海外電力インフラプロジェクト向け ファイナンスに...

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海外電力インフラプロジェクト向け ファイナンスについて 2017年2月6日 株式会社国際協力銀行(JBIC) インフラ・環境ファイナンス部門 電力・新エネルギー第1部 佐々木 資料8

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海外電力インフラプロジェクト向け ファイナンスについて

2017年2月6日

株式会社国際協力銀行(JBIC)

インフラ・環境ファイナンス部門

電力・新エネルギー第1部 佐々木

資料8

1.電力プロジェクト主要当事者

2.プロジェクトファイナンスの融資までの流れ

3.プロジェクト・リスク

4.主要リスク・コントロール

ご参考資料

目 次

スポンサー

(日本企業)

スポンサー

(日本企業)

スポンサー

(外国企業)

スポンサー

(現地企業)

EPCコントラクター サブコン

サブコン

国際民間銀行団 地場民間銀行団

JBIC ECAs 国際機関(IFC,ADB等)

ホスト国政府等

出資等 プロジェクトファイナンス

オフテーカー プロジェクト会社

(借入人)

事業権契約・許認可等

電力供給契約

EPC契約

燃料供給者

オペレーター

1.電力プロジェクト主要当事者

3

操業・保守契約

燃料供給契約

(「プロジェクトファイナンスのご案内」P8-9))

4

2.プロジェクトファイナンスの融資までの流れ

プロジェクト・リスク

ポリティカル・リスク フォース・マジュール・リスク コマ―シャル・リスク

(act of God riskあるいはnatural force majeure risk)

外為取引リスク

法制・許認可変更リスク

収用・接収・国有化リスク

政府・政府機関による

義務履行違反リスク

ストライキ・内乱・暴動・テロリスク

戦争リスク

地震リスク

落雷リスク

火災リスク

津波リスク

台風リスク

洪水リスク

噴火リスク

地滑りリスク

陥没リスク

疾病リスク

汚染リスク

スポンサー・リスク

(資金調達リスク)

完工リスク

技術リスク

操業リスク

燃料供給リスク

関連インフラ・リスク

売電リスク

環境・社会リスク

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3.プロジェクト・リスク

3-1.ポリティカル・リスク(1)

(1)外為取引リスク

ホスト国政府・中央銀行により外国為替取引が規制されるリスク

(2)法制・許認可変更リスク

ホスト国政府・政府機関が、プロジェクトに関連する法制やいったん出した許認可の内容を変更したり、取り消したりするリスク

(3)収用・接収・国有化リスク

ホスト国政府・政府機関によりプロジェクトが国家資産として取り上げられてしまうリスク

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3-1.ポリティカル・リスク(2)

(4)政府・政府機関による契約義務履行違反リスク

ホスト国政府・政府機関が契約義務履行を履行しないリスク

(5)ストライキ・内乱・暴動・テロリスク

ホスト国におけるストライキや内乱あるいは暴動やテロがプロジェクトに直接・間接に及ぶリスク。

(6)戦争リスク

ホスト国と他国若しくは近隣地域が戦争状態となるリスク

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3-2.フォースマジュールリスク

Acts of Godと称される天災に代表される不可抗力事態がプロジェクトに及ぼすリスク

地震、落雷、火災、津波、台風、洪水、噴火、地滑り、陥没、疫病、汚染等がこれに該当する

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3-3.コマーシャル・リスク(1)

(1)スポンサー・リスク

スポンサーのプロジェクト遂行能力に関するリスク

(2)完工リスク

プロジェクトが当初予定した期日内あるいは予算内に完成しなかったり、完成しても求められる能力に達しないリスク

(3)技術リスク

採用する技術が不適切で、当初の計画どおりにプロジェクトが稼動しないリスク

(4)操業リスク

プロジェクトの操業につき、プロジェクト会社あるいはスポンサーが必要な能力・経験を有しない結果、操業が不可能になったり、操業率が低下するリスク

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3-3. コマーシャル・リスク(2)

(5)燃料供給リスク

当初想定した操業に十分な燃料が確保できないリスク

(6)売電リスク

発電した電力を、必要なキャッシュフローを生み出すのに十分な量・価格で販売できないリスク

(7)関連インフラ、ユーティリティ・リスク

プロジェクトが必要とするインフラストラクチャーが得られないリスク

(8)環境・社会リスク

プロジェクトがホスト国の自然・社会環境に悪影響を及ぼすリスク

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4.主要リスク・コントロール(1)

主要リスク 精査項目 主要リスク・コントロール策

1.ポリティカル・リスク

プロジェクトに掛かる外国為替規制、法制・許認可変更、収用・接収・国有化、ストライキ、内乱、戦争、政府機関の契約義務履行違反

・相手国政府・政府機関からプロジェクト認知・協力・支援の取り付け(「ソブリン・フック」)

・公的金融機関によるリスク・カバー

・ポリティカル・リスク保険等の損害保険

・オフショア・エスクロー・アカウント

2.自然災害

プロジェクトでの事故や火災・地震・台風等の災害

・実績かつ信用力のある国際的損害保険会社による付保(場合によっては、これら保険会社への再保険付与)

3.スポンサー プロジェクト遂行(含、スポンサー・サポート実施)能力

・実績かつ信用力あるプロジェクト・スポンサーの参画

・銀行等による信用補完や出資金の融資前払込み(Equity First)

・出資割合維持やプロジェクト放棄禁止等の約定

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4.主要リスク・コントロール(2)

主要リスク 精査項目 主要リスク・コントロール策

4.プラント完工 期日・予算内および求められる能力でのプロジェクト完成(物理的な完工/操業面での完工/財務面での完工)

・実績かつ信用力のあるEPCコントラクターの一括責任に基づく請負

・lump-sum、fixed price、date-certain、full-turn-

keyのEPC契約と十分な機器保証や損害賠償

・スポンサーによる完工保証あるいはコスト・オーバーラン・サポート

・損害保険の付保

5.プラント技術 長期安定操業が可能なプラント技術

・商業運転実績のある実証済み技術(proven

technology)の採用

6.操業 長期安定的な操業体制 ・操業経験のあるスポンサーの参画/第3者への委託、専門家による計画の妥当性検証等

7.燃料供給 長期安定操業が可能な燃料供給 ・ホスト国政府・政府機関や第三者専門家による燃料供給能力の確認

8.売電 発電した電力の長期安定的な販売 ・融資期間をカバーする長期契約、スポンサーによる引取保証等

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4.主要リスク・コントロール(3)

主要リスク 精査項目 主要リスク・コントロール策

9.関連インフラ、ユーティリティ

長期安定操業に必要な関連インフラ、ユーティリティ(送配電設備等)

・関連インフラ(送電線整備等)の政府・政府機関による整備義務の確保

10.環境・社会 自然・社会環境に対する影響 ・環境影響評価の実施および環境許認可の取得等を通じた現地環境基準の遵守確認

・国際開発金融機関や各国制度金融機関といった公的金融機関の環境ガイドラインあるいは民間銀行の「赤道原則」の様な国際的環境基準の遵守確認

・(ホスト国政府やプロジェクト会社による)現地住民等のステーク・ホルダーとの調整枠組み構築

11.(主として上記諸リスク発生に起因する)キャッシュフロー変動

借入金返済や配当を可能とする長期安定的なキャッシュフロー創出

・キャッシュフローモデルを用いた感度分析による精査。平均DSCR、最低DSCR 、LLCR

・資金不足(cash deficiency)時のスポンサー・サポートの確保

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参考.日本のインフラ受注は海外競合に劣勢①

今後、100万人以上の都市は新興国を中心に増大し、旺盛なインフラ需要が発生する見込みだが、インフラ受注において日本は各地域で海外勢との競合に劣勢な状況。

出所:経済産業省 通商白書

参考.日本のインフラ受注は海外競合に劣勢②

分野別の海外インフラ受注においても日本は海外勢と比べて劣勢な状況。

出所:ENR「Top 225 International Contractor 2011」

参考.質の高いインフラの海外展開の支援①

質の高いインフラ展開推進の動き

参考.質の高いインフラの海外展開の支援②

「質の高いインフラ輸出拡大イニシアティブ」 -2016年5月23日発表

参考.質の高いインフラの海外展開の支援③

株式会社国際協力銀行法・改正法の概要

① 特別業務

•リスク・テイク機能強化のため、リスクを伴う海外インフラ事業向けの投融資を行う「特別業務」を開始。

② 外国通貨長期借入

•外国通貨の長期借入も活用し、途上国インフラ事業で需要が大きい現地通貨建ての融資等を促進。

③ 支援手法の多様化

•海外インフラ事業に係る国内銀行向けツー・ステップ・ローン

•海外インフラ事業に係る社債等(プロジェクトボンド)取得

•日系現地法人等の海外における製品等の販売支援(ローカル・バイヤーズ・クレジット)

•国産設備の海外向けリース事業支援

•イスラム金融

ご清聴ありがとうございました。

【免責事項】 当資料に記載されているデータ、意見などは国際協力銀行が信頼に足り、且つ正確であると判断した情報に基づき作成されたものではありますが、国際協力銀行はその正確性、確実性を保証するものではありません。また、ここに記載された内容は、事前連絡なしに変更されることがあります。当資料に記載された条件等はあくまでも仮定的なものであり、かかる取引に関するリスクを全て特定・示唆するものではありません。また、貴行/御社決算・税務申告あるいは第三者への報告・情報開示の目的等に利用されることを想定したものではありません。投資及び取組みの最終決定に際しましては、貴行/御社ご自身の判断でなされますよう、また必要に応じ貴行/御社の顧問弁護士、顧問会計士等にご相談の上でお取り扱い下さいますようお願い申し上げます。尚、当資料の著作権は国際協力銀行に属し、その目的を問わず無断で引用または複製することを禁じます。