駒澤大學佛敎學部論集林下曹洞宗における相伝史料研究序説...

駒澤大學佛敎學部論集　

第四十二號　

平成二十三年十月

一二九

　

一、はじめに

　

本稿においては、石川力山氏「中世曹洞宗切紙の分類試論」（1）の中心的な研究対象であった永光寺所蔵切紙の全体像を概観し

たいと思う。筆者は、極めて不十分ながら月泉派や普済寺十三門派、石屋派等における相伝史料の考察を行ってきたのだが、

今回は、近世中期以降における相伝史料の位置づけを考察するべく、駒澤大学図書館蔵『佛佛祖祖相傳秘蜜正法眼藏』三冊を

翻刻紹介したいと考える。本稿では、その上冊の約三分の一を翻刻する。

　　

二、

　

今回翻刻した史料について、関連資料を一例としてあげてみたい。高国英峻作成の切紙目録（永平寺所蔵）（2）には、「一、拈

花微笑之図﹇七通﹈」とあり、以下に紹介する「拈花微笑秘訣」と密接な関連を有し、面山瑞方が『洞上室内断紙揀非私記』

において「拈華微笑訣參〈他家訓訣邪解カナ抄ナリ〉」と指摘する切紙に相当するものが含まれると推定する。

　

以下に掲げる永平寺所蔵「拈華微笑秘訣」（巻子装、一巻）は、永平寺二十七世高国英峻から二十九世鉄心御州に伝附され

たものであり、題注に「傳授古則也」とあるように本参史料であるが、所謂参話関係切紙として位置づけ得るものである。事実、

巻子の上書きに「切紙之内雖有之、重而残置ク」とあり、既に切紙としてあるものを再度書写して後代に伝えようとしている。

林下曹洞宗における相伝史料研究序説（五）

―永光寺関係史料編（上）―

飯　　

塚　　

大　　

展

林下曹洞宗における相伝史料研究序説（五）（飯塚）

一三〇

英俊付御州

切紙之内雖有之、重而残置ク

傳授古則也。

○拈花微笑秘訣

﹇＊図省略﹈

左右合掌之相也。╋此相者、天之竪、地之横、合而自二四維一見ルニ

レ

之ヲ人也。✖此相者陽＼コウ陰／コウ、合而自リ二四方一見ルニ

レ

之ヲ人

也。是乃チ成二天地人之三才ヲ一。才ハ同レ位ニ也。天地之間之生物者、人也。萬物共ニ皆是色相也。世尊之十指、金婆羅花、亦

色相也。拈シテ

レ

華ヲ示タル

レ

之ヲ佛意者、於テ二色上ニ一含二藏スル本分之妙花ヲ一也。妙花者、正法眼藏、涅槃妙心、実相無相、微妙法門也。

是謂二八箇ノ阿ト一。阿者、普也。普ト者、無キ二邊際一謂二空界ヲ一也。十指之中間是空也。亦丫者、穴也、空也。

迦葉微笑者、即通ル二八箇ノ阿ニ一也、故ニ世尊云、吾ニ有二正法眼藏、涅槃妙心、實相無相、微妙法門、不立文字、教外別伝一。

附二属摩訶大葉レ迦ニ一、心法相続証契即通也。

○師云、拈華之意地ヲ。資云、従縁之塵花於拈而、不従縁之外花於示而走。

○師云、微笑之意地ヲ。代、只ダ笑而走。○師云、夫レハ何ントテ。代、只タ笑タ時キ八箇之阿ニ即通テ走。○師云、畢

竟ニ着語ヲ。代、両鏡相照於中如レ無二影像一。私ニ、塵ト者、色相也。外ト者、性相也。金婆羅花ヲ拈トツテ妙花ヲ示シ玉也。従

縁者色相、不従縁者性相也。従縁ノ物ハ始終消滅、不従縁ノ物ハ歴劫長堅ト云句ヲ可レ参也。句者、両鏡ト云テ鏡ニアラズ、世尊・

迦葉ノ曇リ無キ仏心ヲ云也。両仏ノ拈花微笑ハ、鏡ト鏡ノ相対也。時キ、影像ハ無キ也。世尊・迦葉無キレ曇仏意ヲ両鏡ト

心得可キ也。

○師云、正法ヲ。資云、看ル時不レ見へ。

○師云、眼藏ヲ。資云、暗昏々。


一三一

○師云、涅槃ヲ。資云、心花発明。

○師云、妙心ヲ。資云、照十方刹。

○師云、實相ヲ。資云、霊々寂々。

○師云、無相ヲ。資云、無色空。

○師云、微妙ヲ。資云、葉落テ帰スレ根ニ。

○師云、法門ヲ。資云、来時無シレ口ハジメ。　

私ニ、回互宛転、環ノ如レ無レ端也。扨テ亦葉落タ処ニ、不凋ノ性相本分在リ。来時

無レ口、目ニハ見エヌガ、サテ亦生ズルゾ。本来無一物之体ト云モ、同意也。性相ノ妙体ト心得可シ。世間空ハ空而空也。

仏性空ハ空而妙也。可レ参二此句一也。

○師云、拈ジタ意ヲ。資云、只拈而走。○師云、微笑シタ意ヲ。資云、只笑テソウ。○師云、句ヲ。資云、以心伝心。

○師云、猶ヲモ句ヲ。資云、唯仏与仏、乃能究尽。私云、只タ拈ジタ処カ、妙心也。實相無相、微妙ノ法門ノ示派也。只

タ微笑シタ所カ、妙心即通也。会得カ出レバ、正法眼藏、涅槃妙心、實相無相、微妙法門デハ無キ也。世尊モ迦葉モ只ダ

拈ジ、只ダ笑テ、会得之出デヌ処ガ、仏意仏心流通也。以二迦葉ノ心ヲ一伝二世尊ノ心ヲ一タル也。仏祖ノ命脈即通ト云ハ是也。句ハ、

唯仏与仏、至覚本覚也。乃能究尽トハ、唯仏与仏一般、師資一枚、至本不二ノ処也。処カ、心法相続ノ旨也。

○師云、拈処ヲ。代、作二一円相ヲ一。

○師云、花之開キ羊（様）ヲ。代、塵外ヱ開テ走。

○師曰、句ヲ。代云、天上人間一般春ル。

○師云、微笑ノ処ヲ。代云、拈ジタ心ニ明キ透ツテ走。

○師云、句ヲ。代云、花咲ム心薗ノ春ル。

○師云、正法ヲ。代云、徧界曾不レ藏。

○師云、眼藏ヲ。代云、眼中ノ童子目前ノ人。

○師云、涅槃ヲ。代云、円通大虚、末句無欠無余ト在リ。

○師云、妙心ヲ。代云、妙ハ在二一漚ノ前ニ一、先聖モ豈ニレ容レ眼ヲ。


一三二

○師云、畢竟ヲ。代云、須弥頂上無根樹、不惜春風花自開。自動トモ在リ。私ニ、一円相ヲ作シタハ、一花一心ヲ拈而示也。

花ハ心花也。開クトハ、塵外エ露レタル也。塵ハ色相也。外ハ性相也。色相ノ塵花ヲ以テ、本分之外花ヲ示シタト見レバ、

塵エモ外エモ開タ心花也。塵外ヱ開クト云ハ、色相性相トモニ心花一円一心ト云心也。句モ、天上モ人間モ、久遠モ今時

モ一般ノ春ル、一円一心也。微笑者、世尊ノ拈ジタ心ニ即通之時キ、拈ジタ一心、手元ニ明キ透タル也。両仏一心、一円

一体也。句ハ、微笑シタハ、只タ心花カ自然ニ開タ処デヨ、ドツコモ心薗ノ春ル、正法一花、一心一円也。句モ久遠今時、

一心一花、曾不二覆藏一也。句モ、眼中ノ童子ガ、目前ノ人也。世尊ノ眼裡ニモ、迦葉ノ眼裡ニモ在ル童子也。句モ、一心

一円、無欠無余也。句モ、妙トハ心ト喚起サヌ已前也。此ニ於テハ、毘婆モ燃灯モ眼ハ及バザル也。正法眼藏、涅槃妙心、

實相無相、微妙法門ト、異名ハ別々ナレドモ、妙ヲ名付テ心花一心、色相性相、久遠今時、至覚本覚ト云也。句モ、須弥

ノ頂上トハ、仏頂上ヲ云也。無根樹トハ、一妙、一心、一円相也。心花ト云モ、蓮華宝蓋ト云モ、此ノ無根樹也。此ノ無

根樹、心花ニ即通スルガ、自開タル事也。陰気陽光ニ依テ開タル事デハ無キ也。心法ニ即通スルカ、開タ事、相続也。　

○心、天地陰陽和合而人ヲ生ズ、是レ一心受用之始也。一心一円之処、万物之根本、万法根源、仏衆生無差別、本分之田地、

衆生成仏之道場也。釈迦頂上ノ一円相、嗣書之三円相、皆ナ是一心一円、○此ノ相也。○○輪腎三円相之貌也。是レ即蓮華

宝蓋也。下ニ在ル則ンバ蓮華宝座也。拈花モ一心一円心花ヲ示シ玉ウ也、。微笑ガ一心ニ即通也。両仏一心一体也。亦迦葉

ノ阿難ト喚玉也。阿難応諾ス。一心一体、以心伝心也。阿難ノ、師兄、世尊ニ伝二金襴ノ袈裟ヲ一外、別ニ伝二箇ノ甚麼法ヲカ

一

、ト

一問シタハ、我慢ノ幡タ鋒コ也。処ヲ、只阿難ト喚玉也。処ヲ、只タヨツト答ヱタ。此時キ、両仏一心一体一円也。

○師云、迦葉・阿難両仏ノ心ヲ畢竟而言ヱ。代、両句一舌。心ハ、喚応諾ハ、マギレヌ両口也。在ルガ、喚応諾一舌也、一心也、

一体也、一円也。是ヲ心法相続ト云也。今日モ此ノ心ヲ紹続而断絶セヌゾ。此ノ旨ニ即通スルヲ、仏種トモ胡種族トモ云

也。○師云、猶ヲモ子細云ヱ。代云、速礼三拝而退也。私云、猶ヲモ言ヱト云ガ、両仏ノ心ニ契タカト験ヤウ也。好ク契

タニ依テ只タ礼拝而退也。首尾之合セヤウ也。是レカ両仏一体隔テ無キ旨也。門末ヱハ、是モ可也。済家之御大事ヲ、曹

洞家之嗣書・血脈ニ添而、可伝附也。門末ヱ、済家之伝授不許故如此也。

○血脈不断切紙也。

○夫血脈不断者、混沌未分、威音已前也。一黙考事也。事者心也。円相者、法界平等也。三世諸仏之道場也。衆生成道之


一三三

一路也。三世之諸仏之窟宅也。歴代之祖師之淵源也。森羅草木之種子也。依之三界道師三世諸仏謂也。命脈是何本来無一

物也。即是人々本命元辰也。雖然此是先聖之窟宅也。非二別伝之旨ニ、参。穴賢々々。

○此是従栄西和尚参得明全和尚畢。然而後、従明全和尚伝授道元和尚、血脈譲与之時参得之畢。非嫡嗣者不可許之、可秘々々。

○於栄西和尚室、法身法性話、道元和尚参窮之畢。

○血脈不断之参。○師云、血脈不断ヲ、代云、三世之諸仏モ如是、歴代之祖師モ如是、和尚モ某甲モ如是。

○師云、血脈一点事ジヲ。代、良久ス。

○師云、意旨如何。代云、驀此正当三世之諸仏之道場デ走。

○師云、喚二什麼一為二道場ト一。代云、作二一円相ヲ一。

○師云、是甚麼ゾ。代、無始無終無住処デ走。

○師云、其之上デ血脈ヲ。代云、三世之諸仏モ此ヲ以テ命トシ、歴代之祖師モ此ヲ以テ脈トシテ走。

○師云、命脈是甚麼ゾ。代云、此之心デ走。

○師云、其ノ心ヲ放捨セヨ。代云、只ダ坐ス。

○師云、畢竟如何。代云、只タ来リ、只タ帰ル也。

非嫡嗣不可許之、可秘々々、賢カシク。

私ニ、三世之諸仏モ、歴代之祖師モ、和尚モ、某甲モ、一心一円、平等之所ニ即通スレバ、一心一体也。処ガ血脈不断也。

如是者、合頭之語也。亦契当之語也。亦血脈一点之事トハ、法界平等、一円相中ニ在ル心ヲ、事ト云也、ト云テ、一円ト

一心ヲ二ニハ見ベカラズ、事ハワザ、ツカウマツル。挙処者、良久之正当、妄知妄念ヲ出デヌ所ガ、一円一心也。無始無終

之所也。無住ト云ハ、無主ト云心也。曰、血脈ヲト云挙着モ、三世之諸仏モ、歴代之祖師モ、人畜卑猴蝦

蚯蚓トモニ、

此ノ一心一点ヲ以テ命脈トシ、血脈トシタゾ。命脈是甚麼ゾ。徹カ未徹カヲ験ル也。挙誉者、命脈ト云モ、一心ト云モ、

別デハ無キ也。処ヲ、其之心ヲ抛捨セヨト削リ落シ、全提サ□ヌゾ。挙着モ、只ダ坐シタ処ニ座相ハ無イ、良久モ同ジ心

也。畢竟ニ玉イ事ハ無キ也。

○如是精霊モ、此旨ヲ以テ号スルカ、当山伝授古則也。蜜故不覆藏、不覆藏故蜜者乎。為後来記取之畢。可秘々々。


一三四

当山伝法二十六世

勅万照高國禅師英峻叟（花押）

伝附

当山現住御州和尚也、

　

これらは、『人天眼目抄』で取り上げられる「拈華」（宗門雜録上）の解釈とは異なるものであり、『佛佛祖祖相傳秘蜜正法眼藏』

上冊で取り上げられる「拈華之大事」切紙（十三通）との関係性において理解されるべきと考える。

『人天眼目川僧抄』（東大史料編纂所蔵本）では以下のように見える。

舒王〈或云荊公〉問二テ蒋山佛慧ノ泉禅師一ニ曰、禅家ニ所謂世尊拈花、出レ自二何レノ典一。﹇説破云、声ヲ励マシテ、何ノ典ヨリ

カ出タル。コヽテ巴鼻ハ聞ヘタソ。何レノ典ヨリ出、ドノ經ニ有ルソトシメテ、代云、言中ニ有レ響。﹈泉云、大藏經ニ所レナリ

不レル載。﹇代云、一大藏中收不得。﹈王云、余頃在二テ翰苑一ニ、偶見二大梵天王問佛決疑經三巻一、因テ閱レルニ之、經中ニ所レ載甚詳

ナリ。﹇師、声ヲハゲマシテ云、ツウンド大藏經ニハノセラレヌソ。サアラウニハ、ドノ經ヲモカヽヌソ。﹈云、梵王至二靈

山會上一ニ。﹇破云、當時霊上會上ニ至ルノミニアラス、只今モ霊山ノ一會儼然未散。拶云、即今至霊山會上底有麼。有僧云、

以大圓覚、為我伽藍、以二全身一為二シテ牀坐一ト。師云、シケレトモ、四大五蘊ハ、仏ノ床坐タソ。﹈請レシテ佛為二ニ衆生一説法セシム。

﹇師代云、摩訶陀国親行二ス此令一ヲ。﹈世尊登座、拈花示レス衆ニ、人天百万、悉ク皆罔レン措コト。﹇破云、當時人天百万ノミニアラス、

今日モ亦罔レ措。代云、長安花下路、迷二却許多人一ヲカ

。﹈独有二金色頭陀一ノミ

、破顏微笑。﹇代云、元来笑裏有レ刀。﹈世尊云、

吾レニ有二正法眼藏、涅槃妙心、實相無相一、分二付ス摩訶大迦葉一。﹇何ト分付シタソ。代云、二十四番花信ノ風。﹈此經多ク

談二帝王ノ事一ヲ。所以ヘニ秘藏シテ世ニ無二聞ク者一ノ。﹇代云、王令稍厳。﹈佛慧泉嘆二其博窮一ヲ。﹇師云、嗚呼、物多ク知タ人カナ。

拶云、正法眼与涅槃心相相去多少。不レ見二桃花一見二李花一。﹈（＊﹇　

﹈内注釈部分）

　

川僧慧済は、『人天眼目』を講義する際に、本分に簡潔なコメント（代語）を付しながら文意をたどるが、永光寺において

相伝された「拈花微笑」関係切紙では、傍線部分を分節し独立させ、異なる解釈を提示している点が大きく異なる。

　

すでに石川力山氏が取り上げているように、永光寺には切紙目録が残されており、その比較対象を行いたいと考え、後掲の

対照表を附載した。十七世紀前半における切紙相伝の実体を今後明らかにしたいと思う。


一三五

　

因みに永光寺所藏「截紙之目録」は以下の通りである。

截紙之目録臨

松謹書

　

御大事之上大事

（１）大儀規、〈菩薩戒作法トモ云也〉、（２）小儀規、（３）受経之作法、（４）嗣法論、（５）伝戒并嗣法儀式、（６）同勃

陀勃地参、（７）七佛伝授儀式、（８）蓮華宝蓋切紙〈同嗣書ノ地ノ参トモ云〉、（９）嗣宝伝戒儀規、（10）達磨一心十戒切

紙、（11）七仏伝授切紙、（12）松竹梅之切紙、（13）洒水切紙、（14）自家訓訣〈拜門ノ御書トモ云ナリ〉、（15）栄西記文録、

（16）堪忍之判形、（17）堪忍之判、（18）堪忍之判形図、（19）雲形図〈光明ノ図トモ云也〉、（20）鉄漢之切紙、（21）摩

頂之式法、（22）伊勢二字、（23）嗣法合血図、（24）国王授戒血脈、（25）国王授戒作法、（26）大姉切紙、（27）居士之血

脈、（28）同小切紙、（29）居士嗣書、（30）居士紫上切紙、（31）居士四徳切紙、（32）居士大血脈、（33）居士一句当的切紙、

（34）居士燃灯授記キリカミ、（35）居士参、（36）同授戒作法、（37）居士一通参話〈目録〉、（38）拈華之切紙、（39）拈

花之図、（40）同切紙、（41）同相承念記、（42）亦拈花図、（43）拈花頂王三昧〈十三種ノ儀式〉、（44）同添物十則、（45）

同十三種添物参、（46）同付嘱之切紙、（47）同妙心大事、（48）中道三昧、（49）他家訓訣、（50）六祖半紙、（51）六祖同

大事、（52）百丈野狐切紙、（53）阿誰之切紙、（54）刹竿ノ話切紙、（55）因果ノ切紙、（56）万機休罷切紙、（57）趙州無ノ

切紙、（58）同本無切紙、（59）同無大事、（60）三十四話切紙、（61）

子切紙、（62）同金

子切紙、（63）香厳樹上切紙、

（64）同樹上切紙、（65）趙州四門切紙、（66）不可得図、（67）世尊端坐切紙、（68）十八般ノ妙語、（69）同参禅、（70）

龍天勘破話、（71）同切紙、（72）同血脈、（73）同三位、（74）光明真言、（75）光明之図〈本仏無上大事ト云也〉、（76）

同光明徳ノ大事、（77）念仏之切紙、（78）同六字之大事、（79）水神授戒大事、（80）水神授戒血脈、（81）水神授戒血脈（サ

クワ）、（82）（83）竜天授戒本形﹇二通﹈、（84）同授戒作法、（85）并国王授戒作法、（86）同授戒嗣書、（87）同授戒切

紙、（88）同授戒儀式、（89）白山妙理図、（90）同切紙、（91）鎮守切紙、（92）同参、（93）那事三人、（94）血脈相伝之

大事、（95）法報応之三身、（96）血脈下段大事、（97）同作法﹇参禅、伝授後ノ一問トモ云、﹈（98）同大事、（99）頂相大事、

（100）嗣書焼却切紙、（101）不生不滅大事、（102）同切紙、（103）先師取骨切紙、（104）同焼香大事、（105）善智識切紙、（106）


一三六

尊宿荼毘次第、（107）母子別服切紙、（108）同別腹切紙、（109）合封之図、（110）合判之切紙、（111）証浄訓訣、（112）六祖伝

授之切紙、（113）両鏡之図、（114）問訊之大事、（115）孝田大事、（116）伝授参六様、（117）下炬霊供取名ノ参、（118）約速（東カ）ノ参、

（119）四句文之切紙、（120）四門三匝切紙、（121）下炬之切紙、（122）同参禅、（123）炬之切紙、（124）下炬大事、（125）同炬

法、（126）曹洞機之切紙、（127）同大事以上六通、（128）念誦之切紙、（129）且望伝戒礼、（130）上来切紙、（131）祝聖之切紙、

（132）焼香儀式、（133）勤行之切紙、（134）順堂儀式、（135）起請案文、（136）罸書亀鑑、（137）印肉之作法、（138）

字之切

紙、（139）同参禅、（140）塔婆点眼、（141）安座点眼、（142）同参禅、（143）亡霊授戒、（144）同亡霊沈淪大事、（145）廟之移

切紙、（146）河原根本切紙、（147）作僧之儀式、（148）没後作僧話、（149）同切紙、（150）一辺消災咒切紙、（151）同消災咒切

紙、（152）佛知死斯、（153）同□、（154）達磨知死斯、（155）同血脈、（156）施餓鬼大事、（157）同作法、（158）尊勝陀羅尼参、

（159）同切紙、（160）三宝印切紙、（161）同大事、（162）御即位灌頂法〈血脈トモニ〉、（163）二句偈之嗣書　〈三国相伝之　

位　

〉、（164）同順逆無碍ノ印﹇参禅共ニ﹈、（165）同御大事、（166）同嗣書〈六観音秘密也〉、（167）頂門眼切紙、（168）（169）

頂門目参禅〈トモニ二通〉、（170）同血脈〈天台相伝也〉、（171）普所之大事〈迦文勒ノ三説トモ云〉、（172）同嗣書〈達磨ヨ

リ大師ヘ〉、（173）這那之参、（174）観音秘密血脈、（175）不識上之話、（176）鑰子之参〈八句ノ切紙トモ云也〉、（177）正法

眼切紙、（178）正法眼三星図、（179）印形之図〈夜参ノ血脈トモ云也〉、（180）同付嘱切紙、（181）生十界之切紙、（182）同死

十界、（183）以心伝心之図、（184）十来之図、（185）一本劍ノ切紙、（186）一身分上ノ切紙、（187）一心三視切紙、（188）勃陀

勃地切紙、（189）梁ノ字大事、（190）同参禅、（191）三国伝灯ノ血脈、（192）山門切紙、（193）七堂之切紙、（194）付狐之切紙、

（195）御大事ノ切紙、（196）（197）御大事添状﹇二通﹈、（198）三位ノ切紙、（199）三朝ノ切紙、（200）三裡ノ切紙、（201）月ノ両箇、

（202）大陽三段、（203）宝瓶之切紙、（204）拄

切紙、（205）払子之切紙、（206）竹箆切紙、（207）飯舩之切紙、（208）釈迦之形、

（209）鉄鉢之切紙、（210）大光銭図、（211）大平銭之図、（212）嗣書ノ看経、（213）月江之置文、（214）三門之話参、（215）九

亀話之参、（216）出世不出世ノ話、（217）位裡点側、（218）阿弥陀三字、（219）空仮中三体、（220）法報応三身、（221）大魔境図、

（222）廿一社巡礼ノ次第、（223）血脈袋図、（224）永平坐具文、（225）達磨三心之図、（226）護袋之大事、（227）（228）五大老

ノ切紙﹇二通﹈、（229）三悟道之切紙、（230）（231）磨盤図﹇二通﹈、（232）満字本形、（233）同大事、（234）（235）（236）満字ノ

切紙﹇三通参禅﹈、（237）山居血脈、（238）同嗣書、（239）同判、（240）同切紙、（241）同参禅、（242）同了畢ノ判、（243）同赦


一三七

面様子、（244）非人之血脈、（245）住吉五ヶ条、（246）応量器、（247）臨斉宗ノ血脈、（248）伝法興茲、（249）宝鏡三昧、（250）

同三昧図、（251）空尽書、（252）七佛伝授切紙、（253）過去心字ノ血脈、（254）即通之参、（255）天竺一枚反故、（256）天竺一

枚紙〈七仏以前ヨリノ血脈也〉、（257）一枚紙、（258）三国流伝切紙、（259）気血図、（260）勃陀勃地切紙、（261）七佛ノ骨

随、（262）心空図、（263）身心脱落ノ切カミ、（264）非人授戒作法、（265）伝授之作法、（266）十哲附属次第、（267）拜問記、

（268）面授之一紙、（269）普賢十願〈并開経偈〉、（270）十佛名切紙、（271）勃陀勃地図、（272）梅山一枚紙、（273）大源極位

之拶、（274）他山之切紙、（275）衣鉢血脈ノ大事、（276）御守ノ祈祷、（277）勃陀勃地之参、（278）安座点眼、（279）露柱之図、

（280）最極無上ノ大事、（281）三位之目録、（282）峩山一枚法語、（283）同参禅、（284）江湖首切カミ、（285）輪闢之参、（286）

没後ノ円相参、（287）三宝印参、（288）両円参、（289）合封参、（290）同合判、（291）勃陀勃地参、（292）伝授首尾ノ参、（293）

教授之参、（294）戒文之参、（295）斉家嗣書、（296）十三佛之切紙、（297）牛窓櫺之切カミ、（298）悉曇之大事、（299）血脈下

段之参、（300）六祖伝授之作法〈曹渓伝授トモ云也〉、（301）曹渓伝授之参、（302）念誦切紙、（303）無縫塔切紙、（304）八識

之図、（305）臨斉家嗣書、（306）月両箇切紙、（307）三物頂戴参、（308）二句偈大事、（309）五位之図、（310）高上一窮、（311）

了畢判、（312）契約之切紙、（313）第一頭之切紙、（314）宗門三ヶ行治、（315）嗣書之切紙、（316）祝聖之切紙、（317）優婆麹

多由来、（318）三宝印口伝、（319）傳授之切紙、（320）判之六点、（321）五位君臣図、（322）末後付属、（323）摩頂守護﹇参

禅﹈、（324）居士掛落大事、（325）同掛落許、（326）伝授道場〈荘厳〉、（327）同看経目録、（328）同了畢判、（329）霊山伝授次

第〈迦葉代々明峰正伝也〉、（330）（331）（332）（333）牌答ノ切紙〈四通〉、（334）呑却吐却、（335）合血之図、（336）諸聖之法位、

（337）火滅之大事、（338）大小円相之参、（339）灰之参、（340）畜生授戒、（341）了畢ノ判形、（342）了畢判形図、（343）白紙

之大事、（344）法衣之切紙、（345）撃竹悟道、（346）三世不可得、（347）托鉢下堂、（348）大随焼蛇話、（349）十三佛之大事、

（350）智識正眼、（351）碧巌了畢切紙、（352）劔刃上本則〈参禅〉、（353）兵法九字之大事、（354）天台輪袈裟切紙、（355）一

大事秘蜜妙注、（356）礼拜之切紙、（357）遍界不識参、（358）独鈷之切紙、（359）三蔵般若箱之緒、（360）円覚之切紙、（361）

宗門三十四話。


一三八

　

注（１）石川力山「中世曹洞宗切紙の分類試論（一）〜（二十三）」（『駒澤大學佛教學部研究紀要』第四一号〜第五二号、

一九八三・三〜一九九四・三、『駒澤大学佛教學部論集』第一四号〜第二四号、一九八三・一〇〜一九九三・一〇）

同　

右『禅宗相伝資料の研究』上・下巻（法藏館、二〇〇一・五）

（２）永平寺史料全書編纂委員会編『永平寺史料全書』禅籍編第二巻、八三八〜八五五頁（大本山永平寺、二〇〇三・一二）

（此稿続く）　


一三九

佛祖祖祖相傳秘密正法眼藏（188.85-94-1

）相伝関係記事（伝承）

相伝関係記事（久外呑良を中心とする）

林松『截紙目録』

上冊

1

一、忍字大事（仮題）

無し

無し

2

二、問訊之大事

無し

（14）

3

三、祝聖之切紙

無し

＊（131）（316）

4

四、旦望禮

元亨三年〈己亥〉祀二月乙日洞谷開山瑩山紹瑾判

5

五、佛前焼香之儀式

無し

＊（132）「燒香儀式」

6

六、（祝聖）

無し

＊（131）（316）

7

七、（祝聖）

無し

＊（131）（316）

8

八、（祝聖）

無し

＊（131）（316）

9

九、七堂之切紙

無し

（193）

10

十、七堂巡堂焼香之儀式

無し

無し

11

十一、山門大事

無し

（192）

12

十二、宗門沙門之行規

無し

無し

13

十三、傳授後之看經

無し

＊（327）「傳授看経目録」

14

十四、（拈花）

于時宝慶元年〈乙酉〉九月日相伝／延應元年五月日

希元判在リ

（38）

15

十五、拈華之参

無し

＊（38）〜（47）

16

十六、拈華付嘱之切紙

無し

於洞谷山重書之畢　

良（花押）／寛永元年﹇甲

子﹈夏六月傳授之者也

（46）

17

十七、拈華参相承念記

無し

（41）

18

十八、拈華正法内意

無し

于時寛永八﹇辛未﹈歳夷則吉日　

改重書之者

也／洞谷山永光良書之（花押）

＊（38）〜（47）

19

十九、拈華之十三種軌則（亦頂王三昧トモ）

文永二乙丑正月廿八日懷弉在判／

元和六年春傳授之／亦寛永九年﹇壬申﹈夏　

於洞谷山重書之者也／久外　

良書之（花押）／

「注ハ、洞谷山永光久外呑良和尚也」

（43）

20

二十、佗家訓訣

維時寶慶元乙酉稔九月十八日永平正傳畢／

正應五

年〈壬辰〉八月十三日於吉祥山妙高堂、如正本書寫

畢

於洞谷山

呑良書之者也

（49）

【永光寺関係『切紙』目録並びに史料対照表】


一四〇

21

二十一、拈華之圖

于時正應五壬辰年八月十三日於永平妙高堂如正本書

寫畢／嘉暦二年丁卯二月十六日　

明峯哲在判

拈華因縁ハ、人天眼目ニアリ。亦タ大梵王問

佛决偽経ニ三巻ニ詳カナリ。亦タ三身之事最

勝王経ニアリ。呑良和尚載候得共、今略之。

（39）（42）

22

二十二、拈華妙心之大事

無し

＊（38）〜（47）

23

二十三、宗門中道三昧之大事

無し

（48）

24

二十四、傳法奧藏之一紙

正應四乙卯載六月十八日　

洞谷山永光瑩山判

25

二十五、拈華付嘱之圖（亦拈華之髓トモ）無し

洞谷呑良和尚乃注也。

＊（38）〜（47）

26

二十六、佛祖定慧之大事

維時仁治三年壬寅四月希元在判／正安二庚子載六月

七日　

義介在判

27

二十七、拈華文切紙

無し

＊（38）〜（47）

28

二十八、拈華切紙

永平入宋傳法之時、宝慶元年自付法以来、我宗ニ流

布スル一大事也

良曰、黒色ハ、正也、陰也、位也。（中略）紫

色貴賤トモ成也。

＊（38）〜（47）

29

二十九、（拈華之大事）

無し

＊（38）〜（47）

30

三十、阿難應話（諾カ）大事

無し

無し

31

三十一、小藏誰之圖大事

代々傳来也。可秘〳〵。

無し

32

三十二、三悟道之大事

永平希元御在判

（229）

33

三十三、生佛心日月和合之根源生死大事

（仮題）

無し

無し

34

三十四、無題（五位関連切紙）

（上略）我祖到如浄禅師ニ、忝クモ予天童之笏室ニ於

テ親ク相承セシ者也。

無し

35

三十五、悉曇疏文

天童浄和尚正傳永平和尚畢。璨應二丁卯歳三月廿八日

（298）

36

三十六、郢州太陽開山明安大師卵形未分

圖（夜参血脉）

右通リ道楷記畢附了淳。傳轉如浄附授永平ニ、自永

平嫡々傳到洞谷。今附四門人ニ个

（179）

37

三十七、栄西僧正記文

建保二年甲戌正月二日　

栄西録與門人明全在判／

大宋宝慶元年乙酉五月二十四日　

明全傳道元　

全在

判／（中略）今正和四年乙卯八月七日写之者也／（中

略）大乗第二代　

洞谷紹瑾　

在判

（15）

38

三十八、栄西僧正記文（仮題）

無し

（15）

39

三十九、大衣之書

無し

無し

40

四十、住山之圖

無し

無し

41

四十一、

子之圖（住山之大事）

無し

（61）

42

四十二、喫菓子話之圖

無し

良曰正中偏、暁天、正ー来、日中、偏ー正、日暮、

兼中到、夜半、兼中正、中時。

無し


一四一

43

四十三、六祖大乗見解（不生不滅之大事）

永平希元在判／正中元年甲子二月朔日　

紹瑾在判

無し

44

四十四、頂門眼切紙（仮題）

無し

＊（166）〜（170）

45

四十五、頂門眼之切紙

天童浄大和尚・永平元師代々相承到洞谷

＊（166）〜（170）

46

四十六、趙州無切紙（無之大事・無之辨）無し

＊（57）〜（59）

47

四十七、趙州無之大事

無し

＊（57）〜（59）

48

四十八、万機休罷之切紙

無し

（56）

49

四十九、不可得之圖

無し

（65）＊（346）

50

五十、達磨大師三心之圖

于時仁治元辛丑年三月三日

（225）

51

五十一、宗門見性之大事

無し

無し

52

五十二、即心即佛之大事

無し

無し

53

五十三、撃竹悟道之大事

無し

（345）

54

五十四、大魔境之切紙

建長三辛亥年六月十二日　

永平希元御在判

（221）

55

五十五、證淨訓訣

無し

（111）

56

五十六、月兩个之大事

無し

＊（201）〜（306）

57

五十七、曹洞宗月兩个圖

弘安五壬午二月十六日　

義介判

＊（201）〜（306）

58

五十八、本無之大事

無し

＊（57）〜（59）

59

五十九、三身之圖

無し

＊（95）「法報応之三身」（220）

「法報応三身」

60

六十、野狐話切紙

無し

（52）「百丈野狐切紙」

61

六十一、趙州無大事

無し

＊（57）〜（59）

62

六十二、那時三人圖

無し

無し

63

六十三、托鉢下堂話

「自前代相傳如此也」

（347）

64

六十四、最初末後之圖（鉢盂之圖）

無し

無し

65

六十五、牛窓櫺之切紙

無し

（297）

66

六十六、樹上之切紙（仮題）

天童大和尚授傳道元、永平授懐弉、々附義介、介授

吾／仁治元年庚子三月廿八日永平書畢。喜元三年己

巳祀三月五日／授附明峯老　　

洞谷紹瑾御判

＊（63）「香嚴樹上切紙」（64）

「同（香嚴）樹上切紙」

67

六十七、樹上之切紙

無し（代々相傳如此也）

「良曰、是一等切紙……能ク〳〵可レシ付レ気ヌ」

記載アリ

＊（63）「香嚴樹上切紙」（64）

「同（香嚴）樹上切紙」

68

六十八、身心脱落之切紙

正喜元丁巳祀正月廿六日　

懐弉在判

（263）

69

六十九、一心十界切紙（仮題）

元徳二庚午五月廿六日　

大乗三代　

住洞谷素哲判

「良曰、心三点……万法ノ根源也。」記載あり。（10）「達磨一心十戒切紙」

70

七十、一文大光錢切紙

無し

（210）「大光銭図」


一四二

71

七十一、白紙之大事

無し

（343）

72

七十二、壱返消災呪之切紙

無し

＊（150）（151）

73

七十三、曹洞機切紙（仮題）

永仁二甲午三月廿一日　

大乗徹通介御在判／正和

甲寅正月十六日　

洞谷瑩山　

御在判

＊（126）「曹洞機之切紙」（127）

「同（曹洞機）大事」

74

七十四、曹洞機（炬之貴裏紙）

正應五年壬辰初秋廿八日　

徹通介御在判／嘉元二

庚申祀九月十三日　

瑩山紹瑾御在判

＊（126）「曹洞機之切紙」（127）


75

七十五、曹洞之大事炬切紙

延慶三庚戌歳六月吉日　

洞谷御在判

＊（126）「曹洞機之切紙」（127）


76

七十六、下炬之大事

無し

＊（126）「下炬之切紙」（122）「同

参禅」（123）「炬之切紙」（124）

「下炬大事」（125）「同炬法」

77

七十七、下炬参（仮題）

無し

＊同右

78

七十八、下炬之大事

寛永九壬辰載初秋吉蓂

＊同右

79

七十九、下炬因縁

無し

＊同右

80

八十、炬拈處之参

無し

＊同右

81

八十一、亡靈授戒貴裡紙

年号月日永平大禪佛御在判

無し


一四三

【資料編（一）『佛佛祖祖相傳秘蜜正法眼藏』上冊】

佛佛祖祖相傳秘蜜正法眼藏

　（１）永光ー駒澤0

001

　「忍字大事智識亀鑑」

忍字之大事

忍者

智識亀鑑是

是得成佛果　　

山谷曰、我自幼少提四韻、有

是得伏惡魔　　

人問曰、四韻何乎。答、忍

是具端嚴相　　

黙平直チヨ

ク。自頌云

是得多眷族　　

百戦百勝不如一忍、萬言

是能保長壽　　

萬答不如一黙。無應揀擇

是滿行六度　　

眼界平、不藏秋毫心地

是得菩提心　　

直スナヲ

。ナリ

教ニモ

忍者第一善法ナリ

。

是受人禮敬　　

智識ハ諸事ニ

堪忍カ

第一也。

是得至イタ

ル

頂上　　如二

心上刃置一

、堪忍精肝要也。

是發開佛眼　　

外ハ慈悲心、内ハ堪忍悳之

是除滅諸難　　

智識也。諸切紙之要也。

是得常安樂　　

於宗門代々相傳如此也。（１オ）


一四四

　（２）永光ー駒澤0

002

問訊之大事

　

　　　　　　

　

　　　　　　

　

　

眼也。苦也。悪也。地也。

陰也。暗也。邪也。對二天道ニ一

饉飢極重シテ見レ火ヲ

不能食耳也。

鼻也。不知親子無

慙生也。愚癡也

舌也。大嗔恚賢

（慳カ）貪トン

放逸也。無慈悲也。

身也。五欲濁汚穢

身也。凡夫界也。對佛

意也。楽也。善也。天地

陽也。明也。正也。

思レ衣綺羅重々、思

食百味具足對二餓キニ一

鳩三枝礼、鳥百歩孝

鴈兄弟之礼。對畜生。

慈悲第一、忍辱善

行、衆生救済。對修羅。

貪慎

（瞋カ）癡慢、出二離生

死妙尊也。故對レ人ニ

地獄

餓鬼

畜生

修羅

人道

天道

聲聞

縁覺

菩薩

佛陀

右手　

有

左手　

無

問訊之大事

夾山會禅師、於華亭問訊、

離二會不會鉤三寸ヲ一、善悪

不二、邪正一如、眞如之實躰也。

兩手共五指ハ、空風火水地之五也。

母ヌフ指ハ空也。小指ハ地也。

仏心宗ニハ、萬之印名ヲ

　

畧而爲問訊。問訊

即法界定印也。無所

不至之印也。不レ爲二蓮華

合掌ト一。不レ可二指亂ス一、不レ可レ當二

鼻頭ニ一。右口伝。

自昔日嫡傳相承如此也。


一四五

　（３）永光ー駒澤0

003

「祝聖之切紙

「第（廓外）三」　

祝聖之切紙　　　回向ニ無量壽佛トハ、始終不滅之本心也。

正覺　　　　　

千百億化身

心　　　

淸淨法身　　

護二祝ス本心一ヲ　　

修メ成シン二如ジ来ライ一ト

性　　　　　　

圓滿報法身

自前相傳如此也。

別紙ニ書之者也。

心者、法身ノ如来、無ブキヨク極ノ中道

實相也。性者報身ノ如来

也。大極也。正トハ者、化身現成也。

正覺者成佛ツ也。今上皇

帝者本心ナリ。祝二延

聖主ヲ一、国土安全之祈禱也。

我身爲二安楽一也。三身圓滿ヲ

爲二一心ト一也。


一四六

　（４）永光ー駒澤0

004

旦望禮

　「第四」　　　　　

旦望禮　　　　　　

住持旦望就二最勝殿一法式

旦望仏殿礼　

先三尊焼香三拜〈三三九拜〉。坐具上ニ胡跪合掌、三唱云ク、南無歸依仏、南無歸依法、南無歸依僧、歸依佛兩足尊、

歸依法離塵尊、歸依僧和合尊、歸依佛竟、歸依法竟、歸依僧竟〈三返〉。如来至心成等正覺、是我大師吾今頂礼〈三

返〉然シカフシテ不ズレシテ収二坐具ヲ一、右遶行スルコト三匝。毎ニ二（２オ）一匝三歸依三返。次ニ香一炷、南無一體現前住持三寶〈九返〉。

亦タ坐具之上ニ歸来テ三拜。胡踞合掌唱フ、大轉輪王、小轉輪王、法轉輪王、我今其人〈三反〉。次収テ二坐具ヲ一、至二佛前ニ一香

一炷、供二洗米一、大展三拜。今上皇帝聖窮萬歳、万歳万萬歳。収二坐具ヲ一。至二土地堂ニ一〈巡堂之如文〉。次ニ至ル二祖師堂ニ一。

七佛并ニ七佛餘代唱二宝号ヲ一。然亦至ル二正面ニ一香一炷。退後就レ位ニ立ツ。維那始二大悲咒ヲ一。可見合行規。

元亨三〈癸亥〉二月一日洞谷開山瑩山紹瑾判

　（５）永光ー駒澤0

005

佛前焼香之儀式

「第五」先本尊正面中央ニテ而揖シテ焼香〈戒香・定香・惠香・解脱香・解脱知見香〉。退後ノ大展〈三拜〉〈三三九拜中〉

唱二フ三帰依一ヲ。上来過去七佛、本師釋迦牟尼如来、八萬大衆、文殊大士、普賢薩埵、大慈大悲廣大靈憾観世音菩薩、大

轉輪王、小轉輪王、光明雲

（靈カ）台

、周遍法界、供養三宝眞佛祖、傳燈初祖、今上皇帝聖窮萬歳万々歳。乃至上界諸佛諸天、

下界諸神、八大金剛諸大菩薩、日本国中皆来聚會沙門、摩訶般若婆羅蜜、佛子住此地、即是佛受用、常在於其中、經行

若坐臥。代代相傳如此也。〈一紙書之者也〉

　（６）永光ー駒澤0

006

祝聖切紙（仮称）

「第六」祝聖ハ寅時也。大衆普同問訊ハ、佛法王法一般之儀也。○粥了諷経ハ、寺中大衆旦那、住持ノ祈禱也。○一反消災咒ハ、

法衣之祈禱也。○亦タ爲メ二山門興起ノ一也。○日中、八萬之祈禱、為メ二二世ノ一、火徳火難消滅。普菴ハ爲修造。土地ハ爲メ二法


一四七

輪常轉ノ一。○祖師ハ爲メ二報恩ノ一。○應供諷経ハ爲二當来下生ノ一。○放参除二滅悪難ヲ一。○坐禅ハ除二四相ヲ一。○諸行事ハ爲メレ除カ二三

毒ヲ一也。〈本尊ト住持ト眼々可シ二相對ス一。〉

　（７）永光ー駒澤0

007

祝聖之大事并参（仮称）

　「第七」

師示云、祝聖ノ一句ヲ。挙、喫茶喫飯。師曰、什ナニトテ麼。挙細字ニ書ヘシ

、心王供養デ候。即今ヲ。挙、始終不滅ノ本心ヲ視而候ソロ。十方三世一切

諸仏ノ除ノゾク心ヲ。挙、外ドコモ心王ノ世界、何イヅクモ心王ノ圓相ナ呈ニ唱ヘ候。又唱ルハ八重説デ候。代々嫡傳如此也。別紙一枚書之

法身如来　　　　　　　　　

報身如来　　　　　　

化身如来　

　　　　　　　

　

不レ可レ放二片作ヲ一本性也　　

本心也　　　　　　　

意也化相也

三朝ハ、心王ト衆生ト我、亦

国ト家ト我身等ノ祈禱ナリ。

水火風之三、調和而

爲世界安楽也。

　

有口伝。（３オ）

山門

祝聖

修正

滿散

化身

法身報

身


一四八

　（８）永光ー駒澤0

008

「祝聖切紙（仮称）」

本尊ハ半眼而シテ中眼也。不ルレ墮二久遠今時・陰陽・生死・苦楽ニ一如来也。文殊ハ、陰ノ菩薩也。故ニ乗ス二黒色之獅子ニ一。黒色ハ久遠空

躰也。故ニ獅子吼ヲ發開シテ仰面ス。久遠ニシテ而不ルレ墮二久遠ニ一義也。○普賢ハ行願陽菩薩也。故ニ乗ス二白色ノ象ニ一、白色ハ今時法界之假ケ

躰也。故ニ象閉口シテ低頭ス。有テ二今時ニ一不ルレ墮二今時ニ一義也。二菩薩ハ、理事・偏正ノ二躰也。弥陀ハ過去、釋迦現在、弥勒未来、三

世一躰也。永光ノ左脇観音、前サキノ勝蓮教寺ノ〈真言ナリ〉。（３ウ）本尊也。現在當来二世安穩、化楽拔苦與楽之大師也。虚空藏ハ

五佛同躰ニ而虚空自ヲーー妙躰萬宝不宝（曾乎）藏也。三尊ハ佛法僧、水火風、日月星、心ノ三點、父母我ノ三躰也。佛最勝王經御説法之時、

観音ト虚空藏ト脇士也。故ニ洞谷之仏殿ヲ号スル

二

最勝殿ト一也。三尊之次第目前如此也。

大乗モ同　

弥陀左

永光寺本ー

觀世音左

尋常本ー

文殊左

拈華釈迦ナリ

阿難左

檀那本命元辰

永平寺

釋迦本ー

釋迦

釋迦

釋迦大師

今上皇帝萬歳

弥勒右

虚空蔵右

有由来不私

普賢右

迦葉右

南方火徳聖君

中尊ハ當今キンノ御壽牌爲メ二皇

恩謝徳一。左ハ本大檀那壽牌

爲二福壽延長皆令満足一

右ハ火星神爲二火難消除ノ一

亦爲嗔恚焔滅一也。住持安全

寺家安泰山門繁昌ト祈也。


一四九

　（９）永光ー駒澤0

009

「七堂之切紙」

「第九」　　　　　　　

仏殿裡焼香　　

別紙一枚書之。有リ二口伝多ク一。

七堂巡堂ハ、爲二我国

安全ノ一也。有リ二本心佛此ノ

境、心外無法也。

從二我ガ境一外ニ無キ二佛土

地獄一也。

　　

七堂之切紙　　　　　　　　　

仏殿裡焼香

庫裡　　　　　　　　　　　　

風呂

方

仏殿　　　　　　

山門　　　　　　　　

山門頭ニ合掌

丈

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　

僧堂　　　　　　　　　　　　

浄頭

　

自前サキ傳来所如此也。


一五〇

　（10）永光ー駒澤0

010

「七堂巡堂焼香之義（儀カ）式

」

「第十」七堂巡堂焼香之義

（儀カ）式　

別紙二枚ニ書之者也。

本尊焼香、歸命十方三世ノ諸佛、南無本師釋迦牟尼如来、靈山會上八萬大衆、文殊大師、普現（賢カ）薩埵、南無一躰現前住持三宝（４

オ）無量廣大虚空法界、得阿耨多羅三藐三菩提心。今上皇帝聖窮萬歳、南方火徳火難消滅、大檀那本命元辰、福壽無量、諸願

圓滿、我身覧（堅カ）固。伏願クハ生々世々、見佛聞法、出家得道、供養三宝、済度衆生、成等正覺、三躰之三昧。

土地堂、當山土地妙理大權現、招宝七郎大權修利菩薩、監宰判官部類眷族、日本開闢天照皇大神宮、同ク六十餘州大小神祇、

佛法繁昌、師檀相應、七難即滅、七福即生、衆人愛敬、息災延命イ〈八句陀羅尼〉、護法諸神、佛日増レ光、法輪常轉。

祖師堂、震旦初祖菩提達磨圓覺大師、西天四七、東土ノ二三、日本ノ初祖希元大禪佛、数代一例

（列カ）祖

唵舍シヤ疑ギ膩ニ囊ノウ娑婆訶。次ニ舍

多タ他トコ

哩リ南。

開山塔、入塔揖シテ低頭、開山、進前焼香九拜。二代九拜。餘ハ三拜。嗣法師九拜。了テ中央ニ低頭而、道躰堅固、兒孫哀憐、

寺中繁（４ウ）昌。

祠堂、結縁亡聖（靈カ）〈經呪隨意〉、回向了、佛果圓成等正覺、韋駄天大乘寺、永光寺ハ毘沙門。次キ伽羅天毘沙門呪、唵尸羅摩那耶ソ

ハ訶。韋駄天呪、唵韋イ駄タ帝テイ駄ダ摩モ訶コ帝テイソハ訶。伽羅天呪、唵摩モ訶コ迦キヤ羅ラ耶ヤソハ訶。於レ食斉者、於レテ法ニ斉シ。於レ法ニ者斉者、於レニ食斉、世界

圓滿、〳〵〳〵〳〵。消災呪。

ソウ

土ド神諷經、

裡繁昌、

火神、一切障礙除却シ玉ヘ。

風呂、消災呪、跋陀婆羅唵迦々哩ソハ訶。又唵

ギヤキ

阿ア哩リ哩リ吽ウン発バツタ

ソハ訶カ。

鎮守心經并ニ呪消災呪、寺内安全、山門繁昌、檀家崇敬、災難消除、立身出頭、大衆堅固、諸願皆令滿足。

山門、心經、消災、南無大悲觀世音、十六羅漢、五百羅漢、三万大阿羅漢、山門壇門等ヒーーク

繁昌。〈向レテ外ヘ〉下生弥勒、天照皇

大神宮、仰キ願沙門切断生死ノ繋留一ヲ、弥勒尊佛ト同二シ化生一ヲ、聴ニ受シテ正法一ヲ、倶ニ玄妙諸設シ、具二シテ三明・六通・八解脱一ヲ、無上

正偏成二シ正覺カク一ヲ者也。（５オ）唵毎怛

耶ソハ訶。浄頭、消災呪、有瑟沙摩明王、唵

嚕陀耶ソハ訶。聖僧、唵阿毘羅吽欠捨囉

哩多ソハ訶。工夫用心シテ得二ンレ無二キコトヲ間断一。僧堂而、一反消災呪、左手而香一炷。退後低頭揖シテ、坐具ヲ移二シテ右手一ニ、静ニ遶行一匝。

進前、坐具ヲ左手ニ歸シテ、香一炷。心邪正一般、佛魔・苦楽・善悪、一致一圓也。畢竟爲レメ除二ンカ魔碍一タ也。十界一如義ナリ。故ニ

中央ニ立身低頭揖スル毎レニ度タヒ、唱云、沙門常ニ趣二無上菩提一ニ莫二シ一切ノ是非ノ管一スルコト

。自前々嫡傳相承如此也。亦云、別紙具サ也。


一五一


011

「山門大事」

山門者、諸佛出入門也。一圓也。蓮華蓋者、諸佛出身露現之門、故ニ山門ニ於テ

當来下生ヲ願念スル也。三門トハ、三世通達之義也。又一心発生ヲ如門

発門ト云也。　

別紙一枚書之。

「第十一」山門大事　　　　　　　　　　　　

三門　

蓮華門　

出世門　

微妙門　　

蓮華宝蓋也

　　　　　　　　　　　　

南無釋迦牟尼佛　

迦葉大和尚　

數代諸祖

　　　　　　　　　　

山門

永平大和尚　

大乗大和尚　

洞谷大和尚　

三

　　　　　　　　　　

三門

門之法嗣　

住持　　

不断命　

新呑良嗣法

心

意性智


一五二


012

「宗門沙門之行規」

「十二」宗門沙門之行規

一、莫二長坐一ルコト

　　　　

長坐者、必生二悪事ヲ一、説二四種罪ヲ一、失ス二此事ヲ一、忘二ス佛制ヲ一。

一、莫二亂臥一コト

　　　　　

亂臥者、生二魔碍ヲ一、乱ル二身心ヲ一。起二悪念ヲ一、落二邪道ニ一。

一、莫二亂道一コト

　　　　　

亂道、断二佛種ヲ一、不レ継二佛性ヲ一、墮ス二三悪趣ニ一。別紙一枚書之。


013

「伝受後之看經」

「十三」伝受後之看經　　　

別紙一枚ニ書之。　

先祖拜礼事

先燒香揖シテ從リ二毘婆尸佛一、一佛一禮。本師釋尊九拜、迦葉・阿難三拜、自餘ハ皆一拜。達磨九拜、二祖三拜、洞山九拜、餘者皆一拜。

道元九拜、懐弉三拜、餘皆一拜。我寺開山九拜、二代三拜、餘皆一拜。嗣法師九拜。某甲勃陀勃地、南無釋迦牟尼佛。

從二前一々如此也

開山以来如此也。


一五三


014

「拈華之大事（仮称）」

　　　　

于時宝慶元年乙

酉九月日御相傳

延應元己

亥五月日希元判在リ

數カズノ始ハジメ　　　　　

明ノ始ハシメ　　　　

事始　　　　　　

外始シメ　

　　

横ヲウノ位クライ

右手　

一　　　　　　

三　　　　　　

五　　　　　　

七　　　　　　

九

横位　　　　　

日輪　　　　　

右目　　　　　　

眞空　　　　

一ヲツノ明ミヤウ

十箇指頭　　　　　　　　

横ハ

始ハシマリ竪ハ窮キワマリ　　　　　　

通二十方一ニ

竪位　　　　　

月輪　　　　　

左眼　　　　　　

性空　　　　

チヨクハ暗ナリ

左手　

二　　　　　　

四　　　　　　

六　　　　　　

八　　　　　　

十

物窮　　　　　

暗ノ窮　　　　

理窮　　　　　

内窮　　　　　

竪位

看時不見　　　

心華発明　　　

靈々寂　々　　　　

葉落歸根

右手　

一　　　　　　

三　　　　　　

五　　　　　　

七　　　　　　

正法　　　　　

日輪　　　　　

實相　　　　　　　　

微妙

八箇阿　　　

和合シテ作二ル妙相一ト　　　　　　　

通トホル二三際一ニ

眼蔵　　　　　

妙心　　　　　

無相　　　　　　

法門

左手　

二　　　　　　

四　　　　　　

六　　　　　　

八　　　　　　

暗昏　々　　

竪十方刹　　　　

無色空　　　　　

来時無シレ始ハシメ

極妙　　

心華　　　　　　　　　　

極位

拈華即妙

微笑通身


一五四


015

「拈華之参」

「十五」　　　　　　

拈華之参　　　　　　　　　　　　　　　　　　

是別紙一枚ニ可書也

先ツ世尊トハ、人々具足庭

（底カ）ノ

妙主ナリ。吾レトハ、世間ニ伴ノフ吾レナリ。下シタ句ノ

吾ノ

ハ、本分ノ吾ナリ。毘盧ノ師、報應ノ主也。

三世ノ諸佛モ護持シ玉フ處一大事也。此ノ吾ハ、始終不見主也。不見ノ妙主ト明ムル、吾レニ相見也。佛ノ拈シ玉フモ、

此ノ吾也。不見ノ此ノ吾レヲ能ク心得テ、微笑シ玉フ也。正法トハ、空不空、世間出世間、善悪邪正、緑紅共ニ、夫々

ニ伴トモノテ充満庭（底カ）一法也。虚空（７オ）充塞シテ無レ透スキ故ニ、一片一等ニシテ看ニ不レ見也。眼藏トハ、十分ニ露ハレテモ、

根本無形、妙法ナレバ、暗昧ニシテ無明也、昏也。涅槃別レテ不レ

生アラハレ不ヌレ滅ツキ心子也。心華ニ無二開落一、因テ二迷悟有二リ開落一。

悟ルカ、心華発明也。妙心ハ、十方刹土ニ充満也。照ストハ、明也。眞ノ實相ハ、靈ト々シテ不穩（隱カ）也。無相ナレバ寂々也。

色ハ、有爲也。空ハ、無爲也。無相ナレバ、無色空。微妙ハ、一片万法ニ生アラハレテ、極メテ見レバ、妙ニシテ幽微也。悟レバ、

世尊曰ノタ玉ク

在二

吾ニ　

　　　

吾我不見時何ソ

不レ

見レ

吾ヲ

正法眼藏　　　　　　

看時不レ

見暗昏　々　　　

涅槃妙心　　　　　　

心華發明照二ス十方刹一ヲ

實相無相　　　　　　

靈々寂々無二シ色空一

微妙法門一　　　　　　

葉落歸レ

根ニ

来時無レ

口ハジメ

摩訶大迦葉　　　　　

心境空寂體如　々　　　

附属畢　　　　　　　

以心傳心ノ

法ナリ

。止止不須説、我法妙難思


一五五

廣大無邊也。葉落根歸タトハ、法界ノ上ニテ、萬ツハ幽遠幽徹（微カ）ノ

妙位ニ皈オサマル

ナリ。門ハ、面也。法門トハ、法界ヘ顕露ノ

法ナリ。アラハレ来テ不見也。故ニ無レ口ハシメト也。大迦葉トハ、世尊同シ心也。具足ノ妙主也。心モ同キ也。境ハ、境界也。

心ハ如ク二虚空ノ一也。境界ハ無形ナレバ、寂也。本體如然也。世尊・迦葉共ニ如々也。附属ハ以レ心ヲ傳フレ心ニ也。即今止止不須説、

我法妙難思也。師資一般ノ處ニ到テハ、止々不須ーー思シ也。

嫡々傳如此也。宗門之一大事也。


016

「拈華附属切紙」

「十六」

拈華附属之切紙　

拈華附属話

本師傳法偈云、

法本法無法ナリ、無法ノ法モ亦法ナリ、今附ス二無法ヲ一時キ、法法何曽法ナカラン。

師示曰、大覺世尊拈華ノ話ヲ、何トテ拈華附属ノ話トハ云タゾ。挙、何ント云モ侭テ候。侭ト云心ヲ。挙、師ヲ推除ノケテ、其

ノ跡ニ坐ス。其心ヲ。挙ス、過々遠々ヨリノ堅約デ候。其堅約ヲ。挙、心通レ心ニ。心ノ通所ヲ。挙ス、拈スレバ微笑。到レ

今莫ナイ二断絶一心ヲ。挙ス、心法ノ心傳ニ断絶ハ候ヌ。證據ヲ。挙ス、冬来レバ寒、夏来レバ何レモ煖カテ候。夫ハ何ントテ。

私シ、敎外別傳、不立文字ノ妙法ト見レバ、寒煖ノ外也。挙ス、元来無法ナル故ニ、本法ハ何トモ成テ候。傳法ノ偈ノ本

法ヲ。挙、黙坐ス。何トテ。挙、何モ云ヘバ、萬法ニ成候。證據ヲ。挙ス、始終不尽ノ妙カ、無法ノ本法テ候。師云、畢

竟ヲ。資速礼九拜。珎重。

自二上古一相傳来如此也。秘蜜之参也。


一五六


017

「拈華参」

「十七」拈華参、相承之念記是レ

ハ、作二シテ圓相ヲ一如二本書一書也。是別紙也。圓相作ナ二シテ二片一、卍字ヲ五ツ書スル也。然レトモ、為

レ易ヤスレカラン見、直スクニ書ス也。萬像ヲ拈華ノ一房フサニ納ル義也。（８オ）本師如来ノ拈スル處ヲ。挙、心華ヲ拈

シテ候。證據。挙、心華発明照二十方刹ヲ一。那邊ノ一華ヲ。挙、空華テ候。證據ヲ。挙、空華乱轉滿

二大仙ニ一。華ノ莖クキヲ。挙、境界デ候。證據ヲ。挙、栽テ二這ノ無根ヲ一、能ク挑ク二梅庭ノ灯ヲ一。那邊ノ莖クキヲ。挙、

桃唇向レ日ニ咲。枝葉ヲ。挙、子々孫々昌。那那（邊カ）ノ

枝葉ヲ。挙、東西南北。證據ヲ。挙、根蟠リ二空刧ニ一、

葉栄フ二今時ニ一。華ノ色ヲ。挙、眼耳鼻舌ー意。證據ヲ。挙、眼ハ青色、耳ハ黒色、鼻ハ白色、舌ハ赤色、身ハ黄色テ候。

那邊ノ華色イロヲ。挙、空色テ候。證據。挙、色則是空、々則是色。暗香ヲ。挙、出息入息テソ。證據ヲ。挙、思有レ内ニ、

色顕レ外ニ。那邊ノ暗香ヲ。挙、春風テ候。證據ヲ。挙、自在二桂香一滿二天地ニ一。華蘂ズイヲ。挙、意テ候。證據ヲ。挙、意

和シテ

レ

枝ニ如二車輪ノ一。那鳥（邊カ）ノ蘂シベヲ。代、霧露雲霞テ候。證據ヲ。挙、霧露雲霞催ス二華氣ヲ一。華水ヲ。挙、具スル處ロノ一氣

テ候。證據ヲ。挙、一氣陽水、深脉不断。那邊ノ濕氣ヲ。挙、一陽来復テ候。證據ヲ。挙、初テ発雷発動セバ、八極居キヨ

石キ開ク。華ノ萌キサ之シカ様ヲ。挙、胎宿ノ孩子テ候。證據テ（ヲカ）。挙、玉

深ク垂レテ金躰未タレ顕レ。那邊ノ萌様ヲ。挙、一陽處

テ候。證拠ヲ。挙、陰陽相合シテ未ダレ分タ。五葉ヲ。挙、五臓テ候。那邊ノ五葉ヲ。挙、五佛テ候。證據ヲ。挙、一華開五

葉。菓實ヲ。挙、應話

（諾カ）ス

。那邊ノ木コノ實ヲ。挙、色ニ隨イ声ニ隨フ。證據ヲ。挙、結果自然成。華ノ影相ヲ。挙、扇子ハ

長ク、團扇ハ圓ク候。那邊ノ影ヲ。挙、晝ハ夜ル、夜ハ晝ルニ移ツテ候。證（８ウ）據ヲ。挙、本無相テ候。花散リ様ヲ。

挙、化縁盡ク。那邊華ノ散リ様ヲ。挙、本来無東西、何處有南北。證據ヲ。挙、天元無二容貌一、地元不レ有二ルニアラ形相一。

微笑ヲ。挙、孩子徒ニ開クレ口ヲ。證據ヲ。挙、花咲ヱンデ不レ言。那邊ノ微笑ヲ。暁天ニ暗開ク。證據ヲ。挙、金鳥東山人皆貴ブ。

此話ノ四種ヲ。挙、正法ト眼蔵ト涅槃ト妙心テ候。證據ヲ。挙、四縁ノ境ニ収ツテ候。那邊ノ四種ヲ。挙、春夏秋冬テ

候。證拠ヲ。挙、根本ハ正法、極陰ハ眼藏、虚空ハ涅槃、眞空ハ妙心テ候。世尊・迦葉、附属ノ妙相和合シテ一躰ヲ。挙、

師資根本一躰テ候。證據ヲ。挙、何レモ根本ハ無形テ候。尚子細ニ。挙、元無相ナルユヘニ一身カ萬像ニ變ジテ候。別

傳ノ妙法ヲ説法セヨ。挙、鴉鳴鵲噪、水声海音、雨声風吟、皆妙音。證據ヲ。挙、万萬共ニ具足シタ妙心テ候。畢竟ヲ。


一五七

挙ス、万般巧妙一圓空。師云、如是々々。覺即礼九拜退後。

　

以上五拾四段宗門之秘傳也。是レモ別紙一枚也。


018

「拈華正法内意」

拈華正法内意　

是亦別紙一枚書也。

正法トイハ者、諸法實相也。即心成佛也。是到ル二上上根大乗器ノ一（９オ）旨也。正法之入端ハヲ向上入端ハヲ云フ也。向上ノ入

端ヲ云フ二初入頭ヲ一也。自本ノ法也。

眼藏者、一塵不立自己也。於テ二萬象ゾウノ頭ニ一都テ看見不及也。

涅槃者、涅ハ不生ニシテ離ル二有相ヲ一、槃者不滅ニシテ離ル二無相ヲ一、生死透脱庭（底カ）大

涅槃也。

妙心者、不レ墮二空刧ニ一主也。不汚染之一物也。不似庭（底カ）也。

實相者、柳緑花紅、煩惱即煩惱也。不軌キ則、自妙容也。

無相者、非レ僧ニ非レ俗ニ、非レ草ニ非レ木ニ、非レ禽ニ非レ獣ニ、非レ天ニ非ルレ地ニ妙主也。

微妙者、幽遠也。甚ハーータフーキ深也。佛祖不識不可得妙。

法門者、有リ二天地一、有二人天一、有二正法一、佛法無盡也。萬法自ヲーー大法也。十方ニ充満也。

敎外者、一字不説也。不識也。不可得也。非二言語ニ一、不フカ

ン干舌妙也。

別傳者、父子不傳也。言説不及、非二口ニ宣ル心一子ニ、故ニ不傳也。是則禅道也。

世尊者、靈覺性也。性即佛也。佛者心也。心者則是道也。道者即是禅ゼン也。禅之一字不レ有二凡聖側處ニ一、故ヘニ云別傳ト一。

仁治元庚

子祀三月廿八日夜半書之　

永平希元判アリ（９ウ）


019

「拈華之十三種軌則」

「十九」　

拈華之十三種軌則　

亦頂王三昧トモ云也。是三枚継也。

拈華瞬目　

心華未二開発セ一時、靈妙無私句咄然。


一五八

破顔微笑　

発シレ玄ヲ通スレ玄ニ、真照蜜ト々シテ露ル。

吾有ーー　

主ニ有二主分一、王ニ備フ二王化クワ一ヲ、神光神通。

正　　　　

當面合相、正位ニシテ不レ正、極中極。

法　　　　

喚クワン二作セバ正法ト一話墮ス。靈ト々シテ虚明、空々自照。

眼　　　　

眞智窮極、十方不レ蹤。

藏　　　　

無爲大空、不渉二變異一。

涅槃　　　

彼此人我、本無シ二倚依一、真如法界、性ニ無起滅。

妙心　　　

眼自見、耳自聞、面前正来無二内外一。

實相　　　

這箇元来不レ假二形影イ一ヲ、即是異中異。

無相　　　

極玄タリ、前後進退不二相分タ一。

微妙　　　

渠不二修證一本淨ニシテ明ナリ、山河大地般若心。

付属　　　

玄中玄、妙中妙。通身獨露。的中的、不識也。世尊附二迦葉ニ一、超然トシテ無二、前後一躰ニシテ空身ナリ。

混然トシテ難シレ分。圓明了了真見ナル耳ノミ。

洞山傳法後ノ傳附也。亦洞山秘法トモ。

〇注、心ーー発トハ、一氣未発ノ先キ也。拈華瞬目カ、靈ーー句ヲ咄出シ（10オ）様也。是レヲ無説ノ説ト云也。爰ヲ

バ不聞ニシテ聞クナリ。這ノ靈妙ハ一漚ノ先キ也。無私ノ句トハ、平等ノ句也。

〇発シレ玄ヲーー露ルヽトハ、微笑ガ妙玄ノ発シ様、通様也。本心ヲ発シテ本心ニ通スル也。微笑ノ所ロテ通カナウタト見レバ、

真照蜜々トシテ露アーータ事也。真トハ不見ノ心華、照トハ顕露之一華也。此コヽヲ有二世尊蜜語一、迦葉不二覆藏一ト云也。

〇主ニーー化トハ、玄中玄、妙中ノ妙、共ニ吾有リトハ、世尊ノ處ニアル也。拈華カ神光、微笑カ神通也。神ハタマシヒ

トヨム也。有ルレ吾ワレニナリ。

〇當面ーー極トハ、正位ヲ正位ト不ヌレ知ラカ正位ナリ。十分ノ正位ノ時キ、極中ノ極也。正當ノ面目、真ノ合相也。

〇喚二作正法ト一ーー自照ストハ、此法ハ喚ンテ正法ト作セバ、語話ニ落ツル也。正法ニシテ汚染無ケレバ靈々トシテ虚明、


一五九

寂々トシテ自ヲーー照スナリ。露テ不見也。

○真智トハ、種々ノ識智ヲ泯スレバ、真智也、本智也。眼ハ見テ真實ヲ能窮メ智テ十方一圓ニ通ズレトモ、没蹤跡ナリ。

〇無爲ーー異トハ、無爲トハ、無相ニシテ不変ノ義也。大空ハ、窮限ゲン無キ事也。呈ホドニ、変異ニ渉ラサル也。無爲ノ大空

カ宗旨ノ法藏也。真ハ露レテ不見也。

○涅槃彼此ーー滅、涅槃ニハ彼此人我、又起滅ナキ也。彼ハ死、此ハ生、人ハ境界、我ハ本心、起ハ顕、滅ハ隱也。真如乃

性ハ、不生不滅也。

〇眼自ヲーー外、此ノ妙心ハ、只タ在テレ眼ニハ見、耳ニ在テハキク也。聞テ無二實正一也。故ヘニ面前ニ正来シタガ、内外ハ無キ也。

本分ノ妙、眞シン（10ウ）實ノ本心ハ、内外無差別也。

〇實相ハ、即今ヨリ形影無キ也。實相ノ根本ハ無形也。時キ異中ノ異也。無相ハ、眞ノ根本也。有相ヲ能ク極レバ、無

相ニシテ虚玄也。前後進退ノ化形ナキ也。時虚玄大道、無□（善カ）眞宗也。

〇渠レトハ、微妙也。修ハ、コシラフ、修行也。證ハ、悟ル、證契也。此ノ妙ハ、根本清浄ニシテ分明ナル一物也。山

河大地共ニ一片ノ妙智惠ノ心也。般若ハ知惠也。

〇附属、事新ニ渡シタル事デハ無シ。唯タ竹ニ笋タケノコカ生シ、松ツニハ松ノミドリカ出テタ如ク也。釋尊玄妙ヲ拈シ玉ヘバ、

迦葉ノ微笑ハ、玄妙ニ中ル也。我ヲ挙セバ我ニ契フ也。王ニ発シテ

レ

光ヲ自照ス也。實身ト虚身ト合躰シテ、本分ノ身ニ通カナフテ

吾獨リ顕露也ト云ハ、附属了レバ、一躰一身也。的中ノ的モ同シ心ロ也。拈華ノ的位ニ、微笑ノ的位ガ一々中ル也。自

然ノ通力也。故ニ不識ト傳附シアレバ、諸聖ヲ越ヘテ、師資一躰ニシテ無二也。前後身合躰也。空ハヒロシ、化身ヲ脱

シテ廣大ノ空身也。師資一般ニ混和シテ差ガ分チ難キ也。時ニ圓ナルコトニシテ分明也。過去・現在・未来、自己・目前、

自心・他心共ニ、皆了サトリ了レバ、万ツ無差別也。真實ノ正見ニ達スルガ、佛法ノ大棟梁、現在ノ大敎主、諸聖頂上、宗門

之大明燈也。

洞山大和尚乃秘傳也。

文永二乙

丑正月廿八日　

懐弉在判

注ハ洞谷山永光久外呑良和尚也。佛心宗之一大事也。可秘〳〵〳〵。（11オ）


一六〇


020

「他家訓訣」

「二十」　

他家訓訣　

先賢怖二盗法之者ヲ一、雖二廻書スト

一

、私ニ直書也。

天童浄老曰、拈華ト微笑ハ、久遠ト今時ナリ也。拈二出シ玉バ久遠事ヲ一、微二笑玉フ今時ノ事ヲ一、附属ハ始終一般ナリ也。拈華ノ即妙、

十箇ノ指頭、竪ノ位イ横ノ位ナリ。微笑ハ八箇ノ阿ナリ。和合スレバ妙相ナリ。横竪ノ位、天地ノ二位也。附属ハ和合ナリ也。大覺拈玉フ

二

何

ノ華ヲカ

一

。拈玉フ

二

横位ヲ一。迦葉微二笑玉フ何一ヲカ

。竪位ヲ微笑玉フ。竪横ハ等妙ノ二覺ナリ也。和合スレハ唯ダ一人ナリ也。横丿ヘツ竪乀ホツ合スレバ人也。

是拈華ノ圖ツ也。拈華ノ話以来無数ノ公案、師資一般、始本不二ナリ、一躰ニシテ而無二也。浄曰、你ナンヂ如何ンカ承當ス。元曰、一圓

中有リ二三十ノ主人公一。浄曰、直ニ呈露セヨ。元曰、作シテ

二

一圓相ヲ一、圓中ニ書ス二三十四祖カ名字ヲ一。浄曰、勃ボ陀ダ勃ボ地ヂトハ何ソヤ乎。元曰、

是主人公也。浄曰、意イ旨シ如何。元曰、菩ボサ

ツ薩摩訶薩ナリ。浄曰、勃ボ陀ダ勃ボ地チハ梵語ナリ。此ニハ翻ホン二ズ覺智ト一。自二本師二総ニ到二リ妙覺ニ一、

知ル二本分ヲ一義ナリ。浄曰、勃陀勃地ヲ呈露セヨ看ミン。元曰、是妙心ナリ也。浄曰、落處作ゾモサン

麼生。元曰、十刧坐道場。浄曰、如何ンカ

辨得セン。元曰、明明了了。浄曰、如何明了セン。元曰、我レ是レ我レ。浄曰、勃トハ如何ン。元曰、本心。浄曰、陀ハ如何。（11ウ）

元曰、本法。淨曰、地トハ如何ン。元曰、十刧座道場。浄曰、慧ト曰ハ如イカン何。元曰、竪ノ位ヒ。浄曰、滅度如何。元曰、横ノ位ヒ。

浄曰、意旨。元曰、竪横一般ナリ。浄曰、此コノ外ホカ如イカン何。元曰、一圓空。淨曰、意旨如何。元曰、中。淨曰、如何。元曰、無シ二

変動一。浄曰、如何カ當人セン。元曰、夜半正當、午日正當。浄曰、畢境（竟カ）ヲ。元曰、不断命。即作礼而去。

維時寶慶元乙

酉稔九月十八日永平正傳畢

正應五壬辰歳八月十三日於テ二吉祥山妙高堂ニ一如二正本一書写畢。

代代嫡傳来處如此也。（12オ）

佛法僧

性心意


一六一


021

「拈華之圖」

拈華之圖　良曰横

縦丨、天地ト、男女ト、重半ト、清濁ト也。

正法者、六年端坐之禅、諸方實相也。

眼藏者イウハ、眼星悟道、眼（時カ）キ父母所（12ウ）生眼也。

涅槃者、離ル二有相無相之生死ヲ一。

　

好手手中

拈華即妙

　

呈二好手

横ーヌツ数始　　

左眼事始　　

横古今如　　

横ニ亘ワタ

ルニ

十箇指頭　　

横竪始終ナリ　

丨コン明ーヌツ暗ナリ　

ーヲツハ丿ヘツナリ異名

日輪明始ナリ　

眞空外始ナリ　

横天地始　　

十方ニ一

所謂諸方如是相・如是性・如是躰・如是力・如是作・如是

和合作如相　　

一中十位　　　

諸法實相

因・如是縁・如是果・如是報・如是本末圓竟等

竪丨コン数終リ　

　

右眼理終リ　

　　

竪亘二古今ニ一　

　　

竪ニ窮ム二

八箇之阿　　　

阿形相口ハジマリ

　　　

和合妙相トナル　

　　

丨コンハ乀ホツナリ異名

月輪暗始メ　

　　

性空内終リ　

　　

丨コンハ天地終リ　

　　

三際ヲ一

　

左手

○　　

右手

○　

紅心心裡

微笑心法

　

中二紅心ニ一

○


一六二

妙心者、我大地不レ墮二古今之機一。

實相者、有情煩悩即煩悩也。

無相者、非情無二ク本男女之相、無禽獣之相。

微妙者、不思義不可得心法也。

法聞（門カ）者、森羅万象自顕露アリ。

不立者、諸縁元空相也。

文字者、柳緑花紅、烏黒白鷺。

教外者、不説之正法也。

別傳者、心心通達、以心傳心。

附属二摩訶迦葉一者、唯佛与佛、乃能空（窮カ）盡、彼此混然タリ。世尊本靈覺之性也。性即心ナリ。心即道ナリ。道即禅也。禅ハ凡聖通達、

解脱根源ナリ也。悟了安心也。佛性降ゴウ下、無二貪着憎愛妄念一。

昔ソノカミ日拈華瞬目、破顔微笑、佛智ト無師智ト自然ニ

啄眼流通ス。是世尊三昧、世尊不レ知、迦葉三昧、迦葉不レ知則、正法ー

ー妙心也。中心ノ樹枝也。華是汝性、汝智、汝自己、汝命根ナリ。四大五蘊ノ主ツーサナリ。水地火風空ハ、一華ノ五葉也。萬象一躰也。

一華一葉、一釋迦一如来也。坐臥往

（住カ）行

、挙手動足、悉皆拈華之餘熏也。青赤白黒黄、柳緑花紅、総ニ是レ（13オ）金色ノ尊相也。

悟ルヲ

レ

之ヲ云レ佛、迷フヲ

レ

之ニ云二凡人ト一也。於二多子塔前ニ一傳法、以心傳心也。勅ミーーシテ而阿難副貳、傳化万歳〳〵〳〵。

竪チヤクハ

天、横

ハ地也。拈華ハ、天ノ氣下ル處ロ、微笑、地精順メクル處也。附属トハ、陰陽和合、得妙相義ナリ。阿部曇、性靈、

伽羅卵ノ妙相也。師資本躰ハ表二男女ヲ一。附属トハ、和合ナリ。此末細蜜之義、千千万万。拈華因縁ハ、人天眼目ニアリ。亦タ大

梵王問佛决疑経ニ三巻ニ詳ツマヒラカナリ。亦タ三身之事最勝経ニアリ。呑良和尚載ノセ候共、今略之。

嫡々傳来如此也。

于時正應五壬

申年八月十三日於二永平妙高堂ニ一如二正本一書寫畢。

嘉暦二丁

卯二月十六日　

明峯哲在判

宗門之一大事　

可秘〳〵〳〵（13ウ）


一六三


022

「拈華妙心之大事」

「二十二」　


023

「宗門中道三昧之大事」

「二十三」

夫妙心者、佛祖大事、宗旨之

眼目也。妙者イツ

ハ、一漚已前之體

也。是ヲ謂二毘盧師報應

之嫡々相承而至ルレ吾ニ。主ト一也。

心ハ空虚之躰也。

可秘〳〵〳〵。

三世諸仏護持是爲二頂チン相一ト　

佛祖之心印也　　　　

頭々上明也

久遠實成如来　　　　　　

如来宿母胎　　　

離母胎出現セリ

歴代祖師傳持是爲二命根一ト　

萬法之根源也　　　　

物々上妙也

中道三昧者、諸仏頂相、

歴代之命根、宗旨之

中的妙也。代々傳来如

此也

可秘可〳〵〳〵。（14オ）

　　

無極　　　　　　

文殊　　　　

主位　　　　　　　

拈華

妙　　　　

本師釋迦如来　　　　　　　

無賓主　　　　

附嘱

　　

大極　　　　　　

普賢　　　　

賓位　　　　　　　

微笑


一六四


024

「傳法奥藏之一紙」

「二十四」傳

法奥藏之一紙

本師釈迦如来、於二霊山会上ニ一、告テ二摩訶迦葉ニ一言玉ク、示二汝一枝華ヲ一、能ク能ク可護持一。華是本性也。汝性モ亦如レ是。眼ニ見レ色ヲ、

耳聞クレ声ヲ、皆華ノ開顕也。然シテ此性者火大也。風大也。即命根也。火者性之躰、風性ノ用、水ハ者即是智慧也。迷衆生、

悟之諸佛也。

依レ之ニ時キ、夜半ニ師資同室而、懸二幢天蓋ヲ一可レ傳也。此外無レ法、有二別法一可二魔説ナル

一

。

正和四乙

卯載六月十八日　

洞谷山永光瑩山判

宗門之大事　

可秘〳〵〳〵。（14ウ）

　　　


一六五


025

「拈華附属之圖」

「二十五」

右ハ拈華附属之　

亦拈華之髓トモ

嫡々相承至吾。（15オ）

洞谷呑良禅師乃注也。

夫以者、諸仏有リ二生滅隱顕一。三國傳来之法者、

古今常顕露ス、是不断滅ノ妙法也。自二

過去遠一々別傳シ来心法者、諸聖之一大事也。

今迦葉ニ附属シ訖、是レ生々世々不断不滅之

真法也。教外別傳、不立文字之大法者、諸

佛傳来乃一大事也。七佛要脈也。有二自己ニ一三昧

而吾亦不ルレ知心也。○師仰面回二顧シテ天地四方虚

空ヲ二云、看々大虚ニ充塞スルコトヲ。亦低頭シテ云、看時不見

暗昏々。　

拈華微笑、附属心通ハ、即師資

相續也。譬バ天ノ陽氣下、地ノ陰精上テ交合スル

義也。是附属和合乃妙相也。相續不断命ト云也。

傳授已前ハ、本師位ヒ高ク、迦葉低也。傳授了バ、

世尊低ク迦葉高ク。

拈華已前

本覚釈迦

微笑已前

始覚迦葉

拈華微笑

附属合相

附受妙法

傳後釈迦

受法以後

心通迦葉


一六六


026

「佛祖定慧之大事」

維時仁治三年壬

寅四月希元在判

正安二庚

子載六月七日　

義介在判（15ウ）

正覚

世尊成道　　　　　　　　　　　

有情非情同時成道　　　　　　

世尊端坐

根本　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

母胎

無位　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

座位

達磨面壁　　　　　　　　　　　

直指人心見性成佛　　　　　　

達磨面壁


一六七


027

「拈華之切紙」

「二十七」

嫡々傳来如此

也。別而宗門之

一大事也。

可秘〳〵〳〵（16オ）

一段光明亘ル二古今ニ一

人々具足箇々圓成

有無照破脱情塵

百雜碎家破人亡

當頭觸著彌天罪

三世諸佛掛ク二壁上ニ一

退歩承當特地新

猶有一人家（呵カ）

大々咲

紫極宮中鳥カラス抱レ卵ヲ

黒漆桶裡ニ盛二墨汁ヲ一

銀河波庭（底カ）兔推レ

輪ヲ

喚起牧童蓑庭（底カ）夢

是須ク

二妙手携来用フ

一

石女天明戴帽歸

百億分身

處處真

何處カ不レ

稱レ尊ト

　　

石女天明自是　

却来

極妙　　

心華　　

極位

　　

木人夜半自是　

向去


一六八


028

「拈華切紙」

「二十八」拈華切紙

十个ノ指頭ハ十界也。左リハ久遠也。悪也。先之妙手也。（右脱カ）今時也。善也。在今用手也。一ヲツハ横也。陰也。一ヲツハ於逸

之切カヘシ、ヲツ也。説文曰、一ヲツ造ヲコツテ

分二天地ヲ一、化成二万物ト一。丨シヤハ思二ノ切カヘシ、讀若ノ切、チヤク。古文之切シ、丨コン。説文曰、上

下通ル也。丨シハ陽也。嗣續アレバ十字圓滿也。指頭ハ陽、顕、天、男也。阿ハ、陰、隠、地、女也。阿ハ、指ノ間タ也。別トハ者、

迦葉具足ノ心法ヲ、其ノ侭テ迦葉ニ付シ玉フ也。金色婆羅ラ華者、黄ヲウ金ノ蓮華也。華之王也。故ニ心華ニ表スル也。法報應ノ三身、

即當則ノ正躰也。法身者本覚ノ釋迦、報身ハ始覚之迦葉也。附属者、應身也。即三身圓滿之覚躰也。亦嗣続ハ、佛法之誕

生、迦葉出躰也。拈華乃夕ユ部ベ、附属之朝、佛法不断、無窮自在、通力奇妙之心法也。是皆永平入宋傳法之時、宝慶元年自

二付法一以来、我宗ニ流布スル一大事也。可秘〳〵〳〵。

良云、黒色ハ正也、陰也、位也。白ハ、陽也、偏也。赤ハ同シレ白ニ赤白ハ〈赤上タカ

ク、白下ヒキシ〉。赤白合シテ紫也。紫色貴タカク賤ヒキクト　

モ

成也。（16ウ）

　

横

五指　　　　　　　　　　　

世尊大師　　　　　　　　　　

陰ニ四阿

十箇指頭　　　　　　　　　　　

和合妙相　　　　�

駒澤大學佛敎學部論集 林下曹洞宗における相伝史料研究序説...

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