千葉県事業承継ネットワーク事務局の取組み(採択団体名:(一 … ·...

3
1 千葉県事業承継ネットワーク事務局の取組み(採択団体名:(一社)千葉県商工会議所連合会) 支援体制 事業運営の結果 会議 セミナー・広報 事業承継診断 専門家リスト 個者支援 ※具体例は次頁 その他 8月9日 推進会議 8月21日 全体会議 12月26日 推進会議 3月15日 全体会議 【8月~12月】 事業承継支援研修 参加者:83名 延べ 259名 商工会議所、商工会 等の指導員、金融機関 職員を対象としスキル アップ研修3回1クール を2クール実施 【その他セミナー等】 31会場、862名 【12月】 千葉テレビの「ウィーク リー千葉県」にて放映 【1月】 ポータルサイト開設 【アンケート件数】 2,436件 (2019年1月現在) アンケート事務局 ((公財)千葉県産 業振興センター)の支 援のもと商工団体、金 融機関にて事業承継ア ンケートを実施。 【登録数】 21名 税理士、公認会計士、 弁護士、中小企業診 断士等を中心に専門家 登録を受け、専門家派 遣を行う。 【個者面談】 132 8月に全体会議を開催 し、ブロックコーディネー ター(中小企業診断 士)により専門的な観 点から個別相談を実施。 【専門家派遣】 7件13回 個者面談先の内さらに 専門的な相談が必要な 先に対し専門家派遣を 実施。 【承継計画】 策定2件 策定支援中2件 【出張相談会開催】 会場:45会場 相談者数:77組 全県的に事業承継を推 進するため、千葉県の 後援のもと全県を対象と した出張相談会を開催。 商工会議所、商工会 連合会と共催、金融機 関の後援等の支援を受 ける。 平成29年6月に商工団体、金融機関及び士業団体 その他支援機関等52機関で「千葉県事業承継ネット ワーク」が構築され、今年度はそのネットワークを活用し 千葉県が新たに加わった53機関で「事業承継支援 ネットワークちば」を再構築した。その後54市町村と士 業団体が加わり現在では108機関となっている。各支 援機関がアンケート事務局((公財)千葉県産業 振興センター)の支援のもと事業承継アンケートを活 用した事業承継ニーズを掘起し、課題の発掘・整理、 改善・対策を実施するために公的支援機関(プッシュ 型事業承継支援高度化事業地域事務局、千葉県 事業引継ぎ支援センター、千葉県よろず支援拠点、 千葉県中小企業再生支援協議会等)と連携また外 部専門家(弁護士、公認会計士、税理士、中小企 業診断士等)の支援を受けながら、円滑な事業承継 に結びつける。 ■参画機関数:108機関 事業スキーム

Upload: others

Post on 24-Aug-2020

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 千葉県事業承継ネットワーク事務局の取組み(採択団体名:(一 … · また、特例事業承継税制の活用もありうるので、合わせて認定計画書の作成も支援するにこととなった。

1

千葉県事業承継ネットワーク事務局の取組み(採択団体名:(一社)千葉県商工会議所連合会)

支援体制

事業運営の結果

会議 セミナー・広報 事業承継診断 専門家リスト 個者支援※具体例は次頁

その他

8月9日推進会議8月21日全体会議12月26日推進会議3月15日全体会議

【8月~12月】事業承継支援研修参加者:83名

延べ 259名商工会議所、商工会等の指導員、金融機関職員を対象としスキルアップ研修3回1クールを2クール実施【その他セミナー等】31会場、862名【12月】千葉テレビの「ウィークリー千葉県」にて放映【1月】ポータルサイト開設

【アンケート件数】2,436件

(2019年1月現在)

アンケート事務局((公財)千葉県産業振興センター)の支援のもと商工団体、金融機関にて事業承継アンケートを実施。

【登録数】21名

税理士、公認会計士、弁護士、中小企業診断士等を中心に専門家登録を受け、専門家派遣を行う。

【個者面談】132 件

8月に全体会議を開催し、ブロックコーディネーター(中小企業診断士)により専門的な観点から個別相談を実施。【専門家派遣】7件13回

個者面談先の内さらに専門的な相談が必要な先に対し専門家派遣を実施。【承継計画】策定2件策定支援中2件

【出張相談会開催】会場:45会場相談者数:77組

全県的に事業承継を推進するため、千葉県の後援のもと全県を対象とした出張相談会を開催。商工会議所、商工会連合会と共催、金融機関の後援等の支援を受ける。

平成29年6月に商工団体、金融機関及び士業団体その他支援機関等52機関で「千葉県事業承継ネットワーク」が構築され、今年度はそのネットワークを活用し千葉県が新たに加わった53機関で「事業承継支援ネットワークちば」を再構築した。その後54市町村と士業団体が加わり現在では108機関となっている。各支援機関がアンケート事務局((公財)千葉県産業振興センター)の支援のもと事業承継アンケートを活用した事業承継ニーズを掘起し、課題の発掘・整理、改善・対策を実施するために公的支援機関(プッシュ型事業承継支援高度化事業地域事務局、千葉県事業引継ぎ支援センター、千葉県よろず支援拠点、千葉県中小企業再生支援協議会等)と連携また外部専門家(弁護士、公認会計士、税理士、中小企業診断士等)の支援を受けながら、円滑な事業承継に結びつける。 ■参画機関数:108機関

事業スキーム

Page 2: 千葉県事業承継ネットワーク事務局の取組み(採択団体名:(一 … · また、特例事業承継税制の活用もありうるので、合わせて認定計画書の作成も支援するにこととなった。

2

独自的取組みや工夫した点、苦労した点など

〇相談員向け事業承継支援研修の実施

商工会議所と商工会の相談員、金融機関の職員向けに「事業承継支援に関わる対話力の向上と基礎知識の習得」をテーマに直接相談者に対応する人材のスキルアップ研修を実施した。3回に渡る研修(経営者との対話、支援者のポイント、事例を交えたロールプレイング)を2クール実施、83名が参加。〇出張相談会の開催

事業承継支援ネットワーク、特に商工会議所、商工会との連携強化と個者支援の推進を目的に県内全商工会議所及び幹事商工会を対象に「事業承継支援ネットワークちば」出張相談会を共同開催。千葉県と地元金融機関等の後援のもと12月~2月に45会場77組の相談を受けた。〇ポータルサイトの設置

「事業承継支援ネットワークちば」を構成する各支援機関が実施する各種支援事業の情報を集約し、中小企業・小規模企業経営者に対して効果的に情報発信する。

後継者候補(娘婿)はいるものの、家族との関係から選定が進んでいなかった。

ブロックコーディネーターと協議の上、専門家を派遣し、事業承継計画策定支援を行った。

専門家(中小企業診断士)が3回の面談の中で当社の事業計画書に基づいた事業承継計画を策定し、事業承継円滑化法の申請を顧問税理士を通じて県に提出することとなった。

事業承継計画策定支援により後継者候補との会話が進み、承継に向けて前進した。

商工会議所指導員からの会員企業の事業承継ニーズ情報により、ブロックコーディネーターが面談。経営者から後継者選定に向けての課題、今後のスケジュール、事業承継税制特例利用のニーズについてヒアリングを実施した。

課題 支援結果・進捗(支援事例)

相談内容

①30年度の活動を踏まえ、関係機関である千葉県、(公財)千葉県産業振興センター、千葉県事業引継ぎ支援センター、千葉県信用保証協会、千葉商工会議所との連携を深め、定例的な実務者会議を開催しそれぞれの持つ支援機能を共有し、相互に有効活用する体制を強化する。②市町村と連携し休日・夜間セミナーや個別相談会を共同開催する。

③県の協力のもと県内重要業種が集積するなどの重点地域を設定し、対象の市町村や商工会議所・商工会、各組合と連携し事業承継の啓蒙活動、支援活動を強化する。

①商工会議所、商工会によるプッシュ型事業承継支援事業への理解、指導員とブロックコーディネーターの信頼関係が構築されつつある。相談員の日頃の相談業務の中に事業承継が組込まれ、ブロックコーディネーターに繋ぐ流れを定着化させること。

②今年度途中から県内全市町村がネットワークに参加したことから、県、市町村、商工会議所、商工会が連携して地域の事業承継支援を図る具体的な取組を実施すること。

今後の計画課題

(次年度に向けた取組)

Page 3: 千葉県事業承継ネットワーク事務局の取組み(採択団体名:(一 … · また、特例事業承継税制の活用もありうるので、合わせて認定計画書の作成も支援するにこととなった。

3

■支援の経緯

■支援内容・成果

千葉県 専門家派遣による事業承継計画作成支援事例

支援企業 支援体制

企業名 A社

■従業員数 30名

■創業 平成13年

■住所 千葉県

■企業概要 介護用品のレンタル

本事例は、事業承継に関心が高い経営者とブロックCOが信頼関係を築けたことが大きな要因。外部専門家に引継ぐ段階で事業承継計画書の骨子について 経営者と合意ができていたので、3回の専門家派遣で支援を完了することができた。また、企業が日頃より事業計画書を作成していたこともスムーズに進んだ要因と言える。

支援概要

地域事務局コメント

千葉県事業引継ぎ支援

センター

連携支援

A社 現経営者

千葉県事業承継NW機関

顧問税理士

A社社長よりNW機関に親族内承継の相談があり、事業引継ぎ支援センターに紹介があった。A社社長はすでに事業承継について研究し、10か年の事業承継計画書を作成済みであったが、以下の悩みを抱えていた。①娘婿を後継者としたいが、家族の事情と経営の事情をどう折り合いをつけるべきか。②娘婿にその意思があるのかどうか不明で、どう聞いたらいいのかわからない。③事業承継と遺産分配をどう折り合いをつけたらいいのか。特に株式をどう配分するべきなのかがわからない。事業引継ぎ支援センターのブロックコーディネーターによる数回の面談により、社長の年齢も考慮して5年間の事業承継計画を、中小企業診断士の専門家派遣支援を活用して作成することにした。

面談では、社員とその家族、お客様、取引先などさまざまな関係者を考慮すると、民間企業といえども社会的に大きな存在価値があるので、まずは経営のスムーズな承継を優先的に検討すべきであり、その点では経営者が集中して株式所有することが望ましいことを説明した。しかし、娘の感情を考慮すると争いの元になりかねないという社長の懸念があったので、所有と経営の分離という原則に立ち戻り、株式は娘に集中することとした。また、仮に、娘婿が承継を拒否した場合には、従業員承継も選択肢の1つとした。事業承継計画書の作成においては、誰から順番に説明するのか、後継者に何%株式を分配するのかなど、きめ細かな内容を専門家が吟味した。また、特例事業承継税制の活用もありうるので、合わせて認定計画書の作成も支援するにこととなった。プッシュ型の3回の専門家支援により、事業承継計画が完成した。社長は早速親族全員を招集し、事業承継計画と遺産相続の方針を説明した。一方で、娘婿には社長に就任してほしいが、どうするか検討して欲しいと依頼した。その1か月後に、娘婿から就任したい旨の回答があり、現在は、計画書に沿って経営者育成教育が実施されている。