肢体不自由(運動障害)のある生徒等...
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肢体不自由(運動障害)のある生徒等のためのアセスメント
平成27年9月広島県教育委員会特別支援教育課
肢体不自由(運動障害)のある生徒等のためのアセスメント
平成27年9月広島県教育委員会特別支援教育課
~はじめに~
肢体不自由特別支援学校は,児童生徒一人一人の教育ニーズに対応するために,複数の教育課程を備えています。その基本的なものが次の3つです。 ○小学校等に準ずる教育課程 ○知的障害特別支援学校の教育課程 ○自立活動を主とする教育課程
通常,児童生徒の発達や学習状況等を把握すために,新版K式やWISCⅢ,Ⅳ等の発達検査を用いますが,肢体不自由(運動障害)のある児童生徒では,発声や手の操作等から実施が難しい場合があります。また,これとは別に,姿勢と運動・動作に関係する実態把握の必要があります。
このアセスメント票は,そうした児童生徒に視点をあてて作成しています。
近年の医療の進歩等を背景として,児童生徒の実態は多様化しています。健康の保持に特別な配慮を必要とする児童生徒,身体の動きに関する指導,支援の充実により,知的障害教育の効果が期待できる児童生徒,疾患や障害の理解と自己管理を図り,自立を目指す児童生徒等,幅広い教育ニーズがあります。
こうした児童生徒の実態を4つの観点で把握,整理することにより,指導目標,指導内容,指導方法並びに評価の充実を図ることを目的とします。
~ 目 次 ~ 1 構成 2 記入方法 3 用語の説明 4 解説と記入例 5 様式 6 参考資料
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1 構成
アセスメント票は,1姿勢,2健康状態,3運動,4認知・コミュニケーションの4つの観点で構成しています。これは,肢体不自由(運動障害)のある児童生徒の学習姿勢と健康状態,運動,認知・コミュニケーションは相互に深い関わりがあると考えられるためです。
1姿勢には,主な学習姿勢としてA 臥位姿勢からE 立位があります。それぞれの枠内に使用する座位保持装置等の補装具とその状態があります。 2健康状態には,(1)呼吸状態等,(2)体温調節,(3)摂食嚥下状態等,(4)原始反射・不随意運動等,(5)脱臼,側弯,関節拘縮等,(6)てんかん,(7)覚醒水準(生活リズム)があります。 3運動には,頸部のコントロール,移動,上肢・手掌の動きがあります。 4認知・コミュニケーションには,(1)見え方,(2)聞こえ方,(3)要求の方法,(4)記憶と行動・操作があります。 2 記入方法
(1)チェックは,該当項目の□を■にします。(2)記入は:(コロン)のところです。必要に応じて記入してください。(3)基礎疾患等で,脳性まひの原因となる疾患が分かれば記入してください。(4)1姿勢は,主な学習姿勢と立位があります。複数回答可です。(5)使用している車いす,座位保持装置等にチェックしてください。(6)同欄の座位保持装置等の調整必要の項目は,シート丈,シート幅,ヘッドレスト位置等が合っていてないと思われる場合,チェックを入れてその個所を記入します。(7)2健康状態の(5)の脱臼,側弯,関節拘縮等は,□にチェックし,部位と左右等を記入します。(8)4認知・コミュニケーションの(1)見え方,聞こえ方で,特に問題がない場合は,最後の項目のみを■にしてください。(9)4認知・コミュニケーションの(4)記憶と行動,操作にある一つの対応,二つの対応,三つの対応は,一語文二語文,三語文の理解に対応します。なお,知的障害特別支援学校の各教科を履修している場合は,三つの対応の欄を■にして【具体例】の後に各教科あるいは,該当教科名を記入してください。
3 用語説明
(1)2健康状態の(4)にある原始反射とは,発達とともに消えていく反射です。脳の損傷等により残存することがありますが,運動感覚等の学習によって軽減することがあります。 ・モロー反射:大きな音に両手を挙げて驚きます。 ・ATNR:顔が右側に向くと,右側の上肢下肢(手足)が伸展し,左側の手足が屈曲します。 ・STNR:頸部が伸展すると上肢(手)が伸展し,下肢(足)が屈曲します。頸部が屈曲すると上肢(手)が屈曲し下肢が伸展します。 ・TLR:うつ伏せにすると頸部,体幹,上肢下肢が屈曲し,仰向けにすると頸部,体幹,上肢下肢が伸展します。 ・手掌握反射:手掌に触れると手指が屈曲します。 ・後弓反張:脳の損傷等が原因で生じる身体の強い反り返りです。反り返りの状態は脳の状態等により異なります。 ・手足の振え(ミオクローヌス,足クローヌス)は,脳の損傷等により生じる手や顔,足の振えです。
(2)3運動のリーチとは,目の前にある物に向かって腕を伸ばす動作です。脳性まひのある児童生徒は,腕を伸ばそうとすると,屈筋と伸筋に同時に力が入り伸ばしにくくなることがあります。腕を伸ばす動きは,体幹,下肢の重心移動と連動します。お尻や足底にしっかりと体重が乗り,体幹の前傾をサポートすることで,腕は伸ばしやすくなります。脳性まひのある児童生徒の指導では重要な内容です。
(3)3運動の上肢の正中線交差とは,机上で手の操作が,右手(左手)が左側(右側)へ,身体の正中線(中心)を越える動きです。例えば,右手が正中線を越えて左側に動く時,左側の足底に体重が乗ります。右方向に動く時は,右足に体重が乗ります。腕の動きは,足の体重移動関係しています。机上を広く使う学習活動は,下肢や体幹の力を育てます。
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4 解説と記入例(1)事例No.1
小学部第5学年男子児童です。身長120㎝で体重17㎏です。少しやせています。体重が増えない原因は,摂取カロリー不足か,消費カロリーが多いかです。このタイプの児童の場合両方がが考えられます。歩ことや寝返り移動はしていないので,特にそうした面での運動量が多いようには思えません。カロリーを消費しているのは,筋緊張が高いことや努力呼吸が考えられます。特に,睡眠時に呼吸が浅くなり,目を覚まして頑張って呼吸することがあるためです。児童生徒の中には,このように夜間もぐっすり眠られていないケースが,割合多いのです。その意味では,「眠る力とは何か」という観点も必要です。
基礎疾患は低酸素性脳症の後遺症による脳性まひです。低酸素性脳症とは,文字通り脳に酸素が供給されていない状況があったために生じた脳の損傷です。出産時に呼吸数が著しく減少した場合等です。
1姿勢に関して。主な学習姿勢は,ベッドとバギーです。小学部5年生で身長120㎝程度であれば,座位保持装置を使用することが一般的ですが,右欄の(5)脱臼,側弯,関節拘縮等にあるように,右股関節脱臼により,体幹を起こすことの難しさがあります。 2健康状態に関して。(1)呼吸状態等では,呼吸回数が30回と多く,脈拍も100~120と多くなっています。酸素飽和度が90~97と幅があるほか,咳がしっかりとできなくて,下顎が引けていて舌根沈下があるため気道が狭いことが分かります。この状態で頚部の反り返りが出ると,より気道を狭めます。そのために鼻翼呼吸や肩呼吸となります。全般的には,痰等の分泌物が貯留あるいは停留しており酸素(空気)がしっかり取り込めず,呼吸回数を増やし,脈拍を増やして,酸素を供給している状態にあると思われます。(2)体温調節では,熱がこもりやすいとあります。体温の上昇にはいくつかの原因があります。まず,感染症により免疫反応が起きている状態,激しい運動により筋肉が熱を発生している状態,水分不足による発熱(身体の冷却機能),体温調節機能の問題等です。この児童は,経管栄養を摂っているので必要な水分量は取れていると思われます。常時強い筋緊張があるとか,感染症にり患しているのではないので,体温調節機能の問題が考えられます。(7)覚醒水準(生活リズム)にしっかりと覚醒しにくい,とあります。これは,(1)呼吸状態等と関係します。呼吸中枢と体温調節中枢は脳幹部にあります。脳幹部の働きに問題があると思われます。これに関連して(4)原始反射・不随意運動等では,原始反射の抑制が難しい状態にあることが分かります。また,(6)てんかんではウェスト症候群とあります。覚醒と睡眠のリズムが整いにくい要因の一つです。
3運動では,寝返りが少しできるとあります。自分の意思で動こうとしているのか,後弓反張によるものか不明確です。
4認知・コミュニケーションの(1)見え方では,光覚程度とあります。モニターを意識して見ようとするようですが,持続が難しいようです。(2)聞こえ方では,不快な音や好きな音が分かっていると思われます。(3)要求の方法では,前庭感覚,体性感覚系の遊びが好きです。そうした場面では,覚醒が上がり,続けて欲しいという要求が出やすいようです。また,言葉かけにも聞き入るような仕草が見られます。具体物や具体的な行動等との対応があると,認知されるように思えます。
※ 呼吸障害や嚥下障害等により医療的ケアを必要とする児童生徒の指導にあたっては,密接な保護者連携や看護師との協働が必要となります。この協働を行っていく上で,教育と看護の視点の違いについて共通認識を図ることが大切になります。 咳反射が弱く,痰等の分泌物が貯留しやすい児童生徒の場合,痰等を吸引すれば痰等がきれいに取り除かれるわけではありません。そのため,吸引後すぐに移動したり,身体を動かしたりすると,またすぐに喘鳴音が多くなってくることがあります。こうしたことについて,教員と看護師の認識の違いがあります。教員は授業の継続を考えがちであり,看護師は状態の見極めを考えます。病院との併置校等では主治医による学習制限がありますが,それ以外の特別支援学校では,看護師から学習制限を指示することの難しさがあります。 気管切開していないケースは,自力排痰ができるわけですから,リラックスして大きな息ができることや咳がしっかり出せる体勢を取らせることが大切です。姿勢に対する配慮が不十分だと,咳をしても,痰等が口腔内や咽頭部に残り苦しい状態になります。 こうしたことから,排痰姿勢の練習とともに,基本的に呼吸が楽になる授業づくりを考えていきたいものです。
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作成者氏名 □□○△
□心臓疾患 診断名:
取扱注意 記入事例 No.1
幼児児童生徒氏名 小学部 第5学年 ○組 ○○□□ □男 ■女身長・体重 120㎝ 17㎏ 平成27年6月12日測定
平成27年○月○日作成○○特別支援学校
アセスメント票
基礎疾患等
■脳性まひ 原因疾患: □神経・筋疾患 診断名: 低酸素脳症の後遺症□二分脊椎症:□顕在性 □潜在性 □骨・関節疾患 診断名: □その他:
1 姿勢 2 健康状態主な学習姿勢(複数回答可) (1) 呼吸状態等
所有する手帳療育手帳 ■ A □ A □ B □ B身体障害者手帳 1級 障害の状態:四肢体幹機能障害
B■深いリクライニング □座位保持装置□車いす■バギー□座位保持装置等の調整必要 医療的ケア
□人工呼吸器 □CPAP □BIPAP □その他:□気管切開 □酸素療法 ℓ/分□気管喉頭分離 □経鼻咽頭エアウェイ■鼻腔口腔内吸引 □その他:
A■仰臥位・側臥位 □ストレッチャー□座位保持装置■ベッド□バギー
□座位保持装置等の調整必要
呼吸回数25~30/分脈拍100~120/分酸素飽和度90~97■咳反射が弱い □喉頭軟化症■下顎の後退 ■鼻翼呼吸■舌根沈下 ■肩呼吸■分泌物の貯留 □睡眠時無呼吸症□ぜんそく □その他:
□普通食: ■ペースト食:30ml程度□きざみ食: □その他:
医療的ケア
□閉唇できる(□コップ □ストロー):□咀嚼できる: □舌を上下に動かせる:□舌を左右に動かせる: ■舌を前後に動かせる □誤嚥しやすい
食形態
C□浅いリクライニング □座位保持装置□車いす □座位保持装置等の調整必要
(2) 体温調節□低体温 □体温が変動しやすい■熱がこもりやすい □その他:
(3) 摂食嚥下状態等
補装具等□コルセット □短下肢装具 □スプリント□PCW □SRCウォーカー
(6) てんかん
(5) 脱臼,側弯,関節拘縮等Eその他:立位 □一人で立てる □つかまり立ち □介助立位
□E-1タイプ □E-2タイプ
□脱臼: ■亜脱臼:左右股関節■側弯等:右凸 ■関節拘縮:肘,手首,膝□反張膝: ■尖足:左右 □その他:
D□いす座り・車いす(垂直位及び前傾位) □座位保持装置□車いす
□座位保持装置等の調整必要
□IVH(中心静脈栄養) □口腔ネラトン法■胃ろう □経鼻胃管栄養□腸ろう □経鼻超管栄養□その他:
(4) 原始反射・不随意運動等■モロー反射(びっくり反射) ■後弓反張(オピストトーヌス)■ATNR(非対称性緊張性頚反射) ■手掌握反射■STNR(対称性緊張性頚反射) ■TLR(緊張性迷路反射)■手足の振え(ミオクローヌス,足クローヌス)□その他:
□部分発作 ■全般性発作診断名:ウエスト症候群
(7) 覚醒水準(生活リズム)□眠ることが多い ■しっかりと覚醒しにくい □不安定
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□歩行 □介助歩行 □ハイガード(腕が上がる) □つま先歩き □ 腰が引ける □股関節が伸展している □車いす移動 □自走式 □電動式
□ゆっくりと握ることができる □握った物をゆっくりと離すことができる
□床からいすに座れる □つかまり立ちができる □車いすにつかまって座れる。
□リーチ(上肢を目標に向けて伸ばす) □上肢を目標物に向けて連続して振り下ろせる □上肢の正中線交差
3 運動 □仰臥位(仰向け)で顔を正中に向けられる。 □座位で顔を正中に起こせる。 □数秒程度 □30秒以上 □安定している。 □仰臥位 □側臥位 □腹臥位 □パピィポジション □四つ這い位 □長座 □正座 □割座 □あぐら座 ■寝返りができる ■右側 □頭から □足腰から ■少し動ける □半返り □一回転 □左側 □頭から □足腰から □少し動ける □半返り □一回転
□四つ這いで移動 □割座で移動(バニーホップ) □寝返り移動 □ずり這い □背這い
(2)聞こえ方
□熊手状握り(5指一体) □鷲つかみ(拇指と4指の対抗) □つまむ(ピンチ)
□連合反応(身体の一部位を動かそうとすると全身に力が入る)【具体例】□代償動作(本来使う筋肉が使いにくくなり他の筋肉を使うこと。【例】腕が伸びにくなり体幹を倒して対応すること)【具体例】
4 認知・コミュニケーション(1) 見え方
■光に対して瞬きをする。【具体例】目の前の人の動きや絵本のページをめくる際に見られることがある。■明暗が分かる。【具体例】教室にいると,窓側をよく向いている。注視ができる。【具体例】絵本やモニターを注視しようとするが,頸の力が抜けたり,反り返ったりする。□追視ができる。【具体例】
□言葉で伝える。【伝えることのできる内容】
■不快な音に嫌そうな反応を示す。【具体例】突然の音に全身を固くする。■音のする方を向く。【具体例】お母さんや先生の声を聞くと,うれしそうに身体を反らせる。その方向を向くことは難しい。■好きな人の声や足音が聞き分けられる。【具体例】好きな人の声を聞くと,うれしそうに身体を反らせる。
(3)要求の方法■快,不快を表情や全身の状態で表す。【具体例】ゆさぶりやハンモックで表情が緩むことがある。嬉しい時,全身を緊張させる。□相手と視線を合わせることができる。 □いつでも □時々 □要求のある時【具体的な場面】■言葉かけに応答できる。【具体例】身近な人の話しかけに聞き入るような表情になることがある。□声で伝える。【具体例】□クレーン(先生の手を取る等)をする。【具体例】□指さしをする。【具体例】□声と動きで伝える。【具体例】
(4)記憶と行動・操作□記憶:好きな物を布で覆い隠すと布を取り払う(目の前の食べ物や玩具等に布をかけると取り払う)。【具体例】□一つの対応:図と地の対応(1対1の型はめ,スイッチを押して扇風機が回る等)。【具体例】□二つの対応(二つの型はめ,スイッチを押して,切る)。【具体例】□三つの対応(三つの型はめ,先生にカードを渡して席に戻る,三つの順番が分かる)【具体例】
姿勢・移動
上肢・手掌
頸部
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(2) 事例No.2
中学部第2学年男子,筋ジストロフィー(デュシャンヌ型)の生徒です。身長135㎝ですが,もう少し背が高いかもしれません。体重35㎏です。長時間の座位や臥位の負担が大きくなってきています。療育手帳はBです。モデルカーやドローンに興味があります。ラジコンカーの操作ができます。
1姿勢に関して。主な学習姿勢は,手こぎ式の車いすを使用して固定式カットアウトテーブルで学習します。肩の力が弱いので,テーブルの高さと傾斜,前腕の位置に留意します。手を動かしやすくするためにすべりやすい板を置くこともあります。概ね抗重力位(体幹を起こした姿勢)を取っていますが,時々,バックレスト(背もたれ)に身を預け休憩します。その際に腰が前へ若干滑るので,身体を起こす際に修正します。この点が安定するようにフローテーションマット(シート)の調整を考えています。
2健康状態に関して。(1)呼吸状態等では,換気量の減少(500ml)とともに,風邪気味な時には夜間CPAPを使用しています。(3)摂食・嚥下状態に関して,食形態は普通食ですが,固い肉等はさけています。コップもストローも使っていますが,閉唇の力が少し落ちてきたように思います。ストローは舌と口角で固定します。(5)脱臼,側弯,関節拘縮等では,右股関節亜脱臼,左凸の側弯が進んでいます。その他に尖足,手首の尺屈等があります。姿勢を保持するためにコルセットを使用しています。
3運動では,仰臥位及び座位での頸の可動域は比較的維持できています。寝返りは,頸の回旋で少し体幹が動きます。コルセットをはずすと10m程度車いすをこぐことができます。
4認知・コミュニケーションでは,(1)見え方(2)聞こえ方は良好です。(3)要求の方法では,相手と視線を合わせることがあまりありません。要求は,言葉で伝えることができます。換気量の関係があり単語だけのことが多いようですが,相手に対して働きかけることは少なく,受身であることが多くあります。タブレット端末やリモコン操作には熱中します。(4)記憶と行動・操作では,関心のあることは,よく覚えています。数学が得意です。
※ ALSや筋ジストロフィーの児童生徒は,低学年段階で,ある程度運動感覚を身に付けています。病態の
進行に伴って筋萎縮や運動障害が進み,側弯や換気量の低下がみられるようになります。
これに対しては,活動と休息のバランスを適切にとり,できるだけ良い姿勢で学習できる時間を確保するこ
と が一つの目標になります。筋萎縮により,関節拘縮や脱臼の心配もあるため,低年齢時期から,臥位での
姿勢変換や関節可動域運動,そして負担の少ない休息姿勢を学習することが大切です。このことは準ずる
教育課程履修者も知的障害特別支援学校教育課程履修者も同様です。また、適切な車いすの設定やコル
セットの着用は,姿勢不良による側弯や関節拘縮を防ぎ,さまざまな活動や学習に繋げられることができます。
こうした取組は,病態が進み自由に手足が動かせなくなった場合でも,関節可動域の維持や姿勢変換能力
に影響を与えるため大切です。
筋ジストロフィー等のある児童生徒の身体介護や関節可動域運動等で留意することは,(PT・OTの助言を
取り入れ)体幹に近い関節から運動をはじめ,無理のない範囲でしっかりと動きを出していくことです。この際、
体幹に近い関節を固定し,肢全体をしっかと支えて動かしていくことが大切です。こうした工夫により,生徒が
安心感を持つようになると,スムーズに休息姿勢がとれるようになります。
※二分脊椎症のある児童生徒には,下肢を意識した姿勢の指導に留意します。下肢の踏ん張りが弱かった
り,感覚入力の難しかったりするため,体幹の動きを引き出しやすい位置(アライメント)を身に付けさせること
が大切です。また,損傷部位によっては血行不良の予防のための体重移動や関節拘縮の予防のための運
動等の指導,支援に留意します。児童生徒自身のコメントに頼るだけでなく,全身状態の見極めや自立に向
けて必要な課題を整理し,児童生徒の活動性や意欲の向上を図ります。
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作成者氏名 ○△□◎
□心臓疾患 診断名:
○○特別支援学校アセスメント票
幼児児童生徒氏名 中学部 第2学年○組 ○○△□ ■男 □女
取扱注意 記入事例 No.2 平成27年○月○日作成
身長・体重 135㎝ 35㎏ 平成27年5月20測定
基礎疾患等
□脳性まひ 原因疾患: ■神経・筋疾患 診断名:デュシャンヌ型筋ジストロフィー
1 姿勢 2 健康状態 主な学習姿勢(複数回答可) (1) 呼吸状態等
□二分脊椎症:□顕在性 □潜在性 □骨・関節疾患 診断名: □その他:
所有する手帳療育手帳 □ A □ A □ B ■ B身体障害者手帳 2 級 障害名: 体幹機能障害
A□仰臥位・側臥位 □ストレッチャー□座位保持装置□ベッド□バギー
□座位保持装置等の調整必要
呼吸回数25~30/分 脈拍80~90/分 酸素飽和度97~100□咳反射が弱い □喉頭軟化症□下顎の後退 □鼻翼呼吸□舌根沈下 □肩呼吸□分泌物の貯留 □睡眠時無呼吸症□ぜんそく □その他:B□深いリクライニング
□座位保持装置□車いす□バギー□座位保持装置等の調整必要 医療的ケア
■閉唇できる(■コップ ■ストロー):舌を添えてストローを支える■咀嚼できる:咀嚼の動きが遅くなった □舌を上下に動かせる□舌を左右に動かせる □舌を前後に動かせる □誤嚥しやすい
食形態 ■普通食: □ペースト食:□きざみ食: □その他:
□人工呼吸器 ■CPAP夜間装着 □BIPAP □その他:□気管切開 □酸素療法 ℓ/分□気管喉頭分離 □経鼻咽頭エアウェイ□鼻腔口腔内吸引 □その他:
C■浅いリクライニング □座位保持装置■車いす ■座位保持装置等の調整必要
(2) 体温調節□低体温 □体温が変動しやすい□熱がこもりやすい □その他:
(3) 摂食・嚥下状態等
医療的ケアD□いす座り・車いす(垂直位及び前傾位) □座位保持装置□車いす
□座位保持装置等の調整必要
□IVH(中心静脈栄養) □口腔ネラトン法□胃ろう □経鼻胃管栄養□腸ろう □経鼻腸管栄養□その他:
(4) 原始反射・不随意運動等□モロー反射(びっくり反射) □後弓反張(オピストトーヌス)□ATNR(非対称性緊張性頸反射) □手掌握反射□STNR(対称性緊張性頸反射) □TLR(緊張性迷路反射)□手足の振え(ミオクローヌス,足クローヌス)□その他:
(5) 脱臼,側弯,関節拘縮等
(6) てんかん□部分発作 □全般性発作診断名:
(7) 覚醒水準(生活リズム)
Eその他:立位 □一人で立てる □つかまり立ち □介助立位
□E-1タイプ □E-2タイプ
□脱臼: ■亜脱臼:右股関節■側弯等:左凸 ■関節拘縮:膝□反張膝: ■尖足: □その他:
補装具等■コルセット □短下肢装具 □スプリント□PCW □SRCウォーカー
□眠ることが多い □しっかりと覚醒しにくい □不安定
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■車いす移動 ■自走式 □電動式
■ゆっくりと握ることができる ■握った物をゆっくりと離すことができる
3 運動 ■仰臥位(仰向け)で顔を正中に向けられる。 ■座位で顔を正中に起こせる。 □数秒程度 □30秒以上 ■安定している。
□床からいすに座れる □つかまり立ちができる □車いすにつかまって座れる。 □歩行 □介助歩行 □ハイガード(腕が上がる) □つま先歩き □腰が引ける □股関節が伸展している
□リーチ(上肢を目標に向けて伸ばす) □上肢を目標物に向けて連続して振り下ろせる □上肢の正中線交差
■仰臥位 □側臥位 □腹臥位 □パピィポジション □四つ這い位 □長座 □正座 □割座 ■あぐら座 ■寝返りができる ■右側 □頭から □足腰から ■少し動ける □半返り □一回転 □左側 □頭から □足腰から □少し動ける □半返り □一回転
□四つ這いで移動 □割座で移動(バニーホップ) □寝返り移動 □ずり這い □背這い
□代償動作(本来使う筋肉が使いにくくなり他の筋肉を使うこと。【例】腕が伸びにくなり体幹を倒して対応すること)【具体例】
4 認知・コミュニケーション(1) 見え方
□熊手状握り(5指一体) □鷲つかみ(拇指と4指の対抗) ■つまむ(ピンチ)
□連合反応(身体の一部位を動かそうとすると全身に力が入る)【具体例】
■追視ができる。【具体例】頸部の可動域は少なくなったが,見る力は良好。
(2)聞こえ方
□光に対して瞬きをする。【具体例】□明暗が分かる。【具体例】□注視ができる。【具体例】
(3)要求の方法□快,不快を表情や全身の状態で表す。【具体例】□相手と視線を合わせることができる。 □いつでも □時々 ■要求のある時【具体的な場面】
□不快な音に嫌そうな反応を示す。【具体例】■音のする方を向く。【具体例】■好きな人の声や足音が聞き分けられる。【具体例】
□指さしをする。【具体例】□声と動きで伝える。【具体例】■言葉で伝える。【伝えることのできる内容】
□言葉かけに応答できる。【具体例】□声で伝える。【具体例】□クレーン(先生の手を取る等)をする。【具体例】
□二つの対応(二つの型はめ,スイッチを押して,切る)。【具体例】■三つの対応(三つの型はめ,先生にカードを渡して席に戻る,三つの順番が分かる)【具体例】教科学習(知的障害)
(4)記憶と行動・操作□記憶:好きな物を布で覆い隠すと布を取り払う(目の前の食べ物や玩具等に布をかけると取り払う)。【具体例】□一つの対応:図と地の対応(1対1の型はめ,スイッチを押して扇風機が回る等)。【具体例】
姿勢・移動
上肢・手掌
頸部
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(3)事例No.3
高等部第1学年男子,PVL(脳室周囲白質軟化症)による両まひの生徒です。尖足気味で,しっかりと踏ん張れないために,歩行は早歩きで不安定になりがちです。下肢の痙性が高くなると上肢の痙性も高くなることに留意します。
1姿勢に関して。(1)主な学習姿勢は,通常の机といすです。2健康状態に関しては,咀嚼が不十分です。モロー反射がたまに出ることがあります。尖足です。
3運動は,割座で移動(バニーホップ),歩行時に若干ハイガードになります。上肢・手掌の動きは,ゆっくりと物を離すところに課題があります。
4認知・コミュニケーションでは,(1)見え方,(2)聞こえ方は良好です。(3)要求の方法では,相手と視線を合わせることが少なく,言葉かけに対して曖昧なことがあります。必要なことは言葉で伝えることができますが,指示待ちが多いです。(4)記憶と行動・操作では,3つの対応が曖昧です。
この生徒は,中学部までに,身の回りのことを自分でするという意識,習慣が育っており,登下校の準備,学習の準備と片付け,給食の準備と片付け等,日常生活の指導に力を入れて指導しています。特にトイレについては,洋式トイレで,ズボンの上げ下ろしが確実にできるよう練習しており,踵に体重をかけて立ったり,バランスボールに座って前後左右の重心移動ができるようになってきたことで,ズボンの上げ下ろしがスムーズにできるようになってきました(上下肢の分離運動,上肢伸展下肢屈曲,下肢伸展上肢屈曲)。ズボンの上げ下ろしができるようになってきたことで,長袖シャツの脱ぎ着もできるようになってきました(左右の分離運動,左上肢の伸展右上肢の屈曲,体幹の伸展と上肢の屈曲)。
また,授業の始めと終わりに「起立,気を付け,礼」を入れて,手を机に着き,体重を乗せて立ち上がる,股関節(下腹部)を伸ばして立つ,礼をする,手を机に着きいすに座り,いすを引き寄せる,という動作を練習してきました。
このように日常生活で,衣服の着脱やテーブル拭き,荷物や給食の片付けができるようになってきたことで,作業学習(清掃,物流)にも取り組めるようになってきました。時間を要しますが,物品を運んだり,並べたり,テーブルを拭いたりします。精度は不十分ですが,学習目標が意識できるようになっています。両手を上下にするほうきやモップの使用は,まだ難しいようです。
運動面での課題は,足首保護用のハイカットシューズのマジックベルトを確実にしめることです。ハムストリングスに固さがあるため,体幹を折り曲げてベルトを締める動作の持続が難しいようです。
自閉症の特性も有しており,生徒に正対して話す,指導,支援する,という点も意識して指導しています。生徒が相手を意識することで,モデリングが分かりやすいように思います。
肢体不自由(運動障害)のある児童生徒には,自閉症等発達障害のあるケースがあります。そうした場合,姿勢,運動,動作等の指導とソーシャルスキルの指導とを意識する必要があります。確実にできる姿勢や運動を基盤にして,認知・コミュニケーションの指導を行います。この生徒の場合は,姿勢バランスを適切に指導,支援することで,知的障害のある児童生徒と同様の指導目標を設定できます。歩行が難しい場合は,車いす等を使用して,姿勢を安定させて動きやすい体勢づくりをします。その上で,教科学習や作業学習の他,社会生活を送っていく上で必要なソーシャルスキルを身に付けさせるようにします。
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□心臓疾患 診断名:
取扱注意 記入事例No.3平成27年○月○日作成
所有する手帳療育手帳 ■ A □ A □ B □ B身体障害者手帳 3級 障害名:下肢機能障害
○○特別支援学校 作成者氏名 ○△□◎アセスメント票
幼児児童生徒氏名 高等部第1学年 ○組 ■男 □女身長・体重 150㎝ 40㎏ 平成27年6月8日測定
基礎疾患等
■脳性まひ 原因疾患: □神経・筋疾患 診断名: PVL(脳室周囲白質軟化症)□二分脊椎症:□顕在性 □潜在性 □骨・関節疾患 診断名: □その他:
2 健康状態(1) 主な学習姿勢(複数回答可) (1) 呼吸状態等
A□仰臥位・側臥位 □ストレッチャー□座位保持装置□ベッド□バギー
□座位保持装置等の調整必要
呼吸回数25~30/分脈拍80~90/分酸素飽和度97~100□咳反射が弱い □喉頭軟化症□下顎の後退 □鼻翼呼吸□舌根沈下 □肩呼吸□分泌物の貯留 □睡眠時無呼吸症□ぜんそく □その他:B□深いリクライニング
□座位保持装置□車いす□バギー□座位保持装置等の調整必要 医療的ケア
□人工呼吸器 □CPAP □BIPAP □その他:□気管切開 □酸素療法 ℓ/分□気管喉頭分離 □経鼻咽頭エアウェイ□鼻腔口腔内吸引 □その他:
□低体温 □体温が変動しやすい□熱がこもりやすい □その他:
(3) 摂食・嚥下状態等□閉唇できる(□コップ □ストロー):□咀嚼できる: ■舌を上下に動かせる:□舌を左右に動かせる: □舌を前後に動かせる: □誤嚥しやすい
食形態 □普通食: □ペースト食:30ml程度□きざみ食: □その他:
医療的ケア
(5) 脱臼,側弯,関節拘縮等
補装具等□コルセット □短下肢装具 □スプリント□PCW □SRCウォーカー
(6) てんかん□部分発作 □全般性発作診断名:
D■椅子座り・車いす(垂直位及び前傾位) □座位保持装置■車いす
□座位保持装置等の調整必要
□IVH(中心静脈栄養) □口腔ネラトン法□胃ろう □経鼻胃管栄養□腸ろう □経鼻腸管栄養□その他:
(4) 原始反射・不随意運動等■モロー反射(びっくり反射) □後弓反張(オピストトーヌス)□ATNR(非対称性緊張性頚反射) □手掌握反射□STNR(対称性緊張性頚反射) □TLR(緊張性迷路反射)□手足の振え(ミオクローヌス,足クローヌス)□その他:
Eその他:立位 ■一人で立てる □つかまり立ち □介助立位
■E-1タイプ □E-2タイプ
□脱臼: □亜脱臼:左右股関節□側弯等: □関節拘縮:肘,手首,膝□反張膝: ■尖足: ■その他:内踝の落ち込み
C□浅いリクライニング □座位保持装置□車いす □座位保持装置等の調整必要
(2) 体温調節
(7) 覚醒水準(生活リズム)□眠ることが多い □しっかりと覚醒しにくい □不安定
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□ゆっくりと握ることができる □握った物をゆっくりと離すことができる
□明暗が分かる。【具体例】注視ができる。【具体例】■追視ができる。
(1) 見え方
■連合反応(身体の一部位を動かそうとすると全身に力が入る)
□光に対して瞬きをする。【具体例】
【具体例】上肢を使う際に下肢が伸展傾向にある。□代償動作(本来使う筋肉が使いにくくなり他の筋肉を使うこと。【例】腕が伸びにくなり体幹を倒して対応すること)【具体例】
4 認知・コミュニケーション
■リーチ(上肢を目標に向けて伸ばす) □上肢を目標物に向けて連続して振り下ろせる □上肢の正中線交差
□クレーン(先生の手を取る等)をする。【具体例】□指さしをする。【具体例】■声と動きで伝える。【具体例】
【具体例】
3 運動 ■仰臥位(仰向け)で顔を正中に向けられる。 ■座位で顔を正中に起こせる。 □数秒程度 ■30秒以上 □安定している。
□車いす移動 □自走式 □電動式
■寝返りができる ■右側 ■頭から □足腰から □少し動ける □半返り ■一回転 ■左側 □頭から □足腰から □少し動ける ■半返り □一回転
□四つ這いで移動 ■割座で移動(バニーホップ) □寝返り移動 □ずり這い □背這い □床からいすに座れる □つかまり立ちができる □車いすにつかまって座れる。 □歩行 ■介助歩行 ■ハイガード(腕が上がる) □つま先歩き ■ 腰が引ける □股関節が伸展している
■仰臥位 ■側臥位 ■腹臥位 □パピィポジション □四つ這い位 □長座 □正座 ■割座 ■あぐら座
□二つの対応(二つの型はめ,スイッチを押して,切る)。【具体例】□三つの対応(三つの型はめ,先生にカードを渡して席に戻る,三つの順番が分かる)【具体例】
(2)聞こえ方
■熊手状握り(5指一体) □鷲つかみ(拇指と4指の対抗) □つまむ(ピンチ)
(4)記憶と行動・操作■記憶:好きな物を布で覆い隠すと布を取り払う(目の前の食べ物や玩具等に布をかけると取り払う)。【具体例】■一つの対応:図と地の対応(1対1の型はめ,スイッチを押して扇風機が回る等)。【具体例】○型の型はめができる。角があると難しい。
□言葉で伝える。【伝えることのできる内容】
□不快な音に嫌そうな反応を示す。【具体例】□音のする方を向く。【具体例】■好きな人の声や足音が聞き分けられる。【具体例】
(3)要求の方法□快,不快を表情や全身の状態で表す。【具体例】■相手と視線を合わせることができる。 □いつでも ■時々 □要求のある時【具体的な場面】■言葉かけに応答できる。【具体例】□声で伝える。【具体例】
頸部
姿勢・移動
上肢・手掌
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様式
□心臓疾患 診断名:
取扱注意平成 年 月 日作成
特別支援学校 作成者氏名アセスメント票
幼児児童生徒氏名 学部 学年 組 □男 □女身長・体重 ㎝ ㎏ 平成 年 月 日測定
主な学習姿勢(複数回答可) (1) 呼吸状態等
□二分脊椎症:□顕在性 □潜在性 □骨・関節疾患 診断名: □その他:
所有する手帳療育手帳 □ A □ A □ B □ B身体障害者手帳 級 障害の状態:
基礎疾患等
□脳性まひ 原因疾患: □神経・筋疾患 診断名:
1 姿勢 2 健康状態
A□仰臥位・側臥位 □ストレッチャー□座位保持装置□ベッド□バギー
□座位保持装置等の調整必要
呼吸回数 ~ /分 脈拍 ~ /分 酸素飽和度 ~□咳反射が弱い □喉頭軟化症□下顎の後退 □鼻翼呼吸□舌根沈下 □肩呼吸□分泌物の貯留 □睡眠時無呼吸症□ぜんそく □その他:B□深いリクライニング
□座位保持装置□車いす□バギー□座位保持装置等の調整必要 医療的ケア
□閉唇できる(□コップ □ストロー):□咀嚼できる: □舌を上下に動かせる:□舌を左右に動かせる: □舌を前後に動かせる: □誤嚥しやすい
食形態 □普通食: □ペースト食:□きざみ食: □その他:
□人工呼吸器 □CPAP □BIPAP □その他:□気管切開 □酸素療法 ℓ/分□気管喉頭分離 □経鼻咽頭エアウェイ□鼻腔口腔内吸引 □その他:
C□浅いリクライニング □座位保持装置□車いす □座位保持装置等の調整必要
(2) 体温調節□低体温 □体温が変動しやすい□熱がこもりやすい □その他:
(3) 摂食・嚥下状態等
医療的ケア
□部分発作 □全般性発作診断名:
(7) 覚醒水準(生活リズム)
(5) 脱臼,側弯,関節拘縮等Eその他:立位 □一人で立てる □つかまり立ち □介助立位
□E-1タイプ □E-2タイプ
□脱臼: □亜脱臼:□側弯等: □関節拘縮:□反張膝: □尖足: □その他:
補装具等□コルセット □短下肢装具 □スプリント□PCW □SRCウォーカー
D□いす座り・車いす(垂直位及び前傾位) □座位保持装置□車いす
□座位保持装置等の調整必要
□IVH(中心静脈栄養) □口腔ネラトン法□胃ろう □経鼻胃管栄養□腸ろう □経鼻腸管栄養□その他:
(4) 原始反射・不随意運動等□モロー反射(びっくり反射) □後弓反張(オピストトーヌス)□ATNR(非対称性緊張性頸反射) □手掌握反射□STNR(対称性緊張性頸反射) □TLR(緊張性迷路反射)□手足の振え(ミオクローヌス,足クローヌス)□その他:
(6) てんかん
□眠ることが多い □しっかりと覚醒しにくい □不安定
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□ゆっくりと握ることができる □握った物をゆっくりと離すことができる
□寝返りができる □右側 □頭から □足腰から □少し動ける □半返り □一回転 □左側 □頭から □足腰から □少し動ける □半返り □一回転
□四つ這いで移動 □割座で移動(バニーホップ) □寝返り移動 □ずり這い □背這い
□仰臥位(仰向け)で顔を正中に向けられる。 □座位で顔を正中に起こせる。 □数秒程度 □30秒以上 □安定している。 □仰臥位 □側臥位 □腹臥位 □パピィポジション □四つ這い位 □長座 □正座 □割座 □あぐら座
3 運動
□リーチ(上肢を目標に向けて伸ばす) □上肢を目標物に向けて連続して振り下ろせる □上肢の正中線交差 □熊手状握り(5指一体) □鷲つかみ(拇指と4指の対抗) □つまむ(ピンチ)
□床からいすに座れる □つかまり立ちができる □車いすにつかまって座れる。 □歩行 □介助歩行 □ハイガード(腕が上がる) □つま先歩き □腰が引ける □股関節が伸展している □車いす移動 □自走式 □電動式
□代償動作(本来使う筋肉が使いにくくなり他の筋肉を使うこと。【例】腕が伸びにくなり体幹を倒して対応すること)【具体例】
4 認知・コミュニケーション(1) 見え方
□連合反応(身体の一部位を動かそうとすると全身に力が入る)【具体例】
【具体例】(2)聞こえ方
□不快な音に嫌そうな反応を示す。【具体例】
□光に対して瞬きをする。【具体例】□明暗が分かる。【具体例】□注視ができる。【具体例】□追視ができる。
□快,不快を表情や全身の状態で表す。【具体例】□相手と視線を合わせることができる。 □いつでも □時々 □要求のある時【具体的な場面】
□音のする方を向く。【具体例】□好きな人の声や足音が聞き分けられる。【具体例】
(3)要求の方法
□指さしをする。【具体例】□声と動きで伝える。【具体例】□言葉で伝える。【伝えることのできる内容】
□言葉かけに応答できる。【具体例】□声で伝える。【具体例】□クレーン(先生の手を取る等)をする。【具体例】
□二つの対応(二つの型はめ,スイッチを押して,切る)。【具体例】□三つの対応(三つの型はめ,先生にカードを渡して席に戻る,三つの順番が分かる)【具体例】
(4)記憶と行動・操作□記憶:好きな物を布で覆い隠すと布を取り払う(目の前の食べ物や玩具等に布をかけると取り払う)。【具体例】□一つの対応:図と地の対応(1対1の型はめ,スイッチを押して扇風機が回る等)。【具体例】
頸部
姿勢・移動
上肢・手掌
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参考資料 原始反射について
1 反射運動をおさえることがなぜ重要か? 正常な意識的運動は,その基礎を反射活動に基礎を置いている。 一方で,成長しても反射活動がよく統合されていない場合,正常な意識的運動の妨げになっていることもある。
2 押さえておきたい反射活動(1)緊張性迷路反射(TLR) ・頭部の位置により,体と手足の緊張性が変化。 ・頭部が前に傾くと体と手足が屈曲する。頭部が後方に傾くと体と手足が伸びる。 ※寝返りができるようになるためには,TLRが統合される必要がある。
(2)非対称性緊張性頸反射(ATNR) ・頸部の位置により,手足の緊張性が変化。 ・顔を向けた側の手足が伸展し,後頭側の手足が屈曲する。 ※ATNRが統合されてくると身体の分節的な回旋が始まってくる。
(3)対称性緊張性頸反射(STNR) ・頸部の位置により,手足の緊張性が変化。 ・頸部が伸展すると,手が伸展し,足が屈曲する。頸部が屈曲すると,手が屈曲し,足が伸展する。 ※四つ這い位をとるために必要な反射。
(4)モロー反射 ・手掌で後頭部を支え,支えている手を急に離し,頭を20cmほど落下させると,腕を外転させ指を伸ばした後(第1相),腕を内転させ,屈曲し元の姿勢に戻る(第2相)。 ※頭のコントロールが十分完成してくると,この反射は減弱してくる。脳性麻痺にみられる強いモロー反射には,頭のコントロールの獲得に主眼をおくことが大切になる。 3 反射活動が統合されなかった場合 脳性麻痺ではこれらの反射が長期残存することがあり,次のようなことにつながる。 ・正中位指向の発達に悪影響 ・寝返りの困難性 ・対象的な姿勢への発達の悪影響 ・追視の困難(読書困難につながる) ・腹臥位,背臥位での対象的な頭の挙上な困難 ・対象的な運動が発達しない ・変形や拘縮の原因となる (特に側弯症や後頭側の脱臼)
参考文献 河村光俊(2005) 『小児の理学療法』 医歯薬出版株式会社
TLR
ATNR
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