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人工多能性幹細胞(iPSC)の樹立およびトランスフェクションLipofectamine® 3000 Reagent
アプリケーションノート
2 Life Technologies™ | Lipofectamine® 3000 reagent
人工多能性幹細胞(iPSC)は、無数の疾患および症状に対する未来の再生医療および個別化治療につながる大きな可能性を秘めています。Lipofectamine® 3000トランスフェクション試薬は、幹細胞のの有用性を最大限に引き出すために、エレクトロポレーションに代わる高効率で低コストな遺伝子導入法として開発されました。高度な脂質ナノ粒子テクノロジーが、エレクトロポレーションによる細胞ストレスを最小化し、リプログラミングのワークフローを簡略化し、新しい遺伝子編集テクノロジーを可能にします。
Lipofectamine® 3000試薬は以下の性能を持つよう設計されています:
• 優れた導入効率—これまで導入困難だった細胞を導入可能な細胞に変える
• 低毒性—細胞にやさしく、細胞生存率が改善
• 高い汎用性—1種類のキットでDNA、RNA、コトランスフェクションが可能
“GT1-1細胞へのトランスフェクションに成功しました。 これまでどんな試薬でも上手くいかず、ウイルスかエレクトロポレーションを使わない限り不可能だったことです。”
—Julien Sebag, PhD Assistant Professor, Vanderbilt University
3lifetechnologies.com/3000
患者ドナー由来線維芽細胞からのiPSC樹立 4
多能性幹細胞のゲノム編集 6
Lipofectamine® 3000を用いた 多能性幹細胞へのトランスフェクション 7
ヒト線維芽細胞リプログラミングの詳細なプロトコール 8
目次
患者ドナー由来線維芽細胞からの
iPSC樹立
線維芽細胞のリプログラミング患者由来のiPSCは、他の手法では入手できない細胞集団を生存する患者から得ることができ、さまざまな可能性を持っています。この可能性を現実のものにするためには、ドナーの体細胞を効率よくiPSCにリプログラムすることが重要になります。本研究では、Epi5™ Episomal iPSC Reprogramming Kit*およびLipofectamine® 3000試薬を使用し、ドナー3名の皮膚生検標本から得た線維芽細胞をiPSCにリプログラミングしました(図1および2)。その結果、エレクトロポレーションを用いた場合と同等のリプログラミング効率が確認されました(図3)。導入効率に改善がみられたことにより、エレクトロポレーションによる細胞ストレスが最小になり、リプログラミングのワークフローが簡略化され、トランスジーン・フリー、ウイルス・フリーのヒトiPSCを0.04%~0.3%の効率で得られます。
培養エンジニアリング分化キャラクタリゼーション
培養エンジニアリング分化キャラクタリゼーション
培養エンジニアリング分化キャラクタリゼーション
iPSCs
外胚葉細胞
中胚葉細胞
内胚葉細胞リプログラミング因子
成人細胞
ゲノムDNAの挿入欠失
Lipofectamine® 3000試薬とEpi5™ Episomal iPSCReprogramming Kitにより、エレクトロポレーションを行わなくても高効率で体細胞をリプログラミングできます。
Lipofectamine® 3000トランスフェクション試薬はまた、多能性幹細胞においてCRISPRベクターの切断効率を向上させ、遺伝子改変効率を2倍に向上させます。
Lipofectamine® 3000試薬は培養下のESCおよびiPSCにDNAを導入することができます。
Lipofectamine® 3000試薬は培養下の導入困難な分化細胞にDNAを導入することができます。
*京都大学iPS細胞研究所(CiRA)山中教授研究室の沖田博士による設計です。
4 Life Technologies™ | Lipofectamine® 3000 reagent
図1. 多能性幹細胞アプリケーションのためのLipofectamine® 3000 トランスフェクション効率の高さから、Lipofectamine® 3000は、線維芽細胞のリプログラミング、遺伝子編集、および導入困難細胞へのトランスフェクションなど、様々なアプリケーションに使用することができます。
5lifetechnologies.com/3000
• Day -1: Geltrex® マトリックスでコートしたディッシュ上に細胞を播種します。
• Day 0: 線維芽細胞用培地中で24時間トランスフェクションを行います。
• Day 1–14: 100 ng/mL bFGFを含むN2B27培地で培養します(1日1回培地交換)。
• Day 15–20: E8培地中で培養します(1日1回培地交換)
• Day 21+: コロニーをピックアップして増殖させます。
Day -1 Day 0 Day 14 Day 21
線維芽細胞用培地 bFGF(100 ng/mL)添加N2B27培地 Essential 8™ 培地
Geltrex®
matrix
Epi5™ Episomal iPSC Reprogramming Kit
Lipofectamine® 3000
+
ES細胞様コロニーを同定
ピックアップおよび増殖
体細胞 コロニー形成の開始
図2. Epi5™ リプログラミングキットおよびLipofectamine® 3000試薬によるiPSC樹立プロトコールの概要 線維芽細胞へのトランスフェクションから21日以内にコロニーのピックアップおよび増殖ができます。
図3. Lipofectamine® 3000によるリプログラミング効率をエレクトロポレーションと比較 Lipofectamine® 3000またはNeon® Transfection Systemを用いてEpi5™ ベクターをトランスフェクトし、BJ線維芽細胞ならびに新生児(HDFn)および成人(HDFa)ヒト皮膚線維芽細胞をiPSCへリプログラミングしました。明視野顕微鏡(A)およびアルカリフォスファターゼ染色(B)によりコロニーを可視化しました。
Day 14 Day 17 BJ HDFn HDFa
Lipofectamine®
3000 試薬
Neon® システムを用いたエレクトロポレーション
A B
TK pA
U6 promoterCACCG
CAAAAPol IIIterm
tracrRNA
F1 origin
OFP
2A
Cas9 (with NLS1 and NLS2)
PCMV
Ampicillin
pUC origin
CRISPR Nuclease OFP Reporter 9,219 bp
Target-specific crRNA
Target genomic loci PAM
C G T A A A G C C A T A C G T A T A C T A C C
G C A T T T C G G T A T G C A T A T G A N G G
G G GGC C CA A
A
AU U U UG
AA UU U GA U
tracrRNAA A A A A A
AAAAA
A
A
AAAAA
A AA
G
G
GG
G
G
G G G
G
G
GG
GGG
G
G
G C C C CC
C
C
C
CC
CC
UU
U U U
UU
U
U
UUUU
U
U U
UUU
AA
A AA
U
UU
U
Cas9
ゲノムDNAのインデル
500 bp
400
300
200
100
Gene
modifi cation
effi ciency (%)
2.5 3.6 5.5 4.0 0.0
1 k
b l
ad
de
r
Lip
ofe
cta
min
e®
2000
Lip
ofe
cta
min
e®
3000
GF
P c
on
tro
l
vecto
r
Dosage (μL) 0.3 0.5 0.15 0.3 0.3
GeneArt® CRISPRベクターのインサートを設計
Lipofectamine® 3000によるトランスフェクション
GeneArt® Genomic Cleavage Detection(GCD) Kitを用い、切断効率を測定
コロニーのスクリーニングおよび増殖
多能性幹細胞のゲノム編集
Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeat(CRISPR)によるゲノム編集テクノロジーは、特定部位でのDNA切断を可能にします。しかし、DNA切断効率は、ゲノム編集ツールの選択だけでなく、目的部位の配列特性、導入効率も影響を受けます。このことは標的の遺伝子改変が表現型におよぼす影響を調べるための安定細胞株およびノックアウトモデル樹立という非常に労力を要する実験目的において、ダウンストリーム実験の煩雑さを左右する重要な要素です。ここでは、CRISPRベクターを用いたゲノム編集において、様々なiPSCクローンに対し、Lipofectamine®
3000がプラスミドDNAの導入効率を改善し、ゲノム編集の成功率を向上させることを示します。
6 Life Technologies™ | Lipofectamine® 3000 reagent
図4. Lipofectamine 3000®により、iPSCにおけるCRISPRベクターの切断効率が向上 特定のゲノム部位をターゲットとしたGeneArt®
CRISPRベクターを、Lipofectamine® 2000またはLipofectamine® 3000を用いて一過性にトランスフェクトしました。GeneArt® Genomic Cleavage Detection Kitを用い、切断効率を測定しました。
7lifetechnologies.com/3000
まとめLipofectamine® 3000トランスフェクション試薬は、導入が困難な細胞におけるトランスフェクション効率を向上させるために開発されました。この研究レポートでは、Epi5™ Episomal iPSC Reprogramming Kitと共にLipofectamine® 3000のような優れたトランスフェクション試薬を用いることで、エレクトロポレーションを必要とせず、細胞をリプログラミングできることが実証されました。
Lipofectamine® 3000を用いた 多能性幹細胞へのトランスフェクション
Lipofectamine® 3000トランスフェクション試薬を用い、Geltrex® マトリックスでコートしたディッシュ上にて増殖中の導入困難な幹細胞(H9 ESCおよびiPSC)へ、DNAの導入を行いました(図5)。40~70%のトランスフェクション効率が確認され、高い平均蛍光強度が得られました(図6)。
A B
DNA: 1.0 µg
Lipofectamine®
3000: 1.5 µL
SSEA+/GFP+: 42%GFP MFI 247344
DNA: 1.3 µg
Lipofectamine®
3000: 1.5 µL
SSEA+/GFP+: 69%GFP MFI 456741
Geltrexマトリックスでコートした6cmディッシュ
コラゲナーゼで5分間処理した後、ローラーでコロニーを均質なサイズの細胞塊にカットする
細胞塊を含む培地を移し、重力により沈降させる
細胞を一晩インキュベートした後、培地を交換してトランスフェクション実施
細胞塊を12ウェルプレートに播種
1. SSEA4染色による多能性の確認2. 蛍光イメージング3. フローサイトメトリー
Timeline Steps
Day
0
1 $
Seed cells to be 70–90% confluent at transfection
Day
1
2 $
Diluted Lipofectamine ® 3000
Vortex 2 –3 sec
Dilute Lipofectamine ® 3000 Reagent in Opti-MEM ®
Medium (2 tubes) – Mix well
3 $
Diluted DNA Prepare master mix of DNA by diluting DNA in Opti-MEM® Medium, then add
P3000™ Reagent – Mix well
4 $
Add Diluted DNA to each tube of Diluted Lipofectamine ® 3000 Reagent (1:1 ratio)
5 $
Incubate
6 $
Add DNA-lipid complex to cells
Day
2-4
7 $
Visualize/analyze transfected cells
ローラーを動かす方向
培地細胞
図5. Lipofectamine® 3000による多能性幹細胞へのトランスフェクションのプロトコール概要 Geltrex® マトリックスでコートしたディッシュからマルチウェルプレートへ細胞を移し、Lipofectamine® 3000を用いてトランスフェクションを行いました。トランスフェクション効率はフローサイトメトリーおよび蛍光イメージングにより評価しました。
図6. 幹細胞へのトランスフェクション Lipofectamine® 3000を用いて、H9 ESC(A)またはiPSC(B)にトランスフェクションを行いました。蛍光顕微鏡により細胞を可視化し、フローサイトメトリーを用いた解析によりトランスフェクション効率を求めました。
ヒト線維芽細胞リプログラミングの 詳細なプロトコール
Lipofectamine® 3000トランスフェクション試薬をEpi5™ Episomal iPSC Reprogramming Kitと共に使用することによって、 エレクトロポレーションを行わなくても、効率よくリプログラミングを行なうことができます。
8 Life Technologies™ | Lipofectamine® 3000 reagent
リプログラミングのタイムライン
Day -1 Day 0 Days 1–14 Days 15–20 Day 21+
Geltrex®マトリックスでコートした6ウェルディッシュに細胞を播種
線維芽細胞増殖培地中で24時間トランスフェクション
100 ng/mL FGF添加N2B27培地(1日1回培地交換)
Essential 8™ 培地(1日1回培地交換)
コロニーをピックアップし、培養および増殖
細胞および試薬 製品番号 機器
Epi5™ Episomal iPSC Reprogramming Kit A15960 実体顕微鏡を備えた無菌細胞培養フード(バイオセーフティキャビネット)
Lipofectamine® 3000 Transfection Reagent L3000015 倒立顕微鏡
Opti-MEM® I Reduced Serum Medium 31985062 37℃、5% CO2に設定したインキュベーター
Basic Fibroblast Growth Factor (bFGF), recombinant human
PHG0261 37℃に設定したウォーターバス
KnockOut™ Serum Replacement 10828010 滅菌済セロロジカルピペット(5 mL、10 mL)
Essential 8™ Medium A1517001 遠心機
DMEM/F-12, GlutaMAX™ supplement 10565018 15 mL遠心チューブ
N-2 Supplement (100X) 17502048 6ウェル組織培養処理プレート
B-27® Supplement (50X) , Serum Free 17504044 10 μL、200 μL、1,000 μL PIPETMAN® マイクロピペットおよびチップ
100X MEM Non-Essential Amino Acids (NEAA) 11140050
β-mercaptoethanol 21985023
Fetal Bovine Serum, embryonic stem cell–qualifi ed 16141061
DMEM, High Glucose, GlutaMAX™ Supplement 10566016
0.05% Trypsin-EDTA (1X), phenol red 25300054
Geltrex® LDEV-Free, hESC-Qualifi ed, Reduced Growth Factor Basement Membrane Matrix
A1413301
Dulbecco’s PBS (DPBS) without Calcium and Magnesium 14190
9lifetechnologies.com/3000
細胞および試薬の調製I. 培地の調製
線維芽細胞用培地
500 mLの線維芽細胞用培地を調製するには、以下の試薬を無菌状態で混合してください。線維芽細胞用培地は4˚Cで最長1ヵ月間保存できます。
DMEM 445 mL
ウシ胎児血清 (FBS)、ESC品質 50 mL
100X MEM NEAA(10 mM) 5 mL
N2B27 培地
500 mLのN2B27完全培地を調製するには、以下の試薬を無菌状態で混合してください。N2B27培地(bFGF添加前)は、2
~8℃で最長1週間保存できます。
DMEM/F-12 479 mL
N-2 Supplement(100X) 5 mL
B-27® Supplement (50X) 10 mL
100X MEM NEAA(10 mM) 5 mL
β-メルカプトエタノール(1,000X) 908 μL
bFGF (100 µg/mL)
1. bFGFストック溶液:1 mLの100 μg/mL bFGF溶液を調製するには、以下の試薬を無菌状態で混合してください:
bFGF 100 µg
DPBS、Ca2+およびMg2+不含 999 µL
KnockOut™ Serum Replacement 1 µL
2. bFGF溶液を分注した後、–20℃で最長6ヵ月間保存できます。
3. N2B27培地1 mLあたり、1.0μLのbFGFが必要です。
bFGFを含まないN2B27培地を調製しておき、使用時にフレッシュなbFGFを最終濃度100 ng/mLになるよう添加してください。
Essential 8™ Medium
1. 500 mLのEssential 8™ 培地を調製するには、まず凍結状態のEssential 8™ Supplementを2~8℃で一晩解凍します。凍結しているサプリメントを37℃で解凍しないでください。
2. 解凍したサプリメントのバイアルを数回穏やかに転倒混和します。Essential 8™ Basal Mediumから培地を10 mL取り除き、無菌状態でEssential 8™ Supplementの溶液を全てEssential 8™ Basal Mediumのボトルに入れます。
3. ボトルを回して撹拌し、均一な完全培地500 mLを得ます。
4. Essential 8™ 完全培地は2~8℃で最長2週間保存できます。使用前は、同日中に必要なだけの完全培地を、ボトルに触っても冷たく感じない程度まで室温で温めて下さい。培地を37℃で温めないでください。
II. Geltrex® マトリックスでコートしたディッシュの準備
1. Geltrex® マトリックスを4℃で一晩解凍します。
2. 4℃の冷蔵庫からDMEM/F-12を取り出します。無菌状態で、かつ重合を防ぐため氷上で作業してください。Geltrex®
マトリックスを同量のDMEM/F-12(1:1)で希釈し、穏やかに混和します。マイクロ遠心チューブに分注し、直ちに–20℃で冷凍してください。
3. 1:1に希釈したGeltrex®マトリックスに氷上でDMEM/F-12
を加え、使用ストック溶液を調製します。一般的な培養には最終希釈率1:100を推奨します。6ウェルディッシュの各ウェル表面を、Geltrex®マトリックスの使用ストック溶液1.5 mLで完全に覆います。
4. コートした培養容器を37℃で1時間インキュベートします。使用前にディッシュまたはプレートを層流フード内に置き、室温に戻します(約1時間)。コートしたプレートまたはディッシュを直ぐに使用しない場合は、パラフィルム®でシールし、4℃で最長2週間まで保存します。保存中のディッシュが乾燥またはコンタミネーションしないようにご注意ください。
III. 線維芽細胞の培養
1. 線維芽細胞用培地を37℃のウォーターバスで温めておきます。
2. 眼の保護具を着用してください。液体窒素中で保管していたクライオバイアルは暖められると破裂するおそれがあります。
3. 極低温用のクライオグローブを着用してください。金属製のピ ンセットを用いて液体窒素保存容器からBJ線維芽細胞のクライオバ イアルを取り出します。
4. 両手の間でバイアルを10~15秒間転がし霜を取り除きます。
5. 37℃のウォーターバスにバイアルを浸けます。穏やかに旋回させてください。
注意:キャップを水面下に沈めないようにしてください。
6. 氷の結晶のみになったら、バ イアルをウォーターバ スから取り出します。
7. バイアルの外側を70%エタノールで スプ レーし、フード 内に置きます。
8. 1 mLのマイクロピペ ットを使用し、細胞を50 mLコニカルチューブへピ ペ ッティング します。
9. 10 mLのピペ ットを使用し、温めておいた線維芽細胞用培地10 mLを、50 mLコニカルチューブへ滴下します(細胞への浸透圧ショックを避けるため)。この間、チューブを穏やかに旋回させながら行ってください。上下にピペッティングし穏やかに混和します。
10. 200×gで4分間遠心し、上精を吸引除去します。
11. 細胞のペレットを適切な量の線維芽細胞用培地に再懸濁します。通常、5~7 mLの培地にバイアルの内容物を懸濁し、T25組織培養処理済み培養フラスコに播種します。
12. BJ線維芽細胞培養を37℃、5% CO2のインキュベーター中
で一晩培養します。
13. 翌日、使用済み培地を吸引除去し、予め温めておいた新しい線維芽細胞用培地に交換します。フラスコがおよそ70%
コンフルエントになるまで、1日おきに培地を交換してください。
14. 70%コンフルエントになったら、細胞をスプリットし、セルバンク作製用に再播種するか、Epi5™ トランスフェクション用に直接播種する必要があります。実験には初期継代細胞の一部を使用することを推奨します。
15. 線維芽細胞培養をスプリットするには、まず線維芽細胞用培地を培養容器から吸引除去します。
16. 洗浄のため、室温にした5 mLのCaCl2・MgCl2
不含DPBS
(培養ディッシュから線維芽細胞を適切に剥離させるためには、二価カチオンが存在してはなりません)を加え、室温で5分間置きます。
17. DPBS洗浄液を吸引除去し、2 mLの0.05%トリプシン
ーEDTAを室温で培養容器に加えます(表7を参照し、培養容器のサイズに合わせてトリプシンの量を調節してください)。37℃、5% CO2のインキュベーターで約3~5分間インキュベートします。顕微鏡で細胞を観察し、細胞の形が丸くなり始めたらインキュベーションを止めてください。
18. 予め温めておいた線維芽細胞用培地4 mLを培養ディッシュに加え、トリプシン処理を止めます。懸濁液を数回吹き付けることで培養容器の表面から細胞を全て剥離させ、全ての細胞を単一細胞懸濁液として回収します。細胞懸濁液を15 mL遠心チューブに移します。
19. 200×gで4分間遠心し、上精を吸引除去します。
20. 細胞のペレットを、温めたフレッシュな線維芽細胞用培地2~3 mLで再懸濁し、上下にピペッティングして単一細胞懸濁液にします。
21. 細胞数をカウントし、適切な数の細胞を適切な量の培地と共に、新しい組織培養処理済みの培養ディッシュに播種します。定期的な維持管理として通常3~4日ごとに1:6のスプリット比で継代できます。
IV. Epi5™ エピソームのリプログラミング
Geltrex®マトリックスコートディッシュへの ヒト線維芽細胞の播種
6ウェルプレートの中で、1ウェルあたり50,000~100,000個の細胞が2 mLの線維芽細胞用培地において約30~60%コンフルエントになるように(図7参照)、37℃、5% CO2
で一晩培養します。
6ウェルディッシュ中のヒト線維芽細胞への
Lipofectamine® 3000を使用したトランスフェクション
1. Opti-MEM®培地を室温に温め、下記の通りにチューブAおよびチューブBを用意してください。
2. チューブAとラベルした1.5 mLエッペンドルフチューブ中で、118μLのOpti-MEM®培地に、2種類のEpi5™
Reprogramming Vectorミックスを各1.2 μLずつ(トータル2.4 μL)加えます。4.8 μLのP3000™ Reagentを加え、よく撹拌します。
10 Life Technologies™ | Lipofectamine® 3000 reagent
11lifetechnologies.com/3000
図7. 新生児(HDFn)および成人(HDFa)ヒト皮膚線維芽細胞の播種密度
3. チューブBとラベルした1.5 mLエッペンドルフ®チューブ中で、3.6 μLのLipofectamine® 3000試薬を、121 μLの温めたOpti-MEM® に希釈します。
注意:Opti-MEM® 培地で希釈したLipofectamine® 3000試薬は、希釈後15分以内に使用してください。それ以上時間が経つとトランスフェクション効率が低下する場合があります。
6ウェルディッシュ1ウェル分のチューブAおよびチューブB溶液調製については以下の表にまとめてあります:
7. 37℃、5% CO2のインキュベーターでプレートを24時間イン
キュベートします。
トランスフェクション試薬の除去および細胞のリカバリー1. 24時間のトランスフェクション後、プレートから培地を吸引
除去します。100 ng/mL bFGF(使用直前に添加)を含むN2B27培地2 mLを各ウェルに加えます。
2. 14日間、N2B27培地を毎日交換します。使用済みの培地を、1ウェルあたり2 mLの100ng/mL bFGF 添加N2B27
培地と交換してください。
Essential 8™培地への馴化1. Day 14に使用済みN2B27培地を吸引除去し、Essential 8™ 完
全培地に置き換えます。1ウェルあたり2 mLの培地を毎日交換します。
2. 1日おきに顕微鏡下でプレートを観察し、形質転換細胞を示す細胞集塊の出現を確認してください。トランスフェクション後15~21日以内にiPSCのコロニーが増殖し、分離に適したサイズになります。
3. Day 21までにはコロニーが明瞭になり、ピックアップおよび培養と増殖が可能になります。データ例を図8に示します。
4. トランスフェクションマスターミックスを調製するには、チューブAの溶液をチューブBに移し、良く混ぜます。
5. トランスフェクションマスターミックスを室温で5分間インキュベートします。
6. もう一度混合した後、250 μLのトランスフェクションマスターミックス全てを、2 mLのフレッシュな線維芽細胞成長培地を含むGeltrex® マトリックスコートプレートにまいたヒト線維芽細胞の各ウェルに加えます。
試薬試薬 容量容量
チューブAチューブA
Epi5Epi5™™ Reprogramming Vectors Reprogramming Vectors 1.2 μL 1.2 μL
Epi5Epi5™™ p53 and EBNA Vectors p53 and EBNA Vectors 1.2 μL 1.2 μL
Opti-MEMOpti-MEM®® medium medium 118 μL 118 μL
P3000P3000™™ Reagent Reagent 4.8 μL 4.8 μL
チューブBチューブB
LipofectamineLipofectamine®® 3000 reagent 3000 reagent 3.6 μL 3.6 μL
Opti-MEMOpti-MEM®® medium medium 121 μL 121 μL
50,000 cells/6ウェル 100,000 cells/6ウェル
H
DF
a
HD
Fn
50,000 cells 100,000 cells
HD
Fa
HD
Fn
図8. 新生児(HDFn)および成人(HDFa)ヒト皮膚線維芽細胞をリプログラミングした後に得られたアルカリホスファターゼ陽性コロニー
Ordering information
製品名 サイズ 製品番号 価格*
Lipofectamine® 3000 Transfection Kit 0.1 ml L3000001 ¥ 9,000
0.75 ml L3000008 ¥ 64,500
1.5 ml L3000015 ¥ 97,000
1.5 ml x 5 L3000075 ¥ 430,000
15 ml L3000150 ¥ 720,000
* 記載の価格は2014年8月現在の価格です。消費税は含まれておりません。価格は予告なしに変更する場合がありますので予めご了承ください。
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