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港湾鋼構造物の飛沫・干満帯を守る ―― ペトロラタム被覆 ―― 本店:〒104-0033 東京都中央区新川 2-5-2 http://www.nakabohtec.co.jp/ ナカボーテックの被覆防食工法 [Petrolatum Tape and Covering System]

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Page 1: 港湾鋼構造物の飛沫・干満帯を守る ――ペトロラタム被覆 ... · 側に保護層であるFRP保護カバー(外力の緩和効果がある発泡ポリエチレンシートを内貼りしたfrpカバー)を被

港湾鋼構造物の飛沫・干満帯を守る

―― ペトロラタム被覆 ――

本店:〒104-0033 東京都中央区新川 2-5-2http://www.nakabohtec.co.jp/

ナカボーテックの被覆防食工法

[Petrolatum Tape and Covering System]

Page 2: 港湾鋼構造物の飛沫・干満帯を守る ――ペトロラタム被覆 ... · 側に保護層であるFRP保護カバー(外力の緩和効果がある発泡ポリエチレンシートを内貼りしたfrpカバー)を被

戦後の高度成長期に建設された大量の港湾構造物。

そんな構造物が一斉に老朽化を

迎えようとしている時代だからこそ…

今あるものを遺す“確かな防食技術”が求められています。劣化度a

防食性能が著しく低下している状態であり、全面的補修または取替えを行う必要がある。

(対策時期の目安は 1 年以内)

劣化度b防食性能が低下している状態であり、劣化した箇所を補修し、以降の定期点検診断時期を

早めるなどの配慮が必要である。(対策時期の目安は 2 年以内)

劣化度c防食性能の低下はないが変状が発生している状態であり、必要であれば部分補修を行う。

(対策時期は点検結果により判断)

劣化度d 変状が認められない状態であり、従来通りの定期点検診断を継続する。

点検フローチャート

PTC工法の維持管理

ペトロラタム被覆の長期的な機能維持のためナカボーテックでは

定期的な点検計画を策定し適切な維持管理手法を御提案申し上げます。

船上目視点検

点検窓による開放点検

カバー強度試験(実験室)

各劣化度別による補修要否判定の目安

定期的に維持管理を行うことで機能性を的確に把握することが可能です。

ナカボーテックでは被覆防食の適切な補修時期を御提案させていただいております。

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高度成長期、日本は公共インフラの整備に邁進してきました。

その時代に造られた港湾構造物が一斉に補修や更新の時期を

迎えようとしています。同時に港湾に求められるニーズは高度

化し、多種多様化してきています。既存施設の効用を最大限に

発揮するため『機能維持』『機能向上』を図りながら

維持・改良を行っていく必要があります。

『あらたに造る』から『今あるものを遺す』という発想が重要にな

ってきた現在、鋼構造物を長期にわたり維持していくために“確

かな防食技術”が必要不可欠です。

飛沫干満部は絶えず波浪や海水のしぶきにさらされるため海洋

環境の中でも最も激しい腐食性をもち、一度腐食し貫通孔が発

生すると施設の構造的低下を招き陥没などの事故を引き起こす

事が懸念されます。

このような部位への適切な対策として、多くの鋼構造物で御採

用いただきましたのが、“確かな防食技術” 「PTC工法」です。

飛沫干満帯に起こる鋼矢板の腐食事例

飛沫干満帯に起こる鋼管杭の腐食事例

PTC工法の施工実績

長年培ってきたペトロラタム被覆の知識と技術を活かし、

これからも港湾・橋梁などの土木構造物の維持・延命に貢献してまいります。

PTC工法は大気中、水中など各環境および各種施設に利用できます。

海洋構造物では桟橋(鋼管杭)、岸壁・護岸(鋼矢板・鋼管矢板)、セル岸壁など多数の実績を積んでまいり

ました。豊富な経験と確立された技術でお客様の施設を護り続けます。

桟橋(鋼管杭)への適用例 道路橋橋脚(鋼管杭)への適用例

護岸(鋼矢板)への適用例 ドルフィン(鋼管杭)への適用例

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PTC工法は防食性能の優れたペトロラタム系防食テープを防食層に用い、

これを保護するFRP製カバーを組み合わせた長期耐用型防食システムです。

ペトロラタム被覆

PTC工法の概要

工法の特徴

耐久性に富み長期耐用へ期待

標準的な環境・施工条件では30年程度※ の耐用年数

が期待できます。

※ 港湾鋼構造物 防食・補修マニュアル(2009 年版)

(財)沿岸技術研究センター

防食寿命

長期間変質しない防食層

ペトロラタム成分の粘性で鋼材面に完全密着し、腐食

要因を完全にシャットアウト。

長期にわたって蒸発硬化しない上、粘性、撥水性に富

み防食効果を長期間発揮します。

防食効果

フランジレスで破損リスク軽減

従来のボルト固定のフランジタイプは、フランジ部への

漂流物衝突、オイルフェンス巻上げなどによりカバー

破損のリスクがありました。カバー構造をリベット固定

のフランジレスタイプに改良することにより、破損リスク

を低減し且つ美観を向上させました。

カバー構造

施工管理が「容易」&「確実」

手工具・動力工具による簡単な素地調整で良く、各種

形状への適応も可能で、塗装のような複雑な施工管理

は不要です。

施工が容易であることから、技量の差による品質差異

が発生しにくい確実な工法です。

施工性

PTC工法の施工要領

鋼管杭の場合

① 素地調整

1

鋼矢板の場合2

鋼材表面の貝類、海藻類、浮き錆、浮き塗膜などを

除去します。(素地調整規格:ISO St2 以上)

素地調整

ペースト塗布・テープ巻付

カバー取付

端部処理

② ペースト塗布・テープ巻付

所定の範囲にペトロラタム系防食ペーストを塗布し、

ペトロラタム系防食テープを既定の重ね代で巻付け

十分に撫でつけます。

② ベースプレート取付

FRP保護カバーを固定するために、スタッドボルト付

帯鋼を所定の位置に溶接します。

③ マスチック充填

鋼材面に鋭角部や継手部に間隙がある場合には、

ペトロラタム系マスチックを充填し鋼材面を滑らかに

仕上げます。

③ カバー取付

所定の位置にFRP保護カバーを被覆し、耐食ボルト

もしくはリベットにより固定します。

④ 端部処理

下端部に下端金具を取り付け、FRP保護カバー上下

端の間隙部に水中硬化形エポキシ樹脂を充填します。

④ カバー取付

予め取り付けてあるスタッドボルトに合わせFRP

保護カバーを取り付け、ナットで締め付けます。

⑤ 端部処理

FRP保護カバー上下端の間隙部に、水中硬化形

エポキシ樹脂を充填します。

素地調整

ベースプレート取付

ペースト塗布・マスチック充填

カバー取付

端部処理

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1. 機械的強度に優れる

2. 耐衝撃性が大きい

3. 耐薬品性に優れる

飛沫帯・干満帯で防食率99%以上の防食効果を発揮。

ペトロラタム系防食材とFRP保護カバーで腐食環境を完全シャットアウト!

FRPとは熱硬化性の不飽和ポリエステル(Unsaturated Polyester)樹脂とガラス繊維の複合材料であり、

機械的強度、耐候性に優れ、良好な耐衝撃性、耐薬品性、耐水性を有するのが大きな特徴です。また着色に

よる周辺環境との色彩調和も可能であり、幅広いお客様に御利用いただいております。

ナカボーマルチカバーFはFRPの特徴を十分に活かし、且つ緩衝性、防水性に富む発泡ポリエチレンシート

を一体化させ、PTC工法の保護層として長期の実績を持っています。

従来のフランジタイプのほか、美観効果向上・破損リスク低減を目的としたフランジレスタイプを御用意し、お

客様のニーズにより選択可能といたしました。

PTC工法の防食効果

FRP保護カバー (ナカボーマルチカバーF)2

PTC工法に用いるペトロラタム系防食ペーストおよびペトロラタム系防食テープは強力な防錆剤を含有して

いるため防食性に優れ、粘着性、撥水性に富んでいるので鋼材に密着して海水を完全に遮断します。 また、

化学的に安定な材料で構成されていることから長期間、硬化変質することがなく優れた防食効果を発揮します。

この防食性に優れたペトロラタム系防食テープは、さらにFRP保護カバーで被覆されることにより長期間耐え

うる防食が現実のものとなります。

PTC工法の使用材料

FRP保護カバーの特徴

項 目 試験方法 社内規格値 単位

引張強さ JIS K 7164 プラスチック - 引張特性の試験方法 - 第4部 80以上 MPa

曲げ強さ JIS K 7017 繊維強化プラスチック – 曲げ特性の求め方 100以上 MPa

曲げ弾性率 JIS K 7017 繊維強化プラスチック – 曲げ特性の求め方 4410以上 MPa

FRP保護カバー(ナカボーマルチカバーF)の機械的強度

環境潮位

(m)

無防食試験片 防食試験片

質量減(g) 侵食度(mm/y) 質量減(g) 侵食度(mm/y)

飛沫帯 +1.7 44.9452 0.3674 0.0260 0.0002

干満帯+1.0 19.5908 0.1602 0.0246 0.0002

+0.3 12.9138 0.1056 0.0258 0.0002

PTC工法による防食効果試験結果 (浸せき時間416日)

無防食試験片

防食試験片

+1.7m +1.0m +0.3m

+1.7m +1.0m +0.3m

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フランジレスタイプカバー(リベット固定) フランジタイプカバー(ボルト固定)

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PTC工法のシステム構造

美観効果とフランジ突起部の破損リスク軽減を徹底追及し、

それを解消したカバー構造がフランジレスタイプ!

PTC工法は鋼材表面に防食層であるペトロラタム系防食ペーストとペトロラタム系防食テープを被覆し、その外

側に保護層であるFRP保護カバー(外力の緩和効果がある発泡ポリエチレンシートを内貼りしたFRPカバー)を被

覆する構造で構成されています。

ペトロラタム系防食テープ

発泡ポリエチレンシートFRP保護カバー

鋼材

ペトロラタム系防食ペースト

鋼管杭被覆要領図

鋼矢板被覆要領図

鋼矢板

端部シール

発泡ポリエチレンシート

ペトロラタム系防食シート(ペトロラタム系防食ペースト)

FRP当板

FRPカバー

ボルトキャップ

【フランジタイプ】【フランジレスタイプ】

PTC工法の使用材料

ペトロラタム系防食材1

ペトロラタム系防食テープは腐食抑制剤を含有するペトロラタム系コンパウンドを合成繊維系不織布に含浸

させてテープ状にしたもので、作業性がよく結構材や突起物への追従性にも優れます。

また、温度環境に対し柔軟に用途対応すべく製品を揃え、大気暴露部のような常温環境から熱帯地域などの

高温環境まで自由に選択可能となっています。

ペトロラタム系防食ペーストは、防錆コンパウンドを特殊加工したもので、大気中、地中、水中を問わず十分な

密着性を保持し、ペトロラタム被覆の機能向上のために欠かせないプライマー材です。

機能 品名 仕様・規格 標準使用量 特徴・用途

防食材

ペトロラタム系

防食テープ

1.1mm×200mm×10m/巻

(8巻/ケース)

その他の幅仕様

50mm、100mm

150mm、300mm

1.2巻/m2

・暴露部、埋没部、没水部などに使用可能な

テープ状の防食材

・耐薬品性、耐候性、耐寒性に優れる

・JIS Z 1902 適合品

ペトロラタム系

防食テープ

(高温用)

・上記の特性を有する

・高温環境(90℃)で連続使用可能

・JIS Z 1902 適合品

ペトロラタム系

防食シート2.2mm×1m×5m/巻 0.22巻/m2

・シート状の防食材

・JIS Z 1902 適合品

下塗り材

ペトロラタム系

防食ペースト

(水中用)

500g/袋

(40袋/ケース)

約300~500g/m2

※使用量は鋼材面の

腐食状況などを考慮

・没水部、湿潤部専用の防錆下塗り材

・水置換特性により没水部で鋼材表面に

付着し水を排除して防食効果を高める

・JIS Z 1903 適合品

充填材

ペトロラタム系

マスチック

(ブロック状)

3kg/袋

(8袋/ケース)

・防錆効果のある粘土状の充填材

・フランジ部(鋼矢板継手部)などの隙間

充填材ペトロラタム系

マスチック

(シート状)

7mm×250mm×900mm/枚

(10枚/ケース:2kg/枚)

ペトロラタム系防食材料一覧表

項 目 単位 規 格 値

質量 g 500+50

- 0

比重 ― 1.06±0.05

ちょう度 ― 100 ~ 370

蒸発量 % 3.0以下

項 目 単位 規 格 値

粘着力 N 4.90以上

引張り強さ N 49.0以上

耐熱流下性 ― 60±2℃ 24時間で滴下のないこと

ペトロラタム系防食ペーストの一般特性

ペトロラタム系防食テープの一般特性

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下端金具

鋼管杭

チタンリベット

FRPカバー

発泡ポリエチレンシート

ペトロラタム系防食テープ(ペトロラタム系防食ペースト)

端部シール

下端金具

鋼管杭

発泡ポリエチレンシート

ペトロラタム系防食テープ(ペトロラタム系防食ペースト)

端部シール

FRP当板

SUSボルト

FRPカバー