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ねじとねじ部品ねじ
screw threads and fastenersねじの用途
ねじの原理
おねじとめねじ
右ねじと左ねじ
ねじの種類と山形
ねじ部品
ボルトとナット
小ねじ類
座金
ボルトまたは
ねじ部品の
使用上の注意
ねじの力学
締付けに必要なトルク
ボルトに作用する力
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ねじの用途(1) 締結用ねじ(threaded fastener)
物の結合・締付け、動作制限・固定
(例:ボルト・ナット)
(2) 運動用送りねじ(power screw)
回転⇔直進・運動の変換
(a) 物の移動・調節
(例:工作機械の親ねじ・送りねじ)
(b) 大きな力の発生
(例:ジャッキ、万力のねじ)
(c) 微小量の移動・測定
正確な位置決め
(例:マイクロメータ)
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ねじの原理楔(くさび)から螺子(ねじ)へ
板1板2
くさび
・ くさびに相当する△ABCを円柱に
巻きつけると、辺ACは円柱に
つる巻線(helix)を描く。 AB
C
L
πdβ
d
L
β :リード角=ねじ面の傾斜を表す。
L :リード=ねじ1回転によるねじの進みを表す。
・ボルトとナットで板を締付けることは、
くさびを打ち込むことと等価である。
・ このつる巻線に沿って山または谷を作るとねじ(screw thread)ができる。
tan /L dβ π=
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おねじ と めねじ・円柱の外表面に作ったねじ:おねじ
おねじ=male thread, external thread・円柱の内表面に作ったねじ:めねじ
めねじ=female thread, internal thread
おねじ めねじピッチ
ねじ山の角おねじの山の頂
谷の
径
外径
内径
谷の
径
P:ピッチ=ねじの軸線に沿って測ったねじ山の隣り合うつる巻き線の距離
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右ねじ と 左ねじ
右ねじ(right-handed screw, right-hand thread)
右に回すとねじが前に進む
左ねじ(left-handed screw, left-hand thread)
左に回すとねじが前に進む.逆ねじ.
※自分で調査!
左ねじの用途について調べてみよう。
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ねじの種類と山形三角ねじ(triangular screw thread)(a) JISメートルねじ,(b) JISユニファイねじ,(c) ウイットねじ
管用ねじ(pipe thread, gas thread)ーくだようねじ
角ねじ,四角ねじ(square screw thread)
台形ねじ(trapezoidal screw thread)
のこ歯ねじ(buttress screw thread)
丸ねじ,丸形ねじ(round screw thread)
電球ねじ(electric socket and lamp-base thread)
ミニチュアねじ(miniature screw thread)
ボールねじ(ball screw)
静圧ねじ(hydrostatic lead screw)
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三角ねじ:(a) JISメートルねじ(a) JISメートルねじ(=ISOねじ)
ねじ系列:丸棒の直径とピッチとで規定している。
ねじの外径とピッチをmm単位で表示したもの。
メートル並目ねじ(なみめ) (metric coarse thread)メートル細目ねじ(ほそめ) (metric fine pitch thread)
→よく締まるねじ
→振動による緩み防止
ねじの表示方法(ねじの呼び)
ねじ山の巻き方向-ねじ山の条数-ねじ山の呼び-ピッチーねじの等級
例)左-2条-M50×3-2
M12・・・右ねじ,1条,d=12mmのメートル並目ねじ(ピッチp=1.75mm)
※ n条ねじ:1つの円柱にn本のつる巻き線に沿ってねじ山を作ったもの
single-start thread,double-start thread, multi-start thread
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ねじの基準山形および各部の寸法算出の公式
おねじの外径=めねじの谷径
おねじの有効径=めねじの有効径
おねじの谷径=めねじの内径
ねじ山の角度60°
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三角ねじ(b),(c)(b) JISユニファイねじ(unified thread,ISOインチねじ)
アメリカ,イギリス,カナダの3国が軍事上の必要から協定してできたねじ。
基本山形はメートルねじと同じ。
ねじの外径をインチ,ピッチを1インチ中の数で表示する。
ユニファイ並目ねじ:UNC (unified coarse thread)ユニファイ細目ねじ:UNF (unified fine pitch thread)
例)3/8-16UNC・・・外径3/8インチ,1インチ=25.4mmについての山数16のユニファイ並目ねじ
(c) ウイットねじ(whiteworth screw thread)インチねじでねじ山の頂角が55°のもの。
ねじ山で最古の歴史を持つ。しかし、ISOには不採用。
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管用ねじ(くだようねじ)ねじ山の頂角55°。
管と管との接続用ねじ。
テーパー同士の接続は機密性が良い(+パッキン材)。
ねじの呼びは管の呼び(ねじの外径ではない)と同じ。
管の呼びはインチ表示である。
管用テーパーねじ(pipe taper thread, taper pipe threads)管用平行ねじ(pipe straight thread, parallel pipe threads)
前JIS 現行JIS(1966) → (1982)
管用テーパーおねじ: PT → R管用テーパーめねじ: PT → Rc管用平行めねじ: PS → Rp
管用平行おねじ: PF → G1A(A級), G1B(B級),
G1ALH(左ねじ)
管用平行めねじ: PF → G
寸法許容差が異なるため別扱い
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四角ねじ と 台形ねじ角ねじ(square screw thread)
ねじ山が正方形。軸方向に大きな伝達力発生。摩擦も少ない。ジャッキ,プレス用。ただし、製作・測定が困難。規格なし。
台形ねじ(trapezoidal screw thread)
ねじ山が台形。角ねじより組み立て時の精度を
出しやすい。機械部品の移動.台の締付け,工作機械の親ねじ,測定機の測定軸の送りねじなど高精度なピッチが要求されるところ)
メートル台形ねじ( 30° ):(metric trapezoidal screw thread)例)一条ねじ:Tr40×7 ・・・呼び径40mm,ピッチ7mm
多条ねじ:Tr40×14(P7)LH・・・呼び径40mm,リード14mm,ピッチ7mm
29°台形ねじ:インチねじ系列(29-degree trapezoidal screw thread)
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のこ歯ねじ,丸ねじ,電球ねじのこ歯ねじ(buttress screw thread)軸方向の力が1方向だけに働く場合に用いられる非対称断面形のねじ。
丸ねじ(round screw thread)台形ねじの山の頂および谷底に大きい丸みをつけたねじ。砂などの異物が混入しやすい場所,または衝撃の多いところで使用される。
例)ホースの口金,ガラスや陶磁器用のねじ
電球ねじ(electric socket and lamp-base thread)電球の口金,受け金に用いるねじ。ねじ山の形がほぼ同じ大きさの山の丸みと谷の丸みとが連続しているねじ。
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ミニチュアねじ,ボールねじ,静圧ねじミニチュアねじ
(miniature screw thread)時計,光学機器,電気機器,計測器などに
用いる呼び径0.3~1.4mmについて規定されている。呼び径1~1.4mmのミニチュアねじは、時計工業などにおいて得に必要な場合に限り用いる。例)S0.3,S1.4
ボールねじ(ball screw)おねじとめねじの間にコイル状の空間を作り、ここに転がり用のボールを入れて摩擦係数を小さくしたもの。バックラッシなしで工作できるので、数値制御型工作機械の位置決めように多用されている.
静圧ねじ(hydrostatic lead screw)
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ねじの部品:ボルトおよびナット締付け用ボルトの種類・形態と用途
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六角ボルトとナットの各部の名称と記号最も一般的なねじ部品。2つの物を締付けるのに多用。
マシンデザインでやりましたよね!
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ねじ部品:ボルトの種類
狭いところや間隔を接近させるとき
機械類の吊り上げ用
すわりを良くする 機械類の据え付け用
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ねじ部品:ナットの種類ねじは振動、繰り返し荷重、荷重変動などでゆるみやすい。
すわりを良くする 流体の漏れ防止危険防止装飾的な観点
回転防止
ダブルナットゆるみ止めのために通常のナットを2個使用する方法。
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ねじの部品:小ねじ類:頭付小ねじねじ回しによって締める呼び径1~8mm程度の頭付小ねじ
上列:十字穴付下列:すりわり付
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ねじの部品:小ねじ類:止めねじ機械部分の動きを止める・制限する
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ねじの部品:座金
平座金:a) ボルト穴が大きいb) 偏心があるc) 締め付け面に凹凸があるd) 木材・ゴムなど材料の耐圧力が
低い場合e) ゆるみ止め
それ以外の座金:よりゆるみ止め効果を狙ったもの.
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ボルトまたはねじ部品の使用上の注意
a) 曲げとせん断をねじ部で受けない。
ねじ部には引張りのみが作用するように使用する。
b) 衝撃荷重が働く場合は、ボルトを伸びやすくする。
c) 適正な締付け力で締める。
・ゆるまないように(ゆるみ原因参照)
使用中に外力が作用しても、締付接触部では
締付け圧力が保持されていること。
・破断・破壊が生じないように
ボルトに塑性伸びが生じるまで強く締付けない。
ねじ山がせん断破断するまで強く締付けない。
d) ボルトはナット面から出ていること。
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ねじのゆるみとその原因
初期ゆるみ─────────当初の接触部凹凸の平坦化
陥没ゆるみ─────────座面の塑性変形
微動磨耗によるゆるみ────接触部の横変位による磨耗
密封材の永久変形によるゆるみ─ガスケットなどのヘタリ
ボルトの締めすぎによるゆるみ─ボルトの塑性変形の進行
熱的原因によるゆるみ─再結晶温度以上での内部応力変化
非回転ゆるみ
軸直角方向・軸回転方向・軸方向
の振動外力によるゆるみ
軸直角方向の衝撃外力によるゆるみ
軸方向衝撃外力によるゆるみ──衝突における反発あるいは
衝撃波による、ねじ部・座面
部での圧縮力の消失・低下
超音波によるゆるみ────座面部などの圧縮力低下や離間
回転ゆるみ
原 因分 類
座面部・ねじ部
での相対的変位
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ねじの力学:締付けトルク(四角ねじ)Ff :軸力(ボルトの軸方向に働く力)P :水平力(締付けトルク T による力)
cos sin sin cos
(cos sin ) (sin cos )
(sin cos )(cos sin )(tan )(1 tan )(tan tan )(1 tan tan )
f f
f
f
f
f
P P F F
P F
P F
P F
P F
β μ β β μ β
β μ β β μ β
β μ ββ μ ββ μμ ββ ρρ β
− = +
− = +
+=
−+
=−
+=
−
軸力 Ff に逆らって、めねじを回転させるために必要なトルク T を求める。
ねじ有効径d 2
β:リード角
・斜面の力のつりあい
cos sin ( cos sin )f fP F F Pβ β μ β β= + +(μ:ねじ面の摩擦係数)
tan tantan( )1 tan tan
α βα βα β±
± =∓
tan( )fP F ρ β= +
tan f
f
FFμ
μ ρ⎛ ⎞
= =⎜ ⎟⎜ ⎟⎝ ⎠
ρ:摩擦角
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ねじの力学:四角ねじの場合Ff :軸力(ボルトの軸方向に働く力)P :水平力(締付けトルク T による力)
軸力 Ff に逆らって、めねじを回転させるために必要なトルク T を求める。
ねじ有効径d 2
β:リード角
・斜面の力のつりあい
cos sin ( cos sin )f fP F F Pβ β μ β β= + +(μ:ねじ面の摩擦係数)
tan( )fP F ρ β= +・必要な水平力 P
・必要なトルク T2( 2)T P d= ⋅
2( 2) tan( )fT F d ρ β= +
tan f
f
FFμ
μ ρ⎛ ⎞
= =⎜ ⎟⎜ ⎟⎝ ⎠
ρ:摩擦角
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ねじ斜面の力学(解説)Ff :軸力(ボルトの軸方向に働く力)
→質量F f の物体と見る
・斜面の力のつりあい
(μ:ねじ面の摩擦係数)
tan( )fP F ρ β= +・必要な水平力 P
cos sin ( cos sin )f fP F F Pβ β μ β β= + +
sin , cosf f fF F Fβ β→ cosP β
sinfF β
sinP βP :水平力(締付けトルク T による力)
cos , sinP P Pβ β→
斜面方向 斜面に垂直方向
斜面方向 斜面に垂直方向
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ねじの力学:締付けトルク(三角ねじ)三角ねじの断面形状 tan tan cosα α β′ =
・斜面の力のつりあい cos sincos sin ( )cos cosf fP F F Pβ ββ β μ
α α= + +
′ ′tan tan tan( )
1 tan tanf fP F Fρ β ρ βρ β′ + ′= = +′−
tancosμμ ρα
′ ′= =′
・必要な水平力 P
・必要なトルク T 2( 2) tan( )fT F d ρ β′= +
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三角ねじの力学(解説)tan tan cosα α β′ =
coscosfF β
α′
cosfF βα′ α′
ねじ斜面
三角ねじの断面形状
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ボルト・ナット結合体の締付けトルクスパナでナットを回転させて締付けるのに必要なトルク Tf
・ナット座面の摩擦力 Fw w w fF Fμ=
・ナット座面の摩擦トルク Tw ( 2)w w f wT F dμ=
・締付けに必要なトルク Tf
2( 2) tan( ) ( 2)f f w f wT F d F dρ β μ′= + +
・ナット座面の有効径 dw
ナットの二面幅 B,ねじの穴径 Di
( ) / 2w id B D= +
三角ねじの締付に必要なトルク T
ナット座面の摩擦トルク Tw
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ボルト・ナット結合体の内力定数結合体に働く軸力 F と変位 δ の関係
( )a b cW k kδ = +
・ボルト・ナット系の引張りばね定数 kb
・被締付体引張りばね定数 kc
・ボルトに追加される力(引張力) Ft
・被締付体に追加される力(圧縮力) Fc
,t b c cF k F kδ δ= =
Φ:内力定数(内外力比)
a t cW F F= +
・これらより、変位δ
・外力 Wa は、力のつりあいより
(1 )
bt a a
b c
c b c bc a a a
b c b c
kF W Wk k
k k k kF W W Wk k k k
= = Φ+
+ −= = = −Φ
+ +
・したがって、外力 Wa により作用する力はそれぞれ
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ボルト・ナット結合体の荷重ー伸びの関係外力 Wa とボルトに追加される力 Ft の関係
・外力 Wa
・ボルトに追加される力 Ft
・被締付体に追加される力 Fc
・変位δ
・内力定数 Φ
・ボルト・ナット系の引張りばね定数 kb
・被締付体引張りばね定数 kc
bt a a
b c
kF W Wk k
= = Φ+
Φを小さくすれば、作用した外力 Wa に対して、実際にボルトに追加される力 Ft を小さくすることができる。
応力振幅を小さくする効果がある