トカマクの高ベータ化とmhd不安定性jasosx.ils.uec.ac.jp/jspf/jspf_text/jspf1985/jspf1985_07/...核融合研究...

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トカマクの高ベータ化とMHD不安定性 (名古屋大学プラズマ研究所) (1985年6月7日受理) 、High・Beta Approach and Related MHD Instab in Tokamak Kozo Ya,mazaki (Received June7,1985) Abstract The experimental乱nd theoretical researches on higk・bet The basic properties of ballooning modes and the rece皿t pro are d重scussed with emphasis on the beta scaling laws,the acc stability”high・beta region,the excitation of new instabil plasma confinement and the future pla聾s for high・beta,tokamak 1.はじめに プラズマのベータ値(プラズマ圧力と磁場の圧力の比)を上げる事は,核融合炉の小型化・コンパクト化 にとって極めて重要な課題の一つである。この小型・コンパクト化については,ベータ値限界と同時に第一 壁への熱負荷の制約や装置保守の難易度等にも強く依存するが,核融合炉の熱出力はベータ値の2乗に比例 し磁場の4乗に比例するので,同程度の熱出力規模の核融合炉を考えた場合ベータ値が高ければ高い程低い 磁場でも運転可能となり,より小型で経済的な炉形式を構想することが可能となる。 核融合炉の設計研究からは,経済的なDT炉をつくる為にはプラズマのベータ値として5~10%が必要で あるとされており,DD炉やコンパクトなパルス炉ではベータ値として~20%が目標となっている。 ジュール加熱を主体とする標準型トカマクは,70年代中頃までは速いピンチ現象を加熱に利用した高ベー 血s言翻eo〆PJαs観αPんμ5ゴcs,〈~α9・忽αU吻eTS吻,Nα9・彩α464. 5

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Page 1: トカマクの高ベータ化とMHD不安定性jasosx.ils.uec.ac.jp/JSPF/JSPF_TEXT/jspf1985/jspf1985_07/...核融合研究 第54巻第1号 1985年7月 タトカマク(いわゆるピンチトカマク)と区別する意味で,低ベータ装置として分類されてき.た。レかし,近年の中性粒子入射(NBI)及び高周波(RF)加熱のめぎましい進展により,現在,平均ベータ値として最

灘トカマクの高ベータ化とMHD不安定性

      山 崎  耕 造

     (名古屋大学プラズマ研究所)

      (1985年6月7日受理)

、High・Beta Approach and Related MHD Instabilities

          in Tokamak

         Kozo Ya,mazaki

        (Received June7,1985)

Abstract

  The experimental乱nd theoretical researches on higk・beta tokamaks are surveye趨.

The basic properties of ballooning modes and the rece皿t progress i皿high・beta studies

are d重scussed with emphasis on the beta scaling laws,the accessibility to the“seco皿d

stability”high・beta region,the excitation of new instabilities,tke degradation of the

plasma confinement and the future pla聾s for high・beta,tokamaks。

1.はじめに

 プラズマのベータ値(プラズマ圧力と磁場の圧力の比)を上げる事は,核融合炉の小型化・コンパクト化

にとって極めて重要な課題の一つである。この小型・コンパクト化については,ベータ値限界と同時に第一

壁への熱負荷の制約や装置保守の難易度等にも強く依存するが,核融合炉の熱出力はベータ値の2乗に比例

し磁場の4乗に比例するので,同程度の熱出力規模の核融合炉を考えた場合ベータ値が高ければ高い程低い

磁場でも運転可能となり,より小型で経済的な炉形式を構想することが可能となる。

 核融合炉の設計研究からは,経済的なDT炉をつくる為にはプラズマのベータ値として5~10%が必要で

あるとされており,DD炉やコンパクトなパルス炉ではベータ値として~20%が目標となっている。

 ジュール加熱を主体とする標準型トカマクは,70年代中頃までは速いピンチ現象を加熱に利用した高ベー

血s言翻eo〆PJαs観αPんμ5ゴcs,〈~α9・忽αU吻eTS吻,Nα9・彩α464.

5

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核融合研究 第54巻第1号 1985年7月

タトカマク(いわゆるピンチトカマク)と区別する意味で,低ベータ装置として分類されてき.た。レかし,

近年の中性粒子入射(NBI)及び高周波(RF)加熱のめぎましい進展により,現在,平均ベータ値として最

高~5%,中心ベータ値として~15%以上のプラズマの保持も可能となってきており,準定常トカマクで

のベータ値限界に関連するプラズマの振舞いも実験的にかなり明らかにされてきている。又,理論的には,

磁束保存トカマク(FCT)として平衡ベータ値限界のない配位や,そら豆(ビーン)型プラズマ断面形状に

よる安定ベータ値限界のない配位等が明らかにされ,平均ベータ値として~10-20%の高ベータ計画が提

案されている段階である。

 本稿では以下に示す様なトカマクの高ベータ化に関する実験・理論両面からのサーベイを行い,読者の高

ベータ化に対する幅広い興味を喚起しようと試みたものである。

 1.はじめに

 .2・バルーニング不安定性と高ベータ化の方策

  2.1 パルーニングモードの物理的描像

  2.2限界ベータ値の簡単なスケーリング則

  2.3高ベータ化の方策

 3.トカマクにおける高ベータ実験の進展

  3.1最大ベータ値とスケーリング則

  3.2 高ベータプラズマの平衡と断面形状制御

  3・3 高ベータ実験におけるMHD不安定性

  3.4 高ベータ化に伴う閉じ込めの劣化

 4.高ベータトカマク理論の進展

  4・1平衡のβ限界とFCT

  4・2 安定性のβ限界とスケーリング則

  4.3 第二安定領域

  4.4 輸送理論と高ベータ効果

 5.高ベータ次期計画

 6.おわりに

2. バルーニング不安定性と高べ一タ化の方策

 トカマクの高ベータ化への障害となるものとして,圧力駆動型のMHD不安定性の励起及び関連する閉じ

込めの劣化が考えられる。トカマクプラズマ中の安定性・輸送に関しては本誌でも既に『講座』として良く

まとまった解説がある1’礼

 ここでは,高ベータ化に最も関連の深いバルーニング不安定性の物理的イメージを明確化し,簡単なベー

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解説 トカマクの高ベータ化とMHD不安定性 山崎

タスケーリング則を導出する事から始める。

2.1バルーニングモードの物理的描像

 バルーニングモードとは,一言で定義するならば,「悪い

曲率部(bad curvature部)に不安定な波が捕捉されて成長

するモード」と言えよう。従って,円柱モデル・低ベータ配

位で考えられるフルート型不安定性(図1a)と異なり,不

安定モードとしては磁力線方向には一定でない変動(K・B

≠0)を考える必要がある(図1b)。

 一般的に,低ベータの場合にはアルフベン速度が大きいの

で悪い曲率部と良い曲率部とのつながりが大きいのに対して,

高ベータプラズマでは,逆に,アルフベン速度が小さく悪い

曲率部にフルート型モードが捕捉されることになる。模式的

に描いた図が図2であり,局所的なフルートモードの成長

率γfluteと安定化の為のシアアルフベン時間τ,、との関係

   γfluteτPA≦・     (・)

が成立する時・バルーニングモードが安定化されると考える

事ができる。

ここで㎞一嘱、一厚駆漂

    1     Rg

ちA~肱~/-         μoρ

          國      〈良い曲率部〉

     彦//”伽勧          銑

          馨         畿解

(a)

(b)

//

./

蕩’

  B  、ノて〉   尊、

    潮

    、監,

  ./

,一/∂

図1.圧力駆動型MHD不安定性  (a)フルート不安定性(kl・B魑0)

  (b)バルーニング不安定性(k・B≒0)

       〈良い曲率部〉

ボ〃…毛     !。安定化の醐間

          τPA        蓮結距離 旦          Rq  ・不安定化成長率

      γeff   等価的遠心力

      ρ9eff

図2.バルーニング不安定性励起と安定化の模式図。

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核融合研究 第54巻第1号 1985年7月

従って

        β2  1   1▽Pl≦一        μ0 1~92

より,ベータ値β及び和イダルベータ値β,に対する制約条件として

    。β≦⊥                         (2)     P  2

    β≦希                   (3)      29

が得られる。

 この簡単な理論的導出では,限界β値は安全係数gの二乗に反比例する事になるが,磁気シアを考慮した

現実的なトカマク配位でのβ限界の計算からは,むしろ,第零次近似として

    β≦6⊥εκ∫(δ)             (4)       9

である。ここで

   6:係数~0.2-0、3(ビーム等の運動論的効果により増える)

    g:安全係数

    ε:逆アスペクト比

    κ:楕円度

                δ    δ:三角度(例えば∫~1+万)

である。

 (2)式と(4)式との関連を円形断面プラズマ申での%;・・のバルーニングモードに限定して考えてみる。

高アスペクト比近似でのバルーニングモード限界安定条件としての方程式3)は

   舌[・+(Sフー・sinッゾ1+G[ +sinツ(SツーGsinツ)]F一・ (5)

で与えられる。ここで,シアパラメータS及び,圧力勾配パラメータGは

      744    S=一一                                          (5a)      σ 47

    G一(響)器一・称      (5b)

で与えられる。境界条件としてF→0(1ッ1→・・)を満たす事よりバルーニング限界安定な圧力勾配を求め

ることができる。S-Gダイアグラム上で上式を示すと図3の様になる。一方,前述の簡単な理論の意味す

                  1るところは図中波線の様に0(~εβ,)<7である。磁気シアの効果を考慮した実際の第一安定限界圧力

勾配は,図3より,近似的に

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解説 トカマクの高ベータ化とMHD不安定性 山 崎

   G≦0.6S       (6)で与えられ

   β一簿五4(一罪)・4・

     一毒胤(幸)・・4・ s

として考えれば,最終的に

            β~0.3一  , α駕1          (7)       9α        αが導き出される4)。

 さて,図3においてGを大きくした所に第二の安定領域

が現われているが,これは高ベータ化により磁気軸がトー

ラス外側へ変位して(イ)曲率の悪い領域での局所的磁気

シアが増大し,かつ,(ロ)悪い曲率部と良い曲率部をっ

なぐ連結距離が短かくなった事に帰因する。この他,

(ハ)高β,化に伴う磁気軸シフトによって深い磁気井戸

(magnetic weU)が形成される事による安定化効果も重

要である。

 プラズマ断面形状をそら豆形(bean-shape)に変形し

て等価的に磁気軸をシフトした場合にも,この三つの安定

化効果を期待する事ができる。例えば磁気井戸に関しては,

図4に示されている様に磁力線はビーン断面の先端に長時

間滞在する事となり,

       4召   u一軍万        (8)

     44~ノ~4¢

β~1/R

を考えれば,磁気軸近傍の値%xisと表面の値殊urfとは

   %X玉S> Usurf

となり磁気井戸の深さ

   砿xis-Usur£

     %s

が深くなる事がわかる。

2

1

00

図3.

     1        2

    G(駕εβP)

バルーニング安定性ダイアグラム

実線及び点線は(5)式をそれぞれ

F(。o)=0及びF(±π)躍0の条

件のもとで解いたもの。

破線は磁気シアのない簡単なモデ

ルからでてくるβp限界条件。

!!

i!

トー餅1陛図4.そら豆形断面トカマクの磁気面

  と磁力線の模式図。

9

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核融合研究 第54巻第1号 1985年7月

磁気井戸の概念は磁気面上で積分平均された量

Uで考えるので,巨視的なモードや,フルートモ

ード(トロイダル系ではMercierモード)の安定

化にとっては重要な指標であるが,トロイダルモ

ード数の大きいバルーニング型の不安定性に対し

ては,むしろ,局所磁気シアが重要である。

 局所磁気シアを’

   ン=一F・▽×F     (9)

       B×▽ψ     F=       1▽ψ12

         ψ:ポロイダル磁束関数

で定義し,悪い曲率部・即ち

   κψ一1者・▽捌ψ<・(・・)

の領域にッ鐸0 の領域がある場合には・第二安

定な高ベータ領域に入らないという指摘がある5)。

模式的に表わしたものが図5である。全体の平均

磁気シアSはどこでも正であるが,局所シアレ

は円形又は楕円形の場合には水平面上外側の悪い

曲率部に零の領域が現われる(図5(a))。一方,

ビーン型にすれば,水平面近傍での悪い曲率部で

は負の局所シアとなり,レ蟹0の領域が良い曲率

部側へ移動してバルーニング不安定性が起こりず

らくなることが理解できる。

(a)

Z=π/2

.クρ

吻 ノ  λ1累Oう・/ ψ

μ;0

 1と旨0     λf=π/2

』レ』

 (b)

    Z醤π/2

       彰

.☆禦/ .蔦仁 図5.断面変形による局所磁気シアγの変化

   (a)円形又は楕円形

   (b)そら豆(ビーン)形

 もう一つの安定化効果として,先に(ロ)として示した連結距離の長さの問題がある。最もわかりやすい例

としてセパラトリックスを有するトカマクを考えてみる。セパラトリックス近傍では急に回転変換角が下が

るので強い磁気シアによる安定化が期待できるが,その反面,磁力線がセパラトリックス近傍に長く滞在す

るので,トーラス外側と内側とを結ぶ連結距離が長くなって不安定化に寄与する可能性も大である。最近,

この連結距離の長短に関連してセパラトリックスの位置が限界ベータ置に与える影響が大である旨報告され

ており,セパラトリックスを良い曲率部にもつ配位(例えばPDX型トカマク)の方が悪い曲率部にもつ配

位(例えば」筆一60型トカマク)よりも『第一安定』のバルーニングβ値限界が高い事が示されている6)。

要するに,高ベータ化の為には悪い曲率部での磁力線の滞在をなるべく短かくすることが必要である(図

4参照)。

                   10

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解説 トカマクの高ベータ化とMHD不安定性 山 崎

2.2 限界ベータ値の簡単なスケーリング則

先に示したβ値のスケーリング則(式(4)および(7))を書き直すと,

          1ρ(砿4)    β(%)駕6               P                 (11)         σ(卿)β云(T)

となる。ここで係数6は,より詳細な理論検討により,

    6~3(キンク不安定性に対して)

    6~4(バルーニング不安定性に対して)

が示される・β値がプラズマ半径σとトロイダル磁場β∫との積で規格化されたプラズマ電流値1,/σ・β♂

に比例するというこのスケーリング則は,最初にLausanne研究所のTroyon氏等により提案されたもので

あり,現在のβ限界の実験値をかなり良く説明することができる。他の詳細なスケーリング則については4

章で述べる。

2.3 高べ一タ化の方策

 限界ベータ値スケーリング則(式(4)および式(11))より考えられる高ベータ化の方策としては,第1に,

              表1. トカマクの高ベータ化の方策と実験装置

第一安定領域 第二安定領域

・低アスペク枇化 (回,鳳ST*〉 ●ビーン化

十安定化壁

 断面化 (票謙1讐丁、〉 (PBX-UG*)

断面形状・ビーン断面化  (圃R-T・kamak*〉 ●高アスベクト比化

変形効果 ・セパラトリックス効果 (國回,團)十安定化壁

・f・円形願  [亜至],[璽ISX-B(弱い K一δ)

回・[亜●低q化 ●高q

壁    [亘iコ,DIVA,T-6) 低シアー

空間分布効果

共鳴型へI」カル  Pulsat・r,T。SCA,了・RIU↑)ECH,局所LHCD PDX・丁舶〉

ビーム・鋤論効果 SPAC・PETULA)

セパラトリックス T・kap・le)

速度分布●ビーム,高温イオン ●高温捕捉イオン

その他

効 果 (㎞n欝t飢)

非軸対称             *         *●ヘリカル重量 (70KATRON TOKASTAR )

●ヘリカル重量

変 形      *(TOKASTAR )

・11

註口鶏の高ベータ実験翻

  *   高ベータ化の提案

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核融合研究 第54巻第1号 1985年7月

断面形状変形及び低g化によりプラズマ全電流を最大にする事である。極端な縦長楕円断面化又はビーン断

面化しようとする時には軸対称不安定性に,又,かなりの低g化を試みようとする場合にはディスラプショ

ンに悩まされる事になる。これらは低ベータ値運転の場合にも問題となるが,高ベータ時にそれらのMHD

不安定性がどの様に変化するかを明らかにする事も必要である。

 トカマクの高ベータ化の可能な方策を表1に示した。第一安定領域でのβ値限界の向上には,低アスペク

ト比縦長楕円化等のプラズマ断面変形や低g化が有効であるが,第二安定領への接近を考える場合には,ビ

ーン断面化の他に,逆に高g高アスペクト比化が重要である。

 最近考えられている高温イオンの安定化効果の利用8)や局所的なヘリカル磁場の印加9)によるバルーニン

グモードの安定化の方策も役立つものと思われる。関連する実験及び理論の詳細については次章及び次々章

で述べる◎

3. トカマクにおける高ベータ実験の進展

 中性粒子入射を用いたトカマクの追加熱実験としては,最初にORMAK・ATC等の装置において試みら

れたものの,高ベータ実験となる程の強力なビーム入射ではなかった。1980年のIAEA国際会議(於

Brussels)において発表されたJFT-2,ISX-B,T-11の実験結果において初めてトカマクプラズマのβ                                         10,11)値限界が,実験的に検討できる様になった。JFT-2トカマクではL2MW入射によりβ~3。2%を得 ,

又,ISX-Bでは2.5MWにて2.5%を記録している12-14)。T-11においては,0.6MW追加熱により2.5

%のβ値を得た15)。その時の結論はしては,従来行われてきたバルーニングやキンク不安定性による限界β

値の計算の結果を引用して,JFT-2,ISX-Bでは実験的に理論β限界値以上のβ値が得られたとしている。

ここで特にISX-Bのデータは,閉じ込め時間が高出力入射ビームパワーの増大と共に劣化することが詳し

く検討され,“ソフトβ,リミット”則としてバルーニングモードと何んらかの関係があるのではなかろうか

という指摘があった。その後のIAEA-Baltimore会議(1982年)では,電流分布モデルの詳細化等を行

い,結局は未だ理論β値限界内であることがISX-B16}18!PDX19!D一皿20)の各装置で確認された。特に

この会議では,D一職置での高ベータ記録21)<β置>一4.6%が話題となった。又,高ベータ実験の際問

題となる追加熱時の閉じ込めの劣化に関連してASDEXトカマクでは“Hモード”なる劣化の起こらない閉じ

込めの良い放電モードをダイバータ配位において見い出した事22’23)も特記に価する。一方,PDXトカマ

                                         19,24)クでは,高ベータ入射実験に固有な新しい振動“フィッシュボーン(fishbone)不安定性”を見い出し,

その不安定性と閉じ込めの劣化の関係が論じられた。次のLondon会議ではこの“Hモード”を用いての高

β実験結果がASDEX25),PDX26)トカマクグループより,又,断面形状変形による高ベータ化の試みが P

D一皿2咳PBX28)トカマクグ辺レープより報告された。

 以上の流れを踏まえて,以下に,β限界スケーリング・平衡と制御・MHD振動及び閉じ込め劣化に関す

る実験結果をまとめる。

12

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解説 トカマクの高ベータ化とMHD不安定性 山崎

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13

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核融合研究 第54巻第1号 1985年7月

3.1 最大到達β値とスケーリング則

 表2に主な高ベータトカマクにおけるベータの記録値とその時の実験条件を記した。最大ベータ値は昨年

の9月にPBXトカマクにおいて達成された平均ベータ値~5.3%29)である。高ベータ実験はいずれもが低

い一トロイダル磁場で行われることもあり,追加熱法としては,トロイダル磁場の大小に本質的に依存しない

中性粒子入射加熱が最適である。ECEやICRFによる高ベータ化の試みもあるが,未だβ値はさほど高くはな

い。追加熱の代りに,放電途中にトロイダル磁場を徐々に下げてトロイダルベータ値を上げる試みも小型装

置において試みられている30’31)。一方,強力な衝撃波圧縮加熱を用いて『第二安定化領域』に入れようと

いう実験も続けられており,平均ベータ値~10-20%のプラズマの振舞いが明らかになりつつある。 図6

に現在の安定な放電領域を模式的に示した。第一安定限界としては低gψ領域でのキンク・ディスラプション

によるものと,高gψ領域でのバルーニングモードによる限界とに図式化できるが,実際のメカニズムはも

う少し複雑である。 図7に実際のD一皿トカマクでのβ一β放電領域を示した。                      P         傷

βT

  ・1.、構

㌘魯 ◎づ~   ↓

   》

糧=5

’》 ノ物    「=    ぺ    ヤ⑭ げ鱗

βT

(1/aB)

図6、

            βP

  O:“Lモード”高ベータ実験領域

  ⑭:“Hモード”高ベータ実験領域

トカマク放電領域(βT一βpダイアグラム)

の模式図。

≒難翻(a)

5

βT

(1/aB)

肇,0    1.2    ↑.4    1,6    1.8    2,0

    ELONGATlON,翼

卜一

4

3

2

1

0

冠・傍・

       ・:ゼ㌧

、欝縛

(b)

BT

(1/aB)

、戒 5 ”

糟縦一

一〇.2   0.0   0.2   0.4   0,6   0.8   1.O

  UPPER TRIANGULARITY,δ          u (c)

灘・   7

 O,0  0.4  0.8  1.2  1.6  2.0  2.4  2.8

       βP

             2ア)図7.D一皿トカマクでのβ丁一βP放電領域

 一〇,2   0.0   0,2   0.4   0,6   0,8   1

    LOWER TRIANGULARITY,δ1

図8 βT(%)/(1(MA)/a(m)BT(m))の

           27)  プラズマ形状(π,δ)依存性。

.0

14

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解説 トカマクの高ベータ化とMHD不安定性 山崎

(i)断面変形効果

 プラズマ断面形状をD型やビーン型にすればMHD不安定性から定まるβ限界値は上がるという事を先に示

したが,その実験的証明は,D一皿トカマク及びPBXトカマクにより行われている。特に楕円度κや三角度

δの効果の詳細な実験がD一皿グループにより行われており2吃先に述べた理論的ベータ限界スケーリング

則:

    β(%)≦3.51(蜘)          』(、2)          α(吻)β(T)

と一致することが示された・ 図8には楕円度(κ)・上方三角度(δu)及び下方三角度くδ4)に対してのベー

タ実験値と規格化されたβ値(β.筆1/σβ)との比を示した。κ一δによらずβ/β、がほぼ一定であるこ

とがわかる.以上は…≦κ≦・・6・一…≦δu≦・・9…2≦δ4≦・・8の形状についての結果である

が,Doublet一皿の実際の運転ではκが大きくてδの小さい形状や,逆にκが小さくてδの大きい形状を作

ることができないので,本結果はこの様な一連の円型からD型配位についてのみ有効であることに留意すべ

きであろう。理錨的には三角度を伴わない楕円形変形では限界β値と規格化されたβ値との比がかなり小さ

くなることが示されている32)。

 ビーン形状は三角度を強くした極限と考える 『

事ができるが,そのビーン形状のへこみ度

(indentation)の到達ベータ値に対する効果

がPBXにて調べられている。 図9はロンドン国

際会議での結果28)であるが,D型とビーン型を

比較した場合同じプラズマ電流の配位に対して

明らかにビーン型のβ値の方が高い事が示され

ている。その後のPBX実験では,スケーリン

グ則として

            1(1崩)    β(%)~(3-3。5)           σ*(卿)B(T)

                 (13)

        D羅1ρ丁曝y… 5

 4

        .1・ ○製駄1・・σ’3遭ぷ

           z職 2             0               (D→H)               ~300kA1.1T               qψ墨2        \ 1         し ロ ヨロロ ハでコ ラ

q.123456D     Ptotal(MW)

  図9.PBXトカマクでのβ値の形状依存性の       28〉    初期結果。

を確認している2兜 ここでσ*(卿)はビーン断面形状の水平面上での半値幅である。

 D一皿,PBX共ダイバータ配位での高ベータ実験を行っているが,最大到達ベータ値は,D一皿の場合に

はリミターモードにおける低9運転(働(の~1・7)であるが・PBXではダイバータ配位でのHモード的

運転においてもかなり高いβ値が得られている。

 PBXの当初の計画では,ビーン形状の先端にセパラトリックスを持つH一モード配位に焦点を合わせていな

かったので,へこみ度(lndentation)としては目標値以下の~0.2しか達成されておらず,ビーン形状による

第二安定領域への接近に関する実験的検討は未だなされていない。現在プリンストンでは各種コィルの配置

の変更によりづ~0.3で〈β〉~10%目標のPBX改造計画を検討中である。

15

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核融合研究 第54巻第1号 1985年7月

(の 低g化の効果

 ディスラプシ・ンを制御し低g大電流放電を達成することは,断面形状の変形と共にトカマクの高ベータ

化への重要な方策となっている。

 一般的なトカマクではプラズマ表面での安定係数gψ(σ)を2。0以下にすることは非常に難しく,m=2/

n=1のキンク不安定性・ティアリング不安定性に関連したディスラプションがその障害となっている。低g

化とディスラプション制御の方策は先に述べたが(表1),実際の高ベータ実験としては導電性シェルを有する中型

トカマクT-11装置をあげる事ができる。この装置ではプラズマ半径a=20cm(銅シェル半径b;25cm)

として・gcyl(の~・・85にて〈β〉~2・8%を得ている33)・この装置ではa-22cmまでプラズマ径を太く

し得るが,a=20cmが9cyl(σ)~1・6を得る事の下限であるらしい。

 一方・4・5%を達成した時のD一皿の放電では9ψ(σ)~L7であり・この場合には・プラズマ表面と真空容器の

間に薄いプラズマ(マントルプラズマ)が存在し,こ.の安定化効果によりgψ(σ)として2。0を切ることができたの

であろうと考えられている27)。

(iD 衝撃圧縮加熱と第二安定領域実験

Z【cml l

 130

O

Z【cml

130

    しじぴさザペちもちヤ

    聾lts 脚1 …劃\\\ 1」もIll・ 蚕’も 、、、覧N ili・ill ……きへ、 1嚇i 識’、、’し  61-1 ……劣ρ、 、  ■iii i……多’i レ  罵一し鷲←一一一一一伽陶 OO  29ii…i≡ ……81    Rlcm l O

 、!輔毫.凄ノ1111i二膿・…熱!1/

 繊…i’蜘///

灘影’瀞〆10μs

kTin =75eV

kTeo==15eV    でイ    ヨneo =4。10  cm

〈β〉=O.6

〈βP〉=4

2a  瓢20cm2b  ==220cm

R  =50cmPqb  =4・9

qo  =20

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・象1   朧(1らii  撚∫

’誉  =篤t

-2◎ …81 Rlcm]二ii 繍11勇   ・1漂1ノ

κ1 耀ノ/’ソ  ’il覧し!グノ    じノずスげσ   ,1∫暦、じ

夷餅

70μ5

区Tio=13eV

kTeo=12eV    ま   リヨne。 =7・10 cm〈β〉=α2

〈βP〉=1・5

2a  ==30cm

2b  =176cmR  謂50cmPqb  =52

qo  鎚2・O

                    36)図10.ベルトピンチ皿aにおける平衡の変遷を示す磁気面の図。

16

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解説 トカマクの高ベータ化とMHD不安定性 山 崎

 準静的な中性粒子入射による高ベータ実験と異なり,従来のピンチトカマクと同様にショック加熱34)を

                                         35)用いて一気に高ベータ第二安定領域に入るプラズマを作ることが可能であろうという指摘が従来からあった。

 かつてのベルトピンチ装置では圧縮直後に〈β>~60%に達し70μ,,c後でも20%である36)。 その時

の配位を図10に示した。 これらの配位は実験的に安定であったと主張されている。この種のベルトピンチ

実験は西独ではStuttgart大学で続けられており37),マイルドな楕円断面のピンチトカマク実験としては,

米国C。lumbia大学でのTORUS-R38’39),及び・電総研のETL-TPE-2装置40)で続けられている。

 TORUS-H装置ではCO2レーザー散乱/干渉システムによりn=14±2の高nモードの不安定性を〈β〉

~10%近傍で同定している。〈β〉~9%及び13%ではこの不安定性は観測されず,第二安定領域の存在

が実験的に示唆されたとしている41)。

 TPE-2においても〈β〉~13%が達成されているが・<β〉~1-13%・β,~0・3-5の領域におい

て,TORUS一亘とは異なり何ら不安定性や閉じ込めの劣化が起っていない旨報告されている40)。

3.2 高ペータプラズマの平衡と断面形状の制御

 10年程前には,ピンチトカマクのβ値の解釈として,一しばしば平衡によるβ限界が実験・理論の両面か

ら議論されたが,磁束保存トカマク(FCT)平衡では理論的に平衡によるβ,の限界がない事が示され42),

又,ピンチトカマクの研究が下火になったせいもあってβ~0(R/a)の高ベータポロィダルのプラズマの                       P実験は少なくなり,現在では,平衡のβ限界については殆んど触れられていない。平衡のβ限界よりも安定

性のβ限界の方が厳しいという事もあり,高ベータ平衡に関しては,

  (イ)各種変形断面の配位及びβ値の決定

 (ロ)極端変形の場合の垂直不安定性等の制御

が重要課題である。

 断面形状配位の確定については,各種コイル,鉄心及び

渦電流効果を考慮して,磁気プローブ,磁東ループ等の

データと,自由境界MHD平衡コードとにより定める43)。

 楕円及びD型断面での垂直不安定性のフィードバック制

御は,各種の非円形トカマクで試みられているが(例えば

文献(44,45)),高ベータ時には,ディスラプションと

の関連も深いと考えられる。従って,プラズマ形状の制御

はもとより,電流分布プロファイルの制御も重要である。

例えば,D一巫トカマクでは図11に示した様な微妙なガス

パフと電流立ち上げにより初めて〈β,〉~4・5±0・5%の

記録を達成し得ている。PDXにおける5・3%の記録も電

流立ち上げ時の平坦電流分布維持と階段状のビームパワー

 (  4.O ( o o  2.0

 -    0

  4.0 シ 署 _  2.o

 」

  O (  8.0

㊤ Eヒ の   4.0

℃ こ}   O

 δ 200 \の q(虚  1000 巴 o し _  4,0 邑 隼 2・0 3

図11.

 0    200   400   600   800   1000

      TIME(MS)

          36)D一皿トカマクでの高ベータ実験。

プラズマ電流(lp),ビーム入射パワー(Pb)

線平均密度(日e),D2ガス入射率及び反磁性

ループより定めた平均ベータ値(〈βT>)

の時間変化。

17

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核融合研究 第54巻第1号 1985年7月

入射により得られた結果である。

3.3 高ベータ実験におけるMHD不安定性

 低ベータの標準的トカマクにおいて問題となっているMHD不安定性としては,現象的に

  (イ〉鋸歯状振動

  (白) ミルノフ振動

  を、)ディスラプション

等に分けることができるが,高ベータ効果により,これらの不安定性がどの様に変化し,又,新しい不安定

性が励起されるかが重要となってくる。(関連するレビュー的論文として文献46)がある。)

(i)鋸歯状振動とミルノフ振動

 高パワー入射加熱高ベータ実験においては,内部モードとしての鋸歯状据動(Sawtooth Oscillat玉on)の

振舞いがジュール加熱時のものとかなり様相を異にすることが,JFT-2,及びISX-Bにおいて詳しく論

じられた隅47)。NBI加熱パワーを増やしていくと鋸歯状波の周期が長くなり大振幅となっていき,’更に

加熱パワーを増して高ベータ化すると,鋸歯状波に代って連続振動が現われる。この軟X線の連続振動は外部

信号としてのミルノフ振動とも強い相関があり,高β,効果によるm=1/n=1モードの磁気アイランドの

飽和によるものであることが抵抗性MHDシミュレーションより示唆されている47)。

(ii)Fishb・ne不安定匪

 PBXトカマクでは7.2MW重水素中性粒子ビーム(14。                                      #82×0805                          4垂直入射)により・gψ~1・8においてβ,~3%を記録し

ているが,βg;≧4.5において,ミルノフ信号に激しいバ

ースがあらわれ,それに伴ってNBIパワーの20~40%の

高速イオンのロスが観測された19’48)。この不安定性は

ミルノフ信号が,魚の骨に似ている事からfishbone不

安定性と呼ばれているが,この物理的メカニズムとして

は,高エネルギー捕捉粒子の曲率ドリフトによる才差

(precession)的な運動と,内部MHDモードとの共鳴的

カップリングにより励起されるものと解釈されている49)。

又,PDXではこのfishbone振動のプリカーサとして高

周波(50~150KHz)MHD振動も観測されており,こ

れも捕捉粒子により励起されたバルーニング不安定性で

あると考えられている50)。

Fishbone 不安定のおこる限界領域を先に模式的に図

6において示したが,実際のPDXの結果では図12に示

18

3

隻囚  2

(〈

己卜

1

O

  \  一一一鵬・   \.、 \73w

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灘義一一  之犠毎零

  1     2     3     4     5     6

          QSH

図12。PDXトカマクにおけるfishbone不安定性の       19)  おこる限界β値。 斜線部が境界領域。

  PESTコードによるn=1内部キンク限界の

  結果とよく合う。ここで安全係数は

          a2    1    君i 2   QSH=qcyL(1+ヌ{1+!(βP+Σ)})

  で定義されている。

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解説 トカマクの高ベータ化とMHD不安定性 山 崎

した様な斜線の領域がfishbone不安定性の起こる限界領域である。PESTコードによる理想MHD内部

モードの計算との簡単な比較からもこのfishbone 不安定性とm=1/n=1モードとの関連が示唆されて

いる。又,図13にミルノフ信号の波形を示した・

 PDX実験では,NBI入射パワーとして最大7・2MWまで可能であり,ミルノフ信号と鋸歯状振動とはジ

ュール放電の時には何ら相関がないのに対して,1~3MW NBI入射時にはβg~0・025でSX信号で                                丁観測されるm=1モードがミルノフ信号にも同期して現われ,.β<L5丁時の4~6MW入射実験におい                          TてはSX信号の正常な鋸歯状波パターンが崩れミルノフ信号にfishboneバーストが現われる。このf1shbone

の周期はトロイダル磁場の周期に比例し,又,m=1モードの周波数は入射ビームエネルギーに比例,及び

プラズマ電流に逆比例し,入射パワーやトロイダル磁場には無関係であることが実験で明らかにされている。

この不安定性はプラズマ電流に対して反平行のNBI垂直入射の場合には観測されていない。又,D一皿でも

PDxでのfishbone振動と類似の信号を観測しているが,Pbxと異なりこのMHDバーストによるプラズ

マ加熱効率の劣化は起こっていないと報告されている。

                      1.7 1.8

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図13.

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至…i]コzφo配¢5宕男

 2480   485   490   495   500   479                               486

 TI細ε{msec》                        了1旧E【msecl

               48)PDXトカマクにおけるFishbone不安定性。

軟X線の中心コード信号,真空容器壁外側近傍のミルノフ信号

及び中性子束信号の時間変化。

右図は2つのfishb◎ne振動近傍を拡大したもの。

19

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核融合研究 第54巻第1号 1985年7月

 このfishbone不安定性を防ぐ方法の一つとして考えられたのが,PDXを改造してのPBX装置における

プラズマ断面のビーン形変形であるり,想定されるm=1/n=1MHDアクティビティを極力下げようという

試みである。PBX装置での最近のNBI実験では,ビーン形変形により円形と比較して完全に安定化までは

いかないもののfi、hb。neの周期を遅らせるることが明らかとなっている29)。

(iii〉 ディスラプション

 トカマクの高ベータ化にとってディスラプション(d三sruption)の抑制は必須の課題である。ディスラプシ

ョンのレビューは文献(51),(52)で与えられているが,高ベータプラズマにおけるディスラプションの把

握が本節のテーマである。

 D一皿トカマクでのβ限界近傍でのMHDモードの同定結果を図14に示した。四角で示された点がm>5,

3≦n≦5のバルーニング型の振動でありn=1モードとは全く独立に励起されている(図15)。この高い

                                  47099                         1000.O                        kA    5

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      1(MA)/a(m)B(T)

図14.D一皿トカマクでのβT-1放電領域と         27)  MHDモードの同定。   ▲ m=2,n罵1外部キンクディスラプション

   ■ 3<nく5 MHD振動

 MW

mv・s

 %

 A.U.

 A.U.

Tls

Tls

8.0

12.0

5.0

400.0

150

  一go  150Tls

  -go

  5.O

G21kHz3・0

  1。o

PBEAM         ヒ

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SXR OIGOE ICENτRAll

SXR O100E IHIGH・PASS F梶IERl I

百θ酊OUTERWALし   ←←

500 600 700 800 900 1000 t璽00

照圃Lr自θ 0、0-18、O kHz                  し

“=1 1

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n=2 一_n;4 碑齢

20 940 9609801000・1020!040105TIME{msl

百θPOWEaSPE備ロM               “=4   0=1       1            1

   0       10      20      30      40      50

         flkH~1

図15.D一皿トカマクでの高ベータ放電波形と磁気   。        27〉  フローブモード解析。

  n臨1モードは鋸歯状振動のプリカーサーで

  あるがn議4モードとは独立。1020msec  からディスラプシ…ヨンヘとつながる間のモー

   ドの同定は困難。

20

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解説 トカマクの高ベータ化とMHD不安定性 山 崎

トロィダルモード数を有する振動は電流ディスラプションが起こる少し前に消滅してしまうのでディスラプシ

ョンの直接の原因とは考えられていない。一方,三角で示した点は,m=2/n=1め磁気アイランド構造

がSX信号で観測されないにもかかわらずミルノフ信号にm=2/n=1モードが観測されるので外部キン

ク型ディスラプション(extemal kinkdisruption)と考えられている例である。これは4 >0(4                                   sep    sep’セパラトリックスで定まる磁気面とリミターとの距離)のダイバータ実験において多発している。一方,

4  <0のリミター放電の場合には,壁とプラズマとの間のマントルプラズマ(mantle plasma)による sepディスラプション抑制の効果により,ダイバータ放電の場合よりも高いβ限界値を得ている。一般的に高ベ

ータの場合には鋸歯状振動(m=1/n=1)の後にディスラプションが発生する。

 PBXトカマクの場合も同様に,n=1モードがディスラプションと深く関連している。一方D型断面の

PDXではn>3のモードの同定が行われたのに対して,ビーン断面形状のPBXではn>2のモードは未だ

観測されていない29)。

 高ベータディスラプションの抑制の為には,3。2章で述べた様なガスパフや加熱パワー,電流立ち上げの

調整によりティァリング又はキンクに安定な分布を作る方法の他に,先の表1で示した様な局所的な高周波

加熱・電流駆動やビーム入射が考えられる。共鳴型弱ヘリカル磁場を使う事もできるであろう。外部キンク

型ディスラプションが問題の場合には,特に,導電性壁をプラズマ表面のできるだけ近くに設置することが

有効であり,部分的なリミターによる安定化の方法も示唆されている53’54)。

3.4・ 高ペータ化に伴う閉じ込めの劣化

(i)L-m・deとS・ft一β 限界          P ジュール加熱時のトカマクプラズマの閉1じ込め則としては,実験・理論両面からいくつかのスケーリング

則が提案されてきているが,現在のところ,TFTRを含めて55),ほぼ新アルカトール則に従っている。

 NBI加熱時には,最初にISX-Bトカマクよりスケーリング則が示され,ジュール加熱時のアルカトール

則の様な密度依存性がなく,プラズマ電流ろ に強く』依存する事が示された13’1曳

            1p3”稀    τ(1SXrβ)¢      ㏄一                              (14)    E    p諮  βP

このズレはビーム入射パワー密度として~1MW/m3を越える場合におこり,低ベータスケーリングからの

β効果によるズレとして

                   2β 2    ㌔e(・SX)=秘1一緬(一(TP))     (・5)

           ~」・w匙2τAkater

               =2×(5×10覗1万α2)                       eなる“S。ft_β リミット”則が提案された13)。 最終的なβ値のスケーリングとして16)

      P            P診,ψ    〈β〉(ISX一β)㏄                                        (16)            β~(1+κ2)

                     21

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核融合研究 第54巻第1号 1985年7月

を得ている。

 このβ,のソフトな飽和については,Carreras-Diamondの抵抗性バルーニングモードから考えられる輸

送理論と一致している。

 閉じ込めが,ジュール加熱時の%一依存からNBI時には1一依存に変わる時は,PDXやD一皿実験で              e                   p

も示されており,

    τ(PDX)㏄1                                           (17)    E            P

    ~(D一血)…・叫(崩)(・・4+%擁編))ザ5  (・8a)

    〈β>(D一皿)%一3・3β,(T)一21,(惚)(0・5+0・4pab,(謝))κ認5 (18b)

であった20)。T-10,T-11での低g高ベータ実験ではMere、hkin則との比較が行われ,良い一致を得

ている15)。

 これらの結果はR.G。ld、t。nによりまとめられ56)

    τE㏄・Pκ1勉。漁一〇・37R1・75          (・9)

が得られている。

より精密な最近のデータ整理によれば57)(Kaye-G。ldSt。nスケーリング則)

    τE(卿s)一2・77×10-5κo●28βT(T)一〇・091P(朋)1。24R。t(M四)『α58

         ×万(1013cm-3)α’26σ(cm)一〇●491~(cm)1曹65                 (20)

          e

である。図16に上式(20)の妥当性を示し

                     2㌧≠84Xl306                    10た。

 以上は“Lモード”放電に対するスケー

リング則であるが,次に述べる“Hモード”

に対しては上式のτ,の係数を2倍して考

えれぱ大まかなスケーリングとして用いる

事ができる。

(の Hモードと高べ一タ化

 いわゆる“Hモード”と称される閉じ込

めが良くてβ,値の高い放電パターンは,

ダイバータ配位としてのASDEXトカマク

により最初に見い出されて以来,PDXや

D一斑トカマクでもその良好な閉じ込め特性

り霧Ei

さ10謡

ト],

o-IS×一B

x-DITE△一D-HIIGA》

o-TFR掌一ASDE×◇一PDX+一PLT‘T)

▽一PLT(Sl

 o隻,×蓉

×

×

     藩

  謡灘ワ ワ

  》▽ △ ▽

677 Poin雪s

R2=0,94

        10      τ臼丁(msec}       E

             57)図16.Kaye-Goldsto論スケーリング則。

         ピ    式(20)と実験値τ蕊 との比較。

102

22

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解説 トカマクの高ベータ化とMHD不安定性 山 崎

を生かした高ベータ実験が行われている。

先ず,ASDEX22’23)での‘‘Lモード”と“Hモード”の比較を図17に示した。Hモードはある程度入射

パワーが大きくなければ起こらなく(ASDEXの場合にはPin>1.9MW),しかも,境界近傍のプラズマが

全体の閉じ込めに対して重要な役割りを果しており,ダイバータ放電以外の時には達成されていない。これ

に対する理論的解釈としては

(イ)セパラトリックスを横切る輸送は新古典的である。

(ロ)開いた磁力線に沿って,熱障壁(themal barrier)効果あり,

(ハ)セパラトリックスの存在により電流分布が台形的になってティアリング安定性が増加する。

の3つの可能性が示唆されている58’59)。

 このHモー一ドとリミター配位としてのLモードとのβ限界値の比較の一例を図18に示した。Hモードで

はLモードに比較して小さな入力パワーP でβ限界値近傍に達している。 この境界を越えようとすると                 TOTディスラプションが発生し,ディスラプションを抑える為に強いガスパフを行った場合にはHモード特性が

E   40.

0   2

18 0ミ 50-  40の三 20ゆ

e   O

 1.0営d  5-e  o_  2

希菖(   1uQu

①  0ト

a a   i

b b  l   〔、 イヘノ  1・ P

C C    へ  .・厨軸鮮

d d  i  I

(a)

4

3

Z職

\ 2ト

1

o

ヰしきぼにロド

   灘欝い

〆’

(b)

4

012345678     P・r◎T/BT

 1,0巳

職 5

e e

笏 3◎

1.O

図17.

1.¶  1,2   1.3  ,.41,0  1.1  1,2   1.3   1。4

      t【51

ASDEXトカマクにおけるLモード(左図)と         23)Hモード(右図)放電の比較。

平均密度5e,外部ガス入射束φG,ダイバー中

性化板からの原子束(E雷273ev)φa・中心

電子温度,及びβポロイダル値。NBl入躬

(右図1.6MW,左図1・9MW)部は斜線で示

されている。破線はLモードからHモードヘ

の遷移を示す。

z舶」,

\ 2ト

1

0

ロロル ゼもロ 

 ぜ 。も オン 。  ・2, ヨ のロ  ゆ コ

藷’・争

.だ

,。

  012345678        PTOT■BT

                26)図18.PDXトカマクにおけるβ限界サーベイ。

  (a)リミター配位

  (b)ダイバータ配位

  ここで βN≡lp(MA)/a(m)BT(T)

23

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核融合研究 第54巻第1号 1985年7月

こわれてLモードに変化してしまう。そういう意味においてHモードのβ限界があるが,結局のところHモ

ードのβ限界もLモードと同様なスケーリング則で表わすことができる。しかし,絶対値としてのβ値では図6や図

14に示した様に最大β限界値を得るにはリミター配位を用いる方が現在のところ良いことがわかる。

 従来のHモードの閉じ込めを更に向上させた超Hモード(ELM(edge locahzed卑ode-ASDEX)又は

ERP(edge relaxation phenomena-PDX)のないH一モード)も見つかっており,ASDEX PDXにて

詳細な実験・測定が行われてる§5’26’60)。又,ダィバータ配位以外でもHモード的な閉じ込めの良い放電

が確認されており,それらを含めて表3にまとめた。特に,低Z不純物混入による閉じ込めの向上(Z一モ

表3.NBI加熱時の閉じ込めの良い放電モード

ダイバータ配位

・Hモード・1鄙}のない昨一ド・PH(ペレツト)モード

リミター 配位

・Z(不純物)モード・スクープリミターモード・P(ペレツト)モード

一ド)についてはISX-Bでのβ限界値とも関連して運動論的効果を含めた抵抗性ベルーニングモード理論

との比較が行われている。又,D一皿で見い出されたP(pellet)一modeはダィバータを持たないTFTR等

にとって極めて有力な手段となりうるであろう。

 今後,更に新しい高性能なHモード的な放電領域が見い出されることに期待したい。

4.高ベータトカマク理論の進展

4.1平衡のβ限界とFCT

 トカマクのベータ値はプラズマ平衡理論の観点から上限があるとかつては信じられていた。ポロィダルベ

ータ値(β,)を上げると,プラズマ柱の変位が大きくなる事や,逆電流領域や第二の磁気軸があらわれる事

によりβ>遵の平衡はあり得ないとされていたのである。これに関連する解析的理論論文はこれまで沢山   アある(文献(63-68))。実際の数値計算ではCallen-Dory69)によりβ,>孟の平衡解が見つけられてい

たが,β,が大きくなるにつれてg(0)が1.0以下になってしまい,従釆の手法ではg(0〉≧1・0の色>孟高

ベータ平衡を得る事は難しかった。1977年J。F.Clarkeにより提案されたFCT(Flux Conservhg Toka-

mak,磁束保存トカマク)の考えは,それらの間題を一挙に解決した。円形70)及び楕円形7玉)高ベータトー

ラスの解析や』円柱トカマクモデ辺レを用いアこFCTでの分布の変化の解析72-74)等力∫肋れた.数値解法と

しては文献75)で示された様にR-Z座標で書かれたGrad-Shafranov偏微分方程式と,磁気面で平均化さ

れた常微分方程式を安定係数g(ψ〉保存しながら解くものである。FCT平衡では圧力の上昇に伴ってトロィ

24

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解 説 トカマクの高ベータ化とMHD不安定性 山 崎

ダル磁場がプラズマ表面で不連続となることが簡単な円柱平衡モデルからも示す事ができ,(イ)外部トロィダ

ル磁場を上げる事,(ロ〉プラズマを膨張させる事や,セ・)プラズマ圧力を平坦化させる事等の方法により,この

問題を避ける必要がでてくる。

 いずれにしろ,FCTの考え方の導入により,平衡のβ限界は現在のところ無いと考えられる様になった。

しかし,この考え方は磁場の抵抗拡散の時間よりもかなり長い現象に対しては十分ではなく,外部から磁束

を補う手法や,FCT配位維持の為の巧妙な電流駆動の方式が必要となってくる。 そういう意味からも将来

的には,輸送の問題にからめて,再び平衡の制約からのβ限界が重要視される可能性がある。

4.2 安定性のβ限界とスケーりング則

 トカマクのβ値を制限している不安定性としては,線型安定性と非線型性,理想流体モデルと抵抗性及び

運動論的効果,低モード数と高モード数不安定性など幅広く検討する必要があるが,現在のところ,複雑な

断面形状及び分布をもつ二次元トロイダル平衡に対する安定β限界スケーリング則としては,先づは線型理

想MHD流体モデルによる低モード数キンク不安定性及び高モード数バルーニング不安定性より定まるβスケ

ーリング則が有効である。それら理論的βスケーリングを表4にまとめた。

          表4.理論的ベータ限界スケーリング則

(A)n=1キンクモードによるβ限界則

  ・しausanne7)β≦2.81N,1閥…IP(MA)/a(m)BT(T)

  ・」AERl87) β≦(3、2±04)1闘

       β≦礎(・+・…・一{誓≦躍

(B)n=・・バルーニングモードによるβ限界則

  ・Cuiham91)β≦4.41N

          K          2Bo       β≦22一  ・ q」…

          Ag」    Rolp/area  ・GA2入92) β≦2.7f(k,δ)IN,≦371Nf・rD一皿shape

       β≦cρ等劉」{耀撫

  ・」AERl87) β≦(4.O±O,5)1閥

         3◎                      kO・75                  δ15

       β≦πK15い+σ9(㎞)卜α6マ+14的)(1馴マ}

  ・IP剛ag・ya32)β一47い一9(脳δ*)IN}IN

         9醐一÷{1一(網+響)(1繋5舘〉篇}

25

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核融合研究 第54巻第1号 1985年7月

(i〉キンクβ限界

 n=1キンクモードについては,線型安定性コードPEST76)を用いての計算が1977年に発表され77λ

その後にβ限界の広範なサーベイが行われた78)。INTOR型の上下非対称D型配位でのβ限界についても1

PESTコードにより検討されている79’80)。同様にERATOコード81)を用いての解析も,プラズマの断面

形状や電流分布効果等詳しく調べられている82-86)。これらは主lqET,BIG-DEE,次期装置のβ限界

に関連しての解析である。一方,簡便で汎用可能なβ限界値スケーリング(式(11))がLausanne研究所よ

り提案されている7)。日本原子力研究所では,L、uS、m,研究所よりERATOコードを導入して以来,独自

のコード整備及び解析を進めて各種のβスケーリングを導出している87)。

 n=1キンクモードは,D一皿実験結果より示唆されるように,プラズマと壁との間の薄いマントルプラ

ズマや,導体壁そのものにより,安定化されるので,表4に示した壁のないプラズマでのn=1キンクモー

ドから定まるβ値が,どの程度実験結果と比較できるか定かではない。実際にJAERIやGATでの計算では,

導体壁をプラズマ半径の~1・5倍のところに置けばキンクβ限界はバルーニングβ限界とほぼ等しくなるこ

とが示されている87)。

(の バルーニングβ限界

 n=。。バルーニングモード不安定性については概要を第一章に記したが,磁気シァのある場合のバルーニ

ング不程式はC。nner-HaStie一肱y1。rにより導出された3’88)。磁束座標(Ψ,φ,%)においてバルーニン

グ型の摂動をアイコナール表示

   X-X(凱ズ)即{in[φヂレ司}      (2・)

     レテー酬ψ=_t(局所ピツチパラメータ)

を用いて書こうとすると・磁気シアが存在する場合(嫉≠・・9一パπゆ)には

   働一4儲・4・

がzについて周期性をもたなくなり不合理が生じる。そこで変位をexp(inφ)のモードに分解し

   X=X(ψ,κ)exp(inφ)                          (22)

Xのフーリエ級数展開とフーリエ積分を考え最終的な様式として

  準モード(quasi-mode)表示

   X(死・)一寄[吋孟imq[エン(ヂ2毒血ツ)盆(励](2論)

   倉(鉱y)一F(死ツ)脚(一血∫yレ4x)     (23b)

26

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解説 トカマクの高ベータ化とMHD不安定性 山 崎

を用いることとした。

ここで,境界条件は

   0≦田≦π,X(国一π)一〇           (24)

であり,上記の変換により

   0≦囲<。・,F(団一。。)一〇           (25)

の非周期関数としての境界条件を使えば良いことになる。成長率が零の場合には

   券(購F)+僻パ、F一・      (26)

       橘,+(∫〆4・亭

       馬一β歳[・毒(P+穿)一悔ガ)∫・冠・1

であり,この式を用いてトカマクのバルーニングβ限界を算定することができる89・90)。

             4P各磁気面で(26)式を満たすπを求めてバルーニング限界安定の最適配位を求める事ができる・この・

バルーニングモードによる“最適”β値限界に対してもTroyon型スケーリング(β。c1、)が成立すること

を最初に示したのはCulh、mのグループである91)。GATではD一皿の実験との比較検討に重点をおいて92),

JAERIではINTOR-D型配位でのバルーニングβ値の詳細化87)を,更にIP歪一Nag。yaではD型からビ

ーン型断面変形への遷移の効果32)を重点的に調べている。安全係数g(勤の関数の形の効果を含めたスケー

リングも提案されている93)。

             「… 一一「   編 ”咄「   編噂一槽”扁1             ヨ       ヨ             じ             ヨ

      劇鱒灘瞼             む     ヨ          む          じ             し_ _一』   £ r印寵一『l    q』_-」

    li四ll圃11i口肛画二跳渡缶     0.6 1.O l。4 0.6 1.O l.4 0.6 1.O l.4 0.6 1。O l.4

       RIRo        RIRo        R/Ro        RIRo

                     32)         図19.バルーニング限界安定な配位。  アスペクト比A=3,及び安全係数

           qo=1,qs零2の場合,

             円形:β寓3・5%・楕円形1β綴72%・

             D型:β313.O%,ビーン型:β霜24.7%

27

』_

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核融合研究 第54巻第1号 1985年7月

 バルーニングモード限界安定の例を図19に示した。プラズマ断面を円形から楕円形・D形・ビーン形に変

形するに従ってβ値限界は上昇する。極端に変形するに従ってキンク・バルーン不安定性とは別に軸対称モ

ードに留意する必要がでてくる。又,ベータ植は高くなるものの表面電流型の平衡を長時間いかに保つかも

電流駆動輸送プロセスと関連して重要な問題である。

 以上のバルーニングモードに関するβスケーリング則は,理想MHD流体に対するものである。プラズマ抵抗1こよる不安定化94・95)や非等方圧力の効果96),イオンの反磁甑転の効果や有限ラーマ半径効翼・98≧

捕捉イオン粒子効果99)等による安定化についても解析がなされており,実験との比較も多少行われている。

(ゆ ティアリングβ限界

 一般的にプラズマ表面での安全係数9sが高いところではバルーニングモードが,9sが低いところではキ

ンクモードが重要だと考えられているが,実際にはこの他にティアリング不安定性を考慮する必要がある。

ティアリングモードによるβ限界に関しての詳細な検討は未だ行われていないが,Glasser等のティアリン

グモード安定な電流分布100)とC。nner-HaStie-Tayl。rのダイァグラムとを組み合せての検討がある4)。

バルーニングモードでβ~28ε/gσ~14ε(%=2)であるのに対し,ティアリングβ限界はβ~7εであ

りファクター2悪いことになる。

OV)運動論的モードとβ限界

 その他実験で観測されている有限ベータ効果による不安定性としてfishbone不安定性があり,関連する

理論解析が行われている19・50・101).実験的には,このfishb・ne不安定性によるβ値の制約は強くはない.

 fishboneモードは,入射された高エネルギー捕捉粒子により励起された新しい内部キンクモードと考え

られ・高エネルギー捕捉粒子のドリフトの才差(precession)周波数をω4hとすると・

    ω4h~ωn_、                  (27)

の共鳴の領域で起こり,成長率はMHDモードと同程度の強さとなる・ω4hが更に大きくなり

    ω4h~ωn>、>ωn_、   ・          (28)

の場合には,こんどはバルーニングモードを励起する可能性がある50’102)。他方,

    ω4h>艦HD    .         (29)の場合には高温の捕捉粒子によりMHDアクティビティが抑えられ,次に述べる“第二安定領域”へ到達可

能となる99).

4.3  第二安定領域

(i〉 バルーニングモ、一ド

 バルーニング方程式((26)式)を円形・高アスペクト比のトカマク近似で表わすと第1章の(5)式になり,

結局図3が得られるがC。nner et al.のやD。brott et a1.103)が解析した際には第二安定領域の存在には気

28

Page 25: トカマクの高ベータ化とMHD不安定性jasosx.ils.uec.ac.jp/JSPF/JSPF_TEXT/jspf1985/jspf1985_07/...核融合研究 第54巻第1号 1985年7月 タトカマク(いわゆるピンチトカマク)と区別する意味で,低ベータ装置として分類されてき.た。レかし,近年の中性粒子入射(NBI)及び高周波(RF)加熱のめぎましい進展により,現在,平均ベータ値として最

解説 トカマクの高ベータ化とMHD不安定性 山 崎

がつかなかった5CHTのS-Gdiagramの誤りを指摘したのはLortz等104)であり第二安定領域の存在

                       4Pを示唆したものの,彼の論点はむしろ4g/47→0,一→0においてもバルーニングモードがおこ                       47るという点に力点がおかれていた。n=。。バルーニングモードの第二安定領域の提唱という点ではCoppi等

の論文があ君o?同様嬬果はP。,gutSe-Yurchenk。・・6)によっても確かめられている.

 このS-Gダ≧アグラムより,第二安定領域のプラズマを得るには磁気シァが弱くしかもεβの大きい配                                        P位を作れば良いことになるが,物理的には,悪い曲率部での局所的磁気シアを強め有限値に保つ事と,悪い

曲率部(トーラス外側)と良い曲率部(ト

ーラス内側)との連結距離を小さくする事

が安定化に寄与している。

 このダイアグラムに従えば

   P(幅(・一ぴ)μ

               絢

   川一誓」(・一(づア

の分布のトカマク配位に対しては第二安定

な配位が見つからない(図20a)のに対し

て,表面電流を持つ配位(スクリューピン

チ的配位)では第二安定領域の高ベータ配

位が可能である(図20b)107)。スクリュ

ーピンチ的な高ベータ第二安定配位につい

               108)ては,より詳細なモデルでの解析がある。

 S-Gダイァグラムは,局所的な安定性

判定のダイアグラムであるが・第二安定領

域のイメージをつかむのに便利である。こ

のダイァグラムの詳細化は文献109,110)

で述べられている。有限アスペクト比の安

定働果・・6・…)非等方圧力の効果・・2乞

有限ラーマ半径の安定化効果9畦高エネル

ギー捕捉イオンの安定化効果99)等の各種

修正改良がなされている。

(の キンクモード

 この第二安定領域の示唆は,Mercier

(a)

S

(b)

2

1

0

(m)

 1

S O.5

 0

.懸

欝0 1

G

懸1   0 0,5 1、O

     r/a

2

O

図20,

29

   1     2    3     4     5

        G           lO7〉バルーニング安定な配位の模式図。

(a)第一安定な配位例二

 (30)式で(1):μ=4,γ冨1,(II)μ竃4,γ=3,

 (lii)μ富2」=3とした表面電流零の分布。

(b)第二安定な配位例1

 模式的なスクリューピンチ的配位(表面電流配位)

 により高ベータ化可能。

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核融合研究 第54巻第1号 1985年7月

モードに対しては 高β時の磁気軸シフト         Pによる磁気井戸の増大による安定化効果とし

て,かなり以前より指摘されていた113-115)。

キンクモードに対してもwaUをプラズマに接

近させて磁気シアの弱い場合には第二安定領

域が現われる事がCoppiのバルーニング解析

による提案の以前に明らかにされていた116)。

二次元安定性解析コードPESTによる計算で

もn=1,n=3 キンクモードに対して第二

安定領域を示唆する結果が以前より存在して

いた77’79)。一方,本格的な計算はStraUSS

等によるReduced MHDEequationを用いて

の計算117)及び原研でのERATOコードを用

いての検討118’119)等があり,最近は,ビー

ン型断面変形による第二安定領域直登の提案・

実験に関連して,広範なサーベイがなされて

いる120-123)。図21にその一例を示した。

4、4輸送理論と高ペータ効果

20

 15

ぢく

職10

5

  、  、P  、  、Aw/A冒14、

1』5

15

一躯ヤロヨの

\Ba闘oonln巳

\   1.5

\、フ/図

 1 !

ノ     13

  /

   0   0    0,1   0,2   0.3   0,4

         i図21.n=1外部キンクモードに対するビーン断面卜力マク

      123)  の安定領域。

  斜線部が不安定領域。壁とプラズマの半径の比Aw/Aが1・5

  以上になるとインデンテーション(i》を強めても第二安定化領

  域に到達できない。

  参考の為にn譜。。バルーニング安定境界を破線で示した。

 トカマクプラズマの異常輸送の問題は理論的に未だ完全には

解明されておらず,現在,各種のドリフト波乱流・ティアリン

グ不安定性等による磁気面破壊とそれに伴う異常熱輸送等の説

明が試みられている段階である124)。一般的な輸送モデルとし

てはConnerとTaylorにより,プラズマの基礎量・基礎方程式よ

                       125)りの次元解析を用いていくつかの輸送モデルが示唆されており

最近は,抵抗性MHD方程式と組み合せ統計的(Stochastic)

な磁場中での輸送を加味したモデ!レに発展させている1軌

 高ベータプラズマに関する異常輸送の問題は,前章でも述べ

たISX-Bトカマクでのソフトβ,限界則の実験の説明として・

Carreras}Diamondにより抵抗性バルーニングモードによる閉

じ込めの劣化が示唆され,実験を説明するのに十分であると考

えられている127’128)。理想MHD理論では,バルーニングモ

ードの不安定成長率はベータ値に対する強い関数になっており・

6#85τO~[9

図22.

⊥,/(叉 」

申隔/、\

,1△\\キ !!・\\

⊥11\\   1  い   ヒ              し し

1蕊   いi註へ/へ救\\1

  ㌧  \湘、、O

 O  I 2  3  4  5  6  7      β1%1

 典型的な線型不安定性成長率に対する     129) 有限β効果。

 (a):理想MHDバルーニングモード

 (b):運動論的バルーニングモード

 (c):圧縮性イオン音波とのカップリングを

  考慮した場合の運動論的バルーニング

  不安定性 (d):圧縮牲イオン音波とのカップリングを

  考慮した場合の捕捉電子ドリフト不安定性

 (e)=Krookオペレータを衝突モデリレとして

  用いて(c)と(d)の組み合せを考えた場合。

30

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解説 トカマクの高ベータ化とMHD不安定性 山 崎

『ハードβ限界』しか説明できない事になるが,抵抗性バルーニングモードの場合にはβ 値の上昇と共    p                                                                p

に徐々に成長率が上がるのでISX-Bの実験結果とも一致する。しかし,トロイダルモード数の大きい短波

長の揺動に対してはイオンの有限ラーマ半径効果,反磁性ドリフト回転の効果等の安定化を無視する事はで

きず,これらの効果を含めた理論的検討がなされている128’129)。図22にその一例を示した。この種の運

動論的抵抗性バルーニングモードによる異常輸送モデルは,最近ISX-Bで見つけ出された“Z一モード”

                                        61)(ゲッター無しや不純物入射により得られる閉じ込めの良い運転モード)の輸送の解釈にも用いられている。

5. 高べ一タ次期計画

現在の高ベータトカマク実験としては,先

の表2に示した様に,D型断面低アスペクト

比のD一皿及びビーン型断面PBXトカマクに

代表される様な非円形トカマクが一般的とな

ってきている。又,これからもJFT-2M,

D一皿一BigDee,PBX-UG,ASDEX-UG

等の非円形断面中型トカマクによる高ベータ

が期待できる。一方,更に極端な断面変形を

考え,平均限界べ一タ値~20%以上のトカ

マクを構想する事もできる。図23に模式的

に断面形状の変形度を3つの軸に表わし,ア

メリカ及び日本での核反応計画で提案されて

きた4つの装置の位置づけを示した。そのパ

ラメータは表5に示されている。 FEDC

のM。Peng氏の提案によるST(Spher玉cal

Torus)はアスペクト比Aが2以下である極

端にfatな装置であり,全面的にRF電流駆

動に頼った設計となっている。GATのET

(Elongated or Ellipsoidal Torus)は楕円

度κが5以上のかつてのベルトピンチの様な

形状である。但し,g分布が,従来と異なり

プラズマ中心よりも表面で低く楕円度は中心

の方が外側よりも大きいレーストラック型が

考えられている。又,バルーニング安定性の

  ε

ひ一ST

  ←野・

  1δ一i

     Ebngated Bean

☆野)聾緋び一κ臨 iFat-Dee    l  (降B、、㎞)

図23.極端非円形断面高ベータ化の提案。

  3つの極限として

   ST(Sherical T◎rus)

   E-r (Elongated T◎rus)

   BT (Bean-Shaped Torus)

  がある。

表5.高ベータトカマクの次期計画

βcrit(%) A κ δ/i

ST (FEDC)~20 ~1.6 ~2,0 ~0.5

ET (GAT)~80(?) ~5 ~8 i必要  (?)

BT (PPPL)≧20(第2安定) ~3.5 -4.0

~1,5 i~O.3

R-Tokamak (IPP-Nagoya)

~10-20 ~2,9 ~2,3 i~O,1

31

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核融合研究 第54巻第1号  『1985年7月

観点からは単純な縦長は必ずしも良くはなく,図示した様なへこみを持った系も検討されている。PPPL

で提案されたBT(Bean-Shaped Torus)は第二安定領域でのくβ>~20%を目標としている。

 以上のST,ET,BTはアメリカの次期イグニション計画の一環として設計検討されてきているが,現状

のデータベースからの跳びが大きすぎるので,残念ながらイグニショントカマクとしてはどれも採用され難

いと判断されている。名大プラズマ研究所でも高ベータ化の設計を進めてきており,ε,κ,δ一∫の組み合せ

による最適形状の一例がR-T。k、m、k参考設計である130)。 この設計では,導電性の良い真空容器による

軸対称モードの抑制の効果を利用している。極端非円形トーラスでは垂直不安定性の様な軸対称モードの抑

制が高ベータ化に極めて重要となってくる。これからのD一皿一Big-Dee,PBX-Upgrade等の実験開始が

待遠しく感じられる。

6. おわりに

 以上,高ベータトカマクに関連した実験・理論を概観してきた。現在の大型トカマクでは,TFTRが最終

目的の1/5にも足らない~5MW中性粒子入射実験において既に閉じ込めの劣化のきぎしがあらわれペレ

ット入射による“Pモード”の試みが行われており,又,JETでは楕円度を1。6以上に上げた場合に激し

いディスラプションに悩まされ,更に,JT-60では運転の緒についたばかりである。従って3大トカマク

での高ベータ実験はまだまだ先の事として,中型装置での機動的実験が望まれる。現在なされている高ベー

タ実験はいずれもがトロィダル磁場を下げての実験であり,ディスラプシ・ンの多発と閉じ込め悪化を無視

しての高ベータ値の達成が大半である。将来の標準型核融合炉領域(~5T,5~10%)での安定なプラズ

マの生成保持に向けての実験・理論の構築と同時に,更なる高ベータ配位(1≧10%)による核融合炉の小

型化・コンパクト化の研究は極めて重要である。それは,ある時はこれまでに得られてきたトカマク研究で

の成果に立脚し,アドバンスト・トカマクを構想する必要があると同時に,又,ある時にはトカマクを離れ,

他の高ベータコンセプト(RFP,スフェロマック,ヘリアック等)との共通の物理,手法を有機的に統合した

新しいコンセプトの開発が望まれるかもしれない。その様な遠大な目標の一助として本拙稿が役立てば幸せ

である。

32

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解説 トカマクの高ベータ化とMHD不安定性 山崎

参  考  文  献

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8)M.N.Rosenbluthε診α」.:Pkys.Rev.Lett.51(1983)1967.

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16)M.Murakami e孟α1.:Plαε窺αPhgs∫csαη4Coη置γo〃e4/V%cJεαγF%5’oπRe3eα7ch(Proc.9th

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17) B.A.Carreras e孟α♂.: PZαs勉αP吻sオcsαη4Coη言γoπed/VμcZεαT F郡3診oηReseαγcん(proc.

  9th Int.Conf.Baltimors1982)VoL3(1983)77.

18) L.A.Charlton c言α1.:NucL Fusion24(1984)33.

19) D.Johnsonθ孟α」.: PJαs7ηαP吻5Jc5α裾Co初γoJJ召d IV初c♂eαγF%s∫oπRεεεα¢cん(Proc.9th

  Int.Conf.Baltimore,1982)VoL1(1983)9.

20)M。Nagami the JAERI team,D.Overskei and the GA team:PJα5勉αPhgs♂csαη4Co初γo〃εd

  !〉%cJeαT F粥’oηReseαγch(Proc.9th Int.Conf.Baltimore,1982)Vol.1(1983)27.

                 33

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核融合研究 第54巻第1号   1985年7月

21) K.H.Burrell,R.D.Stambaugk e孟α」.:NucL Fusion23(1983)536.

22)F.Wagner eオα」.:PJαs?ηαP⑳s∫csαηd Coη君ずo〃ed/V%cJεαゲF粥加Resεαγch(Proc.9th Int.

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23)F.Wagnerε言α」.:Phys.Rev.Lett.49(1982)1408.

24)K.McGuire eオα」.:Phys.Rev.Lett.50(1983)891.

25)M.Keilhacker e言α」.:PJαs伽αPhg8∫c5αη4Coη艀o〃θ4/V%cJeαγF鋤5∫oη.Reseαγch(Proc.10th

  Int.Conf.London,1984〉VoL1(1985)71.

26)K.McGuireεむα」。:.PJα5鵬αP吻s∫csαπ4Coη孟ずoJJed IV%c♂eαT F粥JoηReseαγcん(Proc.10th

  Int.Conf.London,1984)Vol.1(1985)117.

27) R.D.Stambaughε孟α」.: PZα3gηαP勿ε言csαηd Coπ置γoJJed IV%cJeαゲF%3δoπReseαTchl(Proc.

  10th Int.Co㎡.London,1984)VoL1(1985)217.

28)M.Okabayashi e置α」.:Plαs?παP勿s∫csαη4Co撹ずoJle4/V%cJcαγF%5JoηReseαγcん(Proc.10th

  Int.Con{.London,1984)Vol.1(1985)229.

29)岡林典男,PBXグループ:私信

30) J.」.Ellis e言α」.:Plαs?ηαPh“3∫csα認Co観γoJZe4〈r%cleαγF粥∫oπRe5eαTch(Proc.8th Int.

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34

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解説 トカマクの高ベータ化とMHD不安定性 山崎

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核融合研究 第54巻第1号   1985年7月

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解説 トカマクの高ベータ化とMHD不安定牲 山崎

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