高圧一括受電マンションにおける電力ピーク抑制策 …journal of japan society of...

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Journal of Japan Society of Energy and Resources, Vol. 35, No. 4 高圧一括受電マンションにおける電力ピーク抑制策の 実証研究:2013 年夏のピーク抑制・意識変容効果の検証 Peak Demand Management on High-Voltage Power Receiving Condominium: Experimental Evidence of Peak Reduction and Consciousness Transformation from the Summer of 2013 向井登志広 * ・西尾健一郎 * ・小松秀徳 ** Toshihiro Mukai Ken-ichiro Nishio Hidenori Komatsu 内田鉄平 *** ・石田恭子 **** Teppei Uchida Kyoko Ishida (原稿受付日 2013 12 3 日,受理日 2014 6 27 ) 1. 序論 東日本大震災以後,電力供給力低下に伴う需給逼迫を緩 和する対策として,経済的インセンティブ等により電力ピ ーク抑制を促す「デマンド・レスポンス (DR, demand response)」や,電力使用実態の見える化など省エネ行動を 促す「情報提供システム」に社会の関心が高まった.夏季 平日午後に発生しやすい系統ピーク時間帯の需要抑制策に は,設備投資・電力調達コストの低減効果も期待される 1) また,高圧一括受電サービスを利用してマンション居住 世帯に電力供給する事例も増えてきた.エネルギーサービ ス提供者にとっては,より安価な電力供給を実現するため 受電契約コスト低減を図る必要があり,夕食後の団欒時等 に発生しやすい建物ピーク時間帯の需要抑制が課題となる. DR 実証研究は多数実施されている 2-4) .最近の例では, けいはんな地区における見える化導入世帯の DR 夏季実証 の結果,ピーク時変動料金(critical peak pricing)で単価を 24 倍にすると 9.314.1%のピーク抑制効果が報告されてい る.しかしながら,価格差を大きく設定することは消費世 帯の負担を高める可能性があり,普及にあたっては受容性 の問題を克服する必要がある.一方で,スマートメータや HEMS (home energy management system)等により計測された 詳細な電力使用量データを用いた情報提供システムは,イ ンフラ整備にかかるコストは課題であるが,消費行動に直 接干渉しないため,運用時の受容性は高い. DR の実効性を 確保するには,消費世帯が経済的インセンティブに感度良 く反応する必要があるが,米国の事例では,支援技術的な 情報提供システムの付加もひとつのオプションとして報告 されている 5) .筆者らは,以上のような背景を踏まえなが ら,情報提供技術の新機軸となりうるシステムの提案を目 指し,実証研究プロジェクトを計画した. 同プロジェクトは, 2013 8 月から 2014 11 月までの 1 4 ヶ月間,千葉県船橋市にある高圧一括受電マンショ ンの居住世帯を対象に実施予定であり,本稿では,実証研 究プロジェクトの第一段階として, 2013 8 7 日から同 9 6 日までの間に実施した夏季実証研究結果を報告す る.夏季実証では,2013 6 月末までに募集した結果応募 のあった約 230 の協力世帯を対象としており,各種料金体 This paper presents the evidence of power demand reduction measures during the summer peak-time, including the Advice Report designed by authors, which incorporates a variety of behavior-scientific intelligence. Through the randomized experiment targeted on the almost 230 residents in a condominium receiving high-voltage collective power, we evaluated the average treatment effects (ATEs) of (1) the increasing tariff based on instantaneous electricity usage (kW), (2) the visualization of actual electricity usage on In-Home Display, (3) the Advice Report, and (4) the email alert to curtail the electricity usage during the grid peak-time. The total ATE of these measures was 11.1% on the grid peak- time, 8.7% on the peak-time of the targeted condominium, and 6.9% whole day. In addition, questionnaire survey results also showed the analogous trends, such as the fact that the households receiving the measures had significantly higher level of consciousness on peak-time electricity conservation than the others. Though the results were not statistically significant, it suggested the general trends of the effectiveness of each measure. * ( 一財) 電力中央研究所 社会経済研究所 100-8126 東京都千代田区大手町 1-6-1 Corresponding email: [email protected] ** ( 一財) 電力中央研究所 システム技術研究所 〒201-8511 東京都狛江市岩戸北 2-11-1 *** () ファミリーネット・ジャパン SES 事業部 150-0002 東京都渋谷区渋谷 3-12-18 **** 野村不動産() 住宅事業本部 163-0566 東京都新宿区西新宿 1-26-2 本稿は,第 30 回エネルギーシステム・経済・環境コンファレンス での発表内容をもとに作成されたものである. 7

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Journal of Japan Society of Energy and Resources, Vol. 35, No. 4

高圧一括受電マンションにおける電力ピーク抑制策の

実証研究:2013年夏のピーク抑制・意識変容効果の検証

Peak Demand Management on High-Voltage Power Receiving Condominium:

Experimental Evidence of Peak Reduction and Consciousness Transformation

from the Summer of 2013

向 井 登 志 広 *・ 西 尾 健 一 郎 *・ 小 松 秀 徳 **

Toshihiro Mukai Ken-ichiro Nishio Hidenori Komatsu

内 田 鉄 平 ***・ 石 田 恭 子 ****

Teppei Uchida Kyoko Ishida

(原稿受付日 2013 年 12 月 3 日,受理日 2014 年 6 月 27 日)

1. 序論

東日本大震災以後,電力供給力低下に伴う需給逼迫を緩

和する対策として,経済的インセンティブ等により電力ピ

ーク抑制を促す「デマンド・レスポンス (DR, demand

response)」や,電力使用実態の見える化など省エネ行動を

促す「情報提供システム」に社会の関心が高まった.夏季

平日午後に発生しやすい系統ピーク時間帯の需要抑制策に

は,設備投資・電力調達コストの低減効果も期待される 1).

また,高圧一括受電サービスを利用してマンション居住

世帯に電力供給する事例も増えてきた.エネルギーサービ

ス提供者にとっては,より安価な電力供給を実現するため

受電契約コスト低減を図る必要があり,夕食後の団欒時等

に発生しやすい建物ピーク時間帯の需要抑制が課題となる.

DR 実証研究は多数実施されている 2-4).最近の例では,

けいはんな地区における見える化導入世帯の DR 夏季実証

の結果,ピーク時変動料金(critical peak pricing)で単価を 2~

4 倍にすると 9.3~14.1%のピーク抑制効果が報告されてい

る.しかしながら,価格差を大きく設定することは消費世

帯の負担を高める可能性があり,普及にあたっては受容性

の問題を克服する必要がある.一方で,スマートメータや

HEMS (home energy management system)等により計測された

詳細な電力使用量データを用いた情報提供システムは,イ

ンフラ整備にかかるコストは課題であるが,消費行動に直

接干渉しないため,運用時の受容性は高い.DR の実効性を

確保するには,消費世帯が経済的インセンティブに感度良

く反応する必要があるが,米国の事例では,支援技術的な

情報提供システムの付加もひとつのオプションとして報告

されている 5).筆者らは,以上のような背景を踏まえなが

ら,情報提供技術の新機軸となりうるシステムの提案を目

指し,実証研究プロジェクトを計画した.

同プロジェクトは,2013 年 8 月から 2014 年 11 月までの

1 年 4 ヶ月間,千葉県船橋市にある高圧一括受電マンショ

ンの居住世帯を対象に実施予定であり,本稿では,実証研

究プロジェクトの第一段階として,2013 年 8 月 7 日から同

年 9 月 6 日までの間に実施した夏季実証研究結果を報告す

る.夏季実証では,2013 年 6 月末までに募集した結果応募

のあった約 230 の協力世帯を対象としており,各種料金体

This paper presents the evidence of power demand reduction measures during the summer peak-time, including the Advice Report designed

by authors, which incorporates a variety of behavior-scientific intelligence. Through the randomized experiment targeted on the almost 230

residents in a condominium receiving high-voltage collective power, we evaluated the average treatment effects (ATEs) of (1) the increasing

tariff based on instantaneous electricity usage (kW), (2) the visualization of actual electricity usage on In-Home Display, (3) the Advice Report,

and (4) the email alert to curtail the electricity usage during the grid peak-time. The total ATE of these measures was 11.1% on the grid peak-

time, 8.7% on the peak-time of the targeted condominium, and 6.9% whole day. In addition, questionnaire survey results also showed the

analogous trends, such as the fact that the households receiving the measures had significantly higher level of consciousness on peak-time

electricity conservation than the others. Though the results were not statistically significant, it suggested the general trends of the effectiveness

of each measure.

* (一財) 電力中央研究所 社会経済研究所

〒100-8126 東京都千代田区大手町 1-6-1

Corresponding email: [email protected] ** (一財) 電力中央研究所 システム技術研究所

〒201-8511 東京都狛江市岩戸北 2-11-1 *** (株) ファミリーネット・ジャパン SES 事業部

〒150-0002 東京都渋谷区渋谷 3-12-18 **** 野村不動産(株) 住宅事業本部

〒163-0566 東京都新宿区西新宿 1-26-2

本稿は,第 30回エネルギーシステム・経済・環境コンファレンスでの発表内容をもとに作成されたものである.

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Journal of Japan Society of Energy and Resources, Vol. 35, No. 4

系・見える化技術に加えて,筆者らが独自に設計・開発し

た情報提供システムの効果を,実際の電力使用量データ,

および居住世帯の意識・行動データを用いて検証すること

を目的とした.この情報提供システムは,各世帯の電力需

要 30 分値データを用いて消費世帯特性を分析し,事前に準

備された省エネアドバイスレポート・テンプレート群から

各世帯に適切な 1 点を選択・生成するシステムである.強

調すべき点として,テンプレートのデザインやレポート選

択・生成プロセスに,多様な行動科学的知見を反映してい

る点が挙げられる.行動科学的知見に基づく情報提供手法

の効果は,米国を中心に主に省エネ分野で実証され,実際

のサービスとしても運用されている 6, 7).しかしながら筆者

らの知る限り,我が国ではある特定のピーク時間帯につい

て需要抑制を狙った大規模な実証研究事例は報告されてお

らず,本稿の特色であるといえる.

ピーク抑制を促す時間帯としては,冒頭に述べた背景を

踏まえ,(1)系統ピーク時間帯である平日 13~16 時,及び

(2)建物ピーク時間帯である平休日 19~22 時の 2 項目を設

定した.また,(3)0~24 時の省エネ効果も併せて検証した.

2. 実証研究のデザイン

本章では,夏季実証にて採用した各種介入項目,及び介

入効果検証のための実証デザインについて述べる.

2.1 介入内容

(1) 30 分逓増型料金

料金体系には 2 種類を採用した.一つは 1 ヶ月単位での

逓増型料金であり,従来の東京電力従量電灯料金と同一の

ものである.もう一つは当該物件の標準料金体系である「30

分逓増型料金」である.これは,30 分使用量別に 3 段階の

料金単価を設定しており,(1)400Wh/h 以下の使用量は約 24

円 /kWh, (2)400~ 1500Wh/h の場合は約 29 円 /kWh,

(3)1500Wh/h 以上の場合は約 40 円/kWh として電気代を課

金する仕組みとなっている.例えば,19 時半から 20 時ま

での 30 分使用量が 210Wh(=420Wh/h*0.5h)であった場合,

料金は約 5.09円(=0.2kWh×約 24円/kWh+0.01kWh×約 29円

/kWh)となる.各料金ゾーンは,それぞれ「グリーンゾーン」

「イエローゾーン」「レッドゾーン」と呼ぶ.また,同料金

体系は基本料金を設定していない.

30 分逓増型料金は,400W や 1500W という特定の電力量

を意識してもらうことで,ピーク需要を抑制しつつ,オフ

ピーク時間帯へ需要をシフトする狙いがある.例えば,マ

ンションでは家族が団らんする 19~22 時ごろに需要ピー

クが生じやすいが,1500W という閾値を意識してもらうこ

とで,食後の食器洗浄機利用を就寝前にシフトするといっ

た行動を促すことができる.

(2) 見える化システム

「情報提供」には 3 種類の介入項目を設定した.第 1 項

目は図 1 に示すような画面を表示する宅内ディスプレイ

(In-Home Display; IHD)であり,それぞれ(1)リアルタイム電

力使用量,(2)CO2 排出量,(3)でんき予報を表示している.

「リアルタイム電力使用量」は,前述の 30 分逓増型料金

の支援技術的側面が強い.各料金ゾーンの名称で用いられ

ている「グリーン」「イエロー」「レッド」で表現された棒

グラフを用いることで,料金単価の違いを直観的に意識し

てもらい,電力使用を控えるよう促している.

次画面「CO2 排出量」では,一日当たりの電力ガス消費

に起因する CO2 排出量,およびその内訳が表示されている.

目標値の設定は事前に設定されており,居住者は変更でき

ない仕様となっている.最後の画面「でんき予報」では,

需給逼迫状況,天気,気温情報を表示している.このほか,

居住者は PC やスマートフォンを通して,専用ウェブサイ

トから 30 分ごとの電力使用データを閲覧できる.なお,

IHD 及び PC による見える化は物件標準であり,夏季実証

中に見える化に割り当てられていない世帯は実証開始前に

担当者が機能を停止した.

(3) 省エネアドバイスレポート

情報提供の第 2 項目は,筆者らが設計・開発した「省エ

ネアドバイスレポート」である.同レポートは,電力使用

量に基づくグラフ表示や省エネアドバイス等から構成され

る,情報提供を行うための紙媒体であり,図 2 のような紙

面構成となっている.各情報は「モジュール」で掲載され

ており,A4 片面一枚のレポートには 4 種類のモジュールか

ら構成される一つの「ストーリー」が印刷されている.

図 1 宅内ディスプレイ(IHD)の 3 画面

図 2 省エネアドバイスレポートの紙面構成

〒・・・-・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・ 様

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・ ・

・・・・・・・・・・・・・・・・

モジュール

ストーリー

ストーリー1

〒・・・-・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・ 様

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・ ・

・・・・・・・・・・・・・・・・

ストーリー2

・・・・・

監視指標:1週間前の1日の14時の平均W値

監視指標:先週1週間の電気料金

レポート

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Journal of Japan Society of Energy and Resources, Vol. 35, No. 4

図 3 では,4 種類のモジュールの流れを例示している.

この例では,(1)真夏の平日 14 時における節電の必要性を

訴え,(2)対象世帯の過去の消費傾向を示し,(3)14 時台の消

費量を他世帯と比較表示して使用量が多いことを指摘し,

(4)14 時台に効果的な省エネ対策を示している.例示される

ような,4 モジュールから構成される連なりを「ストーリ

ー」と呼ぶ.夏季実証では,約 40 種類のモジュールを用い

て合計 18 種類のストーリーを開発し,各世帯の消費量特性

に沿って提供した.情報のストーリー化は,情報閲覧者の

「探索コスト」,つまり,情報収集・処理や,判断・行動時

に情報探索者が被る「手間」を低減することを狙ったもの

である.高い探索コストは人々の行動を阻害することが知

られており,例えば Iyenger and Lepper8)は,ジャム等の食品

を選択購入する際,24-30 種類もの品数を提示された場合

よりも 6 種類のみを提示された場合の方が,選択者の満足

度が高まることを報告している.

また図 3の第 3 モジュールでは,該当世帯の電力使用量

のバー表示のほかに,近隣世帯の電力使用平均,及び省エ

ネ世帯の電力使用量も併せて表示している.人々は,社会

的に望ましい,または多人数と同じであることに喜びを感

じる傾向があることが知られており,これを「社会規範」

と呼ぶ.Nolan ら 9)は,一般世帯を対象に,(1)環境保護,(2)

社会的責任,(3)個人利益,(4)社会規範を促すメッセージの

省エネ効果を検討した結果,社会規範メッセージの効果が

最も高かったことを報告している.

加えて,電力使用量ではなく電気代にする,省エネの必

要性を利益ではなく損失額で表示するなど,人々の意識に

強く働きかける「顕著性」の高い情報を多用した.Novemsky

and Kahneman10)は,同じ金額でも,得る際の喜びよりも失

う際のショックのほうが大きく,一般に 1.5~2.5 倍の差が

生じることを報告している.このほか,省エネ世帯に対し

て褒め称えるようなメッセージを送ることで,省エネ意欲

低減を抑制することを期待したモジュールも含めた 9).

1 参加申込のあった 233 世帯のうち 5 件は,他の調査目的のため

に家電の詳細計測をしており,消費量に与える影響が異なること

から,本稿の分析対象からは除外する.なお,グルーピングは

(4) 省エネアラート

情報提供の第 3 項目は系統需要抑制を促す「省エネアラ

ート」である.系統ピーク抑制効果の深堀りを狙っており,

アラート日前日 18 時台,当日 9 時,当日 13 時の計 3 回,

携帯及び PC メールアドレスに対して配信した.アラート

日は,実証期間の後半を対象期間とし,でんき予報・天気

予報等を参考にしながら 4 日間を決定した.アラート日に

は需給逼迫率がそれほど高くない日も含まれていたため,

以下の文面例のように,実際には需給が逼迫していない場

合もあることを断った.なお,アラートに関連付けた報酬

や罰則は設定しておらず,アラートに反応して行動するか

否かは,節電に貢献したいといった自由意思に委ねられる.

・ 明日○/○は,東電管内で電力需要が高くなる可能性があ

ります.13:00~16:00 の電気のご使用をできるだけ控

えて頂きますようご協力をお願いします.

・ 本メール(省エネアラート)は,省エネ調査の一環とし

て,対象の参加グループの方にお送りするものです.

実際の電力需要は異なる可能性がありますが,ご理解・

ご協力のほどお願いします.

2.2 協力世帯募集・グルーピング・世帯属性

夏季実証の協力世帯は,オプトイン方式で 6 月 10 日~30

日の間に説明会を複数回実施する等して募集した.申込書

類には簡易事前アンケートを含め,世帯構成など世帯属性

情報を収集した.募集の結果,233 協力世帯を得た(協力率

約 40%).本稿で夏季実証対象世帯として扱うのは,このう

ち 228 世帯である1.対象世帯の特徴として,2 人・3 人世

帯がそれぞれ 42%・30%と多く,一方で単身世帯が 5%と少

なめである.また世帯主年齢について 30 代が 47%と多め

で,50 代以上が 24%と少なめである.

介入効果検証のため,筆者らは層別ランダム化手法によ

り 228 世帯から 4 群を編成した.図 4に示すように,D 群

を参照群(従来型料金・情報なし)とし,A 群を物件標準であ

る 30 分逓増型料金と見える化を提供することで物件標準

233 世帯の属性値を用いて実施したため,文中で述べる 4 群の等

質性は阻害されていない.

図 3 ストーリーの一例

※昨夏実績より。電力ピークが大きかった上位10日のうち9日間で、14時台に発生していました。

東京電力管内で電力ピークが発生しやすいのは...

真夏の平日14時台の節電にご協力お願いします!

あなた

平均

世帯

省エネ

世帯

0 500 1,000

あなたは、省エネ世帯の

使用していました。約 3.6 倍

先週 14時台の使用量比較8/5(月)~8/11(日)

W

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1,000

0時 6時 12時 18時

W

先週のあなたの使用パターン8/5(月)~8/11(日)

次の図で、 に絞って、他世帯と比較してみましょう。

14時台

真夏の平日14時台には、エアコンの使用電力が

高まります!

1時間だけエアコンを我慢し、扇風機を使用してみては?

※政府資料(14時台の平均電力使用)より作成

9

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Journal of Japan Society of Energy and Resources, Vol. 35, No. 4

効果を検証した.加えて,B 群には全介入項目(30 分逓増型

+見える化+レポート+アラート)を提供することで夏季実証

中のピーク抑制効果最大値を検証することを目的とした.

最後に,C 群には従来型料金・見える化・レポート・アラ

ートを提供することで,従来型料金下での情報提供関連の

介入効果を検証した.2014 年 11 月末までの全実証期間終

了までの協力金としては,アンケート謝金等を含む協力金

は 20,000 円とした.加えて,電気料金は各群に適用した料

金体系で実量にもとづき請求するが,料金体系が従来型の

場合,ならびに,見える化機能停止の場合,物件標準仕様

のサービスを提供できないことを考慮して,それぞれの調

整金として月あたり 1,000 円を追加的に準備した.

表 1 に,協力世帯全体,及び層別ランダム化によるグル

ーピング後の各群について,基本属性値を示す.世帯年収

とエアコン台数は,後述の事後アンケート(2013 年 9 月実

施),その他は事前アンケート(2013 年 6 月)の情報である.

協力世帯全体の基本属性値は,平均世帯人数が 2.7 人,世

帯構成は 9 割以上が夫婦 2 人世帯か親子世帯,平均世帯主

2 D 群世帯では 8 月 7 日まで IHD を閲覧可能であったため,消費

傾向を把握することにより需要抑制が進み,A~C 群の介入効果

が過小に評価されている可能性がある.ただし,IHD の特徴の一

つがリアルタイム電力使用量のフィードバックであることや,後

年齢は 43 才であった.また,各群の基本属性値を比較する

と,群間差がわずかであることが見て取れる.なお,5・6・

7 月の平均消費量について,各群間,及び協力世帯とマン

ション全体で比較した結果,統計的に有意な差はないこと

を確認した.

グルーピング結果の案内文書は 7 月 19 日~21 日にポス

ティングした.この際,試験対象マンションは 30 分逓増型

料金が物件標準であったため,C・D 群の料金体系移行は 8

月 1 日より適用されること通知した.また,物件標準であ

った見える化サービスについても,D 群の IHD 機能停止作

業を 8 月 7 日に実施した2.

2.3 夏季実証中のスケジュール

夏季実証期間中,レポートは毎週火曜日にデータ処理・

印刷・投函作業を行い,水曜日に対象世帯に配送,順次開

封されるよう計画した.また,期中第 1・2 週目は電気代節

約を促すストーリーを持つレポートを配布した.各世帯の

ピーク需要に関する情報が中心的になるので,実質的には,

建物ピーク抑制効果が期待される.一方で期中第 3~5 週目

は系統ピーク抑制を促すレポートを配布した.

アラートは期中第 4・5 週目に計 4 回配信した.各種予報

を参考に,8 月 28 日~30 日及び 9 月 6 日の計 4 日間であ

る.うち 8 月 30 日の東電最大電力は,2013 年夏期で 3 番

目に高かった(5017 万 kW,需給逼迫率 92%).夏季実証期

間が終了したのち,介入効果を多面的に検証するため,イ

ンタビュー調査およびアンケート調査を実施した.このう

ちアンケート調査結果については,4 章にて述べる.

3. 消費量データ分析結果

本章以降では,試験の結果得られた各種データの分析結

果について述べる.本章では,実際の行動を示す電力消費

量データの分析を通して効果を定量的に評価する.

3.1 ロードカーブ比較

図 5 に各群のロードカーブを示す.比較対照群である D

群(黒線)と全介入項目を受け取った B 群を比べると,昼

以降から夜にかけて消費量が抑制されていることがわかる.

各群の消費量差分を「削減量」として示した図 6 ではその

傾向が顕著に表れている.特に,系統・建物ピーク時間帯

は他時間帯と比べて需要抑制効果が高まる傾向がある.

3.2 平均的な需要抑制効果

(1) 世帯のランダム効果モデル

各群の平均需要抑制効果を検証するため,ランダム効果

モデルを用いた 12, 13).ランダム効果モデルは,複数世帯の

述の通り A・B・C 群において比較的大きな効果が観察されてい

ることなどから,D 群世帯の消費傾向把握による過小評価の影響

はそれほど大きくないものと予想される.

表 1 協力世帯の基本属性値(有効回答のみ)

A 群 B 群 C 群 D 群

協力

世帯

マンショ

ン全体

世帯数 53 55 60 60 228 573

平均世帯

人数(人) 2.7 2.7 2.7 2.8 2.7 2.6

世帯構成(%)

・夫婦世帯

・親子世帯

・その他

44.2

46.2

9.6

36.4

54.5

9.1

48.3

41.7

10.0

55.0

38.3

6.7

46.3

44.9

8.8

---

---

---

平均世帯主

年齢(才) 44.6 43.9 42.0 42.8 43.3 41.5

平均床面積

(m2) 79.3 80.1 80.3 80.4 80.0 79.8

平均エアコ

ン台数(台) 2.4 2.5 2.4 2.6 2.5 ---

図 4 グルーピング

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Journal of Japan Society of Energy and Resources, Vol. 35, No. 4

消費量時系列データ(または消費量パネルデータ)を適切

に扱うための「線形パネルデータモデル」の一種である.

単位時間𝑡 = (1, … , 𝑇)における世帯𝑖 = (1, … , 𝑛)の消費量を

𝑦𝑖𝑡としたとき,

𝑦𝑖𝑡 = 𝛼 + 𝜷′𝐃𝑖𝑡 + 𝜸′𝐓𝑖𝑡 + 𝑣𝑖𝑡

𝑣𝑖𝑡 = 𝑐𝑖 + 𝑢𝑖𝑡

(1)

と表される.ここで,全サンプル数を𝑁(= 𝑛 × 𝑇),𝜷′ =

(𝛽1 , … , 𝛽𝐾)を 1 行𝐾列の推定量ベクトルとすると,𝐃𝑖𝑡 =

(𝐝1, … , 𝐝𝐾)′は𝐾行𝑁列のダミー変数行列であり,効果検証対

象である群ダミー変数や介入ダミー変数を用いる.𝐓𝑖𝑡は消

費量に影響を与える要因に関する変数行列である.本稿で

は先行研究等を参考に,需要抑制対象時間帯の平均気温・

過去 3 日間の平均気温・時間帯平均湿度・平休日ダミーの

4 変数を採用した 14).本稿では,被説明変数𝑦𝑖𝑡に削減率デ

ータ,つまり参照群である D 群の世帯消費量 30 分平均値

に対する各世帯の 30 分削減率を換算して用いた(仮にある

日𝑡における世帯𝑖の消費量が D 群平均消費量より 10%少な

かった場合,𝑦𝑖𝑡 = 10).そうすることで,推定値�̂�をピーク

抑制効果として直接的に解釈可能となる.なお,消費量と

削減率の両データを用いて推定した結果を比較し,統計的

有意性が一致することを確認した.

消費量パネルデータの特徴として,世帯構成やライフス

タイル等,世帯特有の様々な要因が消費量に影響している

場合がある.この非観測効果を独立ランダム変数𝑐𝑖として

誤差項に含めた線形パネルデータモデルを,「世帯のランダ

ム効果モデル」と呼ぶ.𝑢𝑖𝑡,𝑣𝑖𝑡はそれぞれ固有誤差,複合

誤差と呼ばれ,後者は重回帰分析における誤差項に相当す

る.複合誤差には世帯効果が含まれるため時差量に依存し

ない系列相関が生じる。そのため,標準誤差の過小評価に

つながり,有意ではない結果を有意であると誤判断する危

険が生じる 13).式(1)を用いることで,世帯効果に起因する

系列相関の問題を解消することができる.加えて,本稿で

は世帯効果以外の要因に起因する系列相関および分散不均

一性による標準誤差過小評価バイアスに対処するため,

Newey and West15)の標準誤差推定量を用いた.

(2) 群別効果

表 2 に,群ダミー変数を用いた際の世帯ランダム効果モ

デル推定結果を示す.世帯効果を見ると,複合誤差に占め

る割合は 45%~69%と高く,モデルが適切であると言える.

群別の平均的な系統ピーク抑制効果は,A 群・B 群・C 群

の順に,6.6%・11.1%・6.0%であった.また,建物ピーク抑

制効果は A 群・B 群・C 群の順に 2.9%・8.7%・4.0%,省エ

図 5 各群のロードカーブ比較

図 6 各群の削減量推移比較

表 2 ランダム効果モデル推定結果

系統ピーク

(平日

13-16 時)

建物ピーク

(平休日

19-22 時)

省エネ

(平休日

0-24 時)

切片 *199.3***

(17.6)

*185.2***

(14.1)

185.8***

(9.7)

A 群ダミー 6.6

(8.9)

2.9

(7.1)

4.9

(6.7)

B 群ダミー 11.1*

(8.8)

8.7

(7.0)

6.9

(6.7)

C 群ダミー 6.0

(8.6)

4.0

(6.9)

3.9

(6.5)

時間帯平均気温

*-2.9***

(0.6)

**-3.6***

(0.3)

**-4.6***

(0.3)

過去 3 日平均気温

**-3.2***

(0.8)

**-2.0***

(0.5)

**-0.9***

(0.3)

時間帯平均湿度

**-0.3***

(0.1)

*-0.4***

(0.1)

**-0.5***

(0.1)

平休日ダミー

-- 0.1

(1.5)

***8.6***

(1.0)

固有誤差 SD 50.8 37.9 23.5

世帯効果 SD 46.6 37.4 35.7

世帯効果% %45.7% %49.4% %69.9%

𝑛 (世帯数) 228 228 228

𝑇 (日数) 23 31 31

𝑁 (= 𝑛 × 𝑇) 5,244 7068 7068

自由度調整済

決定係数 0.038 0.051 0.169

F 値 34.9 54.0 206.5

・括弧内は標準誤差

・統計的有意性:*** 1%, ** 5%, * 10%

・SD は標準偏差(Standard Deviation)

11

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Journal of Japan Society of Energy and Resources, Vol. 35, No. 4

ネ効果は A 群・B 群・C 群の順に 4.9%・6.9%・3.9%であっ

た3.これらの結果は統計的に有意ではないが,各群 53~60

世帯と小サンプルな中で標準誤差の値は推定値と同程度で

あり,今後協力世帯数を増やすことで統計的有意性が高ま

る可能性が伺える.加えて,時間帯平均気温・過去 3 日平

均気温・時間帯平均湿度・平休日ダミーの推定値は,同変

数が単位量だけ変化した際に,D 群平均消費量に対して変

化する割合を示す.例として系統ピーク時間帯における時

間帯平均気温に着目すると,同気温が 1℃上昇すると,D 群

平均消費量の 2.9%分,消費量が増えることを意味している.

なお,切片は参照群であるD群の削減率を示しているが,

これは他の推定値と併せて解釈する必要がある.つまり,

系統ピーク時間帯平均気温は 31.3℃,過去 3 日平均気温は

28.1℃,同時間帯平均湿度は 59.3%であったため,D 群の平

均削減率は 0 (≒199.3 – 2.9×31.3 – 3.2×28.1 – 0.3×59.3)と

なる.これは,推定の際に削減率データを用いたため,D 群

の平均削減率が適切にゼロとなっていることを意味してい

る.また,気温や湿度は D 群削減率と負の相関(消費量と正

の相関)があるため,推定値が負となっている.

群別効果と 95%信頼区間をグラフ化したものが図 7であ

る.第一の傾向として,最も介入項目の多い B 群で効果が

高いことが分かる.また,第二の傾向として系統・建物ピ

ーク抑制効果のほうが省エネ効果よりも高いことが分かる.

つまり,意図したピーク時間帯に需要抑制効果が適切に現

れていると言える.なお,各種効果の傾向は観察されたも

のの,統計的に有意ではないため,サンプル数を増やすと

3 本稿で採用したモデルに省エネアラート発動時のダミー変数を

加えたモデルも別途検証したところ,アラートによる系統ピーク

時間の平均削減効果は B 群で 2.7%,C 群で 1.1%であった.これ

らの結果は統計的に有意ではないものの,夏季実証ではアラート

の追加的効果は小さめであることを示唆しており,また配信日数

自体も 4 日間と限られているため,図 7における A・B 群の効果

結果が多少変動する可能性があることに注意されたい.

3.3 高需要時のピーク抑制効果

前項ではピーク需要抑制の平均的な効果について検証し

た.一方で実際のピーク需要抑制プログラムでは,当該期

間における高需要時にどの程度効果が得られるかが重要と

なる.そこで本項では,高需要時の効果も検証した.

図 8および図 9に,それぞれ系統・建物ピーク時間帯に

おける各群の持続曲線に基づく削減効果を示す.各図の左

側に示される削減率が,高需要時の効果を示している.系

統ピーク時間帯における高需要時上位 10 点の A・B・C 群

の削減効果は,それぞれ 8.5%,13.6%,3.1%であり,A・B

群においては平均効果よりも高い効果が得られた4.一方で,

建物ピーク時間帯における高需要時上位 10 点の A・B・C

群の削減効果は,それぞれ 2.9%,3.0%,2.7%であった.こ

差の主要部分はレポートによる効果であると言える. 4 C 群では高需要時の削減率が低めとなっている.また,低需要

時の削減率も低めとなっている.これら傾向を引き起こしている

有力な要因の特定には至っていない.夏季実証以降の傾向とあわ

せて,引き続き観察と検証を行うこととしたい.

図 7 群別の節電効果(a,b)と省エネ効果(c),および 95%信頼区間 (A 群:30 分逓増型+見える化,

B 群:30 分逓増型+見える化+レポート+アラート,C 群:従来型+見える化+レポート+アラート)

図 8 系統ピーク抑制効果の分布

(時点数=平日 23 日×6 時点=138 時点)

12

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Journal of Japan Society of Energy and Resources, Vol. 35, No. 4

れは平均効果と比べて低く,高需要時には効果が低下する

傾向にあると言える.建物ピーク時間帯での高需要時効果

が低い理由として,夏季の建物ピーク時間帯では家族が居

住空間で冷房機器や調理機器などを利用するため,節電行

動が取りにくいからであると推測される.

なお,最高需要発生日は,系統ピーク時間帯では 4 群の

うち 3 群,建物ピーク時間帯では 4 群のうち 2 群が 8 月 12

日月曜であった.夏季実証実施地区では,8 月 10 土曜の日

最高気温 37.6℃(期中 2 位),同月 11 日日曜の日最高気温

39.0℃ (期中 1 位),そして 12 日の日最高気温 35.9℃(期中

3 位)と,3 日連続で猛暑日が続いたため,同日に電力ピー

クが発生したものと推測される.

4. 意識・行動データ分析結果

前章では,電力消費量データの分析結果を述べた.本章

では,節電意識や各種介入の認知・影響に関するアンケー

トデータを分析することで,多面的に効果解釈を試みる.

事後アンケート調査は,夏季実証終了直後に郵送式で実

施した.調査票は協力世帯全体に発送(9 月 12 日)し,締

め切りは約二週間後(9 月 24 日)に設定した.最終的には

全数を回収した.このうち本稿で分析対象とする A・B・C・

D 群は 228 件である.以降では,有効回答数が設問により

若干異なる点に留意されたい.日頃の電気の使い方を把握

している方による回答を依頼し,事後アンケート調査の回

答者属性は次の通りであった.女性の比率が 57%とやや多

めで,世帯主の配偶者が 53%と最も多く,世帯主が 45%で

ある.職業は,会社員・会社役員が 45%と最も多く,次に

専業主婦・主夫が 32%である.30 代が 47%,40 代が 21%

を占め,平均年齢(推定)は 42 才である.

4.1 節電意識

図 10には,夏季実証中の節電意識を比較した.全体平均

では,「とても意識」が 16%,「やや意識」が 59%であり,

節電意識は総じて高い.次に,群間比較をすると,D 群が

低めであるのに対して,A・B 群で高めである.特に A 群

の「とても意識」の比率は,D 群より統計的有意に高い(t

検定,有意水準 10%).料金体系のみ異なる B・C 群を比べ

ると,B 群の意識のほうが高めである.

上で比較した節電意識データは,事後アンケート調査で

たずねた「今夏の節電意識」(=夏季実証中)である.本実

証では,節電意識の差異を適切に検証するため,実験計画

の代表的手法であるプリ・ポストデザインを採用した.す

なわち,6 月に実施した事前アンケート調査で,同一設問

形式により「日ごろの節電意識」(=夏季実証前)のデータ

も取得している.そこで,群と時期の効果を適切に分析す

ることを目的に,実証中の意識を被説明変数,実証前の意

識を統制変数(共変量)として,群の効果に関する共分散

分析を行う.意識データは「とても意識していた」を 5,

「まったく意識していなかった」を 1 とする五件法で,前

後データが有効なサンプルを用いた.

図 9 建物ピーク抑制効果の分布

(時点数=平休日 31 日×6 時点=186 時点)

図 10 夏実証期間中の節電意識

表 3 群ダミー変数による節電意識の共分散分析結果

夏季実証中の節電意識

切片 2.05 (0.30)***

A 群 0.31 (0.15) ***

B 群 0.36 (0.15) **

C 群 0.14 (0.15) ***

夏季実証前の節電意識 0.39 (0.07) ***

𝑛 (世帯数) 226

自由度調整済決定係数 0.13

F 値 9.7

・括弧内は標準誤差

・統計的有意性:*** 1%, ** 5%, * 10%

図 11 節電が意識された時間帯

21% 22%12% 10% 16%

62% 59%63%

53%59%

8% 13%7%

20%12%

9% 6%18% 17% 13%

0% 0% 0% 0% 0%

0%

20%

40%

60%

80%

100%

A群(n=53)

B群(n=54)

C群(n=60)

D群(n=60)

全体(n=227)

まったく意識してい

なかったあまり意識していな

かったどちらともいえない

やや意識していた

とても意識していた

「今夏の節電意識について、もっともあてはまるものを一つお選び下さい。」

(集計対象:全有効回答)

0%5%

10%15%20%25%30%35%40%45%

0~

2時

2~

4時

4~

6時

6~

8時

8~

10時

10~

12時

12~

14時

14~

16時

16~

18時

18~

20時

20~

22時

22~

24時

意識していた割合

A群(n=51)

B群(n=55)

C群(n=60)

D群(n=57)

「節電を意識されていた時間がありましたら、およそで構いませんので、あては

まる時間帯をすべてお選び下さい。」(集計対象:全有効回答)

13

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Journal of Japan Society of Energy and Resources, Vol. 35, No. 4

表 3に示す結果において,群ダミー推定値が正の場合は,

D 群と比べて節電意識向上に寄与することを意味する.い

ずれも正であるが,A 群・B 群については統計的有意な結

果が得られた.特に,最も介入項目の多い B 群の寄与度が

大きく,消費量で観察された傾向と整合的である.

次に,節電を意識していた時間帯を比較する(図 11).サ

ンプル数が十分でないこともあり,統計的有意差を確認す

ることは全般に難しいが,次の傾向が示唆される.第一に,

建物ピーク時間帯(18~22 時)において A・B 群の節電意

識が高めである.同時間帯においては夕食後の団欒等によ

り世帯の電力需要が高まるため,A・B 群に適用した 30 分

逓増型料金のもとでは単価が上昇しやすく,これにより意

識が向上した可能性がある.第二に,系統ピーク時間帯(14

~16 時)において B・C 群の意識が高めである.B・C 群に

対しては系統ピーク時間帯における節電を強調した省エネ

アドバイスレポートを郵送しており,同レポートに対して

B・C 群の世帯が反応したものと考えられる.

4.2 各種介入の認知・影響

4 種の介入それぞれについて,夏季実証中の認知度と,

節電意識への影響を検証する.

(1) 料金体系

本項では,実証期間中の料金体系として 30 分逓増型料金

が適用されていた A・B 群を対象に分析する.図 12 には,

料金体系の認知度を比較する.単価(④)や閾値(⑤⑥)

といった具体的数値を覚えている対象者は多くないものの,

同時使用量に応じた三段階の単価の存在(②)や呼称(③)

といった,仕組みに関する認知度は高かった.

次に,節電意識への影響をたずねた(図 13).「そう思う」

「ややそう思う」をあわせて,B・C 群合計の 83%は 30 分

逓増型料金をきっかけとした意識向上があったと回答した.

B 群のほうがやや多めである.

(2) 見える化システム

本項では,実証期間中に見える化システムが稼働してい

た A・B・C 群を対象に分析する.図 14には,見える化シ

ステムの閲覧頻度を比較する.対象物件ではパソコン・携

帯 電話等からも消費量の詳細データが確認できるが,夏季

実証中は,アクセスするのが「週にほぼ 0 日」という世帯

も多い.他方で,宅内モニタについては,「週にほぼ 0 日」

という世帯は 4%しかおらず,「ほぼ毎日」の世帯が 58%に

達するなど,閲覧頻度が高い.すなわち,夏季実証の「見

える化システム」は,実質的には宅内モニタを指すものと

解釈するのが適切である.

そこで図中には,宅内モニタに特に着目し,群間比較も

示している.最も閲覧頻度が高めであるのは B 群で,次に

A 群である.C 群の閲覧頻度は低めであり,従来型料金が

適用されたことで,瞬時値が表示される宅内モニタへの関

心度が低下した可能性が指摘できる.

次に,見える化システムによる節電意識への影響をたず

ねた(図 15).意識向上に寄与したという回答は A・B・C

群合計で 89%に達する.B 群の「そう思う」の割合は,C 群

よりも有意に高い(t 検定,有意水準 5%).両者の違いは料

金体系であることから,同時使用量にもとづく料金体系が

図 12 料金体系(30 分逓増型料金)の認知状況

図 13 料金体系(30 分逓増型)による節電意識変化

44%

49%

64%

11%

9%

13%

21%

31%

28%

27%

10%

15%

17%

13%

6%

34%

42%

33%

18%

7%

3%

28%

38%

39%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

①基本料金がゼロである

②30分ごとの同時使用電力量に応じた、

三段階の単価がある

③三段階の名称はグリーンゾーン、イエ

ローゾーン、レッドゾーンである

④三段階の単価はkWh(キロワット時)あ

たり約24円、約29円、約40円である

⑤グリーンゾーンが適用されるのは400W

(ワット)までの場合である

⑥レッドゾーンが適用されるのは1500W

(ワット)を超過する場合である

よく知っていた まあ知っていた あまり知らなかった まったく知らなかった

「30分逓増型料金の仕組みについて、どの程度ご存知でしたか。」(集計対

象:A・B群の有効回答;n=107)

32% 33% 32%

45%56% 51%

13%9% 11%

8%2% 5%

2% 0% 1%

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%

A群(n=53)

B群(n=55)

全体(n=108)

そう思わない

あまりそう思わない

どちらともいえない

ややそう思う

そう思う

「30分逓増型料金をきっかけとして、あなたの世帯の節電意識は高まりました

か。」(集計対象:A・B群の有効回答)

図 14 見える化システムの閲覧状況

図 15 見える化システムによる節電意識変化

「あなたの世帯での見える化システムを確認する手段と、その利用頻度をそれ

ぞれお選び下さい。」(集計対象:A・B・C群の有効回答)

1% 2% 1%

58% 58% 64%52%

2% 2% 0%

12% 9%13%

13%

4% 1% 1%

11% 9%5%

17%

28% 5% 3%

15% 19% 13% 13%

57%

77% 82%

4% 2% 4% 5%8% 13% 14%

1% 2% 2% 0%

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%

全体

(n=

16

8)

全体

(n=

16

8)

全体

(n=

16

8)

全体

(n=

16

8)

A群

(n=

53

)

B群

(n=

55

)

C群

(n=

60

)

パソコ

スマー

トフォン

携帯電

宅内モニタ

不明

週にほぼ0日

週に1~2日

週に3~4日

週に5~6日

ほぼ毎日

38% 43%22%

34%

51%52%

63%56%

6% 6% 7% 6%0%0%

7% 2%6%0% 2% 2%

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%

A群(n=53)

B群(n=54)

C群(n=60)

全体(n=167)

そう思わない

あまりそう思わない

どちらともいえない

ややそう思う

そう思う

「見える化システムをきっかけとして、あなたの世帯の節電意識は高まりました

か。」(集計対象:A・B・C群の有効回答)

14

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Journal of Japan Society of Energy and Resources, Vol. 35, No. 4

適用されている B 群では,見える化システムの効果が高ま

っていることが示唆される.

(3) 省エネアドバイスレポート

省エネアドバイスレポートは,B・C 群に配布した(図

16).開封率は,全 5 回両群とも 95%を上回り,全体平均で

99%であり,認知度は十二分に高かった.

次に,節電意識向上への寄与については,全体で 72%が

肯定的だった(図 17).これは料金体系や見える化システ

ムより低めであるが,影響順序でレポートが最後である点

にも留意すべきである.群間差に着目すると,肯定的な回

答の比率が B 群で 85%と,C 群の 59%を大きく上回る.

(4) 省エネアラート

省エネアラートは,B・C 群に配信した.「受け取らなか

った」とした世帯も 16%存在したものの,「ほぼ毎回把握」

が 43%,「どちらかといえば把握」が 20%であった(図 18).

図 19 左側に,アラート受信後の行動実施の有無を示す.

「在宅者はいた(アラートをきっかけとした行動あり)」が

14%,「在宅者はいなかった(アラートをきっかっけに外出

した)」が 5%,一方で「在宅者はいた(アラートをきっか

けとした行動なし)」が 29%であった.つまり,在宅者 5 人

のうち 2 人がアラートをきっかけに行動を起こしているこ

とが分かる.なお,アンケート回答まで一定時間が経過し

ているため,特定日の行動データの信頼性は必ずしも十分

ではないが,日時による違いはほとんど確認されなかった.

図 20右側には「在宅者はいた(アラートをきっかけとし

た行動あり)」回答者の具体的行動を示す.複数回答でたず

ねたところ,サンプル数は 16 件と少ないが,「エアコンを

利用する時間を減らした」が約 6 割,「エアコンで冷房する

スペースを狭くした」と「エアコンの温度を上げた」がそ

れぞれ 3 割前後だった.

5. 考察

本稿では,高圧一括受電マンションに居住する 228 世帯

を対象に実施した夏季実証結果について報告した.30 分逓

増型料金に加え,見える化システム,省エネアドバイスレ

ポート,省エネアラートを提供した B 群で,系統ピーク平

均抑制効果が 11.1%,建物ピーク平均抑制効果が 8.7%,省

エネ平均効果が 6.9%との結果を得た.傾向として,(1)最も

介入項目の多い B 群で効果が高いこと,また,(2)系統・建

物ピーク抑制効果のほうが省エネ効果よりも高いことが示

された.また,系統ピーク時間帯では,高需要時効果のほ

うが平均効果よりも高めであった.

意識・行動変容の検証結果からは,見える化技術が料金

体系と整合的であるときに支援技術として機能しているこ

とや,レポートを追加的に提供することで,ピーク抑制効

果が高めとなった.消費量データ分析結果と同様の傾向が

意識レベルでも見られた.

夏季実証では,協力世帯数が限定的であったため,消費

量データからは統計的に有意な結果は得られなかったもの

の,意識・行動データを含め,ピーク抑制効果に関する各

種傾向が観察された.特に,各種介入を組み合わせること

により 1 割程度の抑制傾向が観察されたことは注目に値す

る.既往 DR 料金実験において報告されている 1~2 割程度

のピーク抑制効果と比べると本稿の結果は小さめではある

図 16 省エネアドバイスレポートの開封状況

図 17 省エネアドバイスレポートによる節電意識変化

90%

91%

92%

93%

94%

95%

96%

97%

98%

99%

100%

第1回 第2回 第3回 第4回 第5回

開封率 B群

(n=55)

C群(n=60)

「あなたの世帯で、実際に開封されたレポートをすべてお選び下さい。」

(集計対象:B・C群有効回答)

27%14% 20%

58%

46%52%

13%

24%18%

2%15% 9%

0% 2% 1%

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%

B群(n=55)

C群(n=59)

全体(n=114)

そう思わない

あまりそう思わない

どちらともいえない

ややそう思う

そう思う

「省エネアドバイスレポートをきっかけとして、あなたの世帯の節電意識は高ま

りましたか。」(集計対象:B・C群の有効回答)

図 18 省エネアラートの把握状況

図 19 省エネアラートによる行動変化

「あなたの世帯では、省エネアラートを把握されていましたか。」

(集計対象:B・C群の有効回答;n=115)

ほぼ毎回把

握していた43%

どちらかといえ

ば把握していた20%

どちらかといえば把

握していなかった3%

ほどんど把握し

ていなかった16%

自分や家族は省エ

ネアラートを受け取

らなかった16%

不明2%

「省エネアラートの節電お願い時間帯

(13:00~16:00)の状況について、あては

まるものを一つずつお選び下さい。」(集

計対象:B・C群有効回答;4日計n=380)

在宅者はいた(ア

ラートをきっかけとし

た行動あり)14%

在宅者はいた

(アラートをきっ

かけとした行動

なし)29%

在宅者はいなかった

(アラートをきっかけ

に外出した)5%

在宅者はいなかっ

た(アラートとは関

係なく不在)34%

覚えていない・

把握していない17%

「省エネアラートをきっかけとして、と

られた行動をすべてお選び下さ

い。」(集計対象:B・C群で「在宅者

はいた(アラートをきっかけとした行

動あり)」の有効回答;n=16)

63%

31%

25%

6%

エアコンを利用す

る時間を減らした

エアコンで冷房す

るスペースを狭くし

エアコンの温度を

上げた

その他

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Journal of Japan Society of Energy and Resources, Vol. 35, No. 4

が,情報提供システムの受容性の高さを考慮すると,実社

会導入時の効果総量が劣るわけではないものと考えられる.

本稿の結果の妥当性については,主に 3 つの点から注意

深い考察が必要である.

第一に,一般世帯と比較して夏季実証の対象世帯の属性

が偏る場合に,過大・過小推計につながる可能性である.

節電率を比較した既往研究 16)によれば,多消費世帯ほど削

減率は大きい.本実証対象での単身世帯が少なめ,世帯人

数が多め,世帯年収が多めといった特徴5に関しては,多め

の電力使用量につながりやすいと予想される.一方で,新

築集合住宅かつ高い断熱性能(次世代省エネ基準に適合)

を有していることは,使用量を抑える方向に寄与する.こ

れら様々な特徴はあるが,夏の電力使用量は東京電力管内

の平均値と大きく解離することはない6.以上の考察のみか

ら需要抑制率が過大・過小であると結論付けることは難し

いので,属性による効果の差異については今後の研究課題

としたい.

第二に,効果の経時的変化である.Allcott and Rogers17)は,

米国 Opower 社によるエネルギーレポートを実証的に評価

した結果,省エネ効果が実証 1 年目に徐々に高まった上で

安定し,レポート郵送を続けた世帯では 5 年経過後も高い

水準を保っていたことを示している.他方で,我が国での

見える化システム実証では実証 2・3 年目の効果が 1 年目

を下回る例もある 18)。

第三に注意すべき点は,実証試験であることによる過大

推計の可能性である.効果が出るよう試験対象者が振る舞

おうとする傾向は,心理学の分野でホーソン効果として広

く知られており,介入項目の多い群ほど過大推計につなが

る可能性が指摘されうる.また,対象世帯を母集団からラ

ンダムに抽出せず自由参加方式で募った場合,協力意向の

高い世帯に偏るバイアスにより過大推計となることが指摘

されている 19).本実証の場合,協力率が 4 割と高く,非協

力世帯との属性差も小さいことから,協力者バイアスはさ

ほど大きくないと思われるものの,留意は必要であろう.

以上のように,抑制効果の妥当性については複数の論点

がある.筆者らは,夏季実証以後も協力世帯を募集してお

り,冬季においても夏季と同様の実証研究を実施する予定

である.統計学的にも確度の高い効果検証を行うことで,

引き続き丁寧な観察と検証を行っていく.

謝辞

本研究は,野村不動産,ファミリーネット・ジャパンが

5 本実証では単身世帯比率が 5%,平均世帯人数が 2.7 人である

が(2.2 節),統計値はそれぞれ 32%,2.4 人である(平成 22 年国

勢調査).アンケート調査では,協力世帯の世帯年収を,およそ

200 万円単位の選択肢式で尋ねている.これから簡易推計すると

平均世帯年収は 741 万円であり,一般世帯の 548 万円(平成 24

年国民生活基礎調査より推計)より高めである.

実施した「スマートマンション・エネルギーシステムに関

する省エネ調査」の一環で,共同研究機関として電力中央

研究所が参画する形で実施しました.対象の高圧一括受電

マンションに居住する協力世帯の皆様には電力使用量デー

タを提供頂くとともに,各種フォローアップ調査にご協力

頂きました.ここに記して深く感謝いたします.

参考文献

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6 実証期間中(2013/8/7-9/6 の 31 日間)の D 群の平均消費量は,

314kWh であった.検針期間の正確な合致はみないので参考比較

にはなるが,東京電力の従量電灯契約口数あたり販売電力量(電

気事業連合会公表の電力需要実績)は,8 月分(8 月中に検針さ

れた量)で 312kWh,9 月分で 293kWh であった.

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