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配色における色相と色相差 Effect of Hue and Hue Interval on Color Harmony 筒井亜湖・近江源太郎 (女子美術大学大学院) 女子美術大学紀要, 6, pp. 1-12. (2009) (修正 2011) アブストラクト 本研究の目的は,調和判断に対する色相,色相差の影響および両者の相互作用の確認と,調和判断の個人差パタンの検 討であった.20名の美術大学の学部生は,NCS色相環において等間隔に位置する20色の組み合わせによる,計190の二 色配色に対する調和評定を行った.全般的傾向として,色相および色相差の双方の要因が調和判断に有意に関与し,ま たその効果は色相差要因でより大きいことが示された.黄および青を含む配色については対照配色に関して調和感が上 昇する傾向が認められ,赤および緑を含む配色では対照配色は不調和とされた.また,個人差に関しては,調和評定平 均値に内在する2つの判断基準による分析を行った.主要な基準では色相差要因がより影響力をもったが,副次的な基 準では色相優位の傾向が示された.最後に,これらの結果を伝統的な調和理論に対応させて考察した. はじめに 色彩調和理論は色彩研究における中心的テーマのひとつである (Judd, 1975).基本的には,どのような 色とどのような色を組み合わせるとよい心理的効果を生むのか,その法則性を明らかにしようとする研究で ある.“harmony”という考え方は古代ギリシャ哲学に始まり,異質な概念同士を組み合わせて,そのいず れにも含まれない新しい概念を生むことを指す.以来,“harmony”の理論は美学の世界で追究されてきた が,他方では絵画制作にあたっての具体的な色の使用について,画家個々人の経験からさまざまに定性的な 法則が記述されてきた.そして,19世紀初頭の Goethe (1840/1999) に至って,ある程度の法則が提案 されたとみなしてよい.自身の設定した色相環において,例えば「直径の関係にある色同士は調和する」と いった記述である.しかし,彼は今日でいう明度彩度については殆ど言及していない.Arnheim (1954) は,色立体研究の目的には色を正確に表すことと,調和ある配色を選ぶための道具という2つがあると指摘 している.事実,マンセル表色系をはじめ多くのカラーオーダーシステムの開発にあたっては,調和配色を 得るためという目標があった.その意味では,Goetheの時代には色立体の概念が未熟であったために,色 相中心の記述になったといえる.また,彼の理論は経験科学的な資料に基づいたわけではない. 色彩調和に関する実験美学的ないし心理学的な方法論による研究は19世紀末から始まっており,1944に発表された Moon & Spencer による論文は配色調和理論の歴史においては画期的な影響を与えた.3篇 の論文からなるが,その第一論文は配色を構成する色間の色空間内における距離のみから調和不調和を予 測する試みである.色相についていえば,色相環上の距離によって同一,類似,対照の3種類の調和領域が 指摘されている.この理論は,配色調和に関する最初の包括的かつ量的に厳密な定式化である.しかし,そ の後の研究からは,予測値そのものの妥当性はきわめて低いと指摘されている.特に,構成色の色属性要因 を外して距離のみを独立変数とした点,論理的に一貫性を欠く点などが当初から問題視されてきたし,実験 方法や得られたデータそのものも十分には記述されていない. Effect of Hue and Hue Interval on Color Harmony 1

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Page 1: 配色における色相と色相差 - WordPress.com...配色における色相と色相差 Effect of Hue and Hue Interval on Color Harmony 筒井亜湖・近江源太郎 (女子美術大学大学院)

配色における色相と色相差Effect of Hue and Hue Interval on Color Harmony

筒井亜湖・近江源太郎 (女子美術大学大学院)

女子美術大学紀要, 6, pp. 1-12. (2009年)

(修正 2011年)

アブストラクト本研究の目的は,調和判断に対する色相,色相差の影響および両者の相互作用の確認と,調和判断の個人差パタンの検討であった.20名の美術大学の学部生は,NCS色相環において等間隔に位置する20色の組み合わせによる,計190の二色配色に対する調和評定を行った.全般的傾向として,色相および色相差の双方の要因が調和判断に有意に関与し,またその効果は色相差要因でより大きいことが示された.黄および青を含む配色については対照配色に関して調和感が上昇する傾向が認められ,赤および緑を含む配色では対照配色は不調和とされた.また,個人差に関しては,調和評定平均値に内在する2つの判断基準による分析を行った.主要な基準では色相差要因がより影響力をもったが,副次的な基準では色相優位の傾向が示された.最後に,これらの結果を伝統的な調和理論に対応させて考察した.

はじめに

 色彩調和理論は色彩研究における中心的テーマのひとつである (Judd, 1975).基本的には,どのような色とどのような色を組み合わせるとよい心理的効果を生むのか,その法則性を明らかにしようとする研究である.“harmony”という考え方は古代ギリシャ哲学に始まり,異質な概念同士を組み合わせて,そのいずれにも含まれない新しい概念を生むことを指す.以来,“harmony”の理論は美学の世界で追究されてきたが,他方では絵画制作にあたっての具体的な色の使用について,画家個々人の経験からさまざまに定性的な法則が記述されてきた.そして,19世紀初頭の Goethe (1840/1999) に至って,ある程度の法則が提案されたとみなしてよい.自身の設定した色相環において,例えば「直径の関係にある色同士は調和する」といった記述である.しかし,彼は今日でいう明度彩度については殆ど言及していない.Arnheim (1954)

は,色立体研究の目的には色を正確に表すことと,調和ある配色を選ぶための道具という2つがあると指摘している.事実,マンセル表色系をはじめ多くのカラーオーダーシステムの開発にあたっては,調和配色を得るためという目標があった.その意味では,Goetheの時代には色立体の概念が未熟であったために,色相中心の記述になったといえる.また,彼の理論は経験科学的な資料に基づいたわけではない.

 色彩調和に関する実験美学的ないし心理学的な方法論による研究は19世紀末から始まっており,1944年に発表された Moon & Spencer による論文は配色調和理論の歴史においては画期的な影響を与えた.3篇の論文からなるが,その第一論文は配色を構成する色間の色空間内における距離のみから調和−不調和を予測する試みである.色相についていえば,色相環上の距離によって同一,類似,対照の3種類の調和領域が指摘されている.この理論は,配色調和に関する最初の包括的かつ量的に厳密な定式化である.しかし,その後の研究からは,予測値そのものの妥当性はきわめて低いと指摘されている.特に,構成色の色属性要因を外して距離のみを独立変数とした点,論理的に一貫性を欠く点などが当初から問題視されてきたし,実験方法や得られたデータそのものも十分には記述されていない.

Effect of Hue and Hue Interval on Color Harmony

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女子美術大学芸術学科紀要, 6, pp.1-12 (2009)
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 20世紀後半に至ると,客観的な実験方法に基づく包括的かつ量的な報告がなされるようになる.その代表的なものとしては,まず納谷ら (例えば,森ら,1965) による一連の研究が挙げられる.配色を構成する各色の三属性値および構成色間の距離との2要因から,配色に対する調和判断の集団平均値を予測する回帰式を構成している.ただ,マンセル表色系に基づいているために,かなり複雑な式になっている.

 Ou & Luo (2006) は,CIELAB空間に基づいて二色配色に対する調和判断の予測式を構成している.均等色空間に基づいているために,納谷らに比べれば予測式はかなり単純化されている.構造としては,三属性ごとの調和程度をまず求めた上で,それらを合成して配色としての調和評定値を予測するという手続きによっている.

 上述のとおり,調和の問題は色空間の発達と不即不離の関係にある.その意味では,1981年に発表された NCS (Natural Color System; Hård & Sivik, 1981) も,当然調和との対応が考えられることになる.事実,この表色系を開発した心理学者である Hård & Sivik (2001) によって調和理論の構想は発表されているが,未だ包括的かつ定量的な水準には至っていない.元来,知覚量に基づく比率尺度として構成されているため,他の色空間に比べれば調和判断により近い関係にあると推定できる.そこで,本研究はNCSを取り上げて配色調和について検討した.

 本研究の目的は,以上の調和研究が扱ってきた諸要因のうち,次の問題についてNCS色相環を手がかりに検討する.第一の目的は,調和判断に対する色相,色相差の影響および両者の相互作用の確認であるが,その範囲内においてNCSとマンセル表色系との比較を行う.第二の目的は,調和判断の個人差パタンの検討である.

方法

参加者. 20名の美術大学の学部生が実験に参加した.

刺激. 刺激は,NCS atlas edition 2 (1995) の色票集に納められている色相環から,色相比率 0,20,40,60,80 の計20色 (Figure 1,詳細な三刺激値についてはAppendix

Aを参照) を選び,その全組み合わせによる二色配色を用いた.ほぼ N8 の台紙乗に 4×3 cm の色紙を横に隣接させて添付したものを刺激とした.刺激総数は190配色であった.

評定調査.調和−不調和の7件法両極尺度を用いた.手続き.調査は高演色性照明下において個人法で実施した.各配色見本を呈示し,参加者に調和判断を求めた.平均所要時間は約50分であった.

Effect of Hue and Hue Interval on Color Harmony

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YG80YG60Y

G40Y

G20Y

G

B80G

B60G

B40GB20G B R80B

R60B

R40B

R20B

R

Y80R

Y60R

Y40RY20R

Figure 1. Twenty-colors used in the research. Colors displayed are not accurate reproductions.

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結果

データの分布 配色見本ごとに,全参加者の評定の平均値および標準偏差を求めた.その調和評定平均値に関しての,全190配色の平均,標準偏差,最大値および最小値は以下の通りであった:M= 4.18,SD= 0.20,Max=

5.70,Min= 2.45.評定平均値の平均はほぼ中性点にあり,採用した刺激群には極端な偏りがないことが確認された.しかし,標準偏差および最大値と最小値をみると,判断の識別性はあまり高くないことがうかがわれる.この点について,各刺激に対する参加者による評定の標準偏差の平均を求めると,1.67と高かった.したがって,全配色見本の評定平均値の分布の小ささは,参加者によって同一刺激に対する判断にばらつきがあったことに起因していると考えられる.

色相の効果と色相差の効果 調和判断に及ぼす色相および色相差の影響を確認するために,それぞれの色相を含む配色 (各19配色) における調和判断の平均値 (20水準,以下色相要因と示す) と,配色の各色相差における調和判断の平均値

(10水準,色相差要因) との二要因分散分析を行った (Table 1).表

に見られるように,色相要因および色相差要因ともに0.1%水準の有意差が認められた.詳細には,有意性の度合いは色相要因よりも色相差要因の方が大きく,相対的には色相差要因の影響が大きい.したがって,調和判断には,色相ならびに色相差の両要因がともに関与すること,さらに色相差要因の方がより大きい効果をもつことが確認された.

 しかし,先述のように調和評定平均値の標準偏差は大きく,調和判断は個人差を内包している可能性がある.そこで,調和評定平均値における参加者×刺激のデータ行列に対して主成分分析

(PCA) を行った.その結果得られた主成分固有値は,固有値1.0以上までに6主成分が,2.0以上までに2主成分が含まれた (Figure 2).したがって,調和判断の識別性の低さは,評定平均値において複数の判断基準が内在していることに起因する可能性が示唆された.

 そこで,第一主成分得点および第二主成分得点のそれぞれについて,評定平均値の場合と同様に色相要因×色相差要因の分散分析を行った.その

Effect of Hue and Hue Interval on Color Harmony

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Factor SS df MS F p

Total 61.77 199

Hue 16.54 19 0.87 5.64 .000

Hue Interval 18.81 9 2.09 13.52 .000

Error 26.42 171 0.15

Table 1. ANOVA of Hue × Hue Interval on mean harmony ratings.

0

1.00

2.00

3.00

4.00

5.00

1st 2nd 3rd 4th 5th 6th

Eigenvalue

Principal ComponentsFigure 2. Eigenvalues obtained by PCA on harmony ratings. Accumulation contribution ratio up to 6th principal component was 61.07%.

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結果を Table 2 および Table 3 に示す.第一主成分に関する結果は,評定平均値の場合と同様に,両要因において0.1%水準の有意差が認められた.さらに,有意性の度合いは色相差要因の方がより大きかった.第二主成分に関しても,両要因について有意差が認められたが,その傾向は評定平均値および第一主成分得点の場合とは異なり,有意性は色相要因で0.1%,色相差要因で1%水準

(p<.009) であった.したがって,第二主成分の調和判断基準では,色相差要因よりも色相要因の方が調和判断により影響力をもつ.すなわち,相対的には小さい存在ではあるけれども,色相優位の判断基準が内在している可能性が示唆される.

  以下の分析は,特に断らない限り第一主成分得点を中心に行う.理由は,第一にはこの成分の固有値が相対的に突出して高かったこと,第二には調和評定平均値における2要因の有意性にみられた傾向がより先鋭化されていた点にある.したがって,第一主成分得点は本研究の参加者における最も代表的な調和判断パタンを純粋化して反映しているとみなした.

色相差と調和判断 調和判断に及ぼす色相差の強い効果が確認されたため,その効果の特徴を分析した.NCS色相差と調和判断との関係を Figure 3 に示す.なお,色相差について,以下ではNCS色相尺度における色相差20を便宜

的に Δ1 として記載する.基本的には,色相差と調和判断とは逆相関を示した.NCSおよびマンセル表色系の色相差との相関を Table

4 に挙げたが,いずれの表色系においても .5

程度の0.1%水準で有意な負の相関が認められた (詳細については後述).したがって,色相差が小さいほど調和し,色相差が大きくなると不調和になるという特徴が確認されたといえる.ただし,より詳細には,中程度の色相差における勾配は急であり,この範囲より色相差が小さい,いわゆる類似色相では調和判断が強く,Δ7以上の対照配色は不調和感が強いといえる.Tukeyの多重比較検定による

Effect of Hue and Hue Interval on Color Harmony

4

Factor SS df MS F p

Total 551.09 199

Hue 58.55 19 3.08 4.44 .000

Hue Interval 373.85 9 41.54 59.85 .000

Error 118.69 171 0.69

Table 2. ANOVA of Hue × Hue Interval on 1st principal component scores obtained by PCA.

Factor SS df MS F p

Total 247.40 199

Hue 108.44 19 5.71 7.97 .000

Hue Interval 16.53 9 1.84 2.57 .009

Error 122.43 171 0.72

Table 3. ANOVA of Hue × Hue Interval on 2st principal component scores obtained by PCA.

Figure 3. Transition of harmony scores on Hue Interval. Error bars are standard deviations.

-3.00

-2.00

-1.00

0

1.00

2.00

3.00

4.00

Δ2 Δ4 Δ6 Δ8 Δ10 Δ12 Δ14 Δ16 Δ18 Δ20

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Hue Interval

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と,Δ1とΔ2 および Δ7-10の調和得点間には有意差は認められなかった.

色相と調和判断 分散分析の結果からは,有意性は色相差要因に及ばないが,色相要因にも有意な効果が確認された.配色見本は,20色相の全組み合わせによって構成されているので,1色あたりでは残る19色相とそれぞれ組み合わされた配色が用

意されている.したがって,色相ごとに求めた調和判断の平均は,その色相は調和を得やすいか否かの確率を反映するといえる.Figure 4 にその平均と標準偏差とを示す.

 図からは,Y20R,B および G20Y を山,R と G40Y とを谷とした周期関数的なしかも滑らかな差異が読み取れる.すなわち,NCS色相において基本色相である Y,B,R,G 付近の色がいずれも調和判断における基準点になっている点は示唆的である.詳細には,G20Y 付近は全色相のうちで最も調和間を得やすい色相であり,次いで Y20R 付近,B を頂点とした付近の色相が調和感を得やすい.一方で,R を中心とした付近の色は最も調和感を得にくい.また,B と G との間にある青緑系の色相も調和感を得にくい.Tukeyの多重比較検定によると,R と G および黄赤系 (Y20R Y40R),黄緑系 (G20Y G40Y) の色相間,R20B 赤紫 と G および Y60R の色相間に1%水準,R とその他のNCS基本色相 (Y B) および G60Y の色相,R20B と G20Y の色相間に5%水準の有意差が認められた.

Effect of Hue and Hue Interval on Color Harmony

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Factor Total(n= 190)

Y(n= 19)

R(n= 19)

B(n=19)

G(n= 19)

Δ400Φ -.44*** -.47*** -.64** .27 -.87***

Δs -.31*** -.59*** -.48** .45* .29

Δc -.43*** -.58*** -.51* -.41 .44

Δ100H -.49*** -.47* -.68*** .14 -.88***

ΔV -.06 -.70*** .25 .44 -.13

ΔC -.31*** -.26 -.57** .09 -.56**

Table 4. Correlation coefficients between harmony scores (1st PCS) and differenced of each color attribute on NCS and Munsell.

*** p< .001, ** p< .01, * p< .05.

-4.00

-3.00

-2.00

-1.00

0

1.00

2.00

3.00

Y Y20R Y40R Y60R Y80R R R20B R40B R60B R80B B B20G B40G B60G B80G G G20Y G40Y G60Y G80Y

Har

mon

y sc

ore

(1st

PC

S)

HueFigure 4. Transition of harmony scores on Hue. Error bars are standard deviations. The horizontal bar indicates only approximately the tested hues.

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色相差と色相の相互作用 色相差要因および色相要因のそれぞれに特徴的な傾向が認められた.しかし,いずれにおいても標準偏差はかなり大きかった.したがって,両要因の相互作用の存在も推測される.

 4NCS基本色相における色相差による調和判断の推移をみると,以下のような傾向が認められた. Y では,Δ1からΔ7までは全色相を含む調和得点平均値の傾向とほぼ同様であるが,Δ8以降に差が認められた (Figure 5).具体的には,Δ8

以降の対照配色において,色相差が増すにつれて調和得点が高まる傾向がみられた.

 R は,総体的には全体傾向と同様であった

(Figure 6).特徴としては,R は G を中心とした青緑系および黄緑系すなわち緑みを含む色相との組み合わせにおいて,調和得点がきわめて低くなる.これは,Y において対照色相付近で僅かに調和得点が増加したこととは対照的に,R

はかなり広範囲にわたって対照配色が不調和とされることを示す.

 B では,類似色相との組み合わせにおける調和得点の高さは全体傾向と同様であるが,以下のような傾向がみられた (Figure 7).第一に,Δ5,すなわち G および R において調和得点が若干増加する傾向が挙げられる.これは,標準偏差にみられるように,G との組み合わせの配色の調和得点の高さに起因する.第二に,R と

は対照的に,B ではΔ7以降の色相でも調和得点があまり低くならない.また,Y の場合ほど鮮明ではないが,この範囲で若干の増加傾向が認められる.

 G においても,色相差が増加するにつれて調和得点が低くなる傾向は全体傾向と一致する (Figure 8).しかし,図にみられるように,G の場合にはΔ7までが正であり,したがっていずれもある程度以上の調和感をもつ.一方で,Δ8以降では調和得点が負となり,また色相差が増すにつれて調和得点も低くなる.これは,R を中心とした Y60R から R60B にかけて調和得点がきわめて低いことに起因している.したがってG は,R の場合と同様に,比較的広範囲にわたる対照配色が不調和とされる傾向が確認できる.

Effect of Hue and Hue Interval on Color Harmony

6

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3.00

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Δ2 Δ4 Δ6 Δ8 Δ10Δ12Δ14Δ16Δ18Δ20

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Hue Interval

-5.00

-4.00

-3.00

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2.00

3.00

4.00

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Δ2 Δ4 Δ6 Δ8 Δ10Δ12Δ14Δ16Δ18Δ20

Har

mon

y sc

ore

(1st

PC

S)

Hue IntervalFigure 6. Transition of harmony scores on NCSΦR. Error bars are standard deviations.

Figure 5. Transition of harmony scores on NCSΦY. Error bars are standard deviations.

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表色系の比較

 NCSにおける黒色量およびクロマティックネスと調和判断. 色見本を測色した結果として得られたNCS色相値(Φ),黒色量(s),およびクロマティックネス(c)における各配色の差と調和得点との相関係数を Table 4 に示す.黒色量に関しては,全体として0.1%水準で有意な負の相関が認められた.NCS基本色相ごとにみると,Y

および R ににおいてのみに有意な負の相関があった. 各配色におけるマンセル色相(H)差,明度(V)

差,および彩度(C)差と調和得点との相関係数をTable 4 に示す. 表に見られるように,マンセル三属性の場合には,NCSとは異なり,全体では色相および彩度にのみ有意な負の相関が認められた.また,NCS基本色相ごとにみると,R および G は彩度においてのみ負に相関した.一方で Y は明度においてきわめて高い負の相関をもった.

考察

NCS atlas edition 2 の巻頭に収録されている40色相で構成された色相環のうち,1色おきの20色相を用いてその全組み合わせによる二色配色に,調和判断を求めた結果を分析した.

色相差 配色調和については,伝統的に構成色間の差を中心に論じられてきた.これは “harmony” そ

のものが「関係」に関する概念であるため,当然といえる.個々の色について調和する色を列挙するという発想は存在しなかったであろうし,あったとしても実用性の低い煩瑣なものに終わろう.本研究の結果においても,各色相固有の効果よりも色相差の効果の方がはるかに強く調和判断を規定する事実が確認された.

 さらにその傾向は,調和感が色相差に逆相関するという結果であった.この特徴は,従来の多くの報告に矛盾する.Goetheの定性的な記述 (1840/ 1999) でも既に,色相環において直径の関係,弓の弦の関係,隣接した関係の順に調和感が低下すると述べている.色彩感情に関する最初の実験美学的研究とされるドイツ人のCohn (1894) の報告においても,対照配色が高い評価を得ているという.また,Granger (1955)

や Hogg (1969) の調査はいずれもアメリカにおいて実施されたのであろうが,対照配色が高い評価を得て

Effect of Hue and Hue Interval on Color Harmony

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Hue Interval

Figure 6. Transition of harmony scores on NCSΦB. Error bars are standard deviations.

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Δ2 Δ4 Δ6 Δ8 Δ10Δ12Δ14Δ16Δ18Δ20

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Hue Interval

Figure 7. Transition of harmony scores on NCSΦG. Error bars are standard deviations.

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いる.さらに,Ou & Luo (2006) は,イギリスで実施されているが,やはり色相差が大きいほどに調和するという傾向が読み取れる (参加者はイギリス在住の中国人).

 他方,本研究のように調和感が色相と反比例するという報告もある.細野ら (1956) は,当時の代表的な画家およびデザイナーに 3,237の二色配色を呈示して調和判断を求めているが,平均的な傾向としては色相差が小さい配色の方が調和している.森ら (1965) による二色配色に関する研究は多様な職種の参加者によっているが,いわゆる純色については色相差が小さい方が調和感は高いとされている.また,細野らが中心に行った研究 (本明,1974) は,528の二色配色,大学性108名によっているが,同様に小色相差が調和するという傾向を示している.

 その他全ての例を網羅することはできないが,欧米におけるデータでは1世紀にわたって色相差と正の相関が,日本では調和に関する本格的な定量的研究の開始以来半世紀を超えて色相差と負の相関が報告されてきた.本研究のデータも,この日本人の傾向に沿っている.このような相反する特徴は,ヨーロッパと日本との文化差に原因を求めるのが自然であろう.ギリシャ精神を継承する欧米人とその伝統をもたない現代日本人との差である.“harmony” という概念は,明治に入って後にフェロノサなどによって紹介されたと理解すべきである (青木・酒井,1989, pp. 66-84 参照).当時の講義録には,色の「出会い」「湊合」が用いられており,「調和」ということばはまだみられない.むしろ「映りがよい」などは近いかもしれない.したがってここでは,欧米人における “harmony” と,現代日本人にとっての「調和」とが異質な内包をもつ概念であるという事実が,本研究を含めて多くの経験科学的な研究によって確認されたと考える.

 いまひとつ,色相差と調和判断との関係がなめらかである点にも注目したい.傾向はきわめて安定的といえる.このスムーズさは,Moon & Spencer理論 (Moon & Spencer, 1944) における第一不明瞭と第二不明瞭による不連続は成立しないということを示している.すなわち,調和判断は色相差の変化に応じて連続的に変化するのであって,調和 対 不調和とカテゴリカルに分類できるわけではない.念のために繰り返すなら,彼らのいう対照調和領域は現代日本人にとって不調和領域である.

 けれどもまた,関係が直線的でない点にも留意すべきであろう.色相差が小さい範囲では調和感の差が小さく,色相差が大きい範囲でも調和感の差は小さい.そして,前者は調和感が高く,後者は不調和である.これは,大まかには類似色相配色は調和,対照配色は不調和と読むことができる.また,この対照領域が広い点については,次のように理解したい.心理物理的あるいは知覚的には反対色ないし補色の関係が重要な意味をもつ.しかし,調和,広くは色彩感情においては,補色のように著しく色差の大きい関係は,点としては格別の意味をもたないのではないだろうか.調和でいう「対照」は,むしろ「異質な色」といったほどの広範囲を指す判断と理解すべきであろう.

色相 調和判断に及ぼす色相の効果は,色相差ほどは強くなかったけれども有意であった.そして,その特徴はNCS色相における Y,R,B,G を基準にして調和感が増減するところにあった. 色彩好悪や色彩調和の研究でも知られるGuilford (1934) は,色彩好悪の現象法則を説明するにあたって

“simple color” という概念を取りあげている.彼はその概念について詳細に述べていないが,今日では色彩知覚においては色覚情報処理過程の第二段階である反対色過程を構成する色を想定するのが自然である.かつてHeringが推測した 赤−緑,黄−青,白−黒 の3種の処理過程に対応する.この3種のはたらきの組み

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合わせによって,あらゆる色が処理されると考える.この仮説の妥当性は,後に生理的に確認された.したがって,そこに含まれる6色はこのメカニズムにおいて単純に処理できるけれども,他の色は複合的な処理が必要になる.その意味で,6色は “simple color” といえる.本研究で用いたNCS表色系はこの6色を基準として構成されている.本研究では無彩色を取りあげていないので,黄赤青緑が “simple color” に対応し,それらが含まれる配色葉,調和判断において特別な役割を果たしている,と本研究の結果は理解できる.ゲシュタルト心理学者たちは,視覚情報処理過程において単純に処理できる刺激が快,進んでは美をもたらすのではないかと推測したが,以上の解釈はその推測に沿うものである.

 マンセル表色系は,黄赤青緑に紫を加えた5基本色相によって構成されている.しかし,紫は以上に述べた意味での基本色相ではなく,赤感覚と青感覚とによって合成される色である.したがって,紫はより高次の認知的ないし文化的な水準において「基本」とみなされるべきである.もし,マンセル色相尺度にここで得られた平均得点を乗せたとすれば,Figure 4 にみられるような周期性は得られない.

 なお,本研究と同様のNCS色票について好悪評定を求めた報告 (近江,2001) においても,4基本色の突出が認められている.さらに,McManus et al. (1981) や標本抽出法に基づいた大規模な色彩好悪調和

(橋本・相馬,1956;日本色彩研究所,1994) においても同様の特徴が得られている.

 したがって以上の特徴から,調和や好悪の判断には視覚情報処理における比較的初期過程の処理が関与しているのではないかと推測される.

色相と色相差の問題 色相,色相差の両要因が有意であったし,その帰結としていずれの要因においても平均値は大きな標準偏差を伴っていた.すなわち,両要因の間に相互作用が存在すると推測できる.

 この点について色相差を中心にみると,次の特徴が読み取られた.色相 Y を含む配色においては,平均的傾向と異なって対照配色に対する調和感が上昇している.色相 B を含む配色も同様である.これに対して,R,G をそれぞれ含む配色の場合は全刺激を含む調和得点に近い,すなわち対照配色は不調和であるという傾向を示していた.ここでもまた,黄−青,赤−緑 という反対色が連動した傾向が認められる.ただし,色相差効果のありようは,両者で異なる.したがって,視覚系の影響を仮定したとしても,黄−青 と

赤−緑 とは異なる作用をしていると想定することになる.

 他に,いわゆる中差色相が調和しやすい色相,類似色相の調和感が高くなる色相などもみられた.こうした特徴が,調和の予測式を複雑にし,予測精度を低下させる原因となっていると考えられる.

個人差の問題 調和研究は,個人差の問題に殆ど触れてこなかった.理由は2点であろう.ひとつは,美には普遍的な原理があるという思想が実験美学にも継承されてきたためであろう.いまひとつは,調和に関しても心理物理的なり測色学を背景とした展開による研究が主流を占めてきたためではないかと考えられる.この分野の中心的な方法には,判断の個人差を誤差とみなす考え方が定着している.

 そうしたなかにあって,細野ら (1958) は,二色配色における調和判断の個人差の問題にも関心を寄せている.先に引用した細野を中心とした調和研究の一部であり,データの処理は素朴であるし,個人差の分類

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も手作業によっているが,結果としては注目すべき点が見られる.彼らは,色相差との関係で調和判断を5

種の類型に分類している.その全てにおいて,同一色相配色が最も調和と判断されている.そして,1類型のみが対照配色を同一・類似に次いで調和すると判断している.ただし,この類型の該当者は多くはない. 本研究では,主成分分析によって個人差の問題を分析したが,参加者20名に対して,固有値1.0を切るまでに6主成分が抽出され,なおかつ累積寄与率は61%であった.直接比較することはできないが,我 々 (筒井,2007) の配色についての快さ,面白さ,複雑性判断に関する同様の分析結果に比べても,個人差が大きいとみるべきである.

 本研究では,第一主成分を中心に分析してある程度の規則性を得たけれども,第二主成分の判断の特徴は鮮明ではなかった.今後,調和判断について複数の判断基準を想定した研究も進めてみる必要があろう.

三属性の問題 本研究では,NCSにおいて高クロマティックな色を取りあげて効果を検討した.しかし,残る2属性が統制されていたわけではない.相関係数を手がかりにすると,NCSからの調和感予測においては3つの属性を採用せざるを得ないという事実を示唆しているといえよう.これに対してマンセル表色系の対応の方が単純で,全色相を対象とした場合には,色相差と彩度差のみが相関している.また,4基本色相ごとに三属性それぞれの差との関係をみても,マンセル表色系の方が単純に理解できる特徴を示している.すなわち,R と

G とは双方とも色相差と彩度差のみが関与し,明度差は関与しない.一方,Y は明度差に強く規定される.

 ただしこの点については,Y が最も高彩度の色である点も加味して考察すべきであろう.本論文で引用した計量的な調和研究においては,共通して 明度差 および 高明度であること が調和感に大きく寄与することを指摘している (例えば,Ou & Luo, 2006).したがって,Yが調和を得やすい色であった事実には,この要因が影響しているかもしれない.とすれば,視覚系の関与を想定する場合に明るさ情報に着目する必要もあろう.また,ここで取りあげた2表色系の比較においても,調和に寄与するところが大きい明度の概念が鮮明なマンセル表色系の方が,調和予測に有効であるとも考えられる.

 かつてGuilfordは,「色の好みには system がある」という題名の論文を発表した (Guilford, 1940).好悪が三属性とある種の規則的な関係をもつ,という根拠からである.しかし,その規則的な関係はかなりの限定条件のもとで成立するものであった.調和の問題も同様で,個々の要因ごとにみていくとかなり単純でなめらかな規則性が浮き上がってくる.所詮人間の営みであるから,何らかの規則性はあるものだ,と納得させられる.しかし,諸要因を組み合わせると,とたんにかなり複雑な相互作用が認められ,人間の判断はやはり複雑だとここでも納得させられる.調和予測式が多くの変数を採用し,なおかつ決定係数が 0.7

程度に終わるように.ただ問題は,それらの予測式が人間の調和判断の心理過程をシミュレートしているかどうかは疑問である.むしろ,人々の判断においては,ある場合には色相基準が,またある場合には色相差要因が,といった具合に,場面に応じて発動される基準が異なるのではないかという想像も成り立つ.

 なお,本論文で推測した視覚情報処理過程との関係については,仮説としてさらに追究する必要があると考えている.

本論文は,次の報告のデータを再分析して構成した.近江源太郎・金星希 (2000)「配色調和における色相と色相差」『日本色彩学会誌』24, 130-131.

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Appendix A. Color samples and their measured values by colorimetry.

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