岐阜県共通統計情報利用システム - hitachi ·...

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特集 高度情報社会を支える公共情報システム U.D.C.る馴.324.078:0引.占る:〔311.313 岐阜県共通統計情報利用システム GifリーKenReferenceNetworkSYStemOfCommonStatisticalData 行政ニーズの多様化,高度化に対応するため,行政情報データベースの必要 性が各所で論議されている。岐阜県でも「岐阜県第四次総合計画+で策定され た行政情報システムの整備計画に基づき,岐阜県行政情報紙合利用システム(仮 称)の開発が進められている。この構想は昭和56年度に策定され,昭和57年度か ら昭和70年度までの期間を三次に分けて計画されている。このほど,行政情報 総合利用システムの第一段階としての「第一次データベース開発5か年計画+ が終了したが,蓄積するデータが統計数値であることから「共通統計情報利用 システム+,愛称「みどり+(GREEN:岐阜県のイメージカラー,第四次総合計 画の「みどりの連帯社会+を連想)と定めて,昭和62年4月から本稼動に入った。 本論文では,このシステムを中心に行政情報総合利用システムの概要につい て,その開発の目的,開発の基本方針,システムの特長,ハードウェア・ソフ トウェアの構成及び機能,出力例につき以下に述べる。 n 我が国の行政機関でのコンピュータの利用は昭和35年代に 始まり,その後各自治体は行政事務処理の効率化,行政サー ビスの向上を図るため,各種情報処理システムの構築及びそ の高度化に積極的に取り組んできた。その結果,昭和61年4 月現在,都道府県でのコンピュータ利用率は100%,自己導入 台数は1,053台に達している(自治大臣官房情報管理官重 子計算機の利用状況調査)。給与,自動車税,指定統計などの 基幹的業務には100%適用されており,ローカルパーソナル 領域と,戦略的意思決定領域の両方向にコンピュータの適用 領域が広げられつつある。前者はOA(OfficeAutomation), 後者はDSS(DecisionSupportSystem:意思決定支援システ ム)として,各県で注目を浴びている。このような状況下にあ って岐阜県では,DSSの必要性をいちはやくとらえ,昭和57 年度から行政情報総合利用システムの調査研究を開始し,そ の第一次実施計画として共通統計データベースを開発し,昭 和62年4月から利用を開始した。本論文では,共通統計情報 利用システムを中心に述べる。 行政情報総合利用システムの開発 岐阜県行政情報総合利用システムは,行政施策の立案・評 価の基礎となる数値情報(統計データなど),文字情報(法令, 議事録など)を利用する,全庁的な計画策定支援システムの総 称である。 行政情報総合利用システムの構想では,データベースはフ ァクトデータベースと文献データベースから構成されている。 *岐阜県企何部統計課 **77コム・ハイタリグ株式会社 ノーl島英司* 山藤 食** 石山佳夫** 高森 信** E材ど肋甜おゐ才〝昭 了Ⅵγ加5α叩J∂ y∂Sぁわ ムぁわ昭桝α A九‡丘0わ 7セムαタカ0γオ ファクトデータベースには統計データ,法令,議事録,地図, 設計図など,直接検索対象となる一次情報を蓄積することと している。情報の種類としては数値・文字・図形の3種類の 情報を対象としている。文献データベースには文献抄録,図 書目録などの二次情報を蓄積することとしている。このうち, 共通情報統計利用システムでは,ファクトデータベースの統 計データだけを対象としている。 図1に行政情報総合利用システムのイメージを示す。共通 統計情報利用システムは,その中で中核となる共通的な統計 情報をデータベースとしたサブシステムである。 2.一 関発の目的 情報処理機器の急速な進歩,コンピュータ利用技術の発展 により,情報の検索や検索データを使っての数値予測・シミ ュレーションを,短時間に行うことが実用レベルでも可能に なった。 岐阜県では,有用な統計情報を庁内各部門に提供するため, 客観的データに基づいた多角的なシミュレーションや分析を 行い,その結果と政策とを直結させ,より高度で科学的な行 政運営を行うことを目標とし,支援システムを開発すること とした。 開発の目的は以下に述べるとおr)である。 (1)客観的データの提供 各部門で共通に利用されるはん(汎)用性の高い統計データ を一元的に管理し,提供する。 45

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  • 特集 高度情報社会を支える公共情報システム U.D.C.る馴.324.078:0引.占る:〔311.313:353・078・る〕

    岐阜県共通統計情報利用システムGifリーKenReferenceNetworkSYStemOfCommonStatisticalData

    行政ニーズの多様化,高度化に対応するため,行政情報データベースの必要

    性が各所で論議されている。岐阜県でも「岐阜県第四次総合計画+で策定され

    た行政情報システムの整備計画に基づき,岐阜県行政情報紙合利用システム(仮

    称)の開発が進められている。この構想は昭和56年度に策定され,昭和57年度か

    ら昭和70年度までの期間を三次に分けて計画されている。このほど,行政情報

    総合利用システムの第一段階としての「第一次データベース開発5か年計画+

    が終了したが,蓄積するデータが統計数値であることから「共通統計情報利用

    システム+,愛称「みどり+(GREEN:岐阜県のイメージカラー,第四次総合計

    画の「みどりの連帯社会+を連想)と定めて,昭和62年4月から本稼動に入った。

    本論文では,このシステムを中心に行政情報総合利用システムの概要につい

    て,その開発の目的,開発の基本方針,システムの特長,ハードウェア・ソフ

    トウェアの構成及び機能,出力例につき以下に述べる。

    n 緒 言

    我が国の行政機関でのコンピュータの利用は昭和35年代に

    始まり,その後各自治体は行政事務処理の効率化,行政サー

    ビスの向上を図るため,各種情報処理システムの構築及びそ

    の高度化に積極的に取り組んできた。その結果,昭和61年4

    月現在,都道府県でのコンピュータ利用率は100%,自己導入

    台数は1,053台に達している(自治大臣官房情報管理官重 電

    子計算機の利用状況調査)。給与,自動車税,指定統計などの

    基幹的業務には100%適用されており,ローカルパーソナル

    領域と,戦略的意思決定領域の両方向にコンピュータの適用

    領域が広げられつつある。前者はOA(OfficeAutomation),

    後者はDSS(DecisionSupportSystem:意思決定支援システ

    ム)として,各県で注目を浴びている。このような状況下にあ

    って岐阜県では,DSSの必要性をいちはやくとらえ,昭和57

    年度から行政情報総合利用システムの調査研究を開始し,そ

    の第一次実施計画として共通統計データベースを開発し,昭和62年4月から利用を開始した。本論文では,共通統計情報

    利用システムを中心に述べる。

    同 行政情報総合利用システムの開発

    岐阜県行政情報総合利用システムは,行政施策の立案・評

    価の基礎となる数値情報(統計データなど),文字情報(法令,

    議事録など)を利用する,全庁的な計画策定支援システムの総

    称である。

    行政情報総合利用システムの構想では,データベースはフ

    ァクトデータベースと文献データベースから構成されている。

    *岐阜県企何部統計課 **77コム・ハイタリグ株式会社

    ノーl島英司*

    山藤 食**

    石山佳夫**

    高森 信**

    E材ど肋甜おゐ才〝昭

    了Ⅵγ加5α叩J∂

    y∂Sぁわ ムぁわ昭桝α

    A九‡丘0わ 7セムαタカ0γオ

    ファクトデータベースには統計データ,法令,議事録,地図,

    設計図など,直接検索対象となる一次情報を蓄積することと

    している。情報の種類としては数値・文字・図形の3種類の

    情報を対象としている。文献データベースには文献抄録,図

    書目録などの二次情報を蓄積することとしている。このうち,

    共通情報統計利用システムでは,ファクトデータベースの統

    計データだけを対象としている。

    図1に行政情報総合利用システムのイメージを示す。共通

    統計情報利用システムは,その中で中核となる共通的な統計

    情報をデータベースとしたサブシステムである。

    2.一 関発の目的

    情報処理機器の急速な進歩,コンピュータ利用技術の発展

    により,情報の検索や検索データを使っての数値予測・シミ

    ュレーションを,短時間に行うことが実用レベルでも可能になった。

    岐阜県では,有用な統計情報を庁内各部門に提供するため,

    客観的データに基づいた多角的なシミュレーションや分析を

    行い,その結果と政策とを直結させ,より高度で科学的な行

    政運営を行うことを目標とし,支援システムを開発すること

    とした。

    開発の目的は以下に述べるとおr)である。

    (1)客観的データの提供

    各部門で共通に利用されるはん(汎)用性の高い統計データ

    を一元的に管理し,提供する。

    45

  • 440 日立評論 VOL.69 No.5(柑8ト5)

    ′-岐阜県行政情報紙舎利用システムー

    システム開発課コンピュータ

    共通統計情報利用システム

    FDB

    共通統計情 報

    DB

    FDB

    部門別数値情報

    DB

    DB管理システム

    DB

    管理サブシステム

    部門別数値情報利用システム

    DDB

    部門別

    文字情報DB

    DB管理システム

    部門別文字情報利用システム

    部門別図形情報利用システム

    岐阜県行政情報総合利用システム

    管理システム

    恩\1

    慧塾●出先機関●市町村

    県民総合サービス

    センター(仮称)

    庁内他部門コンピュータ

    部門別利用システム

    DB管理システム

    DDB,FDB

    部門別

    文字情報DB

    /

    〔】UDF

    外部DB

    注:略語説明 DB(データベース),FDB(ファクトテ一夕ベース)

    DDB(文献データベース)

    図一 行政情報総合利用システム 行政情報総合利用システム全

    体の概念図を示す。

    (2)データの加工・分析,作表・作図機能の提供

    行政情報のうち特に数値情報は,他のデータと組合せ・加

    工することにより,より有用な情報が生成できる。

    また,種々の施策案を選定するため,社会システムの構成

    単位の因果連鎖をモデル化し,シミュレーションや各種デー

    タの統計的処理を行うことで,より科学的な施策決定のため

    の判断材料を提供することができる。

    本システムでは,最小限の専門的知識でデータ分析が行え

    るデータ加工・分析機能を提供するとともに,ビジュアルな

    データの表現を可能とする作表・作図機能も提供する。

    (3)非定型的なデータ処理とデータ分析の高度化

    データの提供,データ加工機能のきめこまやかな提供によ

    り,施策決定に際しての非定型的なデータ処理に対応できる

    手段を確立し,データ分析の高度化を図る。

    2.2 開発の基本方針

    共通統計情報利用システムの開発に当たっては,以下のこ

    とを基本方針とした。

    (1)蓄積データの選定基準

    データベースに蓄積するデータは,利用部門に対し昭和58

    年に実施した「データベースの需要調査+(以下,「需要調査+

    と言う。)の結果を参考に,次の事項を基準にして選定した。

    46

    (a)共通性

    特定部門だけでなく,他の部門でも活用できるはん用性

    の高いもの。

    (b)反復性

    業務遂行上,繰り返して参照される可能性を持つ利用頻

    度の高いもの。

    (c)継続性

    1回限りでなく,一定の周期で同一の精度で得られる更

    新可能なもの。

    (d)正確性

    調査内容の正確性(精度の高さ)と調査主体の把握の正確

    性(信頼性の高さ)を合わせ持ち,出典が明らかで公表され

    たもの。

    (2)蓄積データの範囲

    地域区分の最小単位は,原則として市町村別(101)とし,県

    別(48)と合わせて計149地域,時系列は最大10期分程度の収集

    を目標とした。

    (3)収録データの体系

    収録データの体系化は,利用の容易さに密接に結びつくた

    め,「需要調査+の結果を参考にしながら検討の上決定した。

    各行政部門の主要業務に対応するデータ項目を選定するとと

    もに,「岐阜県第四次絵合計画+との関連づけを考慮した体系

    とした。

    (4)データ収集体制

    データベースの円滑な運用を図るため,データ管理者など

    を設置した。従来の方法による刊行物の収集に加えて,蓄積

    対象となったデータについてデータ管理者等制度を活用し,

    各部局主管課経由で収集を行うこととした。

    (5)処理方式

    コンピュータに習熟していない利用者にも容易に操作でき

    るようにするため,対話形式を主とし,大量のデータ処理や高

    度な分析を行うためのバッチ処理を従とする併用方式とした。

    (6)開発方式

    開発に当たっては,経済性,開発期間を考慮し,メーカー

    のプログラムプロダクトを積極的に利用した。

    更に,以下の点に留意した。

    (a)機能性

    コンピュータの使用に習熟していない利用者でも容易に

    操作でき,かつ利用者のニーズにこたえられる機能を持た

    せること。

    (b)経済性

    既存の機器やソフトウェアの有効活用,他システムとの

    共同利用など経済性を配慮すること。

    (C)柔軟性

    将来の技術的進歩や利用者のニーズの変化などにも対応

    できるシステムとすること。

    (d)データ保護

    個人のプライバシーや企業秘密などを保護するための十

    分な機能を持つこと。

    (e)性 能

    利用者の思考の流れを中断しない性能を持たせること。

  • 田 共通統計情報利用システムの概要

    共通統計情報利用システムの概要を以下に述べる。

    3.t システム概要

    システムは,データベースにデータを登録・管理するため

    のデータ収錦・蓄積及びデータ管理機能,利用者がデータベ

    ースに蓄積されたデータを利用するための検索・加工機能,並びにシステムの利用者の登録及び利用状況などのシステム

    管理機能の三つの機能から構成されている。

    図2に共通統計情報利用システムの概念を示す。

    3.2 システムの特長

    共通統計情報利用システムの特長を以下に述べる。

    (1)時系列データの正確な比較が可能

    行政施策など各種の計画作りに当たっては,時系列データ

    を参照することがよ〈行われる。しかし,データ蓄積の際,

    調査時点のデータをそのまま入力すると,時系列データの調

    査定義の変更,産業分類,職業分類の改定,市町村の境界変

    更があった場合,同一定義による時系列の比較が不正確とな

    ったり,比較が困難となる。

    このような場合には,原則として定義変更前,変更後の両

    方のデータを入力するか,又は注意書きを付けることとして

    いる。それにより,データの利用者に必要な情報の伝達を行

    い,利用者の注意を喚起するよう配慮している。

    (2)部門別データとの結合が可能

    共通統計情報データベースには,開発の基本方針で述べた

    データの選定基準に従って,各部門間で利用頻度の高い共通

    的なデータが中心に蓄積されている。それ以外の各部門特有

    の要求に対応するため,データの一時登録ファイルのサポー

    トを行い,部門別データとの合成加工を可能としている。

    データ収集・蓄積・管理機能

    行政

    情報

    固データ修正

    [ニコテ一夕ー!覧表

    -データ更新タイミンク、一覧表

    =〉

    ぐコ

    9ップ⇔

    データ収集・蓄積

    データチェック

    データ登録

    データ管理

    データ修正

    データ一覧及びデータ更新タイミング表出カ

    バックアップ・

    リロード

    システム管理機能

    データベース

    システム管理

    0

    岐阜県共通統計情報利用システム 441

    (3)定型業務処理が可能

    施策策定に当たっては,人口の推移,若年層人口構造の比

    較,産業別就業構造などのように,各部門で反復して利用さ

    れる表やグラフがある。このような基本的な124の表やグラフ

    については,作成手順を定型業務としてあらかじめコンピュ

    ータに登録しておき,必要に応じて即時に出力できるようにしている。

    (4)任意の地域区分への変更,都道府県地図の出力が可能

    県内市町村地図の出力のほか,広域市町村圏,地方生活圏,

    行政地域圏などの地域区分への変換を可能とした。また,都

    道府県地図に出力することもできる。

    (5)用途に合わせた出力機器の選択が可能

    大量の表出力には漢字プリンタ,カラーグラフ表示にはカ

    ラーコピー装置,通常の出力には端末70リンタと,用途に合

    わせて3種類の出力機器の選択を可能としている。

    (6)中核ソフトウェアとしてEXCEEDを採用

    データの蓄積,検索,加工,統計処理,作図・作表などの

    機能の実現のために,リレーショナルデータベースの機能を

    持つEXCEED(Executive Management Decision Support

    System)を中核ソフトウェアとしている。更に,高度なシミュ

    レーションを行うために,SIMPLAN(SimulationProgram

    forCorporatePlanning)と連係して効率的なデータベースシ

    ステムの実現を期している。

    3.3 ハードウェア構成

    図3にハードウェア構成を示す。

    3.4 ソフトウェア構成

    図4にソフトウェア構成を示す。

    3.5 データベース構成

    共通統計情報データベースには,既に集計公表された統計

    検索・加工機能 ユーザーインタフェース機 能

    (二転二亘〕問い合わせ検索

    キーワード検索

    一括指定検索

    一時豊吉桑

    ファイル

    データ加工

    解 析

    四則演算集計

    並び替え統計解析

    作図・作表

    15種のグラフ出力

    利用者の登録及び各種利用状況表出力

    国利用者の登録 [当ど]巴]システム利用 エラー状況表 一時登録状況表 データ状況表

    図2 共通統計情報利用システム 共通統計情報利用システムの機能関連を示す。

    定型業務

    メニュー

    選 択

    コマンド選 択

    処理方法の指定結果表示

    ⇔国

    ⇔国

    ⇔醜

    47

  • 442 日立評論 VOL.69 No.5(1987-5)

    HITAC M-240H(16Mバイり

    ll■l■l

    磁気ディスク VOS3

    BTAM

    /

    2020パーソナル

    ワークステーション

    攣HT-442トD2

    \H-6275-PlOH-8172-PlO

    閂H-85g8-22

    漢字プリンタ

    荘ヨ560/20

    マルチワークステーション

    固 HT-5425-QW21D習\

    粟野 蓋羞二項麺プリンタ

    図3 ハードウェア構成 岐阜県共通統計情報利用システムのハー

    ドウェア構成を示す。

    数値を入力することとし,表形式で蓄積している。

    昭和62年度当初データ件数(見込み)を表1に示す。

    データベースは,データテーブルファイル,テーブル属性

    ファイル及びコードファイルの三つから構成されている。デ

    ータテーブルファイルには,統計データが492のテーブル形式

    で整理され,蓄積されている。テーブル属性ファイルは,そ

    のテーブルに関するコメント情報(出典,注釈,地域,調査時

    期)がコードで蓄積されており,コードファイルはそのコード

    の内容を蓄積している。

    図5にデータの構成を示す。

    巴 システムの機能

    共通統計情報利用システムの機能は,図2に示すようにデ

    ータ収集・蓄積,データ管現,システム管理,検索・データ加工・解析,作図・作表の機能から構成されている。その中

    で以下の3機能について述べる。

    4.1データの検索機能

    データの検索機能には,検索するデータベースの範囲を設

    定する機能とデータベースの検索方法を指定する機能がある。

    データベースの範囲の設定方法としては,年次の指定,地

    域の指定などが可能である。データベースの検索方法として

    48

    T10P2

    SIMPLAN

    SIMPLAN/FS

    APL/AF

    APL/GRAPH,APL/BGF,AP+/STAT,AP+/TOO+

    EXCEED

    ユーザーコマンド

    (定型・非定型業務)

    データ入力

    データチェック

    プログラム

    注二⊂ニコは, 開発部分を示す

    略語説明

    VOS3(∨■rtUaトstorageOperatingSystem3)

    BTAM(Bas【CTelecommu川Cal10nSAccessMethod)

    T10P2(TimeShar-ngSystemTerml[alsl叩UtOutputProgram2)

    SIMPJAN(Sim山at10[Program†0rCorporate Plannl〔g)

    SIMPLAN/FS(SIMPしAN/F山IScreen巾utandOutput)

    APし/AF(AProgramm■【gJanguage/Advanced FacllLty)

    APL/GRAPH(AP+/BasicGraphicProgram)

    AP+/BGF(APし/B]SrneSSGraphlCFeat]re)

    APL/STAT(APL/Statistic∂lA【alisisLlbrary)

    EXCEED(Excecut付eMa=agemenlDecis10nS]PPOrt System)

    図4 ソフトウェア構成 岐阜県共通続計情報利用システムのソフ

    トウェア構成を示す。

    表l昭和62年度当初データベースデータ件数 昭和62年度当初

    のデータベース件数及び分類数を示す。

    大 分 類 申分筆頁 小分・類 項目数昭和62年度当初デ

    一夕件数A 人 口 4 19 44 4馴′394

    B 自然・土地 17 36 55 214′121

    C 資源・エネルギー 4 8 14 48.5引D 交通・通信 4 8 12 68′026

    E 教育・文化・余暇 14 59 88 539.392F 生活環境 4 16 22 366′816G 安 全 8 22 46 158′063H 消費生活 3 8 22 40′628l 医療・保健 6 19 42 538′976

    + 社会福祉・保障 9 18 24 t69.253

    K 雇用労働 5 15 24 90l,86t

    L 産 業 ll 45 85 644,594

    M 行財政一般 l 7 13 lll′729

    合 計 90 280 49l 4′203,404

    は,分類及び項目による検索(一括指定,問い合わせ方式の2

    方法がある。),キーワードによる検索が可能である。

    4.2 データ加エ・解析機能

    データ加工・解析機能としては,検索結果の編集加工機能

    と検索結果に対する演算・解析機能がある。

  • テーブル属性ファイル

    テーブル

    テーブル

    検索名

    出典・出所

    コー ド

    注 釈

    コード

    地域登録コ

    ー ド

    調査時点

    コード

    TI

    T2

    TTl

    コードファイル

    出典・出所情報

    コード 情 報

    注釈情報

    コード 情 報

    調査時点情報

    コード 情 報

    岐阜県共通統計情報利用システム 443

    データテーブルファイル

    Tl

    時系列コ

    ード

    地 域

    コード

    時系列コ

    ード

    地 域

    コー ド

    他区分

    コード

    アイテム

    時系列コ

    ード

    地 域

    コード

    アイテム

    図5 データベース構成 共通統計情報データベースはデータテーブルファイル,テーブル属性ファイル,コードファイルの三つから構成されている0

    編集加工機能としては,

    (1)表形式の変更・・…・表題・表頭の変更,行・列の追加・削

    (2)表の連結

    (3)並び替え・順位づけ

    演算・解析機能としては,

    (1)四則演算

    (2)集計……単純集計,地域集計,年齢集計

    (3)統計解析……データ解析,時系列予測と季節調整,相関

    分析,多変量解析

    (4)シミュレーション=‥‥人口予測,計量経済モデル

    などがある。

    4.3 作図・作表機能

    検索結果を,表又は16種類の図表にする機能である。指定

    可能な図表としては,以下に記すとおりである。

    (1)折れ線グラフ

    (2)面グラフ

    (3)比較棒グラフ

    (4)円グラフ

    (5)ヒストグラム

    (6)曲線グラフ

    (7)ポートフォリオ図

    (8)散布図

    (9)階段グラフ

    (10)累積面グラフ

    (11)累積棒グラフ

    (12)レーダーチャート

    (13)共点グラフ

    (14)多層円グラフ

    (畑 県内市町村地図

    (咽 都道府県地図

    図6に検索・加工機能の中で定型業務の出力例を示す。

    白 当面の課題

    岐阜県での共通統計情報利用システムの当面の課題として

    は,以下の六つが挙げられる。

    (1)データ収集方法などのより良い方法の検討

    最新のデータを正確,迅速かつ確実に継続して収集できる

    より良い方法及び管理手段の検討

    (2)他のデータベースとの連動の検討

    庁内他システムのデータの取込み,国・県・市町村などの

    公的機関,民間のデータベースなどの連動に関する検討

    (3)同種データの取扱いに関する検討

    名称が同一又は類似している項目にかかわる各調査ごとの

    定義の差異や調査時点のずれなど,データの整合性に関して

    引き続き検討を行う。

    (4)シミュレーション機能の充実

    計量経済モデル,システムダイナミックスモデルなど予測

    モデルの拡充,モデルに与えるパラメータの整備,シミュレ

    ーション技法の研究,システムヘのAI(ArtificialIntelligence)導入の検討を行う。

    (5)試行的運用を通じての評価・改善

    システムの運用を試行的運用と位置づけ,利用状況から利

    用したい情報の把握,利用される情報の評価,機能の評価,

    操作性の評価,性能評価を行いシステムの改善をする。

    49

  • 444 日立評論 VO+.69 No.5(柑87-5)

    経≠為成長率の妊膚

    \ノ//

    .⊥m-1⊥【Ⅷ.と〟51 5:≧ 53 54 55

    二二二岐阜県▲=一・全国

    、、-_,,_

    /

    56 57

    年度

    驚科;提‡斉企画庁r国民操子斉計算年報+、県統計課r県民碇泊計算+

    監合的な豊かさ(全国=100)

    ノ\

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    ⅠⅠ

    大学・短大の入学状況(占0年)

    ノ㌢イ/一,′l

    妻書く≒・

    立立立内外

    国公私県温州

    Ⅷ喜粗忽組

    C

    D

    E

    F

    G

    5日

    家計実収入(55年)持家率(:53年)

    陛芳規模(55年)犯罪発生率(マイナス指標)

    (_57年)人口10万人当たり文化会館

    散(5古年)

    人口10万人当たり医師数

    (5・る年)

    都市計画区域内人口1人当た

    り都市公園面積(5る年)H:国・県道改良率(5る年)

    1:労働生産性格差(ら5年)

    J:所得水準(55年J

    R:l人当たり陳有毒様面積(5~年)

    L:l人当たり飯石水面・河川

    水路面墳(5う年)

    薬科:文部替「学校基本鍋蓋+、県統計誹r噸阜県学校基本粛査J

    瓜恥

    上歳鼠歳議山威仙戚歳・威歳歳止戚・威ル戚・威止戚歳山城

    =以49494949494949494

    歳877665544332211~

    5~

    50

    人口ピラミッド(岐阜県 60年〕

    ≡茸某国巨忽 璽璽琵盃ヨ

    mン≡萱窪m望…笠覆歪変萱Z恋霞塁…萱≦淋こ古…ポカ

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    医≡皿 …べ故殺m℃\※浴浪…

    【】

    18白 8

    男 (千人) 女

    苛科:統計局「国勢調査+、県銘計讃「岐阜県人口動態統計調査+

    寄道府県別就業率(55年)

    O12346~

    脚州抑試醐州

    18白

    市町村別人口密度(60年)

    紆資料:統計局「国勢調査+

    .…甜〉

    /′ノ/′

    声】諾

    ヽ\

    某、訣葵】

    、※訣、ミ、オ覧≡表※ヾ、、、

    \訣\\、、X

    ′ンノ′・′二….′=ネプ′=.仙況5主…諏′′′∴イ " き≦、

    感x… ぎ′≦字書妻≠宕‥ノ・彗′彰覧′/く

    芦諾丁去8呂空喜

    「________,...._.,、_′ん_____+

    資料:統計局「国勢調査+、国土砲瑚鏡「全国都道府県市区町村別面積誠査+

    図6 定型業務出力例 図に示すような図やグラフが簡単な操作で出力される。

    (6)端末の多目的利用の推進

    庁内OA化の動きに合わせ,TSS(TimeSharingSystem),

    オンライン,パーソナル処理など,端末機の増設とその多目

    的利用を推進し,利用範囲の拡大を図る。

    切 結 言

    行政情報総合利用システムのように計画支援を目的とした

    システムに対する要求が高まる現在,3割以上の都道府県が

    なんらかの行政データベースを開発している。しかし,この

    種のシステムの開発に当たっては独自につく(創)りだすより

    ほかな〈,システムのアウトプットの定義もあらかじめでき

    50

    ない。したがって,長期にわたり試行錯誤を繰r)返し,より

    良いシステムへ改良していくことが必要である。

    最後に,このシステムへの試みが,統計情報提供機能を通

    じて行政事務の合理化・効率化,行政サービスの向上に寄与

    し,行政情報システムの中心として発展し,21世紀に予想さ

    れる高度情報社会の到来に対応できれば幸いである。

    参考文献

    1)岐阜県高度情報化研究会データベース部会編:昭和59年度デ

    ータベース調査研究報告書

    2)岐阜県高度情報化研究会データベース部会編:昭和60年度デ

    ータベース開発報告書