都市防災論 #6 地震動を知る...都市防災論 #6 地震動を知る...
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本日の講義内容
A.地震動とは?地震? 地震動?
B.地震動の伝播地震動?地震波?地震波の種類
C.地震波形の見方時刻歴波形加速度波形の見方
D.地震動の計測震度・計測震度など
E.地震観測の現状日本の地震観測の現状地震観測の重要性
F.緊急地震速報緊急地震速報の原理緊急地震速報の課題
地震と地震動
地震
地震動
地震とは?地球内部の特定部分に蓄積されたひずみが、
ある限界に達し、一時に解放されて弾性波(地震波)を生ずる現象。および、それによって起こる地表の揺れ。
大辞林(第二版)より
東北地方太平洋沖地震の地震動発生日時:2011年3月11日14:46震央地名:三陸沖(牡鹿半島の東南東、
約130km付近)
震源深さ:約24km地震規模:Mw※9.0各地の震度:
震度7:宮城県 栗原市
震度6強:
宮城県 仙台市宮城野区、 他
福島県 二本松市、須賀川市、他
茨城県 鉾田市、筑西市、他
栃木県 宇都宮市、大田原市、他
震度6弱:
岩手県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県、埼玉県で観測
伝播の様子(動画)
防災科学技術研究所の強震観測結果より作成
Mw:モーメントマグニチュード
地震動の伝播
工学的基盤(Vs400m/s程度)
柔らかい地盤(堆積層など)
地表
断層
震源
伝播
増幅
硬い地盤:増幅が小さい柔らかい地盤:増幅が大きい
注目する地点
堅い地盤
増幅:小
増幅:大増幅:中
地震基盤(せん断波速度Vs2-3km/s)
「B.地震動の伝播」のまとめ
地震動:震源→対象地点間:複雑な伝播経路
増幅:地中の地盤および構造によって地震動が大きくなる。
地震波の種類:実体波・表面波
実体波:P波、S波
P波:ガタガタ
S波:ユサユサ
地震波の3つの特性
振幅特性
周期特性
位相(経時)特性
・・波動は3つの特性で表現できる。
平成7年(1995年兵庫県南部地震)の神戸海洋気象台の観測地震波を例
に取り上げる。
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100-900-600-300
0300600900
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100-900-600-300
0300600900
=音色
=高さ
=大きさ
音でいえば・・・
地震波の振幅
加速度
時間(s)
(cm/s2)=Gal 最大818cm/s2 =0.83G
Gの単位で表されることもある。(1G=980cm/s2)
速度
時間(s)
(cm/s)=Kine
最大91.5cm/s=時速 約3.3km
変位
時間(s)
cm
最大20.2cm
積分
積分
地震波の周期
JMA KOBE NS方向(加速度波形)
30 40 50 60-1000-750-500-250
0250500750
1000
33 34 35 36 37 38 39 40-1000-750-500-250
0250500750
1000
拡大
振動数:約1.5Hz=周期:約0.67秒
振動数:約2.5Hz=周期:約0.4秒
0 1
正弦波振動数:1Hz周期:1秒
加速
度(c
m/s
2 )
時間(秒)
地震波の位相
JMA KOBE NS方向(加速度波形)
30 40 50 60-1000
-750
-500
-250
0
250
500
750
1000
初期微動(P波)
主要動(S波)
ガタガタ
ユサユサ
初期微動の継続時間は震源に近いほど短い
だいたい8倍すると震源距離
加速
度(c
m/s
2 )
震度とは?
ある地点での地震動の強弱の度合。気象庁震度階級では,10 階級に分ける。
大辞林(第二版)より
震度と震度階級
震度階級とは?
震度を表す階級。諸外国では改正メルカリ震度階が用いられるが,日本では気象庁震度階級が用いられる。1996 年(平成 8)からは計測震度に基づいた震度階級を採用。0〜7 の整数で表すが,5 と 6 にはそれぞれ強弱が設けられており,0,1,2,3,4,5 弱,5 強,6 弱,6 強,7 の 10 階級で表
示される。震度階。 大辞林(第二版)より
計測震度とは?
かつて、震度は体感および周囲の状況から推定していましたが、平成8年(1996年)4月以降は、計測震度計により自
動的に観測し速報しています。
気象庁が発表する震度は、気象庁、地方公共団体及び(独)防災科学技術研究所が全国各地に設置した震度観測点で観測した震度です。
気象庁の震度階級は「震度0」「震度1」「震度2」「震度3」「震度4」「震度5弱」「震度5強」「震度6弱」「震度6強」「震度7」の10階級となっています。
気象庁HPよりそのまま引用
計測震度
気象庁震度階級関連解説表ー1
壁のタイルや窓ガラスが破損、落下する建物がさらに多くなる。補強されているブロック塀も破損するものがある。
固定していない家具のほとんどが移動したり倒れたりし、飛ぶこともある。
7
壁のタイルや窓ガラスが破損、落下する建物が多くなる。補強されていないブロック塀のほとんどが崩れる。
固定していない家具のほとんどが移動し、倒れるものが多くなる。立っていることができず、はわないと動くことがで
きない。揺れにほんろうされ、動くこともできず、飛ばされることもある。
6強
壁のタイルや窓ガラスが破損、落下することがある。
固定していない家具の大半が移動し、倒れるものもある。ドアが開かなくなることがある。
立っていることが困難になる。6弱
窓ガラスが割れて落ちることがある。補強されていないブロック塀が崩れることがある。据付けが不十分な自動販売機が倒れることがある。自動車の運転が困難となり、停止する車もある。
棚にある食器類や書棚の本で、落ちるものが多くなる。テレビが台から落ちることがある。固定していない家具が倒れることがある。
大半の人が、物につかまらないと歩くことが難しいなど、行動に支障を感じる。
5強
まれに窓ガラスが割れて落ちることがある。電柱が揺れるのがわかる。道路に被害が生じることがある。
電灯などのつり下げ物は激しく揺れ、棚にある食器類、書棚の本が落ちることがある。座りの悪い置物の大半が倒れる。固定していない家具が移動することがあり、不安定なものは倒れることがある。
大半の人が、恐怖を覚え、物につかまりたいと感じる。
5弱
電線が大きく揺れる。自動車を運転していて、揺れに気付く人がいる。
電灯などのつり下げ物は大きく揺れ、棚にある食器類は音を立てる。座りの悪い置物が、倒れることがある。
ほとんどの人が驚く。歩いている人のほとんどが、揺れを感じる。眠っている人のほとんどが、目を覚ます。
4
電線が少し揺れる。棚にある食器類が音を立てることがある。屋内にいる人のほとんどが、揺れを感じる。歩いている人の中には、揺れを感じる人もいる。眠っている人の大半が、目を覚ます。
3
-電灯などのつり下げ物が、わずかに揺れる。屋内で静かにしている人の大半が、揺れを感じる。眠っている人の中には、目を覚ます人もいる。
2
--屋内で静かにしている人の中には、揺れをわずかに感じる人がいる。
1
--人は揺れを感じないが、地震計には記録される。0
屋外の状況屋内の状況人の体感・行動震度階級
平成21年3月31日改定
気象庁震度階級関連解説表ー2
平成21年3月31日改定
1階あるいは中間階の柱が崩れ、倒れるものが多くなる。
1階あるいは中間階が変形し、まれに傾くものがある。
まれに傾くことがある。
壁、梁(はり)、柱などの部材に、斜めや X状のひび割れ・亀裂が多くなる。
壁、梁(はり)、柱などの部材に、ひび割れ・亀裂がさらに多くなる。
傾くものや、倒れるものがさらに多くなる。
壁などのひび割れ・亀裂が多くなる。
7
1階あるいは中間階の柱が崩れ、倒れるものがある。
傾くものや、倒れるものが多くなる。
壁、梁(はり)、柱などの部材に、斜めや X状のひび割れ・亀裂がみられることがある。
壁、梁(はり)、柱などの部材に、ひび割れ・亀裂が多くなる。
壁などに大きなひび割れ・亀裂が入るものが多くなる。
壁などにひび割れ・亀裂がみられることがある。6強
瓦が落下したり、建物が傾いたりすることがある。倒れるものもある。
壁などに大きなひび割れ・亀裂が入ることがある。
壁、梁(はり)、柱などの部材に、ひび割れ・亀裂が多くなる。
壁、梁(はり)、柱などの部材に、ひび割れ・亀裂が入ることがあ
る。
壁などのひび割れ・亀裂が多くなる。
壁などに軽微なひび割れ・亀裂がみられることがある。6弱
壁、梁(はり)、柱などの部材に、ひび割れ・亀裂が入ることがある。
-壁などにひび割れ・亀裂がみられることがある。
-5強
--壁などに軽微なひび割れ・亀裂がみられることがある。
-5弱
耐震性が低い耐震性が高い耐震性が低い耐震性が高い
鉄筋コンクリート造建物木造建物(住宅)震度階級
気象庁震度階級関連解説表ー3
平成21年3月31日改定
地震管制装置付きのエレベーターは、震度5弱程度以上の揺れがあった場合、安全のため自動停止する。運転再開には、安全確認などのため、時間がかかることがある。エレベーターの停止
地震災害の発生時、揺れの強い地域やその周辺の地域において、電話・インターネット等による安否確認、見舞い、問合せが増加し、電話等がつながりにくい状況(ふくそう)が起こることがある。そのための対策として、震度6弱程度以上の揺れがあった地震などの災害の発生時に、通信事業者により災害用伝言ダイヤルや災害用伝言板などの提供が行われる。
電話等通信の障害
高速道路の規制等
震度4程度以上の揺れがあった場合には、鉄道、高速道路などで、安全確認のため、運転見合わせ、速度規制、通行規制が、各事業者の判断によって行われる。(安全確認のための基準は、事業者や地域によって異なる。)
鉄道の停止、
震度5弱程度以上の揺れがあった地域では、断水、停電が発生することがある※。断水、停電の発生
さらに揺れが強い場合には、安全のため地域ブロック単位でガス供給が止まることがある※。
安全装置のあるガスメーター(マイコンメーター)では震度5弱程度以上の揺れで遮断装置が作動し、ガスの供給を停止する。
ガス供給の停止
日本の震度観測点
震度観測点
気象庁観測点(約620点)
地方公共団体の観測点(約3200点)
防災科学技術研究所の観測点(約1000点)
気象庁HPより
JMA柏崎市 K-Net柏崎
関東地方の震度観測点
地震観測の重要性
震源の決定
震度(揺れの強さ)の把握
津波の予報
理学・工学分野における研究
地震が起きた後にテレビをつける。
震源や震度が即時に報道される。
これは当たり前のようで、全然当たり前ではない。
日本が国を挙げて地震観測を行っているから出来ること。
「E.地震観測」のまとめ
日本は地震国であるため、様々な用途の地震計を高密度に配置し、観測している。
これだけ高密度に観測を実施しているのは日本だけ
このような観測体制は、兵庫県南部地震以降に多くが整備された。
防災行動や各種研究に役立てられている。
「F.緊急地震速報」のまとめ
緊急地震速報は画期的なシステム
メキシコなどで地震警報の実績はある。国をあげての大規模なシステムは世界的にみても「緊急地震速報」ぐらい
活用:この情報を利用して多くの減災行動に役立つ
課題:課題を認識して使う必要性
直下の地震に対応できない
推定精度に限界がある