インドにおける オーガニックコットン生産の概況 -...

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Country Profile on Organic Cotton Production in India 2009 7 (平成 21 年) 独立行政法人 国際協力機構(JICAインド事務所 NGO-JICA ジャパンデスク

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イインンドドににおおけけるる オオーーガガニニッッククココッットトンン生生産産のの概概況況

CCoouunnttrryy PPrrooffiillee oonn OOrrggaanniicc CCoottttoonn PPrroodduuccttiioonn iinn IInnddiiaa

2009 年 7 月 (平成 21 年)

独立行政法人 国際協力機構(JICA)

インド事務所 NGO-JICA ジャパンデスク

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本報告書の内容は、必ずしも国際協力機構インド事務所の統一的な公式見解ではありません。 また、本報告書に記載されている内容は、国際協力機構インド事務所の許可無く転載できません。

発行: 独立行政邦人国際協力機構 インド事務所 NGO-JICA ジャパンデスク Japan International Cooperation Agency (JICA) India Office NGO-JICA Japan Desk 2nd Floor, Dr. Gopal Das Bhawan 28, Barakhamba Road, New Delhi-110001 Fax: +91-11-4768-5555 E-mail: [email protected]

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序文 JICAインド事務所内に設置された「NGO-JICAジャパンデスク」は、本邦NGOのインドでの活

動開始に際して必要な情報提供を行うことを目的として設置されました。近年、本邦NGOや本

邦企業からの照会で目立つのがコットン生産の実態に関する情報です。団体によって関心領域は

異なるものの、児童労働や環境にやさしい持続可能な農業生産として有機栽培が注目されている

様子が窺えます。また、直接照会を受けた以外でも本邦団体の活動としてインドで生産されたオ

ーガニックコットンを使用した手工芸品をフェアトレードで輸入販売しているところもあります。 具体的に照会を受けた中には、オーガニックコットン栽培を指導している草の根NGOやオーガ

ニックコットン栽培の研究を行っている研究機関の所在を知りたいというものもありました。本

邦の通販会社が、コットン製品の通信販売の売上げの一部を基金として積み立て、この基金から

オーガニックコットン栽培の実践指導に関わっている現地NGOや作物栽培研究を行っている大

学・研究機関に助成を行うという構想ですが、それに応じるにはジャパンデスクにも手持ちの情

報が少なく、新たに情報収集を行う必要があると当事務所では考えました。 ジャパンデスクに照会を下さる団体の多くはインドに拠点を持たず、専ら本邦からの情報と限ら

れた時間制約の中での現地調査に頼らざるを得ず、著しい情報不足の状況に直面しています。こ

の情報不足が解消されれば様々な草の根レベルの協力構想は具体化が可能になりますが、情報収

集は1団体では取ることが難しいリスクでもあります。元々ジャパンデスクはこうした情報不足

を解消することを目的として設置されているため、インドのオーガニックコットンに関心を持つ

多くの本邦団体に代わって情報収集を行い、これを提供することは妥当性があると考えます。 本報告書は、当事務所の調査企画の下に、実際の調査は 2009 年 2 月から 3 月にかけ、インド有

数のネットワーク NGO である Development Alternatives(以下、DA)が行いました。DA のプ

ロジェクトチーム(Dr. K. Vijaya Lakshmi, Mr. Anand Kumar, Ms. Neelam Rana)は、調査にあ

たり、インド国内のオーガニックコットンのステークホルダーと生産者を実際に訪問し、多くの

有用な情報収集を行いました。また、調査ではアンケートも実施しましたが、その準備・実施過

程で、Solidaridad Regional Expertise Centre、Action For Agricultural Renewal in Maharashtra か

ら貴重な調査協力と情報提供をいただきましたことを、この場を借りてお礼申し上げます。 また、英文報告書の和訳作業にあたっては、JICA 国内事業部の仲介の下、日本トライリンガル

株式会社に翻訳協力をいただきました。迅速に翻訳作業を遂行していただきましたことをお礼申

し上げます。 本報告書が日本の多くの皆様にインドにおけるオーガニックコットン製品の生産に関して包括的

な情報を提供することを願ってやみません。 2009 年 7 月

独立行政法人 国際協力機構 インド事務所長 入柿 秀俊

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目次

要約 i-ii第 1 章:インドにおけるオーガニックコットン生産の概況 1-221.1 インドのオーガニックコットン生産と世界市場へのコットンの輸出 11.2 オーガニックコットン生産の歴史 51.3 オーガニックコットン生産の地理的分布 51.4 オーガニックコットン農業に関する政府の政策 1.5 農家、取引業者/輸出業者、小売業者、製造業者および消費者にとって

の機会と脅威

619

第 2 章:農法 23-542.1 コットン概観 232.2 土壌管理 262.3 作物の栄養素 282.4 害虫および病気の管理 322.5 雑草管理 442.6 灌漑 452.7 収穫および収穫後の作業 462.8 作物栽培の経済 472.9 オーガニックコットン栽培農法 – システマチックアプローチ 502.10 従来型のコットン栽培からオーガニックコットン栽培への転換プロセ

ス 52

2.11 オーガニックコットン栽培の利点 53第 3 章:サプライチェーン 55-673.1 概要 553.2 検査および認定 603.3 インドにおける認定手続き 603.4 紡織工場 67第 4 章:実施済みおよび現在実施中のプロジェクトとその教訓 68-744.1 実施済みプロジェクト 684.2 現在実施中のプロジェクト 70第 5 章:オーガニックコットン生産に関する先行研究のレビュー 75-1175.1 農法 755.2 繊維の品質 765.3 オーガニックコットン栽培農家の社会経済的分析 765.4 サプライチェーンのボトルネックと政策提言 805.5 オーガニックコットン研究に従事する研究機関のリスト 82付録 86-87略語表 88-89

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要約 インドは、農業を行う際の気候条件が地域によって大きく異なるため、あらゆる品種を生産でき

る可能性を秘めている。いくつかの地域では、長く受け継がれてきた伝統的な有機農法にアドバ

ンテージがある。インドで有機農法の認定を受けた耕地面積は 170 万 ha に及んでいる。国内の

有機農産物市場は 10 億ルピーの規模であるが、年間伸び率は着実に拡大を続けており、2010 年

までには現在の 35%から 50%になる見込みである。 インドは世界の生産量の 50%以上を占めるオーガニックコットンの 大の生産国である。

Organic Exchange の 近のレポートによれば、2007~2008 作物年度のオーガニックコットン生

産上位 5 カ国は、規模が大きい順に、インド(生産高が世界全体の 51%)、シリア(19%)、

トルコ(17%)、中国(5%)、それにタンザニア(2%)であった。 インドのコットン(綿)は、3 つの農業生態学的地域(agro-ecological zones)で栽培されてい

る。すなわち、北部地域(パンジャブ、ハリヤナ、ラジャスタン州)、中部地域(グジャラート、

マディアプラデシュ、マハラシュトラ州)、南部地域(オリッサ、タミルナドゥ、カルナタカ、

アンドラプラデシュ州)である。栽培される綿種は地域によってさまざまである。インドでは、

マディアプラデシュ州がコットン生産をリードしており、マハラシュトラ州とオリッサ州がそれ

に続く。インドにおけるオーガニックコットンの生産量はインドで生産されている伝統的なコッ

トン全体のわずか 1.4%に過ぎないが、開発の余地のある優れたニッチ分野である。 インドの「国内農業経済シナリオ」(National Agriculture and Economic Scenario)に示された

コットンの重要性を考慮して、インド政府は農業加工食品輸出開発庁(Agricultural and Processed Food Products Export Development Authority、APEDA)を設置した。同庁は農家の

生活の重点を単なる自給自足から特にオーガニックコットンの分野の拡充と繁栄への移行に取り

組んでいる。中央政府は「オーガニックコットン諮問委員会」(Organic Cotton Advisory Board)も設置した。その一方で、農業の改善と NGO、大学および研究機間経由の資金供給を目

的として「国立有機農法センター」(National Centre for Organic Farming)が設けられた。また、

政府は「全国有機生産プログラムの全国オーガニック生産規準」(National Programme for Organic Production, National Organic Product Standards)を制定した。加えて、政府によるさま

ざまの措置が今日まで講じられてきた。品質保証、公正取引および市場開発のための IPM 規則、

認定および認証規則 2001 などである。有機農法全体を後押しするため、インド政府の計画委員

会は、第 11 次 5 カ年計画(2007~12 年)に 250 億ルピーの予算を確保することを提案した。

いくつかの行政機関や政府機関も有機農法に関する研究開発に従事している。行政機関とは別に、

さまざまな NGO や CSO が、農家、SHG、取引業者などの能力強化に積極的に関与している。 インドのオーガニック製品(産品)の生産と輸出は増加しつつある。強みとして考えられるのは

残留農薬に対する認識、国際および国内認定機関の存在および政府の支援である。大きな弱点は

情報/認識のレベルに関することである。もう 1 つの留意すべき弱点としてはオーガニック市場

が需要主導型ではなく供給主導型と考えられることがある。このことから、多くの脅威を導き出

すことができる。しかし、より大きな脅威は、すべての種類の製品が「無農薬」、「環境にやさ

しい」、さらには「オーガニック(有機)」などと表示して提供されていることである。この意

味で、ほとんどの脅威は信頼できる表示の問題、政府の役割、それに「オーガニック」

(organic)という用語の説明に関係している。これらの脅威は迅速に克服する必要がある。 インドにおけるオーガニックコットンのバリューチェーンは、タオルから生理用ナプキンまで

終製品が多岐にわたるため非常に複雑で広範囲に及んでいる。しかし、農家と労働者は、輸入業

者、輸出業者および小売チェーンが主導するサプライチェーンの中で連関性が も弱い。綿繰り

部分は児童労働、過酷な労働条件、不潔な作業環境、不公平な賃金に悩まされており、バリュー

チェーンの主導者たちによる統制はほとんど及んでいない。また、農民組織と所有権の問題も絡

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み合っている。事実、契約は、ほとんどすべての契約条件が会社で働く農民の義務のみを規定し

ているため、農民に非常に不利に偏っている。 現在、数種類のオーガニックコットン製品がインド国内で流通している。それらのほとんどは外

部の基金積立機関すなわちソリダリダード(たとえば、チェトナ・オーガニック)から資金の提

供を受けており、一部はプラティーバ・シンテクス(ヴァスーダ・プロジェクト)などのインド企

業から資金提供を受けている。 我々は、オーガニックコットン製品の生産およびそのサプライチェーン・システムの現在の傾向

と実践の実態を把握するため、オーガニックコットン製品生産に関与しているさまざまな利害関

係者の意識を調査する質問表を作成した。この質問表はインドにおけるオーガニックコットン製

品生産に関与しているさまざまな関係者(NGO、CSO、基金積立機関、実施機関等)に送付さ

れた。我々はそのデータ/情報を分析し、本報告書の各章で紹介している。 本報告書「インドにおけるオーガニックコットン生産の概況」(Country Profile on Organic Cotton Production in India)は、インドにおけるオーガニックコットン栽培の実践に関する情報

を総合的に整理し、インドのオーガニックコットン・サプライチェーン(強み、弱点、脅威およ

び機会)に関する理解を促進すると期待される。 本報告書は 5 つの章で構成されており、それぞれの章はインドにおけるオーガニックコットン生

産、農法およびサプライチェーン・システムに関する総合的な情報を提供するものである。 第 I 章は、インドにおけるオーガニックコットン生産の概況と世界市場におけるインドのオーガ

ニックコットン製品輸出の状況を示す。また、さまざまの主要利害関係者にとってのオーガニッ

クコットン生産のバリューチェーンにおける機会と脅威について簡単に説明する。この章では有

機農法を促進するためにインド政府が取ってきた過去の政策および現在の構想について詳述する。 第 II 章では、土壌管理、作物の栄養物、害虫および病気の管理、雑草管理、収穫および収穫後の

作業等に関する現在および推奨されるオーガニックコットン農法について述べる。また、従来型

栽培および有機栽培コットンの経済性についての比較した結果の概要を示す。 第 III 章では、インドで一般的なオーガニックコットン製品サプライチェーン・システムを評価

する。検査、認定、認証、インド政府が認定した各種認定機関および認証機関に関する情報を提

供する。この章では、綿花からオーガニックコットンへの加工に従事する紡績工場のリストも示

す。 第 IV 章では、インド各州におけるオーガニックコットンに関する過去および進行中のプロジェ

クトについての包括的な見解を示す。このため、金額、作付面積、関与する農民および州の数に

関する規模に基づいて少数の主要なプロジェクトが選択された。過去の経験からの重要な課題と

結果を詳細に述べる。 第 V 章では、農法、社会経済的評価、サプライチェーンにおけるボトルネックに重点を置き、イ

ンドにおけるオーガニックコットン生産に関する過去の調査研究の成果について紹介する。調査

研究に基づくサプライチェーンに関するいくつかの政策提言も盛り込んだ。オーガニックコット

ンの研究に従事する研究者/研究機関のリストも示す。

ii

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Country Profile on Organic Cotton Production in India

第1章 インドにおけるオーガニックコットン生産の概況 はじめに インドでは、生産された農薬全体の 50%近くがコットン生産においてで使用されている。長期

にわたって見境なく農薬が使用されたことで、生態系にその痕跡を残されてきた。農薬に対する

耐性、貧弱な土壌、水の汚染、人間と動物の健康障害は生態系のバランス崩壊の 初の徴候に過

ぎない。これは、農薬、肥料、除草剤の過剰使用によって膨張してきた生産コストにさらに輪を

かけるものである。したがって、生産コストの削減と汚染被害の 小化という 2 つの目的を達成

するため、コットンの有機栽培を拡充していく努力が世界中で行われるようになってきた。 インドでは、農業を行う際の気候条件が地域によって大きく異なるため、あらゆる品種を生産で

きる可能性を秘めている。いくつかの地域では、長く受け継がれてきた伝統的な有機農法にアド

バンテージがある。これはオーガニックコットン生産者が輸出市場と繋がることにより国内市場

で着実に成長していることを示し、オーガニックコットン市場の開拓が今後も期待できることを

示唆している。現在、インドは、有機栽培を行っている農地の総面積では世界の第 33 位であり、

農地面積全体の中で有機作物が栽培されている農地の割合では 88 番目に位置づけられている。

2007~2008 年度では、有機農法の認定を受けた耕作面積はおよそ 280 万 ha である。これには

耕作中の 100 万 ha を含み、残りは森林地(野生作物採集)である。 1.1 インドのオーガニックコットン生産と世界市場へのコットンの輸出 インドには認定を受けた有機農法が行われている農地は 170 万 haある。インド国内のオーガニック市場の規模は 10 億ルピーと評価さ

れており、年間成長率は現在の 35%から 2010 年には 50%と着実に

伸びると見込まれている。インドは急速に有機栽培農産物の生産と

世界市場への供給の主要基地になってきている。有機農産物の世界

市場規模は 2010 年までに 1,000 億米ドルに届くと予想されている

(インド政府の商工業省によるプレスリリース)。 インドにおけるオーガニックコットン生産は極めて大きな潜在性を秘めている。面積の 65%が

天水栽培で、従来型の灌漑コットン栽培と比較して肥料使用量は 20%、農薬使用量は 15%に過

ぎないところに特徴がある。インドは現在オーガニックコットンの生産で世界的リーダーである。 インドは、世界 大のオーガニックコットンの生産国で、世界の生産量の 50%以上を占めてい

る。Organic Exchange の 近のレポートによれば、2007~2008 作物年度のオーガニックコット

ン生産上位 5 カ国は、規模が大きい順に、インド(51%)、シリア(19%)、トルコ(17%)、

中国(5%)、タンザニア(2%)であった(図 1 および 3)。これら 5 ヶ国の生産量を合計する

と、世界の生産量の 94%を占める。ニカラグアと南アフリカは新規参入国で、それらの国では

その年に初めてオーガニックコットンの生産が認定された。インドにおけるオーガニックコット

ンの生産はインド国内で生産された従来型コットン全体の 1.4%に過ぎないが、それは発展の可

能性がある優れたニッチ(すき間)分野である(図 2)。

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Country Profile on Organic Cotton Production in India

図 1:オーガニックコットン生産上位 5 ヶ国

出所:Organic Exchange Report、2007~2008 年

図 2:インドにおけるオーガニックコットンと従来型コットンの生産面積

出所:Cotton Association of India(インド綿協会)、2008~2009 年

Organic Exchange の 2007~2008 年レポート(Fiber Report)によれば、インドは間違いなくこ

の分野の世界的リーダーであり、生産も継続的に増加している。言い換えると、インドは世界の

オーガニックコットン生産量を 152%増やして 1.46 lakh(14 万 6 千)トンに押し上げた。この

ことはインドが世界のオーガニックコットン生産量のちょうど半分に貢献していることを意味す

るものである。 インド国内では、マディアプラデシュ州がオーガニックコットン生産をリードしており、マハラ

シュトラ州とオリッサ州がそれに続いている。インドにおけるオーガニックコットン生産は国内

で生産された従来型コットン全体の 1.4%に過ぎないが、それは発展の可能性がある優れたニッ

チ分野である。 Organic Exchange が発行したレポート「Organic Cotton Farm and Fiber Report 2008」によれ

ば、、世界の農家が栽培するオーガニックコットンは 2007 年から 2008 年ににかけて 152%増

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Country Profile on Organic Cotton Production in India

加した。その結果、オーガニックコットンの生産量は 145,872 トンに達した。これは 668,581 梱

に相当し、耕作面積は 22 ヶ国で 161,000ha である。インドはリーダーとしてトルコが長く維持

していた地位を引き継ぎ、その生産量は 292%増加して 73,702 トン、あるいは世界のオーガニ

ックコットン生産量の約半分に達すると見られている。その他の主要なオーガニックコットン生

産国は、ランク順に、シリア、トルコ、中国、タンザニア、米国、ウガンダ、ペルー、エジプト

およびブルキナファソであった。

図 3:オーガニックコットン生産シェア

出所:Organic Exchange、2008 年

有機農法生産はインドにとって非常に重要であり、コットンは国のオーガニック製品生産への移

行において重要な役割を果たすと期待される。インドは 2007~08 年に世界 大のオーガニック

コットン生産国となり、数千の農家の生活が向上した。その生産量の大部分は現地の紡績工場で

消費されている。従来のオーガニックコットン生産地域は主にインド中央部のマハラシュトラ州

とマディアプラデシュ州であったが、その他の地域でも新たなプロジェクトが始まっている。コ

ットン(綿花)はすべて手摘みで、ローラーで綿繰りされている。ステープル(繊維の長さ=

staple)は 1.1/8”~1.5/32”で、マイクロネア(micronaire)は 3.5~4.5 の範囲、強さは 27 gpt(HVI)である。ほとんどのオーガニックコットンの品質は Mech-1 および Bunny Brama である。

インドはおよそ 396,997 百万トンの認定オーガニック製品を生産し、そこにはすべての食品も含

まれる。すなわちバスマティ米、豆類、ハチミツ、紅茶、香辛料、コーヒー、菜種油、果物、加

工食品、穀草類、生薬、およびそれらの付加価値製品である。生産は食品部門に限定されるもの

ではなく、オーガニックコットン繊維、衣類、化粧品、機能性食品、ボディケア製品等も生産し

ている。インドは 2007~2008 年には 86 品目を輸出しており、合計量は 37,533 トンである(図

4)。輸出額はおよそ 100.4 百万米ドルで前年比 30%の伸びを記録している。オーガニック製品

の主な輸出先は EU、米国、オーストラリア、カナダ、日本、スイス、南アフリカおよび中東で

ある。コットンは製品輸出の中心である(16,503 トン)。オーガニック製品生産の増加はオー

ガニックコットン製品需要の増加によるものである(図 5)。

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Country Profile on Organic Cotton Production in India

図 4:インドから輸出された有機製品、2007~2008 年

出所:インド政府商工業省、農産物加工食品開発局

図 5:世界のオーガニックコットン生産量、2008 年

出所:インド繊維産業連盟(Confederation of Indian Textile Industries)

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Country Profile on Organic Cotton Production in India

1.2 オーガニックコットン生産の歴史 考古学者によれば、インドや中南米の人々は 4,000 年前からコットンを布地に使っていたという

証拠があるという。 インドではアジア品種の Gossypium(チョウ目害虫抵抗性のコットン)が古くから栽培されて

きた。インドは特に G. arboreum(樹木種)の 3 つの地理的品種、ベンガリン(bengalense)、

セルニウム(cernuum)およびインディカム(indicum)のほか、G. herbaceum(草木種)のウ

ィチアナム(wightianum)種の原産地であり栽培品種化が進んでいることを示している

(Hutchinson 他、1947)。インドでは紀元前 3000 年以上前から複相のコットンが栽培されてお

り、多年生と一年生の両方の形態が幅広く分布している。 インドでは、元々、4,000 年間を通じて、コットンは常に有機栽培されてきた。50~60 年以上前

には、インドのコットン栽培は有機であった。化学物質は肥料としても殺虫剤としても使用され

ていなかったからである。今日でも、コットンは、以下に示すように、多くの地域で無意識に有

機栽培されている。上記の品種は干ばつと害虫に対するその固有の耐性のため、有機栽培

(green farming)に適したものとなっている。 その後、第二次世界大戦期の殺虫剤と化学肥料の開発の結果、コットン栽培は劇的に変化した。

それらの導入のわずか 10 年後の 1950 年代後半には、DDT によってもたらされる環境被害は農

薬の長期使用には悪影響を伴うという可能性を示すようになった。コットン栽培にはもっと自然

な方法があり、近年、多くの人々がより伝統的な栽培方法に戻るべきだと強く訴えている。文献

資料によれば、インドの有機農法は、1900 年には北インドの農村で英国の農学者のハワード卿

(Sir Albert Howard)によって開始された。それ以来、インドの一部地域の農民たちは、ほかに

方法がないものとして、あるいは資源不足の条件下であるためにそれを実践している。 1.3 オーガニックコットン生産の地理的分布 インドは、ハイブリッドコットンに加えて、綿花の 4 つの栽培種、すなわち Gossypium arboreum と G.herbaceum(アジア綿)、G.barbadense(エジプト綿)および G.hirsutum(ア

メリカ・リクチワタ)のすべてを栽培している唯一の国である。Gossypium hirsutum はインド

のハイブリッドコットンの 90%を占めており、現在のすべての Bt コットン・ハイブリッド(Bt cotton hybrids)は G.hirsutum である。 コットンは 3 つの農業生態学的地域で栽培されている。すなわち、北部地域(パンジャブ、ハリ

ヤナ、ラジャスタン州)、中部地域(グジャラート、マディアプラデシュ、マハラシュトラ州)、

南部地域(オリッサ、タミルナドゥ、カルナタカ、アンドラプラデシュ州)である。どの地域で

もさまざまな品種を栽培しており、それぞれに地域特有の問題がある(図 6)。インドは、増加

する消費者需要を満たすため、オーガニックコットン繊維、織物および衣類の生産を急速に増や

している。また、インドには、主要な国際市場と結び付くとともに、大きな潜在性を持つ国内市

場にも参入できる成熟した織物産業がある。

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Country Profile on Organic Cotton Production in India

図 6:インドのオーガニック製品と生産地域

出所:農業加工食品輸出開発庁(APEDA)、2008 年

1.4 オーガニックコットン農業に関する政府の政策 インドの国内農業経済シナリオにおけるコットンの重要性を鑑み、オーガニックコットンは以前

は「中央コットン委員会」(Indian Central Cotton Committee)を通じて、そして現在は「イン

ド農業研究評議会」(Indian Council of Agricultural Research、ICAR)を通じて、インド政府の

注目を集めている(図 7)。加えて、1967 年には ICAR のイニシアチブにより「全インド共同コ

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Country Profile on Organic Cotton Production in India

ットン改良プロジェクト」(All India Coordinated Cotton Improvement Project、AICCIP)が開

始された。AICCIP の立ち上げは、州立農業大学の積極的関与を得て、他部門横断的で複数の拠

点を持つアプローチを通じて新たな刺激と方向性をもたらした。 コットン生産を制限する基本的問題について長期研究を実施できる優れた研究拠点を育て、地域

を限定した応用研究を AICCIP システムを利用して国内のコットン研究ネットワークを通じて実

施するという観点から、ICAR は 1976 年 4 月にマハラシュトラ州ナグプールに「中央綿花研究

所」(Central Institute for Cotton Research、CICR)を設置した。 Organic Exchange の「オーガニックコットン農業および繊維レポート 2008」は、オーガニック

コットン生産量の増加を農業加工食品輸出開発庁(APEDA)の努力の結果であるとしている。

同庁は 1985 年 12 月に議会で可決された「農業加工食品輸出開発庁法」(Agricultural and Processed Food Products Export Development Authority Act)に基づいて政府によって設置され

た。同法(1986 年第 2 号)は 1986 年 2 月 13 日に発効した。同庁は加工食品輸出振興評議会

(Processed Food Export Promotion Council、PFEPC)に代わるものである。 同庁は農民の生活の中心を単なる自給自足から特にオーガニックコットンの分野における強みを

発揮し繁栄への道を歩ませるものにしようと試みている。さらに、中央政府は「オーガニックコ

ットン諮問委員会」(Organic Cotton Advisory Board)を設置するとともに、農法の改善と

NGO、大学および研究機関に研究に必要な資金を供給するため、「全国有機農法センター」

(National Centre for Organic Farming)が設置された。 有機農法全体を促進するため、インド政府の計画委員会は、第 11 次 5 カ年計画(2007~12 年)

に 250 億ルピーの予算を確保するよう提言した。これまでに、計画委員会は全国有機農法センタ

ーの設立のため 10 億ルピーを配分している。 「全国農民委員会」(National Commission on Farmers)は、ニッチとなり得る商品作物を持つ

有機栽培村を今後 5 年間で丘陵地で 25,000 村育成することを提言している。この有機栽培村で

は、地元農家出身の卒業生や若者をそれに従事させるべきとされている。同委員会はインドにお

ける有機農法を促進するための制度的基盤は満足するにはまだ程遠いと見ている。同委員会は、

有機農法を国内農業経済の主流とするため有機農法に関する集中的な国民運動を始めるべきだと

提言する。 250 億ルピーの投資は第 11 次 5 カ年計画(2007~12 年)で有機農業部門の以下の 4 分野につい

て提案されている。 ① 有機栽培および生産プロセスへの農地の転換 ② 国内市場のためのオーガニック製品サプライチェーンの開発 ③ 輸出市場のためのサプイライチェーンの開発 ④ 人材開発および制度面での能力向上意識の促進、政策、戦略、規格および規則の策定

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図 7:インドにおける有機農法 – ステークホルダーの関与

GOVERNMENT Regulations Standards Accreditation

MoC, MoA, APEDA, Board

Policies Agr. Subsidies Support

Schemes MoA, Planning Commission

NGOs supporting Organic Agriculture Representing farmer’s interests Information, extension Market development, promotion e.g.

OFAI, BAAI, Morarka, Keystone, INORA, AME, IIRD, SOA

Organic Competence Centre Collect information and knowledge Documentation and dissemination Training and extension services Policy initiatives, networking to be

established (ICCOA)

Producer Organizations Cooperatives Producer Groups Companies, Projects e.g. PDS, VOFA,

TOFA, Ecofarms, Agrocel, Markaal

Certification Bodies Inspection Certification Standard development IMO, SKAL,

Ecocert, BCS, SGS, INDOCERT, APOF

C O N S U M E R S

Farmers Processors Traders

Extension Agriculture,

extension service KVKs, State Depts, RAEOs

Research Universities Research

Centres ICAR, SAU, Central Research Institutes

1.4.1 全国有機生産プログラム(NPOP) インド商工省は 2000 年に、有機農法をターゲットを絞って方向性をはっきり定めた形で有機生

産を発展させることを目指し、「全国有機生産プログラム」(National Programme for Organic Production、NPOP)に着手した。プログラムはオーガニック製品の開発と認定のための政策

(Policies)、オーガニック製品および加工に関する全国規格(National Standards)、検査・

認定機関によって運用されるプログラム認証(Accreditation)およびオーガニック製品として

の証明(Certification)手続を含んでいる。 生産および認証システムに関する NPOP 規格は欧州委員会とスイスでそれぞれの国の規格と同

等のものとして認められている。同様に、USDA(米国農務省)は NPOP の認証に関する適合性

評価手続きを米国の場合と同等のものとして認めている。これらの承認により、インドの認証機

関によって正式に認定されたインドのオーガニック製品は各国において輸入可能となる。 (1) NPOP の実施体制 NPOP の実施体制を図 8 に示す。プログラムは 高機関であるインド商工省を通じて政府が立案

実施するものである。商工省は「全国有機生産プログラム運営委員会」(Steering Committee for National Programme for Organic Production、NSC)を設置し、そのメンバーは、APEDA、コーヒー委員会、香辛料委員会、紅茶委員会のほか、オーガニック運動に関係する各種官民組織

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から集められた。また、関連問題に関して NSC に助言するため、必要な場合はいつでも小委員

会を選任することができる。 NSC には以下の準備と承認が委任されている。

• オーガニック製品全国規格(NSOP) • 検査・認定機関の認証のための認証基準 • 認証手続き • 検査・認定手続き

NSC は「国内認証政策・プログラム」(National Accreditation Policy and Programme)を定め、

オーガニック製品の生産と加工の基準を含む「オーガニック製品全国規格」(NSOP)を策定し

た。「国内認証政策・プログラム」は「認証機関」(Accreditation Agency)によって管理され、

認証プログラムと運用の全体的政策目標を定めている。NSC は必要ならいつでも認証手続きの

修正を行うことができる。「国内認証政策・プログラム」は、そのような修正に関して NSC に

助言を行う「認証機関」のメンバーによって実施される定期的な内部審査を受ける。 (2) 認証機関 認証機関(Accredication Agencies)は NSC の勧告に基づき政府により設置された。APEDA、コーヒー委員会、紅茶委員会および香辛料委員会はインド政府によって認証機関としてすでに認

められている。有機農法に関与し認証を受けることを希望するその他のすべての政府機関も、そ

れらの機関が扱っている製品の認証機関としての承認を求めて NSC に申請することができる。

認証機関の業務は、製品の評価と認定に関する手続きの立案、プログラムを実施する機関の評価

手続きの策定に関するものである。 (3) 評価機関 認定プログラムを実施する資格のある検査・認定機関は評価機関(Evaluating Agency)の協力

を得て認証機関が特定する。評価機関は認証機関によって指名され、認証機関スタッフまたは外

部専門家で構成される。評価機関には、認証プログラムからの申請を受け付けて審査し、プログ

ラムおよび実施機関の信用証明内容を確認するための評価視察などを手配するプログラム・マネ

ジャーを指名することが求められる。プログラム・マネジャーは、認証の検討のため評価報告書

を評価機関の勧告を添えて認証機関に提出することになっている。

(4) 認証済みの検査・認定機関 評価機関の勧告に基づき、検査・認定機関(Accredited Inspection and Certification Agencies)は認証機関の認証を受ける。これらの機関は運用手続き、NSOP および国際規格に精通しており、

その実施プログラムは少なくとも 1 年間は実施されてきている。 (5) 検査官 検査・認定機関が指名する検査官(Inspector)は事業者が指定書式で保管する記録の審査のほか

定期的な現場視察によって事業の検査を実施する。基準およびプログラムの履行状況に基づいて、

検査・認定機関は、その条件ならびに勧告を示して、製品と事業がオーガニック状態であること

を認定する。

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図 8:NPOP の実施体制

Government of India

Ministry of Commerce (MoC)

Ministry of Agriculture (MoA)

Accreditation Agencies

Tea Board

Coffee Board

Coconut Board

APEDA

Spices Board

Directorate of Cashew & Cocoa Development

Inspection & Certification Agencies

Processors Farmers Operators

Steering Committee for NPOP (Members appointed by MoC) Subcommittees on standards,

accreditation etc.

出所:インド政府商工業省、農産物加工食品開発局

1.4.2 規則 (1) 認証規則 2001(Accreditation Regulation 2001) この規則は、認証機関の下で有機作物/製品の生産および加工の「オーガニック」としての認定

に従事するか本規則の施行開始以前からすでに従事しているインド国内のすべての認定機関に適

用される。 認定機関が「オーガニック」であるとして付与した製品のいかなる認定も、その認定機関が各認

証機関の認証を受けていない場合は無効とする。認証機関は規則に基づいて指定された検査およ

び認定に関する承認済みの認証基準に従う。 (2) 認証委員会 各認証機関の認証委員会はインド政府によって別途任命される。この委員会には、認定事業者

(生産者団体)の農場から採取したサンプルの分析を含めて、抜き取りまたは抜き打ち検査を行

う権限が与えられている。

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(3) 認証の申請 機関としての新規認証または認証更新を求める申請者は、認証機関から入手可能な規定の書式で、

担当事務官(authorized officer)に規則に定められた目的別の規定料金を添えて申請書を提出す

る。認定機関がいくつかある認証機関の 1 つから複数の製品を対象とした認証を申請する場合が

あるが、それらの製品が異なる認証機関の認証対象となっている場合、申請を受けた認証機関は、

申請内容を精査しつつ、特定製品を対象とする他の認証機関からの技術専門家と共同で審査する。 申請者は認証のための申請用紙を提出するほか認証料を預託しなければならない。この認証証明

(Certificate of Accreditation)は 3 年間有効となる。認証証明の更新には更新料が必要で、更新

の申請と同時に支払うものとする。認証を受けたすべての検査・認定機関には譲渡または再割当

が認められていない特定の認証番号が割り当てられる。すべての項目を記入して正式に提出され

た申請書と規定料金の受領後、認証機関はすべての申請書について予備審査を行う。申請書に問

題がないことがわかると、認証機関はその認証機関に指名された評価官による実地評価の手配を

行う。認証委員会は申請書のほか評価報告書についても審議する。申請者が規定の基準を満たし

ている場合、委員会はその認定機関に許可を与える。 委員会は、適切と考える場合、申請者に評価中にみつかった欠陥につき是正措置を講じる機会を

与えることもある。不承認の場合は、委員会は申請者に書面で理由を添えてその旨知らせること

になっている。各認証機関は認証(Accreditation)の承認後、ただちにその承認について規定の

認証契約書(Accreditation Contract)の写しを添えて認定機関に通知する。認定機関は、承認の

受領の日から 15 日以内に、申請者に通知された価額について非強制収入印紙を貼った書類で契

約書を作成する。認定機関の権限を付与された者が署名した契約書の受領後、認証機関は、契約

書の受領の日から 15 日以内に認証証明書(Certificate of Accreditation)を発行する。 (4) 認証の 新化と更新 規定の料金を添えた認証更新申請書について、対象認定機関は、認証期間終了の 30 日前までに、

認証機関の担当官に申請書が届くように提出する。ただし、認証機関の長(Chairman)は、上

記更新申請書提出のあらゆる遅延をその遅延の合理的な理由が示される場合は容認する権限を有

する。認証証明書の更新は検査・認定機関の過去の実績に基づくものとし、認証機関はその完全

なる裁量権をもってそのような申請を更新または却下する権利を有する。更新申請を却下する場

合には、認証機関はその却下の理由を書面で提示せねばならない。各認証機関の長はそのような

却下について行われるあらゆる上訴に関してそれを行う決定をする権限を有する。インド商工省

はすべての上訴内容を検討する管轄当局である。そのような上訴に関する決定は 終的なもので

あり双方の当事者を拘束する。 (5) 指針を発令する権限 認証機関は検査・認定プログラムに関して随時必要な指針を認定機関に示す権限を有する。 (6) ロゴ 認定プログラムで使用するロゴは、「India Organic」(インド製オーガニック製品)という、表

面にプリントされたもので、製品がインドで有機生産されたことを示すシールである(図 9)。

認証を受けたすべての機関は認定されたオーガニック製品にこのロゴを使用する権利がある。ロ

ゴの使用は、本規則に含まれている条件の履行を基準とする。認証機関の認証を受けた検査・認

定機関から必要な認定を受けた場合に限るが、どの販売者も製品に「National Organic」(国産

オーガニック製品)のロゴを表示することができる。

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図 9:インド製オーガニック製品のロゴ

出所:APEDA

(7) 認証の終了 ある認定機関に付与された認証証明は、本規則に基づくいずれかの条項もしくは認証機関または

インド政府が随時発行するその他の業務指示に違反する場合は、一定期間の凍結または強制終了

の対象となる。ただし、一時凍結の場合は、認証機関は事業者の利益を保護するための認定作業

を継続するために他の認定機関を指名する権限を有する。もしあれば、認定機関は、認証証明に

かかる上記のような一時凍結や強制終了に関する上訴を、認証機関による当該措置の適用発表日

から 30 日以内に各認証機関の長に提出することができる。商工省は上訴機関の決定を見直す管

轄当局である。見直しは上訴に関する裁定の日から 30 日以内に提出されなければならない。た

だし、合理的な理由が示される場合は、各当局は、上訴/見直しの提出の上記期間に融通を利か

せることができる。 (8) 認証のカテゴリー 認証は製品カテゴリー別に、「有機農法生産」、「有機加工」、「天然製品」、「森林資源」、

「有機畜産および加工」といった形で付与される。認証を申請する認定機関は有機農法運動/生産に関係するプログラムに積極的に関与すべきとされ、そのプログラムは少なくとも 1 年間は実

施されているものである必要がある。 (9) 相互関係 国内:認証を受けた認定機関が認定する製品は、他の認定機関によっても「オーガニック」(有

機)製品として受け入れられる。 国際:輸入オーガニック製品については、承認権限は認証機関にある。認証機関は他の国で受け

入れられた検査・認定機関の承認について決定を行う。認証機関はそのような検査・認定機関の

リストを告示する。 輸入製品または認定済みの輸入原材料を使用する製品の再認定を希望する検査・認定機関は、各

認証機関にそのような製品とそれらの認定手続きを認定プログラムに含めるよう求めることがで

きる。 1.4.3 オーガニック製品の国内基準(NSOP) インド商工省は、NPOP に基づいて、オーガニック製品の国内基準(National Standards for Organic Production、NSOP)を定めている。検査・認定機関は「全国認証政策およびプログラ

ム」(National Accreditation Policy and Programme)の下で通知されている NSOP に従う。こ

れらの基準は以下の 6 つのカテゴリーに分類される。 ① 転換(Conversion) ② 作物生産(Crop Production)

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③ ラベル表示(Labeling) ④ 保管および輸送(Storage and Transport) ⑤ 畜産(Animal Husbandry) ⑥ 食品加工および取扱い(Food Processing and Handling)

(1) 転換の要件 有機管理の開始から作物耕作開始または畜産開始までの期間は転換期間として知られている。家

畜を含む農場全体は一定の期間に基準に適合するよう転換すべきであり、基準にあるすべての要

件は転換期間中に満たされなければいけない。農場全体が転換されない場合、転換済み農地とそ

うでない農地は分離し分析可能でなければならない。転換期間中も定期検査を実施する必要があ

る。 明確に区別できない従来型と転換の併用、あるいは有機産品の同時生産は認められない。明確な

分離を確保するため、認定プログラムでは生産システム全体を検査するものとする。有機農法が

すでに実施されている場合は十分な転換期間は不要である。しかし、その場合も検査機関による

検証を必要とする。 有機管理の維持 有機認定は継続性があるかどうかにかかっている。認定プログラムでは長期的に維持される可能

性がある生産を認定すべきである。いったん転換された農地と家畜は有機管理と従来型管理の間

での切り替えは行えない。 景観 有機農法は生態系に有益な貢献をするはずである。適切に管理し、生物多様性の促進と結び付け

るべき場所は以下の通りである。 ① 広大な草地 ② 輪作が行われておらず多量の肥料が使用されていない場所 ③ 牧草地、草地、果樹園、生垣、低木の列など ④ 生態学的に豊かな遊休地または耕作地 ⑤ 生態学的に多様な田畑の縁 ⑥ 水路、ため池、泉、溝、湿地、沼地

認定プログラムでは生物多様性と自然保全を促進するために農地の 低比率の基準を定めるもの

とする。 (2) 作物生産 作物と品種の選択 すべての種子と植え付け材料は認定済みの有機のもので、現地の気象条件に十分に適合し、害虫

や病気に対して抵抗力のあるものでなければならない。認定済みの有機種子または植付け苗が入

手できない場合は化学処理されていない従来型の材料を使用することができる。遺伝子組換えの

種子、花粉、遺伝子移植の植物は認められない。 転換期間の長さ 毎年生産される植物生産物の 低転換期間は生産サイクル開始前の 12 ヶ月間である。多年生植

物(牧草地および草地を除く)については、有機管理の開始日から 18 ヶ月間である。土地の過

去の利用状況と生態学的状況によって異なるが、認定機関は 低転換期間を延長または短縮する

ことができる。

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Country Profile on Organic Cotton Production in India

作物生産の多様性 作物生産の多様性は、(a)マメ科植物との多彩な輪作の組合せ、および(b)土壌の健康と肥沃

度を維持または増進しつつ、昆虫、雑草、病気およびその他の害虫からの圧力を考慮に入れて、

生産年中の多様な植物種による土壌の適切な被覆によって達成される。 肥沃化方策 有機農場で生産される植物または動物起源の生物分解性材料は肥沃化方策の基礎をなす。肥沃化

管理は栄養素損失を 小限に抑え、重金属の蓄積を避けるとともに土壌のpH1を維持するもので

なければならない。農場自体で肥料を作り出しで使用することに重点が置かれるべきである。生

体起源の肥料の導入は補完的なものとすべきで、代替物とすべきではない。過剰施肥は避けるべ

きである。人の排泄物を含む肥やしは人が消費する植物には使用してはならない。 肥料が不足する場合は、無機質肥料を補完肥料として使用することができるが、それらを自然の

組成で使用すべきである。高濃度の重金属を含有する肥やしは避けるべきである。バイオ肥料は

あらゆる生態系下とあらゆる作物に安全に使用することができる。 成長調節剤を含む害虫による病気および雑草の管理 雑草、害虫および病気はいくつかの予防耕作技術によって駆除すべきである。適切な輪作、緑肥、

バランスのとれた施肥計画、早期の穴あけ前の播床準備、マルチング、機械による管理、害虫発

生サイクルの分散などである。 現地の植物、動物および微生物から農場で作成された植物性殺虫剤の使用は認められている。害

虫、病気および雑草管理のための熱による雑草管理と物理的な方法も認められている。雑菌剤、

駆虫剤、合成成長調節剤および染料などの合成化学物質の使用は禁止される。 汚染管理 外部からの汚染や農場内での汚染を 小限に抑えるため、あらゆる試みを行う必要がある。 土壌と水の保全 土壌および水資源は、浸食、塩性化、水の過剰かつ不適切な使用、地表水と地下水の汚染を避け

るため、適切な方法で扱うべきである。野焼きによる土地の浄化(たとえば、焼畑やわらの野焼

き)は制限すべきである。農業のために森林を一時的に伐採(焼畑(jhum)または移動耕作)す

ることは厳しく禁止される。 (3) 包装 包装に使用する材料は環境にやさしいものとする。不必要な包装材料の使用は避けるべきである。

リサイクルおよび再利用システムを利用すべきである。包装材料は生物分解性のものでなければ

ならない。包装に使用する材料は食品を汚染するものであってはならない。 (4) ラベル表示 基準要件を完全に満たしている場合は、製品は「オーガニック製品」(有機製品)として販売す

ることができる。認定機関の適切な認定があれば、「India Organic」のロゴも製品に使用するこ

とができる。 (5) 貯蔵と輸送 オーガニック製品の保管および輸送中は製品の完全性を維持しなければならない。オーガニック

製品は非オーガニック製品との混蔵から保護するとともに、有機農法での使用が許可されていな

い材料や物質との接触から常時保護しなければならない。

1 pH は水溶液中での水素イオン作用の 10 進法対数のマイナス値として定義されている。.

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表 1:有機農法において肥沃化および土壌調整に使用する製品 Items Conditions

for use Material from plant and animal origin

Matter produced on an organic farm unit • Farmyard and poultry manure, slurry, urine

Permitted

• Crop residues and green manure Permitted • Straw and other mulches Permitted • Composts and Vermicompost Permitted

Matter produced outside the organic farm unit • Blood meal, meat meal, bone meal and feather meal without preservatives

Restricted

• Compost made from plant residues and animal excrement Restricted • Farmyard manure, slurry, urine Restricted • Fish and fish products without preservatives Restricted • Guano Restricted • Human excrement Prohibited • Wood, bark, sawdust, wood shavings, wood ash, wood charcoal Restricted • Straw, animal charcoal, compost and spent mushroom and vermiculate

substances Restricted

• Compost from organic household Restricted • Compost from plant residues Restricted • Sea weed and sea weed products Restricted

By products from the industries

• By-products from the food and textile industries of biodegradable material of microbial, plant or animal origin without any synthetic additives

Restricted

• By products from oil palm, coconut and cocoa (including fruit bunch, palm oil mill effluent, cocoa peat and empty cocoa pods.

Restricted

• By-products of industries processing ingredients from organic agriculture Restricted

• Extracts from mushroom, Chlorella, Fermented product from Aspergillus, natural acids (vinegar)

Restricted

Mineral Origin • Basic slag Restricted • Calcareous and magnesium rock Restricted • Lime, limestone, gypsum Permitted • Calcified sea weed Permitted • Calcium chloride Permitted • Mineral potassium with low chlorine content (e.g. sulphate of potash,

kainite, sylvinite, patenkali) Restricted

• Natural phosphates (rock phosphate) Restricted • Trace elements Permitted • Sulphur Permitted • Clay (bentonite, perlite, zeolite) Permitted

Microbiological origin • Bacterial preparations (biofertilizers) Permitted • Biodynamic preparations Permitted • Plant preparations and botanical extracts Permitted

出所:インド政府商工業省、農産物加工食品開発局

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表 2:植物の害虫および病気抑制のための製品

Items Conditions for use

Material from plant and animal origin • Plant based repellents (Neem preparations from Azadirachta indica) Permitted

• Algal preparations (gelatin) Permitted • Casein Permitted

• Extracts from mushroom, chlorella, fermented products from Aspergillus Permitted

• Propolis Restricted • Beeswax, natural acids (vinegar), plant oils, Quassia Permitted • Rotenone from Derris elliptica, Lonchocarpus, Thephrosia spp. Restricted • Tobacco tea (pure nicotine is prohibited) Restricted • Preparation from Ryania species Restricted

Mineral origin • Chlorides of lime/soda Restricted • Burgundy mixture Restricted • Clay (bentonite, perlite, vermiculite, zeolite) Permitted • Copper salts / inorganic salts (Bordeaux mix, copper hydroxide, copper

oxychloride) Not allowed

• Quick lime Restricted Mineral origin

• Diatomaceous earth Permitted • Light mineral oils Restricted • Permangnate of potash Restricted

Insects origin • Release of parasites, predators of insect pests Restricted • Sterilized insects Restricted • Sterilized insect males Not allowed

Microorganisms used for biological pest control • Viral, fungal and bacterial preparations (biopesticides) Restricted

Others • Carbon dioxide and nitrogen gas Permitted • Soft soap, soda, sulphur dioxide Permitted • Homeopathic and ayurvedic preparations Permitted • Herbal and biodynamic preparations Permitted • Sea salt and salty water Permitted • Ethyl alcohol Not allowed

Traps, barriers and repellants • Physical methods (e.g. chromatic traps, mechanical traps) Permitted • Mulches, nets Permitted • Pheromones – in traps and dispensers only Permitted

出所:インド政府商工業省、農産物加工食品開発局

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1.4.4 農民のための国家政策 2007(National Policy for Farmers 2007) インド政府は、2007 年に「農民のための国家政策」(National Policy for Farmers)を発表した。

この政策の目的は、農民の意識と行動に働きかけ、農家が自分たちが必要とする消費を満たすば

かりでなく農場関連の活動に投資する能力が強化され、農業収入の改善という形での農業の発展

を評価することにある。 「農民のための国家政策」は、特別カテゴリーの農民(同族的な農家、有機栽培農家、都市周辺

部の農家、プランテーション農家など)には特別な支援を行うとしている。インドにおける有機

農法運動は、研究、普及、認定およびマーケティングの分野での適切な支援がないことに悩まさ

れており、化学的農業以上に科学的支援を必要としている。「農民のための国家政策」に基づく

政策介入の一部は以下の通りである。 ① 有機農法の訓練を提供するため農業科学研究・普及センター(KVKs、Krishi Vignan

Kendra)が設けられる。 ② 認定手続きを農民に馴染みのある手頃なものにするため、国際的に受け入れられている認

定手続きが強化される。 ③ 化学肥料の使用量が少ない丘陵地帯や島嶼部など、また化学農薬や肥料の使用は望ましく

ない薬用植物のため、有機農業地帯が特定される。 ④ 有機農法は幾つかの多雨地域でもマーケティングを含む必要な支援の後押しを受けて奨励

される。有機農法は契約農業のような方法を通じても支援される。 ⑤ 有機農法に従事する農家はプレミアム価格で販売できるニッチ市場と結び付けられるべき。 ⑥ 進歩的な農家や農場卒業生は有機農法のための農業クリニックおよび農業ビジネス・セン

ターの設立について支援を受ける。 ⑦ バイオ肥料、有機肥料およびバイオ農薬は支援および利用促進のため化学肥料と等価で扱

われる。

1.4.5 統合害虫管理 コットン栽培はこれまで世界的に農薬集中投入を前提としていた。害虫と戦うための代替的/補

完的方法の探究は、環境にやさしいコットン栽培技術を探求してきた多くの農業科学者にとって

優先的研究領域であった。大気汚染と健康被害はコットンの残留農薬に原因があることが判明し

たため、インド政府は 25 の殺虫剤と 6 通りの処方を禁止した。 インド農業研究評議会(ICAR)は、その監督下にある研究機関とコットン栽培州の農業大学を

通じた害虫管理の研究を奨励してきた。それらの研究は栽培地域に特有の統合害虫管理(IPM)

パッケージを生み出すこととなった。 IPM は以下の手段を通じて政府が奨励している。 ① コットンに関する技術ミッション(Technology Mission on Cotton、TMC):2000年に

発足したTMCの小ミッション-II(Mini Mission – II)の下で、IPMによる作物保護に関して

農家を啓発するための実験農地の設置に財政支援が与えられるようになった。 ② ICARの全インドコットン開発共同プロジェクト(All India Co-ordinated Cotton

Improvement Project、AICCIP):AICCIPは IPMを含めて新しい農業技術を実演する

1000以上のFLDプログラムを実施している。 上記計画への参加者には、ICAR 傘下研究機関、州立農業大学(SAUs)、農業科学研究・普及セ

ンター(KVKs)、州農業省、Cotton Corporation of India Ltd.、および非政府組織(NGOs)が

含まれる。IPM の普及に対しては、インド繊維産業連盟(CITI)、南インド紡績協会(Southern India Mills Association、SIMA)、南インド綿協会(South India Cotton Association、SICA)お

よび多くの紡績会社、任意団体などの民間団体も重要な貢献を果たしている。

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上記の結果、コットン栽培での農薬の使用はここ数年間で大幅に減少してきたように思われる。

インドにおける農薬消費量の分析はコットン栽培州における農薬消費量の著しい減少を示してい

る。コットンに対する農薬の使用は実際に減少しており、インドの農民を教育する政府の努力が

奏効していると結論付けることが無難なように思われる。

表3:農薬消費量(メートルトン)

Sl. No.

Particulars 2001-02 2002-03 2003-04 2004-05 2005-06 (Est.)

1 Total for cotton growing states

33741 35548 27702 27218 24672

2 Total for all states in India 47020 48350 41020 40672 39773 3 Total for non cotton growing

states 13279 12802 13318 13454 15101

出所:Sudripta Roy;繊維省、2006年

1.4.6 バイオ肥料の奨励 環境にやさしく、より安価な植物栄養源としてのバイオ肥料の使用を促進するという観点から、

インド政府は第 6 次 5 カ年計画中に「バイオ肥料の開発および使用に関する国家プロジェクト」

(National Project on Development and Use of Bio fertilisers)に着手し、第 9 次 5 カ年計画まで

実施された。この計画は、ウッタルプラデシュ州ガジアバードの「全国バイオ肥料開発センタ

ー」(National Bio-fertiliser Development Centre)と、バイオ肥料の奨励、普及、訓練および実

演のためのジャバルプール(マディアプラデシュ州)、ナグプール(マハラシュトラ州)、バン

ガロール(カルナタカ州)、ブバネシュワル(オリッサ州)、ヒサール(ハリヤナ州)およびイ

ンパール(マニプール州)における 6 つの「地域バイオ肥料開発センター」(RBDCs)の設置

に備えるものであった。この計画に基づいて、バイオ肥料生産単位の設置のための支援も行われ

た。現在、インド国内にはおよそ 125 のバイオ肥料生産工場があり、年間 18,000 トンの各種バ

イオ肥料を生産する能力がある。その年間生産量はおよそ 10,000 トンである。 この計画は、2004 年 10 月から新しい「中心産業部門計画」(Central Sector Scheme)の「有

機農法に関する国家プロジェクト」(National Project on Organic Farming)に組み込まれている。

新しい活動を引き受けるため、NBDC および RBDCs はそれぞれ「全国有機農法センター」

(National Centre of Organic Farming、NCOF)と「地域有機農法センター」(Regional Centers of Organic Farming、RCOF)に改称された。 1.4.7 コットン遺伝子バンク Gossypiumの4種類の栽培種、24の野生種、20の多年生種、6品種のG.arboreumと7品種の

G.hirsutum、1品種のG.barbadense、1品種のG.herbaceumおよび32のハイブリッド種を含む

9000種以上を登録している「全国綿遺伝資源センター」(National Centre for Cotton Genetic Resources)がナグプールの「中央綿花研究所」(CICR)の種子保存園内で運営されている。

生殖質ラインはスクリーニングが行われ、すぐれた農業形質、上級繊維品質、害虫や病気に抵抗

力があるいくつかのラインを特定し、エンドユーザーに配布されている。

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1.5 農家、取引業者/輸出業者、製造業者、小売業者および消費者にとっての

機会と脅威 Organic Exchangeの「オーガニックコットン農業および繊維レポート2008」(Organic Cotton Farm and Fiber Report 2008)によれば、オーガニックコットン生産に関するインドの課題には

以下のものがある。 ① 強力な科学的研究開発が欠如していること ② 非処理種子が入手できないこと ③ 有機肥料が不足していること ④ 情報の普及が組織的に行われていないこと ⑤ 生産のための融資提供が難しいこと ⑥ サプライチェーンの末端に至るまでのコミュニケーションと情報共有メカニズムの欠如

2003年から2007年の間に、マハラシュトラ、カルナタカ、ケララ、マディアプラデシュ、アン

ドラプラデシュ、タミルナドゥ、オリッサ、パンジャブ、グジャラートの9州で計8,263人の農民

が自殺している(Ghosh 2007)。グジャラート、マハラシュトラ、マディアプラデシュ、オリ

ッサ、アンドラプラデシュの各州IではGM(遺伝子組換え)作物の失敗に絡んで多数のコットン

栽培農民の自殺があったことは驚くべきことではないが、それらの州はオーガニックコットン栽

培への転換でも先導している州である。インド全国に見られる小規模農場は大規模な企業農場と

比較して有機栽培への転換にはるかに適している。しかしながら、オーガニックコットン農業が

小規模農家の生活と環境への影響の両方に関して持続可能な解決方法となり得ると結論付けるの

は時期尚早である。多くは世界とインドのオーガニック繊維市場次第である。インドのオーガニ

ックコットン農家がまだ直面している問題が作物栽培資金の調達の難しさ、政策に関するロビー

活動および市場とのコミュニケーションの改善の必要性、非常に厳しい国際競争(とくに中国か

ら)、認定費用の高さにあることは明白である。 オーガニックコットンはしばしば痩せ地や灌漑が行われていない周縁地域の小規模農家によって

栽培されている。新しいコットン品種の開発は収穫量と繊維生産量が多く繊維品質パラメーター

が優れていることを目標にしている。しかし、望ましい成果を上げるためには大量の農薬と好ま

しい条件が必要とされる。こうした品種は有機農法システムには適さないが、適正な代替物を開

発する資源は欠如している。認定済みオーガニックコットン生産のもう1つの問題は遺伝子組換

え品種の導入にある。それは高いリスクとプロジェクト実施のための追加費用を伴うからである。 インドには、多様なコットン品種を提供する多くの種子会社がある。農家は取引業者からコット

ンの種子を購入するのが通例で、さまざまの品種を選択する大きな機会がある。農家は通常、失

敗のリスクを減らすため、同じ区画においても3つ以上の品種を混ぜて栽培している。この習慣

は農家の条件下で品種を評価するにあたって大きな障害となる。小規模農家の大半が栽培を行っ

ている不利な農業生態学的条件でも適しているオーガニックコットン生産のための高品質の種子

を入手することは大きな課題である。この場合の「不利」とは、不規則な降雨、労働力不足およ

び土壌の貧弱な肥沃度を補う灌漑がまったく行われてないか、もしくは非常に限られていること

を意味する。 1.5.1 インドのオーガニックコットン農業――SWOT 分析 (1) 強み(Strengths) インドのオーガニック製品の輸出は進展している。インドにおけるオーガニック農業の強みとし

て考えることができる4つの点は以下の通りである。 ① 有機農法に対するインド政府の支援

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② 農薬の有害性、農産物における残留農薬の存在への認識 ③ インドに国際および国内認定団体が存在していること ④ 供給(数量、品質は考慮しない)はインドにおける有機農法のさらなる発展のボトルネッ

クとはならない。

(2) 弱点(Weaknesses) 大きな弱点は情報・認識のレベルにある。ほとんどの農家は小自作農地を所有しているだけで、

マーケティング技術を持たず、国内市場開拓に必要なマーケティング部門を持っていない。これ

に加えて品質に対する意識は低い。注目すべきもう1つの弱点はオーガニック市場が消費者需要

に基づくものではなく、供給主導型であるということである。このことから多くの脅威が生じる

ことがある。オーガニック市場の成功のためには、強力で、よく組織された消費者の視点に立っ

た農民組織が非常に重要であることは確実である。 (3) 機会(Opportunities) オーガニック製品の潜在的可能性を数値化するのは簡単ではない。インドの社会経済は急速に発

展しているからである。さらなる進展のためには、市場機会についてさらに多くの情報を集める

必要がある。ニーズ評価によると、潜在市場の規模は正確に数値化することはできないものの、

オーガニック市場は大きな潜在的可能性があることを示している。インドでオーガニック農法に

関わっている官民両部門の関係者の間では、情報とサービスを提供するためのインタフェースと

して機能する組織が必要だというのがコンセンサスとなっている。 (4) 脅威(Threats) 残留農薬に対する認識は強いと考えられている。しかしながら、より大きな脅威は、すべての種

類の製品が「無農薬」、「環境にやさしい」、さらには「オーガニック」などと表示して供給さ

れていることである。この意味では、ほとんどの脅威は誠実な表示、政府の役割および「オーガ

ニック」(organic)という用語の認定に関するものである。これらの脅威は早急に克服されな

ければならない。 オーガニックコットン布地の需要増大は多くの開発途上国におけるオーガニックコットン製品開

発を後押ししている。しかしながら、収益性のある方法で栽培を組織するには大きな困難がある。

重要なのはコットン種子の品質と適切な品種の入手可能性である。重要な品質パラメーターには、

害虫や病気に対する自然の抵抗力だけでなく、繰棉歩留(GOT)と繊維の品質もある。それらは

農家に支払われる価格に影響するからである。小規模農家の大多数は不利な条件下で働いている。

新のコットン品種はこれらの条件には適していない。適応力にすぐれた品種は小規模農家のコ

ットン生産の収益性を改善することが可能であろう。しかし、オーガニックコットンと収穫高の

潜在的可能性のさらなる改善に適した品種を特定し開発するには、オーガニックコットン生産と

特定種子の育成に関するはるかに数値化された研究が求められる。

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表4:インドの有機農法に関するSWOTのマトリクス

STRENGHTS WEAKNESSES 1. Successful exporters ; proof of capability

and technical know-how 2. Growing health awareness in population ;

related to contaminated food and pesticides 3. International CBs ( Certification Bodies) are

in place 4. Export promotion bodies in place (APEDA,

Commodity Boards) 5. Notable increase in organic production in

wide range of products 6. Large number of NGOs promoting Organic

Agriculture 7. NPOP; standards, accreditation system,

national label 8. Experience and expertise available in

various fields (production, processing , marketing)

9. Div.: Organic farming in India can be economically viable without much premium; quality testing laboratories available; A variety of crops possible to be produced organically. Wide climate range; Comparative advantages for export comparatively low production cost, some products only in India; Support from aboard (FiBL, SECO, SDC, Hivos, Oxfam, HEKS, GTZ, Swissaid).

1. Lack of information : markets (domestic and export) suppliers, buyers, sellers

2. Poor quality management in agricultural production and processing: awareness, system

3. Certification costs too high for small farmers(need for organizational solutions)

4. Few (but growing )media coverage , but low awareness and knowledge among journalists

5. Few capable advisors on ICS, processing, marketing

6. Disjointed sector (producers, processors, traders, etc.) : vast country, few networks

7. Lack of general strategy for development of organic market.

8. large number of small farms, but weak organizational building and know-how

9. Most NGOs are weak in marketing skills10. Organic market is not consumer –

based , but supply driven 11. Lack of consumer information on OA

and on added value 12. Div.: no mutual recognition of certified

inputs among CBs; Lack of know-how for input assessment; Lack of national organic farmers association (ICCOA); Few know how on organic processing; No coordination of offer, Processing technologies not known.

OPPORTUNITIES THREATS 1. Founding of ICCOA (platform, services,

information) 2. Big and growing market potential 3. India is a growing economy : technological

process, growing purchasing power 4. Traders willing to invest in marketing of

organic products 5. trends to : healthy food, be slim,

supermarkets, convenience food 6. National and State Government support for

Organic Agriculture 7. Large number of NRIs exposed to Organic

agriculture abroad : promote awareness when returning home on vacation

8. Pesticides scandals, hormone scandals etc.9. Div.: Increasing interest of research in

Organic Agriculture

1. Term ‘ Organic’ is used in fraudulent way also due to lack of (enforcement of regulations)

2. Govt. pushing for organic production without caring development of the market

3. Frustrated farmers because expectations on premium is not fulfilled

4. Traditional production : difficult to communicate the added value of Organic Agriculture

5. General belief: Organic agriculture cannot feed India

6. Chemical free products make the market instead of organic products

7. Generic promotion, but non-availability of products/points of sale

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参考資料: • Agriculture and Processed Food Development Authority, Government of India;

(http://www.apeda.com/apedawebsite/organic/Organic_Products.htm). • Central Institute of Cotton Research, Nagpur, India. • Cotton Association of India. • Ghosh, A. 2007, Farmer suicide in prosperous western UP, Times of India, p.1. • India 2007, Ministry Of Information and Broadcasting, Government of India. • National Policy for Farmers, 2007, Department of Agriculture & Cooperation, Ministry Of

Agriculture, government of India. • Organic Cotton Beats Bt Cotton in India, Institute of Science In Society, Press Release

05/08/05, (http://www.i-sis.org.uk/OCBBCI.php). • Organic Cotton Farm and Fibre Report, 2008, Organic Exchange. • Report of the Need Assessment of Indian Organic Agriculture, 2004, State Secretariat for

Economic Affairs. • Ratter, S.G., June 16-20 2008, Suitable Cottonseeds for Organic Cultivation, 16th IFOAM

Organic World Congress, Modena, Italy, (http://orgprints.org/view/projects/conference.html).

• Regional Biofertilizer Development Centre, Nagpur, (http://dacnet.nic.in/rbdcnagpur/default.asp)

• Singh, Sukhpal, June 1- 2 2006, Organic Cotton Supply Chains and Small Producers Governance, Participation and Strategies, Seventh International Conference on Management in AgriFood Chains and Networks, Ede, The Netherlands.

• Sudripta Roy, 2006, Environmental and Social Impact of Cotton Cultivation and Use with Special Reference to India, Ministry of Textiles, Government of India.(https://www.icac.org/meetings/plenary/65_goiania/documents/english/os2/os2_roy.pdf)

• http://www.eximbankagro.com/organic_farming/organic_india.asp • www.reinhart.com • www.kapasindia.com

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第2章 農法 2.1 コットン概観 コットンは、アメリカ、インドおよびアフリカを含めて、世

界中の熱帯および亜熱帯地帯が原産の綿の木(Gossypium sp.)であり、種のまわりに丸く成長することが知られている、

柔らかい短繊維である。繊維は編み糸又は糸に紡がれる場合

が も多く、柔らかく通気性のある布地をつくるのに使用さ

れ、今日の衣料品の中では天然繊維の衣類にもっとも幅広く

利用されている。 2.1.1 植物上の特性

表 5:コットンの分類学的整理

Kingdom Plantae Division Magnoliophyta Class Magnoliopsida Order Malvales Family Malvaceae Genus Gossypium

Scientific Name Gossypium sp (Gossypium hirsutum, Gossypium barbadense, Gossypium herbaceum, Gossypium arboretum)

Common Name Cotton

コットンは綿の木に育つ植物繊維である。コットン繊維の内容はさまざまな成分に分類すること

ができる。

表 6:コットン繊維の成分

Sl. No. Components of cotton fiber Percentage content 1 Cellulose 80 – 90 2 Water 6 - 8 3 Waxes and fats 0.5 - 1 4 Proteins 0 - 1.5 5 Hemi cellulose and pectin 4- 6 6 Ash 1- 1.8

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表 7:各種 Gossypium 種の特性の区別 Sl. No. Feature G. hirsutum G. barbadense G. arboreum G. herbaceum.

1 Chromosome number

2n=52 2n=52 2n=26 2n=26

2 Ploidy Tetraploid Tetraploid Diploid Diploid 3 Origin Central America,

Mexico (New World) South America (New World)

Africa (Old World) India and East Asia (Old World)

4 Popular names American cotton, Upland cotton, Combodia cotton.

Egyptian cotton, Sea Island cotton, Pima cotton.

Asiatic cotton, Desi cotton

Asiatic, Desi cotton. Lavant

5 Habit Small, Annual, sub-shrub 1.5m tall

Perennial, shrub/annual, sub-shurb. 1-3m tall

Perennial, branched, shrub/annual, sub-shrub 1.5-2m Tall

Sub-shrubs 1-1.5 m tall.

6 Stem Green or brown sparsely hairy or glabrous, fruiting branches many jointed.

Green glabrous and rarely hairy, fruiting branches many jointed.

Green, brown, hairy, fruiting branches two jointed.

Green, rarely pigmented, hairy, rarely glabrous and fruiting branches many jointed.

7 Leaves Large cordate, 1/2 cut or less, 3-5 lobes not constricted, also overlapping lobes.

2/3 cut into 3-5 lobes, sinuses thrown into folds, lobes long and tapering.

2/3 to 4/5 cut into 5-7 lobes long and narrow

1/2 cut or less, 3-7 lobes only slightly constricted at the base.

8 Bracteole Triangular, 4-12 long teeth, longer than broad.

10-15 acuminate teeth, as long as broad

3-4 teeth closely invested to bud flower, longer than broad.

6-8 teeth, flaring widely from the buds, flower and capsule.

9 Petal White, yellow and purple

White to yellow Cream, light yellow to yellow and purple

Sulphur Yellow, deep yellow.

10 Petal spot Absent Prominent, large dark

Present, prominent Present in the form of bright eye rays.

11 Stamen/Anthers stigma

Staminal column short, Anthers closely arranged, stigma united throughout, rarely divided at tip.

Staminal column long, antheriferous, closely packed, filaments short.

Staminal column long, antheriferous, short anthers, short style, united stigma.

Staminal column throughout antheriferous, filament short style short, united top.

12 Boll (capsules). Rounded to moderately tapering 3-5 loculi, 4 common smooth to moderately pitted.

Tapering longer than broad 3-4 but usually 3 loculi, deeply pitted and glanded often rough.

Moderately rounded to tapering, 3 to 4 loculi (3 common), smooth to deeply pitted, rough.

Rounded, smaller 3-5 loculi smooth to moderately pitted.

13 Seeds 5-11 Large size seeds/locule, moderately, large, Fuzzy to rarely naked

5-8 long size seeds/locule, tuft of frizz on seeds, seeds often without coat of fizz. very long fiber.

6-17, medium seeds/locule rarely naked, Fuzzy.

8-11 medium size seeds/locule Fuzzy.

14 Fibers Moderate to long fiber Very long fiber Short to medium fiber

Short to medium fibers.

出所:APEDA

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2.1.2 栽培農地の要件 オーガニックコットン生産では、農薬を使用しない栽培方法を保証するため、適切なパッケージ

を以下の通り形成する。このため、現地の資源、農業気象学的特性および社会経済的構造を維持

する農業システムの構成要素の慎重な選択が必要となる。 (1) 栽培農地の選択 土壌の浸食度が高く多年生の雑草が濃密にはびこる土地は有機農法には向かない。有機農法は、

おざなりの栽培または実務経験のない人が簡単に始めて栽培できるものではないため、やせた土

壌の肥沃度はこのタイプの栽培を選ぶ前に有機的手段によって改良しておく必要がある。 (2) 品種の選択 化学肥料の投入に十分に応える単位収量の多い品種は、有機農法には必ずしも向かない。逆に、

とくに転換後の早期段階で柔軟に適用可能な農法を用いることができる丈夫な品種が理想的であ

る。ヨコバイ(jassid)に耐性がある品種(Amrasca devastans)は、影響を受けやすい品種に

比べて望ましい場合がある。早生種は、完全とはいえないまでも、作物がワタキバガの幼虫

(bollworm)によるひどい被害を逃れる上では役立つ。

表 8:干ばつおよび害虫に対する耐性のある有機農法に適したコットンの品種 Sl. No. Variety Location

1 Wagad/V-797 Gujarat 2 Y-1 Khandesh, Maharashtra 3 Maljari Madhya Pradesh 4 Jayadhar / Suyodhar Karnataka 5 Nandicum Andhra Pradesh

出所:中央綿花研究所(ナグプール)、2006 年

(3) 種子の選択 オーガニックコットンの栽培農家は化学処理した種子の使用は一切認められていない。このため、

吸汁害虫に対する自然の抵抗力が強い毛深い品種がより適している。 (4) 種子率と播種 酸処理種子(acid delinted seeds)は繊維認定目的のための有機栽培に関する国際規格「国際有

機農業運動連盟」(IFOAM)に従い使用できないことになっている。しかしながら、栽培コスト

を減らし収益性を高めるために有機農法を追求する農家は種子に生じる病原性の伝染病を避けて

適の植物群落を達成するため、酸処理された種子を使用することができる。ただし、綿毛のあ

る種子(fuzzy seeds)を使用する場合は、同じ目標を達成するためにより高い種子率を使用す

る必要がある。75x15 cm 間隔での約 25 kg/ha の播種は 85,000~90,000 本/ha の 終的な植物密

度を確実にする。コットンの 2 列の間に飼料用のササゲ(cowpea(Vigna unguiculata))用の

穴 1 列を開けるべきである。この作物は開花直前に耕して土の中に埋めることができる。 2.1.3 生産スケジュール コットン種子の播種時期は地域によって大きく異なり、一

般的に北インドでは早く(4~5 月)、南に下がるにつれて

遅くなる。インド国内の大部分、すなわちパンジャブ、ハ

リヤナ、ラジャスタン、ウッタルプラデシュ、マディアプ

ラデシュの各州とアンドラプラデシュ、カルナタカ両州の

一部において、コットンは秋に収穫期を迎えるカリフ

(kharif)作物と位置づけられている。これらの地域では、

灌漑栽培作物は 3~5 月に播種されており、天水栽培作物は

モンスーンが始まる 6~7 月に播種されている。5 月末から

コットン畑

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6 月初めにグジャラート州とマディアプラデシュ州の一部で行われているモンスーン前の乾期の

播種は結果的に収穫量を高める早い時期の開始であることが判明している。 タミルナドゥ州では、灌漑および天水栽培作物の大部分は 9~10 月に播種されているが、南イン

ドにおける天水栽培作物の播種は 11 月まで行われることがある。カルナタカ州とアンドラプラ

デシュ州の一部では、デシ(desi)綿は通常、8~9 月に播種されている。9 月初めからダルワッ

ド(Dharwad)およびガダグ(Gadag)地方(いずれもカルナタカ州中部)で行われている早期

播種の場合、収穫高がより大きいことが判明している。さらに、タミルナドゥ州での夏期播種は

2~3 月に行われている。アンドラプラデシュ州とタミルナドゥ州での休耕田での播種は 12 月の

半ば以降から 1 月中旬に行われている。 播種時期 作物の播種時期は農業気象学的条件によって変動し、条件に応じて調整しなければならないが、

一般的にはカリフ(kharif2)作物については 2 月中旬から 4 月、ラビ(rabi3)作物については、

12 月後半から 1 月中旬に行われている。

2.2 土壌管理

2.2.1 土壌の特性 コットンは、完全な砂地、塩性の土地または浸水地を除いて、あらゆるタイプの土壌で問題なく

生育することができる。重粘土質土壌、理想的には黒綿土(熱帯黒色土壌)が望ましい。コット

ンは約 2 インチの深さで華氏 61°F の土壌温度で発芽する。コットン生産のための理想的な気象

条件には、日照、乾燥した気候、 低 500 mm の降雨量または灌漑、高温が含まれる。 2.2.2 土壌管理の方法 有機物は土壌の 0.5%から 5%を占めるにすぎないが、土壌の肥沃度と保水能力にとって決定的

に重要である。有機物には十分な空隙率と十分な水の浸透を確保することが必要である。有機物

の粒子は土壌の水分を長期間維持し、植物に不可欠な栄養素を保持する。さらに、有機物は土壌

肥沃度を高める多数の有益な土壌微生物を受け入れている。従来型農地の土壌の多くは集約的耕

作と無機肥料の過剰使用のために有機物が不足している。 良好で安定した土壌肥沃度を獲得するため、有機農場では土壌への有機物の継続的供給手段を確

保している。 も重要な有機物供給源はその農地で栽培された作物の残留物で、葉、茎、根など

であり、それらは緑肥(green manure)、根覆いまたは堆肥の形で土壌に施される。その他の

供給源には、有機肥料、油糟、(生物ガス)スラリーなどの液体肥料が含まれる。 堆肥化とは、作物や飼い葉の残留物、雑草、葉、肥やしや台所ごみなど、農場からの有機物を高

価値の自然肥料に変えることである。基礎施肥または 上層の材料として農地に使用される堆肥

は、作物に十分にバランスのとれた栄養素と砂を提供し土壌の有機成分の増加を助ける。作物の

茎は実綿の摘み取りの完了後に燃料として燃やされる。この残留物は他の作物や雑草などの農場

廃棄物とともに、トリコデルマ属球菌(Trichoderma viride)などの有益な菌類の使用により、

2 カリフ作物はインドやパキスタンで秋に収穫される(夏またはモンスーン作物ともいう)。カリフ作物は、

通常、南西モンスーン・シーズンの 7 月の 初の降雨の始まりとともに播種される。カリフ(Kharif)とい

う語はアラビア語で「秋」を意味する。主要なカリフ作物は、キビ、米、トウモロコシ、サトウキビなどで

ある。 3 ラビ作物はインドやパキスタンで春に収穫される(「冬作物」ともいう)。ラビ(Rabi)という語はアラ

ビア語で「春」を意味し、通常は作物が収穫される 4 月中/下旬から 6 月中/下旬に及ぶ 2 ヶ月間に反映され

る。主要なラビ作物は小麦、大麦、からし菜、ゴマ、エンドウ豆などである。

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堆肥の準備に効果的に使用することができる。ほとんどの作物の茎は 4 ヶ月間で堆肥に返還され、

残り(20%)は黒くてもろい半分解の茎である。この堆肥は虫が十分に分解した堆肥と遜色がな

い。この堆肥は、数種類の土壌病原菌、すなわちフサリウム属(Fusarium spp.)やリゾクトニ

ア属(Rhizoctonia spp.)等に対する対抗菌類の栄養素リサイクルのために使用することができ

るであろう。 畜産業とコットン生産との組合せは農地に高品質の肥料をもたらす。肥料の正しい貯蔵(湿りす

ぎず乾きすぎない)は栄養素を失わないようにするのに不可欠である。肥料はできれば他の有機

物と一緒に堆肥に取り込むことが望ましい。多くの農家が畜牛を自分たちの農地の「機械化」

(mechanization)として利用している。 (1) 被覆作物の栽培 被覆作物は土壌を被覆して浸食を防止するために栽培される。同時に、被覆作物の栽培はその後

のコットン栽培への栄養素の供給を含め、その他のいくつかの目的の達成を可能にする。土壌を

耕す際に、有機物を追加して土壌を改良するとともに、作付時に主要作物の栽培後の栄養素の浸

出を減らす間作物としての役割を果たすからである。 成長が早く密集して育つ作物は時には覆光作物(smother crop)またはアレロパシー被覆物とし

て雑草の生育を抑えるために使われている。雑草の抑制に使用されて成功してきた一部の被覆作

物には、小穀物(とくに穀物タイプ)、数種類のアブラナ属(Brassica species)、ヘアリーベ

ッチ(hairy vetch)、飼料用ソルガム(forage sorghums)等が含まれる。 (2) 帯状栽培 帯状栽培は、同じ畑に 2、3 種類の作物を収穫が円滑にできるだけの間隔を置いて植えることを

いう。コットンと一緒に栽培される一般的な帯状栽培作物はムラサキウマゴヤシ(alfalfa、Medicago sativa)である。作物の多様性の増加は農地の安定性を高め、自然の生物学的防除に

よって害虫問題を減少させている。輪作は時間をかけて多様性を導入する 1 つの手段である。間

作物の帯状栽培は空間的な生物多様性を生み出す。ムラサキウマゴヤシとの帯状栽培を導入した

コットン畑は一般的に有益な節足動物個体群を増加させる。 (3) 境界栽培 イネ科の雑草類は一般的に鱗翔目害虫(lepidopterous pests)に隠れ場所を提供する。特定の雑

草、野生のゼラニウムは、タバコバドウォームの重要な春の宿主であるので、境界区域では飛び

移りを阻止すべきである。害虫の生息場所になる植物種があるよりもより多様性に富んだ農地境

界は一部の害虫の生息場所になるが、とくに非栽培期に害虫個体群を捕食する益虫も養う。益虫

の生息場所としてのこれらの区域での植物の管理は害虫からの脅威を相殺する。 2.2.3 輪作と混作 輪作は、土壌肥沃度を維持するとともにバランスのとれた土壌栄養素を確保する、オーガニック

コットン生産にとって極めて重要な要素である。輪作は土壌からの浸出、害虫個体群さらには病

気と害虫の増加の防止に役立つ。有機栽培法は無機肥料なしで済ますことができるため、豆、エ

ンドウ豆または大豆などの豆科植物との輪作によるコットンの栽培は重要である。それらは大気

中の窒素を固定して植物が利用できるようにすることで、土壌の肥沃度を高める。 輪作は線虫を含むいくつかのコットンの害虫を駆除する重要な手段である。基本的なトウモロコ

シと綿花の輪作でさえ、線虫のいくつかの種を減らすには効果的であることがわかっている。標

準的に推奨されるのは害虫の宿主にならない種を 低 2 年間植えることである。

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図 10:オーガニックコットン栽培システムの例

2.3 作物の栄養素 オーガニックコットンは、合成殺虫剤、除草剤および肥料を 低 3 年間使用しておらず、土壌が

生きている農地で栽培されるものである。オーガニックコットンは動物性または植物性の肥料を

使って生産されるもので有害化学物質とは無縁である。有機農法は輪作、機械的耕作および生物

学的防除に依存している。 2.3.1 オーガニックコットン生産のための土壌肥沃度の維持 熱帯黒色土壌(Vertisol)は、保水性が高く、浸透率が低く、陽イオン交換容量が高い膨張・収

縮タイプの土壌である。これらの土壌の改善と有機物の維持はオーガニックコットン生産を妥当

な水準で持続するのに不可欠な前提条件である。それは水の浸透率を高め、浸食を減らし、土壌

の構造と凝集安定性を改善するほか、栄養素とくに窒素(N)、リン(P)および硫黄(S)の供

給を強化するからである。 したがって、正しい有機物管理プログラムは、有機生産システムの下での肥沃度管理が必要であ

る。インド中部における天水コットン栽培は 100kg の実綿生産でおよそ 5.8 kg の N、2.0 kg の

P および 6.6 kg の K(カリウム)を消費する。農場構内肥料(Farm Yard Manure、FYM)の使

用など多くの代替物が使われているが、作物の栄養素の要件を満たすために必要な大量の肥料は

一般的に入手することができない。したがって、さまざまな生物学的特性をもつ肥料供給源の組

み合わせが必要となる。

Beneficial and harmful organisms (Fungus, mites, insects, birds, mammals and others)

Associations

Food Cash - Beans - Sesame - Maize

Animals

Bees & Honey Cows & Goats

Crop Rotation

Food Cash - Beans - Sesame - Maize - Groundnut - Lentil - Soya - Vegetables - Sweet potato

Border (useful plants)

Food - Carob -Sunflower

Periphery

Food Cash - Cassava - Coffee - Banana - Mango

Soil (Fungus, lichens, mites, insects, and others)

Cotton

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(1) 肥料 肥料は植物の栄養素として使用されている植物廃棄物や動物の排泄物である。肥料は栄養素の濃

度に基づいて粗大有機肥料と凝縮有機肥料に分類することができる。 粗大有機肥料 粗大有機肥料は微量の栄養素を含んでおり、大量に使用される。FYM、堆肥および緑肥は も重

要かつ幅広く使用されている粗大有機肥料である。粗大有機肥料の使用には以下に挙げられるい

くつかの利点がある。

• 微量の栄養素を含めて植物の栄養素を供給する。 • 構造、保水能力など、土壌の物理的特性を改善する。 • 栄養素の有効性を高める。 • 分解中の二酸化炭素が CO2肥料として作用する。 • 土壌中の微生物のバランスを変えることによって植物の寄生線虫と菌類が一定範囲ま

で駆除される。

農場構内肥料(FYM) FYM とは家畜に与えた食用ぬかや飼い葉の残存物のほか農場の動物の糞尿の分解混合物をいう。

平均では、十分に分解した FYM には 0.5%の N、0.2%の P2O5、0.5%の K2O が含まれている。 現在の農家による FYM の調合方法には問題もある。廃棄される尿は 1%の窒素(N)と 1.35%のカリウム(K)を含んでいる。尿中に存在する N はほとんどの場合は揮発損失する尿素の形態

である。貯蔵中であっても、栄養素は浸出と揮発によって失われる。ただし、損失を避けること

は実際には不可能であるが、FYM の調合方法を改善することによって損失を抑えることができ

る。長さ 6~7.5m、幅 1.5~2.0m、深さ 1.0m の溝を掘り、利用可能なすべての残物や廃物を土

壌と混ぜて尿を吸収するように小屋内に散布する。翌朝、溝の尿を片方の端から取り出して毎日

の収集物でいっぱいにする。その区画が地表レベルから 45 ~60 cm の高さまで満たされると、

堆積物の上部をドーム状にし、泥で塗り固める。このプロセスを続け、 初の溝が完全に満たさ

れると、2 番目の溝を準備する。肥料は塗り固め後およそ 4~5 ヶ月で使える状態になる。 堆肥 廃棄物から作られた腐った有機物の塊を堆肥(コンポスト)という。サトウキビの茎、稲わら、

雑草およびその他の植物やその他の廃棄物など農場廃棄物からつくられた堆肥を農場堆肥(farm compost)という。農場堆肥の平均栄養素含有量は N が 0.5%、P2O5が 0.15%、K2O が 0.5%で

ある。糞尿、道路掃除およびごみ箱のごみなどの都市廃棄物からつくられた堆肥を都市堆肥

(town compost)という。それには 1.4%の N、1.0%の P2O5および 1.4%の K2O が含まれてい

る。農場堆肥は適切なサイズすなわち長さ 4.5~5.0m、幅 1.5~2.0m、深さ 1.0~2.0m の溝に集

められた農場廃棄物でつくられる。廃棄物は溝の中に層を重ねて投入する。各層には牛糞のスラ

リー(懸濁液)または水を十分に散布する必要がある。溝には廃棄物を地上から 0.5m 高く満た

す。堆肥は 5~6 ヶ月で使えるようになる。 下水と汚泥 都市や町で採用されている現代的な排水システムでは、人の排泄物が水で流し出される場合にこ

れを下水と呼んでいる。下水中の固体部分を汚泥といい、液体部分を汚水という。下水のこの 2つの成分は、細菌汚染と不快な臭いを減らすために分離されて予備発酵および酸化処理が行われ

る。

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緑肥 肥料として使用される、緑の未分解の植物性物質を緑肥という。これは緑肥を栽培するか、荒地、

畑の縁および森で生育する植物の緑の葉を(小枝と一緒に)集める方法で得られる。緑肥の使用

は、豆科に属する畑作植物には通常は嫌われるため、十分に成長した後で土壌に取り入れる。

も重要な緑肥用作物はサンヘンプ(sunhemp)、ダインチャ(dhaincha)、ピリペサラ

(pillipesara)、クラスタビーンズ(clusterbeans)、セスバニア・ロストラナ(Sesbania rostrana)である。

表 9:緑肥用作物と緑葉肥料の栄養成分 Nutrient content (%) air dry

basis Sl. No.

Plant Scientific Name

N P2O5 K2O Green Manure Crops

1 Sunhemp Crotalaria juncea 2.30 0.50 1.80 2 Dhaincha Sesbania aculeate 3.50 0.60 1.20 3 Sesbania Sesbania speciosa 2.71 0.53 2.21 Green Leaf Manure

4 Forest tree leaf - 1.20 0.60 0.40 5 Green weeds - 0.80 0.30 0.20 6 Pongamia leaf Pongamia glabra 3.31 0.44 2.39

出所:中央綿花研究所(ナグプール)

ほかの場所から集めてきた緑の葉、木の小枝、潅木および草を畑に施すことを緑葉施肥という。

緑葉肥料として役に立つ重要な植物種は、ニーム(neem)、マーワ(mahua)、ムラサキセン

ダイハギ(wild indigo)、グリリシディア(glyricidia)、カランジ(Karanji、Pongamia glabra)、カロトロピス(calotropis)、アビーズ(avise、Sesbens grandiflora)、シュバダル

(subadul)およびその他の潅木である。 緑肥の追加にはいくつかの利点がある。土壌に有機物と窒素を加える。根の深い緑肥用の作物を

育ててそれを取り込むと栄養素の表層からより深い層への浸透を容易にする。栄養素の利用性は

分解中の二酸化炭素と有機酸の精製によって増大する。緑肥の施肥は土壌の構造を改善し、保水

能力を高めて浸食による土壌の損失を減らす。緑肥の施肥はアルカリ性土壌の開墾に役立つ。根

こぶ線虫は緑肥の施肥によって抑えることができる。 ヒツジおよびヤギの糞 ヒツジおよびヤギの糞は FYM や堆肥よりも高い栄養素を含んでいる。平均では、この肥料は

3%の N、1%の P2O5および 2%の K2O を含んでいる。農地への施肥は 2 通りの方法で行う。ヒ

ツジまたはヤギ小屋の掃除ごみは分解用のピットに収納し、後で農地に施す。尿中に存在する栄

養素はこの方法で消費される。2 番目の方法はヒツジ囲いに入れるもので、そこではヒツジやヤ

ギは農地に夜通しとどまることができ、尿や糞便は土壌に加えられるため、ブレードハロー

(鋤)や耕運機を走らせることによって浅い深さで土壌に取り込まれる。 鶏糞 鳥の糞は非常に早く発酵する。露出したままにしておくと、その窒素の 50%は 30 日以内に失わ

れる。鶏糞には他の粗大有機肥料と比べて窒素とリンの含有量が高い。栄養素の平均含有量は Nが 3.03%、P2O5が 2.63%、K2O が 1.4%である。

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濃縮有機肥料 濃縮有機肥料は粗大有機肥料よりも窒素の含有量が多い。重要な濃縮有機肥料は、油糟、血粉、

魚肥などである。これらは有機窒素肥料としても知られている。その有機窒素は、作物によって

使われる前に、微生物作用によってすぐに使用可能なアンモニア性窒素と硝酸性窒素に変換され

る。したがって、これらの有機肥料は、比較的作用が遅いが、変質しやすい窒素をより長い期間

にわたって供給する。 油糟 脂肪種子から油を抽出した後、残りの固体部分を乾燥させて肥料として使用可能な固まりにする。

油糟に以下の 2 種類がある。

① 家畜に安心して与えることができる食用の油糟。たとえば、落花生油糟、ココナッツ油

糟など。 ② 家畜の飼料には適していない非食用の油糟。たとえば、カストリウム(Castor)油糟、

ニーム油糟、マーワ油糟など。 食用油糟も非食用油糟も肥料として使用することができる。油糟中に存在する窒素は、無機化後、

施肥の 7 日から 10 日後に作物が利用できるようになる。油糟は均等な分布と分解を早めるため、

施肥前に十分に粉末化する必要がある。各種油糟の平均窒素含有量を表 10 に示す。

表10:油糟の平均窒素含有量 Nutrient content (%) Sl. No. Oil cakes

N P2O5 K2O Edible oil-cakes

1 Coconut cake 3.0 1.9 1.8 2 Cotton seed cake (Decorticated) 6.4 2.9 2.2 3 Ground nut cake 7.3 1.5 1.3 4 Linseed cake 4.9 1.4 1.3 5 Niger Cake 4.7 1.8 1.3 6 Rape seed cake 5.2 1.8 1.2 7 Safflower cake (Decorticated) 7.9 2.2 1.9 8 Sesamum cake 6.2 2.0 1.2

出所:中央綿花研究所(ナグプール)

その他の濃縮有機肥料 血粉は、乾燥させて粉末にすると、肥料として使用できる。死亡した動物の肉は乾燥して肉粉に

する、これは窒素のすぐれた供給源である。 作物残渣 インドでは毎年大量の作物残滓が発生する。米、小麦ソルガム、トウジシビエ(Pearl mullet)、

トウモロコシ(Maize)などの主要作物だけで年間およそ 236 トンのわらを生産している。上記

の 5 つの作物からの穀類わら/残渣の窒素の潜在的可能性は、1.13 トンの N、1.41 トンの P2O5

および 3.54 トンの K2O となる。作物残渣は堆肥化、根覆いまたは土壌への直接取込みのいずれ

かの方法でリサイクル可能である(表 11)。

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表11:農場残滓および植物における窒素の潜在的可能性 Percent over dry

basis Sl. No. Crop Residue production

(mt) N P2O5 K2O

1 Rice straw 106.01 0.58 0.23 1.66 2 Wheat straw 80.99 0.49 0.25 1.28 3 Sorghum 21.04 0.40 0.23 2.17 4 Pearl millet 15.58 0.65 0.5 2.50 5 Maize 12.50 0.59 0.31 1.31 6 Total pulses 13.70 1.60 0.15 2.00 7 Pigeonpea 6.65 1.10 0.58 1.28 8 Chickpea 5.05 1.19 NA 1.25 9 Sugarcane 40.92 0.35 0.04 0.50

10 Oilseeds 35.78 - - - 出所:中央綿花研究所(ナグプール)

(2) コットン栽培におけるバイオ肥料の役割 バイオ肥料は天然の持続可能な栄養素提供物の1つである。大量に使用されるバイオ肥料には主

に2つのタイプがある。窒素バイオ肥料とリン酸バイオ肥料である。 コットン用の窒素バイオ肥料はアゾトバクター(Azotobacter、A.chroococcum)とアゾスピリ

ラム(Azospirillum、A. braazilense)である。これらの有機物はニトロゲナーゼ酵素の助けを借

りて大気中の窒素を固定する。すなわち生物窒素固定である。リン酸バイオ肥料はいくつかのバ

クテリア(バシラス・メガテリウム(Bacillus megatherium)、線条体の緑膿菌(Pseudomonas striata))と菌類(アスペルギラス・アワモニア(Aspergillus awamori)およびペニシリアム・ディジタトゥム(Penicillium digitatum)など)で構成される。 アゾトバクターの使用は多様性とひずみ効率(strain efficiency)によって異なるがコットンの収

穫量を高める。Pandey and Kumar(1989)はアゾトバクターの接種によってコットン収穫量は

7~28%増加したと報告している。 アゾスピリラム(Azospirillum)は実綿収穫量の増加と乾物生産の改善にプラスの反応があると

報告されている(Marappan-Narayanan、1993)。アゾスピリラムを投入することで、農地1ha当たり430 kgの収穫増が達成されたという。さらに、アゾスピリラムの残留効果も収穫量とバク

テリア個体数に関して好ましいものであることが明らかになっている。 2.4 害虫および病気の管理

2.4.1 害虫および病気が原因の潜在的損害 病気による作物損失の推定量は15~25%の範囲になる可能性がある。コットンの病気は病原体が

原因である。病原体には菌類、バクテリアまたはウィルスが考えられる。ほとんどの亜熱帯およ

び熱帯地域では、病気はオーガニックコットンにとって大きな問題ではない。時々発生する病気

には以下のものがある。 (1) 立ち枯れ病 数種類の病原菌が立ち枯れ病を引き起こし、その症状には発芽中の種子の腐敗、根腐れ、および

稚苗の頚領腐れ(collar rot)がある。

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(2) 角斑病 この病気はコットンの木の(腐敗した)黒または褐色の病斑によって確認され、その後に感染部

分から 上部まで乾燥する。 (3) フサリウム病 これは植物の一般的な病気で、コットンの生育サイクルの中ではいつでも発生する。フサリウム

病はしばしば根こぶ線虫とそれを分解しない新鮮な肥料の施肥に関係がある。 2.4.2 害虫のライフサイクル (1) Pectinophora gossypiella(ワタヒバガの幼虫) ワタヒバガの幼虫、Pectinophora gossypiella – または一般的にワタヒバガ(pinkies)と呼称 – は、南西部における重大なコットン害虫である。 昆虫の成長段階の説明 卵:卵は、真珠に似た玉虫色の白い、おおよその大きさは長さ約 0.5 mm、幅約 0.25 mm の扁平

な楕円形で、経度線のような筋が入っている。卵は 1 個ずつ、または 4 個から 5 個まとまって産

卵されている(図 11)。

幼虫: 初の二齢期は白であるが、三齢からは色がピンクに変わる。幼虫は丈夫な前胸保護物

(scelerotised prothoracic shield)のため頭部が暗褐色という特徴がある。 蛹:蛹はなりたての頃は淡褐色で、蛹の段階が進むにつれて徐々に暗褐色になる。蛹の大きさは

長 7mm である。 成虫:成虫の前翔は黒っぽい帯がある灰色がかった褐色で、後翔は銀色がかった灰色である。成

虫は朝または夕方に蛹から出てくるが、夜行性で、日中は土のがれきや割れ目の間に隠れている。

図 11:ワタキバガの幼虫のライフサイクル

Early instar larva

Late instar larva

Adult

出所:中央綿花研究所(ナグプール)

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被害の性質 ワタヒバガはつぼみや花、発育中の種子やボウル(実)の綿を食べてコットンに損害を与える。

乾燥条件下では、測定可能な収穫量の減少はボウルの 25~30%侵入されるまでは顕在化しない。

このレベルでは、侵入を受けたボウルには複数の幼虫がいる。高湿度の場合は、ボウルはボウル

の腐れを引き起こす菌類の侵入に弱いため、ボウル全体を破壊するには 1 匹か 2 匹の蛹だけで十

分である。被害を受けたボウルのワタヒバガが侵入した穴の周りには腫れ物やこぶが広がる。コ

ットンワタヒバガの幼虫(cotton bollworm)やタバコワタヒバガの幼虫(tobacco budworm)と

は異なり、ワタヒバガは侵入口の基部に粉くずや糞を堆積させる(図 12)。

図 12:ワタキバガの幼虫の影響を受けたコットン

出所:中央綿花研究所(ナグプール)

害虫管理 ワタヒバガの卵は非常に小さく、ダニ、クモ、攻撃的な微生物(minute pirate bugs)、マキバ

サシガメ(damsel bugs)、クサカゲロウ(lacewing)の幼虫を含め、多くの天敵の影響を受け

やすい。Trichogramma bactrae、Microchelonus blackburni、Bracon platynotae、Apanteles ornone など数種類の寄生のカリバチ(parasitic wasps)はワタヒバガの幼虫を襲う。これまでの

研究によると、昆虫を捕食する線虫の Steinernema riobravis と S. carpocapsae を畑のワタヒバ

ガの幼虫駆除に使用することで、53~79%の幼虫死亡率を達成したことを示している。 ワタヒバガの幼虫を減らす栽培実践法は、通常の早期作物収穫よりも早く灌漑を中止し、収穫後

の作物残留物を切り刻むこと、コットン残留物を 6 インチに刻むこと、および(有機生産では賢

い方法でとはいえないが)コットンを同じ畑で続けて栽培する場合は冬の灌漑を行うことである。

オクラやケナフはワタヒバガの幼虫の代りの宿主であるので、これらも同じ場所からは除去しな

ければならない。 昆虫病原性糸状菌(Beauveria bassiana)など昆虫を殺害する菌類が有効か否かは、孵化および

ワタヒバガの幼虫の発育の早期段階と相互に関連づけられる導入時期のほか、菌類が侵入する

適湿度にかかっている。ワタヒバガの幼虫の個体数を減らす戦略として他に考えられるものとし

ては、交配フェロモン錯乱物質の使用がある。Biolures®、Checkmate®、Frustrate®、PB Rope®など数種類の製品が米国で入手可能である。ワタヒバガの交配錯乱の試みは交配錯乱を行

わない農地(1 エーカーあたり 1450 ポンド)に比べて高い収穫量(1 エーカーあたり 1864 ポン

ド)を記録した。

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(2) Aphis gossypii(ワタアブラムシ) 昆虫の成長段階の説明 幼虫:幼虫は小さく、黄色ないし褐色がかっており、葉の裏面や先端の芽に見られ、ほとんど無

翔である(図 13)。 図 13:ワタアブラムシ

出所:中央綿花研究所(ナグプール)

成虫:成虫は黄色っぽい褐色から黒で、体長 1.25mm、黒い尾角があり、腹部の先端は黄色っぽ

い緑である。無翔のもの(0.9~1.8 mm)と有翔のもの(1.1~1.8 mm)の両方が一緒に発生す

る。 被害の性質 アブラムシは師管を食べるもので、数回の攻撃で葉の崩壊萎縮を引き起こす。間接的には、開い

たボウルに糖液が堆積して綿が粘り気を帯びる結果としてコットンの繊維品質を低下させる。コ

ットンの木が若ければ若いほど、古いコットンの木よりも攻撃を受けやすい。先端のつぼみには

固体の凝集が見られ、 大の個体数は日光および高温から守られており、植物の3分の1より低い

高さにある葉に見られる(図14および15)。

図14:(a)糖液の堆積(b)ススカビ類による糸くず汚染

出所:中央綿花研究所(ナグプール)

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図15:アブラムシの被害を受けたコットンのつぼみ

出所:中央綿花研究所(ナグプール)

害虫管理 非常に早期の作物成長段階でのアブラムシの管理は植物の 適状態を維持するという観点から試

みられるべきである。アブラムシ対策を選択する前に農地の状態の全体的評価が必要である。ア

ブラムシを捕食する甲虫目テントウムシ科の昆虫(aphidophagous coccinellids)やハナアブ

(syrphids)および万能の捕食者であるクサカゲロウ(Chysoperla carnea)は、作物の初期成長

期間中にアブラムシを大量に駆除する。農場で用意した5%のニーム種子抽出油の撒布または1%のニーム原油の撒布も作物の成長前段階(pre squaring crop stage)の他の搾取害虫に加えてア

ブラムシの個体を駆除する。均一な撒布懸汚濁液を得るには、ニーム製品を使用するほか洗浄剤

や粉末せっけんを撒布流体1ℓあたり1g加える。 (3) Helicoverpa armigera(雑食性ヤガ科害虫)(アメリカワタキバガの幼虫) 昆虫の成長段階の説明 卵:卵は球形で、若葉や包葉がついた綿花のつぼみのがく、コットンの木の茎に平たく産み付け

られる。表面には産卵後の縦方向の筋が白から乳白色で付いている。胎児が成長すると、赤褐色

の帯が中央に見られ、それは卵の残り部分が孵化前に褐色になるにつれて徐々に濃くなる(図

16)。

図16:若葉上の卵

出所:中央綿花研究所(ナグプール)

幼虫:新たに孵化した幼虫は半透明の黄色がかった淡褐色で頭蓋は黒色である。胸板および肛板、

呼吸孔、胸脚、剛毛および粒状鱗の下部(tubercle bases)も褐色から黒色で、幼虫にまだらな

外観を与えている。二齢期(second instar)でも基本的に同様であるが、地の色はより濃くなり、

硬化した頭蓋、胸板および肛板、胸脚は明るく見える。三齢期は地の色は大部分は褐色である。

特徴的な模様がより目立つようになり、その後の虫齢では色は全体的に濃くなる。緑、淡黄色か

ら褐色までの陰影とそれらの組み合わせによって大きな変化が生じる。宿主の摂食も幼虫の色の

決定にある程度の役割を果たす。幼虫には通常6つの虫齢がある(図17)。

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蛹:蛹は表面がなめらかで、褐色で、前後が丸くなっており、後部先端には平行する 2 本の先細

りのとげがある。雌は平均して雄よりも重い。蛹は深さ 2.5~125 cm の土壌中で形成される。 成虫:成虫は頑丈な体の蛾で、緑がかった黄色から淡黄色および褐色をしており、暗褐色または

黒味がかった模様がある。雄は明るい褐色で緑がかった色合いをしている。雌は雄よりも暗い色

である。蛾は夕暮れから始まる 24 時間のリズムをもっており、真夜中を通じて継続し、その後

に事実上終わる。蛾はもともとの宿主から適切な作物へ長い距離に分散する(図 18)。

図17:幼虫H. armigeraの色の形成

出所:中央綿花研究所(ナグプール)

図 18:蛾の成虫

出所:中央綿花研究所(ナグプール)

被害の性質 幼虫は 初は葉を餌にし、その後、 初は葉の上にのしかかり、次に包葉がついた綿花のつぼみ

/ボウルや種に移ってその頭をボウルに突っ込み、身体の残りは外側に残したままにする。幼虫

は包葉がついた綿花のつぼみや花を餌にすることを好むことを示しているが、存在する場合は若

いボウルも餌にする。1 匹の幼虫は成長期間中に 30~40 の実を犠牲にする。入口の孔は大きく、

ボウルの基部は円形である。広い範囲にわたってボウルを餌にすることもあれば狭い範囲にとど

まることもある。これらの幼虫は、ボウルを腐敗させる微生物を拡散し、傷んだボウルの腐敗は

収穫量に損失をもたらす。

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害虫管理 栽培禁止期の適用、単一栽培の禁止および非宿主作物との輪作の推奨は H. armigera(雑食性ヤ

ガ科害虫)への餌の供給と隠れ場所を減らす。農地、雑草宿主のないその築堤および境界部を維

持するためのオフシーズン中の植付前浄化措置は、コットンと代替宿主作物の間のつながりをな

くすのに必要である。H. armigera のフェロモン・トラップは ha あたり 2 匹で雄の蛾を引き付け

て個体数の発生率と増殖速度を抑制することができる。害虫が大量発生した年の幼虫の機械的除

去と破壊は、駆除失敗が起こることがある殺虫剤による管理よりも成功率が高い。 より密集した作付けなど栄養増殖の増加によってワタヒバガの幼虫の攻撃をさらに招くような方

法は避けるべきである。あらゆるサイズの幼虫が同時発生する場合には機械的な捕集と破壊が推

奨される。膜翔類(Hymenopterous)およびヤドリバエ科(tachinid)の捕食寄生害虫(たとえ

ば、Eriborus argenteopilosus、Campoletis chlorideae、Microchelonus spp.、Palexorista laxa、Carcelio illota および Goniopthalmus halli)は H. armigera.に共通のものである。

表 12:昆虫と病気の症状 Sl. No. Insects Symptoms

1 Pectinophora gossypiella (Pink ball worm)

• Infestation of flower buds causes its shedding.

• Formation of 'rosette' flower. • Once inside the ball, larvae feed on seeds

and fiber leading to retardation of lint development.

2 Aphis gossypii (Cotton aphid)

• Colonize on the undersurface of the young leaves or shoots and suck the sap resulting in crinkling and curling of the leaves.

• Honey dew excreted by the insects make the leaves shiny, on which the sooty mold grow and give black coating to leaves.

3 Peridroma saucia (Variegated cutworm)

• Larvae feed at night on the leaves and crown and may cut off plants near the soil line. During the day, they are found hiding in holes, under debris, or under thatch near the surface of the soil.

4 Helicoverpa armigera (American bollworm )

• Larvae bore into squares, flowers balls and locules, usually with their head inserted inside and the remaining part of the body outside.

• Affected squares show "symptoms of flaring up" with bracts spreading out.

• Internal tissues are hollowed out by the larval feeding.

• Holes can be seen on squares, balls or locules.

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表 13:病気とそれらの症状 Sl. No. Diseases Symptoms

1 Xanthomonas axonopodis pv. Malvacear (Bacterial Blight )

• Initially deep green and water soaked, which later turn drying to brown, lesions on cotyledons.

• Lesions on hypocotyls are black, elongate cankers often kills the seedlings.

• Foliar phase is called 'angular leaf spot' which appear as water soaked lesions that are angular in outline.

• Severely affected leaves falls. • Lesions also appear on stems, known as

'black arm'. • 'Ball blight' show lesion which are water

soaked, sunken at first and brown to black with age.

2 Fusarium oxysporum f.sp. vasinfectum (Fusarium wilt )

• The browning and blackening of the vascular tissues.

• The transverse section of the affected branch shows discolored ring in the woody tissues.

3 Colletotrichum gossypii (Anthracnose)

• Balls initially show small water soaked, circular, and sunken, reddish brown spots appear later on.

• Lesions with black centre. • Lesions coalesce to form large patches. • Lint become yellow or brown and gets

clumped into a mass of fiber. • Balls fail to grow to normal size, become

black and crack. • Poor development of seeds and fail to

germinate.

表 14:インドのコットン畑における主な害虫の季節別発生 Insect pest North Central South

Jassids July – Sep July – Nov Nov – Jan Aphids October July – Feb Nov – Jan Thrips July Sep – Oct Aug – Sep Whiteflies July Sep – Oct June – Aug & Dec – Jan Spotted & Spiny bollworms July – Sep Sep – Jan Nov – Jan American bollworm Aug – Oct Aug – Oct Nov – Dec Pink bollworm Aug - Nov Oct - Nov Dec – April Stem weevil -- -- Aug – Sep Semi – looper Aug – Sep Aug – Sep -- Leaf roller -- Aug – Sep -- Red cotton bug -- Nov - March -- Dusky cotton bug -- Dec – April --

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2.4.3 オーガニックコットン栽培における害虫駆除 (1) 品種と作付け時期の選択 オーガニックコットン栽培では、抵抗力/耐性のある品種と作付け時期の選択は植物が害虫の攻

撃に耐えることを助け、有害な害虫から逃れることを助ける。LRA 5166、Surabhiおよび

Sumangalaは吸汁害虫に耐性があり、Supriya、KanchanaおよびLPS 141はコナジラミ

(whitefly)に抵抗力がある。Abhadita品種はワタヒバガの幼虫に耐性がある。適正な時期にお

ける連続する区画での同期播種はとくに茎ゾウムシ(stem weevil)やワタヒバガの幼虫など悪

化する害虫問題を軽減することが期待される。 (2) 生物学的防除 生物学的防除は害虫に影響を及ぼす生物や細菌を利用するものである。間作物の作付けを通じ

て害虫の天敵(図 19)を増殖することで、農家は「農家の友達」(farmer’s friends)を集め、

それらを農地に放出することによってある種の生物学的防除を行うことができる。ウガンダで

は、オーガニックコットン栽培農家は、数種類の害虫を駆除するために Acantholepis 属のアリ

を育てて繁殖させている。捕獲作物を育てる(たとえば、キャベツにからし菜、コットンの周

囲にトウモロコシ)や、Heliothis、Spodoptera、Trichogramma、Trichoderma など、微生

物農薬と生物剤の使用もある。

図 19:一部の主要なコットン害虫の重要な天敵

Parasitoids (parasitic wasps)

Damsel bug

Green lacewings (Chrysoperla spp.)

Spiders

Birds Hoverfly (Eristalis spp.)

Ladybird beetle ( Harmonia spp.)

Assassin bugs (Prithesancus sp.)

Ants

Bigeyed bugs (Geocoris sp.)

出所:Organic cotton Crop Guide(オーガニックコットン栽培ガイド)、FiBL、2005 年 捕食寄生生物や捕食動物は害虫の個体数を抑制するのに有効である。ペーパーストリップ

(Trichocard)に貼り付けたCorcyra(ガイマイツヅリガ)の寄生虫卵をコットンの葉の下面に

ピンで留める。出現するヤドリイコバチ(Trichogramma)の成虫はワタヒバガの卵を探して寄

生し、事実上ある程度まで永続させて、ワタヒバガの個体数を抑える。Helicoverpaやその他の

ワタヒバガの産卵ピーク時に卵に寄するTrichogramma chilonisを1ha当たり15万匹、これを年に

2回から3回放出することで、ワタヒバガの被害を大幅に減らすことに役立つ。作物成長の20~

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25日の間にヨコバイ(jassid)の強さに応じてChrysoperla sp.を1ha当たり500~1000匹放出す

るとヨコバイの個体数を減らす上で役立つ。 その他の生物学的防除法には害虫を襲う以下の微生物やウィルスが関係する。 Btの散布 バシリス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis、Bt)は葉を食べるイモ虫に対して有効

な微生物である。したがって、それはボウルに入り込む前の早期段階のワタヒバガの幼虫に対し

てのみ効果がある。日光はBtを破壊するため、夜間の散布がBtに対する暴露を増やす。核多角体

病ウィルス(nuclear polyhedrosis virus、NPV)はアメリカワタヒバガの幼虫を襲って死滅させ

る。NPVを局所的に増殖させるには、NPVをコットン畑に散布し、NPVに感染したイモ虫を集め、

それらをすりつぶして水で希釈することである。市販の真菌スプレー(fungal sprays)でもワタ

ヒバガの幼虫を駆除することができる。 昆虫病原菌 昆虫病原ウィルス(Entomopathogenic viruses)は自然に幅広く存在し、害虫に特定のものであ

る。したがって、オオタバコガ(Helicoverpa Armigera、雑食性ヤガ科害虫)に効果があるNPV(H-NPV)が使用されている。H-NPVを1ha当たり幼虫500匹相当の散布はH. Armigeraの若い幼

虫をターゲットにすることになる。時には、ウィルスの影響を受けて胴体がしなびた幼虫が頭を

下にしてぶら下がっているのが見られる。こうした散布は病原菌の良好な混入状態を維持するた

め15日後に繰返すことができる。これは市販のBt調合剤の1ha当たり1.5ℓ散布で置き換え可能で

ある。 (3) 天然殺虫剤 オーガニックコットン栽培には使用可能ないくつかの天然殺虫剤があり、有機農家は継続的に新

しいものを試している。しかし、現地で調合されたほとんどの製剤の効果に関する科学的な研究

は行われていない。したがって、農家にはどの天然殺虫剤が自分たちの農場に も適しているか

を見つけるために独自の試験を行うことが奨励されている。インドやアフリカで農家が使用して

いる天然殺虫剤のリストを以下に示す。 しかし、多くの天然殺虫剤は益虫の個体数にも影響を与えるため、その使用は実際に必要な場合

に限るべきである。一部の植物抽出物は人間や動物にも有害であるため、慎重に使用すべきであ

る。また、植物性の殺虫剤と生物学的コントロール物質(寄生生物、捕食動物、微生物農薬)の

放出には認定の適格性を維持するため認定機関の事前の承認が必要であることに留意すべきであ

る。

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表15:各種の天然殺虫剤

Sl. No.

Name Ingredients Target pests Remarks

1 Pyrethrum Powdered flower heads or liquid extracts of a daisy like chrysanthemum (commercially available).

Red cotton bug, cutworms, grasshoppers

Pyrethrum causes immediate paralysis or death to most insects, but also affects beneficial insects

2 Garlic onion chili repellent

2.5 kg garlic, 2.5 kg onion, 7.5 kg green chili. 10 liters water

Bollworm, sucking pests

This repellent does not kill the insects but deters pests from the crop. Repelling effect.

3 Coriander seed spray (Coriandrum sativum

200g coriander seeds, water

Spider mites Repelling effect.

4 Flour spray

2 cups of fine white flour; half cup of soap (sticker), water

Aphids, spider mites, thrips, whitefly.

Repelling effect

5 SoO soap spray

SoF soap, water

Aphids, jassids, whitefly, thrips

SoF soap sprays also affect beneficial insects and should only be used as the last resort.

6 Neem spray (Azadirachta indica)

Neem kernel extract, containing azadirachtin

Sucking pests, jassids, bollworms, thrips

Sprays from neem seed or leaf extract do not kill the insects directly but reduce their normal activities like feeding, moving. The main advantage of using neem is that it is not harmful to most beneficial insects.

(4) 大量捕獲 トラップは、いくつかの害虫とくに蛾(イモ虫の成虫)の個体数を減らすのに役立つ場合がある。

早期段階では、それらは大量増殖を防止することができる。 数種類のタイプのトラップがある。光トラップは夜間に活発に飛ぶ害虫を引き付ける他、黄色の

粘着性トラップやフェロモン・トラップもある。フェロモン・トラップは雄の蛾を引き付けてト

ラップで動けなくする。 光トラップ 夜間に飛ぶ昆虫を捕らえるもの。電気または灯油のランプを使用することができる。三脚の使用

が可能。三脚を地面に固定して光源を3本のポールの中央に吊るし、水を満たした浅いボウル

(皿)をその下に置く。 粘着性トラップ 粘着性トラップの製造および使用方法は数多くある。黄色の粘着性トラップの場合、黄色は昆虫

が好む色で、遠くから見ることができ、確認しやすい。

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(5) 機械的措置 トッピング 80~90日間栽培したコットン収穫後の末端除去「トッピング」はタバコガ(Helicoverpa)の産卵を

減らすほか、より多く実をつける本体を支える仮軸分岐を促すため、実践されるべきである。 鳥のとまり木 鳥のとまり木を1ha当たり10本程度立てることは肉食性の鳥による捕食を助ける。 人手による幼虫の摘み取り 成長する幼虫の人手による摘み取りは、午前6時30分から10時の間と夕方の時間に行うべきであ

る。それは殺虫剤抵抗性の進展を抑制するものである。それは将来の個体数の大量増加を 小限

に抑える上でも役立つ。 (6) 偵察、監視および作物保護活動の決定 定期的な農地の偵察・監視活動は、害虫が経済的閾値に達しているか、またいつ達するかについ

ての信頼性のある情報を得ることができる唯一の方法であるため、いかなる害虫管理プログラム

においても不可欠の要素である。それは標準化されたサンプリング技術を使って害虫の密度と被

害レベルを判断するものである。害虫の個体数が持続可能なレベルを超えてさらなる増加をもた

らすレベルに達する前に駆除措置を講じるべきである。 フェロモン監視活動 雌雄いずれかの性によって発散される性フェロモンは他方の性の一連の行動パターンを誘発する

だけである。それを性誘引物質または性誘惑物質(sex lure)という。一般に雌は雄を引き付け

る性フェロモンを発出する。性フェロモンはそれらの生物活動に特定のもので、雄は同じ種の雌

の特定のフェロモンにのみ反応する。1ha当たり5匹程度のフェロモン・トラップは、殺虫剤の

散布および規制生物の放出を同時実施するため、幼虫出現を特定する上で役立つ。 (7) 作物多様性 捕獲作物の植え付け 影響を受けやすいか害虫が好む作物を少量撒種することは、主要作物の近くでトラップとして機

能する。害虫がその作物に引き付けられると、害虫は破壊されるか、被害を受けた植物の部分ま

たはその植物全体を除去してもよい。コットンの周りでトウゴマ(castor)を育てると、産卵の

ためにハスモンヨトウ(Spodoptera)が集まってくる。キマメ(pigeon pea)とマリーゴールド

はコットンの揮発成分が発する臭いを覆い隠して、タバコガ(Helicoverpa)が産卵場所として

コットンを好む傾向を減退させる(表16)。

表16:コットンの害虫を駆除するために使用される捕獲作物 Sl.No. Pests Trap Crops

1 Spodoptera Castor, Sunflower 2 Helicoverpa Marigold 3 Spotted bollworm Okra

出所:Krishi Vigyan Kendra(農場科学普及センター)、2003年 間作物の植え付け ケツルアズキ(blackgram)やチリ唐辛子(chilies)などの間作物を植えることはワタヒバガの

幼虫によるコットン被害を減らす。 築堤作物の植え付け 築堤作物として植えられたササゲ(cowpea)は、甲虫目テントウムシ科の昆虫(coccinellids)、

ハナアブ(syrphids)などの捕食動物を増やし、吸汁害虫を監督下に置く。

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エコフィースト作物(Ecofeast crop) 境界に沿って植えられたトウモロコシは数種類のチョウ目科の寄生生物( lepidopteran parasites)の食料および隠れ家を提供してエコフィースト作物としての役割を果たす。それは吸

汁害虫の障壁作物としても作用する。ササゲも甲虫目テントウムシ科の昆虫やその他の捕食動物

の増殖を促すすぐれたエコフィーストである。 (8) 作物学的実践 輪作 輪作は害虫の被害をより広範囲で 小限に抑える。コットンは害虫が好まないか選好度が低い作

物の後に栽培すべきである。トウモロコシ、ソルガムなどの穀草類の後にコットンを植えること

は、コナジラミ、ワタキガバの幼虫、土壌昆虫および線虫の発生率を減らすことになろう。 コットン非栽培期間 コットン栽培は年1回に限るべきである。コットン二毛作と刈り株からの新芽発生は害虫の個体

数の繰越を防止するためにも避けるべきである。それらは継続して餌を供給することになり害虫

を増殖させるからである。 (9) 栽培法的実践 適正な間隔 近接した作物間隔や密集した樹冠はワタキガバの幼虫やその他のコットンの害虫の増殖速度を速

めることになろう。したがって、 適な間隔と密度を維持すべきである。 農地の衛生管理 夏の畑起こしは土壌中の昆虫の休眠期を破壊する。コットンの害虫の避難場所となる代替宿主で

ある雑草を除去する。被害を受けた場所のコットン、乾燥した花および成長した成虫の回収と破

壊は害虫の繁殖を大幅に減らす。適時の収穫と茎の破壊はとりわけワタキガバの幼虫の処理に

も効果的な方法である。これらの方法はワタキガバの幼虫、タバコガ(Helicoverpa)およびハ

スモンヨトウ(Spodoptera)が利用できる生息場所と餌を減らすものである。未熟なボウル、ひ

びの入ったボウル、残されたその他の植物のくずは季節の終わりに処分するよう努力すべきであ

る。 2.5 雑草管理 コットンは約 2 インチの深さで華氏 61℉の温度で発芽する。土壌温度が 66℉に達するまで作付け

を遅らせると、作物は急速かつ均一に芽を出し、雑草に対する競争力を得る。作業を遅らせるこ

とは冬の被覆作物を利用している場合はそれらの作物をさらに成長させる。この戦略の不利な面

は、ワタミゾウムシ、タバコバドウォーム、トウモロコシの害虫(cotton bollworm)など数種類

の害虫による被害のリスクを増加させる可能性があることである。 Cyperus sp.(Motha)(シペラス属)、Cyanodon dactylon(Doob)(バミューダ草)および

Sachharum sp.(Kans)(サトウキビ属)などの多年生雑草の侵入を受けていない農地は有機農

法に好ましい。ただし、そのような雑草が所々に発生する場合には、それらの地下増殖構造(走

根、根茎など)を夏期の耕作によって露出させ、手作業で除去しなければならない。既存の方法

に従った機械や人手による雑草除去を採用することができる。堆肥化は除去した雑草の再利用を

可能にする。添加する堆肥は完全に分化していることを確認する必要がある。そうではない場合

は、堆肥を介して持ち込まれた 1 年生の雑草の種が発芽して雑草問題を大きくすることになろう。

コットンの 2 列の間にササゲを植えることも雑草の早期出現を抑制する。

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(1) 土を耕す 土を耕すことは有機作物の雑草管理の伝統的な手段である。雑草管理のための耕作法としては以

下のものがある。 作付前耕作 ジョンソン草(Sorghum halepense)などの雑草が問題である場合はばね歯ハロー(spring-tooth harrows)および同様の農具が地下茎を捉えてそれらを乾燥して枯れる土壌表面に引っ張り

出すのに効果的である。それに対して、円板すきは地下茎を切断してさらに密集して残すことに

なる傾向がある。 ブラインド耕作(Blind tillage) ブラインド耕作では、発芽前または発芽後の早期段階で指除草機(finger weeders)、またまぐ

わ(tine harrows)または回転除草機(rotary hoes)を使用する。これらの器具は、まっすぐま

たは同じ方向の列で畑全体を比較的高速で(6 mph 以上)走行させる。トウモロコシ、大豆また

はヒマワリなど種が大きい作物は 小限の被害で生き延びるが、種が小さい雑草は簡単に根絶さ

れて枯死する。過度のダメージを避けるため、発芽後のブラインド耕作は、栽培作物もふくらみ

が少ない 1 日のうちで も気温の高い時間に行うべきである。鋤ではない回転除草機は、土壌が

堅くなっているか非常に壊れやすくなっている場合に使用すべきである。種子率はブラインド耕

作での損失を補って 5~10%上昇するはずである。 列間耕作 1 年生の雑草が問題である場合は、地表近くに残る雑草の種をできるだけ少なくするように、耕

作は可能な限り浅く行う。多年生の地下茎のある雑草が問題である場合はショベルを作物の列か

ら も遠い位置に取付けて 初の耕作よりも深く耕し、地下茎を地表に出すようにする。またま

ぐわ(tine)は、かき板(sweeps)やカモの足(duck feet)状の鋤よりも地下茎の引き抜きに効

果的である。その後の耕作には、作物の根の過度の切除を避けるため、浅い位置に取付けたショ

ベルを使用すべきである。 早耕作では作物列方向に土を投げないようにする必要がある。作物

の樹冠が広がると、出現する雑草を覆うため、土を作物の列に投げ入れる必要がある。 列間耕作は、雑草が発芽するタイミングがそれらを捕らえる 適な時期である。土壌が十分に乾

いている場合、列間耕作は、締め固めや表面の硬化を避けるため、雨または灌漑後可能な限り早

く行う。 (2) 根覆い 根覆いは雑草駆除のもう 1 つの方法である。根覆いは光を遮断し、雑草の発芽と成長を防止する。

根覆いとして使用できる材料はいろいろある。都市の庭ごみ、ウッドチップ、わら、干草、おが

くず、新聞紙など、プラスチックおよび有機材料が含まれる。雑草駆除を効果的にするには、根

覆いは雑草への光をすべて遮断する必要があり、一部の根覆い材料の場合、根覆いを完璧にする

ため、他の材料よりも厚くする必要がある。雑草を抑制するプラスチックの場合、 も一般的な

のは黒色である。黒は光を完全に遮断するからである。 有機体の根覆いをプラスチックの代わりに育てることができる。これらの根覆い(または時々呼

ばれているように、生きている根覆い)は、作物との過度の競争を避けるため、作物の植え付け

前に死滅するかでなければ死滅させなければならない。 2.6 灌漑

灌漑によってコットン栽培を行う場合、作物は予備的に行われる大量灌漑後にほとんどが播種さ

れ、発芽の 3、4 週間後に 2 度目の灌漑を軽めに行う。灌漑水の経済的で 適な使用のため、耕

作時に綿木の列の間に畔間を作る必要がある。その後の散水は土壌の性質と気象条件によって異

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なる。開花とボウルの形成(結実段階)は灌漑において極めて重要な段階である。この段階で灌

漑スケジュールが不適切な場合、花のつぼみやボウルの大量の脱落につながる。但し、 後の

終灌漑はボウルの 3 分の 1 が開いた後には行うべきではない。一般に、コットンはそのライフサ

イクルの中でに 6~8 回の灌漑と 600~800 mm の水が必要である。 点滴灌漑(drip irrigation)は、細流灌漑( trickle irrigation)またはマイクロ灌漑(micro-irrigation)としても知られているが、水と肥料の使用量を 小限に抑える灌漑法で、バルブ、パ

イプ、配管およびエミッタを介して、水が土の表面または根域に直接に落ちて植物の根にゆっく

りと浸透するようにするものである(図 20)。

図 20:コットン畑のドリップ灌漑

新の点滴灌漑は、1930 年代のインパクトスプリンクラーの発明以降、農業分野で も価値の

高いイノベーションとなり、湛水灌漑にとって代わった。点滴灌漑では、点滴エミッタ

(dripping emitters)の代わりに狭い区域に散水するマイクロスプレーヘッドと呼ばれる装置も

使用する。 インドでは、一部の農家は簡単な点滴灌漑システムを利用してきた。しかしながら、投資コスト

は畦間灌漑システムの場合と比較して 40 倍高い。この高額の投資が費用効果の高いものになり

得るかを調査する方法について研究作業が進められているところである。 2.7 収穫および収穫後の作業

2.7.1 収穫方法 (1) 綿摘み コットン繊維の品質は繊維の長さ、汚れの程度、葉や小枝など繊維以外の物質が混入していない

かどうかによって決まる。良質の原材料は高品質の糸や衣類に役立ち、よって、市場での成功に

貢献する。 収穫の品質向上のためにとられている措置は以下の通りである。 ① 綿花ボウルが十分に成熟して開くことができるようにする。 ② 綿花が乾いて菌類の汚染を受けにくくするため、朝露が乾いた後に綿を摘む。 ③ 摘んだ綿花は清潔な綿布製の袋に入れる。ナイロン製または合成繊維製の袋は決して使用

しない。 ④ 葉、さやおよび痛んだボウルは綿花収穫から除外する。 ⑤ 品質が劣る綿花は別の袋に分離保管する。

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⑥ 熟していない綿花は、線量を十分に吸収せず、したがって価格も低いため、摘まないこと

が重要である。 (2) 収穫上の注意 ① 実綿は十分に開いたボウルからのみ集めるべきである。 ② 半分開いたボウルを集め、それらを乾燥させてから実綿を取り除く方法は避ける。そのよ

うな方法は繊維の等級と品質を下げるからである。 ③ 綿摘みは、乾燥した葉の部分を集めるなどの可能性があるため、暑い真昼は避けるべきで

ある。湿った気象条件のときに摘むことが望ましく、早朝か夕方に行うべきである。 ④ 実綿は市場に出すには一般的に品質が劣る 後に摘んだ綿とは別に貯蔵することが望まし

い。 ⑤ 市場に搬出する前に、実綿は隅部に広げた布または麻もしくは紙の上に積み上げる。混入

するごみの増加を避けるため、実綿が土壌と直接接触しないように注意を払うことが望ま

しい。 ⑥ 摘んだ後、実綿は日陰で乾燥させるべきである。黄変によって品質が低下するため、日光

への過度の露出は避けるべきである。 ⑦ 実綿は、日光や雨から保護するため、また市場への輸送中の風による汚染を避けるため、

完全に遮蔽すべきである。これは、盗難や風で飛ばされることによる実綿の損失も防止す

る。

2.7.2 収穫後の作業 (1) 貯蔵 農家は、販売する前にコットンを貯蔵しようとする場合は、菌類汚染を防止するよう注意を払う

べきである。特に肥料、害虫および石油などである。貯蔵場所は清潔で乾燥している必要がある。

湿気のある状態は菌類の成長につながり、コットンの品質を大幅に損なうことがある。 (2) 加工と取引 オーガニックコットンの加工チェーン全体を通じて、汚染を避けることと有機栽培のコットンを

従来型栽培のコットンと分けることが重要である。ほとんどの紡績工場や加工会社は有機栽培の

コットンと従来型栽培のコットンを同じ機械を使って加工しているが、オーガニックコットンの

加工前に装置を明確に分けることが重要である。 2.8 作物栽培の経済 オーガニックコットンの栽培によって国の経済を繁栄させることは十分可能であることが研究に

よって明らかにされている。現在の世界市場では価格以上に健康に対する需要が大きい。富裕階

層の人々は健康に有害ではない衣類により多く支払う用意がある。 オーガニックコットン生産の収穫量と利益は、農場によって、また地域によって大きく異なる。

したがって、オーガニックコットン生産を従来型の生産とどう比較するかを経済用語で一般的に

述べることは容易ではない。2 つの農場の条件(気候、土壌、灌漑水源など)が同じであっても、

農家のスキルと栽培実施方法が結果に大きく影響する。 さらに、比較の結果は従来型農場と有機農場の生産集約度によって異なる。従来型農法と同様、

オーガニックコットン生産も投入と生産性について大なり小なり集約的であるということができ

る。有機農法への転換は、通常、集約度の低下(すなわち、外部からの投入物の少なさと収穫量

の少なさなど)を意味するが、時には、集中的な有機栄養素投入と害虫管理によって、集約度が

高くなる場合もある(図 21)。

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インドなどの熱帯諸国におけるほとんどの有機栽培プロジェクトは、2~3 年間の転換期を経た

後、有機農場のコットン畑はおおよそ従来型農場と同じレベルに達する(収穫量は 20%低くな

ることもあれば 10%高くなることもある)。投入物(植物の栄養素および害虫管理)の費用は、

有機肥料と害虫管理用の品目(たとえば、堆肥、液体肥料、植物性殺虫剤)を外部から購入する

かどうかによって異なるが、通常 20~80%少なくなる。オーガニックコットン生産には植物栄

養素管理(堆肥の準備、有機肥料の使用)により多くの作業を要するのが通例であるが、散布と

雑草除去に要する労働力は通常は少なくなる。したがって、コットン栽培の労働コストは有機農

法でも従来型農法でもおよそ同じであるのが通例である。

図 21:従来型農法と有機農法によるコットン栽培における農業の集中度 (矢印は従来型農法から有機農法への転換を示す)

出所:Organic cotton crop guide(オーガニックコットン栽培ガイド)、FiBL、2005 年

収穫量が同程度で、生産コスト(投入量)が低く、価格にプレミアム(通常、市場価格を 10~20%上回る)がつくことから、有機農法によるコットン栽培は従来型農法によるコットン栽培と

比較してはるかに有利である。しかしながら、有機農法によるコットン農場と従来型管理による

コットン農場の実績の総合評価に関しては、間作物とコットンの輪作の場合の収穫量と生産コス

トも考慮に入れる必要がある。 有機農法によるコットン栽培の経済的パフォーマンスを評価するため、スイス開発協力庁

(SDC)は、2005 年にインドにおいてある研究を行った。研究の結果を以下に示す(表 17)。 (1) 労働力と材料の投入 総労働投入量はオーガニックコットン農場では多くない。雑草駆除にはより多くの時間を要する

が害虫管理に要する時間は少ない。有機肥料の使用は有機栽培のコットン畑では 2 倍になる。

Conventional farming Organic farming

Inte

nsity

of t

he p

rodu

ctio

n

High inputs conventional

Low inputs conventional

Traditional, not certifiable

High inputs organic

Low inputs organic

Traditional, certifiable

Organic by default

minor conversion paths

usual conversion paths

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(2) 生産コスト 生産コストは有機栽培のコットン畑のほうが 13~15%低くなる。これは主に投入物(種子、肥

料、有機性害虫管理用品目)の費用が 40%少なくてすむことによる。

表 17:投入量と生産量 - 化学投入物と有機性投入物の場合の 1ha のコットン栽培の明細

Chemical Inputs Organic Inputs Sl. No. Particulars Irrigated

Cotton Rainfed Cotton

Irrigated Cotton

Rainfed Cotton

1 Cost of Cultivation (Rs) 25090 18090 19006.5 15376.5 2 Production (Qtls/Ha) 18 10 16 9 3 Rate (Rs/Qtls) 2700 2700 3000 3000 4 Total Income (Rs) 48600 27000 48000 27000 5 Net Income (Rs) 23510 8910 28993.5 11623.5 6 Labour Input Cost 11860 8040 10790 7910 7 Material Input cost 13230 10050 8216.5 7466.5

出所:Action for Agricultural Renewal in Maharashtra(マハラシュトラにおける農業再生のための行動)

(3) 収穫量 収穫量は、初めのうち従来型栽培のコットンと比較して少ない場合があるが、さまざまの国での

2 年間の観察後には、4~6%の収穫量の増加が見られる。. (4) コットンの粗利益 コットンの収穫量が若干多くなること、オーガニックコットンの価格には 20%のプレミアムが

つくこと、生産コストが低いことから、オーガニックコットン農地の総利益は 30~43%高くな

った。 (5) 効率 実綿を 1kg 収穫するための労働力は、有機栽培のコットン農場では従来型のコットン農場よりも

少なくてすむ。ただし、有機栽培農場は灌漑のためにより多くの水を必要とする。 (6) 農場への経済的影響 輪作の場合の平均収穫量と生産コストは有機栽培のコットン農場のほうが少ない。 (7) エネルギー消費量 「グリーンコットン」(Green Cotton)などオーガニックコットンの生産におけるエネルギー消

費量は、たとえ農薬や肥料を使用しない場合であっても、伝統的なコットン栽培の場合と同じレ

ベルになると報告されている(表 18)。

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表18:ライフサイクル評価 – 繊維生産における在庫分析 Unit/kg Polyester Cotton Organic Parameter Energy consumption: MJ 97,4 59,8 53,6 Electricity MJ 15,2 12,1 13 Fossil fuel MJ 82,2 47,7 40,6 Non-renewable resources: kg 2,4 1,4 1,3 Natural gas kg 0,36 0,35 0,14 Natural gas, feedstock* kg 0,29 - - Crude oil kg 0,41 0,53 0,57 Crude oil, feedstock* kg 0,87 Coal kg 0,14 0,52 0,56 Coal, feedstock* kg 0,37 LP gas kg - 0,03 0,03 Hydro power (MJ) MJ 0,4 1 1 Natural uranium mg - 14 15 Fertilizers g - 457 - Pesticides g - 16 Water kg 17,2 22200 24000 Emission to air: CO2 g 2310 4265 3913 CH4 g 0,1 7,6 6,1 SO2 g 0,2 4 4 NOx g 19,4 22,7 22,7 CH g 39,5 5 5 CO g 18,2 16,1 17,2 Emissions to water: COD g 3,2 - - BOD g 1 - - Tot-P g 0 - - Tot-N g 0 - - * Feedstock values included to the energy consumption values NK = not known Note: Organic = Organic cotton

出所:Kalliala-Nousiainen (1999)、AUTEX Research Journal

2.9 オーガニックコットン栽培農法 – システマチックアプローチ 農場の有機栽培への転換は化学肥料や農薬を有機性のものに置き換えることを意味するものでは

ない。オーガニックコットンは、他の作物も含む多様でバランスのとれた生産システムの下で栽

培しなければならない。トラブルシューティングの代わりに、有機栽培農家は問題を防止し従来

の投入物に代わる代替投入物の使用をできる限り避けるよう試みるべきである。そのためには栄

養素や害虫管理についての十分な理解と継続的に観察し学習する能力が求められる。 オーガニックコットン生産で満足すべき収穫量と収入を得るためには、土壌、植物、環境および

人々の間の適切なバランスを確保できるシステマチックアプローチに基づくいくつかの総合的措

置を適用することが必要である(図 22)。しかも、こうした成功要素はすべて一緒に揃ってい

ることが必要である。

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• 土壌肥沃度を改善し維持するための適切な措置 • 輪作と作物多様性の確立、自然のバランスの促進 • 条件(土壌、灌漑の利用可能性、市場の要件)に適した品種の選定 • 適切なタイプと量の肥料を適切な時期に使用すること • 耕作間作業、雑草除去および灌漑など適時の作物管理 • 経済的閾値の概念に基づく作物の慎重な監視と害虫に対する十分な保護 • 適時の適正な綿摘み • 検査と認定のための十分な文書作成 • 継続的改善のために能力を強化し経験を積むこと

図 22:システマチックアプローチによる成功を収めたオーガニックコットン栽培農法

Capacity building & experimenting

Appropriate pest management

Monitoring of pests

Timely & properly picking

Appropriate irrigation

Organic manure

Crop rotation & crop diversity

Selecting the right cotton erities

Improving soil fertility

Timely weeding & intercultural

operations

Documentation & inspection

出所:Organic cotton Crop Guide(オーガニックコットン栽培ガイド)、FiBL、2005 年

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2.10 従来型のコットン栽培からオーガニックコットン栽培への転換プロセス オーガニックコットン生産の も重要な課題はおそらく転換プロセスを経ることである。転換段

階で、ほとんどの農家は収穫量の落ち込みを経験している(前の収穫量の水準と使用栽培方法に

よって異なるが、10~15%)。同時に、土壌の肥沃度を再構築する措置には追加的努力と労力が

必要である。土壌は有機物を増やし土壌中有機物の個体数は増加するため、適正な有機管理法の

実施によって収穫量は通常 2、3 年後に回復する。害虫問題も初めの数年間は多くなるのが通例

である。化学殺虫剤の継続的使用によって荒らされた生態系はまずバランスを回復するとともに

益虫の個体数を増やす必要があるからである。また、有機農法には新しいスキルが求められるた

め、それに必要な訓練と経験を積むことが必要である。時間を経るにつれて農家の技術ノウハウ

も向上する。 有機農法への転換は通常、栽培する作物、活動のタイプおよび問題の解決法の多様化をもたらす。

有機農法は知識集約型生産方法であり、したがって、質の高い普及サービスが重要な役割を果た

す。とくに転換期間中は、農家が適切で適時の助言を受けられることが不可欠である。 オーガニックコットン・プロジェクトでは転換に関心のある農家のために訓練を主催し、それに

よって農家は転換プロセスの準備をすることができる。普及スタッフは、単に有機農法だけを促

進するよりも、転換期間中きめ細かく働きかけを行うこと、予測可能な問題が考えられる場合は

オープンにそれに取り組むべきことが求められる。 適切な措置は転換期間中に遭遇する問題を軽減する上で役立つ。たとえば、収穫量の初期低下は

有機肥料の十分な使用によって抑制することができる(必要な場合は農場外から導入する)。ま

た、コットンの間作物として豆類(たとえば、緑豆、ササゲ)を植えることも望ましい。それは

土壌に窒素を供給するとともに追加的所得をもたらす。 転換プロセスを成功に導く要素としては以下の項目が考えられる。 ① 有機農業とオーガニックコットン生産に関する適切な訓練 ② 家族を意思決定に参加させること ③ 収穫量の初期低下とより高い労働需要に対応する戦略の開発 ④ 有機作物管理に関する適切かつ適時の助言 ⑤ 経験豊富な有機農家との定期的な意見交換 ⑥ 経験を得るために小さな区画で技術を試すこと ⑦ 適切な輪作、間作物を緑肥として特定すること ⑧ 有機物の十分な投入(必要な場合は農場外から)

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2.11 オーガニックコットン栽培の利点 2.11.1 環境にやさしい技術 肥料と殺虫剤の過剰使用により、農業生態系のすべての要素は従来型の農法によって汚染されて

いる。オーガニックコットン生産は非化学投入物に依存するものであり、汚染の危険を軽減する

ことが期待される。 繊維中の残留農薬はユーザーに発がん性の被害を引き起こす可能性がある。有機農法において害

虫管理のために生物学的に合理性のある物質と生物防除剤の使用はそのような影響を引き起こす

ことはない。 織物工場や染色設備による未処理廃水の大量放出は人間や家畜、河川および運河の魚の健康問題

を引き起こしてきたばかりでなく、灌漑に使用される水の汚染のためにコットンの収穫量にも影

響を与えてきたことが報告されている。 有益な土壌有機物の破壊は土壌に健康被害を引き起こし、コットンの害虫の捕食動物/寄生虫の

自然の個体数の不均衡を生じさせる可能性がある。有機農法は生態系のさまざまな構成要素間の

均衡を復元し維持する上で役立つ。

2.11.2 栽培コストの削減 近代的生産技術はコットン生産の費用便益比率を引き下げてきた。アンドラプラデシュ、パンジ

ャブ、マハラシュトラ州などの農民の中には、コットン栽培からのそれに見合った利益をあげら

れないうちに生産コストが上昇したために自殺者が出ていることが報告されている。他方、有機

農法は農村部の雇用を創出するとともに農場内資源の有効利用を生み出して農場の費用対効果を

高める。 2.11.3 残留農薬の管理 コットンの害虫を駆除する有害な殺虫剤の無差別な使用のため、殺虫剤に対する昆虫の抵抗力は

高まり、そのためにさらに多くの殺虫剤を散布されるようになった。そのようにして悪循環が生

み出され、栽培のコストをエスカレートさせている。有機農法はこの傾向を反転させるのに役立

つ。有機栽培されたコットンの害虫の増殖率を低下させるという選択があることが証拠されれば、

この農法の追及を検討するよう促すことができる。

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第3章 サプライチェーン 3.1 概要 インドにおけるオーガニックコットンのバリューチェーンは、タオルから生理用ナプキンまで多

種多様の製品があるため、非常に複雑で幅広い。しかしながら、農家と労働者は、輸入業者、輸

出業者および小売業者が主導するバリューチェーンの中でつながりが も弱い。

図23:コットン製品加工チェーン

出所:Organic cotton Crop Guide(オーガニックコットン栽培ガイド)、FiBL、2005年

3.1.1 オーガニックコットン・サプライチェーンにおける問題点とガバナンス問題 インドでは、織物会社もオーガニックコットン以外に小麦や大豆の生産にかかわっている。これ

は有機作物の栽培サイクル全体を農家に委ねる必要があることにもよるが、量が少なく加工と包

装のコストが高いため、会社はそれらの有機栽培産物を市場に出すことができずにきたというこ

ともある。 (1) オーガニックコットン市場 オーガニック産品市場における大きな課題としては、貯蔵の問題のほか、不安定な供給と不十分

な品質にある。制度として、市場はあらゆる種類の品目の取扱いを求めている。国内・国際市場

における認定や各種バイヤーのための認定が多数にわたるという問題もコスト増と納入の遅れを

もたらしている。

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加工業者はリントの長さが30 mm以上のコットン産品を求めており、またより多くのロットを必

要としている。綿繰り機のレベルでは、加工業者は、より強力な包装資機材を必要とする。イン

クによるラベリングに代えてステッカーや清潔な運搬車を必要としている。 取引業者と加工業者は、むらのある供給品、不十分な量、質のよい保管、市場情報の欠如、国内

市場の未発達、輸出のための高い品質条件などの問題に直面している。 終的に、リントの長さ

に関してコットンの品質を決定するのは綿繰りであるが、これは現在実現できていない。 また、少量で高コストという問題に取り組むため、輪作作物の収穫量の改善、それらの作物の市

場オプションの開拓、共同貯蔵・加工施設の設置/組織化の必要性がある。 オーガニック製品に関する価格政策は存在しない。 (2) 社会経済的問題 サプライチェーンの綿繰り部分は、児童労働、劣悪な労働条件、不潔な環境、不公平な賃金に悩

まされているが、サプライチェーンを主導する関係者はこれらの問題についてほとんど統制力を

持たない。 全労働力のおよそ60%を子供が占めており、そのうち70%は女の子である。女の子は統制しやす

く、集中して働き、賃金が安いと思われている。今日畑で働いている女の子は将来的には教育を

受けないまま母親になる。インドでこれほど高い割合で子供が働いている産業はほかにない。他

方、成人女性は労働から除外されている。児童労働も長期契約、借金による拘束、低賃金、長時

間労働(1日10~13時間)が常習的である。オランダ・インド委員会と国際労働者権利基金、

Eine Welt Netzwerk NRWによる研究「子供であることの値段」(Venkateswarlu - da Corta、2005)によれば、アンドラプラデシュ州のコットン畑で働いている18歳以下の子供たちは合計

で10万人いるが、親たちが作った借金に拘束されていることが多い。コットン畑で働く子供たち

の85%以上は学校に行っていない。 2006~07年の栽培期には、18歳以下の416,460人もの子供(その54%は14歳以下)が、インド国

内のコットン生産面積の92%近くを占めるグジャラート、アンドラプラデシュ、タミルナドゥお

よびカルナタカの各州のコットン種子農場で雇用されていた。 その人件費が 終製品の合計コストのわずか2~3%にすぎない綿繰りは、とくにグジャラート州

やマディアプラデシュ州では非常に劣悪な労働基準、労働条件、生活水準で知られている。マデ

ィアプラデシュ州では綿繰り工場での児童労働の慣例もある。また、より大きな社会の力学のた

め、インドでは 低限の均等な賃金を実現することができないのが現状である。支払いが多くな

ると、女性は仕事を失うケースや、あるいは、より多くの搾取に直面する可能性がある。 (3) 公正取引問題 労働の性質が季節的なものであるため、公正取引基準を確保することも困難である。したがって、

綿繰り工場の内部または外に、清掃、しっくい塗り、堆肥づくりなど代わりの仕事を創り出す必

要がある。 農民に公正取引基準を遵守させることは大きな課題である。農民をモニターすることは難しく、

農民と労働者の間には対立関係があるからである。したがって、労働者の福祉向上のために農民

組織と共同で個別の公正取引基金を設ける必要がでてくる。農民グループまたは農民組織との間

で、公正取引基準と農民のための価格保証に基づく個別の農業生産契約が必要である。 織物に関しては公正取引の圧力は存在しない。コットン生産における公正取引問題には、綿摘み

における児童労働、女性の労働とその労働条件および賃金の男女格差が含まれる。

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(4) 品質保証問題 混入物質(異物、たとえば髪の毛)は夾雑物(葉や小枝)とは異なり、機械で除去できない。し

たがって、混入防止に関する品質改善には、綿摘み作業では頭にかぶりものをすることや、コッ

トン畑やコットン貯蔵場所、市場でものを食べないことが求められる。農家レベルでは、水分を

避けるため早朝には綿摘みを行わないこと、害虫に感染したボウルを良質のものと分離すること

によって品質は改善できるであろう。 従来型栽培コットンまたはBtコットンからの汚染について、有機農業では、遺伝子組換え生物

(GMO)の使用は認められない。有機栽培農家はGMOが混入してないコットンの種子を入手す

ることがますます難しくなっていることに気づいている。

Box 1: Bt Cotton

有機農業では遺伝子組換え生物(GMO)の使用は認められていない。種子会社は過去数

年間にわたって遺伝子組換え「Bt コットン」の普及を進めてきた。それは同じ微生物の

遺伝子を含んでいる。バチルスチューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)は数種類の

害虫に対する生物防除に使用されており有機農家も使用している細菌である。それによ

り、Bt コットンの綿木は継続的に殺虫成分を生成してワタキバガの幼虫が綿木を餌にし

ないようにしている。しかし、ワタキバガの幼虫は頻繁に抵抗力を強めるため、種子会

社は新たな品種の Br コットンの開発を余儀なくされている。抵抗力の増進は Bt スプレ

ーの効果を低下させて有機農家に悪影響を与える危険性もある。 Bt コットンの栽培はより高い財務リスクを伴う。種子の価格が大幅に高騰するととも

に、通常、作物は肥料と吸汁害虫に対する殺虫剤を大量に投入して栽培されているから

である。インドでは、Bt コットンを試みた多くの従来型農家は作物の不作について苦情

を報告した。原因としては、品種の不適切さ、不利な気候条件、または種子が成熟しす

ぎていたことなどが考えられる。推奨者が約束した利点にもかかわらず、Bt コットンの

栽培は高リスク戦略のように思われる。 有機農家は GMO を含まないことが保証されているコットンの種子を入手することはま

すます難しくなると考えられている。一部の認定機関はコットンの木に GMO が含まれ

ているかどうかのチェックに試験ストライプを使用している。 (5) 所有権問題 有機認定は出資者または組織者によるもので、栽培者によるものではないため、農民組織と所有

権の問題も関わってくる。事実、その契約内容は農民に著しく不利に偏っており、契約のほとん

どすべての条件は会社組織で働く農民の義務だけを規定している。 契約書に規定されている企業の唯一の責任は認定された有機/転換コットンを従来型コットンの

市場価格よりも15%プレミアムを付けて調達するとともに、栽培者のコットン以外の製品の販売

も試みるというものである。 契約は農民にとっては非常に詳細にわたり、厳しい条件となっている。たとえば、有機農法に必

要不可欠な噴霧器を保有することや、それを他のいかなる化学殺虫剤または肥料用には使用しな

いことに農民は合意するとなっている。非有機栽培農家との噴霧器の貸借は契約義務の不履行と

みなされるし、保有する噴霧器も企業側による試験を随時受けなければならない。また、農場全

体で有機農法が行われていない場合は有機作物と非有機作物の間の緩衝となるものとして、農民

は1m幅の境界作物を維持しなければならない。緩衝作物は1mの高さでなければならず、 低4ヶ月間は存在しなければならない。この目的のために植え付けられる作物であっても銘柄指定さ

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れる。さらに、企業側の文書による許可がない限り、農民はいかなるメディアにも接してはなら

ず、プロジェクトに関するいかなる情報も与えてはならない。 契約はすべてのコストを農民に負担させて企業の利益を保護しており、農民の生産リスク、たと

えば栽培の失敗は補償せず、従来型のコットン/産品の自由市場価格に基づいて価格を決めてい

る。これは重大な問題であり、契約農業やパートナーシップの精神に反している。自由市場価格

の大幅な下落が起きる場合は、市場価格に大きなプレミアムをつけたからといって何ら農民の助

けにはならないないからである。そしてこれはインドでは珍しくないことである。したがって、

低契約価格を定めることは、プレミアムつき価格ではなく市場価格の変動に対するコットン栽

培農家の脆弱性緩和に必要不可欠である。 3.1.2 対応・イニシアチブ (1) 政府のイニシアチブ 児童労働(禁止および規制)法(Child Labour (Prohibition & Regulation) Act)が1986年にイン

ド政府によって制定された。この法律は危険を伴う特定職種および工程での児童の雇用を禁止し、

その他の職業における労働条件を規定するものである。 2003~04年と比較して、2006~07年にはアンドラプラデシュ州の一部の県で児童と成人労働者

の両方において賃金上昇が見られた(2003~04年以降20~30%上昇)。賃金上昇は主としてイ

ンド政府による「全国農村雇用保証制度」(National Rural Employment Guarantee Scheme、NREGS)の導入によるものであった。NREGSが準拠する「全国農村雇用保障法」(NREGA)は、2005年8月に施行されている。NREGAは、公共事業関連の単純作業に従事する意思がある

農村家庭の成人1人につき法定 低賃金で同一会計年度中に100日間の雇用の法的保証を提供す

るものである。同法は農村部の人々の購買力を高める目的で導入され、インド農村部の貧困ライ

ン以下で生活する人々に主に半熟練または未熟練労働を提供するととのみ、国内の貧富格差を埋

める試みでもある。 有機農業における品質保証を促進し確保するため、政府は、全国有機生産プログラム(NPOP)、

オーガニック製品国内基準(NSOP)、認証規則(Accreditation Regulations)など、多くの制

度・計画を策定してきた。 (2) NGO による支援 MV財団(M. Venkatarangaiya Foundation)などいくつかのNGOが行ってきた取組みを通じて国

際労働機関・児童労働撤廃国際計画(ILO-IPEC)やUNICEF、個々の種子会社がアンドラプラデ

シュ州で実施してきた特別プロジェクトは大きな反響があった。しかし、それらは対象地域が限

定されているため、これらの取組みがコットン種子業界全体の児童労働に対してもたらした影響

は非常に小さなものに終わっている。種子業界における児童労働問題への取組みに対する業界自

体の反応も、総じて肯定的なものとはなっていない。 UNICEFとILO-IPECはいずれもアンドラプラデシュ州のコットン種子農場における児童労働の問

題に注目してきた。2005年以降、UNICEFはIKEA、ILO-IPECは英国DFIDの支援を得て、アンド

ラプラデシュ州政府と共同で、同州でコットン種子生産が集中しているクルヌール(Kurnool)およびマハブーブナガル(Mahaboobnagar)県において児童労働問題に取り組む特別プロジェ

クトを実施してきた。UNICEFプロジェクトでは、クルヌール県の5つのブロック(mandal)、

すなわち、ゴネガンドラ(Gonegandla)、ナンダバラム(Nandavaram)、コシギ(Kosigi)、

マンスララヤム(Manthralayam)およびペダカドゥブール(Peddakadubur)の139カ村が対象

となった。UNICEFプロジェクトで行われた活動には、児童労働禁止に向けてのコミュニティの

動機付けと住民動員、公立学校における教育の改善、働いている子供たちのための短期補習授業、

補習支援センターの運営、子供たちの就学促進などが含まれる。

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さらに 近では、グジャラート州とラジャスタン州でいくつかのNGO、例えばDISHA、南ラジ

ャスタン・マズドゥール組合(South Rajasthan Mazdoor Union)などがグジャラート州のコッ

トン種子農場における児童労働の雇用に反対する積極的なキャンペーンを開始した。 オーガニックコットン栽培が行われている州には、有機農法のさまざまな側面(マーケティング、

児童労働、公正取引、品質保証)に関して農民、取引業者、輸出業者、マーケティング業者の能

力開発に取り組んでいるNGOがいくつかある。 (3) 大学および研究機関による支援 グワハティ(アッサム州)、バンガロール(カルナタカ州)、コインバトール(タミルナドゥ

州)およびヒサール(ハリヤナ州)の各農業大学は、少なくとも自然農法または有機農法に関す

る情報部門を持っていることで知られている。 近、インディラ・ガンジー国立公開大学

(Indira Gandhi National Open University、IGNOU)が、農業加工食品輸出開発庁(APEDA)と

共同で有機農法の認定に関する6ヶ月コースを発足させた。学生、進歩的な農家および認定担当

者向けのプログラムも利用可能になろう。 これらに加え、中央綿花研究所(CICR)、中央綿花技術研究所(CRICOT)等の研究機関も研

究開発活動に従事している。 3.1.3 ガバナンス改善のための戦略 オーガニックコットンのマーケティングには考慮すべき事項が多い。現地市場の規模、ニッチ市

場の開拓、有機織物市場の普及促進、警官隊、学校、陸軍、空軍、海軍、鉄道などの公共機関向

けの政府調達に対して適用される環境基準、織物生産におけるオーガニックコットンと従来型コ

ットンの混紡、環境に敏感な企業との協働、それにオーガニック製品製造に力を注いでいる現地

業界(インドの織物生産の20%を占め、ハンドメイドおよびカスタムメイドの織物のデザインを

扱える手織り業界など)との連携などである。 農業関連企業と小規模生産者とが有効に連携するために必要な主要条件としては、買い手独占に

陥らない市場の競争性の強化、農産物のための保証された市場、効果的な返済メカニズム、企業

と効果的に交渉するために農民が必要とする市場情報へのアクセス改善、農民のグループ化を通

じた取引量増と取引コストの引き下げ、域内の農業関連企業間の協力、企業向け原料の代替供給

源の確保などがある。 さらに、企業と農民のパートナーシップの持続可能性を確保するためには、企業がその製品を市

場で販売し、それによって農民が出荷先の不足に悩まされないようにすることが重要である。巧

みなマーケティング戦略よりもむしろその企業自身の評判を通じて農民との信頼関係を構築する

ことが不可欠である。そのためには、企業と農民とが相互を尊重し合うこと、公平で透明性のあ

る交渉プロセス、便益に関する現実的評価、長期契約、リスクの均等な負担、健全な事業計画な

どが求められる。加工サイクルの 終段階でのボーナス給付や、企業の株式の保有、配当金、生

産者価格の固定、高いパフォーマンスに対して高い報酬を適用するような品質ベースの価格付け

といった革新的な価格決定メカニズムが契約履行を助ける。 小規模生産者の市場参入は下記の条件次第であるといえる。

① 市場に関する理解 ② 企業または事業の組織化 ③ 通信および輸送リンク ④ 適切な政策環境

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商品チェーンにおける政府の役割に関しては、政府は世界規模の商品チェーンにおける機会と脅

威を特定するためにステークホルダーを積極的に支援することが考えられる。また、生産者の商

品チェーンへの参入を支援することもできる(Kaplinsky 2000)。 3.2 検査および認定 1. 認証 認証は、認定プログラムが正規機関の基準に従っていることを正規機関が評価し正式な認知を与

える手続きである。インド政府は、国内認定機関が存在しないことと外国に本拠地を置く認定機

関によって高い料金が課せられることから生じる問題を解決するため、インド独自の認定プログ

ラムの制定に着手している。インド政府が商工省を通じて実施している全国有機生産プログラム

(NPOP)に基づく国家認証政策に従い国内で認定業務を行っているすべての認定機関は、政府

が指定した4つの認証機関、すなわち、香辛料委員会、コーヒー委員会、紅茶委員会および

APEDAのいずれかから認証を取得しなければならない。 2. 認定 オーガニック製品の認定は、製品のマーケティングと国際市場でのプレミアム価格の確保のため

には必須の条件である。認定は「オーガニック」(有機)と申告される製品が実際に有機農法の

原則に従って生産されていることを保証する1つの方法である。それは生産者と取引業者を紛ら

わしいラベル表示や不正表示から保護する方法でもあり、生産者のオーガニック製品市場への参

入を可能にするとともにプレミアム価格を得るためのマーケティングの手段でもある。認定は、

農場レベルでの一次生産から消費者に届く 終製品までの各段階において、製品の流れを追跡し

管理するものである。 大ざっぱに言って、認定プロセスは以下の2つの手続きで構成されている。

① 検査(管理):生産と処理が認定基準に従って行われていることを立証すること ② 認定:生産と処理が基準に従っていることを確認すること

保管を義務付けられている文書としては、農地の地図、農地の利用履歴、活動記録、投入記録、

産出記録、収穫記録、貯蔵記録、販売記録、害虫駆除記録、行動記録、機器清掃記録およびラベ

リング記録などがある。輸出側が輸入国の認定機関による輸出認定を取得するのには慎重である

こともあり得る。そのような場合、輸出側にとっての利点はこれらの機関のロゴが消費者によく

知られて信頼されていることであり、したがって、製品の可視性を高め商業的利益をもたらす。 不利な点としては、このタイプの認定は非常に費用がかかることである。生産者と輸出業者の費

用負担を減らすため、国際認定機関は生産センターに支部の設置を開始しており、現地の有機製

品検査官のサービスが利用できるようにしている。Ecocert(エコサート)などの国際認定機関

は生産国に現地支部を設置している。有機認定は輸入国当局の認証を受けた現地認定機関によっ

ても実施可能である(インドで活動中の認定機関のリストについては本章末表20を参照のこと)。 3.3 インドにおける認定手続き

(1) 認証機関 NPOP の全国運営委員会(NSC)は下記の委員会/機関を認証機関として指定している。

− 農業加工食品輸出開発庁(APEDA) − コーヒー委員会 − 香辛料委員会 − 紅茶委員会

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− ココナッツ開発委員会 − カシューおよびココア開発理事会

(2) 評価機関 評価機関は認証機関によって指定され、認証機関の職員または外部の専門家で構成される。評価

機関は検査・認定機関からの認定プログラムに関する申請を接到し審査を行う。評価機関は、特

定の検査・認定機関の認証を検討するための評価報告書を推薦状を添えて認定機関に提出する。 (3) 検査および認定機関 評価機関の推薦状に基づいて、適切な検査・認定機関が認証機関によって認証される。検査官は

認証を受けたこれらの検査・認定機関によって指名される。検査官は土地の検査を実施し、指定

の書式に従って記録を保持するとともに、定期的な現場視察も行う。認証を受けたこれらの検

査・認定機関は、基準とプログラムに従い、オーガニックのステータス、または対象製品および

対象事業をオーガニック認定する。認定にあたっては、提言事項を添えてオーガニック認定のた

めの条件を示す。 (4) インドにおける検査および認定プロセス 有機検査および認定プロセスを受ける者は以下の手順に従う。 ① 認証を受けた検査・認定機関を選択する。 ② 機関の選択は輸出業者および輸出国の受容可能性とその国が定める基準ならびにその機関

の対象農場までの距離、検査および認定費用見積りなどの要素に基づいて行う。 ③ 検査および認定費用を決定するための農場/施設の規模、施設の所在地、会社の活動等に関

する予備情報を詳述した申請書を提出する。申請書に基づいて、検査および認定費用が決

定され、それに関する契約が生産者と検査・認定機関の間で結ばれる。 ④ 検査・認定機関は、生産者から提供された情報に基づいて、相互に都合の良い日時に農場

検査を実施する。検査の内容は以下の通り: o 生産責任者とのインタビュー o 農地、施設、加工設備、貯蔵場所等の物理的検査 o 書類事務、帳簿記載等の検査 o 残留物分析試験は検査官がその必要があると判断する場合に実施する。

⑤ 必要な検査の実施後、検査・認定機関は検査報告書と試験報告書(実施した場合)を作成

する。報告書の内容に基づいて、検査・認定機関は認定を付与するか否かを決定する。 ⑥ 認定が付与されない場合は、検査・認定機関は却下の理由を示す。事業の一定部分のみ認

定する場合、検査・認定機関は、生産者に認定を受けることができなかった残りの事業に

ついて何らかの勧告を行い、事業の一定部分に限り認定を与える。 ⑦ 検査・認定機関は、正式認定後、認定の要件が満たされているか判断するための検査を毎

年行う。 NPOP による認定のための承認済みの基準料金を次頁表 19 に示す。

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表 19:承認済み認定料金の 高額一覧 Object of control Details Fees (Rs.)

Small Farmers and Co-operatives

Travel and Inspection Report preparation Certification

12000/- per day 5000/- (consolidated) 5000/- per certificate

Small Farmers and Cottage Industry

Travel and Inspection Report preparation Certification

12000/- per day 5000/- (consolidated) 5000/- per certificate

Estate Manufactures and Exporters

Travel and Inspection Report preparation Certification

19200/- per day 5000/- (consolidated) 5000/- per certificate

Large and Medium Sized Processors

Travel and Inspection Report preparation Certification

16800/- per day 5000/- (consolidated) 5000/- per certificate

出所:インド政府商工省、APEDA (5) インドの主要な検査・認定機関 表 20 に主要な国際検査・認定機関を示す。これらは既にインドのほとんどの認証機関の承認を受

けている。 参考資料:

• APEDA, Ministry of Commerce & Industry, Govt. of India. • Sukhpal Singh, Organic Cotton Supply Chains and Small Producers Governance,

Participation and Strategies, seventh international conference on management in agriFood chains and networks, June 1- 2 , 2006, Ede, The Netherlands.

• Susan Haffmans, 2007, Child labour in cotton production, (http://www.pan-germany.org/newsletter/deu/news.html?id=574)

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Country Profile on Organic Cotton Production in India

表 20:NPOPに基づく認証取得済み認定機関のリスト (全国有機生産プログラム)

Sr. No

Name of the Certification

Agency

Contact Address Accreditation No.

Validity of Current

Accreditation

Scope of Accreditation

Certification Mark

1 Bureau Veritas Certification India Pvt. Ltd. (Formerly known as BVQI (India) Pvt. Ltd.)

Marwah Centre, 6th Floor Opp. Ansa Industrial Estate Krishanlal Marwah Marg Off Saki-Vihar Road Andheri (East), Mumbai-400 072 (Maharashtra) Phone No.: 022-66956300, 56956311 Fax No. 022-66956302 / 10 Email: [email protected]

NPOP/NAB/ 001

14-09-2009 NPOP

USDA NOP

2 ECOCERT India

Pvt. Ltd Sector-3, S-6/3 & 4, Gut No. 102, Hindustan Awas Ltd. Walmi-Waluj Road Nakshatrawadi Aurangabad – 431 002 (Maharashtra) Phone No.: 0240-2377120, 2376949 Fax No.: 0240-2376866 Email: [email protected]

NPOP/NAB/ 002

22-08-2008 (Extended till next

NAB meeting)

NPOP

USDA NOP

3 IMO Control Pvt. Ltd.

No. 3627, 1st Floor, 7th Cross, 13th ‘ G ’ Main, H.A.L. 2nd Stage, Bangalore-560 008. Tel: 0091-80-25285883, 25201546 and 25215780 Fax: 0091-80-25272185 Email: [email protected] Web: www.imo.ch

NPOP/NAB/ 003

27-09-2010 NPOP

USDA NOP

4 Indian Organic Certification Agency (INDOCERT)

Thottumugham P.O. Aluva-683 105, Cochin, (Kerala) Telefax:0484-2630908-09/2620943 Email: [email protected]

NPOP/NAB/ 004

24-10-2008 (Extended till next

NAB meeting)

NPOP

USDA NOP

63

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64

Country Profile on Organic Cotton Production in India

Sr. No

Name of the Certification

Agency

Contact Address Accreditation No.

Validity of Current

Accreditation

Scope of Accreditation

Certification Mark

5 Lacon Quality Certification Pvt. Ltd.

Chenathra, Theepany, Thiruvalla - 689 101., (Kerala) Telephone: 0469 2606447 Fax: 0469 2631902 Email: [email protected] Web : www.laconindia.com

NPOP/NAB/ 006

31-09-2008 (Extended till next

NAB meeting)

NPOP

USDA NOP

6 Natural Organic Certification Agency (NOCA)

Chhatrapati House Ground Floor Near P. N. Gadgil Showroom Pune-411 038, (Maharashtra) Tel.: 020-25457869, 56218063 Fax: 020-2539-0096 Email: [email protected], [email protected], [email protected]

NPOP/NAB/ 007

23-05-2009 NPOP

USDA NOP

7 OneCert Asia Agri Certification Pvt. Ltd.

Plot No. 8, Pratap Nagar Colony (Near glass factory and Gopalpura bypass), Tonk Road, Jaipur - 302017 (Rajasthan) Telefax No: - 0141-2701882 Email: [email protected]

NPOP/NAB/ 008

26-10-2009 NPOP

USDA NOP

8 SGS India Pvt. Ltd. 250 Udyog Vihar Phase – IV, Gurgaon – 122 015 (Haryana) Phone No.: +91 124-2399990 Mobile No: +91 9871794640 Fax No.: +91 124-2399764 Email: [email protected]

NPOP/NAB/ 009

01-05-2011 NPOP

USDA NOP

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65

Country Profile on Organic Cotton Production in India

Sr. No

Name of the Certification

Agency

Contact Address Accreditation No.

Validity of Current

Accreditation

Scope of Accreditation

Certification Mark

9 Control Union Certifications (Formerly known as Skal International (India))

“Summer Ville” 8th Floor 33rd – 14th Road Junction Off Linking Road, Khar (West) Mumbai –400052 (Maharasthra) Phone 022-67255396/97/98/99 Fax 022-67255394/95 Email: [email protected] [email protected] [email protected]

NPOP/NAB/ 0010

28-05-2008 (Extended till next

NAB meeting)

NPOP

USDA NOP

10 Uttarakhand State Organic Certification Agency (USOCA)

12/II Vasant Vihar Dehradun-248 006, (Uttarakhand) Phone No.: 0135-2760861 Fax: 0135-2760734 Email: [email protected]

NPOP/NAB/ 0011

13-11-2009 NPOP

USDA NOP

11 APOF Organic

Certification Agency (AOCA)

141 / 7, 1st floor, Munireddypalya, J.C. Nagar, Opp : Fun world, Bangalore – 560006 Phone No:080-23537888/65369888 Email: [email protected] Web-site:www.aoca.in

NPOP/NAB/ 0012

09-01-2010 NPOP

12 Rajasthan Organic

Certification Agency (ROCA)

3rd Floor, Pant Krishi Bhawan, Janpath, Jaipur 302 005 (Rajasthan) Phone No: 0141-2227104, Tele Fax: 0141-2227456 Email: [email protected]

NPOP/NAB/ 0013

09-10-2010 NPOP

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Country Profile on Organic Cotton Production in India

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Sr. No

Name of the Certification

Agency

Contact Address Accreditation No.

Validity of Current

Accreditation

Scope of Accreditation

Certification Mark

13 Vedic Organic Certification Agency

Plot No. 55, Ushodaya Enclave, Mythrinagar, Miyanagar, Hyderabad – 500 050 Mob.: 9290450666, Tele.:040-65276784, Fax: 040-23045338e.mail :[email protected]

NPOP/NAB/ 0014

30-09-2011 NPOP

14 ISCOP (Indian Society for Certification of Organic Products)

Rasi building, 162/163, Ponnaiyarajapuram Coimbatore – 641 001 Tamil Nadu Mob. No.: 94432 43119 Ph. No.:0422-2544199; 0422-6586060 Web site: iscoporganiccertification.com E-mail: [email protected]; [email protected]

NPOP/NAB/ 0015

30-11-2011 NPOP

15 Food Cert India Pvt. Ltd

Quality House: H. No. 8- 2- 601/P/6, Road No. 10, Banjara Hills, Panchavati Colony, Hyderabad – 500 034 Tel : 91- 40-23301618, 23301554, 23301582 Fax: 91-40-23301583

NPOP/NAB/ 0016

30-09-2011 NPOP

16 Aditi Organic

Certifications Pvt. Ltd

No. 305, 1st floor, 6th Main, Mahalakshmi layout, Bangalore – 560 086 Ph. No.: 080-32537879

NPOP/NAB/ 0017

30-09-2011 NPOP

出所:APEDA

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3.4 紡織工場

表 21:オーガニックコットン・ベースの製品製造に従事する紡織工場の詳細連絡先

Sl. No. Cotton Mill State Address 1 Asarwa Mills

Gujarat Asarwa Road,

Ahmedabad - 380016, Gujarat, India 2 Satya Cotton Mills

Andhra Pradesh D.N.4-15-110/16, Postal Colony, 3rd

Lane, Amaravathi Road, Guntur, Andhra Pradesh

3 Manjeet Cotton Pvt.Ltd

Maharashtra 318, Opp. Hotel President Park, N-3, Cidco, Aurangabad - 431003, Maharashtra, India

4 P. Govinda Rao Cotton & Yarn Indenting Agents

Tamil Nadu Aishwarya Complex, Flat No. 34, 3rd Floor, 196, Thiru Venkatasamy Road (West), R.S. Puram, Coimbatore - 641002, Tamil Nadu, India

5 Sri Anantha Lakshmi Spinning Mills (P) Ltd.

Andhra Pradesh Boyapalem Edalapadu Mandali, Chilakaluripet, Guntur - 522233, Andhra Pradesh, India

6 Yash Polytex

Maharashtra 14, Rayfreda, M.C. Road, Andheri (East), Mumbai - 400093, Maharashtra, India

7 Orgofab Exim

Gujarat 218, Vanijya Bhawan, Near Kankariya Yard, Ahmedabad - 380022, Gujarat, India

8 Sunrisethangam Spinning Mills Pvt. Ltd.

Karnataka #98, 5th Main Road, Sriramapuram, Sunrise Arunachalam Circle, Bangalore - 560021, Karnataka, India

9 Unitech Cotspin Limited

Gujarat At. Village Himatpur, Himatnagar - Idar State Highway, Dist-Sabarkantha, Himatnagar - 383001, Gujarat, India

10 Vive Impex

Tamil Nadu C-229, Cheran Colony, Thudiyalur, Coimbatore - 641034, Tamil Nadu, India

11 Rajvir Industries Ltd.

Andhra Pradesh Surya Towers, 1st Floor, 105, Sardar Patel Road, Secunderabad - 500003, Andhra Pradesh, India

12 Silver Enterprises Delhi 878/A/3, S.P. Mukherjee Marg, Shyam Market, Delhi - 110006, India

13 Garex Fashions Pvt. Ltd.

Maharashtra Plot No. O-2, Cama Mun. Indl. Est., Walbhat Road, Goregaon (E), Mumbai - 400063, Maharashtra, India

14 Cotton Tradelink Gujarat 801, Shiti Ratna Complex, Opp. Panchwati Appts., Panchwati Circle, C.G. Road, Ahmedabad - 380006, Gujarat, India

15 Singhal Spintex

Uttar Pradesh A-22, Partapur Industrial Area, Udyog Puram, Meerut - 220001, Uttar Pradesh, India

16 International Fashion Fabrics

West Bengal 6/25, Nilmoni Halder Lane, Kolkata - 700013, West Bengal, India

67

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第4章 実施済みおよび現在実施中のプロジェクトとその教訓 4.1 実施済みプロジェクト

(1) グジャラート州アグロセル・オーガニックコットン栽培プロジェクト(2001~2004 年) 概要 アグロセル・インダストリーズ社(Agrocel Industries, Ltd.)は、シュロフグループ(Shroff Group)とグジャラート・アグロインダストリーズ社(Gujarat Agro Industries Corp.)の合弁会

社で、グジャラート州クッチ県に本拠地を置く。同社は、18 のサービス・センターを通じて全

国 20,000 の農場と連携し、農業情報、技術支援、マーケティング支援のほか、オーガニック栽

培と従来型栽培の両方について研修を行っている。これらの活動の実施過程で、アグロセル社は

クッチ県とスレンドラナガル県の小農地しか所有していないコットン栽培農家の苦境を憂慮する

ようになった。そこで、同社は両県でオーガニックコットン栽培を促進するプロジェクトを計画

し、製造、加工およびマーケティング、ならびに英国シェル財団(Shell Foundation U.K.)のプ

ロジェクト活動助成資金確保のため、英ヴェリコット社(Vericott U.K.)および英トレイドクラ

フト・エクスチェンジ社(Traidcraft Exchange U.K)と提携した。 目的 「Straight From the Cotton Fields(コットン畑でつくられたばかり)」と銘打たれたこのプロジ

ェクトでは、農家の破産、農村から都会への人口移動、土壌と水質の劣化、害虫の攻撃に対する

作物の脆弱性、小農地所有農家が経済的にも環境的にも社会的にも持続可能な生活を創造できる

市場参入の問題に取り組むことが狙いである。プロジェクトの目的は、公平に取引されるオーガ

ニックコットンに市場を拓き、より垂直的なサプライチェーンを創出することであった。消費者

が現場の生産者と直接的に交流できる、透明かつ世界的なサプライチェーンを構築することを目

指していた。 出資者 Agrocel、Shell Foundation、Traidcraft、Vericott Ltd 成果 (プログラムに採用された 620 の農家の中で)調査対象となった 59 の参加農家のうち、90%は

負債を軽減させ、98%は経済的苦境の軽減を経験し、58%は都市への人口移動の停止を見届けた。

100%が有機栽培の採用により家族の病気の発生率が減少したことによるものと考えられる。プ

ロジェクトは有機基準の確立、SKAL からの有機認定の確保、Agrocel ブランドの登録、Agrocelウェブサイトの発足にも成功している。このプロジェクトは、好成績を収めて、当初予定の期間

内に完了した。 (2) 地下水利用のオーガニックコットン栽培-マディアプラデシュ州マイカールプロジェクト 概要 1991 年に、スイスの織物業者の Remei AG とインドの紡織会社の Maikaal Fibres(India)Ltd.は、

マディアプラデシュ州で Maikaal bioRe オーガニックコットン・プロジェクトに着手した。コッ

トン生産者が借金をしないですむ方法を見出し持続可能な生活を確保するのを支援する非商業的

実験として開始されたこのプロジェクトは、その間、社会的責任とエコロジーを経済的利益に結

び付ける事業に発展した。プロジェクトの実施地域は、ナルマダ川の両岸に広がるインド中部の

マディアプラデシュ州ニマール盆地(Nimar Valley)に位置している。この地域は中央インドの

コットン・ベルトの一部であり、数十の紡織工場が存在する。このプロジェクトはカールゴン

(Khargone)県とバドワニ(Badwani)県の 75 の村で実施された。

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Country Profile on Organic Cotton Production in India

目的 有機生産法の社会的、経済的、生態学的影響と、コットン生産における低点滴灌漑を評

価、分析すること これらのアプローチの普及のメカニズムに関する識見を得ること 生産システムを改善し拡張作業を促進するツール(訓練マニュアルやツールキット)を

開発すること 活動

マイカール地域の農場の社会経済的写真の撮影 農業パラメーターのモニタリングと分析 普及プロセスの分析 技術の改善と普及用ツール(訓練マニュアルやツールキット)の開発

出資者 スイス開発協力庁(DEZA) パートナー

有機農業研究所(FiBL)(スイス・フリック市) 国際水管理研究所(IWMI) Maikaal bioRe

成果

開発技術の向上に成功。 小農地所有農家の認定のための指針を提供。 「オーガニックコットン栽培ガイド-熱帯地方における実践者のためのマニュアル」

(Organic Cotton Crop Guide – A manual for practitioners in the tropics)が研究プロジェ

クト「地下水利用のオーガニックコットンの栽培 - Maikaal bioRe プロジェクトからの

課題」(Growing Organic Cotton under Groundwater Stress; Lessons from the Maikaal bioRe Project)(2002~2005 年)の一部として制作された。

このプロジェクトは 2005 年に成功裏に完了した。 (3) ケーススタディ「オーガニックコットン栽培の小農地所有農家の生活に対する影響」・・・

(Maikaal bioRe プロジェクト) オーガニックコットン栽培への転換が農家の生活に対してどのような影響を与えたのかを確認し、

こうした転換が社会的に実現可能性なものなのかどうかを判断するため、スイス開発協力庁

(SDC)と世界自然保護基金(WWF)は、スイスの有機農業研究所(FiBL)に Maikaal bioReプロジェクトでのオーガニックコットン栽培に関する調査研究の実施を委託した。 この調査は、Maikaal bioRe オーガニックコットン・プロジェクトにおけるオーガニックコット

ン栽培への転換が小農地所有農家の生活にどのような影響を与えたのかを評価するものであった。

その目的のため、調査では、農家の統計データ、材料および財政的投入/成果、有機農場と従来

型農場の土壌パラメーターを 2 回の作付期間(2003~2005 年)にわたって比較している。 結果は、有機農場では栄養素投入量は相当少ないが従来型農場と同等のコットン収穫量を達成で

きることを示している。生産コストが低いこと、及び有機製品には 20%の価格プレミアムがつ

くことから、コットンからの粗利益は従来型システムに比べて大幅に高い。コットンと輪作で栽

培された作物が有機製品のプレミアム価格なしで販売される場合も、有機農場の利益は従来型農

場の場合よりも高くなる。ほとんどの有機栽培農家の認識として、土壌の肥沃度は転換後大幅に

改善したという。ただし、有機栽培のコットン畑と従来型栽培のコットン畑からの土壌サンプル

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Country Profile on Organic Cotton Production in India

による土壌肥沃度の分析では、有機物含有量と保水率についてはわずかな違いしかないことを示

している。 この研究は、オーガニックコットン栽培は熱帯地方において小農地所有農家の収入を改善し脆弱

性を軽減するのに実現可能な選択肢であることを示している。この潜在的可能性を利用するには、

農家が有機農法システムへの転換の障害を克服できるようにする適切なアプローチを見出すこと

が重要である。 「オーガニックコットン栽培ガイド-熱帯地方における実践者のためのマニュアル」(Organic Cotton Crop Guide – A manual for practitioners in the tropics)が研究プロジェクトの一環として

開発された。このマニュアルに掲載された情報は Maikaal biioRe 普及チームの広範囲にわたる経

験とノウハウに基づくものである。これは文献やインターネットから入手可能なインドとアフリ

カにおける他のコットン栽培プロジェクトの経験によっても補完されている。このマニュアルは

熱帯地方の小農地所有農場でオーガニックコットン生産に従事する農家と補助労働者に有用な情

報と指針を提供する。 4.2 現在実施中のプロジェクト

(1) チェトナ・オーガニック FT コットン・サプライチェーン支援プロジェクト

(Chetna Organic & FT Cotton Supply Chain Intervention Project) 背景 このプログラムは、アンドラプラデシュ州、マハラシュトラ州、オリッサ州の 9 の天水利用県で

実施中の、外部からの投入に対する依存度が高い従来型農法から依存度が低い有機農法への転換

を支援するもので、自然環境の安全性を均衡させることが目的である。チェトナ・オーガニック

農業機関(COFA)は、このプロジェクトのために有機・公正取引認定証を保有している。その

すべての投入・産出に関する詳細な文書化と追跡調査手続きを規定する内部統制システムが維持

運営されている。農民は、認定基準を満たすのに必要な品質管理のあらゆる側面について、広範

な研修を受けている。 播種段階初期から汚染のないポストハーベスト管理までの技術知識が農場コミュニティで共有さ

れる。品種を開発し栽培コストを減らすための種子の研究に特に重点が置かれているが、これは

種子品種の均質化によって市場の要求を満たすためだけではなく、現地の条件に合わせた作付け

の多様化に向けた取組みと見ることができる。 目的 このプロジェクトは、社会技術的普及サービスおよび共同マーケティングを通じてインドの天水

利用地域の小農地所有コットン栽培農家の生計向上のための選択肢を増やすことを目的としてい

る。 主な活動 社会技術的普及、制度構築(SHGs/組合組織)訓練、認証、マーケティング 出資者 オランダ政府、Solidaridad および ICCO パートナー 総合開発フォーラム(FFID)、チェトナ・オーガニック農業機関(COFA) 地元パートナー

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Country Profile on Organic Cotton Production in India

VISION、VIKAS GANGA 他の NGOs 、 7 つの農業協同組合 プロジェクト実施地域 アンドラプラデシュ州アディラバード県、カリムナガール県(テレンガナ地方北部) マハラシュトラ州ヴィダルバ- ヤバトマール県、アコラ県、アムラバティ県、ワシム県 オリッサ州カラハンディ県、ボランギール県、ヌアパダ県 受益者 小農地所有綿花栽培農家(農地が 3 ha 以下) 成果

① COFA が 2007 年に登録された。 ② チェトナ生産者法人(Chetna Producers Company、CPC)が 2009 年に設立された。 ③ チェトナの農家は生産者レベルの小規模農業組織(SFO)/フェアトレード・ラベル組

織(FLO)認定である有機・公正取引認定を受けた。 ④ チェトナのコットンを購入する衣服製造/織物パートナー(ラジャラクシミ・コット

ン・ミルズ社(Rajlakshmi Cotton Mills Pvt. Ltd., RCML))も中間製品レベルでソーシ

ャル・アカウンタビリティ規格 8000(SA 8000)の認定を受けている。 ⑤ 終製品は持続可能性な衣服に関する「Made-By」ラベルと関係構築され、Jackpot の

ような「Made-By」と関係のある小売ブランド、たとえば、「Jackpot-End」ラベル表示

で 終消費者に販売されている。 現状 チェトナは全国農業農村開発銀行(NABARD)及び印独流域開発計画(IGWDP)の支援を受け

て、アディラバード県の部族地域にあるチェトナ・プロジェクト事業地域の 6 つの村で流域管理

プログラムを実施している。その目的は流域開発を通じてそれらの村のコットン栽培農家会員を

支援し、それらの農家の生産性を強化することである。

表 22:チェトナ・プロジェクトの参加人数 Sl. No

State Number of

Villages

Groups Farmers Total organic

Land (Ac)

Total cotton

acres (Ac)1 Andhra Pradesh 112 143 1476 8356.64 4340.7 2 Maharashtra 103 185 2061 11793.44 3626.81 3 Orissa 50 124 1594 6307.03 3010.24

Total 265 452 5131 26457.11 10977.75 プロジェクトの展開

家畜・農地インフラ開発プロジェクト マディアプラデシュ州へのチェトナ・プロジェクトの拡大 無農薬管理(NPM)ラベル表示イニシアチブ 全国農村雇用保証(National Rural Employment Guarantee、NREGA)ネットワーク インド・ブラジル・南アフリカ知識交換プロジェクト(IBSA)

教訓

オーガニックコットン栽培は時間と人的資源開発に関する投資を必要とするが、それは

一夜にしてできることではない。 公正な価格は重要な要素である。 Bt は重要課題である。

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Country Profile on Organic Cotton Production in India

アンケート調査 本調査では、オーガニックコットン生産やそのサプライチェーン・システムの現在の傾向と実践

状況を把握するため、コンサルタントがオーガニックコットン生産にかかわるさまざまなステー

クホルダーの認識を知るアンケート調査を実施した。オーガニックコットン関連の問題に関する

情報を得るため、インドでオーガニックコットンにかかわるさまざまな関係者やステークホルダ

ー(NGO、CSO、資金拠出機関、実施機関等)に質問表を送付した。 本プロジェクトを対象として行った調査の結果わかったことは以下の通りである。このプロジェ

クトは、アンドラプラデシュ、マハラシュトラおよびオリッサの 3 州で開始された。このプロジ

ェクトでは、有機農法のために生産者を所有者とする協同生産農業(Cooperative Farming)モ

デルが採用された。 - 総農地面積の 41%(10,910.63 エーカー)でオーガニックコットン生産が行われている。 - 域内農家は、平均 5 年以上、オーガニックコットン栽培を実践している。 - オーガニックコットンは域内農家が栽培する主要作物となっている。農家はコットン以外に大

豆も有機栽培している(ヴィダルバ県のチェトナ農家の約 50%が大豆を栽培)。 - 農家が有機農法に切り替える理由は、政府の補助金があることや利益率が高いということだけ

ではなく、環境や健康上の懸念もある。勿論、オーガニックコットンへの切り替えの選択は農

家によって異なる場合がある。 - 地域の大部分の農家にとってオーガニックコットンは生計向上のための選択肢となっている。 - 農家の約 50~80%がオーガニックコットン栽培のために借入れを行っている。 - 平均借入額は 10,000~20,000 ルピーであり、返済期間は 6~8 ヶ月で利率は 5~10%である。 - ほとんどの農家が政府機関または銀行から融資を受けているが、共通利害グループとして組織

されていないほとんどの従来型農家は貸金業者から借りている。 - 大多数の農家はコットンライフサイクルのうち 3 回の頻度で摘み取りを行っている。 - この地域では外部灌漑水源を利用している農家は非常に少ない。 - 農家は(天水栽培ではない場合)灌漑目的でスプリンクラー、井戸および管井戸を使用してお

り、灌漑頻度は 1 日 3 回以上である。 - ほとんどの農家は適切な貯蔵施設を所有している。 - この地域では、大多数の農家は多毛作を行っている。それがより経済的なためである。コット

ンの間の多毛作に使用される作物は、小麦、米(雨期)およびキマメ、大豆、トウモロコシ

(乾期)などである。 - オーガニックコットン栽培用の農地に 1ha あたり 2~4 トン(平均)の有機肥料が施されてい

る。 - 農家はオーガニックコットン栽培には化学肥料を使って栽培するコットンよりも多くの水が必

要であると感じている。 - 農家が購入する肥料の相場:1 台のトラクターが運ぶ堆肥は約 400~500 ルピー(3~3.5 ト

ン)になる。牛糞、ミミズ堆肥、作物残渣は自家生成となり、農家ですべて入手可能である。

農家がお金を使うのは害獣堆肥(vermin compost)の購入に限られる。農家は 1kg あたり 1ルピー(輸送費を含む)の料金で鶏糞を購入している。

- 必要労働量:コットンそのものは労働集約型の作物である。小農地所有農家であっても、シー

ズン中は数名の外部労働力を必要とする。1 回の栽培サイクルでエーカーあたり 35~50 人日

が必要である。労働力は 1 人 1 日あたり 100~150 ルピーの賃金で傭上されている。 生産 - オーガニックコットン栽培総面積は 10,911 エーカーで、単位面積あたりの収穫量は 2.0~2.5

キンタルである。 - 販売:約 10,000 キンタルのオーガニックコットンが 3,350 ルピーで販売されている。 - 約 7,000 キンタルが農家から政府機関(CCI)に販売された。この販売過程では、チェトナは

販売を促進し、農家は予定通りに金銭を受け取った。

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- 輸送コスト:1 キンタルあたり 30~100 ルピーだが、この費用は契約綿繰り工場からの距離

によって異なる。 (2) プラティーバ・シンテクスによるヴァスーダ・プロジェクト 概要 ヴァスーダ(Vasudha)とはヒンディー語で大地(The Earth)のことである。プロジェクトの

ルーツは、マディアプラデシュ州インドール市から約 80 km のところにあるカーリ(Karhi)村

である。1998~99 年からオーガニックコットン事業を行っているプラティーバ・シンテクス社

(Pratibha Syntex)のヴァスーダ・プロジェクトは、クリーンで環境にやさしいコットン生産を

意図したもので、混入を避けるため専用の綿繰り工場と農家レベルでの別の貯蔵場所を備えた個

別のサプライチェーンがある。プラティーバ・シンテクスの有機農法プロジェクトは原材料のコ

ットン生産から衣服製造までを完全に垂直方向で統一したサプライチェーンである。 プロジェクトは開始以来既に数倍に成長している。プロジェクトが始まった 1998 年には、

10,000 戸の農家が参加し、対象農地面積は 6,000 エーカーであった。現在では、参加農家は

28,000 戸、農地面積は合計 125,000 エーカーと、インド 大の有機農法プロジェクトとなって

いる。農学者、技術コンサルタント、普及監督官などの専門家が定期的に栽培活動を監視し、完

全な廃棄物管理、リサイクルおよびよりよい農法の採用を指導している。かれらは天然肥料の準

備、人間と動物の健康管理および害虫管理に関する農民向け研修も実施している。 プロジェクトの栽培農家はオランダの SKAL International によって認定を受けており、エーカー

あたりの集団認定費用は 80~100 ルピーである。プラティーバ・シンテクス社は独自の内部統

制システムを持っており、その生産は、NOP(米国)、IFOAM(欧州)、土壌協会(英国)、

Oeko Tex 100、WRAP、SA8000 および IMO Switzerland などの基準を満たしている。 農家は、栽培者として有機農法プロジェクトに参加するために、同社に有機生産へ転換するコッ

トン作付面積と有機肥料の入手可能性を記述した申請書を提出しなければならない。その後、年

間契約の栽培協定が同社と栽培者と結ばれる。農家は有機産品の品質に関する研修と技術指導も

提供される。 目的 ヴァスーダ・プロジェクトを通じて、プラティーバ社は汚染のない世界、生態学的バランスを回

復し、土壌肥沃度と保水能力を改善し、世界をより緑で安全にすることを目指している。また農

家の生活水準の改善も約束している。 プロジェクト実施地域 マディアプラデシュ州インドール グジャラート州スーラト 成果 現在、28,000 の農家と合計 125,000 エーカーの農地により、インド 大の有機農法プロジェク

トとなっている。

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Country Profile on Organic Cotton Production in India

表 23:インドにおけるオーガニックコットン・プロジェクト(2008 年時点)

出所:International Competence Center for Organic Agriculture(国際有機農業能力開発センター)

参考資料:

• Action For Agricultural Renewal in Maharashtra, www.afarm.org • Agrocel Industries Ltd., Mumbai, www.agrocel.co.in • Chetna Organic Farmers Association ,www.chetnaorganic.org.in • Eyhorn, Frank; Mäder, Paul and Ramakrishnan, Mahesh (2005) , ‘Impact of Organic

Cotton Farming on the Livelihoods of Smallholders’ • International Competence Center for Organic Agriculture, www.iccoa.org • Solidaridad, www.solidaridad.nl • www.pratibhasyntex.com

Sl. No.

Organization States / UT Contact Person

E-mail Telephone

1 Agrocel Mandvi

Gujarat Dr. CS Pawar [email protected] [email protected] [email protected]

040-23733028, 27813273

2 Prathibha Syntex Ltd Pithampur

Madhya Pradesh

Nina Abhyankar

[email protected] 07292-504362-64

3 Maikaal bioRe India Ltd. Mhow,

Madhya Pradesh

Rajeev Baruah

[email protected] 07324-272714

4 Eco Farms Pvt. Ltd. Yavatmal

Maharashtra Omprakash Mor

[email protected] 07232-242222

5 VOFA Yavatmal,

Maharashtra Ram Kalashpurkar

[email protected] 07232-243999

6 OCGrA

Andhra Pradesh

Arun Ambatipudi

[email protected] [email protected]

040-23511083

7 Mahima Organic Technology

Madhya Pradesh

Rohit Doshi [email protected] 0731-521021

8 Amit Green Acre Pvt. Ltd

Gujarat B.J. Joshi [email protected] 0231-2676106/08/10

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第5章 オーガニックコットン生産に関する先行研究のレビュー 5.1 農法 過去にはBiswas他(1971)、 近ではKanwar-Prihar(1992)が、農場構内肥料(FYM)の継続

的使用によって、土壌内の有機体炭素と窒素の含有量が増加したとの研究結果を報告している。

Yadav(1995)も、圧縮土壌を適用することで有機体炭素の含有量が増加するとの報告を行って

いる。 中央綿花研究所(CICR)の T.P. Rajendran(2004)は、有機農法を採用することで生産性の損

失はないと結論づけた。逆に、有機農法は生産性を高め、生産コストを引き下げ、労働集約的で

農村の雇用を増やす機会を提供するという。ただし、この農法の採用には課題もある。科学的根

拠に基づく解釈、パッケージの立案とその実践、有機産品のためのポストハーベスト技術、その

投入物の品質、消費者の意識啓蒙、投入物と産品に関する基準の制定、農場、産品および工程に

関する認定制度などが必要になる。 「オーガニックコットン栽培における害虫駆除」(Pest control in organic cotton)と題した

CICR の T. Surulivelu(2004)の研究によれば、抵抗力があり耐性がある品種と作付時期の選択

が、コットンの木が害虫の攻撃に耐えるのを助け、あるいは害虫の逃亡を促すという。LRA 5166、Surabhi および Sumangala(それぞれコットン品種)は吸汁害虫に耐性があり、Supriya、Kanchana および LPS 141 はコナジラミに対する抵抗力がある。Abhadita という品種はワタキバ

ガの幼虫に耐性がある。適切な時期に隣接ブロックでの同期播種することで、特に茎ゾウムシや

ワタキバガの幼虫などのやっかいな害虫の問題を減少させることになるとみている。 Azospirillum(アゾスピリルム属エンドファイト細菌)は実綿の収穫量の増加と乾物生産の改善

にプラスの反応があることが報告されている(Marappan-Narayanan 1993)。Azospirillumを適

用することで、1ha当たり430 kgの収穫増が達成させた。さらに、Azospirillumの残留効果は収穫

量と個体数に対してともにプラスの影響があることも判明している。アゾトバクター

(Azotobacter)の使用は品種とひずみ効率によって異なるがコットンの収穫量を強化する。

Pandey-Kumar(1989)はアゾトバクターの植菌によって収穫量が7~28%増加したと報告して

いる。 化学物質への依存に伴うコットン栽培コストの急増は、生物薬剤やバイオ殺虫剤といった害虫駆

除の代替手段探求への関心を刺激した。ナグプールのCICRで行われた多毛品種LRA-5166を使っ

た研究の成果は、有機農法が化学農法に比べて相対的に有利であることを実証している。 初の

数年は、有機農場は非有機農場よりも収穫量が少ないが、2、3年栽培を続けた後は状況が逆転す

る。その後の数年間で有機農場の土壌は炭素とリンがより豊富になることも報告されている。結

果は多毛性の交配種(hirsutum hybrid)についても同様であった(表24)。

表 24:品種 LRA 5166 のオーガニックコットン栽培による収穫量(キンタル/ha) Sl. No. Year Organic Non-Organic

1 1993-94 4.64 11.59 2 1994-95 5.30 6.52 3 1995-96 8.49 6.51 4 1996-97 8.98 6.223

出所:Sudripta Roy;織物省、2006年

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5.2 繊維の品質 近年、オーガニックコットンの繊維特性に関する試験的研究が南インド繊維研究協会(South India Textile Research Association、SITRA)によって実施された。この研究では、有機 ELS コ

ットンと通常 ELS コットンの繊維糸の品質が比較された。この研究に採用されたオーガニック

コットンと通常コットンの品質特性に大きな違いはない。ただし、オーガニックコットンの成熟

レベルは通常コットン(成熟繊維:55~60%)と比較して高かった(成熟繊維:70~75%)。こ

の研究では、牛またはヒツジの糞をベースとする肥料と追肥は繊維の成熟に有益な効果があると

立証されている。したがって、オーガニックコットンの繊維の成熟度が優れていることは栽培に

一般的に使用されている肥料(牛糞と追肥)に起因する可能性があると推論することができる。 有機糸と従来型の糸では強度と伸びはそれほど違わないが、前者の欠陥率は 40%ほど低い。有

機糸のほうが欠陥率が低いことは主に繊維の成熟度が優れていることによるものであろう。した

がって、オーガニックコットンは、生態学的バランスの保全に加えて、高品質の糸の生産にも寄

与するということができる。 5.3 オーガニックコットン栽培農家の社会経済的分析 有機農業研究所(Research Institute of Organic Agriculture、RIOA)の実地調査によれば、オー

ガニックコットン栽培は家族の生活を改善し、天然資源の持続可能な利用が実現できる可能性が

潜在的にあり、農家の全体的な脆弱性を軽減するという(Eyhorn 他 2005、p. 60)。 (1) オーガニックコットンの長期的経済状況 オーガニックコットン生産の財政的実現可能性とリスク分析は、国立農業農村開発銀行

(National Bank for Agriculture and Rural Development、NABARD)が、マハラシュトラ州ヤバ

トマール(Yavatmal)県を事例として詳細な研究を行ってきた。オーガニックコットンの長期的

経済性に関する本調査の分析では NABARD のデータを採用する。オーガニックコットン栽培の

初の年は収穫量が非常に少ないことが明らかになっている。しかし、年を追って土壌の有機性

の強みが増すにつれて収穫量は増加する。NABARD の分析結果からデータを計算した結果を以

下の表 25 に示す。

表25:オーガニックコットンの年度別経済状況

Sl. No. Year Yield

(Q/ha)

Gross Income (Rs.)

Premium(20%)

Total (Rs.)

Net Income (Rs.)

Surplus/deficit conventional cotton (Rs.)

1 Conventional 10 20000 0 20000 9000 02 First year 5 10000 0 10000 750 (-) 82503 Second year 5.75 11250 0 11250 3750 (-) 52504 Third year 6.25 12500 2500 15000 7000 (-) 15005 Fourth year 7.50 15000 3000 18000 10500 15006 Fifth year 8.75 17500 3500 21000 13500 45007 Sixth year 10.00 20000 4000 24000 16500 7500

出所:中央綿花研究所(ナグプール)、2005年 上の表によれば、従来型のコットン生産では、実現収穫量は 1ha あたり 10 キンタル、総収入は

20,000 ルピー、純収入は 9,000 ルピーであることが明らかになっている。これに対して、オー

ガニックコットン栽培の初年度では、1ha あたりで収穫量は 5 キンタルに過ぎず、農家は 8,250ルピーの赤字を計上する。しかし、その後の数年間で、オーガニックコットンの収穫量は増加し

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始め、4 年目からは有機システムが利益を生み出し始める。6 年目には、オーガニックコットン

の収穫量は従来型システムの収穫量の水準を取り戻す。 (2) コットン栽培における女性の役割――FiBL による調査研究 社会の強靭さは女性の地位と役割によって決まる。インドの農村では農業への女性の参加が長い

間慣習となっており、コットン栽培もその例外ではない。女性はコットン農場でのほとんどすべ

ての作業で大きな役割を果たしている。去勢牛やトラクターの使用を必要とする畑起こしや、鋤

を使った耕作、肥料散布など農地の準備作業を除けば、その他のほとんどの農場作業は女性が行

っている。 特にインドの多くの農場では、ほとんどの意思決定はま

だ男性によって行われているが、女性は有機農法におい

て重要な役割を果たしている。インドでは、コットン栽

培におけるその伝統的責任には、家畜やその糞の世話、

播種、除草、綿摘みが含まれる。男性は通常、土壌の耕

作、施肥および肥料散布、栽培間作業を担当している。

したがって有機農法への転換は男女間の作業負荷の変化

を意味する。殺虫剤の散布に必要な時間は通常は減少す

るが、堆肥の準備やおそらく除草に必要な時間は増加す

る可能性がある。しかしながら、植物への適正な栄養素

供給、適時の除草と慎重な綿摘みはコットン栽培でよい結果を得るために不可欠である。 オーガニックコットン栽培への転換は生産技術の問題だけでなく、農家の社会的経済的水準につ

いても同様に重要な意味がある。したがって、転換について考える場合は家族の多様な認識とニ

ーズを考慮に入れるべきである。 女性は、栽培、綿摘み、コットン製品製造、デザインおよび小売に従事している。このため、オ

ーガニックコットン生産におけるジェンダー問題には、有機農法への転換の決定、有機投入物の

準備と使用による女性の作業負荷、賃金の男女間格差、認定の社会的費用が含まれる。そのため、

ジェンダー配慮をより高めるためには、女性の視点を反映させたバリューチェーンの編成(普及、

文書化)が求められる。 オーガニックコットン・プロジェクトでは、転換プロセスに関する意思決定過程に女性が確実に

関与できるようにしなければならない。このためには、研修や集会への女性の参加を参加を奨励

すべきである。プロジェクトの普及活動においては必ずジェンダー問題に特別に配慮し、女性へ

の支援を検討すべきである。女性の農家代表が組織にいることは、オーガニックコットン・プロ

ジェクトがこれらの目的を達成する上で役立つ。 (3) 児童労働 インドのコットン・サプライチェーンでは子供が全労働力の約 60%を占めており、そのうち

70%は女子である。女の子は扱いやすく、作業に集中し、賃金が安いとされている。現在農場で

働いている女の子たち、は将来は教育を受けないまま母親になる。インドではここまで大規模に

子供が働いている産業は他にはない(Susan Haffmans 2007)。他方、成人女性は労働から外さ

れている。また、児童労働では長期契約、借金による拘束、低賃金、長い労働時間(1 日 10~13 時間)が多い。 Venkateswarlu-da Corta(2005)の研究「子供の値段("The Price of Childhood")」、オラン

ダ・インド委員会、国際労働権利基金、Eine Welt Netzwerk NRW などによると、アンドラプラ

デシュ州のコットン農場で働いている子供(18 歳以下)たち計 100,000 人は、しばしば親たち

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が負った借金に拘束されているという。コットン畑で働く子供たちの 85%以上が学校に通って

いない。 (4) 農村開発のための地域社会活動(Community Action for Rural Developments、CARD)

とマハラシュトラ州有機栽培協会によるマハラシュトラ州アムラバティ県におけるオーガ

ニックコットン栽培の事例研究

マハラシュトラ州はインドの 大のコットン栽培面積と 大の生産量を誇っているが、生産性は

非常に低い。灌漑レベルの低さ、土壌肥沃度の変動、不安定な降雨パターン、それに地形要因な

どが作物の収穫量が少ない主な原因となっている。コットンは同州のヴィダルバ(Vidarbha)地

方の天水栽培地域の主要商品作物として栽培されている。 このヴィダルバ地方に属するアムラバティ県は、数世紀前からコットンの生産と販売で有名であ

る。農家は交配種の導入前から多収量品種(HYV)のコットンを栽培してきた。当時、コットン

は作物混合における主要作物であり、緑豆、キマメ、ケツルアズキなどの豆類やソルガムやトウ

ジンビエ(pearl millet)などの穀草類との混合作が主要な構成要素であった。 本稿取りまとめのため、我々はこのアムラバティ県の有機栽培農家にインタビューを行った。こ

の聴き取り調査では、マハラシュトラ州有機栽培協会(Maharashtra Organic Farmers Association、MOFA)に登録されている有機栽培農家の数がもっとも多い村を選択んだ。 聴き取り調査の結果 有機栽培農家とのグループディスカッションは生産システムの構成要素に関して先ず行われた。

農家は以下のことを語り、1~5 の基準で表 26 のとおり評価した。

表 26:有機農法マトリクス Sl. No. Component / Farmer A B C D E F Total

1 Less Expenditure 4 3 3 5 4 3 22 2 Increase Soil Fertility 5 5 3 4 5 5 27 3 Clean environment 3 2 4 1 2 3 15 4 Biodiversity 2 3 5 2 3 4 19 5 Easy Management 2 4 3 3 2 3 17 6 Healthy Food 1 2 2 2 2 3 12 Total 17 19 20 17 18 21 112

有機栽培農家は土壌肥沃度を高めることをより重要性と考えている。栽培の失敗や収穫量の不安

定性のリスクを軽減するからである。彼らは、収穫量強化はマメ科作物の栽培に毎年適切なエー

カー数を割り当てることによって可能だと述べた。また、彼らは利用可能であればいかなる

FYM も施肥しているが、外部からは FYM を購入していない。化学肥料への支出はまったくない。

また、自分たちの農場での収穫量を一定に保つため、化学物質の追加投与を適用しているとも述

べた。 非有機栽培農家は化学肥料をより重要と考えている。彼らは化学肥料に 1ha あたり 2,200 ルピー

以上を支出している。さらに、彼らは自家製も購入した FYM も使用しているが、数量は固定さ

れていない。また、マメ科の作物も栽培しているが、その主な目的は当該作物の生産と肥沃度の

管理にある。 2 番目に重要な項目として、有機栽培農家は非有機システムの場合よりも出費削減を重視してき

た。彼らは現代の投入物は互いに関連していると述べる。肥料を投入すると植物の防疫を行わな

ければならず、除草にはより多くの労働力も必要である。それに対して、有機栽培農家が除草に

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使っている費用は非有機栽培システムよりも 35%少ない。自然が害虫を引き受けてくれると彼

らは述べている。非有機栽培農家は除草に 1ha あたり 3,700 ルピーを支出し、植物防疫に 4,400ルピーを支出している。 低 3 回の除草と 3~4 回の植物防疫措置が必要である。

図 24:マハラシュトラ州におけるオーガニックコットンのバリューチェーン

1) Block Level Jinig or Government Procurement center - About 60% of

produced Cotton gets sold out here

- About 10% to 15% of price goes on Transportation and “Katti” System

2) Grocery shop holder Krushi Sewa Kendra or Money lender. - About 10 % of

produced Cotton gets sold out here

- Buyer decides the Price before the Cotton season start. Resulting 15 % to 30 less than last year price, also cheating in weight here

3) Retailers “Bhurte Vyapari” and Sawad System - About 30 % of

produced Cotton gets sold out here @ Rs15r to 18 Per kg and 10 to 20 % Cheating in Weight Sawad- Means 50% each to labor & cotton Grower.

4) District or Region Level Wholesalers located at Wardha, Akola Khamgaon, Nagpur, and Amravati

Here is only Semi Finish Product

5) Adilabad (AP) is Major Cotton center effecting on Yavatmal Market. About 30% of Total cotton Production gets sold here.

6) Major Byers, Major Mills and Export Portion

COTTON GROWER

出所:AFARM 3 番目に重要な項目として、有機栽培農家は生物多様性を指摘している。彼らは緑豆やケツルア

ズキなどのマメ科作物を育てており、時には緑の肥料として使用している。一方、キマメやヒヨ

コ豆も肥沃度維持のために利用している。これらの作物も農家の家族に食糧の安全保障を提供す

る。他方、非有機栽培農家は主にこれらの作物を農場収入を補うために栽培している。 また、有機栽培農家は管理しやすさも重要な意思決定の基準であると語った。彼らは農場のピー

ク雇用時の農場労働力については心配していない。むしろ、それらの懸念は非有機栽培農家によ

って表明された。 クリーンな環境、すなわち汚染されていない空気、水および土壌も有機グループが考慮するポイ

ントである。彼らは化学殺虫剤の使用中に起こる病気が多いことに不満を漏らした。また、彼ら

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は植物防疫措置後、子供の立ち入りを禁止するなどただちに 大限の注意を払わなければならな

い。それらの不安は非有機栽培農家も表明したが、彼らは化学物質は植物の成長に必要であると

も述べている。健康によい食べ物も、有機栽培農家は健康な生活にとって重要な要素であると考

えている。 非有機栽培農家は、生産増加が も重要と考えている。それに次いで作物の健康な成長を挙げ、

(生産・売上の増加によって得られる)満足が 3 番目の要素であった。 作物の多様性については、両方のグループとも自分たちの農場の適合性、害虫に対する抵抗力ま

たは耐性に同等の優先度を与え、 も評価が低かったのは高収量であった。非有機栽培農家でさ

え、昆虫や害虫を管理することの難しさを表明している。 化学肥料、除草および植物防疫措置に対する支出を除いて、その他の支出はすべて同じである。

1ha あたりの実費での平均支出を下表 27 に示す。

表 27:コットン作物の 1ha あたりの平均支出、収穫量および純利益 Sl. No. Head \ Farming Type Organic Chemical

1 Chemical Fertilizer (Rs) 0 2200 2 Weeding (Rs) 2400 3700 3 Plant Protection (Rs) 0 4400 4 Other than above heads (Rs) 2660 3160 5 Total per hectare cost (Rs) 5060 13460 6 Normal Cotton Yield (97-98) in qtl. 5.96 10.28 7 Total Income @ Rs. 1877 per qtl. 11187 19296

Net income to farmer 6127 5836 注目すべき点は、有機農法と化学農法間のコットン収穫量の差は 1.7 倍以上であるが、平均純利

益の差は有機農法ではそれほど目立たず、わずか 291 ルピーに過ぎないことである。それでも、

MOFA が提示するプレミアム価格は個別項目において存在するコスト差を軽減し、環境にやさし

い方法での作物栽培、汚染がなく緑の多い環境の維持を奨励するものとなっている。これは子供

から機会と資源を借用しない社会の実現に向けた MOFA と有機栽培農家の大きな貢献である。

広い地域での有機農法の普及に向けた継続的な努力は、インドの農業を、健康で明るい未来のた

めに今日必要とされる取組みに道を開き、持続可能な発展の道に間違いなく導くものである。 5.4 サプライチェーンのボトルネックと政策提言 コットンその他の作物のオーガニック栽培に伴う問題は特にインドでは荒波に向かって泳ぐよう

なものだという(D'Monte 2009)。オーガニックコットンの豊作の年であっても、認定の問題が

付きまとう。オーガニックコットンはニッチ市場であり、その価格は需給関係によって決まる。

一部の小規模農家は在庫を保有することができないため、豊作の年には仲買人に安値で売らざる

を得なくなる傾向がある。インドのオーガニックコットン・サプライチェーンには以下のボトル

ネックがある。

① グジャラート州やアンドラプラデシュ州などで見られる GM(遺伝子組み換え)コット

ンに味方しオーガニックコットンの採用を妨害し続ける巨大な圧力 ② 強力な科学的研究開発の欠如 ③ 未処理の種子が入手できないこと ④ 有機肥料の不足 ⑤ 情報普及の未組織

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Country Profile on Organic Cotton Production in India

⑥ 生産に対する融資提供の難しさ ⑦ サプライチェーンの末端に至るまでのコミュニケーションと情報共有メカニズムの欠如。

サプライチェーンの末端のステークホルダーは国際市場に関する知識が乏しく、これに

対する政府の支援もない。この農業の促進を推進しているのはすべて国外のアクターで

ある。 ⑧ 一般に、有機農法への転換から 3 年後、化学物質が存在しないことを確認するため、土

壌のサンプルが無作為抽出で試験される。しかし、仲買人は取引で競争しているため、

自分たちの子飼いの生産者を優遇し、本物の小規模生産者は結果的に苦しめられている。 ⑨ 有機染料が入手困難である。コットンが有機栽培されたとしても、永続的に入手可能な

有機染料が不足しており、それがなければ繊維のオーガニック認定が受けられないこと

である。したがって、一貫性のあるバリューチェーンが形成されるようになるまで、イ

ンドは世界中の織物メーカーにとって原材料生産国にとどまることになろう。 ラジャスタン州では、野菜作物から永続的に染料をつくるといういくつかの試みが行われている

が、数世紀前、インドは世界の染料の中心地で、合成代替品が発見されるまで藍は世界の染料市

場を牛耳っていたということを考えると、どうにも皮肉な状況である。世界の「デニム地」

(dungaree、ジーンズの古い呼称)が、染物業の中心地として有名であったドングリ(Dongri)というムンバイ地区の地名に由来したものであることを知る人は少ない。 近い将来は不確実に見えるものの、投入量を増やし、特に遺伝子組み換え種子の投入に向かって

いる全体的趨勢を鑑みると、その逆の経路を目指そうとするオーガニックコットンの全体的な見

通しが明るいとは言えない。インドでは農家は深刻な構造的問題に見舞われているが、オーガニ

ック農業が現状を打開できる解決策となり得るという点に彼らが納得するまでまだ長い時間がか

かるであろう。政府や研究機関の支援がなければ、他に後押しを得られる術を見出すことは難し

い。 政策提言 以上の状況を踏まえ、D’Monte(2009)は 後に以下の政策提言を行っている。

① オーガニックコットンの収穫量と価格は予測が非常に難しい。したがって収穫量と農家

収入の損失は適切な政策によって補償されなければならない。 ② オーガニックコットンのオーガニック認定制度は、生産者と消費者の双方を保護するた

め、より簡素で透明性のあるものにする余地がある。 ③ バイオ肥料およびバイオ殺虫剤の品質管理に政府はもっと注目する必要がある。 ④ オーガニックコットンの栽培と加工を促進するため、FAOの下で別のオーガニックコッ

トンプログラムを創設することも検討に値する。 ⑤ 環境にやさしいコットンの栽培を奨励するため、農家の収入と雇用機会を確保する効果

的なオーガニックコットン保険プログラムを立ち上げることが検討されるべきである。 ⑥ オーガニックコットンおよび有機染料を用いたコットンの生産、加工、マーケティング

および取引のため、特別の協調組織が創設されるべきである。 ⑦ オーガニックコットン・プロジェクトは、健全な国際取引における需給関係との整合性

が取れた事業内容となるよう整備される必要がある。

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Country Profile on Organic Cotton Production in India

5.5 オーガニックコットン研究に従事する研究機関のリスト

図 25:有機農法/オーガニックコットン栽培に取り組んでいる研究機関

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表 28:有機農法/オーガニックコットン栽培に取り組んでいる研究機関のリスト Sl. No.

Institutions State/ UT Contact details

1 Indian Agricultural Research Institute (IARI)

New Delhi

Pusa, New Delhi Tel: 25843719, 25842490, 25841255 E-mail: [email protected]

2 Indian Council of Agricultural Research (ICAR)

New Delhi Krishi Bhavan, Dr. Rajendra Prasad Road, New Delhi-110 114, http://www.icar.org.in/

3 Agricultural and Processed Food Products Export Development Authority (APEDA)

New Delhi NCUI Building 3, Siri Institutional Area, August Kranti Marg, New Delhi - 110 016 Tel: 91-11-26513204, 26514572, 26534186 Fax : 91-11-26526187 Email: [email protected]

4 The Cotton Corporation of India New Delhi 16, Ansal Bhavan, 19 Kasturba Gandhi Marg New Delhi - 110 011, India Tel: 23725660, 23324081 Fax: 23324081 Email: [email protected]

5 Central Institute for Cotton Research (CICR), Nagpur,

Maharashtra Post Bag no.2, Shankar Nagar Po, Nagpur -440010 Tel: 07103 – 275536, 275549 Fax: 07103 – 275529 Email: [email protected]

6 Central Institute for Research on Cotton Technology (CIRCOT), Mumbai

Maharashtra Adenwala Road, Matunga, Mumbai -400 019 Tel :91-022-24127273,76 Fax: 91-022-24130835/24157239 E-mail: [email protected]

7 Cotton Association of India, Mumbai

Maharashtra Cotton Exchange Building, 2nd Floor Opp. Cotton Green Railway Station Cotton Green, Mumbai - 400 033 Maharashtra, India Tel. No: +91-22-2370 4401/02/03 Fax No: +91-22-2370 0337 Email: [email protected]

8 National Center for Organic Farming, Ghaziabad, (Regional Center for Organic Farming ,Bangalore, Bhubaneshwar, Hisar, Imphal, Jabalpur, Nagpur)

Uttar Pradesh

Kamla Nehru Nagar, Ghaziabad-201 001, Tel: 0120-2721896 Fax: 0120-2721896 Email: [email protected]

9 Centre for Sustainable Agriculture

Andhra Pradesh

12-13-445, Street No - 1, Tarnaka, Secunderabad-500 017 Tel:+91-(40)-27017735, +91-(40)- 27014302 Fax :+91-40-27005342 E-mail : [email protected]

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Country Profile on Organic Cotton Production in India

表 29:国立綿花研究所(CICR)(ナグプール)で進行中のプロジェクトのリスト Sl. No.

Project Name Name of Project Leader (L) & Associate (A)

Project Period

Dr. S. Usha Rani (L) Dr. S.M. Wasnik (A)

1 Comparative analysis of conventional, biotech and organic cotton production systems in India

Dr. K. Sankaranarayanan (A)

2008-2011

• CICRの刊行物リスト

i. Praharaj, C.S., Rajendran, T.P. and Sankaranarayanan, K. (2006). Comparative performance of irrigated hirsutum cotton in conventional and organic packages in black clay loam soils of Tamil Nadu.J.Ind.Soc.Cotton Improv., 31(2):99-104

ii. Tarhalkar,PP, Venugopalan, MV., Rajendran TP., Bambawale, OM., Kairon,MS., Generation and evaluation of appropriate technology for organic cotton cultivation in rainfed vertisols. J. Indian Soc. Cotton Improv., 1996 21(2):123-130

iii. Venugopal, K., Rajendran TP., Ramamoorthy,K., Natarajan K., Khan KH., Organic cotton : Present status and future prospects in India. J.India soc., Cotton Improv., 1996, 111-112.

iv. Natarajan, K., Ramamoorthy, K., Venugopal. K., Insect pest management for organic cotton production. National seminar on century of cotton in India. GAU, Surat Dec., 19-21, 1996.

v. Tarhalkar, PP., Venugopalan, MV., Rajendran, TP., Bambawale, OM., Kairon, MS., Generation and evaluation of appropriate technology for profitable organic cotton cultivation in rainfed vertisole. National seminar on eco-friendly cotton. Mumbai, June 8, 1996.

vi. Venugopal, K., Rajendran, TP., Ramamoorthy, K., Natarajan, K., Khan HH. Organic cotton present status and future prospects in India. National seminar on eco-friendly cotton. Mumbai July 8-9, 1996.

vii. Ramamoorthy,K., Venkataswamy,R., Economics of organic cotton cultivation. Dina Mani, Tamil Newpaper, 1997,dec 8th.

viii. Bambawale,OM., Rajendran, TP., Tarhalkar, PP., Sheo Raj., Kairon, MS., Bio-agents mass production as a logistic for organic crop production. Third IFOAM-ASIA scientific conference ‘Food security in harmony with nature’.Pp.148-149 Bangalore, Dec. 1-4, 1997.

ix. Tarhalkar, PP., Venugopalan, MV., Rajendran, TP., Bambawale, OM., Kairon,MS., Soil fertility management in organic cotton cultivation. Third IFOAM-ASIA scientific, pp.7-8 conference ‘Food security in harmony with nature.’ Bangalore, Dec.1-4,1997.

x. Venugopal, K., Natarajan, K., Khan, HH., Ramamoorthy, K., Production technology for organic cotton. Third IFOAM-ASIA scientific conference ‘Food security in harmony with nature’. Bangalore, Dec. 1-4, 1997.

xi. Gajbhiye, H.L., European Union Law on organic farming: Inspection and Certification. Workshop on Organic cotton production. Nagpur, Spril12, 1995.

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Country Profile on Organic Cotton Production in India

参考資料: • Action For Agricultral Renewal in Maharashtra, www.afarm.org • Cotton International 2004, 71st annual Edison a Meister Publication. • Darryl D'Monte, 2009, Uncertain future for organic cotton, (http://infochangeindia.org/) • K. Ramamoorthy, T.P. Rajendran and M. Sabesh, 2004, Socio- economic Analysis of

Organic Cotton, Central Institute for Cotton Research, Regional Station, Coimbatore – 641 003.

• Ladole V. B. and Shinde D.V, Case study of Green Cotton Farming in Amravati District of Maharashtra State, India.

• Organic cotton (Tamil) – Technical bulletin – Green Club – TAR/NATP – C.I.C.R., Coimbatore – 3. 2002.

• Organic cotton farming, C.I.C.R technical bulletin No.1 Nagpur 2000. • Organic Cotton Crop Guide – A manual for practitioners in the tropics, 2005, FiBL,

http://www.fibl.org/en • Pilot study on spinning behavior of organic cotton by SITRA

January 8, 2008, http://www.agricultureinformation.com • Priti Ramamurthy, 2000, The Cotton Commodity Chain, Women, Work and Agency in

India and Japan: The Case for Feminist Agro-Food Systems Research. www.sciencedirect.com

• Ramamoorthy.K, Rajendran.T.P, Sabesh.M, Socio Economic Analysis of Organic Cotton, Central Institute for Cotton Research, Coimbatore, 2003-04.

• Sudripta Roy, 2006, Environmental and Social Impact of Cotton Cultivation and Use with Special Reference to India, Ministry of Textiles, Government of India. (https://www.icac.org/meetings/plenary/65_goiania/documents/english/os2/os2_roy.pdf)

• Susan Haffmans, 2007, Child labour in cotton production. (http://www.pan-germany.org/newsletter/deu/news.html?id=574)

• www.fibl.org/english/index.php • www.organiccottondirectory.net by PAN and O.T.A. 2001.

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Country Profile on Organic Cotton Production in India

付録

図のリスト 図 1 オーガニックコットン生産上位 5 ヶ国 図 2 インドにおけるオーガニックコットンと従来型コットンの生産面積 図 3 オーガニックコットン生産シェア 図 4 インドから輸出された有機製品、2007~2008 年 図 5 世界のオーガニックコットン生産量、2008 年 図 6 インドのオーガニック製品と生産地域 図 7 インドにおける有機農法– ステークホルダーの関与 図 8 NPOP の運用構造 図 9 インド製オーガニック製品のロゴ 図 10 オーガニックコットン栽培システムの例 図 11 ワタキバガの幼虫のライフサイクル 図 12 ワタキバガの幼虫の影響を受けたコットン 図 13 ワタアブラムシ 図 14 糖液の堆積およびススカビ類による糸くず汚染 図 15 アブラムシの被害を受けたコットンのつぼみ 図 16 若葉上の卵 図 17 幼虫 H. armigera の色の形成 図 18 蛾の成虫 図 19 一部の主要なコットン害虫の重要な天敵 図 20 コットン畑のドリップ灌漑 図 21 従来型農法と有機農法によるコットン栽培における農業の集中度 図 22 システマチックアプローチによる成功を収めたオーガニックコットン栽培農

法 図 23 コットン製品加工チェーン 図 24 マハラシュトラ州におけるオーガニックコットンのバリューチェーン 図 25 有機農法/オーガニックコットン栽培に取り組んでいる研究機関

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表のリスト

表 1 有機農法において肥沃化および土壌調整に使用する製品 表 2 植物の害虫および病気抑制のための製品 表 3 農薬消費量(メートルトン) 表 4 インドの有機農法に関する SWOT のマトリクス 表 5 コットンの分類学的整理 表 6 コットン繊維の成分 表 7 各種 Gossypium 種の特性の区別 表 8 干ばつおよび害虫に対する耐性のある有機農法に適したコットンの品種 表 9 緑肥用作物と緑葉肥料の栄養成分 表 10 油糟の平均窒素含有量 表 11 農場残滓および植物における窒素の潜在的可能性 表 12 昆虫と病気の症状 表 13 病気とそれらの症状 表 14 インドのコットン畑における主な害虫の季節別発生 表 15 各種の天然殺虫剤 表 16 コットンの害虫を駆除するために使用される捕獲作物 表 17 投入量と生産量 - 化学投入物と有機性投入物の場合の 1ha のコットン栽培の明細 表 18 ライフサイクル評価 – 繊維生産における在庫分析 表 19 承認済み認定料金の 高額一覧 表 20 NPOP に基づく認証取得済み認定機関のリスト 表 21 オーガニックコットン・ベースの製品製造に従事する紡織工場の詳細連絡先 表 22 チェトナ・プロジェクトの参加人数 表 23 インドにおけるオーガニックコットン・プロジェクト(2008 年時点) 表 24 品種 LRA 5166 のオーガニックコットン栽培による収穫量(キンタル/ha) 表 25 オーガニックコットンの年度別経済状況 表 26 有機農法マトリクス 表 27 コットン作物の ha あたりの平均出費、収穫量および純利益 表 28 有機農法/オーガニックコットン栽培に取り組んでいる研究機関のリスト 表 29 国立綿花研究所(CICR)(ナグプール)で進行中のプロジェクトのリスト

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Country Profile on Organic Cotton Production in India

略語表

AFARM Action For Agricultural Renewal in Maharashtra AICCIP All India Coordinated Cotton Improvement Project APEDA The Agricultural and Processed Food Products Export Development Authority ATTRA National Sustainable Agriculture Information Services BOD Biological oxygen Demand BOD Biological Oxygen Demand Bt Bacillus thuringiensis CICR Central Institute of Cotton Research CO Carbon mono oxide CO2 Carbon dioxide COD Chemical Oxygen Demand COFA Chetna Organic Farmers Association CSOs Civil Society Organizations DDT Dichlorodiphenyltrichloroethane DFID Department for International Development EU Europe FAO FFID FLO

Food and Agriculture Organization Forum for Integrated Development Fairtrade Labelling Organization

FYM Farm Yard Manuring GOT Ginning outturn gpt Grams Per Tex Ha / ha Hectare HVI High Volume Instrument ICAR Indian Council of Agricultural Research ICCOA International Competence Center for Organic Agriculture IFOAM International Federation of Organic Agriculture Movements IFOAM International Federation of Organic Agriculture Movements IGWDP Indo-German Watershed Development Programme ILO International Labour Organization

INR Indian Rupee IPEC International Programme on the Elimination of Child LabourIPM Integrated Pest Management kg Kilogram KVKs Krishi Vignan Kendra LCA Life Cycle Assessment LPG Liquefied Petroleum Gas MJ Mega Joule MoA Ministry of Agriculture MT Metric Ton N Nitrogen NAB National Accreditation Body NABARD National Bank for Agriculture and Rural Development NGOs Non- Governmental Organizations NOx Nitrogen Oxides NPOP National Programme for Organic Production NPV Nuclear Polyhedrosis Virus NRIs Non Resident Indians NSC National Steering Committee

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Country Profile on Organic Cotton Production in India

NSOP National Standards for Organic Products OA Organic Agriculture P Phosphors pH Power of Hydrogen Qtls RCML

Quintal The Rajlakshmi Cotton Mills Pvt. Ltd.

Rs Rupees S Sulphur SAU State Agriculture Universities SHGs Self Help Groups SO2 Sulphur dioxide SFO SWOT

Small Farmers Organization Strength Weakness Opportunity Threat

TMC Technology Mission on Cotton Tot-N Total Nitrogen Tot-P Total Phosphorus UNICEF The United Nations Children's Fund UP Uttar Pradesh US United States USDA United States Department of Agriculture

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