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Eliane Pagels, Adam, Eve, and Serpent その2: 第一章前半 2009年度大学院講義 後期 鈴木繁夫

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Eliane Pagels, Adam, Eve, and Serpent

その2:第一章前半2009年度大学院講義後期

鈴木繁夫

イエス時代の宗教状況

– ユダヤはローマ帝国支配下

• ユダヤ人はローマ人の臣下、傀儡ヘロデ王による統治

• 民衆による政権への不満(異教の風習を導入)

• 民衆による神殿への不満(大祭司たちの異教迎合)

– 神殿への反対運動

– パリサイ派、エッセネ派

– 「ユダヤ教の伝統のなかで何が本質的か?」

– イエスの出現

– 犠牲、回心、新たな時代への準備➜山上の垂訓(ルカ:6:20-25)

ユダヤ戦争(66-73年)

– エルサレム神殿炎上、マサダ陥落

– パリサイ派による律法遵守• →祭司・犠牲獣・神殿に代わるラビ・祈り・シナゴーグ

– 「イエス派」による真・新イスラエル運動

– →外面的規範(割礼・コーシャ)は破棄。「内的ユダヤ人」• 「(28)外見上のユダヤ人がユダヤ人ではなく、また、肉に施された外見上の割礼が割礼ではありません。(29)内面がユダヤ人である者こそユダヤ人であり、文字ではなく“霊”によって心に施された割礼こそ割礼なのです。その誉れは人からではなく、神から来るのです。」(「ローマ書」2:28-29)

• 峻厳な道徳的実践

イエス派による創造譚解釈

– イエスによる創造譚言及:ただの一度だけ– 追随者による解釈:イエス派が広範囲な地域に拡散する• イエスの霊的教えを日常生活の実践項目とする• 例 性的抑制• 領域 結婚・家族・生殖・独身・人間性

– コンスタンチヌス帝によるイエス派(キリスト教)公認

– 問題点• 当時のキリスト教道徳は、当時の道徳から見て異様• 当時のキリスト教道徳を、なぜ現代人(20世紀初頭)は当然のこととして受け入れているか

キリスト教の道徳はローマの性に反対

– (1)売買春の法制化

– (2)離婚容認

– (3)同性関係の容認

– (4)間引き・捨て子の容認

– キリスト教徒は回心して、これらをすべて棄てた

キリスト教の道徳はユダヤ教の生殖観に反対

– (1)一夫多妻・離婚はOK

– (2)セックスは子孫生産• 「(15)主の御使いは、再び天からアブラハムに呼びかけた。

(16)御使いは言った。「わたしは自らにかけて誓う、と主は言われる。あなたがこの事を行い、自分の独り子である息子すら惜しまなかったので、(17)あなたを豊かに祝福し、あなたの子孫を天の星のように、海辺の砂のように増やそう。あなたの子孫は敵の城門を勝ち取る。(18)地上の諸国民はすべて、あなたの子孫によって祝福を得る。あなたがわたしの声に聞き従ったからである。」」(創世記22章)

– (3)売買春・同性関係の否認– (4)間引き・捨て子の否認

ユダヤ教による創造譚の普遍化

– 野蛮で奇妙なのではなく宇宙の普遍的価値の体現

– 『ヨベルの書』による解説

– ラビによる解釈

• 「「ついに、これこそ/わたしの骨の骨/わたしの肉の肉。/これをこそ、女(イシャー)と呼ぼう/まさに、男(イシュ)から取られたものだから。」/(24)こういうわけで、男は父母を離れて女と結ばれ、二人は一体となる。」(創世記2:23-

24)

• 男は妻と結婚してはならない

• 男は自分の両親の親族と結婚してはならない

• 男は他人の妻、男性、動物と結婚してはならない

イエスによる創造譚の再解釈化

– 離婚はいかなる理由でも不可• 「(1)イエスはこれらの言葉を語り終えると、ガリラヤを去り、ヨルダン川の向こう側のユダヤ地方に行かれた。(2)大勢の群衆が従った。イエスはそこで人々の病気をいやされた。(3)ファリサイ派の人々が近寄り、イエスを試そうとして、「何か理由があれば、夫が妻を離縁することは、律法に適っているでしょうか」と言った。(4)イエスはお答えになった。「あなたたちは読んだことがないのか。創造主は初めから人を男と女とにお造りになった。」(5)そして、こうも言われた。「それゆえ、人は父母を離れてその妻と結ばれ、二人は一体となる。(6)だから、二人はもはや別々ではなく、一体である。従って、神が結び合わせてくださったものを、人は離してはならない。」」(「マタイ福音書」19:4-6)

– ラビによる解釈

– シャンマイ派:不倫は離婚事由 ヒレル派:夫が気に入らないなら、離婚可

– 独身の優越• 「(10)弟子たちは、「夫婦の間柄がそんなものなら、妻を迎えない方がましです」と言った。(11)イエスは言われた。「だれもがこの言葉を受け入れるのではなく、恵まれた者だけである。(12)結婚できないように生まれついた者、人から結婚できないようにされた者もいるが、天の国のために結婚しない者もいる。これを受け入れることのできる人は受け入れなさい。」(「マタイ福音書」19:10-12)→「ルカ福音書」20:34-36

イエスの新時代感覚

– 新時代の王国への徹底した忠誠→家族・国家への忠誠破棄• 「(49)「わたしが来たのは、地上に火を投ずるためである。その火が既に燃えていたらと、どんなに願っていることか。(50)しかし、わたしには受けねばならない洗礼がある。それが終わるまで、わたしはどんなに苦しむことだろう。(51)あなたがたは、わたしが地上に平和をもたらすために来たと思うのか。そうではない。言っておくが、むしろ分裂だ。(52)今から後、一つの家に五人いるならば、三人は二人と、二人は三人と対立して分かれるからである。(53)父は子と、子は父と、/母は娘と、娘は母と、/しゅうとめは嫁と、嫁はしゅうとめと、/対立して分かれる。」(「ルカ福音書」12:49-53)

– 結婚と生殖を否定し自発的に独身を選ぶ

パウロの新時代感覚

– 性的行為をすべて絶つ→主と霊において一体になる• 「第一コリント書」7:1-35→「第一コリント書」6:16-17

– 結婚しない→外的なことへの関心や不安にとらわれない手段• 「第一コリント書」7:29; 35

– 独身への「命令」• 「 (2)あなたがたに対して、神が抱いておられる熱い思いをわたしも抱いています。なぜなら、わたしはあなたがたを純潔な処女として一人の夫と婚約させた、つまりキリストに献げたからです。(3)ただ、エバが蛇の悪だくみで欺かれたように、あなたがたの思いが汚されて、キリストに対する真心と純潔とからそれてしまうのではないかと心配しています。」(「第二コリント書」11:2-3)

テクラ 『パウロとテクラの行伝』 とミグドニア『トマス行伝』

• 処女を守る→家族の抑圧、社会からの疎外、拷問・レイプ・処刑

• 純潔によってアダム・エバの原罪を無効にする

純潔非重視派

– キリスト教徒は結婚する→合法的生殖以外のことはやらない

– 貞潔を守ることを誇るのは傲慢– イエスの峻厳なメッセージをトーンダウンさせるマタイの手法• 「(9)言っておくが、不法な結婚でもないMhepi porneia.のに妻を離縁して、他の女を妻にする者は、姦通の罪を犯すことになる。」(「マタイ福音書」19:9)→10:37

– パウロの偽書を作成してトーンダウンを計る→「飼い慣らされたパウロ」• 第一・二テモテ書、テトス書、エフェソ書、コロサイ書、第二テサロニケ書

• 禁欲は、とくに悪霊に取り憑かれた人々へのメッセージ。• 禁欲は、たぶらかす者による手段→アンチ・テクラ