examination sport life management

15
Japanese Society of Management for Physical Education and Sports NII-Electronic Library Service Japanese Sooiety of Management for Physioal Eduoation and Sports 体育 営学研究 16 1 2001 3 13 論文 経営体 関する基礎 考察 生活経営論 11 Theoretical Examination of SportLifeManagement Norihiro SHIMIZUI Abstract The disCipli e of sport adnlinistration proposes to raise the quality of sport ljfe and to creatively develop sport culture In buding an lsystemi g sport administra on theo es itis necessaly to understand the int 1sic value of sport life The pulposes of this paper are to present pattel s of sport life and to examine a sport administratio bo ly that supPorts an active sport 1 b based on critical consideration Of the socializa on of sport lifeby refe g to way of life studies i the social S 〔ユences The maj nd gs c be summ ed as fbUows 1Sportlifeis d ed as the course of satisfying wants and needs fbr sport repeatedly a d continuously T herefore sport lift isdassl ed into f (} ur pattems hl a method for sa s 1g wants Pattem81and IIare self sUflident sport ife Pattems IH and IV are sport life that carried out mostly by a sport management body 2A lesirefbr spo and re oompete ce of seikatsusha dedine8with e sociahzation of sport life Furthermthishas a nega ve uence n the (皿ea 廿n f a sp rtc ure and rga ing sport commu ties 3 In rder t restrain the nega 廿 ve i uences that the s ci a 廿n f sport 1ife exertS itis necessary to promote cooperation of sport life The cooperative movement of sport 8e atsusha certa 1y bec ・皿 es an P rtant s dal sect that 〔= eate an alternative way of sp The lisCiplme of sp rt asminisnrati n nee iStO promote te ・( hs 】血interac n th e sociology of sport and sport pedagogy study g a sport environment that supPolt8 an active spo life for all people 活経営 祉会化 Key w rd sp rt lifelife management s cializati n rf sp 1 金沢大学教育学部 920 1192 石川 市角間Kanazawa University FacUlty of Education Kakuma Kallazawa shi lshikawa 920 1192 N 工工 Eleotronio

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Japanese  Sooiety  of   Management  for  Physioal  Eduoation  and  Sports

体育 ・ス ポーツ 経営 学 研 究 第 16巻 第 1号 2001年 3 月 13

〈 原著論文 〉

ス ポー ツ生活とス ポーツ経営体に関する基礎的考察

一ス ポー

ツ 生活経営論序説一

清 水 紀 宏11

Theoretical Examination of Sport Life Management

Norihiro  SHIMIZUI )

Abstract

  The  disCipli皿 e of  sport  adnlinistration  proposes  to raise  the quality of  sport  ljfe and  to creatively

develop sport  culture . In bu皿ding an 〔l systemi 血 g sport  administra 恒on  theoゴes , it is necessaly  to

understand  the int】血1sic value  of sport  life. The  pulposes  of this paper are  to present pattel皿 s of

sport  life, and  to examine  a  sport  administratio ロ bo〔ly that supPorts  an  active  sport  1匠b, based on

critical  consideration  Of the socializa 缸on  of sport life by refe   皿 g to way  of life studies  i皿 the social

S〔ユences .

  The maj ・・ 丘nd 血 gs c孤 be summ 釦 血 ed  as  fbUows:

  1.Sport life is d血 ed  as the course  of  satisfying  wants  and  needs  fbr sport  repeatedly  aロ d

continuously . T[herefore sport  lift}is dassl血ed  into f(}ur  pattems  hl a  method  for sa 缸s加 1g wants .

Pattem81and  II are  self −sUflident  sport 】ife, Pattems IH  and  IV are  sport  life that蛤 carried  out

mostly  by a sport  management  body.

  2.A {lesire fbr spo 】沈 and 丗re oompete 皿 ce of‘seikatsusha

’ dedine8 with 血 e sociahzation  of sport

life.  Furtherm鵬 this has a nega 価ve 齟 uence ・n  the (皿ea 廿・n ・f a sp ・rt c山 ure  and ・rga 並 ing

sport  commu 血ties.

  3.In 。rder  t・ restrain  the nega 廿ve  i・・且uences  that the s・ci曲 a廿。n ・f sport  1ife exertS, it is

necessary  to promote  cooperation  of  sport  life.  The  cooperative  movement  of‘

sport  8e 止 atsusha’

certa 」・・1y bec・皿 es ・an 血 P・rtant s・dal sect 。・ that 〔= eate ・ an  alternative way  of sp ・就 艷 ・

  The (lisCiplme of sp ・rt asminisnrati ・n  nee 〔iS tO promote 血 te・(hs  】血・鰐 interac傾・n 輌 th 止 e

sociology  of sport and  sport  pedagogy 血 study 血 g a  sport  environment  that supPolt8  an  active  spo 】沈

life for all people.

キーワー ド : ス ポーツ生活 生活経営 ス ポーツ生活の 祉会化

Key  w ・rd : sp ・rt・life  life・management   s・cializati ・n 〔rf・sp ・蛇 雌

1) 金沢大学教育学部  〒920・1192 石川 県金沢 市角間町

   Kanazawa  University, FacUlty of Education, Kakuma , Kallazawa ・shi , lshikawa(920・1192)

N 工工一Eleotronio  

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14 清水 : ス ポーツ 生 活 とス ポー

ツ 経営体 に 関す る 基 礎 的考察

1.緒 言

 宇土が 『体育管理学』を著 し、体育 ・ス ポーツ

経営学の礎を築い てか ら30年の歳月 を経た 。 そ の

間 、ス ポーツ の 推進を意図 した数 々 の 経営研究が

遂行され、研究問題 と研 究方法の 多様化 も著 しい 。

しか し我が国の ス ポーツ 現実は、ス ポーツ 人 口 の

質量両面 で の 停滞に象徴 され るよ うに一種の 閉塞

状況に あ り 、ス ポー

ツ シ ス テ ム は制度疲労に陥っ

て い る41)

と い う。ス ポーツ 経営事象の 解明 に 加え

て 実践的示唆の 提供を任務 とする ス ポ ーツ経営学

が、今後 も現実貢献を果 た し得る学で あるために

は 、今 こそ我 々 の 研究志 向や暗黙 の 前提 とされて

きた思 考様 式そ の もの を改 めて問 い 直す こ とが必

要であ る 。 学的反省は、専門主義の 弊害注 11

を払拭

し、学の 発展 を 目指す にあ た り不可欠の 営為で あ

ると考える注 2)

  社会に関わる諸科学は、「クオ リテ ィ やグ ッ ド

ネス とい う価値基準か ら見 て望ま しい 社会づ く り

の ための 処方箋を提示す る とい う政策科学」 (金

子・松本 1°り の使命を内に含んでい る 。 とりわけ

ス ポー

ツ経営学は 、 経営学や そ の 諸分科 と同 じく

価値追求的性格を強く有して い る。従 っ て 、こ の

価値の 設定如何に よ っ て 認識対象、認識方法など

学的構造は強 く規定 される こ とに なる。筆者は別

稿31)

にお い て 、認識対象た るス ポーツ経営概念の

再吟味を試み 、こ の 立 場 か らス ポ

ーツ 経営学の 基

本価値を 「ス ポーツ生活 の 豊か さ」 及 び 「ス ポー

ツ の 創造的発展 」 と確定 した 。 さ らに 、ス ポーツ

経営学がこ の 基本価値の 実現に向か うた めには 、

ス ポーツ生活経営事象を研 究対象と して 取 り込む

べ き こ とを提唱 し た 。 なぜ な らば、ス ポー

ツ環境

 (ス ポーツ 生活財 とス ポーツ経営体)が い か に整

備 され よ うと もこ の 環境 との 相互作用を通 じて豊

か さの 実現 を図 るの は、ス ポーツ 生 活者 (ス ポー

ツ生活を創 り出す主体)に よる生活経営の営み に

他な らな い か らで あ る。 こ うし た立場か らス ポー

ツ経営学の 理論体系を整備 しよ うとす るならば、

ス ポーツ 生活がそ の 主体で ある ス ポーツ 生活者に

よ っ て どの よ うに形成 ・維持 ・発 展 され るの か 、

そ もそ も豊か な ス ポー

ツ生活 とは何か等 、ス ポー

ツ 生活をめ ぐる基本的問題 へ の 理論的回答は 不可

避で ある。本稿は 、ス ポ ーツ 生 活経営論定立の た

めの 前提的課業 として 位置づ けられる 。

 人 と運動 ・ス ポーツ との 関わ りを生活の 観点か

ら把握 しよ うと した試み は 、 宇土が提起 した運動

生活概念が端緒で ある。 宇土40)

(p.40)は 、 体育管

理 ・体育経営の 目的を運動者の 利益にお き、運動

生活 の成 立 ・形成をそ の た め の 基礎条件 とした。

また同時に こ の 運動生活 概念は 、 特定の 組織体に

よる体育 ・ス ポーツ経営の 改善に貢献する こ とを

直接的動機 として 提起 された 。こ の た め運動生 活

の 操作化にお い ては 「体育事業の 考え方や運営の

工 夫を進める亅 (宇土4°〕

p. 103)の に役立 つ 情報 を

得る必要か ら 、 経営体の 提供した事業と運動者 と

の 関わ りの 局 面だけが抽象 され た。しか し、ス ポ

ーツ生活の 形成 の ために必要なス ポーツ 生活財 は、

ス ポー

ツ 経営体の供給す るサービ ス 財に限定 され

るもの で はない し、そ もそ も運動生活概念では ど

の よ うに して個人 の ス ポーツ 生活が形成 され る の

か を解明す る こ とはで きない。 こ うした事情か ら

宇土の 運動生活概念は 、 豊か な ス ポーツ生活 の 全

体的把握には 自ずか ら限界を有して い る 。

  ス ポーツ経営学は一

面で は ス ポーツ 生活 を支援

する ス ポ ーツ環境の 在 り方を探究す る研究分野 で

あり、よ っ て 、ス ポーツサービ ス の 生産及び これ

を担 う 「ス ポーツ経営体の 科学亅 (武隈35り として

規定され て きた 。 しか し、「良い環境も良い 制度 も、

生活手段の 開発 も、 生活者の 生活 を豊 かに して こ

そ意義が あ る 」 (吉野44)

p.15)の で あ り、 ス ポー

ツ経営学の 研究成果が ス ポーツ 生活の豊か さに結

び っ くた めには、ス ポーツ 生活の 営みそ の もの を

解明す るこ とが基本的前提 となろう。さらに、ス

ポーツ経営体論や事業論に つ い て も、現に存在す

るか らとい う理 由だけ で既存の 組織や事業を研究

対象に措定しその効果性を追求するだけで なく、

ス ポーツ 生活の 立場 か ら どの よ うな経営体や事業

の 存続 ・発展が必要なの か を考究す る こ とも実践

理論科学 と して の ス ポーツ経営学の 課題 で ある と

考える。

  ところで 、 生産の 論理か ら生活の 論理 へ の 転換

を図 り 、 人 間生活 を基点 と した社会 ・経済シ ス テ

ム の構築 に向け て 社会諸科学が学的再編を進め っ

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体育 ・ス ポーツ 経営学研究 第16巻 第1号 2001年 3 月 15

つ ある 。 生活 へ の 関心は 1970年代 の 環境 ・資源問

題等 い わゆ る現代的貧困の 現出を契機 と して高ま

り、豊かな社会の 本質は 、 新 しい 貧困に彩 られた

病理社会であるこ とが認識 された 。 経済的繁栄の

中に発 生 した生活の 危機、人間疎外的状況の 解決

要請か ら 、「豊か さ亅を根本か ら問 う新 しい 生活様

式の探 究は社会諸科学における国際的動向の一

とな っ て い る。こ の 論議の 中には 、生活の 立場か

ら改めて生産や社会の 構造 ・様式を捉え直し 、 現

代の 支配的生活様式 に代わ る新 しい 生活様式 へ の

転換こ そ が豊か さの実現には 不可欠の 要件で ある

とする主張が強 く打ち出されて い る。

 そ こ で 本稿で は、まず ス ポーツ欲求 の 充足過程

と定義 され るス ポーツ 生活の 類型 を提示 する 。 次

に 、 社会諸科学における生活研究、特に生活様式

論に依拠 しな が らス ポーツ生活の社会化概念 を提

起 しそ の 批判的考察を行 う。 最後 に社会化 の 逆機

能を克服する一

っ の 方式 と して 「生活の 協同的 自

己組織化亅 (佐藤za))の 意義を再確認 し 、

ス ポー

経営学にお けるス ポーツ経営体論の在 り方に つ い

て 検討する 。

n .生活研究の概観 と研究の 前提

 橋本s)(p. 17)、吉野

44》(pp.27−29)に よれ ば社会

諸科学にお ける生活研究の 系譜 には 2 つ の 流れ が

識別 され る 。

一つ は 、マ ーケテ ィ ン グ論 にお け る

ライフ ス タイ ル (life・style )研究注 3 )で あ る。 こ

の領域 の 関心 は消費者 ニーズ の 変化 に 対応 し、こ

れ に適応 しうる販売戦略の構築、また消費者の 生

活全般を企業 の 営利活動の領域に し よ うとす る市

場拡大志向 と結び つ い て い る 、 要するに経営体の

論理 に基づ く関心で あ り、そこ で は企業戦略へ の

応用研 究が先行 し、生活その もの を い か に捉 え、

生活改善を ど う考えるかは問題 とされない 。

 第二 の 系譜は 、 現代にお ける 「支配的な生活様

式 (Dominant  Ways of  Life:DWL )」 の 問い 直 し

とそれ に代 わ る 「新た に 選 択 す べ き生活 様式

(Alternative Ways  of  Life : AWL )」 の 探索をめ

ぐる論議で あ り、経済学 ・社会学 ・生活 科学の 生

活様式論や生活構造論がこれに該当する。物質的

財貨の 生 産 を専 ら対象 として きた経済学で は 、

「生産の 意味内容を間 う」 (角 田9) p. 292)ために

生産様式の 対概念 として 生 活様式概念が使用 され 、

これを経済学 の 性格や在 り方を基礎づ ける概念と

し て位置づ け る こ とに よっ て、生命再生産を経済

理論の 中に正 当に組み 入れ よ うと して い る 。 経済

学的生活様式 とは、生活の 経済的側 面を抽象した

「人間と生 活手段 との 結合の 仕方」 (角 田9〕p.95)

で ある。 生 活様式論の 課題 は 「何 よ りもまず現代

資本主義に おける 国民の 生活 様式を批判的に解明

し、それ とは 異なるもう一

つ の進路を示す こ と」

(角田9)p.291)で あ り、究極的に は 人 々 の 生存の

自由や生活権 を保障する経済シ ス テム とは どの よ

うな もの で あ る の か を明 らか にする こ とが 目指 さ

れて い る。

 次に、社会構造の 分析を任 じてきた社会学では 、

社会構造の 対 概念 と し て 主 に 生活構造概念が用 い

られ、経済開発 に伴う社会生活の危機打開の ため

に社会計画論 (社会政策論)や都市社会学の領域

で新たな生活 の 在り方を展望 し うる理論 の 進化が

要求 された。生活の社会的側面に力点 を置く社会

学的生活構造概念17】19)24) 33)38)

は 、生活 にお ける

個人と社会の 関係 (社会諸関係)とこれ を媒介 と

した社会財整 序に ス ポ ッ トが当て られて い る 。

  「本当に豊か な生活 とは 何で あるか を明らか に

し て い く学問亅 (西 山23りと して成立 した生活科学

(生活学)で は 、「生活 の 仕方」を生活様式 と規定

す る 。 生活の 仕方とは 、一定の 生活 手段等を活用

して一定 の 状況 の 下で 、で きるだけ うま く生活要

求・生活 目標 を実現 し て い く営み で あ る とされ る 。

吉野44)(p.223)に よれば、人間の 立場に立 つ 「良い

生活」の 実現 に関する科学理論が生活科学であ り、

よ っ てそ の 中心 的課題は 「生活を全体 と して捉え 、

よい 生活 の 仕方、よ い 生活様式を存在させ 、保障

させ て い く主体的 ・客体的 (環境的)条件を明ら

か に し、整 えて い くこ とに あ る」 とい う。

  以上、 2 つ の 生活研究の 系譜を経営学的に解釈

すれ ば、第一

の 系譜は経営体の 存続 ・繁栄を価値

基準と し 、こ れ に応え る経営技術論の 展 開を志向

す る流れで ある 。 他方 、 第二 の 系譜は、いずれも

豊か な生活を価値基準 と し 、 現代の 人 間生活 とこ

れ を生み出 した社会 ・経済シ ス テ ム に対する批判

的検討を経て 、新 しい 生活様式を軸 とした社会シ

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16 清水 : ス ポーツ 生活 とス ポー

ツ 経営体 に 関す る 基 礎的考察

ス テ ム の 再構築を志向す る。換言すれ ば、「生活原

点主義」 (吉野44)

p.13)に 立脚 した経営の 在 り方

その もの を問い 直す流れ であ る と見做す こ とが で

きよ う。

 本稿で は 、豊か なス ポー

ツ 生活の 基礎的考察を

基盤 とした環境醸成型理論 として の ス ポーツ経営

学の 再構築を意図 して い る。そ こ で こ れ 以降は 、

第二 の 系譜に属する生活理論 の 知見 に依拠 しなが

ら論を進 め るこ ととす る 。

皿 .主要概念の 定義

 ス ポーツ 生活に関わる本格的論議に先立 ち、そ

の 前提となる諸概念 を検討 し てお きたい 。

1. ス ポーツ 生活

 一般に人 間の 生活 は、環境 との 相互作用 を通 し

て 営まれ る 。 従 っ て 、全 て の 生活現象 の 中 か ら ス

ポーツに 関わ る局面を切 り取 っ て成立する 「部分

的生活」 (住田34り として の ス ポー

ツ生活 とは 、 最

も広義に は、生活にお け る ス ポーツ との 相互 作用

や関わ り方 を指す 。 即ち 、 どんな ス ポーツ を、ど

こ で 、誰 と 、 どんな 目的で 、い っ 、どん な方法で

行 うかな ど生活 へ の ス ポーツ の 取 り入 れ方の 組 み

合わせ で ある 。 しか し こ の 定義は 、ス ポーツ 生活

の 静態 的側 面を表 し た もの で あ り、一方で 生活 は

「生活要求 (目標)の 実現過程」(吉野ω

p.6) 「欲

求主体の 反復的 ・継続的欲求充足過程 」 (森岡20り

と定義 され るよ うに動 的な過程で もあ る。こ の 側

面 を照射すれ ば 、ス ポーツ 生活 とは生活におい て

生 じた ス ポー

ツ に関わ る欲求や必要を継続的 ・反

復的に充足する過程 として捉えられる。

2.  ス ポーツ生活財 ・資源

 ス ポーツ 生活を営むの に有用な使用価値を持 っ

モ ノや資源 。こ れ に は 、 交換価値 を持 つ もの と持

たない もの 、物財 とサービ ス 財の一

切を含む。更

に 、他者 (個人や集団 ・組織)が生産 し た も の だ

けで なく、生活 者 自らが生産 した もの や生活者が

保有す る資源 (身体資源や知識 ・ノ ウハ ウ) も含

まれる。

3. ス ポーツ生活者

 ス ポ ーツ 生活 の 過程 を担 う生活経営の 主体を表

す概念で ある。 天 野)に よれ ば生活者 とは、「時代

の 支配的な価値か ら自律的な、い い か えれ ば対抗

的 (オル ター

ナ テ ィ ヴ) な生活を隣 り合 っ て 生き

る他者 との 協同行為によ っ て 共に創ろ うとす る個

人」 とい う人間の 「理想型」 を指示する用語 であ

ると い う。こ の意味で ス ポーツ生活者は 、 商品 ・

サー

ビ ス の受動的な消費者で はなく 、 商品 ・サー

ビ ス の 利用を伴わない で ス ポーツ生活を営む者 も

含 め て 、ス ポーツ 生活 の 豊か さを主体的 ・協同的

に追求 ・実現す る人間で あ る。また、生活文化 と

して の ス ポーツ の創造 (生産)に参加す る文 化創

造の 主体で もある。

4.  ス ポーツ生活シス テム

 松本14 )

に よる生活体系の 定義に 依拠 し 、ス ポ

ーツ 生活シ ス テ ム を、ス ポーツ 生活者が

一定の 目

標を持 っ て 社会的諸関係を取 り結び 、 こ の 諸関係

を媒介 と し て ス ポーツ 生活 財 ・資源 を獲得 ・変換 ・

享受す る とい う生活行為 の 体系であ る と定義する。

5.  ス ポーツ生活様式

 生活様式概念は 、 個人では なく特定の 地域や集

団に見出される生活の仕方を指す用語 と して使わ

れ るケー

ス が 多い (例え ば、宮本18〕

、 森岡19)、 吉

野44り。そこ で ス ポー

ツ生活様式を 、 特定の 社会な

い し集団 の 成員に共有され た ス ポーツ 生活シ ス テ

ム と定義す る。

IV,ス ポー ツ生 活の類型

 上述 の ス ポーツ生活及び ス ポーツ 生活様式の 定

義か ら 、 ス ポーツ欲求の 充足方式に よ っ て ス ポー

ツ 生活 を類型化す る こ とが可能で ある。図 1 は 、

あ る人間にス ポーツ欲求ない し必 要が生 じた場合、

それ を どの よ うな方法で充足 させ る こ とが可能か

を パ ターン として示 した もの で ある (こ こ で は ス

ポーツプ ロ グ ラム の 生産 と享受によ る欲求充足の

局面に焦点を当て た)。ス ポーツ 生活経営は 、ス ポ

ーツ 生 活にお ける欲求とそ の 充足 との 橋渡 しを担

う営み31)で あ る か ら、 図 1 に示 す 4 類型は、い ず

れ もス ポーツ 生活経営の 発現形態を表わ して い る

こ とになる 。

 まず 1は 、あ る個人 が 自らプ ロ グラ ム を生産 し、

それ を 自分 自身で享受する とい う形態で あ る。具

体的に は 、家の 中で体操を した り、近隣を歩い た

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体育 ・ス ポーツ経営学研究 第16巻 第1号 2001年 3月 17

〈  工  〉

スピ一サツ一ボス離◎

〈 ∬ 〉

  衣食住などに対する欲求をもっ

享    受

スビ一サツ一ボス

呷……………199・O疊・..受

・・齢.・.享

..

  

璽〈 皿 〉

享   受

継 箪 一

、.....。...畳冊●・...,........・.鹽幽.開匿..噂一暉闘鯛開明.。..曜.        享    受

  用意した道具・器具などを用いて加工・利用などをしたりして、

最終的に使用できる品物や状態などにする

< rv >

生活者

消費者

緊 籌 iil▲ 傘

<・ …

消 費

ス ポーツサービス C

ス ポーツサービス D

生 産

  それらを使用し、欲求を充足させる

図 2  生活の営みの過 程 (衣 食住生 活 の 場合〉

図 1 ス ポーツ生活の 類型

り ・走 っ た りとい う方法であ る 。 次に 皿は、 2人

以上 の 人 間が協力 し て プ ロ グラム を生産 し 、 それ

をみ ん なで 享受す る とい う形態で あ る。例 えば、

父親が公 園で子供 とキ ャ ッ チボール をした り、友

人や複数家族でサイク リン グに出か けるなどは こ

の パ ターン に含まれ る 。 以上 の 1 と n の類型 は、

い ずれ も自分あ る い は 自分た ちで プ ロ グラ ム を生

産 し、生産 し た人 自身が それ を享受 して欲求を充

足す る形態で あるか ら、 自給自足的 なス ポーツ 生

活様式 と し て 整理 で き よ う注 4)。 そ して、こ の 2 つ

の 欲求充足形態は、こ れ まで ス ポーツ経営学で は

殆 ど関心 を寄せ て こ なか っ た ス ポーツ生活経営事

象で ある。続い て m は 、複数の 人間が 共通 の 目標

を持 っ て 組織 を成立 させ 、こ の組織が 主体とな っ

てプ ロ グラ ム を生産 し、組織 の一

部あるい は全部

の メ ン バ ーがそれ を利用 して 欲求充足に至 る形態

であ る 。 こ の 類型 に は、近年社会的関心 を集 めて

い る運動者組 織 (地域ス ポーツ クラブ連合組織や

総合型地域ス ポーツ クラブ)が対応するで あ ろ う。

IVは 、公的あるい は私的セ クターとして の ス ポー

ツ 経営体 (専門組織)が、プ ロ グラム を専門的に

事業活動に よ っ て生産 し 、 生産 され た複数の プ ロ

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18 清水 : ス ポー

ツ 生活 と ス ポーツ 経営体 に 関す る基礎的考察

グラム の 中か ら個人が選択消費 して ス ポーツ を享

受す る形態で ある 。 生産 と消費が完全に分離 した

こ の パ ターン は 、

ス ポー

ツ経営研究の 主流をな し

て きた充足形態である 。

  こ こ で ス ポーツ生活の 豊か さを考える際の 重要

な視点として 、 生活過程の 代替に つ い て触れ てお

きたい。 人間の 生活要求は 、 幾つ か の 段階を経 て

成就され る。澤井29)

は衣食住生活を、欲求の 発生

か ら充足に至る 7段階か らなる過程 として把握 し

て い る (図 2 )。こ の 内、  は 管理 的過 程 、   〜 

は手段的 ・準備的過程、  は最終消費で ある。以

前は、こ の 7 つ の 段 階す べ てが家の 中で 家族メ ン

バ ーの 協同に よ っ て 営まれ て い た の で あるが 、社

会的分業の進展 、 特に産業化に連れて代行不可能

な    を除 くプ ロ セ ス の 多くが 、 他者に代行 され

る よ うにな っ た 。 こ の よ うな現 象が 「生 活過程 の

代替亅 で ある 。 こ の 生活過 程 の 代替 の 観点か ら、

上記皿及び IVの 類型 は 、派生経営に よ っ て ス ポ ー

ツ生活過程 (ス ポーツ プ ロ グラ ム の 生産)が代替

され る生活類型で ある と解する こ とが で きる (皿

は 共的セ クター、IVは私 的 ・公 的セ ク ター

に よる

代替)。

 以上に示 したス ポーツ 生活の類型か ら、個別的

な ス ポーツ経営体 の 提供す る ス ポーツプ ロ ダク ト

の利用 ・消費は、ス ポーツ 生活 を形成する た め の

一っ の ル

ートに過 ぎない こ とにまず留意 しなけれ

ばならない 。 個人 の ス ポーツ 生活に 寄与する経営

体 (生活の代替組織)は複数存在す るの に加えて 、

そ こ か ら供給 され るサービ ス に依存せ ずにス ポ

ツ を生活の 中に取 り入れ るこ とも充分に可能なの

で ある (1及び 皿の 類型)。

 現実の ス ポーツ生活は、上記の 4 つ の 充足形態

の 組み合わせ に よ っ て 営まれて い る と考えられ る。

そ こ で 、 こ の ス ポーツ 生活の類型をふ まえて、わ

が国における一般的 ・平均的な ス ポーツ 生活の 現

実を世論調査注5》の 結果か ら概観 して みた い。 ま

ず、運動 ・ス ポーツの 実施率は約 6 〜 7割で あ る

が、こ の 内 、 ス ポーツ経営体か ら の 各種サービ ス

財を利用 して ス ポーツ を行 なっ て い る者、っ ま り

先の IVの 形態で ス ポーツ欲求を充た して い る者は 、

必ず しも多くない (ス ポーツ行事参加率約 2割 、

ポーツ教室参加率約 1 割、クラブ加入率約 2 割)。

また、ス ポーツ の 実施意向を示 す者は 6 割を越え 、

全 く行な う意志の ない 者は 2割 にも満たない に も

拘わ らず、ス ポーツ サービ ス へ の 参加意向は低 く

(「参加 した い とは思 わない 亅 と回答した者の 割

合 : ス ポ ーツ行事約 4 割 、 ス ポーツ教室約 6割、

ス ポーツ クラブ約 6 割)、さらに こ の 傾向は数十年

殆 ど変化 して い ない。 即ち、IVの 形態で の ス ポー

ツ生活を 望む者 は意外 に少なく、サービ ス が提供

されて もそれを利用す る意志の ない 者がい か に多い か がわ かる 。

 次に、ス ポーツ 実施種 目を見 ると、体操 ・ウォ

ーキ ン グ ・軽い 球技が上位を 占め て い る。これ ら

の 種 目 は 特別 に ス ポーツ施設やサービ ス が整備 ・

供給 され なくて も実施可能で あ り、ス ポーツ を行

な う場所 に して も公園、道路 、 家の 中や庭な ど身

近 な場 (関係的運 動施設 )があ げ られ て い る。 さ

らに 、ス ポーツ を行な う仲間 として は家族が トッ

プ である 。

 以上 の 調査結果か ら、図 1 の 中の 1や 皿 の パ タ

ーン を採用 して ス ポーツ生活を営む人 々 が多い こ

とが まず確認で きる 。 ま た、必ず しも多数派 とは

い えない ス ポーツサービ ス の潜在的利用者に対 し

ては 、 派生経営における事業論 の 進展によっ て 対

応可能で あ るが、相 当数存在す るサービ ス の利 用

意志 の な い 人々 の ス ポ ーツ生活 に つ い て は研究関

心が向け られ て い ない 。 こ こ に、ス ポーツ生活者

の ス ポーツ 生活経営現象をス ポーツ 経営学の研 究

対象と して 取り上げる こ との 意義 を見出す こ とが

で きる。

 ス ポーツ経営学で は、ス ポー

ツ事業を媒介とし

た経営体 と運動者 との 結びつ きに焦点が 当て られ

て きた 。 こ の前提 に立 つ 限 り、

一人

一人の ス ポー

ツ生活は 、 経営体 の 提供するサー ビ ス の 量及 び質

に規定されるこ ととな り、 良質の サービス をい か

に 生 産 し こ れ をい か に生活者に利用 させ るか に研

究関心を限定 して きた。しか し全て の人の 豊か な

ス ポーツ 生活を保障 し うる環境 を醸成するために

は、ス ポ ーツ生活の 類型 1〜皿 を視野に 入れ た ス

ポーツ 生活財および経営体の 配置 と役割を検討す

る必要が あるの で は なかろ うか ts6)。

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体育 ・ス ポーツ 経営学研究 第16巻 第1号 2001 年 3月 19

V .ス ポー ツ生 活の社会 化に 対す る批判 的

  検討

1.  ス ポーツ 生活の過程

  ス ポーツ 生活は どの よ うに し て 形成 されて い く

の で あろ うか 。ス ポーツ 生活過程を理解す るこ と

は 、 こ れ を支援す る環境を醸成する理 論形成の 基

台 と して 欠かせ な い 基本的認識で ある。そ こ で ス

ポーツ 生活の 社会化に関する考察に先立 っ て 、そ

の 考察の 基礎 となる生活過程を検討 して お きた い。

図 3 は 、「生活 の 営み の 過程」 (澤井2帥)及び 「食

文化 シ ス テ ム の フ レーム と機構」 (加藤 ω )を参考

に ス ポーツ生活 過程 を概略的に定式化 したもの で

ある注 T)

。尚、こ の モ デル は、生活財の 獲得 ・処理

に よ っ て ス ポーツ欲求を充足 して い く過程 を生活

の 営み と捉 え る観点か ら図式化 したもの で あ り、

加え て 、社会の 専門的機関 ・組織か ら提 供 され る

ス ポーツ サービ ス の購買や利用 に極力依存せ ず 自

律的に ス ポーツ 生活 を創 り上 げる過程 (ス ポーツ

生活の 類型 ll) を示 して い る。

 まず、ス ポーツ 生活の 営み は ス ポーツ欲求 (こ

んな ス ポーツ をこんな風に したい とい っ たある

定の 方向性をもっ た欲求)の発生 を出発点 とする。

第二 段階で は、こ の 欲求を充足 させ る の に必 要な

ス ポ ーツ 生活財 、生活資源が調達 される 。 例 えば 、

明 日の 朝、屋外で 何 らか の ス ポー

ツ を行 なお うと

A

[園↑

B

する場合には、人 (仲間)、ス ポーツ に必要な道具

や衣服、どこ で どん な ス ポーツ がで きる の か 、 明

日の 天気はどうか など とい っ た情報 、ス ポーツ を

するの に費やす時間な どを工 面す る 。 続い て 、新

た に調達 した生活財及 び生活者が あ らか じめ保 有

して い る生活資源等 を活用 して、活 動の 計画化 と

組織化 とい う活動が続 く。特に 計画化には、一

に練習計画や活動計画 とい われ る もの の 決 定 と、

ス ポーツそ の もの の選択や工 夫 (ル ール 等) とい

っ た活動が含まれ る 。 次に 、ス ポーツ を行な うた

め の準備を し、ス ポーツ実践に移る 。

ス ポーツ実

践の 中には運動行動以外に 、 例え ば 、 チーム ス ポ

ーツ の よ うな場合、戦 い 方の決定や ポジ シ ョ ン の

決定 、 ゲーム の 反省などス ポーツ 実践の 質を高め

る一連 の 意思決定過程が含まれ る e 次に 、 後始末

を し、自分の た どっ た 生活過程の 評価を して 、 次

の 生活 過程に フ ィー

ドバ ッ ク され る。こ の 一連 の

過程 を経る こ とに よっ て 、ス ポーツ 生 活者には新

た な資源 (諸知識や身体資源など)が蓄積 され る。

これがお お よそ の ス ポーツ生活の 営み の 過程で あ

り、こ の プ ロ セ ス が繰 り返 し反復 され 、逐次修正

を施すこ とによ っ て安定した ス ポーツ 生活の パ タ

ーン が形成 される。

2.  スポーツ生活の社会化

 社会諸科学の 批判的考察 の 対象 とされ る現代生

活様式は、経済学にお い て資本主義的生活様式、

C

    生 活 財 ・資 源 の 譌 遮

  モ ノ (活 動 場 所 と 用 具 類 )

  ヒ ト (仲 閃 )

  カ ネ (他 の 資 源 の 網 達 手 段 )

  情 報 (活 動 の 内 容 や 進 め 方 )

  時 間

    虫 活 財・資 珮 の 活 用

  計 画 化

  ● 活 動 内 容 と 手 順 の A 体 化

  ● ス ポ ーツ 内 容 の 具 体 化

    (ル ール の 工 夫 ・創 遭 )

  組 織 化

  生 活 過 程 の 評 価

  資 源 調 達 段 階 の 評 価

  費 源 活 用 段 階 の 評 価

G

↓後 ス ポ ーツ 実 践 実 践 の た め の 準 傭 過 程

始   戦 略 策 定   活 動 場 所 の 整 備

末   ス ポ ーツ に お け る 役 割 の 決 定   活 動 内 容・方 法 の 共 有

  ス ポ ーツ 実 践 の 反 省

・評 価

F E   1  / E   2 D

ユE→D一G→B→A

                仕 会 化 の 内 容

      最 終 消 費     {1 / E2 − F −− G

図 3 ス ポーツ 生活 (経営)の過程

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20 清水 : ス ポーツ 生活 とス ポーツ経営体に 関する基礎的考察

社会学にお い て都市的生活様式 と称される 。 資本

主義的生活様式 とは資本に よる生活過程 の 包摂に

よ っ て 特徴づ けられる高度資本主義社会に独 自な

生活様式で ある 。 現代生活様式は、生活手段及び

関連諸サー ビ ス の一

切が資本の 余剰価値を実現す

る生産物 と して 生産 され、人 々 の 生活が 商品 の 消

費経済単位 と化するこ とに よっ て、生活過程の 全

局面が資本の 営利対象 として包摂 され る こ とを主

要なモ メ ン トとする 。 他方、都市的生活様式とは、

生活問題が専門機関群 (公 的 ・私的専門機関)か

ら供給され る専門サービ ス を媒介 として処理 され

る度合の高い 生活様式で ある 。 即ち 、 生活の た め

の 社会財整序が専門的サー

ビ ス の 整序に偏 る こ と

を特質 とす る生活様式で あ る。 こ うした経済学及

び社会学の 生活様式論に共 通する鍵概念が、生活

の 社会化 (消 費の 外部化)で あ り、現代生活様式

の本質は生 活の 社会化の進展 として把握 され て い

る 。 松村15)に よれ ば 、 今や生活 の 社会化 は生活 の

基礎 的部分 (衣食住)か ら創造的部分 (余暇 ・教

育 ・交際)にま で進行 してお り、ス ポーツ もその

例外 で はな い 。

 生活の 社会化 とは、人 々 の 生活要求が家庭 内部

で は充足で きな くな り 、 私的な形 態か ら家庭の 外

部 に移 されて社会的 ・協同的な形態 へ 変え られ る

過程 を指 して い る 。 こ の意味で 、先に触れた生活

過程 の 代替 とは生活 の社会化 と同義で ある 。 従 っ

て 、ス ポーツ 生活の 社会化 とは 、ス ポーツ生活過

程の 全部または一

部分が社会の 機 関や組織に よ っ

て担 われ るよ うにな る傾向で ある。祉会化 の 担 い

手 には 、 全て の 派生経営体 (私的 ・公 的 ・共的組

織)が含まれ る。先に提示 した ス ポーツ 生活 の 4

類型 との 関連で い えば、ス ポーツ 生活 の 杜 会化 と

表 1  「ス ポーツ 生活の社会化」 の 逆機能一現代生活様式 に 関わる批判的諸説 か ら一

現代的生活様式 の 諸問題 ス ポーツ 生活 の 社会化 (産業化)の 影響

  文化 享受の 経済的格差 の 拡 大   ス ポー

ツ 享 受の 経済 的格差人   最終消費 (目的的 消費) へ の 偏重   ス ポー

ツ の 目 的的過 程 (ス ポーツ 実践 )への 偏重づ 商品消費者への 一面化→生 産 ・創 造の 喜び の 減退 ス ポ

ーツ 消費者 へ の

一面 化

く   欲 望の一

面的肥 大化   商品 化 され やす い ス ポ ーツ への 偏 りり   生 活 能力 ・技術 の 衰退   ス ポ

ーツ 生 活 能力や 技術の 衰退

  資本 に よる生活まる ごと支配   ス ポーツ 産 業の 提案 する ス ポーツ ライ フ の 該提 供 者→ス ポ

ーツ 生活に お ける 主 体性 の 欠 如

  買い 手責任原則 の 不成 立→消費者 問題の 発 生   ス ポー

ツ サー

ビ ス で は と りわ け 消 費者に よ る合 理 的

判断 が 困 難

文  文化創造主体と して の 自己形成の 危機

  文化の 画一

化 ・一面化  ス ポ

ーツ 文化創造 主体 と して の 能力 発 揮機 会 の 喪 失

  供給 され る ス ポーツ の 跛行 性化 づ   モ ノ の 本質的部分の 追 求 より も表 層的部分への 重 視   ス ポーツ 商品の 二 次 的 ・

周 辺 的価値 の 重 倶

く   商品消費者への 一面化→文 化生産 過 程 か らの 疎外   生活文 化 として の ス ポー

ツ 成 立 基 盤 の 剥 奪

り   文化的質の 商品 品 質への 依存   ス ポーツ文 化 生産 の 資 本 依存

社 づ

会 く  共 同 体の 解体

  社 会 的ア ン バ ラ ン ス

  ス ポ ーツ の 私 的消 費 の 繁栄一・協同 行 為の 不 要化

  公 共財 ・サー

ビス の 立 ち遅 れ

り   家族機能の 弱体化 ,

人間生活

の 営み

一 概念{

「消 … ・{

                       スポー ツ環境の生産

灘灘:瀦(最終消費)

     図 4   二 種類の 生産

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体育 ・ス ポーツ経営学研究 第 16巻 第 1号 2001年 3月 21

は、 1皿の 形態か ら皿 V の 形態 へ の 重点の 移行を

指 して い る。 また 、 社会化 が 私的セ ク タ ー (ス ポ

ーツ 企業)によ っ て担われ る場合が、ス ポーツ の

産業化で ある 。

3. ス ポーツ 生活の社会化 をめ ぐる本質的問題

 生活の社会化は、「生活手段の多様性、快適性 、

利便性を増大 させ、一

面で は人 間の 消費能力を高

め 、 生活欲望 の 多面的充足 を可能にする とい う進

歩的側面」 (成瀬n )

 p.139)を持 っ て い る。 しか し

大方の 生活様式論にお い て、 生活の社会化は 生活

上 の 諸矛盾を生み出す根源的要因 として 批判の 的

に されて い る 。 で は 、 現代 生活様式に内在する現

代的貧困 とは一

体何か 、ま たなぜ生活 の 社会化が

そ うした諸問題を引き起 こ すの か 。 こ こ では生活

様式に関す る批判的諸説 を参考に しなが ら、ス ポ

ーツ生活の 社会化がもた らす ス ポーツ 及 びス ポー

ツ 生活 へ の 影響に っ い て 検討す る。

 表 1 は、ス ポーツ 生活の 社会化、特に産業化の

進展が どの よ うな問題を 生 じさせ るか (発生可能

性 も含めて)を示 した もの で あ る 。 表の 左側部分

に は、生活様式 論 (橋本8}、角 田

9)、松村 ・岩田・

宮本IS〕、成瀬

22)、佐藤

27)、 富沢

39)、 吉野

ω )に お

い て指摘されて きた現代生活様式の抱 える問題点

を人 づ くり、文化づ くり、 社会づ く りの 3 つ に 大

別 して 整理 し 、 表の 右側に は ス ポー

ツ 生活 の 社会

化が及ぼす影響に つ い て 3 つ の観 点に対応 させ て

い る。紙数の 制約上 、 個々 の 問題点に言及する こ

とは で きない が こ うした問題点の整理か ら、ス ポ

ーツ生活の社会化 とりわ け産業化 の進展 によっ て 、

ス ポーツにお ける人づ くり、文化づ く り、社会づ

くりが阻害され る状況が創 り出される と推察され

る 。 さらに 、ス ポーツ を商品化す る企業はそ の 存

続 ・ 発展 の た め に、こ うした問題の 幾っ か を意図

的に創 り出 して い る こ とも明 らかで あ る注8〕

(例

えば表中の           な ど)。そ こ で 、各観点に つ

い て、ス ポーツ 生活の社会化が負の 影響を及ぼす

メ カ ニ ズ ム に論 及 し て み た い 。

1)人づ くり

  人づ くりに関わる問題 とは 、ス ポーツ 生活者の

生産に 及 ぼす影響の 問題 と言 い 換えるこ とがで き

る 。 そ して これ が ス ポーツ生活 の 社会化がもた ら

す最も深刻な問題で あ る。エ ン ゲル ス5)

に よれば、

人 間の 生の 営みは 、 生活手段 の 生産と人間の 再生

産、こ の 二 種類の 生 産 か らなる (図 4 )。 さて 、こ

こ で重要な こ とは、財の 生産は人間に消費され る

ために行われる とい うこ と、 そ し て 財の 消費は 、

人間の 再生 産に他 ならな い とい うこ とで あ る 。 従

っ て 、財の 生産 は 、「社会生活 の 基礎で あるだ けで

な く 、 同時に 社会的人 間形成の 基礎」 (富沢39)

p.43)となる 。 誰が どの ような財 を生産す るか は 、

人 間の 生産に大き く影響し 、 そ うして 生産 された

人 間は 、財 の 生 産を再び 規定す る 。 しか し、どち

らの 生産が優位に 立つ かは、その 社会や時代に よ

っ て 異なる e 現在経済学が反省 を迫 られ 、 資本主

義的生活様式 の 転換が求め られ て い るの は 、 財 の

生産即ちモ ノ づ くりが優先 して 、人づ くりがそ れ

に従属す るとい う転倒 した関係 が根底にあるか ら

で ある (富沢 p.12339))。

  さて 、先に示 した ス ポーツ 生活過程の一連の流

れは、厳密に い えば ス ポーツ 生活の 生産過程で あ

り 、 生活は人間の 再生 産で あるか ら 、 同時に、ス

ポーツ 生活者の 再生産過程で もある 。 どの よ うな

財を ど こ か ら獲得 して 欲求充足 を図るかは 、ス ポ

ーツ 生活者の 生 産に強く影響す る 。ス ポーツ 経営

学がた とえス ポーツ環境 (ス ポー

ツ生活財及び そ

れ を供給す る組織や制度)を整 備 し て い く研 究分

野だ と して も 、 た だ単に、どん なス ポーツ 生 活財

をどの よ うに供給す る か を問題 とす る だ け で なく、

そ うした生活財 が人 々 の 生活 の 中に入 っ て価値を

実現す る こ とに よ っ て 、 どん な ス ポーツ生活 者 の

生 産 につ な が る の か を展望 し て お か なけれ ばなら

な い 。で は、ス ポーツ 生活の社会化 は人づ く りに

い かなる弊害をもた らすの か。

こ の こ とに 関 して

は 、資本 に よる欲望支配が もた らす欲望 と生活 能

力の 貧困化に つ い て詳 述 しよ う。

 資本主義的生活 を最 も辛辣 に批判的考察を展開

したの がブ レイ ヴァ マ ン3)

の 「生 活能力衰退論」

で あ り、彼の 問題提起は現代生活 様式 の 「本質的 ・

代表的論点 」 (成瀬” )

p. 124) と し て 評価 され て い

る。ブ レ イ ヴァ マ ン の 提起 した中心的概念は、「普

遍 的市場亅 (人間の 生活手段 の 全 面的商品化 ある

い は社会総体の 商品化 を意味す る)である。普遍

的市場の もとで 、人間生活 は市場に全面的 に依

存 ・従属 する ようになる。その 結果、後述す るよ

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22 清水 : ス ポー

ツ 生活 とス ポーツ 経営体に 関す る基礎的考察

うに家族 と共同体は解体 され 、 人間の 主体的な消

費欲望や 自主的な生活技術 ・能力 ・ 文化 が 弱体化

する 。 こ れが ブ レ イヴ ァ マ ン の 論点である。資本

主義的企業の 剰余価値生産は 、 消費の 量的拡大 と

新 し い 消費欲望 の 生産 を必 要 とする 。こ の た め、

需要創造が至上命題 とな り、欲望を操 るため にあ

らゆる手段 が駆使 される。図 3 に示 した ス ポーツ

生活過 程では、ス ポーツ 生活の 出発点に ス ポー

欲求が あるこ とを前提 として い るが、産業化 とい

う社会化の タイプは、こ の 欲求発 生 自体に 直接的

に関与す る。 ガル ブ レイス6)が 、生産者 によ る欲

望支配 の 日常化を 「依存効果」 の 理論に よ っ て 説

明 した如 くで ある。

  さて 、商品の 価値には使用価値 と交換価値の 2つ の 側面 がある 。 こ うした価値発 生の 源泉は消費

欲望 (金銭を支払 っ て で も手に入れ た い と い う欲

望) の 存在で ある 。 で は そ の 消費欲望は ど うして

発生す る の か 。 佐伯25)

(pp.83−96) の 立論に よれ

ば 、 それ は人 (欲望主体) とモ ノ (欲望対象)の

間に、物理的 ・心理的な距離が あ る か らで あ り、

こ の 距離が 「心理 的欠乏感亅 (吉野44)

p.38) を自

覚させ欲望をつ くり出す 。 従っ て 、交換価値を有

す る商品化 の た めには、人 々 が欲する モ ノを 自力

で は 容易 に手 に入 れ られない状況 を意図 的に経営

体は創出 しなけれ ばならな い 。で は ど うした ら、

欲 望主体 と欲望 対象の距離 を作るこ とが で きるの

か 。 我 々 が あるモ ノやサービ ス を欲す る の は 、そ

の 欲望対象 を自ら生産す る こ とが で きない か らで

あ る 。 なぜ 生産 で きな い の か 。 その 理由は、欲望

対象を生産するための 生産手段 と生産技術 ・能力

を持たない か らである。 これをス ポーツ に 当て は

め て考 えれ ば 、ス ポー

ツ 生 活 を営む の に必 要 な

様 々 な財を生活者か ら取 り上げ、更 に、ス ポーツ

生活 を生活者の 自力や協力に よ っ て創 り上 げる能

力や技術を搾取す る こ とに よ っ て 、商品化は完成

す る の で ある 。こ の 搾取の 手段が、生活過程 の 代

替 である 。

 ス ポーツ生活の 社会化 とい う現象は 、図 3 にお

ける E2 の 段 階、即 ちス ポ ーツ を行うとい う最終

消費部分の み残 して、そ の 他 の 大部分の プ ロ セ ス

を専門機関 (公的 ・私的組織)が生活者 に代わ っ

て行 うこ とに他な らない 。換言すれば、生活過程

の 代行部分が ス ポーツサービ ス 財 の 内容なの で あ

る。 本来、生活者は 、ス ポー

ツ 生活の 生産過程 に

主体的 ・自律的に関与する こ とに よ っ て、 意思決

定能力、資源の 調達 ・活用能力 、 社会的能力、ス

ポーツ の 企画 ・分析力 な ど多様なス ポ ーツ生活能

力を獲得 し、ス ポーツ 生 活の 主体 と し て 再生 産 さ

れ るの で あ る 。 また 、ス ポ ーツ生活の 自律的営為

は 、創造的生産 の 喜びや生活者相互 の 協同行為 に

基づ く喜びを生 活者に与 える こ とになろ う。しか

し 、ス ポーツ 生活の 社会化は 、 生活過程で 獲得 さ

れ るはず の こ うした様々 な効用を生産物の 購入 ・

交換と引き替えに失っ て しま うこ とに なるわ けで

ある 。「良い 生活は他者 にお い てで は なく、その 生

活者に おい て 実現 され ねばな らない 」 (吉野44 )

p.102)とい われ るよ うに、豊か なス ポーツ生活 は

豊か な能力 と欲 求を も っ た生活者に よ っ て 実現 さ

れ る。「人 間的富」 (富沢39)p.114)の 生産こそ生

活の 基本 目的で あるが、ス ポーツ 生活 の 社会化は

生活 の貧困化の 極に向かわせる危険を孕 んで い る。

2)  文化づ くりと社会 づくり

 以上 の考察か ら、ス ポーツ生活の 社会化は ス ポ

ーツ 生活者の 主体的な生活 (経営)能力を不要化

し、欲望 の 発生及び充足過程の 大部分 を生活者 自

身 の 手か ら剥 奪 して しま う。そ し て そ の こ とは 、

同時に文化 と して の ス ポーツ の 発展 (文 化づ くり)

とス ポーツ生活者による共 同体 の 確立 (社会づ く

り)にも決定的な影響をもた らす基本的契機 とな

る。

 佐藤2T)

(p.36)は、「文 化的消費が即、文化的享

受を意咲す るもの では ない こ とは自明で ある亅 と

明言する 。 文化産業の 隆盛による文化的消費 (文

化的生活 の 社会化)の 肥大化は 、文化的消費の 形

態に依存した文化生活様式 を一般化 させ る が、こ

の 状況は国民の 文化的享受 の 在 り方に次の よ うな

問題 を生 じ させ つ つ あ るとい う (佐藤27} p.50)。

 1)文化的欲求に対す る市場操作の 強化に よ っ て 、

  要求の一

面的肥大化 とス テ レ オ タイ プ化が進

  行 し、文化的生活における国民一

人一

人の 自

  立性 、 能動性、創造性 を発揮する契機が失わ

  れ る こ と。

 2)営利本位の 商業主義的歪み (浪費の 強制や低

  俗的志 向へ の 迎合等)が拡大 し、文化的享受

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体育 ・ス ポーツ経営学研 究 第16巻 第1号 2001 年 3 月 23

  に固有な人 間性 の解放や審美的喜び を求める

   ことが困難になるこ と。

  3)共 同的に維持 ・共有 されて きた文化的資源 と

  共同享受の 形態が衰退 し 、 文化的消費に よ ら

  な い 文化的享受 の 在 り方が排除 され、文化的

  生活 に過大な出費を伴 うよ うになるこ とで 経

  済的格差が強 く反映する ようになる こ と注 9)。

  以上 の 3 点の 中で も、特に 文化づ くりに重大な

問題 を投 げか けて い る の は 1)の 指摘であ る と考え

られ る 。 文 化経済学に よれ ば 、「文化は受け身的に

財の 供給 を受 けるだ けで な く、創作活動を 自ら行

うこ とも文化」 (吉田43} p. 297)と捉 えられ 、そ の

生産活動 自体に文化 の 効用がある とされ て い るが 、

文化の 産業化は、生活者か ら こ の 機会を奪い 、文

化創造主体 とし て 自己形成 を遂げる こ とを困難 と

する。即 ち、専門組織 に依存 したス ポーツ 生活 様

式は、生活文化 として の ス ポーツ の 創造的発展 可

能性を失わせ る こ とに なる の である。

 次 に、生活 の 社会化 は 自律的で主体的 な生活形

成過程 の 中で 培われ る共同や 自治の 力を不要化 し、

唯一

生 活者に残 され た最終消費段階では 「消費の

私性だけが残 されて い く」 (橋本B)

p,85)。即 ち生

活の 社会化は、「個 々 人 の 他人か らの 分離、欲望 と

そ の 充足方法の 私的個別化 」 (成瀬22)

 p.143)を意

味 して い る の で ある 。こ うして個人 の 生活 は、利

己的 ・私 事的性格を強め、家族や地域社会にお け

る相互扶助的関係 は弱体化 し、益 々 普遍的市場 へ

の 依存を促進 す る 。 こ の サイ ク ル の 連続に よ っ て 、

家族や地域社会 とい っ た共同体は 解体 され、ス ポ

ーツ の コ ミュ ニ テ ィ 及びス ポーツ に よる コ ミ ュ ニ

テ ィ の い ずれ も理念の まま現実化しな い こ とに な

る 。

 以上、ス ポーツ生活 の 社会化が及ぼす影響に つ

い て検討 した結果か ら 、 問題 の 根源は生活 過程 の

代替に あ る こ とが理解 で きよ う。従っ て 上記の 諸

問題は、企業に よる社会化の みならず、行政組織

等 の 公 的機関に よ る社会化 に も大方共通す る もの

と考えられ る注10)。

VI.ス ポー ツ 生活の 協同的自己組織化

ス ポーツ 生活の 社会化が、

ス ポーツ 生活者の 生

産 や ス ポーツ とい う文化の 生産 に逆機能 をもた ら

す とすれば、自ず と豊かなス ポーツ生活の 形成 に

も密接に関わる問題 として 受 け止 めなけれ ばなら

ない 。 しか しなが ら、生 活の 社会化の 進展 は社会

発展の歴史的必 然で あり、こ れ を阻止 し再び 自給

自足社会に舞 い 戻る こ とは い ずれ の 部分生活に っ

い て も現 実的で な い。

ス ポーツ生活 にお い て も 、

個人 が他 との 関係 を全 くもたずに 自力で ス ポーツ

生 活 を営む には 限界が ある。大切 な の は 「生活の

真 の 豊か さは、生活の 社会化の在 り方に強 く条件

づ け られ る亅 (富沢39) p.114)こ とを踏まえて 、ス

ポーツ経営学が どの よ うな形態の社会化 を支持す

る か で あ る 。 即 ち、ス ポーツ経営学の 基 本価値の

立場か ら、ス ポーツ生活の 社会化が内包する悪循

環 を克服 し 、ス ポー

ツ生活 の 豊か さを保 障する に

相応 しい 社会化 の 方向を見 定めなけれ ばな らな い。

こ の 議 論 に手 がか りを与 え る の が 、 先述 の ス ポー

ツ 生活 の 社会化 に対する批判的考察で あ る 。ス ポ

ーツ 生活の 社会化は 、ス ポーツ 生活過程を社会化

機 関が代行す る こ とによっ て ス ポーツ 生活者 の欲

望 と能力を貧 困化 させ 、人づ くりの 貧困化 はさら

に ス ポーツ文化とス ポー

ツ社会の貧困化を招来 さ

せ る 、 こ れが要 点で あっ た 。 従っ て 、社会化 に よ

る弊害を克服 す るた めに は 、「い かに 生活 者の 主

体 的 な 欲 望 や 能 力 を回復 し うる か 」 (成 瀬22 )

p. 134)が焦 点 となる 。 要す るに、ス ポー

ツ 生活過

程に対す る生活者の 主体的な参加の 道を開 き、そ

の こ とに よ っ て 豊かなス ポーツ 生活者 の 生産を可

能に する社会化 の形態 を導 き出す こ とが必要 なの

で ある 。

 吉野45)

は、「消費の 外部化」 へ の 対応と して次

の 3 点を指摘す る 。 第一

は 、 外部化 と緊張関係に

立 ち続ける こ と、第二 は、外部化 された 生活を 「自

分」 ある い は 「自分たち 亅 の もとに取 り戻す こ と、

第 三 は 主体的に 外部化 に 対応する こ と で あ る。こ

の 主張の 基軸は、外部化 された生活を生活者 に取

り戻 す 、つ ま り内部化 の 方向 で ある 。 そ こ で問題

となる の は、社会化 (外部化) された もの を どの

よ うに内部化す るか 、 換言すれ ば 、 私的 ・公 的セ

ク ター

に よ っ て 担われ て い る 専門サービ ス を どの

ように して 生活者の 手に取 り戻 した らい い の かで

ある 。 森岡19)

は 、 生活の社会化 とは生活問題 の 社

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24 清水 :ス ポーツ生活 とス ポーツ 経営体に関する基礎的考察

会的協同 的処理が増大す る過程 を表わす概念で あ

り、 こ の 社会的共同処理 は相互扶助的処理 と専門

的処理に 分けられ ると い う。また、橋本8) (p.89)

は外部化 されたもの の 還元先 として家庭へ の 還 元

と地域社会へ の 還 元 を挙げて い る 。 こ れ を ス ポー

ツに即 して い えば、相互 扶助的処 理 へ の 社会化で

あ り 、 さらに これ には家庭 へ の 還元 (フ ァ ミ リー

ス ポーツ) と地域 へ の 還元 (コ ミ ュ ニ テ ィ ス ポー

ツ)に分け られ るこ とになる 。

 奇しくも本稿で 主 に取 り上 げた生活様式論者た

ちが、現代の 支配的生活様式を脱却 し、こ れ に代

わる新たな生活様式を模 索する中で共 通 に指摘す

る の が生 活 の 共 同化で ある。橋本8) (p.178)は、

生活協同組合に よる 自主的 ・協同的な社会化 に注

目 し て 共同的消費生活 様式 へ の 転換を説き 、 富沢39) (p.119)は人 間的欲 求 に見合 っ た 民主的な社会

化 の 進展 を図る こ とを基本に、人民の 民主的統一

戦線を社会化の 担い 手 とする新 しい 共同体の 創造

を提起 して い る 。 さらに佐藤27)

(pp.51−60)は、

ボードリヤ

ール2)

、 デ ュ マ ズデ ィ エ4 )

の 余暇論 に

依拠 しなが ら、文化的享受復権の 要は 国民の 文化

に対する能動的態度の 形成であ り、そ の ためには

文化創造へ の 自発的参加 を積極化す るこ と、具体

的には国民 自身 の 手に よる文化運動の 発展が 強く

求め られ る と指摘 して い る。こ うした 生活要求か

ら発生 した文化運動は 、 人 々 を生活文化の 創造者

(生活者) に高め る大きな教育力を保 有して い る

とされる。

  こ こ で想起 され る の が 、「生活者 自身に よ る生

活過程 の 自主管理 であ り、生活過程 を通 じて 人間

関係の再構築を目指す運動」 (佐藤圏りとして 定義

される生活 の 協同的 自己組織化で あ る。こ の 典例

である生協組織は、生 活者の 「思い 」 を運動 とし

て結集 し 、 それを協同的に事業化す る とこ ろに特

質があ る。こ の運動の 事業体 を佐藤 は新 しい 社会

経済シ ス テム の 主体 「共的セ クター

」 と名づ け、

現在の 生活 を支配 して い る私的セ ク タ ー (市場 シ

ス テ ム ) と公的セ クター (公権力シ ス テ ム )に対

抗しこれ らに代わる担い 手 として注 目して い る 。

ス ポーツ経営の領域に お い て 現在政策的関心 を集

め社会的要請 も高ま っ て い る総合型地域ス ポ ーツ

クラブ は、こ の 共的セ ク ターの 性格 を有する組織

体の一

種 として 解釈す る こ とがで きよう。筆者 32)

はか つ て総合型地域 ス ポーツ クラブを 「ス ポー

生活者協 同組織亅 ある い は 「ス ポーツ を中心 とす

る生活権をみん なで 守 り合 う運動組織」 として捉

える こ とを提案 した。い ずれ に しろ、自らの ス ポ

ーツ生活 を自らの 手で他者 と協同 しなが ら創 り出

す事業体 として の 性 格を有す る ス ポーツ 生活者協

同組織が確立され そ の社会的役割を果た す時、豊

か なス ポーツ 生活様式形成の 重要な担 い 手 (ス ポ

ーツ経営体) になるであ ろ う (図 1 に示 した ス ポ

ーツ 生活 の類型 との 関係で い えば、類型皿 に相当

する)。

WI.結  詰

 体育管理 の 根底には 「っ ね に体育現象 、あ る い

はそ の 中の 運動者の 利益が 中心に考え られて い な

けれ ばならな い 」 (宇土4°)p.42)。こ の 認識 こそ宇

土体育管理学を貫 く本質で あ り、本稿はそ の原点

に立ち戻 り、そ もそ も運動者 の利益 とは何か を問

い 直す とこ ろからス ポーツ 経営学の 再構築を図ろ

うと意図した拙論で ある 。 ま た 、 本稿にお ける考

察の 到達点とな っ たス ポーツ生活者協同組織とは、

宇土の 提起 した運動者組織の 発展的な形態 と して

理解す る こ と もで きよ う。

  しか し、近年の ス ポー

ツ 経営研究及び経営実践

で は 「ス ポーツ 経営の 出発 点は 、 人 々 の ニーズ や

欲求 で あ り、その 充足 が ゴール で ある 」 (山下

42))

とする考 え方が大きな潮流に な り、経営体に よる

生産の 論理 が 優先 され て い る よ うに思 う注 ω

。 そ

うした考 え方そ の もの を問い 直 して みる必要があ

る 。 なぜならば 、 欲求や必 要その もの が財の 生活

過程 と共に創 られ 、更に欲求の 充足は全て他者に

よっ て賜 われ る と い う状況は 、現代の生活全般に

現代的貧困 と呼ばれ る新しい 問題状況をス ポーツ

の 分野にも繰 り返す方向に向かわせ る もの だ と考

え るか らで あ る 。 但 し、ス ポ ーツ生活 の 社会化が

生起 させ る負の 事態が現実の ス ポーツ生活 の 中に

どの よ うに 現れて い るの か を 実証的に検討す る こ

とに つ い て は 今後の 課 題 と した い。 またそ の 際、

ス ポーツ 諸科学わけて もス ポーツ社会学及びス ポ

ーツ教育学と の 学際的交流が是非 とも必要である。

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体育 ・ス ポーツ 経営学研究 第 16巻 第 1号 2001年 3 月 25

  「ス ポーツ的社会化 1 は ス ポーツ社会学 の 主要

な研究課題で ある 。 特に、ス ポーツ へ の社会化研

究は、人間が どの よ うに して ス ポーツ に関係 し、

そ の世界に適合的な役割や行動を発達 させ て い く

か を解明 しようとするが、その研究成果に よれば、

概ね様 々 な環境の あ り方が ス ポーツ へ の社会化を

規定す る とされ る。一方本稿で 考察対象 とした ス

ポーツ生活の 社会化こ そ ス ポーツ経営学の 主要な

研究課 題である と考える。ス ポーツ 生活の 社会化

とは 、ス ポーツ を行 うの に必要な諸活動が、社会

の 力 によ っ て担われ る よ うになる過程を指 して い

る 。つ ま り、人 間を ス ポー

ツ に社会化する環境 の

在 り方 自体を扱 うの が、ス ポーツ生活 の社会化 の

問題 なの で ある 。ス ポーツ社会学の 「ス ポー

ツへ

の 社会化亅 とス ポーツ 経営学の 「ス ポーツ 生活の

社会化亅 は 、 財の 生産 とい う環境が 、ス ポーツ生

活者 の 形成を規定する 基本的な契機で ある とい う

意味におい て密接な関連をもっ て い る 。

 最後に 、 豊かな生括 は体制や環境の 変革だけで

達成で きる も の で はなく、きわめて 意識的な生活

様式 の転換を求め ない 限 り実現は不 可能な課題で

ある 。 生活様式の 転換は、一

人一

人の ス ポーツ 生

活者 による生 活過程へ の 自覚的 ・主体的関与に よ

らなければ ならない。

こ の 意味で 生 活様式の 転換

とは正 に人づ くりに関わ る問題で あ り 、ス ポー

教育学の研究対象 とする ス ポーツ に 関わ る諸 々 の

教育的営為に よる と こ ろが大である。ス ポーツ経

営学は豊か な ス ポー

ツ生活 の 実現 に向けて ス ポー

ツ社会学 ・ス ポーツ教育学 との 共同 を本格 的に推

進 しなければ ならな い 。

注 1)専門主義の 弊害とは、「一つ の 専門 に とっ て望ま し

  い こ とが常 に社会全体、あるい は科学全体 に とっ て 望

  ま しい とは 限らない に も関わ らず、そ の こ とを専門の

 中で 問題 とす る こ とが で きな い 」 (佐伯25)

p.21) とい

  うこ とで あ る 。

注2) こ の 意味で 本稿は、ス ポーツ経営学的内省の 喚起

 を意図 して い る。

注3)ス ポーツ 経営学に おい て も、原田 ・菊池7)、菊池

 原 田12)、中西 ・ 浪越

2Dによっ て ライ フ ス タイル 概念の

援用が 試 み られて い る。

注4) こ の 場合 に も、厳密に言えば、エ リア サービス の

 利用が前提条件とな っ て い る 。

注5) こ こ で 用い たデ ータ は 、総 理 府 「体力 ・ス ポー

 に 関す る 世論調査 (平成 6 年)」 (総 理府)、「我 が 国の

 ス ポーツ に 関する調査 (平成 4 年)」 (平成 6 年度 生 涯

 ス ポーツ 振興会議資料、文部省体育局生涯 ス ポー

 課)で ある。

注6)例えば 、 商業 ス ポーツ 施設 の 経営で は 、サービ ス

 の 質を高めれば利用者は増 え、顧客の ス ポーツ 生 活 も

 豊か に な る だろうとい う前提 で 研 究 が 進 め られ て き

 た よ うに 思 う。 しか し、現実 に は施設利用者 の 要望 と

経営者側 の 配慮点 と は 大 き くず れ て い る こ とが明 ら

 か に され て い る。確か に施設側 は、指導員やサー

ビ ス

 の 質を重視 して い るが、利用者側はそれ をあま り期待

 して い な い。 逆 に利用 者側 は、料金や時間帯 の 条件 を

 重視して い るが、施設 側 は 指導員やサービ ス の 質的向

 上に比 べ て こ の 条件に 対す る配慮の優先順位は 必 ず

 しも高くない。 営利 目的を有する組織 と して の 性格上 、

 配 慮す る に も限界があるの で ある。だ とすれば、こ う

  した 要 望を抱 く者は 、別 の 欲求充足方法 を選 ん だ 方が

  ス ポー

ツ 生活が豊かになるの で はな い か と思 われ る。

 しか し 、 施設経営研究からは これ に 対す る回答はで て

  こ な い。

注7) こ の モ デル は、ス ポーツ 生活の 社会化とそ の 逆機

 能 を論議 す る た めに 作 成 した 試 論 で あ る。従 っ て 、モ

 デル に示 した欲求の 充足過程は、必ず し も厳密な時間

 的順序 に 即 して い る わけで は ない 。現実 の ス ポーツ 生

活 者 は、こ の モ デル 中 の い ず れ か の 段 階 を欠 落 させ る

場合もあ る し、 順序 が 入 れ 替わ る場合 も考えられ る。

注8)例 え ば、本誌第 5巻 に 掲載 され て い る ス ポーツ 企

 業関係者の 発 言内asas)か ら、こ の こ とが明確 に 読み 取

 れる。

注9)ス ポーツ の 産業化 が ス ポーツ享受の 経済的階層化

 を進行させ る こ とにつ い て は 、草深13)、等 々 力

鋤 37)

 が 実証 的 に論 じてい る。

注 10)吉田4s ,

(p.297) は 文 化的生 活 に 対 す る公 的介入

 も不適だ と警告して い る

注 11) こ の こ とは、筆者 の 主観的見解で は な く、体育 ・

 ス ポー

ツ 経営学 の 研究動向に 明確に表れ て い る 。 詳し

 くは、清水30}を参照されたい 。

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26 清水 :ス ポーツ生 活 とス ポーツ 経営体 に 関する基礎的考察

文 献

1) 天 野 正 子 (1996) 「生活者亅 とは だ れ か 、中央公 論

 社二、 p,236.

2) ボードリヤ

ール :今村仁司 ・塚原史訳 (1979)消費

 社会 の 神話 と構造、紀伊 国屋書店.

3) ブ レ イヴァ マ ン : 富沢賢治訳 (1978)労働 と独占資

 本 、岩波書店.

4) デ ュ マ ズ デ ィ エ :中島巖訳 (1972>余暇文明へ 向か

  っ て 、 東京創元社.

5) エ ン ゲル ス :村井康男 ・村田陽一訳 (1954)家族、

 私有財産及び国家の 起源、国民 文庫.p.27.

6) ガル ブ レ イ ス :鈴木哲太郎訳 (1960)ゆたかな社会、

 岩波書店.

7)原 田宗彦 ・菊池秀夫 (1990) ス ポー

ツ参加者の ライ

  フ ス タ イル に 関す る研究、体育学研 究35(3)、241−251.

8) 橋本和孝 (1989)生活様式 の 社会理論一

消費 の 人 間

 化 を求めて 一、 東信堂.

9) 角 田修一

(1992)生 活様式 の 経済学、青木書店.

10)金子勇 ・松本洸 (1986)ク オ リテ ィ・オ ブ ・ライ フ 、

 福村出版、p.4.

11)加藤純一

(1988)効率化本位 の 食か ら生活 の 美学 に

 根 ざした食 へ一食生活の 質をめ ぐ っ て 一

、 家庭科学

  55(3)、 21−30.

12)菊池秀夫 ・原 田宗彦 (1989)民間 ス ポー

ツ ク ラブ会

  員 の ラ イ フ ス タ イ ル の 構 造 一性 差 と結 婚 の 有 無 に よ

 る 差異に つ い て 一、鹿屋 体育大学研究紀要 4、97−107.

13)草深 正 臣 (1986) 日本 ス ポーツ の 現状 と課題、草深

 正 臣 ・芝 田 徳造 ・水 田勝博編 現代 ・ス ポー

ツ ・健康、

  文理閣、p64 .

14)松本康 (1986)現 代祉会 と ライ フ ス タ イ ル 、金 子 勇 ・

 松本洸編著 ク オ リテ ィ・オ ブ ・ライ フ 、福村出版、

  P.196.

15)松村祥子 (1988)生 活 の 社会化 と生活構造 の 変動、

 松村祥子 ・岩田正 美 ・宮本みち子、現代生活論 、 有斐

  閣、p.114.

16)松村祥 子 ・岩 田正 美 ・官本み ち子 (1988)現代生 活

 論 、 有斐閣.

17)三浦典子 (1986)概説 日本の 社会学 生 活構造、

 三浦典子・森岡清志・

佐々 木衛、東京大学出版会、p.5.

18)宮本みち子 (1988)生活財 の 消費と生活構造、松村

 祥子 ・岩 田 正美 ・宮本み ち子  現代生活論、有斐閣、

 P.88.

19)森岡清志 (1984)都市的生活構造、現代社会学18、

  78−102.

20)森岡清美 (1973)家族周期論 、 培風館、p.129.

21)中西純司 ・浪越一喜 (1989)ライ フ ス タイ ル ・セ グ

  メ ン テ ーシ ョ ン に みる ス ポーツ 消費者 の 実証的類型

 化、体育 ・ス ポーツ 経営学研究6 (1)、21−35,

22)成瀬龍夫 (1988)生活様式の 経済理論一現代資本主

 義の 生産 ・労働 ・生活過程分析一、御茶の 水書房.

23)西山卯三 (1977)住居学 ノートー新 しい 生活科学の

 ために一、頸草書房、p.33.

24)奥田 和彦 (1984)生活構造研究 の 今 日的視点、現代

 社会学18、50−77.

25>佐伯啓思 (1993)「欲望 」 と資本主義一終 りなき拡

 張の 論理 一、講談社.

26)斎藤敏一

(1988)商業ス ポーツ 経営の 現状 と問題点

 一特に参加者の 増員 と定着をめ ぐっ て一、体育 ・ス ポ

 ーツ 経営学研究5(1)、39−40.

27)佐藤一

子 (1989)文化協同 の 時代一文 化的享受 の 復

 権一、青木書店.

28)佐藤慶幸 (1992)生活 の 協同的自己 組織化一

生活 ク

 ラブを事例 として一、組織科学26(2)、12−21,

29)澤井 セ イ子 (1989)新 しい 家庭科教育に おける家庭

 経営領域 の 意義 と問題、日本家政学会編 家庭生 活の

 経営 と管理 、朝倉書店、pp.143−・144.

30)清水紀宏 (1992)体育 ・ス ポーツ 経営学 にお け る基

 本問題 の 検討一体育 ・ス ポーツ経営研究 の 系譜的研究

 批判 一、 金 沢 大学教育学部紀要教育科学編41、255−

  263.

31)清水紀宏 (1997)ス ポーツ経営学にお ける基本価値

 の 検討 、 体育 ・ス ポーツ 経営学研究13(1)、1−15.

32)清水紀宏 (1999) 日本の ス ポーツ シ ス テ ム と総合型

 地域ス ポーツ ク ラブ、日本体育学会第50回記念大会特

 別委員会編 21世紀と体育・ス ポーツ 科学 の 発展一

 本体育学会第50回記 念 大会誌 1 − 、杏林 書院 、

  pp.131−137.

33)園 田恭一・飯島伸子 (1987)生活 ・環覓と保健 ・医

 療研究 の 回顧 と展望 、 社会学評論38(2)、230−237.

34)住 田和子 (1994)思想 とての 生 活学、住 田 和子 ・有

 馬澄子編著 生活学 ・生活経営、建帛社、p.19.

35)武隈晃 (1992) 「ス ポーツ 経営体の 科学」 と して の

  ス ポーツ経営学、日本体育学会体育経営管理専門分科

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体育 ・ス ポー

ツ 経営学研究 第 16巻 第1号 2001年 3月 27

 会会報28、30−32.

36)等々 力賢治 (1988)健康ブー

ム とス ポーツ 、中村敏

 雄 ・出原泰明 ・等 々 力賢治 現代 ス ポーツ論、大修館 、

 pp,138−141.

37)等々 力賢治 (1993)企業 ・ス ポーツ ・自然、大修館、

 pp,68−70.

38)時岡晴美 (1988)生 活 行 動 の 構造、水野 悌一・富 田

 守編著 人間と生 活、垣 内 出版、pp .150−166.

39)富沢賢治 (1987)労働 と生 活、世界書院,

40)宇土正彦 (1970)体育管理学 、大修館。

41)山 口泰雄 ・野崎武司 (1999)地城と ス ポーツ活動一

 総合型地城 ス ポーツ ク ラ ブと地域社会の 可能性一、日

 本体育学会第50回 大会 記 念大会大会号、p.131.

42)山下秋 二 (1985)ス ポーツ ・マ

ーケテ ィ ン グ論 の 展

 開、体育経営学研 究2 (1)、1−11.

43)吉田和男 (1993)文 化経済学 を学ぼ う、池上惇 ・山

 田 浩之 編 文 化経済 学 を 学 ぶ 人 の た め に、世 界思想

 仕,

44)吉野 正治 (1980)生活様式の 理論、光生 館.

45)吉 野 正 治 (1984)あた らしい ゆた か さ、連合出版、

 pp .105■114.

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