教育工学をはじめよう~解説2~...

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教育工学をはじめよう解説2 研究方法についての解説 ソフトウェア ソフトウェア ソフトウェア ソフトウェア情報学部 情報学部 情報学部 情報学部3 3年 鈴研究室 鈴研究室 鈴研究室 鈴研究室 0312003050 0312003050 0312003050 0312003050: :菊池 菊池 菊池 菊池 0312003116 0312003116 0312003116 0312003116: :西崎人 西崎人 西崎人 西崎人 0312003063 0312003063 0312003063 0312003063: :皀

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教育工学をはじめよう~解説2~研究方法についての解説

ソフトウェアソフトウェアソフトウェアソフトウェア情報学部情報学部情報学部情報学部3333年年年年 鈴木研究室鈴木研究室鈴木研究室鈴木研究室

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実験計画法と準実験計画法(1)

・・・・実験計画法実験計画法実験計画法実験計画法((((experimental design))))

-2つ以上の条件(グループ)に実験参加者(被験者)をランダムに割り当てて実験する。ここで、グループ間に差が生じた場合実験条件の違いに原因があること(因果関係)を主張するための研究方法。

-事前事後テスト・統制群法、ソロモンの4群法、事後テストのみの統制群法の

3つの基本形がある。

・・・・準実験計画法準実験計画法準実験計画法準実験計画法((((quasi experimental design))))

-ランダム割付ができない場合や、実践の時期をそろえられない場合、また

統制群が設けられない場合など実験的な厳密な計画ができないときに採用できる計画法。

-時系列実験法、非ランダム統制群法、順序効果相殺法、循環的実験法の

4つの基本形がある。

実験計画法と準実験計画法(2)

・教育工学の研究では、常に教育方法の「最適な選択肢」を模索している。

・「2つ以の方法を比べたとき、結果を出すにはどちらがよいのか?」という研究課題を追求することになる。

・しかし、どの場合においても優れている方法を見つけるのは困難。したがって、条件を限定するのが普通である。

・生身の人間(とりわけ子供)を対象にしているので、A方法のよさを確かめるために、それよりも不利な方法Bで学習させるグループを置くことは問題がある。

・クラス単位の研究では実験参加者をランダムにAとBに分けることは難しい。

・違う方法で学習していると気づかせずにランダムに割り付けることが可能。

実験計画法(1)事前事後テスト・統制群法

・比較のために設けるグループ(統制群)と対象となる方法のグループ(実験群)に参加者をランダムに割り付ける。

・事前テストで2つのグループ間に差が無いことを確認し、事後テストで差が生じたことを確かめる。

・事前テストと事後テストの両方にt検定を2回行う。

R O1 X O3

R O2 O4

この図では、実験(X)をする実験群としない実験群(無印)で表記されている。

実験的計画法(2)ソロモンの4群法

・事前事後テスト・統制群法では、2つの群ともに事前テストを行ったため、結果が実験の成果だけでなく、事前テストを行ったためという解釈が消しきれなかった。

・事前事後テスト・統制群法の2グループに、事前テストを実施しない2グループを加えて、4グループを比較する。

R O1 X O2R O3 O4

R X O5R O6

O2とO5、そしてO4とO6に差が無いことが確認できれば、事前テストによる効果は無かったことが分かる。

実験的計画法(3)事後テストのみの統制群法

・事前テストを行えない場合に実施する。

・ランダム割付をしたことだけで実験群と統制群が同質であるとの仮定に基づき、事前テストを省略した実験計画法。

・教育研究では、新しいことを習う前に事前テストを行うことは、特に子供の場合、実験に悪い影響を及ぼす場合もある。

R X O1

R O2

O1とO2をt検定で分析し、差があるかどうかを確認する。この方法では、事前テスト以前のデータを事前テストの変わりに採用し、共分散分析を用いる方法も推奨されている。

準実験計画法(1)時系列実験法

・何回かのテストうぃ事前と事後に行い、実験の時にだけ変化が生じ、その他の時は変化が生じない(あるいは、実験後に実験の効果が持続した)ことを確かめる方法。

・統制群を置かないため、実験以外の何かが原因で変化が生じたという可能性を除去できない。

O1 O2 O3 O4 X O5 O6 O7 O8

準実験計画法(2)非ランダム統制群法

・事前事後テスト・統制群法からランダム割付をはずして既存のグループで行う事前事後テスト・統制群法。

・事前テストの成績に差が無いことを確認し、それをもとにして、実験の効果を比較することで主張する。

・事前テスト以外の要因によって事後テストの成績が影響を受けている可能性あることに注意が必要である。

O1 X O2-----------------O3 O4

点線はグループ間の統制がランダム割付によって保障されていないことを示している。

準実験計画法(3)順序効果相殺法

・全ての実験を全ての参加者が受けるときに、実験の順序による効果を相殺するために既存のグループごとに順序を変えて実施する方法。

X1O X2O X3O X4O----------------------------------X2O X3O X4O X1O----------------------------------X3O X4O X1O X2O----------------------------------X4O X1O X2O X3O

4種類の実験(X1~X4)があり、4つのグループごとに順序を規則的に割り当てた場合を示している。この方法で、どの実験が一番効果的かを知ることができる。ランダム割付を行えばより精密な結果を得ることが可能。

準実験計画法(4)循環的計画法

・あるクラスで実施した教育方法の成果を事後テストのみで確かめることから開始した研究を、時期をずらして他のクラスでフォローアップすることで準実験計画に整えて行く方法。

・フォローアップでは・・・-最初のクラスと同時に事前テストを実施。

-実験ありと実験なしをt検定で統合的に比較する。

-フォローアップで実施した事後テストを事前テストをt検定(対応あり)で比較する。

-2つの比較で同じ傾向が見られれば、実験の成果が確認できたとする。

X O1

------------------O2 X O3

この方法は、単独では準実験計画法に値しないとみなされる方法である。

実験計画法と準実験計画法

・これらの方法は、事後に生じた差が本当に実験条件の差によるものであってそれ以外ではないこと(実験とその結果に因果関係があること)を確実に主張するための方法として用いられてきた。

・しかし、実験計画が不備であると「実験結果で得られた有意差は実験以外のなんらかの原因によるものかもしれない」という疑念を退けることができない。

・原因には次の8つがある。(1)できごと (2)時間経過 (3)テスト慣れ (4)道具立て(5)統計的回帰 (6)選択 (7)淘汰 (8)これらの要因の交互作用

・実験自体の組み立て方次第では、日常的な場面で同様な結果が得られるかもしれない実験計画法では、このような疑念(外的妥当性)についても検討が加えられている。

1事例の実験デザイン

実験群と統制群を設けて効果を比較する

現場現場現場現場ではではではでは不可能不可能不可能不可能なことがなことがなことがなことが多多多多いいいい

1つの実験に注目して実験デザインを組み、因果関係を検証する。

独立変数と従属変数、ベースライン

� 実験的研究では、独立変数を操作し、従属変数がどのように影響を受けるかを明らかにする

� ベースラインと新しい条件を導入したものの従属変数を比較する。その時基準値になるものがベースライン。

ABデザイン

� ベースライン(A)と新しい条件を導入したもの(B)を比較し検証する最も基本的なもの

� 条件と従属変数の因果関係を仮定することができるが制御できない変数が入っている可能性を否定できない。

A ベースライン B 指導

セッション

従属変数

逆転デザイン(ABABデザイン)

� 制御できない変数の影響を排除できる

� 因果関係を検証するのに強力

� 時間的がかかる

� 学習行動には非可逆的なものが多く適さない場合が多い

A ベースライン B 指導

セッション

従属変数

A ベースライン B 指導

マルチベースライン・デザイン

� 逆転デザインが使えない場合有効

� 複数のベースラインを用いることによって妥当性を高めることができる

従属変数

セッション

A ベースライン B 指導

A ベースライン B 指導

B 指導A ベースライン

操作交代デザイン

� 複数の独立変数と単一の従属変数を扱うときに用いる

� 条件による従属変数の差が目で確認できる。

A B C A C B B A C

環境変数

セッション

質的研究法

哲学 ・ 人類学 ・ 社会学 ・ 心理学 etc を起源とする研究法

量的研究法 情報を数量化し分析を行う研究法

質的研究法数量化によらず物事を質的に分析し真実を知ろうとする研究法

対 峙

質的研究法は

主観を排さず,質的なデータを,対象となる事象

に即した形で,経験科学的に分析し,実証性を主

たる目的としない(非実証的・脱実証的)ようなア

プローチであるとその性格を特徴づけることがで

きる。

質的研究法の性格

このため・・・

研究法の標準化が困難であるという問題点がある

質的なデータ①

● 個人的ドキュメント

● 社会や集団で流通しているドキュメントや資料

● 参与観察から得られた記録

● 行動観察の記録

● 会話記録

質的なデータの例

※ 最近ではビデオデータそのものも質的データに含まれる

質的なデータと量的なデータの境界線は曖昧であり,質的なデータと量的なデータの区別はデータそのものにあるのではなく,その分析手法自信にあると見ることができる。

質的なデータ②

質的なデータは,データを処理する場面だけではなく,それが生み出された状況や集められる場面においても,研究者や参加者の内容解読が関わらざるを得ないという性格を持つ。

しかし,このような性格は量的なデータの中でもつきまとう。

このことから

質的研究法における5つの流れ①

クレスウエルによれば質的な研究法には5つの流れがある

● 個人誌的方法

● 現象学的方法

● グラウンデッド・セオリー的方法

● 民俗誌的方法

● ケース・スタディ

質的研究法における5つの流れ②

5つの研究法を中心的な観点で整理すると以下のようになる

ポートレート作り個人

文化的な集団

ケース

概念や現象

理論

中心的中心的中心的中心的なななな関心関心関心関心

ケース研究

現象学的研究

グラウンデッド・セオリー

研究方法名研究方法名研究方法名研究方法名

個人誌的研究

民俗誌的研究

参考文献

http://www.okayama-u.ac.jp/user/le/psycho/member/hase/education/2000/_0seminar/single2/single2.html

http://www.aichi-gakuin.ac.jp/~chino/anova/chapter1/sec1-

8.html

関口研究室 数学教育のための質的研究法講座<http://web.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~ysekigch/qualmtd.html>(2005/10/12 アクセス)

健康文化インターネット版28号(2000年10月発行)中木 高夫 「研究は研究者コミュニティに納得してもらわないと…… 」<http://www.kenkobunka.jp/kenbun/kb28/nakaki28.html>(2005/10/12 アクセス)