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1 国内における合流式下水道改善に関する取り組み 全国 192 都市の合流式下水道の諸元に関する調査を行い,合流式下水道の実態の把 握を行った。 注)自然吐き口の集計について,東京都,京都市等の不明な箇所のデータは除外している。 合流式下水道実施都市 参考資料-4 都道府県名 北海道 札幌市,函館市,旭川市,室蘭市,釧路市,帯広市,北見市,岩見沢市,苫小牧市,江別 市,紋別市,士別市,名寄市,千歳市,滝川市,恵庭市,白老町 青森県 青森市,弘前市,八戸市 岩手県 盛岡市,釜石市 宮城県 仙台市 秋田県 秋田市,能代市 山形県 酒田市 福島県 福島市,郡山市,いわき市,原町市 茨城県 水戸市,土浦市,ひたちなか市 栃木県 宇都宮市,足利市,佐野市,小山市 群馬県 前橋市,高崎市,桐生市,太田市,伊香保町 埼玉県 川越市,熊谷市,川口市,さいたま市,行田市,秩父市,所沢市,飯能市,東松山市,上尾 市,蕨市,戸田市,鳩ヶ谷市,久喜市 千葉県 千葉市,市川市,船橋市,木更津市,松戸市,佐原市,茂原市,習志野市,柏市,君津富 津広域下水道組合 東京都 都区部,八王子市,立川市,武蔵野市,三鷹市,府中市,調布市,小金井市,小平市,東 村山市,国分寺市,国立市,狛江市 神奈川県 横浜市,川崎市,横須賀市,平塚市,藤沢市,茅ヶ崎市,逗子市,相模原市,厚木市,大 和市 山梨県 甲府市 長野県 松本市 新潟県 新潟市,長岡市,見附市,燕市 富山県 富山市,高岡市 石川県 金沢市,小松市 福井県 福井市,武生市 岐阜県 多治見市 静岡県 静岡市,浜松市,沼津市,清水市,伊東市 愛知県 名古屋市,豊橋市,岡崎市,一宮市,津島市,刈谷市 三重県 津市,四日市市 滋賀県 大津市 京都府 京都市,福知山市 大阪府 大阪市,堺市,岸和田市,豊中市,池田市,吹田市,泉大津市,高槻市,守口市,茨木 市,八尾市,寝屋川市,松原市,大東市,柏原市,門真市,摂津市,藤井寺市,東大阪 市,四条畷市,泉北環境整備施設組合 兵庫県 神戸市,姫路市,尼崎市,明石市,西宮市,芦屋市,伊丹市,加古川市,高砂市 奈良県 奈良市,大和郡山市 和歌山県 和歌山市 鳥取県 鳥取市,米子市 岡山県 岡山市,倉敷市 広島県 広島市,呉市,福山市,大竹市 山口県 宇部市,徳山市,防府市,下松市,岩国市,小野田市,長門市,和木町,小郡町 徳島県 徳島市 香川県 高松市,丸亀市,観音寺市,津田町 愛媛県 松山市,今治市,八幡浜市,川之江市, 高知県 高知市 福岡県 北九州市,福岡市,大牟田市,飯塚市,古賀市,新宮町 熊本県 熊本市,玉名市,本渡市,山鹿市 宮崎県 宮崎市,都城市,延岡市,日南市

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国内における合流式下水道改善に関する取り組み

全国 192 都市の合流式下水道の諸元に関する調査を行い,合流式下水道の実態の把

握を行った。

注)自然吐き口の集計について,東京都,京都市等の不明な箇所のデータは除外している。

合流式下水道実施都市

参考資料-4

都道府県名 都       市       名北海道 札幌市,函館市,旭川市,室蘭市,釧路市,帯広市,北見市,岩見沢市,苫小牧市,江別

市,紋別市,士別市,名寄市,千歳市,滝川市,恵庭市,白老町青森県 青森市,弘前市,八戸市岩手県 盛岡市,釜石市宮城県 仙台市秋田県 秋田市,能代市山形県 酒田市福島県 福島市,郡山市,いわき市,原町市茨城県 水戸市,土浦市,ひたちなか市栃木県 宇都宮市,足利市,佐野市,小山市群馬県 前橋市,高崎市,桐生市,太田市,伊香保町埼玉県 川越市,熊谷市,川口市,さいたま市,行田市,秩父市,所沢市,飯能市,東松山市,上尾

市,蕨市,戸田市,鳩ヶ谷市,久喜市千葉県 千葉市,市川市,船橋市,木更津市,松戸市,佐原市,茂原市,習志野市,柏市,君津富

津広域下水道組合東京都 都区部,八王子市,立川市,武蔵野市,三鷹市,府中市,調布市,小金井市,小平市,東

村山市,国分寺市,国立市,狛江市神奈川県 横浜市,川崎市,横須賀市,平塚市,藤沢市,茅ヶ崎市,逗子市,相模原市,厚木市,大

和市山梨県 甲府市長野県 松本市新潟県 新潟市,長岡市,見附市,燕市富山県 富山市,高岡市石川県 金沢市,小松市福井県 福井市,武生市岐阜県 多治見市静岡県 静岡市,浜松市,沼津市,清水市,伊東市愛知県 名古屋市,豊橋市,岡崎市,一宮市,津島市,刈谷市三重県 津市,四日市市滋賀県 大津市京都府 京都市,福知山市大阪府 大阪市,堺市,岸和田市,豊中市,池田市,吹田市,泉大津市,高槻市,守口市,茨木

市,八尾市,寝屋川市,松原市,大東市,柏原市,門真市,摂津市,藤井寺市,東大阪市,四条畷市,泉北環境整備施設組合

兵庫県 神戸市,姫路市,尼崎市,明石市,西宮市,芦屋市,伊丹市,加古川市,高砂市奈良県 奈良市,大和郡山市和歌山県 和歌山市鳥取県 鳥取市,米子市岡山県 岡山市,倉敷市広島県 広島市,呉市,福山市,大竹市山口県 宇部市,徳山市,防府市,下松市,岩国市,小野田市,長門市,和木町,小郡町徳島県 徳島市香川県 高松市,丸亀市,観音寺市,津田町愛媛県 松山市,今治市,八幡浜市,川之江市,高知県 高知市福岡県 北九州市,福岡市,大牟田市,飯塚市,古賀市,新宮町熊本県 熊本市,玉名市,本渡市,山鹿市宮崎県 宮崎市,都城市,延岡市,日南市

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(1)全国の合流式下水道の諸元について

①整備面積 合流式下水道の整備面積は,100~500ha 未満の面積を持つ都市が 86 都市(45%)を占めており最も多い。整備面積が小さい都市は,人口規模の小さな都市が多く,整備面積が大きくなると大都市の割合が増える傾向にある。

整備面積 都市数 比率(%)該当都市の総面

積(ha) 比率0~100ha未満 28 15.0 1,442 0.6

100~500ha未満 86 45.0 21,654 9.7500~1,000ha未満 41 21.0 30,078 13.5

1,000ha以上 37 19.0 169,809 76.2合計 192 100.0 222,983 100.0

都市数の比率

0~100ha未満15%

100~500ha未満45%

500~1,000ha未満21%

1,000ha以上19%

整備面積の比率

0~100ha未満1%

100~500ha未満10%

500~1,000ha未満13%

1,000ha以上76%

項目 0~100ha未満 100~500ha未満 500~1,000ha未満 1,000ha以上5万人未満 17 85~10万人 7 24 110~30万人 4 43 20 1330~50万人 8 15 1150~100万人 1 5 2100万人以上 2 11

都市規模別整備面積

010

2030

405060

70

8090

100

0~100ha未満 100~500ha未満 500~1,000ha未満 1,000ha以上

整備面積

都市

100万人以上50~100万人

30~50万人10~30万人5~10万人

5万人未満

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②事業区分別整備面積 合流式下水道の実施都市を事業区分で見ると,約 70%が単独公共下水道,30%が流域関連公共下水道で整備されている。また,整備面積で見ると,単独公共下水道区域は,合流式下水道全体の約 82%を占めている。

注)単独公共下水道 100ha 未満の事業計画及び流域関連公共下水道の事業計画については,都道府県が認可を

行い,単独公共下水道 100ha 以上の事業計画については,国が認可を行う。

事例

1)単独公共下水道

2)流域関連公共下水道

事業区分別都市数割合

0~100ha12%

100~500ha31%

500~1,000ha17%

1,000ha以上10%

0~100ha4%

100~500ha14%

500~1,000ha6%

1,000ha以上6%

単独公共70%

流域関連30%

事業区分別整備別面積割合

0~100ha1%

100~500ha8%

500~1,000ha12%

1,000ha以上62%

0~100ha0%

100~500ha3%

500~1,000ha4%

1,000ha以上10%

流域関連18%

単独公共82%

主として,市街地における下水を排除し,

又は処理するために地方公共団体が管理す

る下水道で,終末処理場を有しているものを

いう。

主として,市街地における下水を排除し,

又は処理するために地方公共団体が管理す

る下水道で,流末を流域下水道に接続するも

のをいう。

A 町

C 市 B 市

D 市

単独公共下水道

流入点

流域下水道

流域関連公共下水道

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③遮集倍率 対策施設毎の遮集倍率(整備済み)は,ポンプ場及び雨水吐き口について 3~4 倍の遮集倍率が最も多く,ポンプ場で約 67%,雨水吐き口で約 76%を占めている。また,遮集倍率が 3 倍を越えるものは,約 85%である。

(参考)遮集倍率のイメージ

未処理放流

合流管

簡易処理 放流

高級処理 放流

高級処理 施設

遮集管

河川等の 公共用水域

雨水吐き室

未処理放流

生活排水及び工場排水(晴天時下水)

=1Q(時間最大)

計画下水量 合流式の下水管は汚水と 確率年に対応した雨水を 排除できる断面である。

遮集下水=汚水と遮集雨水を処理場

へ送水し,処理する。

遮集雨水=降雨の一部 を処理場へ送水し簡易

処理する。

簡易処理 施設

1Q(時間最大)

nQ

通常,遮集倍率は遮集下水を晴天時時間最大の倍数で表現しており,3Q 遮集で合流式下水道から放流される汚濁負荷量が分流式下水道から放流される汚濁負荷量(汚水+雨水)と同程度とされている(暫定指針)。

※遮集倍率不明施設数=169 ※遮集倍率不明施設数=197

※遮集倍率不明施設数=604 ※遮集倍率不明施設数=573

計画遮集倍率(ポンプ場 全体計画)

017 29

230

8 20 9 2 4 2 2 00

50

100

150

200

250

300

1未満1~

22~

33~

44~

55~

66~

77~

88~

99~

1010~

15

15以上

遮集倍率(倍)

対策

施設

遮集倍率(ポンプ場 整備済み)

022

43

185

9 18 9 3 2 2 2 00

50

100

150

200

250

300

1未満 1~

22~

33~

44~

55~

66~

77~

88~

99~

10

10~15 15

遮集倍率(倍)

対策

施設

計画遮集雨水量(雨水吐き 全体)

0 1277

708

39 25 21 5 0 1 3 10

100200300400500600700800

1未満 1~

22~

33~

44~

55~

66~

77~

88~

99~

10

10~15 15~

遮集倍率(倍)

対策

施設

遮集倍率(雨水吐き 整備済み)

146 82

669

36 30 27 10 9 2 9 30

100200300400500600700

800

1未満 1~

22~

33~

44~

55~

66~

77~

88~

99~

1010~

15 15~

遮集倍率(倍)

対策

施設

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④遮集雨水量 遮集雨水量(整備済み)は,ポンプ場において 1~2mm/hr が約 38%で最も多く,雨水吐き口において 1mm/hr 未満が約 51%を占めており,最も多い。また,2mm/hr を越える遮集雨水量を持っている施設は,約 26%となっている。

(参考)遮集雨水量のイメージ

遮集管

合流管 越流せき 放流管

公共用水域

雨天時に越流

○○㎜/hr

2Q 分の雨水

遮集雨水量

1Q 分の汚水 高級処理 汚水量の 3 倍を超える水量

遮集雨水量とは処理場へ 送水して処理可能な雨水量

流域全体 にならすと

1 時間あたりの量

晴天時下水や一定量の雨天時下水を処理場へ送るための管

流域全体で 1 時間にたまった雨量

計画遮集雨水量は,全国数箇所の都市における実態調査結果などの面から2mm/hr 遮集で合流式下水道から放流される汚濁負荷量が分流式下水道から放流される汚濁負荷量(汚水+雨水)と同程度とされている(暫定指針)。

※遮集雨水量不明施設数=211 ※遮集雨水量不明施設数=230

※遮集雨水量不明施設数=644 ※遮集雨水量不明施設数=598

計画遮集雨水量(ポンプ場 全体計画)

88

108

40

12

33

0

25

50

75

100

125

150

~1未満 1~2未満 2~3未満 3~4未満 4以上

遮集雨水量(mm/hr)

対策

施設

遮集雨水量(ポンプ場 整備済み)

98 97

30

1126

0

25

50

75

100

125

150

~1未満 1~2未満 2~3未満 3~4未満 4以上

遮集雨水量(mm/hr)

対策

施設

計画遮集雨水量(雨水吐き 全体計画)

446

216

84

22

84

0

100

200

300

400

500

~1未満 1~2未満 2~3未満 3~4未満 4以上

遮集雨水量(mm/hr)

対策

施設

遮集雨水量(雨水吐き 整備済み)

446

223

132

2572

0

100

200

300

400

500

~1未満 1~2未満 2~3未満 3~4未満 4以上

遮集雨水量(mm/hr)

対策

施設

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⑤合流式下水道の改善整備目標の特徴

設計指針で挙げられている,合流式下水道の改善整備目標の「遮集倍率3Q対策」と

「遮集雨水量 2mm/hr」の特徴を示す。

(遮集倍率3Q)

・ 既に多くの都市が対策に取り組んでいる。

・ 汚水量に比例した対策であるため、地域の下水道使用量の特性で対策量が決まる。

・ 汚水量の小さい都市では、3Qの量が少なくなるため、越流水の低減効果が発揮しに

くい。

(遮集雨水量2mm)

・ 処理面積×2mm/hr の下水量を終末処理場に運ぶため,雨水の一定量をコントロール

できる。

・ 対応するには遮集量の大幅な増強が必要となる場合がある。

・ 終末処理施設の遮集量が大幅に増加するため,事実上簡易処理で排出される量が増加

する。

⑥ファーストフラッシュの特性

・ファーストフラッシュとは,初期雨水又は,初期流出と呼ばれる雨水の流出開始直後

における非常に高濃度な下水の流下現象のことである。

・初期雨水による高濃度の下水の流下現象は,無降雨時に路面や管渠内に堆積した汚濁

物質が,大きな掃流力を有する雨水流によって洗い流されるためと考えられる。

・ファーストフラッシュの継続時間は,先行晴天時日数や降雨量により変化する。

・ファーストフラッシュの対策は,効果

を確実に期待できる遮集管渠容量の増大

や雨水滞水池の設置が基本となるもので

あるが,遮集倍率の増大は,直ちに下水

道施設,特に処理施設の容量増を招くこ

とになるため,費用効果を勘案し,検討

する必要がある。

出展;合流式下水道越流水対策と暫定指針

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(2)越流水の年間放流状況

ポンプ場における越流水の年間放流状況は,10 回未満までは約 4%,20 回未満まででは約 11%,逆に 30 回以上は約 69%となっている。 注)自然排水区域については正確なデータがない状況である。

①ポンプ場年間越流回数

越流回数 箇所数 (%)10回未満 16 4

~20回未満 42 11~30回未満 62 16~40回未満 82 22~50回未満 55 15~60回未満 40 11

60回~ 81 21計 378 100

ポンプ場未処理放流回数

10回未満4% ~20回未満

11%

~30回未満16%

~40回未満22%

~50回未満15%

~60回未満11%

60回 ~21%

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遮集倍率3倍以上と遮集雨水量 2mm/hr 以上の越流回数を比率から見ると,遮集雨水量 2mm/hr 以上の越流回数が少なくなっている。

遮集倍率3倍以上の越流回数3以上 (%)

10回未満 4 210~20回 20 1020~30回 22 1130~40回 37 1940~50回 40 2050回以上 75 38

計 198 100

越流回数別ポンプ施設割合(遮集倍率3倍以上)

10回未満2%10~20回

10%20~30回

11%

30~40回19%

40~50回20%

50回以上38%

10回未満10~20回20~30回30~40回

40~50回50回以上

遮集雨水量2mm以上の越流回数箇所数 (%)

10回未満 3 510~20回 3 520~30回 10 1730~40回 18 3040~50回 9 1550回以上 17 28

計 60 100

越流回数別ポンプ施設割合(遮集雨水量2mm以上)

10回未満5%

10~20回5%20~30回

17%

30~40回30%

40~50回15%

50回以上28% 10回未満

10~20回

20~30回30~40回40~50回

50回以上

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(3) 簡易処理の状況

終末処理場の簡易処理方式は,ほとんどの箇所で沈殿処理+塩素消毒が行われている。また,簡易処理放流回数は,60 回以上の処理場が約 63%を占め最も多く存在する。

その他の処理方式;高級処理,スワール分水槽

消毒施設

流入 最初沈殿池 エアレーションタンク 最終沈殿池 消毒施設

晴天時

雨天時(1Q 超過量)

河川等

放流

主な簡易処理のしくみ

放流回数 箇所数~10回未満 12~20回未満 4~30回未満 10~40回未満 9~50回未満 9~60回未満 21

60回以上 115計 219

※未回答=39箇所

簡易処理施設放流回数~10回未満

7%

~20回未満2%

~30回未満6%

~40回未満5%

~50回未満5%

~60回未満12%60回以上

63%

処理方式 箇所数沈殿 6沈殿+塩素 186その他 2計 194※未回答=98箇所

処理方式内訳

沈殿3%

その他1%

沈殿+塩素

96%

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(4)越流水放流先の状況

①越流水放流先の水質環境基準設定状況 放流先水質環境基準の設定状況は,海域が 64%,河川が 74%,湖沼が 100%設定されている。その設定の内訳では,湖沼が最も厳しく AA 類型が 96%を占めている。それに対し,河川や海域では,AA 類型はないものの概ね幅広い類型指定となっている。 注)水質環境基準の設定状況は,回答が得られたデータのみで作成している。

類型 AA A B C D E 指定なし 計海域 - 27 46 93 - - 93 259湖沼 44 2 - - - - 0 46河川 - 165 269 371 300 199 445 1749

海域

A27箇所(10%)

B46箇所(18%)

C93箇所(36%)

指定なし93箇所(36%)

湖沼

AA44箇所(96%)

A2箇所(4%)

河川

C371箇所

(22%)

B269箇所

(15%)

A165箇所(9%)指定なし

445箇所(26%)

E199箇所

(11%)

D300箇所

(17%)

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②放流先の水質環境基準達成状況 水質環境基準が設定されている越流水の放流先については,海域と河川では,概ね 55%程度が水質環境基準を達成している程度である。湖沼については,全く水質環境基準を達成していない。

単位:箇所AA A B C D E 総計

達成 - 12 19 60 - - 91未達成 - 15 27 33 - - 75達成 0 0 0 0 - - 0未達成 44 2 0 0 - - 46達成 0 58 148 255 139 142 742未達成 0 107 121 116 161 57 562

海域

湖沼

河川

項目

海域

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

A

B

C

総計

類型

達成未達成

湖沼

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

AA

A

B

C

総計

類型

達成未達成

河川

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

AA

A

B

C

D

E

総計

類型

達成未達成

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③放流先の水利用の状況 合流式下水道の吐き口下流にある水利用状況について,主な例として水道水源 90 件,水浴場 128 件,親水利用 249 件存在している。また,全箇所 3,339 のうち,約 48%にあたる 1,600 箇所は水利用が存在していない。 注)今回のデータは,回答があったものだけで作成しており,複数回答もある。

※その他の水利用;火力発電所,消雪用水等がある

水利用状況

箇所数 % 箇所数 % 箇所数 % 箇所数 %

水道水源 65 2.7% 10 1.7% 15 4.1% 90 2.7%

水浴場 98 4.1% 15 2.5% 15 4.1% 128 3.8%

親水利用 153 6.5% 70 11.6% 26 7.1% 249 7.5%

養殖場 49 2.1% 39 6.5% 21 5.8% 109 3.3%

漁場 314 13.2% 81 13.5% 41 11.3% 436 13.1%

農業用水 196 8.3% 48 8.0% 60 16.5% 304 9.1%

工業用水 13 0.5% 12 2.0% 4 1.1% 29 0.9%

船舶係留場 239 10.1% 49 8.1% 17 4.7% 305 9.1%

港湾 13 0.5% 11 1.8% 5 1.4% 29 0.9%

その他 2 0.1% 0 0.0% 3 0.8% 5 0.1%

不明 22 0.9% 22 3.7% 10 2.7% 54 1.6%

無し 1,207 50.9% 245 40.7% 147 40.4% 1,600 47.9%

計 2,371 100% 602 100% 364 100% 3,339 100%

自然吐き ポンプ施設 水処理施設 全体

自然吐き

水道水源2.7%

水浴場4.1%

親水利用6.5%

養殖場2.1%

漁場13.2%

農業用水8.3%

工業用水0.5%

船舶係留場10.1%

無し50.9%

その他0.1%

港湾0.5%

不明0.9%

ポンプ施設

水道水源1.7%

水浴場2.5%

親水利用11.6%

養殖場6.5%無し

40.7%

工業用水2.0%

農業用水8.0%

その他0.0%

港湾1.8%

不明3.7%

船舶係留場8.1%

漁場13.5%

水処理施設

水道水源4.1%

水浴場4.1%

親水利用7.1%

養殖場5.8%

漁場11.3%

無し40.4%

農業用水16.5%

工業用水1.1%

港湾1.4%

その他0.8%

不明2.7%

船舶係留場4.7%

全体

水道水源2.7%

水浴場3.8%

親水利用7.5%

養殖場3.3%

漁場13.1%

農業用水9.1%

工業用水0.9%

船舶係留場9.1%

無し47.9%

港湾0.9%

その他0.1%

不明1.6%

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(5)合流式下水道改善計画と施策の実施の状況

①改善計画の立案状況 合流式下水道改善計画は約 1/3 の 60 都市で立案されている。各都市で立案されている長・中期計画は,分流式下水道並みの負荷削減が多く,短期計画では,管渠の増強(浸水解消)と夾雑物対策が最も多くなっている。 注)流域下水道の状況については含んでいない。

合流式下水道改善計画の有無

改善計画の目標設定(長期・中期)

注)複数回答あり。

都市数 比率(%)有 60 31.3%無 132 68.8%計 192 100.0%

合流式下水道改善計画の有無

有60都市(31.3%)

無132都市(68.8%)

都市数 比率(%)分流式下水道並み 36 17.2%完全分流化 4 1.9%水濁法排水基準並み 3 1.4%水環境目標像の達成 5 2.4%未処理放流の解消 4 1.9%環境基準の達成 2 1.0%全量消毒 2 1.0%策定中 5 2.4%その他 7 3.3%計画未策定 141 67.5%

計 209 100.0%

改善計画の目標設定(長期・中期)

分流式下水道並み36都市(17.2%) 水濁法排水

基準並み3都市(1.4%)

完全分流化4都市(1.9%)

水環境目標像の達成5都市(2.4%)

その他7都市(3.3%)

策定中5都市(2.4%)

全量消毒2都市(1.0%)

環境基準の達成2都市(1.0%)

未処理放流の解消4都市(1.9%)

計画未策定141都市(67.5%)

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改善計画の目標設定(短期)

注)複数回答あり。

都市数 比率(%)管渠の増強(浸水解消) 9 4.4%夾雑物対策 9 4.4%遮集量の増大 2 1.0%問題箇所の改善 2 1.0%簡易処理の高度化 2 1.0%高級処理量の増大 1 0.5%越流回数の低減 1 0.5%分流式下水道並み 7 3.4%その他 4 2.0%計画未策定 166 81.8%

計 203 100.0%

改善計画の目標設定(短期)

計画未策定166都市(81.8%)

越流回数の低減1都市(0.5%)

その他4都市(2.0%)

遮集量の増大2都市(1.0%)

問題箇所の改善2都市(1.0%)

分流式下水道並み7都市(3.4%)

簡易処理の高度化2都市(1.0%)

高級処理量の増大1都市(0.5%)

夾雑物対策9都市(4.4%)

管渠の増強(浸水解消)9都市(4.4%)

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②改善計画を策定していない理由 改善計画を策定していない全都市に対して行った調査では,策定を行っていない理由としては,未整備区域を優先させる必要性が約 40%と最も多く挙げられている。 また,整備率が 50%未満の都市の対策が遅れている理由としては,未整備区域を優先させる理由が約 60%と高く,その他,財政的な問題と浸水対策の優先がそれぞれ 6%程度あげられている。 注)流域下水道の状況については含んでいない。回答については,複数回答もある。

計画を策定していない理由(整備率が 50%未満の都市)

都市数 比率(%)未整備区域を優先 62 41.9%財政的な問題 20 13.5%検討中 22 14.9%対策の必要なし 17 11.5%すでに対策済み 7 4.7%浸水対策が優先 10 6.8%浸入水対策が優先 2 1.4%改築・更新と調整が必要 2 1.4%市街地再開発との調整が必要 1 0.7%その他 5 3.4%

計 148 100.0%注)未回答都市=69

計画を策定していない理由

その他5都市(3.4%)

浸入水対策が優先2都市(1.4%)

改築・更新と調整が必要2都市(1.4%)

市街地再開発との調整が必要1都市(0.7%)

浸水対策が優先10都市(6.8%)

すでに対策済み7都市(4.7%)

対策の必要なし17都市(11.5%) 検討中

22都市(14.9%)財政的な問題20都市(13.5%)

未整備区域を優先62都市(41.9%)

都市数 比率(%)未整備区域を優先 30 57.7%財政的な問題 3 5.8%検討中 7 13.5%対策の必要なし 6 11.5%すでに対策済み 0 0.0%浸水対策が優先 3 5.8%浸入水対策が優先 1 1.9%改築・更新と調整が必要 0 0.0%市街地再開発との調整が必要 0 0.0%その他 2 3.8%

計 52 100.0%                     注)未策定及び未回答都市=18

計画を策定していない理由(整備率50%未満の都市)

その他2都市(3.8%)

浸入水対策が優先

1都市(1.9%)浸水対策が優先3都市(5.8%)

対策の必要なし6都市(11.5%)

検討中7都市(13.5%)

財政的な問題3都市(5.8%)

未整備区域を優先30都市(57.7%)

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③対策の実施状況 合流改善対策として対策を実施している都市は,36 都市,19%を占め,未実施都市は156 都市となっている。雨水貯留施設の設置が,最も多く,その他,管渠施設の増強も多く行われている。 注)流域下水道の状況については含んでいない。回答については,複数回答もある。

対策の進捗状況

分流化6都市(11.5%)

管渠施設増強8都市(15.4%)

浸透施設1都市(1.9%)消毒施設

1都市(1.9%)その他

2都市(3.8%)

スクリーン5都市(9.6%)

スワール1都市(1.9%)

ポンプ場増・改築5都市(9.6%)

分合流改善1都市(1.9%)

雨水貯留施設22都市(42.3%)

都市数 都        市        名雨水貯留施設 22 札幌市,青森市,足利市,川口市,千葉市,木更津市,東京都区部,八王子

市,横浜市,川崎市,富山市,金沢市,名古屋市,四日市市,京都市,大阪市,神戸市,大和郡山市,広島市,高松市,川之江市,北九州市

分合流改善 1 大津市管渠施設増強 8 桐生市,東京都区部,相模原市,富山市,尼崎市,明石市,福山市,松山市分流化 6 北見市,高崎市,尼崎市,松山市,北九州市,福岡市ポンプ場増・改築 5 桐生市,富山市,金沢市,清水市,一宮市スワール 1 松山市スクリーン 5 仙台市,東京都区部,茅ヶ崎市,名古屋市,豊橋市消毒施設 1 川崎市浸透施設 1 尼崎市その他 2 東京都区部,大阪市

計 52注)未策定及び未回答都市=156

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合流式下水道改善に係る地方公共団体の取組事例

札幌市における取組み

遮集管を増強するとともに、雨天時・融雪時における越流水等による水質汚濁を解消す

るため、創成川処理区において内径5mの貯留管(46,400m3)を設置している。

仙台市における取組み

越流水対策を段階的に行うため、第1段階で吐き口からの夾雑物の流出を防止するよう

スクリーンを設置し、第2段階で汚水の流出を減らすよう雨水貯留管を設置している。

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東京都における取組み(合流改善クイックプラン)

従来から進めている中期的対策としての「合流式下水道改善の全体計画」に加え、緊急

対策としての「合流改善クイックプラン」を着実に推進し、段階的に合流式下水道を改善。

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「クイックプランの特徴」

・白色固形物(油の塊)や雨の日に流出する大きなゴミの除去など、水辺環境を守る対応

を実施

・内部河川や運河等の閉鎖性水域、下水再生水の導入により清流が復活した河川に重点化

・計画期間は平成12年度から平成16年度までの5カ年間

・ 下水道部局のみの対応ではなく、都民や道路管理者等へも協力要請

合流改善クイックプランの全体イメージ図

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川崎市における取組み

5つの越流水貯留施設(貯留能力 109,298m3)を設置している。また、5つの雨水ポンプ

場で塩素消毒対策を実施している。

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大阪市における取組み

雨天時越流水の流出を防止するため、浸水対策用大規模幹線(なにわ大放水路 88,000m3)

の貯留運用を行う。また、平野下水処理場で雨天時に簡易放流していた下水の一部を処理

している。

なにわ大放水路の活用

雨天時活性汚泥処理

沈殿放流していた雨天時下水(2Qsh)を、ステップ水路を利用して反応タンクの末端

に流入させ、活性汚泥により汚濁負荷を短期間に処理する方法

※Qsh:時間最大汚水量

沈澱処理

放流

1Qsh

最初 沈殿池

返送汚泥

雨天時

下水

活性汚泥処理

(3Qsh) 2Qsh

最終 沈殿池

曝気槽

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(6)対策が遅れている理由の解析 改善計画が立案されているものの,計画どおりに改善が進まないのは,約半分の都市で財政的な問題を挙げている。また,整備率が 50%未満の都市では,約7割の都市が財政的な問題が挙げており,次に多いのが,他事業との調整問題であった。 注)流域下水道の状況については含んでいない。回答については,複数回答もある。

計画通りにいかない理由

②計画どおりにいかない理由(整備率が 50%未満の都市)

都市数 比率(%)財政的な問題 13 43.3%設置場所の問題 5 16.7%改築・更新事業との調整問題 2 6.7%他事業との調整問題 6 20.0%その他 4 13.3%

計 30 100.0%                     注)未策定及び未回答都市=170

計画通りにいかない理由

その他4都市(13.3%)

他事業との調整問題6都市(20.0%)

改築・更新事業との調整問題2都市(6.7%)

設置場所の問題5都市(16.7%)

財政的な問題13都市(43.3%)

都市数 比率(%)財政的な問題 2 66.7%設置場所の問題 0 0.0%改築・更新事業との調整問題 0 0.0%他事業との調整問題 0 0.0%その他 1 33.3%

計 3 100.0%                     注)未策定及び未回答都市=58

計画通りにいかない理由(整備率50%未満の都市)

その他1都市(33.3%)

財政的な問題2都市(66.7%)