高岡の芸術文化が育んだ 卒業・修了研究制作展 · 卒業・修了研究制作展...

4
「GEIBUN 9―富山大学芸術文化学部卒業・修了研究制作展―」 が、平成30年2月10日から2月25日までの14日間、高岡市美術館に おいて開催されます。富山大学芸術文化学部及び大学院芸術文化学 研究科では、絵画、工芸、デザイン、建築、芸術文化研究など多彩な分 野で学生が学び、今春に卒業・修了を迎えます。今回の制作展は、芸術 文化学部として第9回目、研究科として第6回目であり、会場には卒業・ 修了生の努力の結晶である作品および研究成果、計117点が展示さ れます。卒業生・修了生の皆様、おめでとうございます。 このような大学卒業展を公立美術館企画展として開催させていた だくことは、全国でも他に例がありません。毎年変わることなく貴重な機 会を提供してくださる髙橋正樹高岡市長、村上隆高岡市美術館長をは じめとする関係者各位並びに市民、県民の皆様のご理解ご支援に、富 山大学を代表し厚く御礼申し上げます。同時に、本制作展の開催を企 画・実現されてきた実行委員会の皆様、そして学生諸君を教育、指導 いただいた本学関係者のご努力ご尽力に敬意を表するとともに心より お祝いを申し上げます。 今世界の人々は、科学・情報技術の急激な進歩・普及が生み出した、 物質的かつ均一的な豊かさ、便利さ、賢さを享受し、これまでとは異質 の価値観・思考展開を持ち、新時代の扉を開こうとしています。一方で、 人類のみが育んできた、言葉や技術を介する「個の発揮と協同」、すな わち「文化」の存在は軽視されているように思えてなりません。このよう な変化・混沌の時代だからこそ、個性あふれる「ものづくり」「まちづく り」 「ひとづくり」の精神性と芸術性を育むことの大切さが増しています。 高岡は、銅器、漆器といった伝統工芸の歴史と伝統を有し、学生・教 員にとって研鑽と成長の機会にあふれる街です。富山大学芸術文化学 部と高岡市は、これまでも包括連携協定を結び、「たかおか共創ビジネ ス研究所」「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)」 など、多くの活動を共同で展開してきました。私どもは、今後とも教育・ 研究・地域連携の実績を重ね、「新規性のみを追随するのではなく、継 承することと、創造することの両者に視点をおき、腰を据えて真実を追 求できる人材を育成する」ことをモットーに、将来を担う若者の育成の 取り組みを続けてまいります。 今回の卒業・修了研究制作展には、学生諸君各々の知識、技能そし て情熱が生み出した多彩な作品が展示されています。高岡市民の皆 様はじめ多くの方々にご観覧頂き、若き芸術家への激励や率直なご意 見を賜りますようお願いいたします。最後に、高岡市、高岡市美術館、お よび関係者各位の益々のご発展を祈念し、ご挨拶といたします。 高岡の芸術文化が育んだ 卒業・修了研究制作展 富山大学長 遠藤 俊郎 002

Upload: others

Post on 07-Aug-2020

3 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 高岡の芸術文化が育んだ 卒業・修了研究制作展 · 卒業・修了研究制作展 富山大学長 遠藤 俊郎 一 このたび、「geibun 9―富山大学芸術文化学部・富山大

 「GEIBUN 9―富山大学芸術文化学部卒業・修了研究制作展―」

が、平成30年2月10日から2月25日までの14日間、高岡市美術館に

おいて開催されます。富山大学芸術文化学部及び大学院芸術文化学

研究科では、絵画、工芸、デザイン、建築、芸術文化研究など多彩な分

野で学生が学び、今春に卒業・修了を迎えます。今回の制作展は、芸術

文化学部として第9回目、研究科として第6回目であり、会場には卒業・

修了生の努力の結晶である作品および研究成果、計117点が展示さ

れます。卒業生・修了生の皆様、おめでとうございます。

 このような大学卒業展を公立美術館企画展として開催させていた

だくことは、全国でも他に例がありません。毎年変わることなく貴重な機

会を提供してくださる髙橋正樹高岡市長、村上隆高岡市美術館長をは

じめとする関係者各位並びに市民、県民の皆様のご理解ご支援に、富

山大学を代表し厚く御礼申し上げます。同時に、本制作展の開催を企

画・実現されてきた実行委員会の皆様、そして学生諸君を教育、指導

いただいた本学関係者のご努力ご尽力に敬意を表するとともに心より

お祝いを申し上げます。

 今世界の人々は、科学・情報技術の急激な進歩・普及が生み出した、

物質的かつ均一的な豊かさ、便利さ、賢さを享受し、これまでとは異質

の価値観・思考展開を持ち、新時代の扉を開こうとしています。一方で、

人類のみが育んできた、言葉や技術を介する「個の発揮と協同」、すな

わち「文化」の存在は軽視されているように思えてなりません。このよう

な変化・混沌の時代だからこそ、個性あふれる「ものづくり」「まちづく

り」「ひとづくり」の精神性と芸術性を育むことの大切さが増しています。

 高岡は、銅器、漆器といった伝統工芸の歴史と伝統を有し、学生・教

員にとって研鑽と成長の機会にあふれる街です。富山大学芸術文化学

部と高岡市は、これまでも包括連携協定を結び、「たかおか共創ビジネ

ス研究所」「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)」

など、多くの活動を共同で展開してきました。私どもは、今後とも教育・

研究・地域連携の実績を重ね、「新規性のみを追随するのではなく、継

承することと、創造することの両者に視点をおき、腰を据えて真実を追

求できる人材を育成する」ことをモットーに、将来を担う若者の育成の

取り組みを続けてまいります。

 今回の卒業・修了研究制作展には、学生諸君各々の知識、技能そし

て情熱が生み出した多彩な作品が展示されています。高岡市民の皆

様はじめ多くの方々にご観覧頂き、若き芸術家への激励や率直なご意

見を賜りますようお願いいたします。最後に、高岡市、高岡市美術館、お

よび関係者各位の益々のご発展を祈念し、ご挨拶といたします。

高岡の芸術文化が育んだ卒業・修了研究制作展

富山大学長 遠藤 俊郎

002

Page 2: 高岡の芸術文化が育んだ 卒業・修了研究制作展 · 卒業・修了研究制作展 富山大学長 遠藤 俊郎 一 このたび、「geibun 9―富山大学芸術文化学部・富山大

 「GEIBUN 9―富山大学芸術文化学部卒業・修了研究制作展―」

が、平成30年2月10日から2月25日までの14日間、高岡市美術館に

おいて開催されます。富山大学芸術文化学部及び大学院芸術文化学

研究科では、絵画、工芸、デザイン、建築、芸術文化研究など多彩な分

野で学生が学び、今春に卒業・修了を迎えます。今回の制作展は、芸術

文化学部として第9回目、研究科として第6回目であり、会場には卒業・

修了生の努力の結晶である作品および研究成果、計117点が展示さ

れます。卒業生・修了生の皆様、おめでとうございます。

 このような大学卒業展を公立美術館企画展として開催させていた

だくことは、全国でも他に例がありません。毎年変わることなく貴重な機

会を提供してくださる髙橋正樹高岡市長、村上隆高岡市美術館長をは

じめとする関係者各位並びに市民、県民の皆様のご理解ご支援に、富

山大学を代表し厚く御礼申し上げます。同時に、本制作展の開催を企

画・実現されてきた実行委員会の皆様、そして学生諸君を教育、指導

いただいた本学関係者のご努力ご尽力に敬意を表するとともに心より

お祝いを申し上げます。

 今世界の人々は、科学・情報技術の急激な進歩・普及が生み出した、

物質的かつ均一的な豊かさ、便利さ、賢さを享受し、これまでとは異質

の価値観・思考展開を持ち、新時代の扉を開こうとしています。一方で、

人類のみが育んできた、言葉や技術を介する「個の発揮と協同」、すな

わち「文化」の存在は軽視されているように思えてなりません。このよう

な変化・混沌の時代だからこそ、個性あふれる「ものづくり」「まちづく

り」「ひとづくり」の精神性と芸術性を育むことの大切さが増しています。

 高岡は、銅器、漆器といった伝統工芸の歴史と伝統を有し、学生・教

員にとって研鑽と成長の機会にあふれる街です。富山大学芸術文化学

部と高岡市は、これまでも包括連携協定を結び、「たかおか共創ビジネ

ス研究所」「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)」

など、多くの活動を共同で展開してきました。私どもは、今後とも教育・

研究・地域連携の実績を重ね、「新規性のみを追随するのではなく、継

承することと、創造することの両者に視点をおき、腰を据えて真実を追

求できる人材を育成する」ことをモットーに、将来を担う若者の育成の

取り組みを続けてまいります。

 今回の卒業・修了研究制作展には、学生諸君各々の知識、技能そし

て情熱が生み出した多彩な作品が展示されています。高岡市民の皆

様はじめ多くの方々にご観覧頂き、若き芸術家への激励や率直なご意

見を賜りますようお願いいたします。最後に、高岡市、高岡市美術館、お

よび関係者各位の益々のご発展を祈念し、ご挨拶といたします。

高岡の芸術文化が育んだ卒業・修了研究制作展

富山大学長 遠藤 俊郎

一  このたび、「GEIBUN 9―富山大学芸術文化学部・富山大

学大学院芸術文化学研究科卒業・修了研究制作展―」が高

岡市美術館において盛大に開催されますことは誠に喜ばしく、

卒業生の皆さまや大学院修了生の皆さま、並びにそのご家族

の皆さまには、心からお祝い申し上げます。

二  このGEIBUNは富山大学芸術文化学部と高岡市美術館の

連携のもと開催され、今年で9回目を迎えます。この卒業・修

了研究制作展は、地域と大学との絆を深める機会として多く

の方々を惹きつけ、新しい出会いと対話の場を実現してきまし

た。卒業生・修了生の皆さんによる自由な発想とアイディアに

満ち溢れた作品・論文の数々は、学生の皆さんの日々の研鑽

の集大成であり、必ずやご来場の方々を魅了することと確信し

ております。

三  高岡市は、二上山、雨晴海岸に代表される豊かな自然と国

宝瑞龍寺や高岡御車山祭などの歴史・文化につつまれるまち

です。本市では、先人たちが築き上げてきた歴史・文化資産を

受け継ぎ、未来へ向かってさらに磨き上げ、新たな文化を創造

する取り組みを進めております。本展にご来場の皆さまには、

今後とも本市の芸術・文化活動の振興・発展にお力添えを賜

りますようお願い申し上げます。

四  卒業・修了される皆さまは、今後は高岡だけでなく県内外に

羽ばたき、文化芸術関連をはじめとした様々な分野で活躍さ

れることと存じます。その人生の歩みの中で、瑞 し々い感性を

磨きあげ、知識の修得に邁進した日々は、かけがえのない青

春の一時期として思い出されることと思います。芸術文化学部

のおかれたここ高岡で、そうしたひとつひとつの経験と学びを

積み重ねながら過ごしたことを原点として、「ふるさと高岡」の

思いを強くお持ちいただき、これからも、高岡を応援していた

だければと思います。

五  結びに、本制作展の開催にあたり、ご支援・ご協力いただき

ました関係各位に心より感謝申し上げますとともに、卒業生、

修了生の皆様の今後ますますのご活躍を祈念し、私のごあい

さつといたします。

祝辞

高岡市長 髙橋 正樹

003

Page 3: 高岡の芸術文化が育んだ 卒業・修了研究制作展 · 卒業・修了研究制作展 富山大学長 遠藤 俊郎 一 このたび、「geibun 9―富山大学芸術文化学部・富山大

 富山大学芸術文化学部の卒業生のみなさん、ご卒業おめでと

うございます。そして、大学院修士課程を修了されたみなさんに

もお祝いの言葉を贈りたいと思います。指導にあたられた先生

方、またご家族もさぞお喜びのことと存じます。

 高岡市美術館がみなさんの作品や研究の発表の場となって今

回で9回目を迎えます。入学当初から、自分たちの学生生活の集

大成が高岡市美術館に並ぶことを意識して学生生活を送ってき

たのではないでしょうか。いよいよその発表の時を迎えました。

「GEIBUN 9」のテーマが「CUE~きっかけ、手がかり~」とのこと、

学生生活で得た様々な学びを手がかりとして、感性豊かなみなさ

んが、どのような展覧会を作り上げるのか楽しみにしています。

 大学の開放的な雰囲気で自由度を満喫してきたみなさんが、

若い感性とエネルギーに満ちた作品や研究を美術館という公

共の場で展示するまでには、困難や制約を感じることがあったか

もしれません。しかしこれを機会に、公共の場で作品や研究を発

表することの意義、あるいは美術館の使命とは何かをあらためて

考えてみてください。本展がこれから社会へ巣立っていくみなさ

んにとっての第一関門になることを意識していただき、更なる飛

躍のきっかけになれば幸いです。

 高岡市美術館では、「クリエイティブ・たかおか~未来に輝

く 高岡市児童生徒作品展~」と本展をあわせ、地元の若い人

たちと時間と空間を共有できる貴重な機会と考え、これからもさ

らに充実した親しみやすい美術館をめざしたいと思っています。

また、より総合的な観点から、文化を振興するという公益性の高

いミッションを担う美術館が本来どうあるべきかを、みなさまとと

もに考えていきたいと思います。今後とも、みなさまのご支援を賜

りますようよろしくお願いいたします。

 最後になりましたが、富山大学芸術文化学部の益々のご発展

を祈念しますとともに、「GEIBUN 9」の開催にご尽力、ご協力い

ただきました方々に心から感謝いたします。

メッセージ

高岡市美術館長 村上 隆りゅう

004

Page 4: 高岡の芸術文化が育んだ 卒業・修了研究制作展 · 卒業・修了研究制作展 富山大学長 遠藤 俊郎 一 このたび、「geibun 9―富山大学芸術文化学部・富山大

 富山大学芸術文化学部の卒業生のみなさん、ご卒業おめでと

うございます。そして、大学院修士課程を修了されたみなさんに

もお祝いの言葉を贈りたいと思います。指導にあたられた先生

方、またご家族もさぞお喜びのことと存じます。

 高岡市美術館がみなさんの作品や研究の発表の場となって今

回で9回目を迎えます。入学当初から、自分たちの学生生活の集

大成が高岡市美術館に並ぶことを意識して学生生活を送ってき

たのではないでしょうか。いよいよその発表の時を迎えました。

「GEIBUN 9」のテーマが「CUE~きっかけ、手がかり~」とのこと、

学生生活で得た様々な学びを手がかりとして、感性豊かなみなさ

んが、どのような展覧会を作り上げるのか楽しみにしています。

 大学の開放的な雰囲気で自由度を満喫してきたみなさんが、

若い感性とエネルギーに満ちた作品や研究を美術館という公

共の場で展示するまでには、困難や制約を感じることがあったか

もしれません。しかしこれを機会に、公共の場で作品や研究を発

表することの意義、あるいは美術館の使命とは何かをあらためて

考えてみてください。本展がこれから社会へ巣立っていくみなさ

んにとっての第一関門になることを意識していただき、更なる飛

躍のきっかけになれば幸いです。

 高岡市美術館では、「クリエイティブ・たかおか~未来に輝

く 高岡市児童生徒作品展~」と本展をあわせ、地元の若い人

たちと時間と空間を共有できる貴重な機会と考え、これからもさ

らに充実した親しみやすい美術館をめざしたいと思っています。

また、より総合的な観点から、文化を振興するという公益性の高

いミッションを担う美術館が本来どうあるべきかを、みなさまとと

もに考えていきたいと思います。今後とも、みなさまのご支援を賜

りますようよろしくお願いいたします。

 最後になりましたが、富山大学芸術文化学部の益々のご発展

を祈念しますとともに、「GEIBUN 9」の開催にご尽力、ご協力い

ただきました方々に心から感謝いたします。

メッセージ

高岡市美術館長 村上 隆りゅう

「GEIBUN 9」は、富山大学芸術文化学部の卒業研究・制作と、

大学院芸術文化学研究科(以下学部と合わせて芸文と記述)の修

了研究・制作とを展示する展覧会です。芸文が地域と連携した「実

践教育」を特色としており、高岡市とも包括協定を結んで様々な取り

組みを行っていることから、その教育成果を発表する展覧会も地域

と連携して公開すべきと、高岡市美術館をはじめ地域の関係者と実

行委員会を組織して開催しています。

公立美術館の企画展として行われる全国的にも珍しい本卒業制

作展は、学部一期生が卒業した2010年に始め、4回目からは大学

院の修了制作を加えて継続し、早くも9回目を迎えました。今年度は

これまでの蓄積をベースにしながらも、展覧会としてより魅力的にな

るよう、新たな展示方法等を取り入れました。

まずは展示の作品構成を一新、第1室は、絵画、彫刻、工芸、映像

作品に加えて、昨年まで地下に展示していた論文のうち、芸術学を

テーマとしたものを集めています。第2室は建築とデザインの一部

を、第2室から第3室へのアーチ型廊下には地域をテーマとした論

文、第3室はクラフト作品を展示しました。地下にある第4室にはデ

ザインと暗室を使用した映像作品とを展示するなど、キュレーショ

ンを専門とする教員を中心に、閲覧の流れや作品の見栄え等を考

えた構成としました。

それぞれの展示については、英文のコメントとQRコードを加え

ました。前者は学部教育の中で取り組んで来たもので、英語の苦手

な学生でも自分の作品ぐらいは英語で説明できるようになろうと各

自が訳しました。語学教育を専門教育と関係づけることで英語の習

熟度を高めることを目指した取り組みです。後者は、展示作品をより

深く理解して貰えるように、説明が書かれた専用サイトにアクセスで

きるようにしました。

展示期間中には、いくつかのイベントを企画しています。公開プ

レゼンテーションは、デザイン工芸コースの学生が「豊かさのかた

ち」を、デザイン情報コースの学生が「私たちが創り出した『こた

え』」をテーマに作品説明等を行います。

毎年開催しているゲストトークは、今年度は講師を5名に増やし

て行います。画家の山口晃(やまぐち・あきら)氏が「描く力」、建築家

の青木淳(あおき・じゅん)氏が「いま、建築でできること」、デザイ

ナーの城谷耕生(しろたに・こうせい)氏が「伝統工芸と地域づくり-

デザインの新たな可能性について」、金沢21世紀美術館館長の島

敦彦(しま・あつひこ)氏が「美術館の仕事-島敦彦の場合」、アニ

メーション監督の田中達之(たなか・たつゆき)氏が「個性の発見と

アニメーション」、と題してトークを行います。それぞれの専門性や

芸術文化全般についての理解に繋がれば幸いです。

ゲストには、作品講評などを通じて独自の観点での「ゲスト賞」選

定を依頼していますが、今年度は芸文の新たな顕彰制度として

「Geibun Prize 2018」を実施します。この賞は「GEIBUN 9」に出

品された作品・論文の中から、特に優れているもの、芸文の特色を

よく表しているものを指導教員の推薦を受けて、学部長が関係教員

の助言をもとに選考します。選考された作品は、1年間学部で展示

するほか、パネルを制作してキャンパス内に展示します。

2005年10月、富山県内国立三大学の再編統合により富山大学

芸術文化学が創設されましたが、来年度からは長年の懸案事項と

なっていた教養教育の一元化が行われます。芸術文化学部生も週

3日間は五福キャンパスで教養科目を受けることになります。全学

的な改革を受けて、芸術文化学部でも来年度からは、入学試験をこ

れまでのコースによる募集区分から実技(デッサン)か、小論文かを

選ぶ試験内容による区分に変更します。学生はまずは教養と学部の

基礎教育を受け、2年次の後期からそれぞれの専門を学ぶコース

に分かれることになります。学部が推進してきた「融合教育」をさら

に推し進めることを意図していますが、その中で今後の卒展のあり

方も見直しが必要になります。

今回の卒展における新企画の数々は、新たな芸文のあるべき姿

を目指した取り組みの表れです。そのような観点から「GEIBUN 9」

のテーマである「CUE(キュー)」を見ると、なにやら因縁めいていま

す。説明文には、「きっかけ」や「手がかり」という意味を持つCUEに、

「いくつものきらめきを握りしめ、わたしたちなりの答えを見つけるた

めに」との想いが綴られていたからです。学部改革の想いとピッタリ

一致した意気込みをご覧いただけましたら幸いです。

結びに、「GEIBUN 9」の開催にあたりご尽力いただきました高

岡市並びに公益財団法人高岡市民文化振興事業団・高岡市美術

館に心より感謝申し上げます。

きらめきを握りしめ、答えを見つけるために

富山大学芸術文化学部長・大学院芸術文化学研究科長 武山 良三

005