分布定数回路cc.ce.nihon-u.ac.jp/~inui/kamoku/transmission-lines-and...- 3/52 -...
TRANSCRIPT
- 1/52 -シラバスを参照
この科目のテーマは,大きく3つ。
(a) 一端子対回路
(b) 二端子対回路
(c) 分布定数回路
- 2/52 -大宮→郡山 1時間
2000人/1編成 16両
12分間隔 1時間に5本
1万人/時間
-------------------
でも,
最初の1時間は だれも来ない よね。
- 3/52 -
分布定数回路
例:テレビのアンテナケーブル
LANケーブル
電話線
光ファイバー
送電線
今回の参考書は,「遠藤勲,鈴木靖:電気回路Ⅱ,コロナ社」
- 4/52 -
同軸ケーブル(1) LANケーブル(2) 送電線(3)
引用元
(1)株式会社藤倉 http://www.fujikura.co.jp/products/cable/coaxial/__icsFiles/afieldfile/2009/04/02/cd1201_08_d_620w350h.jpg
(2)エレコム株式会社 http://www.elecom.co.jp/photo/p02/LD-CTFSBU20_02.jpg
(3)送電鉄塔見聞録 http://transmltkbr.sakura.ne.jp/Resources/to0104.jpg
- 5/52 -コンピュータの中
電線を通して命令を出す。↓
届く。↓
電線を伝わって反応が返ってくる。
メモリ
CPU
キャッシュ
ケーブル
SSDなど
のデバイス
マザーボード
- 6/52 -
コンピュータのクロックをいくら速くしても,
電線が長いとコンピュータは速くならないのだ。
ケーブルを短く → 小さいコンピュータを作ろう。
これは情報工学のエンジニアではなく,
電気電子工学のエンジニアの仕事です。
コンピュータは,電気で動いているのだよ。
技術の未来は,諸君にかかっているのだよ。
- 7/52 -具体的な数値で:
光速 3×108[m/s]300 f : 周波数[MHz]
波長λ= [m]f
☆f = 3[MHz] λ=100[m]・AMラジオより少し上。・数 cm サイズの回路なら,λ≒0←集中定数回路
- 8/52 -☆ 50[Hz]で,λ=6千[km]・青森-長野 :6 百[km] 東北電力-中部電力
札幌-鹿児島:1千6百[km]地球の直径 :1万3千[km]
☆f = 3[GHz] λ=10[cm]・コンピュータの中はこれ位が基本波,
高調波はもっと上。15次→7[mm]・スマートフォン,携帯電話。
- 9/52 -つまり,
・数 mmの回路が,波長と同程度 ←分布定数回路
定在波が乗ってくるので,
電線の長さや素子のサイズも考えるのだ。
さらに,
☆波長短縮率
例:0.67(同軸ケーブル RG-58A/U)λ≒4[mm]
- 10/52 -
(a) 部品面 (b) パターン面図.ハードディスクのプリント基板
- 11/52 -
引用 浜田,回路とシステム,共立(2006),p. 100
- 12/52 -引用 浜田,回路とシステム,
共立(2006),p. 101
長さ Dx[m]の微小区間で考える。
R [W/m]→ RDx 導線の抵抗,超電導じゃないんだ。L [H/m]→ LDx 0回巻のコイルでもインダクタンスはあるよ。C [F/m]→ CDx 平行導線の間の静電容量です。G [S/m]→ GDx 導線間の絶縁材料にも少しだけ電流
が流れる。
- 13/52 -
参考書の図 11.3
P→ Q(長さ Dx)の間に電圧が下がる。 →左辺
電流による電圧降下 →右辺
¶ i(x, t)v(x, t)-v(x+Dx, t)=RDx・i(x, t)+LDx …(11.1)
¶ t
電圧 v(x, t)
電流 i(x, t)
距離 x x+Δx
C・Δx G・Δx
P点 Q点
i(x+Δx, t)
v(x+Δx, t)
R・Δx L・Δx
- 14/52 -
d iv = R i + L
d tの形ね。
- 15/52 -
参考書の図 11.3
P→ Q(長さ Dx)での電流の減少 →左辺
線間の漏れ電流 →右辺
¶ v(x+Dx, t)i(x, t)-i(x+Dx, t)=GDx・v(x+Dx, t)+CDx
¶ t …(11.2)
電圧 v(x, t)
電流 i(x, t)
距離 x x+Δx
C・Δx G・Δx
P点 Q点
i(x+Δx, t)
v(x+Δx, t)
R・Δx L・Δx
- 16/52 -両式から,
一様線路の基本式を得る。
い ち よ う
¶ v(x, t) ¶ i(x, t)ー = R・i(x, t) + L …(11.3)
¶ x ¶ t
¶ i(x, t) ¶ v(x, t)ー = G・v(x, t) + C …(11.4)
¶ x ¶ t
・R, L, C, G :どんな線路かに依って決まる。・初期条件と境界条件に応じて微分方程式を解く。
- 17/52 -電信方程式 電圧だけ,電流だけ の式
¶2 v(x, t) ¶
2 v(x, t) ¶ v(x, t)= LC + (RC+LG) + RG・v(x, t)
¶ x2¶ t2
¶ t…(11.5)
¶2 i(x, t) ¶
2 i(x, t) ¶ i(x, t)= LC + (RC+LG) + RG・i(x, t)
¶ x2¶ t2
¶ t…(11.6)
- 18/52 -基本式(11.3)(11.4)を解いてみる。
電源の時間的変化が正弦波なら,→ jwが使える。
v(x, t) = V(x) ejwt
i(x, t) = I(x) ejwt
ejwt = ejwt自然対数の底 e = e = 2.71828…
e:イプシロン(ギリシャ文字)
e:イー(英語)
- 19/52 -
d2V(x)= (R + jwL)(G + jwC)V(x)
dx2
d2I(x)= (R + jwL)(G + jwC)I(x)
dx2
- 20/52 -
他科目との関連
集中定数回路 分布定数回路
定常状態 電気回路伝送回路
過渡状態 過渡現象
- 21/52 -閑話休題,集中定数だったら,
v(t)=Vm sin(wt+q1)
i(t)=Im sin(wt+q2)
dq(t)= i(t) dv(t) di(t)
dt i(t) = C ,v(t) = Ldt dt
q(t)=C・v(t)v(t) = R・i(t)
という瞬時値の式から,
- 22/52 -
V = Z・I. . .
1Z = R + jwL +.
jwC
のように定常状態として,
インピーダンス Z を使いたいよね。.
- 23/52 -特性インピーダンスZ0
線路を入力端から見ると,
このインピーダンスに見える。
例:テレビのアンテナケーブル 75[Ω](3C-FV等)
伝搬定数γガンマ
α:減衰定数,β:位相定数アルファ ベータ
と置くと,
Z0=G+jyCR+jyL
γ = R+jyL G+jyC = α + jβ
- 24/52 -
V(x) = a・e-gx + b・egx
1I(x) = (a・e-gx + b・egx)
Z0となります。
ここで,右辺第1項:右へ進む波,入射波,進行波
右辺第2項:左へ進む波,反射波,後退波
引用 池田哲夫,回路網理論,丸善(昭 55)
- 25/52 -Z0,γの計算は,ややこしそうだが,実際には,
ガンマ
無損失線路 R = 0 導線の抵抗率も
G = 0 絶縁物の導電率も
かなり小さいよね。
であれば,
, だね。
また,
位相速度(波動の伝搬速度) …(11.10)
Z0= CL
γ = jβ = jy LC
up = 1/ LC
- 26/52 -分布定数回路を2端子対回路として表現できる。
Fパラメータを使って,
V 1
I1= F
V 2
I2
- 27/52 -
Fパラメータ
Zパラメータ
Yパラメータ
池田哲夫,回路網理論,丸善(昭 55)
F =coshγℓ Z0sinhγℓsinhγℓ
Z0coshγℓ
Y =
cothγℓZ0
-Z0sinhγℓ
1
-Z0sinhγℓ
1 cothγℓZ0
Z =Z0cothγℓ sinhγℓ
Z0
sinhγℓZ0
Z0cothγℓ
- 28/52 -双曲線関数sinh x =
ex - e-x
2
cosh x =ex + e-x
2
tanh x =cosh xsinh x
=ex + e-x
ex - e-x
coth x =tanh x
1=
ex + e-x
ex - e-x( x ≠ 0 )
sech x =cosh x
1=
ex + e-x
2
cosech x =sinh x
1=
ex - e-x
2( x ≠ 0 )
- 29/52 -
次に,分布定数回路の
過 渡 状 態
についても考えてみよう。
- 30/52 -まずは,集中定数回路のことを思い出そう。
R-L直列
ここで,v(t)=V・u(t)
単位ステップ関数(unit step function)
科目「過渡現象」で使う。
v(t)=Vm sin(wt)なら,科目「電気回路」で使った。
d i(t)L + R・i(t) = v(t)
d t
1
0 t
- 31/52 -V
i(t) = (1 ー ε-(R/L)t )R
T = L / Ri(-0) = 0i(∞) = V / R
引用 高橋,他,電気回路,p.187,オーム社(平 17)
- 32/52 -電流 i(t)は,回路のどこでも同じです。
Rを分散させてみましょう。r1=r2=r3=r4=r5=r6=r7=r8
R=r1+r2+r3+r4+r5+r6+r7+r8
直列→合成抵抗は Rです。
rn・i(t)=vn(t) n=1,2,3,4,5,6,7,8回路のどこでも電圧は同じです。
- 33/52 -ところが,長~~い線路では,
t = 0 でステップ状の入力
- 34/52 -
■■ x = 0 での電圧
ところが,x = x1(送電線の途中)では,電圧が伝わってくるのに時間がかかります。
x = ℓ (需要家)では,スイッチを入れてもしばら~くしないと,電圧が届きません。
タイムラグあり。
- 35/52 -電圧が届くのに,なぜ時間がかかるのだろう。
q(t)v(t) =
C
q(t) = i(t) dt
- 36/52 -グラフの横軸を xにして描いてみましょう。
エネルギー機器実験で測定&シミュレーションをやっています。
- 37/52 -さて,
線路が無限長なら→電圧の波はどこまでも進行して行きます。
有限長なら→反射します。
特性インピーダンス Z01 から Z02 の線路(回路)へ抜けようと
する場合の電圧反射係数 rv
Z01 - Z02rv =
Z01 + Z02
- 38/52 -
特性インピーダンスが異なる伝送線路をつなぐと,
エネルギーが反射して戻ってきちゃう。
送りたい→→→→ →→→→
送信機- ケーブル -アンテナ
← ←戻っちゃう
- 39/52 -例 50[W]から∞(開放)へ
∞ - 50rv = = 1∞ + 50
例 50[W]から 150[W]へ150 - 50rv = = 0.5150 + 50
例 50[W]から 50[W]へ50 - 50rv = = 050 + 50
特性インピーダンスと等しいインピーダンスで終端されると反射がありません(無限長と同じです)。
- 40/52 -
出典「遠藤勲,鈴木靖:電気回路Ⅱ,p.94,コロナ社」例題 11.2
- 41/52 -
ならったよね。
- 42/52 -
1ナノ秒=10-9秒
- 43/52 -
ちなみに,
周期 T =10[nS]なら,
周波数 f=1/T=100[MHz]な感じです。
どんなに「高速」の通信でも,
このような距離による遅延は,どうにもなりません。
- 44/52 -
- 45/52 -
- 46/52 -
- 47/52 -
- 48/52 -
長~い電線の左に 20[V]をつないでも,
右で電圧を観測できるまでには,少し時間がかかるのだ。
右が 20[V]になるには,線路全体が 20[V]に充電されるには,もっと時間がかかるのだ。
- 49/52 -【分布定数 演習1】 Z0
無損失線路の特性インピーダンスが 50[Ω],
静電容量が 102[nF/km]であるとき,
インダクタンス[μH/km]を求めよ。
であるから,
k とか μ とか n に注意ね。キロ マイクロ ナノ
Z02 =CL
502 = L [H/km] / 102× 10-9 [F/km]L =
==
50255× 10255
2× 102× 10
[μH/km]-6 [H/km]
-9
Z0 =CL
- 50/52 -【分布定数 演習2】 up
伝搬速度が 200,000[km/秒]で,
全長 1[km]の有限長線路がある。
送端に印加した信号が,受端に到達するのに必要な
時間[μ秒](最初の波が届くまでの時間)を求めよ。
時間=距離/速度
=1×103/200000×103
=5×10-6[秒]=5[μ秒]
- 51/52 -
試験,がんばって。
- 52/52 -1.一端子対回路
(1) フォスターの方法で回路を構成する。(部分分数展開)(2) カウエルの方法で回路を構成する。(連分数展開)
2.二端子対回路
(1) L形回路の Z, Y, Fパラメータを求める。(2) T形回路の Z, Y, Fパラメータを求める。(3) π形回路の Z, Y, Fパラメータを求める。
3.分布定数回路
(1) 伝搬速度(2) 特性インピーダンス