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TRANSCRIPT
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3次元CADモデルやFEMメッシュからの対称性の自動認識技術
北海道大学 大学院情報科学研究科システム情報科学専攻
教授 金井 理
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背景(1)
「対称性」
• 変換(回転,平行移動,鏡像等)に対する形状不変性• 多くの人工物や生物が有する構造• 機能性,経済性,効率性,訴求性• 人間の視覚にも重要な役割
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背景(2)レーザスキャナー,X線CT計測装置の性能向上現物からの計測点群・計測メッシュが容易に取得可能
「対称性」認識による計測メッシュの有効活用- リバースエンジニアリング (計測メッシュ→CADモデル)- FEM解析 (計測メッシュ→FEMメッシュ)- CAM (計測メッシュ→加工用NCデータ)
機械部品 計測メッシュ(微細な表面
3角形の集合)
リバースエンジニアリング
X線CTレーザスキャナ
CADモデル
FEM解析
CAM
FEMメッシュ
NCデータ
対称性認識
対称性認識
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対称性認識によるメリット –リバースエンジニアリングー
コンパクトな定義データをもつCADモデル構築が可能‐部分モデル構築+コピー によるモデル定義
機械部品 計測メッシュ
X線CT計測
計測メッシュ+ 対称性
対称性認識 対称性を利用した部分モデル構築+コピーによるモデル構築
例:平面反射
CADモデル
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対称性認識によるメリット –FEM解析ー
解析効率化のためのFEMメッシュのサイズ縮減が可能‐1/2, 1/4, 1/8メッシュ対称性を考慮したメッシュ分割による解析精度向上
機械部品計測メッシュ
X線CT計測
計測メッシュ+ 対称性
対称性認識対称性を利用し片側のみのFEMメッシュ
を作成
例:平面反射
サイズ削減FEMメッシュCADモデル
メッシュ分割
FEMメッシュ(オリジナル)
対称性認識
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• 3次元メッシュモデル内に含まれる対称性(ユークリッド対称性)を,自動的,かつ網羅的に認識できる計算機プログラムを開発する.
• 対称性を利用したモデル定義データの削減効果を示す.
• 最も条件が厳しい,X線CT計測メッシュ内からの対称性認識の精度を実験的に検証する.
• 対称性認識を「規則パターン」認識にも応用する.
本技術の目的
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機械部品の測定メッシュからの対称性認識への要求条件
1.幅広いクラスの対称性を認識可能なこと– 平行移動,回転,平面反射 (= ユークリッド対称性)
2.平面領域を多く含むメッシュから認識可能なこと3.測定ノイズに対してロバストに認識可能なこと4.平行移動量に依存せず安定した精度で認識可能なこと
5.最大限大きな領域ペアを認識可能なこと
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平行移動,回転,平面反射
類似技術と提案技術との比較
手法
要求1:抽出できる対称性のクラス
要求2:平面領域を含むデータへの適用
要求3:測定ノイズに対するロバスト性
要求5:最大限大きな領域ペアの抽出
[Simari06]
[Podolak06]
[Mitra06]
提案技術
各頂点における主方向算出
+投票
ボクセル化+投票
ロバスト推定
ICP法 + Region Growing法
平面反射
平面反射
◎ ◎ ◎ ◎
◎
◎
×
◎
× × ◎
◎
◎◎
◎×
×
◎ 平行移動,回転,平面反射,スケーリング
◎
要求4:平行移動量に対する精度安定性
△
要求条件が一番厳しい機械部品の計測メッシュからの対称性認識については,本提案技術のみが全条件を満たす.
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Step3:ユークリッド対称性認識
曲率計算 局所形状マッチング
Step2:シード特徴領域ペア生成
最小二乗フィッティング+ 点間距離評価
Step4:対称性クラス判定と対称面/線などの算出
X
Y
),,( Rts
ex. 平面反射
1.幅広いクラスの対称性の認識 (平行移動,回転,平面反射) ← ICP2.平面領域を多く含む計測メッシュからの認識 ←特徴領域
3.計測ノイズに対してロバストな認識 ← ICP4.最大限大きな対称領域ペアの抽出 ← RegionGrowing
特徴:
Step1:特徴領域抽出
(平面の近傍領域)
ICP + RegionGrowing
提案手法の概要と特徴
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AND/ORグラフを利用した対称性の階層的表現生成
• 平面反射対称性のみを利用し,計測メッシュからソリッドモデルを再構築可能な全手順を導出する.
• 導出した全手順を1つのAND/ORグラフで表現する.
複数個の平面反射対称性 ソリッドモデル再構築全手順
計測メッシュ
前報:対称性認識
部分ソリ ッ ド
全体ソリ ッ ド
本報:再構築全手順の導出
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P1
P1
P2
P3
P1
P2P3
P1 P2P3
P2
P3
対称性とAND/ORグラフを利用したCADモデル再構築
反射平面が複数の場合のAND/ORグラフ:
AND OR
:対称領域
:非対称領域
エッジ:反射平面
分割
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構築手順
1構築手順
1構築手順
2構築手順
2構築手順
3構築手順
3
再構築点群モデル
反射平面1反射平面2反射平面3
反射平面2反射平面1反射平面3
反射平面3反射平面1反射平面2
対称性とAND/ORグラフを用いたモデル再構築結果:対称領域
:反射領域
:非対称領域
31%
30%
68%
ソリッドモデル再構築が必要な部分表面積の割合
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対称性認識結果
平面反射対称性 1 平面反射対称性 2
認識対称性数:114 頂点数:437,357 計算時間:19分
180[deg] 180[deg]
2-fold回転対称性 1 2-fold回転対称性 2
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モデル再構築結果構築手順
1構築手順
2:対称領域
:反射領域
:非対称領域
再構築点群モデル
反射平面1 反射平面2
反射平面1反射平面2
反射平面2反射平面1
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従来技術とその問題点(基礎研究レベル)
• Folding meshes: Hierarchical mesh segmentation based on planar symmetry [Simari et al., SGP06]
– 分割:最大対称領域(対称三角形数が最大の領域)から順に分割– 再構築:最小対称性から順に再構築する”1通りの手順のみ”
分割
再構築
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60 [mm]60 [mm]
実製品(PC用ヒートシンク) X線CT計測メッシュ
X線CT計測
セグメンテーション結果 規則配置領域抽出結果 グリッド生成結果
平均稜線長: 0.25[mm]
全頂点数:約30 万 [頂点]
全面分数:約68 万 [面分]
2D平行移動型:全8個
本技術を応用した規則パターン認識結果
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•市販リバースエンジニアリングソフト–Geomagic(米Geomagic社),RapidForm(韓国Inus社) 等–いずれも「対称性認識」機能は無し
•市販FEMプリポストソフト–Hypermesher(米Hyperworks社):簡易的な対称性認識機能をもつ.
対称領域の指定は人間が指示
–その他のプリポストソフト:「対称性認識」の機能は無し
•技術的には,「対称性認識」機能を,これら市販ソフトへアドオンで追加可能
従来技術とその問題点(市販ソフトウエア)
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本技術の特徴・従来技術との比較
• 幅広い対称性クラスの認識が可能– 従来技術: 平面反射対称のみが殆ど– 本技術: 回転+平行移動+平面反射対称の組合せ
• 測定ノイズを含むモデルでも対称性認識が可能– 従来技術: ノイズを含むモデルでは認識精度が劣化– 本技術: X線CTのような比較的大きな測定ノイズを含んだモデルからでも安定かつ高精度に認識可能
• モデルに含まれる全ての対称性を網羅的に抽出可能– 従来技術: 全ての対称性を網羅的に認識できるものは無い– 本技術: モデルのもつ全ての対称性を網羅的に探索し,AND/ORグラフとして保存できるため,目的に応じ最適な対称性を選択し活用できる.
• 対称性のみならず,「規則パターン」の認識も可能– 従来技術: 規則パターンを認識できるものは無い– 本技術: 「対称性」+「規則パターン」の両方を同時に認識可能
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「対称性」認識の想定される用途
• リバースエンジニアリングソフト– 計測メッシュ→CADモデル作成時の定義データ削減,モデル整形
• FEMプリポストソフト– 計測メッシュ・CADモデル→縮減FEMメッシュ(1/2,1/4,..)生成
– FEMメッシュ→縮減FEMメッシュ
• CAMソフト– 計測メッシュ・CADモデル→縮減NCデータの生成
– 金型加工データの削減
計測メッシュ
CADモデル
CADモデル
1/2FEMメッシュ
FEMメッシュCAD
モデル
計測メッシュ
½モデルに対するNCデータ生成
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想定される業界
• 利用者・対象– FEM解析を行っている製造メーカ,
FEM受託解析サービス企業– リバースエンジニアリング,FEMプリポスト,
CAM等のソフト開発を行っているベンダー– 金型・模型製造業,NC工作機械メーカー– レーザ計測を行っている土木建築測量分野
• 市場規模‒ 機械系CAD・CAM・CAEソフト:約1900億円(国内)
‒ 土木・建築系CADソフト:約300億円(国内)
‒ 金型製造: 約1兆5000億円 (国内)
‒ NC工作機械+周辺機器: 約1兆5000億円(世界)
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実用化に向けた課題
• 対称性の認識結果→市販CAD上での自動モデル作成
– モデリング手順の自動推定アルゴリズムの研究を実施中
– 手動操作と組合わせた実用化
• 対称性の認識結果→対称面に沿った要素形状の整形,境界条件の自動設定
– MRRメッシャー機能(既開発技術,特許申請中)との組合わせにより解決可能
部分ソリッ ド
全体ソリ ッ ド
要素品質改善
高密度メッシュ
要素数低減
形状簡略化
3D-CADデータ
表示用データ(STL等)
3次元形状計測データ
MRR
MRRMRR
解析メッシュデータ
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企業への期待
• 企業で利用中のCADソフトやFEMプリポストソフトへ,本対称性認識ソフトウエアを組込み,モデルサイズ低減やモデル整形等の効果に関する実証実験を行いたい.
• 共同研究を希望する企業– FEM解析メッシュの品質に課題をもつ製造メーカ,FEM受託解析サービス企業
– リバースエンジニアリング,FEMプリポスト,CAM等のソフト開発を行っているベンダー
– 金型・模型製造業,工作機械メーカー等でリバースエンジニアリングやCAMおいて対称性の活用が期待される企業
• 共同研究先へは,開発した対称性認識ソフトウエアをソースプログラム付で提供
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本技術に関する知的財産権
• 発明名称 (出願済)ユークリッド対称性認識システム、方法及びプログラム– 出願番号: 特願 2008-174641– 公開番号: 特開 2010-014541– 出願人: 北海道大学– 発明者: 金井 理、 溝口知広
– 発明内容: 対称性認識のアルゴリズム(本発表内容)
• 発明名称(成立済)解析曲面セグメンテーション装置、方法、プログラム及び記録媒体– 出願番号: 特願 2007-015473– 登録番号: 特許第4568843号– 出願人: 北海道大学– 発明者: 金井 理、 伊達宏昭,溝口知広, 岸浪建史
– 発明内容: メッシュモデルの曲率計算と自動領域分割アルゴリズム
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お問い合わせ先
(1)技術内容に関する件
北海道大学 大学院情報科学研究科
教授 金井 理
E-mail: [email protected]
Web: http://www.sdm.ssi.ist.hokudai.ac.jp/
(2)連携・ライセンス等に関する件
北海道大学 産学連携本部 TLO部門広域連携室
特許流通アドバイザー 吉村重隆
TEL: 011-706 -9559
E-mail: [email protected]