大阪府と近畿地区における景気動向指数の改訂(試算)...大阪府と近畿地区における景気動向指数の改訂(試算)...

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- 31 - 大阪府と近畿地区における景気動向指数の改訂(試算) 佐野 浩 要約 景気の実態把握・景気予測をより正確に行うため,大阪府と近畿地区における景気動向指数の採用系列 の見直しを行い,採用系列の大幅な変更・入れ替えを行った.その結果,特に遅行性のパフォーマンスは 向上し,大阪府,近畿の景気の実態をよりよく把握できるものとなった. 目次 1.はじめに 2.改訂作業について 3.採用系列の検討結果 4.あてはまりの検証 5.おわりに 1.はじめに 景気の変動は,経済社会の中で,自然に発生す る経済動向の一つではあるが,様々な要素が絡み 合っているために,景気の現状を把握することは 容易なことではない.景気の現状を把握するため の一つの方法として,様々な指標を収集・分析し, 総合的に判断を行うことが考えられるが,その際 には,様々な指標がある中でどれを重視して景気 を判断するかが問題となる. その問題に対して,複数のデータを合成して単 一の指標とした景気動向指数を作成するのも解決 法の一つである.景気動向指数とは,生産や雇用 など,経済活動における重要かつ景気に敏感に反 応するいくつかの経済データを合成し,単一の指 標によって景気を把握しようとするものである 1) 大阪府では,景気動向指数として,近畿地区と 大阪府の 2 種類を作成しており,近畿地区は, 1971 年から,大阪府は 2001 年から作成している.景気 動向指数は,作成の簡便さや速報性に優れている ことが特徴であるものの,経済構造の変化や採用 データの廃止等の理由により,定期的なメンテナ ンスが必要になってくる. これらの景気動向指数に関しては,これまで, 定期的なメンテナンスのほかに, 2011 年には採用 系列を大幅に見直したものの,現在,採用系列の 入れ替えが早急に求められている.特に,前回の 採用系列の入れ替え後,東日本大震災を経験する など,経済構造が大きく変化する出来事や,いく つかの経済指標が更新されなくなることにより, 指数のパフォーマンスの低下が懸念されている. そのため,前回採用系列を改訂してからの知見等 を踏まえて,採用系列の見直しを行った. 本論の構成は以下の通りである.第2章におい て,採用系列の見直しの一般的な方法や今回改訂 の方針などを説明する.第3章では,前章で説明 した問題意識等を踏まえ,採用候補のデータを決 定した後,第4章において,実際に景気動向指数 に組み入れたときのパフォーマンスに関する比較 検証を行った.最後に,第5章では,まとめと今 後の課題について言及を行う. 2.改訂作業について 2.1 採用系列の検討方法 採用系列の改訂については,図1のような手順 で行うことが一般的である.まずは現状の採用系 列について検証を行い,問題点の洗い出しを行っ て,採用系列の改訂するにあたっての方針を決定 する.次に,今回の改訂の方針や系列の採用基準 を踏まえて,採用候補のデータの収集・加工・分 析を行い,最終的な採用候補を決定する.その採 用候補を実際に景気動向指数の計算に組み入れて, 景気動向指数のパフォーマンスが向上しているか の検証を行う,というものである. 系列の採用基準については,一般的に言われて いる7点に注意して分析を行った(表1).ただし, 国のデータとは異なり,都道府県のデータにおい

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- 31 -

大阪府と近畿地区における景気動向指数の改訂(試算)

佐野 浩

要約

景気の実態把握・景気予測をより正確に行うため,大阪府と近畿地区における景気動向指数の採用系列

の見直しを行い,採用系列の大幅な変更・入れ替えを行った.その結果,特に遅行性のパフォーマンスは

向上し,大阪府,近畿の景気の実態をよりよく把握できるものとなった.

目次

1.はじめに

2.改訂作業について

3.採用系列の検討結果

4.あてはまりの検証

5.おわりに

1.はじめに

景気の変動は,経済社会の中で,自然に発生す

る経済動向の一つではあるが,様々な要素が絡み

合っているために,景気の現状を把握することは

容易なことではない.景気の現状を把握するため

の一つの方法として,様々な指標を収集・分析し,

総合的に判断を行うことが考えられるが,その際

には,様々な指標がある中でどれを重視して景気

を判断するかが問題となる.

その問題に対して,複数のデータを合成して単

一の指標とした景気動向指数を作成するのも解決

法の一つである.景気動向指数とは,生産や雇用

など,経済活動における重要かつ景気に敏感に反

応するいくつかの経済データを合成し,単一の指

標によって景気を把握しようとするものである 1).

大阪府では,景気動向指数として,近畿地区と

大阪府の 2 種類を作成しており,近畿地区は,1971

年から,大阪府は 2001 年から作成している.景気

動向指数は,作成の簡便さや速報性に優れている

ことが特徴であるものの,経済構造の変化や採用

データの廃止等の理由により,定期的なメンテナ

ンスが必要になってくる.

これらの景気動向指数に関しては,これまで,

定期的なメンテナンスのほかに,2011 年には採用

系列を大幅に見直したものの,現在,採用系列の

入れ替えが早急に求められている.特に,前回の

採用系列の入れ替え後,東日本大震災を経験する

など,経済構造が大きく変化する出来事や,いく

つかの経済指標が更新されなくなることにより,

指数のパフォーマンスの低下が懸念されている.

そのため,前回採用系列を改訂してからの知見等

を踏まえて,採用系列の見直しを行った.

本論の構成は以下の通りである.第2章におい

て,採用系列の見直しの一般的な方法や今回改訂

の方針などを説明する.第3章では,前章で説明

した問題意識等を踏まえ,採用候補のデータを決

定した後,第4章において,実際に景気動向指数

に組み入れたときのパフォーマンスに関する比較

検証を行った.最後に,第5章では,まとめと今

後の課題について言及を行う.

2.改訂作業について

2.1 採用系列の検討方法

採用系列の改訂については,図1のような手順

で行うことが一般的である.まずは現状の採用系

列について検証を行い,問題点の洗い出しを行っ

て,採用系列の改訂するにあたっての方針を決定

する.次に,今回の改訂の方針や系列の採用基準

を踏まえて,採用候補のデータの収集・加工・分

析を行い,最終的な採用候補を決定する.その採

用候補を実際に景気動向指数の計算に組み入れて,

景気動向指数のパフォーマンスが向上しているか

の検証を行う,というものである.

系列の採用基準については,一般的に言われて

いる7点に注意して分析を行った(表1).ただし,

国のデータとは異なり,都道府県のデータにおい

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産開研論集第 29号 平成 29 年 3 月

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ては,景気動向指数に採用可能なデータが少ない

ため,表1の系列の採用基準について優先順位を

つけて考える必要がある.そのため,採用系列の

選定に当たっては,まずは「①経済的重要性」「④

統計的充足性」「⑥統計の速報性」の条件を検証し,

それらの条件を満たしていないデータは採用系列

に不向きであることから,採用候補から削除し,

次に残りの条件である「②景気循環との対応性」

「③景気とのタイミング」「⑤データの平準性」「⑦

採用系列のバランス」の条件を検討して採用候補

の絞込みを行った.都道府県のデータにおいては,

採用可能性があるデータが少ないため,データの

特性からして採用系列に適しているデータであれ

ば,平滑性が悪いなどの問題があっても採用を検

討すべきである.

図1:採用系列改訂のフローチャート

現状の問題点の洗い出し

改訂の方針決定

基礎データの収集

収集したデータの加工

採用候補系列の選定

あてはまりの検証

採用系列の入れ替え

表1:系列の採用基準

①経済的重要性

その地域の特性を捕らえた指標であることや,各経済部門の活動を代表する指標であること.

②景気循環との対応性

循環的変動が明確であること.

③景気とのタイミング

景気基準日付との時間的前後関係(先行・遅行)が安定していること.

④統計的充足性

数個の循環をカバーでき,将来的にも継続的・安定的にデータが得られること.

⑤データの平準性

不規則変動の小さいこと.

⑥統計の速報性

データの発表が迅速であること.

⑦採用系列のバランス

各指数において,生産・支出・分配のバランスに配慮すること.

ただし,「③景気とのタイミング」を考察するに

当たっては,景気基準日付との乖離の程度を計算

する必要上,できる限り長期のデータを用いる必

要がある.そのため,大阪府については開始時点

を 1980 年代前半,近畿地区では 1970 年代後半と

し,終了時点は 2015 年 12 月までのデータを収集

して分析を行った.

具体的な検討方法としては,景気循環のサイク

ルが明確に見られた系列について,大阪府・近畿

地区における景気基準日付との月数差を計算し,

その他,時差相関係数,MCD スパン,景気循環

との適合度,不規則変動回数等を参考にして,採

用候補の検証を行った 2).

景気基準日付との月数差については,各採用系

列においてブライ・ボッシャン法から転換点を求

め,大阪府・近畿地区それぞれ景気基準日付と比

較して,その月数差を比較する.その際,CI では

特に直近のパフォーマンスを重視するため,最近

のデータとの関係において,景気基準日付との関

係性が強いものを優先して選択すべきである.

時差相関とは,各系列と CI 一致指数の相関係数

について,時期をずらして計算したもので,相関

係数が高い月数を見ることによって,景気基準日

付とのリード・ラグを分析するものである.

MCD スパンとは,何ヶ月移動平均をとればス

ペンサー移動平均と同程度の滑らかさになるかを

表す指標であり,値が小さいほどデータの動きが

滑らかであることを示す.

景気循環の適合度とは,3 ヶ月前との比較で,

拡張期(後退期)におけるプラス(マイナス)の

変化方向の出現頻度割合を計算し,数値が大きい

方が望ましい.先行系列・遅行系列では,それぞ

れ 6 ヶ月前後との比較を行った.

不規則変動については,景気の拡張期(後退期)

において各指数が 3 ヶ月以上下降(上昇)した月

を数え,その月数を全体の月数で割ることによっ

て計算を行い,不規則変動が小さい方が望ましい

というものである.

2.2 今回改訂の方針

先行研究等より,大阪府・近畿地区における景

気動向指数における各指数のパフォーマンスの課

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大阪府と近畿地区における景気動向指数の改訂(試算)

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題としては,3点指摘できる.

第一は,各指数のパフォーマンスの向上である.

最近の傾向として,各系列の山谷が同じような時

点を示すように,先行性・一致性・遅効性が不明

瞭となってきているため,各指数における動きを

明瞭にすることである.特に,近畿地区では,遅

行系列の採用系列数が少ないため,動きが不安定

となっていることが問題点である.

第二に,採用系列に用いているデータの適正化

である.これについては2点あり,一つは,公表

されなくなったデータの入れ替え,もう一つは前

年同月比の扱いである.

今回,データが公表されなくなって入れ替えが

必要な指標としては,「大口電力使用量」「貸出約

定平均金利」の2種類がある.ただし,「大口電力

使用量」は一致指数として採用しているため,入

れ替えは慎重に行う必要がある 3)4).また,一致

指数においては,景気基準日付の設定の都合上,

採用系列数は奇数の方が望ましい.

前年同月比の扱いについては,前年同月比は季

節性の除去のために,簡単に用いることができる

ものであるが,同時にその限界も指摘されている.

特に,東日本大震災等の災害や,消費税率の引き

上げといった,一時的な経済ショックがあった場

合に,その影響が次年度にも大きな影響を与える

ことがあるために,可能であれば使用しない方法

を模索するべきである.

第三に,各指数の採用系列における分野間のバ

ランスである.景気動向指数は作成において,長

期間にわたる過去のデータが必要なことから,生

産関連指標に偏っていることが指摘されている.

大阪府・近畿地区においても例外ではなく,生産

関連指標に偏っているため,できる限りそれを是

正することである.前回改定時には労働(毎月勤

労統計)関連のデータについて,指標の利用可能

性からあまり検討をしてこなかったが,今回はそ

れを含めて分析を行った.ただし,近畿地区にお

いては,近畿 2 府 4 県の毎月勤労統計のデータを

そろえることは非常に困難であるため,近畿 2 府

1 県を近畿コアとして,データを作成した 5).

現状の採用系列の検証と,上記の課題を組み合

わせると,現行の採用系列の問題点として,以下

の点が指摘される(付表1.1,付表2.1参照).

大阪府においては,先行系列では,「建設財生産指

数」のパフォーマンスが低下していることもあり,

見直しを検討すべきである.一致系列では,「大口

電力使用量」の代わりに,新たな系列を採用すべ

きである.遅行指数では,データが公表されなく

なった「信用金庫貸出約定平均金利」の入れ替え

を行うとともに,変動が激しい「大阪市実質家計

消費支出」の変更を検討すべきである.その他,

先行指数の「新設住宅着工戸数」「倒産件数」,一

致指数の「百貨店売場面積当たり販売額」は不規

則変動が多く,もし変更できるデータがあれば検

討すべきである.

表 2.1:採用候補系列(大阪府)

分野 系列名 種類

企業活動

投資財生産指数 資本財出荷指数 大阪府商工業用ガス使用量 人件費比率(製造業)

季調 季調 季調 季調

雇用 きまって支給する給与指数 (産業計 or 製造業,30 人)

前年比 or 季調

消費 名目家計消費支出 6) (大阪市,勤労者世帯) 実質家計消費支出 6) (大阪市,勤労者世帯)

前年比

前年比

物価 日経商品指数 42 種 原数値

※人件費比率=【常用雇用指数(製造業)×きま

って支給する給与(製造業)×100】÷【製造工業

生産指数×国内企業物価指数】

表 2.2:採用候補系列(近畿地区)

分野 系列名 種類

企業活動

生産財出荷指数 耐久消費財出荷指数

季調 季調

雇用 所定外労働時間数(近畿コア;産業計 or 製造業)

きまって支給する給与額(近畿コア;産業計 or 製造業)

前年比 or 季調 前年比 or 季調

消費 名目家計消費支出(近畿,勤労者世帯)

実質家計消費支出(近畿,勤労者世帯)

消費者態度指数(近畿)

前年比

前年比

季調

物価 日経商品指数 42 種 原数値

※近畿コアとは,大阪府・京都府・兵庫県の数値

の合計であり,それぞれの府県のデータについて,

常用雇用者数でウェイトをつけて合算した.

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産開研論集第 29号 平成 29 年 3 月

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近畿地区の採用系列の問題点としては,以下の

点が指摘される.先行系列では,「日経商品指数

42 種」や「消費者態度指数」において,計算方法

の変更を検証する必要がある.一致系列では,デ

ータが公表されなくなった「大口電力使用量」の

入れ替えを検討すべきであること,「鉱工業生産指

数」と「鉱工業出荷指数」という,似たようなデ

ータで似たような動きをする系列を見直すことで

ある.遅行系列では,採用系列の数を増やし,パ

フォーマンスを安定させることが必要である.そ

の他,大阪府の場合と同様に,先行指数の「新設

住宅着工戸数」「倒産件数」,一致指数の「百貨店

売場面積当たり販売額」は不規則変動が多く,も

し変更できるデータがあれば検討すべきである.

以上の問題意識を踏まえ,採用系列のバランス

やパフォーマンスを考慮して,表2.1,表2.2

のような採用系列候補を選択した 7).

3.採用系列の検討結果

大阪府の検討結果は,以下のとおりである(表

3.1,付表2.1参照).先行指数では,当てはま

りが悪くなっていた「建設財生産指数」を削除し,

より対象の広い「投資財生産指数」を新たに加え

た.「日経商品指数 42 種」について,前年同月比

から原数値へと計算方法を変更した.その他,先

行 CI について,一部計算を見直した.一致指数で

は,データが公表されなくなった「大口電力使用

量」を削除し,新たに「大阪府商工用ガス使用量」,

「人件費比率(製造業)」を採用した 8)9)10).遅

行系列では,データが公表されなくなった,「近畿

信用金庫貸出約定平均金利」を削除し,新たに「き

まって支給する給与指数(製造業)」を採用し,作

成の都合上,「実質家計消費支出」について実質化

の方法を変更した 11).

近畿地区の検討結果は,以下のとおりである(表

表 3.1:大阪府における新旧の採用系列入れ替え案

現行系列 変更案 変更後

先行指数

建設財生産指数

(逆)製造工業在庫率指数

新規求人倍率

新設住宅着工戸数

日経商品指数 42 種(前)

企業倒産件数

大阪府景気観測調査(業況判断 DI)

(以上 7 系列)

→削除

→変更

→新規

日経商品指数 42 種(原数値)

投資財生産指数

(以上 7 系列)

一致指数

百貨店売場面積当たり販売額(前)

大阪税関管内輸入通関額

製造工業生産指数

生産財出荷指数

関西電力大口電力使用量(合計)

有効求人倍率

所定外労働時間指数(製造業)

(以上 7 系列)

→削除

→新規

→新規

(逆)人件費比率(製造業)

大阪府商工業用ガス使用量

(以上 8 系列)

遅行指数

製造工業在庫指数

常用雇用指数(30 人,産業計)(前)

(逆)雇用保険受給者実人員

大阪市消費者物価指数(生鮮食品を除

く総合)(前)

実質家計消費支出(大阪市,前)

近畿信用金庫貸出約定平均金利(前)

法人事業税調定額

(以上 7 系列)

→変更

→削除

→新規

実質家計消費支出(大阪市,前)

きまって支給する給与指数(製造業)

(以上 7 系列)

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大阪府と近畿地区における景気動向指数の改訂(試算)

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3.2,付表2.2参照).先行指数では,「日経商

品指数 42 種」について,前年同月比から原数値へ

と計算方法を変更させた.また,「消費者態度指数」

については,公表元における季節調整値が公表さ

れなくなったため,大阪府独自で季節調整値を計

算するとともに,四半期データから月次データへ

と計算方法を変更した.一致指数では,データが

公表されなくなった「大口電力使用量」を削除し,

新たに近畿コアの「所定外労働時間数(製造業)」

を加えた.また,「鉱工業生産指数」と「鉱工業出

荷指数」と同じカバレッジで同じ動きをする系列

を見直し,「鉱工業出荷指数」の変わりに,「生産

財出荷指数」と「耐久消費財出荷指数」というカ

バレッジの異なるデータを新たに加えた.遅行指

数では,データが公表されなくなった,「地方銀行

貸出約定平均金利」を削除し,新たに「実質家計

消費支出(近畿,前)」,近畿コアの「きまって支

給する給与(製造業)」を採用し,採用系列数を 5

から 6 へと変更した 12).「実質家計消費支出」は

不規則変動が激しいものの,遅効性を有している

ことを考慮して採用した.

4.あてはまりの検証

以上の検討結果を元に景気動向指数の入れ替え

を行った.図2.1,図2.2は,新旧の採用系列

について,大阪府と近畿地区の CI のグラフを描い

たものである.大阪府の CI のグラフでは,一致

CI はほとんど変化していないが,先行 CI,遅行

CI は若干形状が変化する結果となった.近畿地区

の CI のグラフでは,遅行系列を大きく変更したこ

とにより,大きく形状が変化したものの,以前よ

りも循環が明確となった.

次に,採用系列の入れ替えによって,どの程度

パフォーマンスが改善するかを検証する.その際

には,山谷のタイミング,不規則変動,平滑度の

それぞれついて,CI と DI におけるパフォーマン

スの変化の両方を考察するほうが望ましい.CI の

パフォーマンスの検証ついては,山谷のタイミン

グと不規則変動を計算した.山谷のタイミングは,

各系列についてブライ・ボッシャン法により山谷

を計算し,景気基準日付との対応性を検討した.

不規則変動は,3 ヶ月後方移動平均が後退(拡張)

期において,前月よりも上昇(低下)している月

数をカウントした.DI については,山谷のタイミ

ング,不規則変動,平滑度を計算した.山谷のタ

イミングは,5項反復移動平均値が 50を上回り(下

回り)はじめる直前の月を指数の谷(山)として,

景気基準日付との対応度を計算した.不規則変動

は,拡大期(後退期)において,DI が一時的に

50%を下回る(上回る)回数を計算した.平滑度

は,DI の二階階差の幾何平均 を計算し,値が小

さいほど滑らかに変動しているとした.

計算結果は,表4.1,表4.2の通りである.

山谷のタイミングについては,大阪府,近畿地区

ともに,遅行 CI において,遅効性がより明確とな

る結果となった.不規則変動については,変更後

の方が概ね減少している.平滑度については,採

用系列を増やした系列において若干悪化している

ものの,概ね許容範囲内となっていると思われる.

以上の結果をまとめると,一致 CI においては大

阪府,近畿地区ともに,採用系列の入れ替えを行

ったが,CI にはそれぞれ大きな変更はなく,概ね

所与の目的は達成できた.先行 CI では,さほどパ

フォーマンスを落とさずに,採用系列の入れ替え

が行え,それにより景気循環がより明確化された

ことや,不規則変動が減少するなどの成果が得ら

れた.遅行指数については,大阪府,近畿地区と

採用系列の大きな採用系列の入れ替えを実施した

が,それにより遅行性が明確なものとなった.特

に,近畿地区においては,遅行 CI の採用系列を増

やしたことにより山谷が明確になるなどのパフォ

ーマンスの向上が得られた.

5.おわりに

今回の改訂によって,大阪府・近畿地区の景気

動向指数のパフォーマンスは,より改善したもの

となった.しかしながら,経済や社会の構造は常

に変化しており,採用系列と景気循環との関連が

不明瞭となっていく可能性もある.そのため,必

要な修正は適宜行っていくことが必要である.

また今後検討を要する課題として,2 点考えら

れる.第一は,景気動向指数においては,採用系

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産開研論集第 29号 平成 29 年 3 月

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列が生産関連のデータに偏っていることは,常々

指摘を受ける問題であるが,それは他の分野,特

にサービス分野における利用可能なデータが少な

いことによるところが大きい.そのため,今後の

時系列データが蓄積されていくことにより,新し

いデータを用いた分析が可能となってくるかもし

れないために,常に採用系列の可能性を検討して

いくことが必要であろう.

第二は,景気の現状の早期把握である.景気の

分析においては,先行きがどうなるのかが一番知

りたいことである.景気動向指数でも先行指数を

計算しているが,どれだけ景気に先行するかが不

明確であることもあり,知りたいことに対応して

いるかは必ずしもいえない状況である.そのため,

景気の現状の早期把握のために,新たな手法の開

発等も検討すべきかもしれない.

以上の課題等を踏まえ,大阪・関西における景

気の実態把握や景気予測のために,今後とも景気

動向指数等の研究を深めていきたいと思う.

〔注〕

1) 景気動向指数はあくまで景気の現状把握のた

めに作成されるものであり,GDP など経済状況の

推定を行ったものではない.

2) 採用系列の検討方法においては,DI をベース

にしたものと,CI をベースにしたものが混在して

いる.現在は CI が公表基準となっているため,内

閣府社会経済研究所(2015)のように,CI をベー

スとした検討方法を用いるべきではあるが,過去

の分析の蓄積も考慮し,採用系列の検討方法につ

いて,CI をベースとしたものと,DI をベースと

したものの両者を考慮して,今回の採用系列の改

訂を行った.

3) 一致指数を構成している指標は,景気基準日付

を決定する重要な要素であるため,その指標の入

れ替えによって,景気基準日付が変わってしまう

表 3.2:近畿地区における新旧の採用系列入れ替え案

現行系列 変更案 変更後

先行指数

(逆)鉱工業在庫率指数

(逆)鉱工業在庫指数

新規求人数

新設住宅着工戸数

乗用車新車販売台数

企業倒産件数

日経商品指数 42 種(前)

消費者態度指数(四半期)

中小企業景況調査(業況 DI,四半期)

(以上 9 系列)

→変更

→変更

日経商品指数 42 種(原数値)

消費者態度指数(月次)

(以上 9 系列)

一致指数

鉱工業生産指数

鉱工業出荷指数

関西電力大口電力使用量(合計)

有効求人倍率

百貨店売り場面積当たり販売額

輸入通関額

大阪府商工業用ガス使用量

(以上 7 系列)

→削除

→削除

→新規

→新規

→新規

生産財出荷指数

耐久消費財出荷指数

所定外労働時間(近畿コア,製造業)

(以上 8 系列)

遅行指数

地方銀行貸出約定平均金利(前)

資本財出荷指数

近畿消費者物価指数(生鮮食品を除く

総合)(前)

雇用保険初回受給者数

完全失業率(四半期)

(以上 5 系列)

→削除

→新規

実質家計消費支出(近畿,前)

きまって支給する給与(近畿コア,製造業)

(以上 6 系列)

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大阪府と近畿地区における景気動向指数の改訂(試算)

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可能性がある.そのため,一致指数の採用系列の

入れ替えについては,指標の入れ替えによって景

気基準日付に影響がないかも合わせて検証する必

要がある.

4) 「大口電力使用量」はデータが公表されなくな

っただけではなく,2011 年の東日本大震災以降,

原子力発電所の停止や電気料金の値上げ等により,

電力消費量に下方バイアスが生じており,構造変

化が疑われる系列であった.

5)近畿コアのデータは,データ入手の都合上,1985

年 1 月からの分析となっている.

6) 「家計消費支出」について,以前は農林漁業世

帯を除いた数値を公表していたが,2005 年より農

林漁業世帯を含んだ数値のみの公表となった.農

林漁業世帯の抽出割合は大阪府では 0%に近く,

近畿でも数%であるため,農林漁業世帯を含んだ

数値を公表分の 2000 年まで遡及し,それ以前の農

林漁業世帯を除いた数値と接続して使用した.

また,「家計消費支出」の実質化には,消費者物価

指数の「生鮮食品を除く総合指数」を用いた.

7) 採用候補の絞込みについては,佐野(2011)で

得られた結果を参考にしているため,採用候補の

指標が少なくなっていることや,分析した中でも

詳細な説明が必要なデータだけを表2では取り上

げた.特に,毎月勤労統計のデータは,数年周期

で行われる,調査サンプル替えによって,大きな

断層が生じている可能性があるため,常用雇用者

数や現金給与総額など,検討結果を説明していな

いデータがある.

8)人件費比率は,不況時には売上高は大きく減少

するものの,人件費はさほど減らせないために,

人件費比率は上昇するが,好況時には売上高は大

きく増えるものの,人件費はさほど増加しないた

めに,人件費比率は低下するというように,景気

に連動して動く系列である.

9)DI 作成の都合上,一致指数は奇数の方が望ま

しいが,今回は事情により,採用系列は偶数とし

た.「ガス使用量」は,フィットが良かったために

積極的な採用を検討したものの,2017 年 4 月のガ

スの自由化により,データが公表されなくなる懸

念があるため,「人件費比率」も採用し,系列数を

増やして偶数にした.近畿地区も同様.

10)一致指数の採用系列を用いて,景気基準日付

を計算したところ,大阪府,近畿地区ともに,採

用系列入れ替え後でも,直近に設定した景気基準

日付に大きな変更はなかった.

11)「きまって支給する給与」は,過去のデータに

は上方トレンドがみられるものの,直近の山谷に

は遅効性がみられる.直近における山谷のフィッ

ト感を重視して採用した.内閣府(2015)におい

ても遅行系列として採用されている.

また,「家計消費支出」については,不規則変動が

大きいものの,他に変わる系列がないことから,

採用を継続している.

12)先行系列において逆サイクルで用いている「鉱

工業在庫指数」を順サイクルにして遅行系列に持

ってくる案も検討したが,それによって先行 CI

のパフォーマンスが低下することから,変更を見

送った.

〈参考文献〉

佐野浩(2011),「大阪府景気動向指数の改訂(試

算)について」,大阪府商工労働部『産開研論集』,

Vol.23,pp.25—32

内閣府社会経済総合研究所(2013),「景気動向指

数の第 10 次改訂について」

内閣府社会経済総合研究所(2014),「景気動向指

数の改善について」

内閣府社会経済総合研究所(2015),「景気動向指

数の第 11 次改定について」

Page 8: 大阪府と近畿地区における景気動向指数の改訂(試算)...大阪府と近畿地区における景気動向指数の改訂(試算) - 33 - 題としては,3点指摘できる.

産開研論集第 29号 平成 29 年 3 月

- 38 -

図 2.1:新旧CIのパフォーマンス比較(大阪府)

40

60

80

100

120

140

1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 (年)

先行CI

70

80

90

100

110

120

130

140

1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 (年)

一致CI

80

100

120

140

160

180

1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 (年)

遅行CI

※シャドー部分は大阪府における景気後退期を示す.

表 4.1:新旧の指数のパフォーマンス比較(大阪府)

1997.03 2000.10 2007.12 平均 1994.02 1999.04 2002.04 2009.03 平均新 6 2 -23 -5.00 33 新 -4 -9 -6 0 -4.75 34現行 -5 2 -19 -7.33 40 現行 -4 -11 -5 -1 -5.25 33新 0 0 -12 -4.00 27 新 0 -4 -1 0 -1.25 18現行 0 0 -12 -4.00 23 現行 0 -4 -1 0 -1.25 18新 9 5 3 5.67 48 新 7 0 1 13 5.25 23現行 9 -2 2 3.00 49 現行 7 3 -1 13 5.50 23

1997.03 2000.1 2007.12 平均 1994.02 1999.04 2002.04 2009.03 平均新 -2 1 -6 -2.33 55 新 -1 -6 -4 2 -2.25 27 1.945現行 -3 1 -16 -6.00 69 現行 -2 -6 -5 3 -2.50 26 1.969新 1 2 -6 -1.00 38 新 0 -3 -2 2 -0.75 18 2.021現行 1 2 2 1.67 35 現行 0 -2 -2 2 -0.50 17 1.974新 2 -8 6 0.00 57 新 6 3 2 12 5.75 28 1.562現行 0 -7 4 -1.00 61 現行 7 4 0 10 5.25 20 1.566

不規則変動

不規則変動

山タイミング

遅行

大阪CI 大阪CI

大阪DI 大阪DI

先行

一致

遅行

先行

一致

遅行

先行

一致

タイミング谷

タイミング谷

・タイミングのマイナスは先行、プラスは遅行を表す。・DIのタイミングの判定は、5項反復移動平均値が50を上回り(下回り)はじめる直前の月を山(谷)として計算。 CIのタイミングはブライ・ボッシャン法による。・DIにおける不規則変動は、後退(拡張)期間において、一時的に50%を上回る(下回る)動きを計算。 Cにおける不規則変動は、後退(拡張)期間において、3ヶ月移動平均値が前月よりも上昇(低下)している数を計算。 なお、不規則変動を測定する際には、先行指数は後退(拡張)期間を6ヶ月前倒し、遅行指数は後退(拡張)期間を6ヶ月後倒しした。・平滑度については、系列の二回階差を用いており、値が小さいほど平滑であることを示す。・上記の数値は、2015年12月分までのデータを用いて計算している。

タイミング山

先行

一致

遅行

不規則変動

平滑度

不規則変動

Page 9: 大阪府と近畿地区における景気動向指数の改訂(試算)...大阪府と近畿地区における景気動向指数の改訂(試算) - 33 - 題としては,3点指摘できる.

大阪府と近畿地区における景気動向指数の改訂(試算)

- 39 -

図 2.2:新旧CIのパフォーマンス比較(近畿地区)

60

70

80

90

100

110

120

130

1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 (年)

先行CI

70

80

90

100

110

120

130

1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 (年)

一致CI

70

80

90

100

110

120

130

1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 (年)

遅行CI

※シャドー部分は近畿地区における景気後退期を示す.

表 4.2:新旧の指数のパフォーマンス比較(近畿地区)

1991.04 1997.03 2000.08 2008.02 平均 1993.12 1999.02 2001.12 2009.03 平均

新 -23 0 4 -21 -10.00 56 新 -2 -11 -1 -1 -3.75 31現行 -24 -6 2 -21 -12.25 64 現行 -16 -11 -1 -1 -7.25 36新 -4 0 4 17 4.25 36 新 0 -2 0 -1 -0.75 13現行 1 0 4 18 5.75 35 現行 0 -2 1 -1 -0.50 16新 0 6 1 3 2.50 39 新 16 2 2 6 6.50 22現行 -6 6 1 -10 -2.25 48 現行 2 2 3 5 3.00 22

1991.04 1997.03 2000.08 2008.02 平均 1993.12 1999.02 2001.12 2009.03 平均

新 -9 -2 2 -17 -6.50 76 新 0 -7 -1 1 -1.75 37 1.430現行 -22 -6 2 -20 -11.50 83 現行 0 -6 -2 1 -1.75 38 1.400新 -1 1 4 12 4.00 40 新 1 1 2 2 1.50 25 1.729現行 1 1 4 8 3.50 41 現行 0 1 2 2 1.25 31 1.834新 -3 7 -16 6 -1.50 74 新 22 9 2 5 9.50 24 2.044現行 -2 7 -2 0 0.75 68 現行 3 6 2 6 4.25 26 1.835

・タイミングのマイナスは先行、プラスは遅行を表す。・DIのタイミングの判定は、5項反復移動平均値が50を上回り(下回り)はじめる直前の月を山(谷)として計算。 CIのタイミングはブライ・ボッシャン法による。・DIにおける不規則変動は、後退(拡張)期間において、一時的に50%を上回る(下回る)動きを計算。 Cにおける不規則変動は、後退(拡張)期間において、3ヶ月移動平均値が前月よりも上昇(低下)している数を計算。 なお、不規則変動を測定する際には、先行指数は後退(拡張)期間を6ヶ月前倒し、遅行指数は後退(拡張)期間を6ヶ月後倒しした。・平滑度については、系列の二回階差を用いており、値が小さいほど平滑であることを示す。・上記の数値は、2015年12月分までのデータを用いて計算している。

近畿DI不規則変動

タイミング不規則変動

山 谷近畿DI

遅行

一致

先行先行

近畿CI 近畿CI不規則変動

先行

一致 一致

遅行 遅行

タイミング不規則変動

遅行

タイミング

先行

一致

平滑度

タイミング

Page 10: 大阪府と近畿地区における景気動向指数の改訂(試算)...大阪府と近畿地区における景気動向指数の改訂(試算) - 33 - 題としては,3点指摘できる.

産開研論集第 29号 平成 29 年 3 月

- 40 -

付表

1.1:現行系列における景気循環の対応性(大阪府)

時差相関

MCD

現行の系列の比較

09谷

10山

10谷

11山

11谷

12山

12谷

13山

13谷

14山

14谷

15山

15谷

(上)全区間

(大阪府の景気基準日付)

1983.03

1985.02

1987.01

1990.12

1994.02

1997.03

1999.04

2000.10

2002.04

2007.12

2009.03

2012.03

2012.07

6ヶ月前

0ヶ月

6ヶ月後

(下)2000~

【先行指数】

1982.08

1984.06

1986.12

1989.08

1994.02

1997.01

2000.03

2000.12

2005.05

2006.10

2010.03

2011.02

2011.09

10.560

0.565

0.537

09

0.091

0.091

0.102

10

-1984.11

1986.03

1989.03

1992.11

1997.01

1998.03

2000.07

2001.10

2007.12

2009.02

2010.05

2012.06

20.605

0.631

0.509

-2

3

0.145

0.136

0.216

-2

1983.02

1985.05

1986.12

1990.06

1994.04

1997.02

1998.09

2000.10

2002.01

2007.03

2009.12

--

00.702

0.753

0.705

12

0.119

0.063

0.094

1

1984.01

1985.04

1985.10

1988.05

1991.11

1996.11

1998.11

1999.09

2001.06

2008.02

2010.01

--

30.506

0.494

0.457

-18

9

0.145

0.151

0.162

0

1983.01

1984.03

1986.07

1989.07

1993.11

1996.07

1999.01

2000.09

2001.11

2006.05

2009.07

2010.04

2012.07

40.648

0.628

0.477

-2

1

0.199

0.207

0.321

-1

1982.10

1983.09

1984.12

1990.05

1992.12

1994.09

1997.01

1999.03

2001.11

2006.07

2009.08

--

20.551

0.511

0.491

-5

5

0.119

0.145

0.168

-2

1993.09

1996.12

1998.06

2000.12

2001.09

2005.12

2009.03

--

20.644

0.649

0.547

-5

1

0.238

0.207

0.300

-3

【一致指数】

1983.06

1985.01

1987.01

1990.04

1995.01

1996.01

1999.09

2001.09

2006.06

2007.06

2009.02

--

10.520

0.540

0.543

-4

8

0.145

0.131

0.139

-2

1983.04

1984.05

1986.11

1990.09

1994.02

1997.03

1999.02

2000.12

2002.06

2008.06

2009.02

--

00.639

0.676

0.648

04

0.111

0.085

0.091

1

1983.01

1985.01

1986.11

1991.02

1994.02

1997.01

--

2003.08

2005.03

2009.03

2011.08

2012.07

10.585

0.696

0.616

04

0.173

0.091

0.128

0

1983.02

1985.07

1986.11

1990.10

1994.02

1997.01

1999.07

2000.07

2001.10

2007.12

2009.03

2012.03

2013.10

40.614

0.682

0.611

03

0.136

0.082

0.119

0

1982.08

1985.05

1986.12

1991.05

1993.10

1997.05

1999.05

2000.08

2002.11

2005.02

2009.03

2011.03

2013.01

40.602

0.662

0.634

03

0.179

0.116

0.128

0

1983.03

1985.06

1987.01

1990.07

1994.04

1996.11

1998.12

2000.12

2002.03

2007.06

2010.01

--

00.705

0.798

0.744

31

0.165

0.060

0.071

3

1982.10

1984.09

1987.02

1988.07

1994.02

1996.12

1999.06

2001.02

2002.01

2007.02

2009.06

2011.12

2012.12

00.642

0.719

0.651

13

0.151

0.082

0.125

1

【遅行指数】

1983.09

1985.08

1988.01

1991.12

1994.08

1998.03

2000.08

2001.08

2006.03

2008.11

2010.09

2011.09

2014.01

20.420

0.469

0.597

12

2

0.372

0.318

0.219

18

1985.04

1986.01

1987.04

1992.12

1996.03

1998.12

--

2002.01

2008.01

2010.06

2012.10

2013.03

20.452

0.520

0.577

18

3

0.250

0.196

0.151

18

1984.04

1985.06

1987.04

1990.04

1996.01

1996.08

1999.04

2000.09

2002.01

2008.04

2009.06

--

00.676

0.767

0.733

32

0.205

0.105

0.122

3

1983.08

1985.03

1987.05

1991.03

1995.05

1997.09

1998.11

2000.02

2003.02

2008.09

2010.04

2012.04

2013.02

40.469

0.531

0.574

12

3

0.216

0.190

0.131

9

1983.11

1986.02

1986.07

1990.07

1995.02

1998.04

1999.08

2000.09

2004.09

2007.08

2008.12

2011.09

-5

0.517

0.514

0.511

13

9

0.162

0.151

0.151

17

1982.05

1986.02

1987.09

1990.10

1992.10

--

2000.11

2001.11

2007.07

2009.11

2013.01

2014.01

40.511

0.594

0.619

51

0.361

0.276

0.227

2

1983.07

1985.07

1986.04

1990.06

1996.02

1997.03

1999.02

2001.06

2003.02

2008.06

2009.12

--

10.545

0.605

0.622

86

0.148

0.094

0.088

10

※は逆サイクルである。-は山谷が検出できなかったことを示す。

 適合率については大きい方が、不規則変動回数については小さい方が望ましい。

法人事業税調定額

製造工業在庫指数

常用雇用指数

(30人以上、調査産業計)

大阪税関管内

輸入通関額

製造工業生産指数

雇用保険受給者実人員※

近畿信用金庫

貸出約定平均金利

生産財出荷指数

(上)適合率

(下)不規則変動回数

大阪市消費者物価指数

(生鮮食品を除く総合)

所定外労働時間指数

(30人以上、製造業)

大口電力使用量(合計)

実質家計消費支出

(大阪市)

有効求人倍率

偽の

循環回数

百貨店

売場面積当たり販売額

企業倒産件数※

日経商品指数42種

建設財生産指数

新規住宅着工戸数

新規求人倍率

大阪府景気観測調査

生産財在庫率指数※

Page 11: 大阪府と近畿地区における景気動向指数の改訂(試算)...大阪府と近畿地区における景気動向指数の改訂(試算) - 33 - 題としては,3点指摘できる.

大阪府と近畿地区における景気動向指数の改訂(試算)

- 41 -

付表

1.2:現行系列における景気循環の対応性(近畿地区)

時差相関

MCD

現行の系列の比較

09山

09谷

10山

10谷

11山

11谷

12山

12谷

13山

13谷

14山

14谷

15山

15谷

(上)全区間

(近畿地区の景気基準日付)

1980.041983.031985.031986.121991.041993.121997.031999.022000.082001.122008.022009.032012.022012.09

6ヶ月前

0ヶ月

6ヶ月後

(下)2000~

【先行指数】

鉱工業在庫率指数※

1980.021982.071984.081986.031990.101993.111997.031998.032000.082001.112006.082009.022011.022012.09

40.638

0.679

0.536

-2

30.149

0.144

0.213

-1

鉱工業在庫指数

1979.071982.051984.031986.031988.021992.021994.071997.122000.102001.062008.022009.012010.082012.06

20.577

0.528

0.379

-16

90.215

0.315

0.397

-22

新規求人数

1980.061983.021985.051986.061990.121994.021997.021998.092000.102002.012006.092009.05

--

10.664

0.726

0.662

06

0.159

0.072

0.118

0新設住宅着工戸数

1978.081981.071985.041985.101988.081991.111996.071998.111999.092002.072008.042009.082012.042012.11

30.551

0.521

0.469

-16

60.159

0.197

0.215

1乗用車新車販売台数

1979.051983.06

--

1990.081993.101997.021999.06

--

2008.042009.012012.032012.10

30.513

0.554

0.521

-4

60.208

0.154

0.190

-20

企業倒産件数※

1978.121980.121981.081984.011990.031992.081996.041998.051999.032001.112005.042009.08

--

30.546

0.538

0.518

-3

60.167

0.197

0.197

-5

日経商品指数

1980.021981.021984.021986.071989.071993.111996.071999.012000.092001.112006.052009.072010.042012.07

50.613

0.628

0.513

-2

90.249

0.195

0.310

-1

消費者態度指数(四半期)

1985.031987.031989.121993.121996.061998.092000.092001.092005.122008.122010.062011.06

20.617

0.665

0.540

-5

10.254

0.219

0.313

-6

中小企業景況調査(四半期)

1995.031996.061998.092000.032001.092006.032009.03

--

00.570

0.402

0.357

-17

10.256

0.445

0.494

-15

【一致指数】

鉱工業生産指数

1983.021985.021986.111991.051993.121997.091998.122000.092002.012007.022009.022011.022013.02

10.585

0.700

0.631

09

0.146

0.051

0.079

0鉱工業出荷指数

1982.101985.011986.111991.051994.011997.031998.122000.082002.012007.082009.022011.062012.09

10.613

0.731

0.644

09

0.146

0.051

0.090

0関西産業用大口電力使用量

1980.021982.081985.051986.121991.051993.101997.051999.052000.082002.012008.022009.032011.032013.01

50.585

0.690

0.641

06

0.197

0.090

0.113

0有効求人倍率

1980.031983.031985.061986.091990.081994.051996.111999.052000.122002.012007.062009.08

--

00.662

0.749

0.738

61

0.185

0.062

0.079

2百貨店売場面積当たり売上高

1980.011983.061985.011986.071990.041993.031996.011998.032001.092006.012007.062009.032011.042011.09

20.572

0.562

0.531

09

0.128

0.149

0.174

-2

輸入通関額

1980.041983.041985.041986.081990.091993.051997.031999.032000.122002.062008.082009.02

--

10.600

0.659

0.621

06

0.133

0.082

0.110

1大阪ガス商工業用ガス消費量1981.111983.041985.121986.09

--

1997.031997.112000.042002.022006.042009.022012.022012.07

20.521

0.592

0.538

06

0.221

0.151

0.190

0【遅行指数】

地方銀行貸出約定平均金利

1980.061981.081986.011987.041990.101992.091998.112000.022001.022002.022007.062009.092011.112014.02

40.559

0.605

0.610

71

0.321

0.274

0.262

6資本財出荷指数

1981.021981.061985.111986.111990.101993.111997.091999.042001.012002.022006.072009.082011.022012.10

00.538

0.618

0.608

49

0.162

0.090

0.082

3消費者物価指数

1980.071983.081985.031987.011991.021995.041997.091998.091999.102002.022008.072009.082012.042013.03

30.521

0.592

0.626

99

0.241

0.177

0.131

3雇用保険初回受給者数※

1980.011984.041984.111987.011990.041995.031996.041999.042000.032002.022008.042009.03

--

00.600

0.664

0.638

26

0.151

0.095

0.077

1完全失業率※(四半期)

1985.031987.061992.031996.061997.06

--

2002.092007.092009.092011.092012.03

00.480

0.543

0.575

15

20.249

0.196

0.145

7※は逆サイクルである。-は山谷が検出できなかったことを示す。

 適合率については大きい方が、不規則変動回数については小さい方が望ましい。

偽の循環

回数

(上)適合率

(下)不規則変動回数

Page 12: 大阪府と近畿地区における景気動向指数の改訂(試算)...大阪府と近畿地区における景気動向指数の改訂(試算) - 33 - 題としては,3点指摘できる.

産開研論集第 29号 平成 29 年 3 月

- 42 -

付表

2.1:採用候補系列における景気循環の対応性(大阪府)

時差相関

MCD

現行の系列の比較

09谷

10山

10谷

11山

11谷

12山

12谷

13山

13谷

14山

14谷

15山

15谷

(上)全区間

(大阪府の景気基準日付)

1983.03

1985.02

1987.01

1990.12

1994.02

1997.03

1999.04

2000.10

2002.04

2007.12

2009.03

2012.03

2012.07

6ヶ月前

0ヶ月

6ヶ月後

(下)2000~

1983.07

1985.01

1986.11

1989.12

1994.02

1996.11

1999.12

2000.10

2003.08

2007.05

2009.06

2011.02

2011.10

20.582

0.628

0.588

25

0.116

0.077

0.099

3

1983.07

1985.01

1987.01

1989.04

1993.12

1996.11

1999.04

2002.01

2002.12

2007.06

2009.06

2011.12

2013.04

10.568

0.622

0.611

24

0.136

0.099

0.085

2

1983.04

1985.12

1986.09

--

1997.03

1997.11

2000.04

2002.02

2006.04

2009.02

2012.02

2012.07

20.540

0.599

0.514

04

0.219

0.168

0.216

0

--

-1991.05

1992.11

1997.03

1998.08

2000.12

2001.09

2007.06

2009.03

2011.08

-2

0.608

0.631

0.563

-4

3

0.173

0.148

0.199

-4

--

1988.01

1991.05

1992.12

1997.06

1998.11

2000.04

2001.12

2008.04

2009.09

2012.05

2012.12

40.489

0.489

0.483

-14

4

0.210

0.219

0.219

24

1983.05

1984.02

1986.07

1991.05

1993.12

1996.08

1998.11

2000.01

2002.08

2008.03

2009.03

2011.12

2012.12

40.545

0.517

0.554

-14

4

0.188

0.202

0.182

-24

--

--

-1997.11

1999.04

2000.01

2004.06

2005.11

--

2013.11

00.523

0.545

0.534

-24

3

0.278

0.256

0.253

24

--

--

-1997.05

1999.04

2001.02

2002.05

2004.08

2009.09

2011.12

-0

0.534

0.594

0.616

03

0.290

0.227

0.205

0

-1984.04

1984.11

1991.05

1992.11

1996.05

1999.04

2000.12

2001.12

2006.04

2008.12

2010.08

-2

0.605

0.557

0.511

-11

3

0.131

0.162

0.202

-8

--

--

1992.04

1997.03

1999.04

2001.08

2002.05

2005.11

2009.03

2011.12

-1

0.582

0.611

0.597

-6

3

0.165

0.134

0.145

-6

1983.11

1986.09

1987.01

1992.12

1995.02

1997.10

1998.08

2000.09

2004.09

2007.08

2010.08

2011.09

-3

0.514

0.517

0.526

13

9

0.168

0.156

0.142

15

1983.11

1986.02

1986.07

1992.12

1995.02

1998.04

1999.08

2000.09

2004.09

2007.08

2008.12

2011.09

-5

0.528

0.526

0.523

13

9

0.156

0.148

0.142

17

1983.03

1983.09

1986.09

1990.09

1995.07

1997.03

1999.03

2000.09

2001.11

2008.07

2009.02

2011.04

2012.07

10.682

0.733

0.656

41

0.205

0.145

0.193

4

※は逆サイクルである。-は山谷が検出できなかったことを示す。

 適合率については大きい方が、不規則変動回数については小さい方が望ましい。

名目家計消費

(大阪市、前年比)

実質家計消費

(大阪市、前年比、修正)

日経商品指数(原数値)

実質きまって支給する給与

(産業計)

実質きまって支給する給与

(製造業)

ガス使用量

人件費比率※

きまって支給する給与

(産業計、前年比)

きまって支給する給与

(製造業、前年比)

きまって支給する給与

(産業計、季節調整)

きまって支給する給与

(製造業、季節調整)

(上)適合率

(下)不規則変動回数

偽の

循環回数

投資財生産指数

資本財出荷指数

Page 13: 大阪府と近畿地区における景気動向指数の改訂(試算)...大阪府と近畿地区における景気動向指数の改訂(試算) - 33 - 題としては,3点指摘できる.

大阪府と近畿地区における景気動向指数の改訂(試算)

- 43 -

付表

2.2:採用候補系列における景気循環の対応性(近畿地区)

時差相関

MCD

現行の系列の比較

09山

09谷

10山

10谷

11山

11谷

12山

12谷

13山

13谷

14山

14谷

15山

15谷

(上)全区間

(近畿地区の景気基準日付)

1980.041983.031985.031986.121991.041993.121997.031999.022000.082001.122008.022009.032012.022012.09

6ヶ月前

0ヶ月

6ヶ月後

(下)2000~

1980.021982.121985.021986.111991.051993.121997.021999.022000.072001.112008.052009.022011.022013.06

20.631

0.746

0.636

09

0.162

0.062

0.110

01981.081982.061986.051987.021991.051996.011997.031998.032000.092001.102006.012009.072011.062012.10

10.510

0.574

0.541

04

0.179

0.151

0.151

01991.071992.111997.011998.112000.112002.022008.022009.032012.012012.12

40.526

0.585

0.540

-16

30.276

0.189

0.228

-2

1990.111992.111994.121998.112000.062001.122007.072009.032012.022013.01

40.564

0.597

0.491

-13

30.247

0.204

0.284

21987.051989.041994.031997.071998.122000.112002.032008.022009.032011.122012.12

20.562

0.682

0.676

43

0.244

0.109

0.116

11987.011989.031993.121997.071998.122000.112001.122006.122009.062012.012013.01

10.648

0.748

0.688

22

0.213

0.085

0.128

01991.051993.051996.011999.072000.052002.052008.072008.122010.102012.12

20.484

0.585

0.596

-1

60.234

0.157

0.123

-24

1990.121993.101994.121999.042000.042002.032008.072009.032012.062013.03

30.558

0.613

0.602

06

0.186

0.135

0.142

01997.111999.072000.102002.05

--

--

10.491

0.548

0.551

24

30.290

0.209

0.250

-2

1997.111999.042001.022002.032007.072009.092012.062012.12

20.537

0.636

0.646

13

0.290

0.155

0.167

11992.101993.061998.071999.052001.052002.032006.042010.032010.09

-2

0.522

0.521

0.503

-24

30.210

0.191

0.220

-12

1990.121993.101997.021999.042001.052002.032005.112009.092012.06

-1

0.580

0.633

0.604

03

0.210

0.127

0.161

01991.071994.081997.092000.012002.062002.112008.052010.05

--

20.512

0.486

0.511

14

90.147

0.159

0.170

31991.071994.081997.092000.012001.112002.112008.052010.05

--

30.509

0.477

0.500

-2

90.156

0.170

0.184

14

1983.031987.031989.121993.121996.061998.092000.092001.092006.012009.022010.062011.05

30.600

0.648

0.529

-5

10.273

0.233

0.322

-6

1980.041983.031983.091986.091990.091995.071997.031999.032000.092001.112008.072009.022011.042012.07

20.659

0.731

0.646

86

0.221

0.159

0.200

3※は逆サイクルである。-は山谷が検出できなかったことを示す。

 適合率については大きい方が、不規則変動回数については小さい方が望ましい。

きまって支給する給与額

(製造業、前)

名目消費支出(近畿、前)

実質消費支出(近畿、前)

消費者態度指数(月次)

実質決まって支給する給与額

(産業計、季節)

実質決まって支給する給与額

(製造業、季節)

所定外労働時間数

(製造業、季節)

きまって支給する給与額

(産業計、季節)

きまって支給する給与額

(製造業、季節)

所定外労働時間数

(産業計、前)

所定外労働時間数

(製造業、前)

きまって支給する給与額

(産業計、前)

(上)適合率

(下)不規則変動回数

偽の循環

回数

生産財出荷指数

耐久消費財出荷

日経商品指数(原数値)

所定外労働時間数

(産業計、季節)