遠隔授業の要件と 板書授業方式による遠隔講義 - …2001/05/30 ·...
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遠隔授業の要件と板書授業方式による遠隔講義
○渡辺健次 林敏浩 大谷誠 田中久治林田行雄 近藤弘樹
(佐賀大学)
目次
?授業における2つの共有?授業の形態とメディアの役割
?板書授業方式の実践?遠隔授業の教育効果?まとめ
授業における2つの共有
?学習者の知識獲得、概念創造?学習者は思考しながら学習する?教授者は学習者に対し、
? 知識・概念の提示、教示? 思考の誘導
?2つの共有? 情報の共有?提知識、教材、資料:考えるための資料
? 思考(活動)の共有(・持続)?作業が入る場合には作業も共有
どのような情報が共有されているか??構成者
? 教授者、学習者
?情報? 教授者?主情報:発信
? 教師の映像、音声? 教材資料、板書? 進行についての情報
?学習者の発言、資料提示:受信、?周辺情報(進行を決める為の情報、参加感)
? 学習者の様子
どのような情報が共有されているか??情報
? 学習者?主情報:受信
? 教師の映像、音声? 教材資料、板書? 進行についての情報
?主情報(質問、発言):発信? 学習者の映像、音声? 資料
?周辺情報(参加感)? 他の学習者、参加者の様子? 教授者から見えている
?情報が共有されている→思考の共有へ? 情報が相手に伝わり、また伝わったことが分かっている
遠隔授業でおける共有の実現
?メディアを介して実現?人工的に実現?教育活動の形態によって必要なメディアが異な
る? 講演形式? 板書授業形式? 討論形式? 語学演習? ・・・・・
授業の形態とメディアの役割?講演形式
? 講演者の映像と音声? 資料
?聴講者の様子のフィードバック? 同一会場の聴講者を対象として話す? 他会場の映像を講演者に伝える
?講演者の映像はそれほど重要ではない?教材はプレゼンツールにより提示する
? 高精細資料画像の確保
?進行についてのチャンネルは別途確保?音声は決定的に重要
授業の形態とメディアの役割
?討論形式? 発言者の映像、音声
? 資料
?進行についての合意? 司会進行者←進行を決定する為の情報
? 他会場からのフィードバック
? 進行についての合意
授業の形態とメディアの役割
?板書授業方式? 遠隔地の教授者、教室での受講者? 教授者の板書を高精細映像(画像)で伝える
? 補助画像を置く
?高精細な映像が必要?明瞭な音声が必要
授業方式の分類?板書授業形式
? 黒板やホワイトボードを利用した教授方式?教材を板書して提示する?余白がなくなれば一度消してから書きなおす必要がある?視聴覚に訴える提示方法が貧弱である?教材を少しずつ提示する?特別な機器を必要としない
?投影授業方式? プレゼンテーションツールを用いた教授方式?教材をプロジェクタなどで提示する?迅速に教育コンテンツを提示・変更できる?多用な視聴覚効果を利用して提示できる?グループ化された教材を一度に提示する?必要な機器がないと利用できない
両方式の違い:教材提示速度
?投影授業方式は板書授業方式に比較し教材を提示する時間を大幅に軽減?議論を主体とした講義や講演スタイルの講義
? 投影授業方式では余った時間を有効に教育利用
?知識伝達や理解促進を目的にする講義? 板書授業形式:黒板やホワイトボードを利用し,(P1)
教官が教材を板書し,(P2)学生はノートを取り,(P3)教官が板書内容を説明するサイクルが形成?(P1)の時間短縮で投影授業方式は有効?(P2)の時間と提示内容を理解するための時間の圧迫?板書授業方式では教材の(P1)、(P2)も理解時間に利用
両方式の違い:教材提示量?教材のマクロ提示(投影授業形式)
? ある1つの概念を説明するために一度に教材を提示? 提示教材は一般にある概念でグループ化され局所的
に完結? 概念を大まかに捉えて必要な知識を整理するのに有
効
?教材のマイクロ提示(板書授業形式)? 段階的に教材を提示? 提示教材はある概念を説明する宣言的・手続き的知
識あるいは事例(の一部)? 板書と説明が何回が繰り返され1つの概念の説明が
形成? 知識を組み上げて概念を形成するのに有効
板書授業方式の意味
?理系の古典的授業形態(数学、物理学、 コンピュータサイエンスの基礎、、、)?分野の特徴:論理化、体系化されている?教育目的:基本的な概念、方法の新たな獲得?教授者:板書しつつ
? 問題解法の手続き? 新たな概念の提示
?学習者:ノートに写しつつ? 思考のフォロー? →教授者のゆっくりした展開が重要
授業形式と遠隔講義?通信回線の容量の問題から伝送するデータ量が
制限? 従来は映像データの伝送において重要な問題? デフォルト的に投影授業形式が採用
?単純に板書授業方式を投影授業方式で代替するのは問題? 講義の目的や内容を考慮する必要
?次世代超高速情報ネットワークの利用? 回線容量を考慮しない教育利用が可能? 高精細な映像の伝送を前提とした遠隔講義が可能
?高精細映像を利用する板書授業形式の遠隔講義
板書授業方式の実践?佐賀大学理工学部知能情報システム学科の専
門選択科目「言語処理系論」(学部3年生対象)を対象に板書授業方式による遠隔講義を実施
? 平成12年11月27日と平成13年1月15日の2回実施
? 佐賀大学理工学部7号館の教官室(スタジオ)と同棟の講義室の2点間を棟内LAN(100Mbps)で接続
? スタジオで教官が講義を行い講義室で学生が視聴する形態
? 講義形式は板書授業方式でホワイトボードを利用
? 資料は教官から事前に遠隔講義の補助スタッフ(オペレータ)が預かっておき,講義直前に講義室で学生に配布
板書授業方式の実践?送信器
? デジタルビデオカメラとネットワーク接続された計算機? DVTS
?受信器? ビデオプロジェクタとネットワーク接続された計算機
?ネットワーク? 100Base-TX LAN
?遠隔講義の場所? 学生側:送受信器を設置可能な講義室
? 教官側:講義用スタジオ(遠隔講義用に機器整備した教官室)
遠隔講義のシステム構成:スタジオ側
PCs
Video projector
Whiteboard
Video camera
スタジオ側のホワイトボード
講義室のシステム構成
PCs
PRJ
PRJ
PRJ: Video projector
Mai
n sc
reen
Sub-
scre
en
講義室のメインスクリーン
ホワイトボードの投影(講義室側)
資料の投影(講義室側)
考察
?映像の品質? 板書が十分に読める→講義に耐えうる
?音声の品質? 講義に耐えうる
? マイク&スピーカにより普段より良好
考察
?周辺情報? 生徒側?教師は常に映っている必要は無い
?先生が何処を見ているのか解らないので不安
? 教師側?講義の進行のために生徒側の映像は必要
?講義の評価? 通常の講義と変わらない
遠隔授業の教育効果
?必要条件
?2つの共有? 情報の共有
? 思考の共有
教育効果=
教師の意欲 ×
コンテンツ ×
メディアの能力 ×
学習者の意欲
まとめ
?授業における2つの共有?授業の形態とメディアの役割?板書授業方式の実践?遠隔授業の教育効果
?謝辞本研究は科学研究費補助金基盤B(2) (課題番号13480048)の援助を受けている