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医用情報科学科 医用情報科学専攻 概要 教育 科学技術の発展及び高齢化社会の到来に伴い、我が国を取り巻く産業・社会構造は、年々複雑化し続けています。産業構造にお いては、従来の単一専門分野構造から、学際的な異分野が複雑に絡み合った融合形態へとシフトし、これにより高度で知的な産 業製品が生みだされています。一方、高度高齢化社会に向けた取り組みとしては、「健康管理・医療・福祉」を軸とする新たな健康 医療サービス・医用診断システムなどが、高機能化・高付加価値化を目指し日々絶え間なく進化しています。また、上記医療福祉 産業構造に対応すべく、「情報」「医学」「科学・工学」などの専門分野が融合した「医用工学」「医用情報科学」といった新たな学際 的学問分野が誕生しています。上記社会的背景に鑑み、医用情報科学科・医用情報科学専攻では、複雑化の一途をたどる社会 構造変化に柔軟に対応できる人材の育成を目指し、それに根差した教育課程を編成しています。具体的には、「情報」「自然科学」 「工学」の3分野を医用情報科学の基礎と位置付けるとともに体系化し、かつそれらを「医用情報科学」という枠組みで実践的に応 用展開することで、複雑化をます学際的異分野領域において、柔軟に対応できる人材を育成しています。本学科では、特に普遍 性のある基礎科目に重点をおいた教育をしています。 医用情報科学科・医用情報科学専攻では、複雑化し続ける 「健康管理・医療・福祉」産業構造に対応すべく、「バイオ情 報学」、「医用画像工学」、「医用ロボット」、「脳情報科学」、 「医用情報通信」の5つの専門分野を設け、更にこれらが連 携することで医用情報科学、生体情報科学に関する専門知 識・技術の体系的な研究を行っています。 「情報」 「自然科学」 「工学」 の 3 分野を基礎とし、 これらを医用情報科学にて応用展開 医用情報科学科カリキュラム 研究 学生 医用情報科学専攻カリキュラム 生物情報処理特論、バイオ情報学特論、視覚情報学特論、計算解剖学特論、医用画像診断支援特論、 生体計測工学特論、光計測システム特論、生体情報学特論、生体システム工学特論、脳情報工学特論、 医用ロボット学特論、医用情報通信特論、マイクロ医用工学特論、医用情報科学特別演習、など 医用情報科学実験(生体情報センシングと情報処理) ソフトウェアによる情報処理 筋電計による生体情報センシング バイオ情報学研究室 計算と実験の両方のアプローチで、情報科学と生物学の学際融合領 域の教育・研究を行っています。タンパク質、酵素などの分子レベル、 微生物などの細胞レベル、植物やヒトなどの個体レベルの広い範囲の 生物を対象に、生物の持つさまざまな能力を利用し、生命現象の解明 と人間生活への利用を目的とした研究開発を目指しています。 分子 個体 実験 理論・計算 LED植物工場 病気の診断に用いる アミノ酸計測装置 計算機でタンパク 質の仕組みを解明 LED照明手術や 診断に適した演色 肺内部での超早期発見を可能にする カテーテルセンサ 医用ロボット研究室 機械・電気電子・情報の融合を図り、かつその出口として医療を見据 えることで、これまでにない新たな医療・福祉システムの実現を目指し ています。具体的には、マイクロ・メカトロニクス技術を用いた超小型 医療用デバイス、無痛薬剤投与デバイス、高齢者見守り支援システ ム、ウエアラブル等の創成に挑戦しています。 イアラブルコンピュータ 肺内部での超早期発見を可能にする カテーテルセンサ マイクロニードル 医用情報通信研究室 情報通信技術と医療・医学との融合による新たな医療・医学ヘルスケ ア技術による社会の創生を目指します。具体的には、Body Area Net- workを用いた医療・ヘルスケアネットワークシステム、生体センサシス テムによる医療・ヘルスケアシステム、多機能ウエアラブルバイタルセ ンサとウエアラブルマルチ伝送システム等の実現を目指します。 医療機関 クラウドサーバ ウェアラブルセンサ 無線 無線 医用画像工学研究室 X線CT、MRIなどの医用画像により、生体の形や動き、その個体差、 疾患による変化を捉え、医療や医学をサポートする技術の研究を行 っています。解剖学的知識などの計算機内での数理表現に基づく医 師と同等以上の観察眼や知能、学習能力を持つ機械の実現、および 基礎医学に役立つ技術・知見の創出を目指しています。 医療のサポート 医学のサポート 脳情報科学研究室 高精度非侵襲脳機能計測解析技術について研究開発を行なってい ます。開発した技術を応用展開することにより、脳機能ダイナミクスの 解明および脳信号を外部の機器に接続するブレインマシンインタフェ ース技術の開発を推進しています。また、認知・運動機能評価システ ムや脳外科手術機器の開発について研究を進めています。 自然科学 情報 工学 医用情報科学 (情報基礎科目) コンピュータ基礎 論理回路 データ構造とアルゴリズムⅠ, Ⅱ 情報ネットワーク (プログラミング科目) プログラミングⅠ, Ⅱ, Ⅲ 医用プログラミング (数学系科目) 解析学Ⅰ,Ⅱ, 線形代数Ⅰ,Ⅱ 幾何学概論, 離散数学 情報基礎数学, 確率統計 (物理学系科目) 物理学, 力学, 電気磁気学, 幾何光学・波動, 量子・統計力学 (化学・生物系科目) 化学、生物学、分子生物学 (電気・電子系) 電気回路工学 電気電子計測 アナログ信号処理 ディジタル信号処理 (機械系) 機械工学, 制御工学 医科学概論, 医用情報科学のための病院実習, 医用生体画像計測, 医用データサイエンス, 医用画像処理 バイオインフォマティクス, 生物工学, 医用ロボット工学, バイオメカニクス, 生体情報工学, 医用情報ネットワーク 食事における咀嚼モニタリングシステム 脳神経外科治療への応用を目指した凍結プローブ Pick up 生体の構造・機能の解明をささえる 診断・治療をささえる 肝臓変形操作シミュレーション 手術ナビゲーション 肺がん自動検出 脳白質繊維構造 と腫瘍の位置関係 脳機能と白質繊維 脳形状個体差解析 生物顕微鏡による高速撮影↓ 好中球の貧食 磁気共鳴 画像装置 Voices 早期卒業制度を利用して4年生の前期で学部卒業予定です。3年 生から研究室に配属されており、10月から大学院に進学するので すが、大学院でも1年半での早期修了を目標にしています。大学院 進学の理由は、できるだけ早く社会に出て経験を積みたいけれど、 専門分野を研究するには学部の4年では足りないと考えたから。学 部と大学院で早期卒業できれば5年で社会に出られるので、私に はちょうどいいのです。研究室に入ってからは先輩たちの熱心さを ひしひしと感じています。その先輩と同時期に卒業になるわけですから、必死に努力して成果を出し、先輩と同じラインに 立てるように成長しなければと気を引き締めています。早く学部を卒業するために勉強を頑張ったこともあって、特待生に 表彰されたのはうれしかったですね。広島市立大学の情報科学部は、学部に入ってから2年生で学科に配属なので、入 学時は専門分野が決まっていなくても大丈夫。1年間、自分の興味や適性を見極める時間があります。私も入学当時は漠 然としていましたが、現在は学んだ知識を医療に役立てたいという夢に向かって頑張っています。(平成31年4月、大学案 内2020より転載) 広島大学、広島工業大学、広島国際大学と4大学合同で実施する 「臨床情報医工学プログラム」に参加しました。プログラムの実習で は病院を見学し、医療に携わるスタッフの声を聞くことで、日ごろ授 業で学んでいることが現場でどう役立つのかがわかりました。病院 ではさまざまな医療機器が駆使されており、あらためて医療機器の 重要性を知ったことで、将来は医療機器に関わる仕事がしたいと強 く思うようになりました。将来は現場の要望を開発者にフィードバック してより良い機器を世に送り出すためのつなぎ役になりたいです。課外活動では吹奏楽部に所属し部長を務めました。勉 強面で大変なことがあっても、大好きなサックスを吹く時間が気持ちをリセットしてくれます。元々人前で話したり仕切った りするのは苦手でしたが、部活で部長を任せてもらえたことや、プログラムで病院の先生方を前に発表したことなど、大学 で務めたさまざまな役割によって克服できたと感じています。これからも技術と人間性を磨き「古田だから」「古田で良かっ た」と求められる人を目指します。(平成30年4月、大学案内2019より転載) 医用ロボット研究室 川本 祐士 早く社会に貢献したい。その前にもっと研究したい。 2つの希望を叶える最短ルートを目指して。 バイオ情報学研究室 古田 愛梨 現場に不可欠な医療機器で貢献したい。 多忙な時はサックスに癒されて。

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Page 1: 広 医用情報科学科 島 - bis.info.hiroshima-cu.ac.jp · データ構造とアルゴリズムⅠ, Ⅱ 情報ネットワーク (プログラミング科目) プログラミングⅠ,

医用情報科学科医用情報科学専攻

広島市立大学

情報科学部

情報科学研究科

概要

教育

科学技術の発展及び高齢化社会の到来に伴い、我が国を取り巻く産業・社会構造は、年々複雑化し続けています。産業構造にお

いては、従来の単一専門分野構造から、学際的な異分野が複雑に絡み合った融合形態へとシフトし、これにより高度で知的な産

業製品が生みだされています。一方、高度高齢化社会に向けた取り組みとしては、「健康管理・医療・福祉」を軸とする新たな健康

医療サービス・医用診断システムなどが、高機能化・高付加価値化を目指し日々絶え間なく進化しています。また、上記医療福祉

産業構造に対応すべく、「情報」「医学」「科学・工学」などの専門分野が融合した「医用工学」「医用情報科学」といった新たな学際

的学問分野が誕生しています。上記社会的背景に鑑み、医用情報科学科・医用情報科学専攻では、複雑化の一途をたどる社会

構造変化に柔軟に対応できる人材の育成を目指し、それに根差した教育課程を編成しています。具体的には、「情報」「自然科学」

「工学」の3分野を医用情報科学の基礎と位置付けるとともに体系化し、かつそれらを「医用情報科学」という枠組みで実践的に応

用展開することで、複雑化をます学際的異分野領域において、柔軟に対応できる人材を育成しています。本学科では、特に普遍

性のある基礎科目に重点をおいた教育をしています。

医用情報科学科・医用情報科学専攻では、複雑化し続ける

「健康管理・医療・福祉」産業構造に対応すべく、「バイオ情

報学」、「医用画像工学」、「医用ロボット」、「脳情報科学」、

「医用情報通信」の5つの専門分野を設け、更にこれらが連

携することで医用情報科学、生体情報科学に関する専門知

識・技術の体系的な研究を行っています。

「情報」 「自然科学」 「工学」 の 3 分野を基礎とし、 これらを医用情報科学にて応用展開

医用情報科学科カリキュラム

研究 学生

医用情報科学専攻カリキュラム

生物情報処理特論、バイオ情報学特論、視覚情報学特論、計算解剖学特論、医用画像診断支援特論、

生体計測工学特論、光計測システム特論、生体情報学特論、生体システム工学特論、脳情報工学特論、

医用ロボット学特論、医用情報通信特論、マイクロ医用工学特論、医用情報科学特別演習、など

医用情報科学実験(生体情報センシングと情報処理)

ソフトウェアによる情報処理

+筋電計による生体情報センシング

バイオ情報学研究室

計算と実験の両方のアプローチで、情報科学と生物学の学際融合領

域の教育・研究を行っています。タンパク質、酵素などの分子レベル、

微生物などの細胞レベル、植物やヒトなどの個体レベルの広い範囲の

生物を対象に、生物の持つさまざまな能力を利用し、生命現象の解明

と人間生活への利用を目的とした研究開発を目指しています。

分子 個体

実験

理論・計算

LED植物工場病気の診断に用いる

アミノ酸計測装置

計算機でタンパク

質の仕組みを解明

LED照明手術や

診断に適した演色

肺内部での超早期発見を可能にするカテーテルセンサ

医用ロボット研究室

機械・電気電子・情報の融合を図り、かつその出口として医療を見据

えることで、これまでにない新たな医療・福祉システムの実現を目指し

ています。具体的には、マイクロ・メカトロニクス技術を用いた超小型

医療用デバイス、無痛薬剤投与デバイス、高齢者見守り支援システ

ム、ウエアラブル等の創成に挑戦しています。

イアラブルコンピュータ

肺内部での超早期発見を可能にする

カテーテルセンサ

マイクロニードル

医用情報通信研究室

情報通信技術と医療・医学との融合による新たな医療・医学ヘルスケ

ア技術による社会の創生を目指します。具体的には、Body Area Net-

workを用いた医療・ヘルスケアネットワークシステム、生体センサシス

テムによる医療・ヘルスケアシステム、多機能ウエアラブルバイタルセ

ンサとウエアラブルマルチ伝送システム等の実現を目指します。

医療機関クラウドサーバ

ウェアラブルセンサ

無線 無線

医用画像工学研究室

X線CT、MRIなどの医用画像により、生体の形や動き、その個体差、

疾患による変化を捉え、医療や医学をサポートする技術の研究を行

っています。解剖学的知識などの計算機内での数理表現に基づく医

師と同等以上の観察眼や知能、学習能力を持つ機械の実現、および

基礎医学に役立つ技術・知見の創出を目指しています。

医療のサポート 医学のサポート

脳情報科学研究室

高精度非侵襲脳機能計測解析技術について研究開発を行なってい

ます。開発した技術を応用展開することにより、脳機能ダイナミクスの

解明および脳信号を外部の機器に接続するブレインマシンインタフェ

ース技術の開発を推進しています。また、認知・運動機能評価システ

ムや脳外科手術機器の開発について研究を進めています。

自然科学情報 工学

医用情報科学

(情報基礎科目)

  コンピュータ基礎

論理回路

データ構造とアルゴリズムⅠ, Ⅱ

情報ネットワーク

(プログラミング科目)

プログラミングⅠ, Ⅱ, Ⅲ

医用プログラミング

(数学系科目)

解析学Ⅰ,Ⅱ, 線形代数Ⅰ,Ⅱ

幾何学概論, 離散数学

情報基礎数学, 確率統計

(物理学系科目)

  物理学, 力学, 電気磁気学,

幾何光学・波動, 量子・統計力学

(化学・生物系科目)

化学、生物学、分子生物学

(電気・電子系)

電気回路工学

電気電子計測

アナログ信号処理

ディジタル信号処理

(機械系)

機械工学, 制御工学

医科学概論, 医用情報科学のための病院実習, 医用生体画像計測, 医用データサイエンス, 医用画像処理

バイオインフォマティクス, 生物工学, 医用ロボット工学, バイオメカニクス, 生体情報工学, 医用情報ネットワーク

食事における咀嚼モニタリングシステム

脳神経外科治療への応用を目指した凍結プローブ

Pick up

生体の構造・機能の解明をささえる診断・治療をささえる

肝臓変形操作シミュレーション手術ナビゲーション

肺がん自動検出

脳白質繊維構造と腫瘍の位置関係

脳機能と白質繊維

脳形状個体差解析

生物顕微鏡↑による高速撮影↓

好中球の貧食

磁気共鳴画像装置

Voices

早期卒業制度を利用して4年生の前期で学部卒業予定です。3年

生から研究室に配属されており、10月から大学院に進学するので

すが、大学院でも1年半での早期修了を目標にしています。大学院

進学の理由は、できるだけ早く社会に出て経験を積みたいけれど、

専門分野を研究するには学部の4年では足りないと考えたから。学

部と大学院で早期卒業できれば5年で社会に出られるので、私に

はちょうどいいのです。研究室に入ってからは先輩たちの熱心さを

ひしひしと感じています。その先輩と同時期に卒業になるわけですから、必死に努力して成果を出し、先輩と同じラインに

立てるように成長しなければと気を引き締めています。早く学部を卒業するために勉強を頑張ったこともあって、特待生に

表彰されたのはうれしかったですね。広島市立大学の情報科学部は、学部に入ってから2年生で学科に配属なので、入

学時は専門分野が決まっていなくても大丈夫。1年間、自分の興味や適性を見極める時間があります。私も入学当時は漠

然としていましたが、現在は学んだ知識を医療に役立てたいという夢に向かって頑張っています。(平成31年4月、大学案

内2020より転載)

広島大学、広島工業大学、広島国際大学と4大学合同で実施する

「臨床情報医工学プログラム」に参加しました。プログラムの実習で

は病院を見学し、医療に携わるスタッフの声を聞くことで、日ごろ授

業で学んでいることが現場でどう役立つのかがわかりました。病院

ではさまざまな医療機器が駆使されており、あらためて医療機器の

重要性を知ったことで、将来は医療機器に関わる仕事がしたいと強

く思うようになりました。将来は現場の要望を開発者にフィードバック

してより良い機器を世に送り出すためのつなぎ役になりたいです。課外活動では吹奏楽部に所属し部長を務めました。勉

強面で大変なことがあっても、大好きなサックスを吹く時間が気持ちをリセットしてくれます。元々人前で話したり仕切った

りするのは苦手でしたが、部活で部長を任せてもらえたことや、プログラムで病院の先生方を前に発表したことなど、大学

で務めたさまざまな役割によって克服できたと感じています。これからも技術と人間性を磨き「古田だから」「古田で良かっ

た」と求められる人を目指します。(平成30年4月、大学案内2019より転載)

医用ロボット研究室 川本 祐士

早く社会に貢献したい。その前にもっと研究したい。

2つの希望を叶える最短ルートを目指して。

バイオ情報学研究室 古田 愛梨

現場に不可欠な医療機器で貢献したい。

多忙な時はサックスに癒されて。