業務用)を開発し、H30年4月よりサービス提供開始。生産者による利活用、流通事業者の実証試験等が進んでいる。

○ 適正な商品価格形成による農業所得の向上や、小売業等における商品差別化による販売促進などが期待される。

(1) 野菜等の「おいしさの見える化」システムの概要 (2) クラウドに送信されたデータの解析(IoT・AI)

【 ① 画像解析 】➢画像の補正(影や反射光など解析に無効な部分を除去)➢画像情報を光の三原色(R(赤),G(緑),B(青))に分光し、ヒストグラム化

して個体情報を取得

分光

① 野菜・果物をスマホ等

で撮影

② 画像情報を送信

③ 解析結果を返信

(撮影後数秒で)

④ 解析結果は分かり

やすい形でスマホ等

の画面に表示

※現在、16品目の野菜等に対応

きゅうり・ぶどう・いちご・りんご

・アスパラガス・白菜・さくらんぼ

・トマト・ミニトマト・小松菜・

ほうれんそう・かぶ・ブロッコリー

・キャベツ・レタス・にんじん

※順次拡充中

【 ② 味覚の数値化 】➢統計解析を基に、取得した個体情報から味覚(複数)を数値化(推計)。

クラウド

※ P23~24 画像提供:マクタアメニティ㈱

【 ③ おいしさの指標化 】➢対象品目に応じて、3~5つの味覚の値から「甘い」や「酸っぱい」、

「苦い」などのコメント(おいしさ:数十種類)をAIで判定(指標化)。

※おいしさの指標化のステップⅰ) 味覚のプロ(6次産業化コーディネーター・野菜ソムリエ)の指導・助言

を受けながら、味覚(複数)とおいしさの表現との関係を求める(プログラム化) 。

ⅱ) この関係式を基本としながら、AIでおいしさを判定。

企業における特徴的な取組等 ~先端技術の活用(1次産業②-ⅰ)~

23

画像解析による野菜等の「おいしさの見える化」システム

東北財務局

Page 26: 財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2 財務局調査による「労働生産性向上の取組」について~はじめに(労働生産性)~

○ H30年4月から、生産者向けサービス提供開始。【農家】

➢福島や山形など約20軒の農家が導入し、品質の確認や顧客への測定結果添付など、品質のエビデンス・味の保証として活用。

【流通】➢国内の大手流通事業者が、7月に店舗実証を実施。➢地元スーパーが、「産直品」のブランド力向上のために納品チェック

で活用。

(4) 実用化の現状

○適正な商品価格形成による所得の向上➢「食味」が価格形成(品質)の一要素となり、味の保証や格付に用い

られることで、農業所得の向上につながることが期待される。

○小売業等における他店との差別化➢POS情報と味覚情報を組み合わせ、販売エリアや消費者の好む

食味傾向のデータ化によって、商品差別化などの可能性も広がる。➢外食産業では、「サラダに適する」「加熱調理に向く」と簡単に識別

でき、顧客満足の向上に寄与できる。

(5) 期待される効果

➢マクタアメニティ㈱(福島県伊達市)は、S63年に株式会社化し、有機農業適応資材や有機農産物生産流通情報支援システムなど農業に特化したベンチャー企業。

➢ITにより生産から流通販売までを一体的に管理し、福島県内の生産者から有機農産物を首都圏の高級スーパーへ出荷。高付加価値化とコストダウンを実現するビジネスモデルを構築。

➢原子力災害の影響により、売上が大幅に減少し、ビジネスモデルが頓挫。

➢並行して取り組んでいた「おいしさの見える化」技術の開発(山形大学等と共同研究)が、H26年「ものづくり・商業・サービス革新事業」に採択され、H27年に新連携事業計画の認定を受けた。

(7) システムの開発主体・経緯等

○解析の高速化➢一度に大量処理する大口ユーザー向けに、コンベア上を高速で通

過する検体を、動画等で解析する高精度ロボット開発を検討中。○栽培技術の改善

➢農業生産者に情報(苦み成分等)をフィードバックすることで、施肥など栽培手法の分析・改善にも活用できる。

○簡易計測アプリの開発➢業務用を改良し、消費者にとって操作が容易なアプリを開発中。

(6) 将来構想

○ 簡便・高速処理⇒ 検体を送付する必要がなく、即座に結果表示。

○ 非破壊⇒ 商品価値が低下しない。

○ 低コスト⇒ 高額な専用装置は購入不要。

(初期費用:数万円、利用頻度に応じて課金)

➢果物で使用する「近赤外線糖度測定(光センサー)」は、甘さ以外が測定できない。

(3) 特徴点(従来の解析との違い)

(店舗実証)

マクタアメニティ株式会社 (コア企業)

株式会社SJC(システム管理)国立大学法人 山形大学

連 携 体

ほか

企業における特徴的な取組等 ~先端技術の活用(1次産業②-ⅱ)~

24

東北財務局

Page 27: 財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2 財務局調査による「労働生産性向上の取組」について~はじめに(労働生産性)~

㈱小林製作所(石川県白山市)

板金加工・塗装・組立及びIoT開発を手掛ける企業。様々な素材の加工を行う高い技術力と独自のソフト開発力により製造現場の改善を行い、高い生産性と品質に強みを持つ

【業種】精密板金加工業【創業】大正8年(1919年)【資本金】10百万円【売上高】1,845百万円(30/3期)【従業員】142名

■ 事務所と工場に約200台のウェブカメラを設置、製造に関する全ての映像を大量保存し、独自の検索エンジンでビッグデータとして社内で日々活用

【提供】㈱小林製作所

■ システムの改良を進め、「どのように(How)」の見える化に成功。職人の技術やノウハウをカメラシステムでデータ保存することにより、若手技術者への熟練技術の伝承に繋げている

・現状を正しく把握し、正しい

評価や改善に役立てる「カ

イゼンカメラ」として、生産

性と品質を高めるシステム

を構築。

・Sopak-Cは機械メーカー独自のIoTシステムの動きを画

像データとして取り込むことができ、異なるIoTシステムが

人の動きも含めて分かるようになる(人とIoTの融合)。

・スマートフォンを端末として利用することにより、どこでも

記録できSopak-Cの利用範囲が広がる。

・改良版の「Sopak-Lite」では、 新しい要素として、「画像日

報」「製品ものづくり記録」「技術伝承マニュアル」などの

機能が搭載されている。

・技術伝承機能では、熟練技術者が過去に加工した際の

画像を詳細に見ることができる。

■ 社内のみで運用していた同システムの評判が広がり、社外からの要望に応え、外販も開始。生産管理ソフト会社テクノア(岐阜市)と技術提携を行い、機能を強化。顧客のトレーサビリティー等に寄与

【提供】㈱小林製作所

■ 人手不足を背景に、従業員の高齢化に伴う年齢構成の不均衡が顕在化。「このままでは、技術が途絶え、多品種・小ロットの製品の短期間での加工・提供の継続が困難になる」という課題に直面

㈱小林製作所のIoTコンセプト~「人」と「先端技術」の融合~

IoTにより、様々な情報を人が理解できるように表現!

仕事は「人」に支えられて成り立っている!

IoTは人の能力を引き出すツール

■ 「課題解決のためには工場の中を知り、職人技が分かる人材を育てることが不可欠」との認識の下、40年にわたり社内システムの開発を続けてきた社長を中心に人とシステムの融合を目指しカイゼンカメラシステム「Sopak-C」を開発

■ 生産管理システムでは、いつ、誰が、どこで、どれぐらいの時間をかけて作業を行っているかを把握。正確な工程管理の実現により、作業効率は格段に向上し、作業時間は15%短縮。このほか、IT技術を活用し、社内の様々な問題の解決に継続的に取り組んでいる

課題

取組みと成果①先端技術の提供

取組みと成果②

企業における特徴的な取組等 ~先端技術の活用(製造業①)~

25

IoTを活用した「人」と「先端技術」の融合

北陸財務局

Page 28: 財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2 財務局調査による「労働生産性向上の取組」について~はじめに(労働生産性)~

三浦工業(株)(はん用機械、大企業)

メンテナンス事業における利益率の向上課題

IoTを用いたメンテナンス事業を29年前より実施取組み

IoTを活用したビジネスモデルの確立成果

• 当社(ボイラー業界首位)は、動力、熱源、空調、殺菌等に用いられる蒸気を、水を熱し発生させる業務用ボイラーのうち小型ボイラーを製造。

• 小型ボイラーは法令上専門技師が不要なことから、メンテナンス事業においては簡単な問合せから工場の運転停止に直結する故障対応まで、メンテナンス要員の出動回数が多く、休日・夜間を問わず対応が必要。そのため、出動頻度の低下等による、事業の効率化と要員の負担軽減が課題。

• 1989年に業界初となる「オンライン・メンテナンス」を導入。ボイラーに各種センサーを埋め込み、24時間遠隔監視する。ボイラーの蒸気温度、圧力、燃焼推移、給水異常などのデータをIoTにより取得し、故障前のメンテナンスを計画的に実施。

• メンテナンス契約は、3年毎に更新し5期15年。ボイラー購入者の約85%が契約。

• 現在は他社も同様のサービスに取り組んでいるが、他社に先駆けて取り組みサービス網の拡充を進めたことから、全国に約100拠点、メンテナンス要員1,000名以上は業界屈指。

①効果

• 突発的な故障が減少するとともに、故障した場合でも現場に行く前に故障の原因がわかるため部品等の事前準備ができ早期回復が可能。

• 事前に異常を検知することにより電話での復旧指導範囲が広がり出動回数が減少。夜間・休日出勤の減少により離職率も低下。

• 要員一人当たりの管理ボイラー数が増加し、効率的なメンテナンスが可能。

②成果

• 専門技師が不要な小型ボイラーには、IoTを利用したメンテナンスが効果的であり、売上、業界シェアとも拡大。またメンテナンス事業は、安定的なキャッシュフローを生み、IoT化による利益率の向上により、総売上の3割、総利益の6割を占める。

• さらに、蓄積したビッグデータを活用し、故障しやすい部品の改良を行い、品質の向上を図るとともに、顧客のボイラーの利用状況に応じた制御プログラムの作成による省エネの提案を実施。

• 0

• 1,000

1989年度 2017年度

(億円) 三浦工業売上高(単体)

オンラインメンテナンス導入時の3倍の売上高

オンラインメンテナンスを採用すると

出動率 0.87%

出動率 19%

異常発生時に対する出動数の状況メンテナンス拠点数約100カ所

サービスエンジニア1,000名以上

オンライン管理缶数60,118台

(2018年4月末現在)

出動

0

企業における特徴的な取組等 ~先端技術の活用(製造業②)~

26

IoT導入による収益性の向上

四国財務局

Page 29: 財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2 財務局調査による「労働生産性向上の取組」について~はじめに(労働生産性)~

異常検出 万引きGメンのノウハウを元に店舗の空間的リスク状態をスコアリングし、多店舗間で情報を共有。

不審者登録 顔認証や行動特定により不審者を予測。犯罪リスクに繋がる可能性のある人物を特定、通知。

検索マルチデバイス 録画内容の検索やダイジェスト版の自動作成で、必要なシーンを簡単にチェック可能。

録画 一般的な録画機能。

○ 時間別の来客推移

○ 1日の総数表示機能

○ 滞留時間表示機能

○ AI TOKYO LABはサツドラHDのグループ会社であり、サツドラHDのAI部門。

○ 業務内容は、AIを活用した生産性向上、業務効率化のソリューション提供、AI人材の育成、新規事業開発の支援を行っており、クライアントはTOYOTAやPanasonic、KDDIなどのナショナルブランド。

○ 北海道は首都圏に比べ非効率な立地条件、人手不足が進んでいるものの、広大な土地、農産物、観光資源などの強みを有している。サツドラは地域を牽引するリージョナル企業として先端技術を活用し、「北海道の価値」を高める取組を推進する。

事例 AIカメラにより作業システム改革を行う!(開発中)

購買に繋がる顧客行動分析や導線調査から防犯機能の向上まで従業員の負担を軽減!・「作業の標準化」「作業の可視化」「属人性の排除」等のボトルネックを、AIを活用することで定量化。・AIカメラにより顧客の性別、滞在売場、滞在時間等の顧客行動分析や導線調査を通じ、店内の売場作りや少ないオペレーションでの営業を可能に。・万引きGメンのノウハウを元に店舗の空間的リスク状態をスコアリングし、多店舗間情報を共有することで、より高い精度で万引きリスクを検知。・AIシフト調整システムと連動し、店長のシフト作成に関する負荷を大幅削減しつつ、振り返り・業務改善をサポート。

来客属性分析

○ マッピング表示

○ POS情報と連動

○ A-B比較

店舗内導線分析 防犯機能

AI

AIシフト調整システムとの連動

導入前 導入後

店舗改善に活かせない作成したシフトによって、顧客、従業員満足度、売上、コスト貢献がどの程度になったのか振り返りが困難。

作成・変更の手間大膨大・変化する情報を俯瞰してシフトを作成。

過去シフト業務分析情報

AIカメラで取得したデータ

AIシフト作成エンジン シフト・業務割振自動作成

業務実績、気づきの自動データ化

計画・実績差異(見える化)

(出所)AI TOKYO LAB (株)資料、北海道財務局ヒアリングを基に作成

企業における特徴的な取組等 ~先端技術の活用(非製造業)~

27

「AIカメラ」による作業システム改革

北海道財務局

Page 30: 財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2 財務局調査による「労働生産性向上の取組」について~はじめに(労働生産性)~

【取組内容①(データ蓄積)】

【取組の背景】

【今後の展開】

(実証フィールド)

○沖縄県は全国平均より気温や湿度が高く、本土と気象条件が異なる独自の「暑熱環境」が存在する地域であり、熱中症が「建設・工事現場」で多く発生している。○共同企業体(3社)は、沖縄県のIoT実証事業補助を活用し、独自のアルゴリズム(解析手法)を開発することで熱中症リスク管理に役立つシステムを構築する取組

を行うこととした。○開発した「沖縄県独自の暑熱環境アルゴリズム」を基に、県内建設事業者向けに工事現場での「熱中症」に関する指標及び「熱中症」注意喚起の指標として利活用

を拡大していく予定である。

・沖縄県は全国平均より気温や湿度が高く、本土と気象条件が異なる独自の「暑熱環境」が存在する地域である。・沖縄県内での熱中症の状況(H30.6.1~H30.7.14)は、245件中75件(31%)が「建

設・工事現場」で最も多く発生している。安全管理の意識は高まりつつあるが、熱中症予測は難しい状況にある。

・IoTスマートウェアを着用した建設作業

員のバイタルデータと沖縄県の気象データなどをクラウドサーバーに蓄積して、作業員ごとの暑熱環境下での作業リスクをリアルタイムに評価する。

・評価結果は、現場管理者及び現場作業員にリスク情報として通知し、早期の熱中症予防に役立てる。

①沖縄セルラー新ビル建設現場=KDDI那覇ビル解体工事現場(那覇市)

実証事業の時期:H30.8.6~ H30.12.31実証事業対象者:5名

《収集したデータの利活用》

・開発した「沖縄県独自の暑熱環境アルゴリズム」を基に、県内建設事業者向けに工事現場での「熱中症」に関する指標及び「熱中症」注意喚起の指標として利活用を拡大していく予定である。

○沖縄セルラー電話㈱(那覇市) 実証事業統括、通信環境の構築

○KDDI㈱(東京都) 沖縄県IoT基盤の連携支援

○倉敷紡績㈱(大阪府)※ Smartfitの提供、システムの構築

②沖縄セルラーau基地局工事現場 (県内5ヵ所)実証事業の時期:H30.8.6~H30.12.31実証事業対象者:12名

①沖縄県独自のアルゴリズム解析に向けたデータ収集・評価の実施⇒セキュリティ確保や取得データ有用性などを検証すべく、データ抽出における

課題を洗い出し、研究開発側にフィードバックしていく。

【取組内容②(データ評価・課題抽出)】

②現場作業者・現場管理者へのアンケートを基に、各項目に対する評価の実施⇒システム/インターフェイス/着心地のウェア関連のそれぞれの課題を抽出し、より安全で確実な方法を研究開発側にフィードバックしていく。

【見込まれる成果】

①熱中症を未然に防止することで、安全性と作業効率を向上させて生産性を高める。

②システムの通信環境やスマートウェアの提供機会を増やして収益拡大を図

る。

②①

※倉敷紡績㈱は、国立大学法人大阪大学(データ解析評価、アルゴリズムの構築)、一般財団法人日本気象協会(アルゴリズム構築のための気象データの提供)と共同研究体制を敷いている。

・共同企業体(3社)は、沖縄県のIoT実

証事業補助を活用し、独自のアルゴリズム(解析手法)を開発することで沖縄県の環境に適した熱中症リスク管理に役立つシステムを構築する取組を行うこととした。

③データ評価、最終解析、課題抽出は31年3月までに確定する予定である。

《参考》H30年度熱中症発生状況調べ(期間H30.6.1~H30.7.14) 【出所:沖縄県】①建設・工事現場75件(31%)、②運動場25件(10%)、③農地19件(8%) ・・・ 合計245件

リスク情報・暑熱作業リスク・体調変化

危険度色表示など

作業者へ通知 管理者へ通知

危険度色表示など

リスク情報・暑熱作業リスク・体調変化

企業における特徴的な取組等 ~先端技術の活用(先端技術の提供)~

28

共同企業体の概要

IoTを活用した「暑熱環境アルゴリズム」の開発

沖縄総合事務局

Page 31: 財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2 財務局調査による「労働生産性向上の取組」について~はじめに(労働生産性)~

4社,6.7%

11 社,18.3%

12 社,20.0%

22 社,36.7%

29 社,48.3%

4 社,6.7%

21 社,35.0%

23社,38.3%

27社,45.0%

その他

労働集約型の生産活動を行っており、先端技術により代替できない

経営陣や社員の理解が得られない

導入に係る資金が不足している

導入してもIT技術を使いこなせる人材がいない

導入により情報の漏えいが懸念される

導入にあたり誰に相談してよいかわからない

自社の課題に対してどのように活用してよいかわからない

先端技術がどのようなものかわからない

16社,8.2%

84社,42.9%

18社,9.2%

41社,20.9%

38社,19.4%

9社,4.6%

16社,8.2%

44社,22.4%

66社,33.7%

1社,2.7%

6社,16.2%

14社,37.8%

22社,59.5%

13社,35.1%

8社,21.6%

6社,16.2%

11社,29.7%

1社,2.3%

1社,2.3%

17社,38.6%

26社,59.1%

14社,31.8%

3社,6.8%

1社,2.3%

14社,31.8%

その他

人手不足の解消

コスト(人件費、保守費用等)の削減)

業務効率の向上(従業員の負担軽減)

既存製(商)品・サービスへの

付加価値の付与(品質・ブランドの向上)

新製(商)品・サービスの開発

新事業への進出(多角化)

既存事業の規模拡大(競争力強化)

大企業

中小企業8%

33%

14%

45%

活用済

活用予定又は

検討中

活用したくても

できない

活用予定無し

○ 先端技術を活用していると回答した大企業の割合は88%に対して、中小企業の割合は8%となっており、中小企業における先端技術の活用はほとんど進んでいない。しかしながら、「活用予定又は検討中」、「活用したくてもできない」と回答した中小企業の割合は47%となっており、先端技術活用についての関心の高さが窺える。

○ 先端技術の活用目的としては、中小企業においても「業務効率の向上(従業員の負担軽減) 」と回答した割合が最も高く、大企業と差異は見られない。一方で、「人材不足の解消」と回答した中小企業の割合は、大企業に比べて高くなっている。

○ 先端技術の活用が進まない理由をみると、「先端技術がどのようなものかわからない」、「どのように活用してよいかわからない」、「導入にあたり誰に相談してよいかわからない」といった回答が多いほか、「IT技術を使いこなせる人材がいない」といった人材面の課題や「導入に係る資金が不足している」といった資金・費用面の問題点が多く聞かれる。

先端技術の活用状況 ~大企業と中小企業との比較~

回答社数 :435社

先端技術の活用目的 ~大企業と中小企業の比較~

【「先端技術を活用したくてもできない」理由 】 システムを使える人材の確保や既存従業員への

対応が必要。 【サービス業】

建設労務のため、先端技術の必要性がないし、

先端技術がわからない。 【建設業】

自社を見てどこをどうすれば業務効率が上がるか

アドバイスをくれる人がいると先端技術を導入しや

すい。 【卸・小売業】

先端技術導入後の働き方が想像できないので積

極的に検討が出来ない。 【卸・小売業】

まずはAIに学ばせるためのデータの収集が必要。

【製造業】

回答社数 : 51社

中小企業で先端技術の活用が進まない理由活用が進まない中小企業の声

【「先端技術を活用しない」理由 】

88%

6%4% 2%

<大企業> <中小企業>

(出所)「中小企業」については、愛知中小企業家同友会協力のもと同会会員企業から得た回答に基づき東海財務局にて作成

回答社数:大企業 44社、中小企業 37社

回答社数:

60社(複数回答)(出所)愛知中小企業家同友会協力のもと同会会員

企業から得た回答に基づき東海財務局にて作成

回答社数:

196社(複数回答)

企業における特徴的な取組等 ~先端技術の活用(中小企業における活用状況)~

29

(出所)「中小企業」については、愛知中小企業家同友会協力のもと同会会員企業から得た回答に基づき東海財務局にて作成。なお、「中小企業」とは、中小企業基本法第2条に定める中小企業者をいう(以下、同じ)

東海財務局

Page 32: 財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2 財務局調査による「労働生産性向上の取組」について~はじめに(労働生産性)~

○ 中小企業における先端技術の活用については、アンケートの結果から、主に①導入費用が大きい、②先端技術のことについてわからない、といった理由によって先端技術の導入が進んでいないことがわかる。

○ こうした中、東海地方の製造業では製造品付加価値額の約半分を中小企業が占めていることや、非製造業に比べて製造業は①何をやりたいか決まっている、②データが取りやすい、といったAIなどの先端技術を導入する条件を満たしやすいなど、中小企業の製造業が先端技術の導入を進めていくメリットは大きい。

○ 中小企業の課題解決にあたって、低コストで導入可能なIoTの仕組みの導入を支援している企業があるほか、支援機関による人材育成のための研修が行われているなど、課題解決に向けた取り組みが行われている。

○ 一方で、そもそも先端技術が何かわからない中小企業に対して十分な対応が必要な状況にあり、例えば、中小企業に寄り添ってコンサルティングを行う金融機関が企業をやる気にさせ、中小企業の課題を分析した内容を専門家に伝えるなどの取組みが期待されている。

○ 中小企業が先端技術を活用するにあたっての課題を解決するためには、中小企業と金融機関、支援機関等が連携していく必要がある。

中小企業

支援機関・

官公庁

金融機関

中小企業における先端技術活用上

の課題

課題に対応した主な支援事例

IoT導入支援 AI導入支援 IT・IoT導入支援、人材育成

i Smart Technologies 株式会社 株式会社キスモ 公益財団法人ソフトピアジャパン

・低コスト(初期費用約10万円)で導入可能・古い設備にも設置可能

・簡易なAI精度検証のトライアルなど、規模に見合った導入の提案が可能

・全国各地のIoT導入事例集を紹介・職員による現場訪問・ヒアリングの実施

・工場の見える化等を支援する「スマートものづくり指導者」等を派遣・IoT活用にかかる相談の受付・提案の実施

・人材育成のための研修を実施

・IoTセミナーの開催やIoT導入工場の見学を実施・高精細3Dプリンタやレーザー加工機などのデジタル工作機器を設置し、一般に利用開放

・AIの専門家でなくともAI開発を可能にする、全自動AI開発支援パッケージの提供

・データを解析して改善アドバイスを行う「ライン診断サービス」の提供・e-ラーニング教材の作成、セミナーの実施

・セミナー・講演の実施・IoT導入工場の見学受入れ

①導入費用が大きい

②先端技術がわからない

(1)関心はあるが、

何が自社の課題で、何をしたいかがわからない

(2)データを活用できる人材がいない

(3)導入の効果・成功確率がわからない

(4)そもそも何もわからない。関心がない

中小企業の課題解決

活用推進に

向けた課題

・ AI・IT人材の育成(企業内の人材、企業外のコンサル・データアナリスト人材の育成)

・ 中小企業をサポートする環境(システムの企画・運営をサポートするサービスの提供、相談窓口の拡充)

・ 支援企業に単に専門家を派遣させるだけでなく、企業の分析をして専門家との間の橋渡し役をする

・ 支援企業をやる気にさせる

金融機関に期待

される役割

シンプルなシステム構築により、顧客の設備に後付けのセンサーを1時間程度で取り付け、データを自動収集し、稼働状況がリアルタイムにモニタリングできる仕組みを構築

AIを活用した新規事業/新商品の企画

から、社内の業務効率化まで一気通貫でサポート

IoT、ビッグデータ、AI、ロボット等を導入・

活用できるよう促進し、生産性の向上や新商品・新サービス創出を実現するための支援を実施

連携・支援連携・支援

十分な対応が必要

連携

・国の補助事業を活用することにより中小企業の自己負担額を軽減(例:スマートものづくり指導者等の派遣費用のうち2/3を県と国で補助)

・ IoT投資をきっかけとして、自動化投資(ロボット)へつなげていくことが必要で、そこで資金需要も発生するため、IoT導入段階から企業に関与していく

・AIの精度を診断し、成功確率が上がるような精度向上のサポート

・開発要件に関するヒアリングを通じたコンサルティングサービスの提供

企業における特徴的な取組等 ~先端技術の活用(中小企業の課題解決に向けて)~

30

東海財務局

Page 33: 財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2 財務局調査による「労働生産性向上の取組」について~はじめに(労働生産性)~

Ⅳ 従業員の処遇改善・働き方改革

4.企業規模別及び業種別の回答状況

※ 大企業 : 資本金 10億円以上中堅企業 : 資本金 1億円以上 10億円未満中小企業 : 資本金 1億円未満

587

312

327

1,226

回答企業数企業規模

大企業

中堅企業

中小企業

合計

64

13

7

17

1

51

7

23

37

13

23

14

73

13

37

61

58

21

23

556

3

78

2

2

非製造業

01 農業、林業

15 建設業

70 電気業

71 ガス・熱供給・水道業

29 情報通信機械器具製造業

36 自動車・同附属品製造業

38 その他の輸送用機械器具製造業

39 その他の製造業

小計

製造業

18 食料品製造業

20 繊維工業

22 木材・木製品製造業

24 パルプ・紙・紙加工品製造業

25 印刷・同関連業

26 化学工業

27 石油製品・石炭製品製造業

30 窯業・土石製品製造業

31 鉄鋼業

32 非鉄金属製造業

33 金属製品製造業

51 はん用機械器具製造業

34 生産用機械器具製造業

37 業務用機械器具製造業

35 電気機械器具製造業

業種 回答企業数

14

33

3

5

28

333

17

9

3

43

19

24

11

3

4

7

2

9

3

14

1

670

1,226

40 卸売業

49 小売業

59 不動産業

77 リース業

73 その他の物品賃貸業

75 宿泊業

業種 回答企業数

非製造業

小計

合計

銀行業

貸金業等

80 医療、福祉業

85 教育、学習支援業

86 職業紹介・労働者派遣業

89 その他のサービス業

50 飲食サービス業

76 生活関連サービス業

79 娯楽業

74 広告業

82 純粋持株会社

60 情報通信業

61 陸運業

64 水運業

69 その他の運輸業

1.調査期間等

(1)調査期間 : 2019年3月中旬~2019年4月中旬

(2)調査対象 : 各財務局が管内経済情勢報告を取りまとめる際に従来から継続的にヒアリングを実施している企業等。全国計1,226社。

(3)調査方法 : 各財務局においてヒアリング調査を行い、回答を分類。

2.用語の定義

「ベア(ベースアップ)」とは、賃金表等の改定により賃金水準を引き上げること。

「定期昇給」とは、毎年一定の時期を定めて、その企業の昇給制度に従って行われる昇給。また、毎年時期を定めて行っている場合は、能力、業績評価に基づく査定昇給なども含む。

「賞与・一時金」とは、1年間における賞与、期末手当等特別給与額(いわゆるボーナス)をいう。支給事由の発生が不確定な手当や、新しい協約による給与の追給額も含まれる。

3.注意事項

結果数値(%)は小数点第2位を四捨五入しているため、合計が100.0%にならない場合がある。

(4)~(6)について、非正規従業員の時給等の引上げは調査対象に含めていない。

31

Page 34: 財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2 財務局調査による「労働生産性向上の取組」について~はじめに(労働生産性)~

891社

82.7%

187社17.3%

○ 大多数の企業(93%程度)において、従業員の処遇改善や働き方改革が実施される中、具体的な取組について確認したところ、「時間外労働の上限規制、勤務間インターバル制度の導入」(47%程度)や「業務プロセスの見直し」(43%程度)など長時間労働の是正につながる取組を行っている企業が多いほか、「人材育成」(46%程度)や「福利厚生の充実」(44%程度)に取り組んでいる企業も多くみられた。

○ こうした取組を行っている企業の大多数が「効果有」と回答し(83%程度)、その内容を確認したところ、「離職率の低下」や「時間外労働の減少」を挙げる企業が複数みられた。

32

財務局調査による「労働生産性向上の取組」について ~従業員の処遇改善・働き方改革①~

(1)従業員の処遇改善・働き方改革の取組 (複数回答)

回答社数:1,216社(未回答10社除く)

行っている1,126社(92.6%)

行っていない90社(7.4%)

【取組内容】

○ パソコンのログオン・オフ時間を管理することで、勤務実態を把握し、残業時間の多い部署の管理職に説明責任を負わせることで、長時間労働の削減を図っている。また、経営陣が率先してペーパーレス化を推進しており、会議準備等に係る時間の短縮が図られた。(近畿・大・生産用機械)

○ 社員寮の整備、研究職のテレワーク、フレックスタイム、時間外労働の上限や生産効率向上のための業務プロセス見直しを実施。(福岡・大・電気機械)

○ 30歳になるまで家賃補助を支給。また新卒者が人間関係を形成しやすいように本社

勤務の後に全国の支店に配属させる「つながり配属」を実施。若手社員の定着に力を入れている。(関東・大・建設業)

○ 作業の文書マニュアル化や提案改善制度の推進により、従業員数の減少や高齢化への対応を行っている。(東北・中堅・小売業)

○ パート社員にも販売登録者資格受験を推奨し、受験費用の補助や合格祝金等を出している。資格を持つと時給がアップし、幅広い業務に対応してもらえるようになるので、正社員の休暇などの際のバックアップができるようになる。(中国・中小・小売業)

○ 社員旅行の実施や、休憩室の増床、女性社員増加に伴うトイレの改装を実施。(北陸・中小・その他の製造業)

(2)効果の有無

【効果の内容】

○ 離職率が低水準を保っているほか、従業員アンケートでは、当社の待遇や周囲の環境等への満足度が増加傾向。(東北・大・非鉄金属)

○ 過重労働社員(時間外労働月100時間以上)が前年比で半数以下に減少したほか、4週8休以上のペースで休日を取得できた社員の割合が増加した。(関東・大・建設業)

○ RPAの導入により業務効率化・省人化が図れ、その分の人員を別の部署に配置することで生産性が向上(増収)。(近畿・大・小売業)

○ 文書のマニュアル化を行った部署において、前年度に比べ人員が減少したにも関わらず、残業が発生していない。(東北・中堅・小売業)

○ 女性が働きやすい職場環境により、女性従業員の離職率低下や求職者数の増加につながった。(九州・中小・医療、福祉業)

【取組を行っていない理由】

○ 過去、現在ともに残業は無く、特段の必要性を感じていない。(東北・中小・リース業)

○ 賃金引上げによる処遇改善を優先的に行っているため。(四国・中小・その他の輸送用機械 他)

回答社数:1,078社(未回答48社除く)

90社7.4%

53社4.4%

527社43.3%

568社46.7%

30社2.5%

264社21.7%

417社34.3%

146社12.0%

557社45.8%

533社43.8%

行っていない

その他

業務プロセスの見直し

時間外労働の上限規制、

勤務間インターバル制度の導入

副業・兼業の推進

テレワーク・フレックスタイム

制度の導入

正社員登用制度、労働時間・

職種・勤務地等を限定とした

多様な正社員制度の導入

雇用形態にかかわらない

公正な待遇の確保

人材育成

福利厚生の充実

Page 35: 財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2 財務局調査による「労働生産性向上の取組」について~はじめに(労働生産性)~

○ 長時間労働の是正に伴う、時間外手当等の費用減少分の活用策を確認したところ、費用の減少を通じ「①従業員に還元」、「②人件費以外の業務等に活用」した企業が半数弱(45%程度)となった一方、「④コストの減少につながっていない」企業も一定数(39%程度)みられた。

○ ①の具体策として「賞与・一時金の給付・増額」(53%程度)や「賃上げを実施」(36%程度)、②の具体策として「設備投資(省力化・効率化など)」(56%程度)や「人材確保・育成に向けた取組」(53%程度)が多い。④においては、「コストの減少が働き方改革によるものなのか判断できない」などの回答が得られた。

33

財務局調査による「労働生産性向上の取組」について ~従業員の処遇改善・働き方改革②~

(3)長時間労働の是正の推進に伴う時間外手当等の費用減少分の活用策 (複数回答)

活用策あり321社(45.1%)

<①の内訳(複数回答)> <②の内訳(複数回答) >※ 「コスト減につながっていない」には、コストの減少額を

把握していない場合を含む。

※ ①、②は複数回答。今後予定している活用策を含む。

①従業員に還元243社(34.1%)

②人件費以外の業務等に活用190社(26.7%)

③活用未定(コストの減少にはつながっているものの、活用策は未定)

117社(16.4%)

回答社数:712社(未回答99社除く)

【①の内容】

○ 人件費の削減割合に応じた業績数値化により、賞与等へ反映。(東海・大・小売業)

○ こども手当の創設等、手当の新規創設に取り組んでいる。(北海道・中堅・小売業)

○ 本年4月より定年を延長し、60歳以上の給与水準を引き上げる予定。(関東・大・化学)

○ 従業員モチベーション向上のため、福利厚生施設の設備等の改善に充当。(福岡・中小・自動車・同附属品)

○ 手狭な休憩室を改修し、休憩時間に従業員が休みやすい環境を整備。(北陸・中小・小売業)

○ 本年4月からの定年延長と60歳以上の給与水準引上げの原資として活用予定。(関東・大・化学)

【②の内容】

○ 人材育成のための待遇改善や、効率化投資(ICTの導入)を実施。(関東・大・建設業)

○ パソコン未設置部門において、新たにパソコンを設置。ペーパーレス化を図ることにより、効率性の向上につなげた。(近畿・大・純粋持株会社)

○ 省人化・業務効率化を目的とした店舗の統廃合を進めている。(近畿・大・小売業)

○ 外部講師による社内研修の充実、会議室の増設及びシステムの導入に活用。(東海・大・自動車・同附属品)

○ 一人当たりの残業を減らす分、代替としての新規採用を促進。(沖縄・中小・その他の物品賃貸業)

【④の理由】

○ 時間外労働は減少しているものの、生産量も減少しており、コストの減少が働き方改革によるものなのか判断できない。(東北・中堅・情報通信機械)

○ 惣菜等の調理やパック詰めの拠点化により、店舗の負担は減少したが、同拠点の費用が必要なためコスト減にはならない。(関東・大・小売業)

○ 有給休暇を積極的に取得させた分、時間外手当が前年より多くなった。(福岡・中堅・宿泊業)

【③の理由】

○ 今後の様子をみて判断。(近畿・大・卸売業 他)

○ 減少額は微々たるものであり、改めて活用策を決めるほどではない。(北陸・中小・繊維)

14社5.8%

73社30.0%

128社52.7%

39社16.0%

88社36.2%

その他の活用策

福利厚生の充実

賞与・一時金の

給付・増額

別途手当の創設、

既存手当の増額

賃上げを実施

9社4.7%

17社8.9%

107社56.3%

32社16.8%

100社52.6%

その他の活用策

負債の圧縮

設備投資(省力化・

効率化など)

新たな製(商)品・

サービスの開発

人材確保・育成に

向けた取組

④コストの減少につながっていない274社(38.5%)

Page 36: 財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2 財務局調査による「労働生産性向上の取組」について~はじめに(労働生産性)~

40.8%

40.8%

37.8%

15.5%

19.6%

20.3%

38.8%

32.3%

35.2%

4.8%

7.3%

6.7%

2019

2018

2017

55.7%

58.7%

53.9%

10.9%

11.6%

15.6%

29.5%

25.0%

26.5%

3.9%

4.7%

4.0%

2019

2018

2017

55.0%

56.1%

50.5%

11.4%

13.0%

15.2%

30.7%

27.5%

30.9%

3.0%

3.5%

3.4%

2019

2018

2017

47.8%

49.0%

45.1%

13.4%

15.9%

18.2%

34.5%

29.0%

31.2%

4.4%

6.1%

5.5%

2019

2018

2017

38.4%

40.0%

39.0%

14.0%

17.5%

18.6%

39.6%

31.3%

32.7%

8.0%

11.3%

9.7%

2019

2018

2017

44.4%

44.9%

41.3%

16.3%

19.9%

23.4%

36.1%

29.5%

30.4%

3.2%

5.8%

4.8%

2019

2018

2017

(注1)「ベア+一時金増額+定期昇給」、「ベア+一時金増額」、「ベア+定期昇給」を行った企業は「ベアを行った企業」に、「一時金増額+定期昇給」を行った企業は「ベアを実施せずに一時金増を行った企業」に計上。

・・・定期昇給のみを行った ・・・何らかの賃金引上げを行った

○ 2019年度に「賃金引上げ」を行う企業の割合は96%程度(態度未定除く)、「ベア(ベースアップ)」を行う企業の割合は48%程度(同)となるなど、直近2ヶ年と傾向は大きく変わらず、賃金引上げの流れが続いている。

○ 業種別でみると、「賃金引上げを行う企業の割合」については、製造業が高い(96%程度)一方、当該「増加幅」については、非製造業が大きい。(+2.5%pt (2018年度:92.7% → 2019年度:95.2%))

○ 規模別でみると、「賃金引上げを行う企業の割合」については、大企業が高い(97%程度)一方、当該「増加幅」については、中小企業が大きい。(+3.2%pt (2018年度:88.8% → 2019年度:92.0%))

(4)2017~2019年度の賃金の動向 (注1、2)

34

財務局調査による「労働生産性向上の取組」について ~従業員の処遇改善・働き方改革(参考:賃金①)~

・・・ベアを行った ・・・賃上げを行わなかった・・・ベアを行わず、賞与等増を行った

回答数(未回答及び態度未定(2019年度のみ)除く)2017年度:1,210社、2018年度:1,211社、2019年度:942社

管内経済情勢報告の取りまとめに併せ、企業等に対し、賃金等の動向に関するヒアリングを実施。

対象先数は計1,226社。

(内訳は、製造業556社、非製造業670社。規模別では、大企業587社、中堅企業312社、中小企業327社。)

92.0%(+3.2%pt)

88.8%

(注2)正規従業員とは、「雇用期間を定めずに雇用されている労働者」としている。日雇労働者や季節労働者など雇用期間に定めのある労働者のほか、雇用期間に定めがあって契約期間を更新している労働者は除く。また、「ア)事業主、社長 イ)理事、取締役などの役員 ウ)家族従業員」も除く。ただし、イ)又はウ)の者でも、一般の労働者と同じように勤務し、同じ給与規則によって給与を受けている者((例)工場長)は常用労働者に含める。(厚生労働省「賃金引上げ等の実態に関する調査」を参照。)なお、(4)~(6)について、正規従業員以外の従業員(非正規従業員)の時給等の引上げは調査対象に含めていない。

94.5%

93.9%

95.6%(+1.7%pt)

全規模・全産業

大企業 中堅企業 中小企業

製造業 非製造業

92.7%

95.2%(+2.5%pt)96.1%(+0.8%pt)

95.3%

94.2%

96.8%(+2.6%pt)

96.5%

97.0%(+0.5%pt)

Page 37: 財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2 財務局調査による「労働生産性向上の取組」について~はじめに(労働生産性)~

4.6%

5.9%

11.1%

10.5%

34.0%

32.0%

41.8%

42.5%

8.5%

9.2%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%

2019

年度

2018

年度

4.0%以上 3.0%~4.0%未満 2.0%~3.0%未満 1.0%~2.0%未満 1.0%未満

2.5%

3.7%

10.4%

9.8%

36.2%

37.4%

45.4%

44.2%

5.5%

4.9%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%

2019

年度

2018

年度

4.0%以上 3.0%~4.0%未満 2.0%~3.0%未満 1.0%~2.0%未満 1.0%未満

2.3%

2.3%

9.9%

13.7%

41.2%

40.5%

38.9%

36.6%

7.6%

6.9%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%

2019

年度

2018

年度

4.0%以上 3.0%~4.0%未満 2.0%~3.0%未満 1.0%~2.0%未満 1.0%未満

2.9%

3.6%

10.4%

11.8%

37.9%

37.4%

41.5%

40.3%

7.3%

6.9%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%

2019

年度

2018

年度

4.0%以上 3.0%~4.0%未満 2.0%~3.0%未満 1.0%~2.0%未満 1.0%未満

○ 2019年度に賃金引上げを実施する(予定を含む)企業に対し、賃金引上げ率(月収(ベア+定期昇給)ベース)を確認したところ、2019年度の

賃金引上げ率が「2.0%以上」と回答した企業は、2018年度を下回るものの、引き続き半数超となっている(2019年度:51%程度)。

○ 規模別でみると、中小企業において、 2019年度の賃金引上げ率が「2.0%以上」と回答した企業は2018年度を上回っている(同:50%程度)。

財務局調査による「労働生産性向上の取組」について ~従業員の処遇改善・働き方改革(参考:賃金②)~

2018年度回答数:578社(未回答559社除く)2019年度回答数:578社(未回答323社除く)

2018年度回答数:262社(未回答297社除く)2019年度回答数:262社(未回答165社除く)

2018年度回答数:163社(未回答131社除く)2019年度回答数:163社(未回答81社除く)

2018年度回答数:153社(未回答131社除く)2019年度回答数:153社(未回答77社除く)

52.8%15.4%

(5)2019年度の賃金の引上げ動向 (月収(ベア+定期昇給)ベースの賃金引上げ率)

全規模

大企業

中堅企業

中小企業

13.3%

51.2%

48.4%

49.7%

35

Page 38: 財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2 財務局調査による「労働生産性向上の取組」について~はじめに(労働生産性)~

0.6%

7.4%

12.7%

51.8%

7.7%

24.2%

85.5%

33.8%

0.8%

5.0%

10.6%

54.3%

6.7%

25.3%

89.4%

26.7%

価格転嫁による

収益改善

世間の雰囲気

政労使合意・官民

対話・働き方改革に

対応

人材の確保

物価上昇・業績

改善の見通し

同業他社の動向

社員のモチベーションの

向上、待遇改善

業績(収益)好調

2019年度

2018年度

○ 2019年度に賃金引上げ(定期昇給のみを含む)を実施する企業に対し、賃金引上げを行う理由(複数回答)を確認したところ、「社員のモチベーションの向上、待遇改善」(89%程度)が最も多く、「人材の確保」(54%程度)、「業績(収益)好調」(27%程度)が続いた。

○ 2018年度と比較すると、「業績(収益)好調」と回答する企業の割合が低下した一方、企業の人手不足感が拡がる中(注)、「人材の確保」や「社員のモチベーション向上、待遇改善」と回答する企業が上昇した。

36

財務局調査による「労働生産性向上の取組」について ~従業員の処遇改善・働き方改革(参考:賃金③)~

(6)2019年度に賃金の引上げを「実施する」理由 (複数回答)※2019年度に賃金引上げを行う(予定含む)と回答した901社のうち、未回答33社を除く868社を対象(複数回答)。※2018年度数値は前回調査による(回答企業数:1,043社(複数回答))。

【賃金の引上げを「実施する」理由】

<製造業>

○ 人手不足が続いており、生産部門での人員が足りていないため。(四国・大・パルプ、紙、紙加工品)

○ モチベーション向上につながるほか、離職率低下などの人材確保につながる。(東北・大・非鉄金属、関東・大・電気機械、近畿・大・生産用機械、中国・大・その他輸送用機械 他)

○ 中国経済の減速に伴い先行きは不透明ではあるが、受注残高が高水準で業績自体は良いため、従業員に還元する。(近畿・大・生産用機械)

○ 売上高、営業利益ともに過去最高となったため。(九州・大・化学)

○ 熾烈な国際競争の中では「優秀な人材の確保・定着」「職場活力の持続的な向上」が必要なほか、賃金改善に対する社会的期待も高まってきているため。(中国・大・生産用機械)

○ 若年層の定着化を図るほか、当社独自の加工技術や組立作業について、随時人材確保を行い、技術伝承を図ることが必要なため。(福岡・中小・生産用機械)

<非製造業>

○ 従業員のモチベーション向上を期待。(北海道・大・生活関連サービス業、近畿・大・卸売業、福岡・大・小売業 他)

○ 人材不足に伴う既存・新規の人材確保のため。(北海道・大・小売業、関東・大・陸運業、九州・大・飲食サービス業 他)

○ 賃上げができる業績であるため。(福岡・大・宿泊業)

○ 業績次第ではあるが、人材確保のためにも、関東、関西エリアの水準まで上げる必要があると感じている。(福岡・大・娯楽業)

○ 時間外労働の上限規制に伴う残業代の減少分を補填するため。(関東・大・飲食サービス業)

○ 業界各社と比較しても初任給格差が広がったままとなっており、優秀な人材獲得に向けた採用競争力強化を目的にベースアップを実施。(関東・中小・建設)

(注)内閣府・財務省「法人企業景気予測調査」によると、2019年3月末時点の「従業員数判断」BSI(「不足気味」-「過剰気味」社数構成比)は、大企業(22.1)、中堅企業(34.6)、中小企業(29.9)いずれも「不足気味」超となっており、このうち大企業は調査開始(2004年4-6月期)以来、最も高い数値となっている。

Page 39: 財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2 財務局調査による「労働生産性向上の取組」について~はじめに(労働生産性)~

製造業

建設業

卸売業情報通信業

金融業、保険業

小売業

運輸業、郵便業

不動産業

医療、教育

宿泊業、飲食サービス業

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1,800

0 10 20 30 40 50 60

関東財務局管内の業種別の人手不足と労働生産性単位:万円

2019全産業平均

企業における特徴的な取組 ~人手不足と労働生産性にかかる分類~

労働生産性が高い

労働集約型資本集約型・知識集約型

人手確保が最優先課題、人材確保に向けた環境改善有能な人材に積極的に投資、人材活躍に向けた環境整備

出所等:横軸は、従業員数判断BSI。(財務省関東財務局:法人企業景気予測調査(平成27年1~3月期、平成31年1~3月期))縦軸は、労働生産性。バブルの大きさは、事業従事者数。(総務省・経済産業省:経済センサス活動調査(平成24、28年)を加工して作成。) ※労働生産性(事業従事者1人あたりの付加価値額)=産業あたりの付加価値額の合計/事業従事者数

人手不足感が強い

【今回の調査結果との共通の傾向】2019年度定期採用人数

2019年度賃上げをする理由

「人材確保」との回答が建設業で62.5%、小売業58.9%と平均(56.5%)を上回った。

2015全産業平均

近年幅広い業種で人手不足が進行

⇒ 賃金引上げによる人材確保のほか、働き方改革による従業員の処遇改善、生産性向上が喫緊の課題

「確保できなかった」との回答が小売業42.4%、運輸業・郵便業で40.0%と平均(32.9%)を上回った。

「確保できた」との回答が製造業で73.1%と平均(67.1%)を上回った。

人手不足感:強~中生産性:中~低

事務や生産工程等単純労働を極力自動化し、成長分野への人材強化

課題

課題

専門人材の採用・育成(AI、FINTECH、創薬等)

成果に応じた給与制度改革(職能給から職務給へ)

継続的な賃金引上げ

女性、高齢者等の潜在労働力の活用

賃金引上げによる人手確保の限界

長時間労働の是正等労働環境の改善

⇒ 従業員自らの成長と企業の成長の実現に向けた仕組みづくりのため、従業員の処遇改善が必要

⇒ 知識集約型の先端技術(IoT、ロボット等)を取り入れた業務改善による省人化、生産性向上の取組にも着手

業種

情報通信業、金融業、保険業、不動産業、製造業(化学等)業種

宿泊業、飲食サービス業、小売業、建設業、運輸業、郵便業

人手不足感:中~弱生産性:高~中

単位:%ポイント

始点4年前

終点直近

(出所)関東財務局公表資料37

関東財務局

Page 40: 財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2 財務局調査による「労働生産性向上の取組」について~はじめに(労働生産性)~

企業における特徴的な取組 ~類型別の働き方改革の取組にかかる企業の声~

資本集約型・知識集約型 労働集約型

主な産業 情報通信業、金融業、保険業、不動産業、製造業(化学等) 宿泊業、飲食サービス業、小売業、建設業、運輸業、郵便業

賃金制度

雇用制度

勤務制度

職場環境

社内人材の活用

スキルレベルを明確化し、レベルに応じて手当や昇給が発生する制度を創設。高付加価値ビジネスに対応できる人材育成を加速。 (大企業、情報通信)

乗務業務とデスク業務を日によって変えることで、両方の業務が可能となる職員の多能化への取組を開始。柔軟な人員配置が可能となり、繁忙期における業務の平準化に期待。

(大企業、運輸・郵便)

以前は在庫確認し商品発注していたが、自動発注システム※を導入し、業務効率化が図られ、従業員の負担軽減につながった。 (大企業、スーパー)

パートタイム社員から正社員への登用や従業員の引越し先でのグループ内他店舗での勤務等の取組を行っており、人材確保、定着率向上に寄与。 (大企業、飲食サービス)

退職後、10年以内であれば退職時と同レベルでの再入社が可能な制度を創設。他社で得た経験を自社へ還元することを期待。

(大企業、金融・保険)

縮小する部門の優秀な余剰人材については、成長部門へ配置転換を始める。 (大企業、汎用機械)

人材確保に向けた継続的な賃金引上げ

マルチタスク化(人手不足対応)ジョブチェンジ(人手偏在対応)

人材活用に向けた賃金制度の構築

パートタイム社員の正社員化・定着率向上策リワークエントリー制度

先端技術活用による業務負担軽減

新オフィスで、フリーアドレスを導入したほか、働くスタイルに応じた多様な空間デザイン、共用スペースを整備。見学者を受け入れ、寄せられた意見はフィードバックし、オフィス環境の進化を図っていく。 (大企業、不動産)

健康増進が生産性向上につながると考え、就業時間中フィットネススペースの利用を認めた。 (大企業、職業紹介)

生産性向上に向けたオフィス改革

人手不足感が強いメカニックの採用を強化するため、メカニック部門の残業縮減等労働環境の改善に特に注力。

(大企業、自動車・同附属品)

専門人材の待遇改善

営業職にもフレックスタイムを導入。前日営業等で遅くなった翌日は午後出勤が可能となり、メリハリのある働き方が可能となった。 (大企業、建設)

柔軟な働き方の推進

夜間配達の時間帯指定を短縮したことで、一人あたりの年間労働時間が大幅に減少し、従業員満足度が向上。

(大企業、運輸・郵便)

長時間労働の是正

~ 働き方改革以外にも企業の新たな人手不足対応の取組も見られる ~

※レジの履歴で在庫を確認し、自動で発注するシステム

⇒ 新たなアイディアが常に生まれ続ける場を提供

他業態と比較しても初任給格差が広がったままであったため、優秀な人材獲得に向けた採用競争力強化を目的にベースアップを実施。 (中小企業、建設)

(出所)関東財務局公表資料38

関東財務局

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企業における特徴的な取組 ~処遇改善・働き方改革(製造業①)~

多様な働き方を実現し、社員一人ひとりが活躍できる職場環境を構築

オタフクソース(株)(本 社)広島県広島市(資本金)1億円 (従業員数)580名(業 種)食料品製造業

(企業概要)ソースや酢などの調味料の開発・製造・

販売を行う食品メーカー。主力商品である「お好みソース」は、お好み焼き用ソースとして国内外で知られている。

以前は結婚・出産を機に退職する女性が多かったが、時代の流れとともに子育てをしながら働き続けたいという声が女性社員から徐々に上がってきた。(2005年)

こうした声を受けて、子育てを行う負担を少しでも軽減しようと、会社を挙げて育児と仕事を両立できる働きやすい環境づくりに取り組み始めた。

さらに、多様な背景を持つ社員が活躍できる会社を目指し、働き方改革に着手するようになった。

背景

取組

年次有給休暇(年1人平均取得日数)… 6.7日 ⇒ 10.7日

〔ノーリーズン休暇導入前の2012年と2018年の比較〕

所定外労働時間数(1か月1人平均)… 21.2時間 ⇒ 16.5時間

〔2012年と2018年の比較〕

平均勤続年数 … 9.1年 ⇒ 13.6年

〔多様な働き方制度定着前の2005年と2018年の比較〕

離職率 … 6.7% ⇒ 4.7%

〔多様な働き方制度定着前の2005年と2018年の比較〕

効果

今後も社員一人ひとりの仕事に対するやりがいを引き出し、能力を最大限に発揮できる職場づくりに取り組むことにより、更なる生産性向上につながることを期待。

今後の展開、課題

法定基準を上回る1年6か月の育児休業制度や小学3年生まで最長2時間短縮が可能な短時間勤務制度を導入

休業中の社員と上司が連絡を取り合うための「コミュニケーションシート」を作成し、スムーズな復帰をサポート

事業所内保育園を設置

5日間連続した有給休暇「ノーリーズン(理由なし)休暇」を導入 時間単位有給休暇を導入 年次有給休暇取得率70%目標設定 生産性の高い設備(業務用商品の最新自動充填設備)によりほぼ全ての工程を

自動化するラインを導入、業務量を削減するとともに、多能工化の推進により、休暇を取得しやすい環境を整備

全部署の業務効率化に資する好事例を全社員が共有し、労働時間短縮を実現

仕事と子育ての両立を支援

休暇取得や労働時間削減に向けた取組

活躍し続けられる職場環境の構築

主に女性社員が利用していた一般職を廃止し、全員が総合職で勤務地を限定しても昇格制限がない制度を導入

育児・介護・私傷病・不妊治療などの事情で離職した社員の再雇用制度を導入 パート社員の無期限雇用制度を導入

資料:オタフクソース

「女性活躍推進企業」・「子育てサポート企業」として厚生労働大臣が認定する「えるぼし認定」・「くるみん認定」を取得

女性社員数 234名(43.4%)

女性の活躍状況(2018年10月現在)

多様な事情を抱える社員に対応した制度を構築することで、社員のモチベーションがアップ

女性管理職数 9名(12.5%)

女性役員数 1名(9.1%)

会社近隣に設置された事業所内保育園「オタフクふっくる保育園」

※グループ国内連結

※オタフクソース単体

中国財務局

39

Page 42: 財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2 財務局調査による「労働生産性向上の取組」について~はじめに(労働生産性)~

企業における特徴的な取組 ~処遇改善・働き方改革(製造業②)~

人材育成に注力し、営業拡大、離職率の低下に成功

エイベックス(株)(本 社)愛知県名古屋市(資本金)1,000万円 (従業員数)400名(業 種)自動車・同附属品製造業

(企業概要)自動車分野を中心とした高精度精密小物切削・加工部品の製造・販売を行う。

2004年以降の業容拡大期に従業員を大量採用したものの、2012年には離職率が約15%(入社1年未満にあっては離職率60%)に達したことから、従業員の働き方を見直した。

背景

将来のキャリアプランについて会社と従業員一人一人が面談を行い、フォローアップを手厚くすることで、社員のやる気を引き出した。

長時間労働を避けることや有給休暇を取得することを目標として掲げ、一人の社員が複数の仕事が出来るよう「多能工化」を推進したところ、社員が自分のこととして取組み始め、多能工化が進んで休みやすい環境が出来た。

取組

売上が年々増加。2000年度に比べて7倍に。過去最高の売上高を記録。

離職率が15%(2012年度)から6%(2016年度)へ低下。

効果

0

50

100

150

200

250

300

350

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0

10

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20

16

売上高(億円) 従業員(人)

<売上高・従業員数の推移>(億円) (人)

人が成長した分会社が発展

経営の根本思想

「人を大切にする経営」・プロの育成・なんでも自前でやる

思いやりの心

・チームワーク・多能工化・ものを大事にする

気づきの心

・自ら考え、自ら行動・継続的な改善・全員参加

共育ちの心

・「正直」で「素直」・何でも言い合う・教えあい、学ぶ

○ 休暇を確保する目標を掲げると、自然と現場で互いに教えあって多能工化が進んでいった。会社の利益ではなく、個々の利益を与えることが必要。

○ いかに仕事にやりがいをもってもらうかが重要。そのために、会社と従業員がよく話し合って一人一人のキャリアプランを作り上げる必要がある。

○ 人材を採用し、定着させるためには企業側の努力が必要。働く人の価値観が変わっているので、企業側もそれに合わせて変わっていかなければならない。

社長コメント

高精度小物切削・研削加工を

「極める」プロフェッショナル集団=100年継続企業一生働ける会社づくり

東海財務局

40

Page 43: 財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2 財務局調査による「労働生産性向上の取組」について~はじめに(労働生産性)~

顧客利便性の向上や顧客対応の効率化を目的として、受注した製品に係る業務進捗状況を管理し、顧客と共有することができる生産管理システム(アプ

リ「ちょくレポ」)を広告会社等と共同開発。

注文製品ごとに専用のページを設け、スマホなどの画面上で「材料調達」から「完成」に至る各工程を写真等とともに入力することで、顧客が随時、システムを通じて業務進捗状況を確認でき、設計変更や手直しなどの発注もタイムリーにオンラインで行うことができる仕組みを導入。

顧客対応の効率化により中小企業の働き方改革を促進する取組事例

(株)山田製作所(本 社)大阪府大東市(資本金)1,000万円(従業員数)16名(業 種)製缶板金業

(企業概要)1959年創業。金属(鉄・ステンレス)の製缶加工を主力に、特に薄物の製缶・板金加工を得意とするほか、医薬品等の製造装置なども手掛けている。

取組内容

当該システムにより、社内でも業務進捗管理が容易になり、ミスの防止や効率的な生産体制を敷くことが可能となったほか、顧客にとっては進捗状況が随時把握できることで、不要な問い合わせや打ち合わせ、進捗確認のための立合いなどが減少。

当該システムの導入の効果もあって、3年前は月平均60時間あった残業時間が、若手社員への研修指導等人材育成に係る時間を十分に確保しつつ、現在約40時間にまで減少。

●業務効率化により削減できたコストについては、主に当該システムの他企業への拡販に向けた宣伝費用等に活用。

効果

同様の課題を抱える中小企業の働き方改革の一助となることも期待しつつ、主に製造業の中小企業向けに、昨年より本システムサービスの外販を開始。現在、想定していた製造業だけでなく、建設業などの非製造業や、近畿圏外の企業なども含めて複数社が当該システムを導入しており、当社としても今後更なる拡販に向けて取り組んでいく方針。

当社で扱う金属加工品は、個別完全受注生産であり、設計から納品までの段階で、顧客との間で多くの打ち合わせや立合での進捗確認業務、問い合わせ対応等が発生。こうした顧客対応の多さが長時間残業の一因になっていた。

背景

6042

0

20

40

60

80

2016年 2019年

月平均残業時間数

今後の展開

受注側

発注側

本社工場では徹底した3S(整理・整頓・清掃)が行われており、3Sにより企業変革を実現した会社として、世界中から会社見学希望者が集まる。

ちょくレポのイメージ図

「ちょくレポ」を通じて、進捗状況のタイムリーな確認や双方の効率的なコミュニケーションが可能に

製造工程の進捗が一目で確認できる

アップされた工程ごとの製品写真などをもとに、アプリ上で受発注者双方のやり取りが可能に

注文製品ごとに専用ページを設定。発注者に専用ページを案内

受注案件とそれぞれの工程スケジュールを網羅的に確認でき、これにより効率的な生産体制を敷くことができる

返信< 確認しました。

焼け残りがないように、宜しくお願いいたします。

報告> 組立作業②工程完了

ルーバーの組付と電解作業を進めています。

扉の塗装が本日上がってくるので、電解作業完了後組み付けていく

予定です。

>工程完了 組付工程完了

内装部のシリコンコーキングが完成し、内装の電解作業を進めてお

ります。組付作業も順調に進めております。

START 材料 加工① 加工② 溶接① 溶接② 出荷 END

納期:2018-10-23

10/2310/1910/1510/1310/1210/810/510/4

金型〔株式会社AAA〕工程/報告

企業における特徴的な取組 ~処遇改善・働き方改革(製造業③)~

41

近畿財務局

Page 44: 財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2 財務局調査による「労働生産性向上の取組」について~はじめに(労働生産性)~

企業における特徴的な取組 ~処遇改善・働き方改革(非製造業①)~

サミット(株) (企業概要)首都圏を中心に115店舗を展開する食品スーパーマーケット。住友商事㈱の100%子会社。2018年3月期の営業収益は、食品スーパーマーケットで全国7位。

セミセルフレジの導入(2017年)• 全115店舗の全レジを一斉に「セミセルフレジ」(※)に変更。• 導入により従業員の負担軽減が図られ、作業量が約3割削減。

業務効率化

人材確保(従業員満足度の向上)

川崎塩浜プロセスセンター※画像:サミット㈱HPより。

好循環サイクル

(※)レジ係が商品スキャンを行い、精算を顧客自身が精算機で行う仕組み

店内を巡回し、積極的に顧客へ声かけを行う専任の「案内係」

レジ周りで高齢者の機械操作を補助する「サービス係」 「案内係」の接客の様子 ※画像:サミット㈱HPより。

※サミット㈱公表資料等を基に関東財務局にて作成。

• 業務効率化等により生じた人手を再配置。

顧客満足度の向上

離職防止対策(2017年)• 「採用社員受入れのための店長向けガイドライン」を作成。受入準備、配属時

の対応、定期面談の実施などにより、店長が積極的にコミュニーションをとることで、離職を防止。

• 豚肉・鶏肉の切り分けからパック詰め作業までの全工程を自動化し、精肉部門の店舗作業の省人化を実現。現在約20店舗に精肉の配送を開始し、2020年には全店舗へ拡大。

• 精肉部門の正社員約30人とパック詰め作業などを行うパートタイム社員約50人の削減が可能となり、半期で3~4千万円の経費削減を実現。

• 案内係が日々作成する接客レポート(※)がバイヤー(部長級)以上の本部社員に配付され、本部ではレポートから得た情報をヒントに商品の品揃え、店舗環境の整備など顧客満足度向上を実現。(※)接客レポートには、日々の接客状況、お客様から意見要望、社員からの提言、

感想などが記載される。

• 案内係は接客レポートが店舗経営に貢献していることを実感し、モチベーションが向上。

生産性向上への投資を拡大

• 顧客満足度向上が固定客の獲得につながり、企業業績が好調に推移。

• 利益を、賃金引上げや人材・設備投資に配分。

賃金引上げ(社員へ利益還元)• 社員のモチベーション向上のため、2019年はベアによる賃金引上げを実施。

休業日の拡大(2019年)• 本部及び大規模商業施設内の店舗を除く全店舗で1月1日、2日を休業。• 従業員満足度が向上し、社員のモチベーションアップにつながった。

高齢者の活用(2016年12月から)• パートタイム社員の定年を60歳から65歳に延長。再雇用の上限を70歳から

75歳に引き上げた結果、70歳以上の従業員は毎年100人増加。

地域限定正社員制度の導入(2018年4月から)• 「地域限定正社員」(※)を導入。応募人数が大幅に増加し、採用数が倍増。

(※)最寄り5店舗に限定した勤務

プロセスセンターの新設(2019年1月から)

業績好調

2,372 2,352

2,460 2,568

2,658

2945

6465

76

0

20

40

60

80

100

2,000

2,200

2,400

2,600

2,800

2014.3 2015.3 2016.3 2017.3 2018.3

企業業績の推移

売上高、経常利益とも好調に推移

売上高 経常利益

(単位:億円)

案内係の設置(2013年)

顧客ニーズの掘り起こし

(左軸) (右軸)

持続的成長の実現のために労働生産性の向上。 厳しい採用環境で人手不足が続き、人材確保や定着率向上が課題。 より多様化する顧客ニーズへの対応。

背景

取組・効果

従業員満足度・顧客満足度の向上に向けた取組

(本 社) 東京都杉並区 (資本金) 39億2,000万円(従業員数)正社員2,502名、パートタイム社員7,318名(2018年9月末時点)(業 種) 小売業

関東財務局

42

Page 45: 財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2 財務局調査による「労働生産性向上の取組」について~はじめに(労働生産性)~

企業における特徴的な取組 ~処遇改善・働き方改革(非製造業②)~

RPAの全社展開により業務効率化を推し進めるとともに、RPAサービス提供で県内企業を支援する

沖縄通信ネットワーク(株)(本 社)沖縄県那覇市(資本金)11億8,400万円 (従業員数)129名(業 種)電気通信業

(通信ネットワーク接続サービス、電気通信工事)

(企業概要)地域に特化した通信会社として、沖縄本島内に光ファイバー網を構築し、信頼性の高い通信サービスを法人・官公庁を中心に提供している。

当社の業務の一つにインターネット回線工事の依頼書作成や工事の手配等があり、毎日50~300件のデータを処理している。

その日のうちに大量のデータを仕分け、整理する必要があり、残業により業務を行っていた。また、ヒューマンエラーのリスクが高かった。

働き方改革に伴う業務負担軽減や人手不足への対応からRPA「BizRobo!」の導入を検討することとした。

背景

RPA 「BizRobo!」 のPoC※及びロボット作成の研修を受講し、社内各部から、ロボット化を希望する業務リストを集め、約90項目を抽出した。

そのうち、短期間でロボット作成が可能な1グループ(4名)で行っていた通信設備工事手配の業務工程(8工程)に絞り、2018年5月、試験的にRPAを導入し、約1ヶ月かけて効果測定を行った。

※PoC(Proof of Concept=概念検証)

本番導入前に小規模なシステムを試験的に構築し、その有効性を調査・検証するもの

取組

RPAはノーミスで稼働し、正確性、有効性が確認できたことから本格稼働させた。

作業時間、人件費は大幅に削減され、1グループ(4名)の残業時間がゼロになった。

削減された作業時間は、多忙な他部署業務の応援にあてることができた。

RPAの操作が容易であることから、属人化の解消につながり、担当者の急な早退や休暇に対応できる体制となり、柔軟な働き方が可能となった。

効果

RPAによる作業時間削減1日あたり5時間30分かかっていた業務時間が29分に削減

RPAによる費用削減年間174万円かかっていた費用が15.5万円に削減

ロボット(8工程)の導入効果測定

No.ロボット名 ロボット概要 業務タスクヒューマ

ンエラー

① SNR2001 Excel注文・キャンセル処理 Excel作成 小

② SNR2002 CSV 依頼書作成(依頼リスト作成) CSV作成 中

③ SNR2003 ファイル抽出・加工処理 CSV作成 中

④ SNR2004 ファイルアップロード   CSV抽出 中

⑤ SNR2005 ステータス更新 SaaS更新 大

⑥ SNR2006 帳票作成用データ抽出・編集   CSV抽出 中

⑦ SNR2007 図案システムステータス更新作業  条件1 SaaS更新 大

⑧ SNR2008 図案システムステータス更新作業  条件2 SaaS更新 大

(人件費を1,300円/h、年間労働日数を244日で算出)(年間分に換算すると、1,342時間→119時間)

現時点では、RPAのロボット作成・操作を行う技術者が不足していることから、RPAの導入は1グループ(4名)の業務にとどまっている。技術者の育成を早急に進め、全社展開し、業務効率化を推し進める。

当社の経験を活かし、2018年10月より、自社ブランド「OT Robo(オーティーロボ)」のRPAサービス提供を開始した。導入支援からロボット作成、運用サポートまでワンストップで対応するなど、地元に密着したサポートにより、県内企業の人手不足、働き方改革等の取組を支援する。

今後の展開、課題資料:沖縄通信ネットワーク㈱

沖縄総合事務局

43

Page 46: 財務局調査による 「労働生産性向上の取組」について · 2 財務局調査による「労働生産性向上の取組」について~はじめに(労働生産性)~

社内の「本音」に耳を傾け企業風土を改革

野々市運輸機工(株)(本 社)石川県金沢市(資本金)1,000万円 (従業員数)47名(業 種)陸運業

工作機械や鋼材などの重量物の運送を手掛け、機械等を運ぶだけでなく、客先への機械等の搬入・据え付け、工場内にある機械のレイアウト変更などのサービスも提供

人手不足が慢性化する輸送業界にあって、同社も受注案件の増加に伴いドライバー不足等に悩まされていた

繁忙期の社内は殺伐とした空気となることもあり、入社間もない若手社員から「社内の雰囲気が悪い」との理由で辞職の申出があったことを契機に、「このままでは全員辞めていき、会社が存続できなくなる」と危機感を持ち、専務を中心に人材難の解消に向け社内改革に取り組むことを決意

背景

創業者の「今日の会社があるのは従業員の頑張りのおかげ」との原点に立ち返り、社員全員と個人面談を行い、会社に対する「本音」を把握

従業員の思いを受け、休憩室をリフォーム。ミーティングスペースを確保したほか、従業員が仕事で助けてもらった時等に感謝の気持ちを記す「ありがとうカード」や職場環境改善のアイデアを書いた「よくなるカード」を掲示

ドライバーや配車業務の負担軽減を目的に発注クラウドシステムを導入

日々の社内での「ありのままの業務風景」をフェイスブックに投稿し、社内の雰囲気を積極的に発信

取組

従業員同士がお互いを認め合うことでモチベーションも向上し、社内の雰囲気も好転、企業風土の土台を変えることに成功

クラウドシステムの導入等により、業務負担は軽減。労働生産性が向上し、収益も改善。利益の一部を従業員に一時金として還元

社内の雰囲気をインターネットで知ることができた20~30代の若手や異業種の人材からも採用応募があり、採用増加に繋がる

成果

更なるデジタル技術の導入を検討。従業員の業務負担軽減を実現し、今後の輸送サービスの充実に繋げる

従業員自らが更なる労働環境の改善を提案し実現する取組みとして、若手をリーダーとした改革チームを発足

今後の展開

従業員との対話を重ね、要望を形にした休憩室(写真左)。同室では「ありがとうカード」(写真右)や「よくなるカード」が掲示され、普段顔を合わせることの少ないドライバーの間でもコミュニケーションが活発化。従業員同士がお互いを称えあう風土が定着

顧客や社員間の連絡にクラウドシステムを導入し、web上での受注やチャット機能での連絡を実現。連絡漏れ等のトラブルも抑制

従業員間の円滑なコミュニケーションやシステムの導入により同社の収益は向上。利益の一部は従業員に一時金として還元

【備考】H27=100として、当局にて指数化

企業における特徴的な取組 ~処遇改善・働き方改革(非製造業③)~ 北陸財務局

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企業における特徴的な取組 ~処遇改善・働き方改革(非製造業④)~

いのちをまもる自動車学校 ~「健康」をトップマネジメントに~

KDSグループ(①(株)熊本ドライビングスクール・②(株)菊池自動車学校)

(所在地)①熊本県熊本市 ②熊本県菊池市(資本金)①1,000万円 ②1,000万円(従業員数)100名(グループ合計)

(経営スタンス)従業員の健康管理を経営的な視

点で考え、戦略的に実践する『健康経営』にいち早く取組み、熊本県内で唯一、「健康経営優良法人」(経産省)に3年連続で認定される。

➢ 家業を継ぎ社長に就任(2009年)して間もない頃、従業員2人を生活習慣

病で相次いで失う。

➢ この出来事をきっかけに、「従業員のいのちをまもる」ことも会社のトップとして大きな

責務であると痛感。

➢ 同様な悲劇を繰り返さないよう、「KDS健康経営プロジェクト」を始動させ、『健康

経営』を経営の重要な根幹におく。

背景

【KDS健康経営プロジェクト】

①健康診断とデータ管理:再検査の結果提出を就業規則で義務化。

産業医全員面談を毎年実施。

②禁煙対策:敷地内全面禁煙の実施、禁煙外来費の会社負担、禁煙成功者への

「禁煙認定書」授与や報奨金支給など、各種サポートを実施。

(喫煙率:81%(社長就任時)⇒6%)

③食生活改善:専門業者に委託し、管理栄養士監修のもと、栄養バランスとカロリー

計算がなされた社食を導入(会社が半額負担)。

④メタボ対策運動:万歩大会やラジオ体操など、運動への動機づけを実施。

⑤健康に関する勉強会:外部専門家による健康意識向上等のための勉強会を実施。

⑥ストレスレスの環境づくり:従業員同士の健康向上のための交流イベント(バレー

ボール大会やボウリング大会など)を定期開催。

取組

➢ 従業員の意識改革、健康状態の改善が進み、仕事の能率が

アップするとともに、従業員の定着率の向上につながっている。

➢ 『健康経営』が生み出す企業発展の好循環により、社長就任

時に比べ、売上高が16%増加。

効果

➢ 今後とも、「いのちをまもる自動車学校」として、『健康経営』を

推進し、従業員が健康に働ける職場環境づくりに努めていく。

➢ 脂質異常症が疑われる従業員が増えていることから、インセン

ティブ制度(注)を活用し、改善させることが課題。(注)運動に関する目標を達成した従業員に景品を贈るといった取組み。

今後の展開、課題

(左:永田社長)

(受動喫煙防止の為、敷地内全面禁煙となった教習所)

(「健康経営優良法人」認定証:当社HPより)

(万歩大会表彰式の模様 :当社HPより) (禁煙セミナーの模様 :当社HPより)

九州財務局

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企業における特徴的な取組 ~処遇改善・働き方改革(非製造業⑤)~

「同一労働同一賃金」などの処遇改善や働き方改革を推進

(株)OZ Company(本 社)福岡県福岡市 (資本金)700万円(従業員数)120名 (業 種)保育サービス事業

企業概要2008年創業 福岡県を中心に、企業主導型

保育所(企業・病院内保育施設)等を運営社長以外は全員女性・女性が活躍する職場

チームワーク悪化で保育の質が低下パート社員と正社員の

チーム運営だが、残業が正社員に集中、有給休暇も取得出来ず、パート社員と正社員の間に軋轢

委託元・保護者からクレーム発生、契約解除の危機

【課題】

業務継続には残業削減や有給休暇取得促進など、職員満足の向上が必須!

背景(業務開始直後の状況)

取 組

・パート・正社員にかかわらず優秀な人材を適正に評価し、処遇していく仕組み作りを更に進めていきたい。

・「企業主導型保育所」が抱える課題(定員割れや保育士の確保など)の解決を図るべく協会を設立(2019年2月)。業界全体として企業主導型保育事業の拡大を図るべく取り組みを進めていきたい。

今後の展開

<働き方・待遇面>

①離職率:44% ⇒ 10%台まで大幅減パート職員の賃金は18%アップ。モチベーションとチームワークが向上

②有給休暇取得率:0% ⇒ ほぼ100%相互補完能力が向上。急な休暇にも対応可能に

③残業時間(1人/月):15時間 ⇒ 2時間程度

④保育園開設等に関するコンサル業務をスタートデータの蓄積が新規業務展開の足掛かりに

<業績面>

⑤売上:100万円未満 ⇒ 2億円

(直近3期連続黒字達成)

⑥受託保育施設数:1施設 ⇒ 10施設

各取組の成果(2012年 ⇒ 2018年の変化)

Ⅲ.「同一労働同一賃金」の導入

待遇格差是正で不満解消「日替わりリーダー制度」が軌道に乗る

Ⅳ.IT活用、在宅勤務の導入

(人件費の増加を他経費削減でカバー)

・各保育施設の日報や運営記録等の電子化を推進

・社長、管理部門のマネージャー(2名)・事務スタッフ (4名)を在宅勤務に切り替え

Ⅰ.「日替わりリーダー制度」の導入

負担の重いリーダー業務

を全員でローテーション。誰もが休み易い職場へ

Ⅱ.代替職員の投入

代替職員が「保育以外」業務を担当。残業を削減

【更なる課題】

・パート職員の不満(「待遇が違うのになぜ私がリーダーを、、」)

・代替職員分の人件費増加

業界でも先駆的な取組

業界でも珍しい取組

福岡財務支局

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