マツタケの菌糸体生育に及ぼすトレハロースの影響...

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マツタケの菌糸体生育に及ぼすトレハロースの影響とトレハ ラーゼ生産性 誌名 誌名 日本菌学会会報 = Transactions of the Mycological Society of Japan ISSN ISSN 00290289 巻/号 巻/号 512 掲載ページ 掲載ページ p. 59-67 発行年月 発行年月 2010年11月 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター Tsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat

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マツタケの菌糸体生育に及ぼすトレハロースの影響とトレハラーゼ生産性

誌名誌名 日本菌学会会報 = Transactions of the Mycological Society of Japan

ISSNISSN 00290289

巻/号巻/号 512

掲載ページ掲載ページ p. 59-67

発行年月発行年月 2010年11月

農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センターTsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research CouncilSecretariat

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日菌報 51: 59-67, 2010

論文

マッタケの菌糸体生育に及ぼすトレハロースの影響とトレハラーゼ生産性

楠田瑞穂1) ・淀野亮祐2) .上田光宏1) .白坂憲章2)• 宮武和孝1) .寺下隆夫2)

1)大阪府立大学生命環境科学部生物資源循環工学研究室,〒 599-8531 大阪府堺市中区学園町 1-1

2)近畿大学農学部応用生命化学科食品微生物工学研究室.〒 631-8505 奈良県奈良市中町3327-204

Effect of trehalose and trehalase production on mycelium growth of Tricholoma matsutake.

Mizuho KUSUDA1l, Ryosuke YODONdl, Mitsuhiro UEDA1l, Norifumi SHIRASAKA叫Kazutaka MIYATAKE1), Takao ToRASHITA2)

1) Laboratory of Biocycle Engineering, Graduate School of Life and Environmental Sciences, Osaka Prefecture University,

1 -1 Gakuen-cho, Naka-ku, Sakai, Osaka 599-8531, Japan

2) Laboratory of Food Microbiological Science and Biotechnology, School of Agriculture,

Kin-ki University, 3327-204 Nakamachi, Nara 631 -8505, Japan

(Accepted for publication September 30 2010)

Effect of trehalose on the mycelial growth and production of extracellular trehalase of Tricholoma matsutake was exam-

ined. Large amounts of mycelial dry weights were obtained when the vegetative mycelium of this fungus was cultured in the

partially modified matsutake liquid (PMML) medium and the Hamada matsutake liquid (HML) medium supplemented

with廿ehaloseas compared to cultures in supplemented with glucose. The range of the effect of 1.0 -8.0 % carbohydrate

substrate on vegetative mycelial growth was investigated. The optimal concen廿ationfor mycelial growth was 2.0% for the

glucose medium but 8.0% for the廿ehalosemedium. The activity of the extracellular廿ehalaseincreased during vegetative

mycelial growth of T. matsutake and was maximal 70 days after inoculation. The extracellular廿ehalasewas examined for pu-

rification and characterization.

(Nippon Kingakukai Kaiho 51: 59-67, 2010)

Key Words―Ectomycorrhizal fungus; Edible mushroom; Mycelial growth; Trehalase; Tricholoma matsutake

緒言

これまでに著者らは,マッタケ [Tricholomamat-

sutake (S. Ito & Imai) Sing.]の糖質基質利用性の観点か

ら,マッタケが生産する糖質分解酵素の特徴について検

討してきたその結果,マッタケではデンプンやセルロー

スから子実体形成に必要な充分量のグルコースを供給す

るためのいくつかの酵素系のいずれにも欠陥があり,こ

のことがマッタケ子実体の人工栽培を難しくしている原

因の一つであることを指摘した (Kusudaet al. 2008).

しかし,マッタケ菌はマルトースとトレハロース,ラク

トース(一部の菌株)など,ごく一部の 2糖類でも,あ

る程度の菌糸体生育を示すことから,本菌の糖質基質利

用の全体像を明らかにするために,これら 2糖類の糖質

-59-

基質でのマッタケの生育と関連する酵素類の生産とそれ

ら酵素の特徴についても解明する必要があった.

そこで,まず菌糖とも呼ばれ, きのこ全般の主要低分

子糖質成分であるトレハロースについて検討した. トレ

ハロースはきのこの菌糸体や子実体に普遍的に含まれ

(10~23%/乾燥重量),エノキタケ [Flammulinave-

lutipes (Curtis) Sing.] (Kitamoto and Gruen 1976)やア

ミスギタケ [Polyporusarcularius (Batsch) Fr.J (北本ら

1978)では主たる転流炭水化物として,また,低分子の

貯蔵炭水化物として機能することが報告されており,き

のこの生育に極めて重要な非還元性の 2糖類である(奥

ら1998).

一方, きのこの菌糸体をトレハロース添加培地で培養

すると,冷凍耐性や熱耐性が向上し,ストレスに対する

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楠田・淀野・上田・白坂•宮武・寺下

保護効果や過酸化脂質生成抑制効果が付与されること

(寺下ら 2006a, 2006b ; Shirasaka et al. 2006),シイタ

ケ [Lentinulaedodes (Berk.) Pegler]子実体を通風乾燥

(50℃)すると子実体中のトレハロース含量が著しく増

加することが報告されている(淀野ら 2007).

トレハロースの合成と分解に関与する酵素としては,

トレハロースをグルコース 2分子に加水分解するトレハ

ラーゼ (Thase) と, トレハロースをグルコースとグル

コース 1ーリン酸 (GlP) に分解するトレハロースホス

ホリラーゼ (TPase)が知られている.これらの酵素は

トレハロースの合成も行う可逆酵素であるが, Thaseに

ついては,マイタケ[Grifola frondosa (Dicks.) Gray J およびエリンギ [Pleurotuseryngii (DC.) Quもl.]子実体

で確認されている(渡部ら 1998, 荒木ら 2009),このう

ち,マイタケのThaseについては単離・精製が報告され,

Murata et al. (2001) は,シイタケから Thaseを完全精

製し,諸性質も報告しているが,まだ不明な点も数多い.

一方, TPaseは, 1978年にエノキタケから発見された

a-GlPを生成する酵素である (Kitamotoet al. 1988a).

この酵素はその後,アミスギタケやブナシメジ [Hypsizy-

gus marmoreus (Peck) H.E. Bigelow] (Kitamoto et al.

1988b) など多くのきのこで確認されており, Pleurotus

sajor-caju (Fr.) Sing.では酵素のクローニングが報告さ

れている (Hanet al. 2003).

本報告では,これまで不明であった菌根性担子菌マッ

タケの菌糸体生育に及ぼすトレハロースの影響について

汎用されているグルコースと比較しながら検討したさ

らに,マッタケの糖質分解酵素系の生産性の概要を知り,

この糖質の分解と合成に機能すると考えられる菌体外

Thaseの生産およびその酵素の精製法の検討と酵素学的

性質の解明を試みたので報告する.

実験方法

供試菌株

本研究には研究室保存菌で常用している Tricholoma

matsutake Z-1株 (Inabaet al. 1995) を用いた.

使用培地

本研究では前培養培地として,グルコース 20g, 寒

天粉末20g, 乾燥ビール酵母末(エビオス) 5gに水道

水を 1,000ml入れ,さらに lNHClを1.6ml添加した浜

田マッタケ寒天培地 (pH5.1 ~5.2) (浜田 1964) をま

た,本培養培地としてこの培地から寒天粉末を除いた液

体培地と,ポテト煮汁,グルコース,酵母エキスなどを

主成分とするマッタケ改変液体培地(寺下ら 2000) を

用いた.

-60-

培養培地の調製と培養

マッタケ改変液体培地

既報の方法(寺下ら 2000)にしたがって培地を調製し,

マッタケ改変液体培地の炭素源の濃度と一致させるた

め,本培地中の炭素源をグルコース 2.27%, トレハロー

ス2.27%,グルコースとトレハロースをそれぞれ 1.135%

ずつ混合した 3種類の培地を使用した.

浜田マッタケ液体培地

浜田マッタケ培地の炭素源をトレハロース 2.0%,グ

ルコース 2.0%,グルコース, トレハロースをそれぞれ

1.0%ずつ混合調製した培地を使用した.

予め浜田マッタケ寒天培地で前培養 (24℃,明所, 40

~60日間)した供試菌 (5mm角)を本培養培地に接種

し, 24℃,明所 (200Ix)で60日間静置培養した.

菌糸体生育に伴う Thase活性の変動

粗酵素液の調製

培養 10日毎(最大で 808間)の培地を濾紙 (TOYO

ADVANTEC No.2) を用いて,吸引ろ過し,菌糸体と培

養ろ液に分離した.この培養ろ液を粗酵素液として使用

した.

菌糸体生育量の測定

菌糸体を脱イオン水で充分洗浄後,凍結乾燥機(東京

理科器械)を用いて菌糸体から水分を取り除き,菌糸体

乾燥重量を測定した.

Thase活性の測定

粗酵素液をダイアライシスメンブレン 20(和光純薬

工業株式会社)に入れ, 20mM Mcllvaine buffer (pH 5.0)

で一晩透析したものを酵素液としたサンプル,ブラン

ク共に 20mMトレハロース添加 O.lMMcilvaine buffer

(pH 5. 0) 100 ml, 20 mM CaC12添加 0.1 M Mcilvaine

buffer (pH 5.0) 80 mlを加え,攪拌したのち, 50℃で 30

分間酵素反応させた.反応後,ソモギーネルソン法にて,

反応で生成した還元糖を 655nmの吸光度で測定した

(Somogyi 1952).なお, Thase活性は 50℃で酵素反応

させ, 1分間に 2mrnolのグルコースを遊離する酵素量

を1unit (U) と定義した.また,タンパク質の定量に

はMicroBCA法 (Kusudaet al. 2006) を用いた.

pH測定

pHメーター (HORIBA) を用いて培養液の pHを測

定した.

菌糸体生育に及ぼすトレハロースの影響

本培養培地の調製

浜田マッタケ液体培地の炭素源濃度を 1.0, 2.0, 4.0

および8.0%になるようにグルコースとトレハロースを

用いてそれぞれ調製し,高圧蒸気滅菌 (121℃,20分)

後使用した.

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マッタケの菌糸体生育に及ぼすトレハロースの影響とトレハラーゼ生産性

菌の接種と培養

前培養した供試菌 (5mm角)をそれぞれの本培養培

地に接種し,恒温培養室で20,40, 60日間静置培養した.

培養終了後,菌糸体乾燥重量, Thase活性について調べ

た.

菌体外Thaseの精製

マッタケ改変液体培地で24℃,明所, 60日間培養し

た100ml容マイエルフラスコ 260本分の培養液 1,530

mlを吸引ろ過によって菌糸体と培養ろ液に分離し,得

られた培養ろ液を酵素精製出発物質とした.酵素の精製

はすべて 4℃で行った.本酵素は 60%飽和硫酸アンモニ

ウム塩析,透析, Toyopearl-DEAE650 M カラム(東ソー,

26 x 150 mm, 70.0 ml), Capto MMCカラム (GEヘルス

ケアバイオサイエンス株式会社製, 15.0ml), Mono Pカ

ラムクロマトグラフィーおよびSuperdex200カラムク

ロマトグラフィー [GEヘルスケアバイオサイエンス株

式会社製 1.0x 30 cm (24 ml)]に供し,精製を進めた.

酵素の諸性質

分子量測定

ゲルろ過カラムクロマトグラフィーおよびSDS-ポリ

アクリルアミドゲル電気泳動 (PAGE)の相対移動度か

ら分子量を算出した (Leammli1970).ゲルろ過の分子

量マーカーにはオリエンタル酵冊製の HPLC用分子量

マーカーを用いたまた, SDS-PAGE分子量マーカーに

はPrecisionPlus Protein™ Standards (BIO-RAD) を使

用した.

pHの影響

酵素の至適pHの検討には pH2.0-8.0に調製した

100 mM Mcllvaine bufferを用い, 37℃で反応させ,

Thase活性を測定したまた, pH安定性は, pH2.0-8.0

に調製した 100mM Mcilvaine buffer中で酵素液を

37℃,30分間処理した後 100mM Mcilvaine buffer (pH

5.0)で, 37℃ .30分間反応させ,残存活性を測定した.

なお,酵素活性は全てソモギー・ネルソン法 (Somogyi

1952) によって測定した.

温度の影響

酵素の至適温度測定は 20℃-70℃で 30分間反応さ

せ, Thase活性を測定したまた,温度安定性は 20℃

-70℃で 30分間処理した後, 37℃,30分 反 応 後

Thase活性を測定した.なお,活性は全てソモギー・ネ

ルソン法 (Somogyi1952) によって測定した.

金属イオンの影響

Ag+,Co2+,Ca2+, Cu2+, Mn竺 Z砧などを含む 15種

類の試薬およびEDTAで処理後,ソモギー・ネルソン

法によって酵素活性を測定し, Thase活性に及ぼす影響

を調べた.

-61-

酵素の基質特異性の検討

特級試薬の 6種類の二糖類, トレハロース[(樹林原生

物化学研究所],セロビオース,[ナカライテスク朦],

マルトース,イソマルトース,スクロース,ラクトース

[和光純薬聡]をそれぞれ0.1M Mcilvaine buffer (pH

5.0) を用い, 20mMに調製したものを基質として用い

た.酵素反応後, F-kitグルコースを用い,酵素反応によっ

て生成したグルコース量を測定した.

結果

マッタケの菌糸体生育に及ぼすトレハロースの影響

マッタケ栄養菌糸体生育をグルコースおよびトレハ

ロースを培地の炭素源とした二糖類の培地で検討した.

マッタケ改変液体培地ではグルコース培地, トレハ

ロース培地ともに培養40日目から菌糸体乾燥重量が増

加したしかし.培養60日目になると,グルコースよ

りトレハロースを炭素源とした試験区において菌糸体乾

燥重量がより増加する結果を得た[図 1(a)].培地 pH

についてはいずれも pH5.0~6.0の範囲を示したまた,

結果は示していないが, Thase活性は培地組成にもかか

わらず,培養20日目頃から確認され,以後は培養日数

の経過に伴い上昇したしかし,培養50日目以後はグ

ルコース試験区での活性上昇が著しく, トレハロース培

地の 3.5倍強の活性を示した.

一方,浜田マッタケ液体培地では.グルコース試験区

より, トレハロース試験区において菌糸体乾燥重量が増

加した[図 1(b)]. pHについては pH3.7~4.5の間で

推移した.グラフには示していないが. Thase活性はマ

ッタケ改変液体培地の場合と同様に本培地でも培養20

~30日頃から確認され,以後は培養日数の経過に伴い

上昇した.本酵素活性はグルコース添加区において培養

40日目付近で著しく上昇した. しかし,培養50日目の

活性は他の試験区とほぼ同程度にまで低下した以上の

結果から,菌糸体の生育は,グルコースよりグルコース

にトレハロースを半量加えるか, トレハロース単用の培

地でより良好である結果を得た.また,菌糸体の生育は.

浜田マッタケ培地に比較して,マッタケ改変液体培地で

良好であり,糖濃度に若干の差はあるものの,両者の差

は培養60日目で約 3倍の差となった.

マッタケの菌糸体生育に及ぼす培地炭素源濃度の影響

菌糸体生育に及ぼすグルコースおよびトレハロース

の影響について,マッタケの菌糸体生育に常用される浜

田マッタケ液体培地を用い,検討した.グルコースでは

2.0%まで菌糸体生育が良好で,培養60日目では 1.0%

の約 1.2倍の菌糸体乾燥重量を得た, しかし, 4.0%,

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楠田 ・ 淀野 ・ 上田・白坂•宮武・寺下

160

(エse1:J.\8E)

120

(a) (b) 培養日数 ■20日

□40日

□60日

囀躙蓑溢姓掘

80

40

゜ Glu Glu+Tre

PMML培地

(糖濃度 2.27%)

Tre Glu Glu+Tre

HML培地

(糖濃度 2.0%)

Tre

図 l. マッタケ菌糸体生育に及ぽすトレハロースの影響

PMML培地:マッタケ改変液体培地

HML培地 :浜田マッタケ液体培地

Glu:グルコース添加

Glu+Tre:グルコース :トレハロース (1: 1)添加

Tre:トレハロース添加

8.0%では添加量が増加するに従い,

ろ低下した(固 2(a)).

一方,生育基質に トレハロースを用いた培養では,

8.0%で菌糸体乾媒重量の最大値を示し,培養 60日目で,

1.0%の約 2倍の菌糸体乾燥重量を示したさらに,いず

れの培養日数でもトレハ ロース8.0%において最大の菌

糸体乾燥重量を示し,グルコースと トレハロ ースで菌糸

体の生育最適濃度に明確な違いが認められた(図 2(b)).

マッタケの菌糸体生育に伴う菌体外 Thase活性の変動

マッタケ改変液体培地を使用し,マッタケの菌糸体

生育および菌体外酵素活性の変動についてのタイム コー

スを調べた結果は図 3に示した.本菌の菌糸体生育は,

培養40日目を境にして活発に増殖し,以後は培養日数

の経過とともに順調に増加した一方,菌体外Thase

活性は,菌糸体の生育に 20日程遅れて活性の上昇が認

められたそ して,菌糸体生育が盛んになる培養 60日

目頃から活性の上昇が著しくなり,培養 70日目に最大

菌糸体生育はむし 活性を示したしかし,培養 80日目にはその活性は著

しく低下してしまった

菌体外 Thaseの精製

酵素の精製は Thase活性が最大になる培養 70日目の

粗酵素液を用いた.培養終了後,吸引ろ過によって菌糸

体と培養ろ液に分離 し,得られた培養ろ液を酵素精製出

発物質とした(フラス コ260本分: 1,530ml).粗酵素

液に硫酸アンモニウムを 60%飽和になるように添加し,

一晩攪拌しながら塩析した.得られた沈殿を 9,000xg

で遠心分離して回収し, 10mM CaC12を添加した 20

mM Tris-HCI buffer, pH 7.0に溶解したものを同 buffer

で二晩透析したその後,回収した粗酵素液を lOmM

CaC12を加えた 20mM Tris-HCI buffer, pH 7.0で平衡化

した Toyopearl-DEAE650 M カラム (東ソ ー, 26X 150

mm, 70.0 ml)に通 した活性の確認された非吸着画分

を回収し, 20mM酢酸 buffer(pH 5.0)でbuffer置換 し

た.回収した酵素液を 10mM CaCI2を加えた 20mM酢

-62-

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マッタケの菌糸体生育に及ぽすトレハロースの影押とトレハラーゼ生産性

160

(エse-↑¥8E)

1 20

囀躙薬溢姓掘

80

40

(a) (b) 培養日数 ■I 20日

□40日

□60日

T

2

4

8

図2.

グルコース(%)マッタケ菌糸体生育に及ぽす培地の炭素源濃度の影押

マッタケ菌の培養には浜田マッタケ液体培地を使用 した.

一 2

4

8

トレハロース(%)

(エseu¥BE)

囀躙康溢姓堀口

0

0

0

0

0

0

0

0

0

6

4

2

0

8

6

4

2

1

1

1

1

0.6

0.5

0.4

0.3

ーニse1J/n)

0.2

0.1

坦曲

ase41---+-

゜10 20 30 40 50 60 70 80

培養日数(日)固3. マッタケ菌糸体生育に伴う Thase活性の変動

マッタケ菌の培養にはマッタケ改変液体培地を使用した

Thase活性はソモギーネルソン法によって測定した

-63-

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楠田・淀野・上田・白坂•宮武・寺下

酸buffer,pH 5.0で平衡化した CaptoMMCカラム (GE

ヘルスケアバイオサイエンス株式会社製, 15.0ml) に通

した.活性の確認された非吸着画分を回収し. Spectra/

Gel (Spectrumlabs. com製)中で二晩濃縮した.濃縮後

のサンプルを再度buffer置換し (pH7.0). Mono Pカ

ラムクロマトグラフィーに供した.活性の確認された非

吸着画分を回収し,限外ろ過 (MILLIPORE社製 Ami-

con Ultra—15 (MWCO 10 kDa) : x 3,000 rpmおよびUltra

free-MC (MWCO 30 kDa) : x 5,000 rpm)で約 200μlま

で濃縮した.この濃縮酵素液を Superdex200カラムク

ロマトグラフィー (GEヘルスケアバイオサイエンス株

式会社製 1.0x 30 cm (24 ml)に供した結果は表 lに示

したが. 6段階の精製ステップを経て,最終的に精製倍

率2940倍比活性7.34U/mg protein, 回収率 19.1%で

あった. しかし,本酵素は精製時に使用した培養フラス

コ本数が不足したためか, また.マッタケでは通常の担

子菌類の酵素生産量に比較すると.著しく活性が弱かっ

たことから,わずかに0ーグルコシダーゼ活性が残存し

た状態であり,完全精製には至らなかった.

表 l マッタケの生産する菌体外Thaseの精製過程

精製 総タンパク質量 総活性

ステップ (mg) (U)

培養ろ液 24,600.00 62.70

60%硫安飽和度ー沈殿 3,130.00 41.70

透析画分 2490.00 47.00

Toyopearl-DEAEー非吸着 360.00 48.90

CaptoMMCー非吸着 110.00 21.40

MonoP 8.00 20.40

Superdex75 2.60 12.00

マッタケの生産する菌体外Thaseの諸性質

菌体外Thaseの諸性質は表2に示した.マッタケ Z-1

株由来の菌体外Thaseの活性至適温度は pH5.0, 30分

間の反応条件で 40℃付近であり, 40℃まで安定 (pH5.0,

30分間静置)であった.活性至適pHは37℃,30分間

の反応条件で pH5.0付近, pH4.5-6.5の範囲で安定

(37℃,30分間処理)であったまた,部分精製され

たThaseで金属イオンの影響を調べたところ, Ag+およ

びC祐でそれぞれ処理後の活性が無添加時 (100%)に

比較して, 370%, 179%と著しい酵素の賦活化が認めら

れたが, Pb2+,Mg2+,Cu2+, Mn2+, Zn2+ではそれぞれ

26.6%, 23.5%, 20.4%, 17.7%, 17.7%と活性が阻害さ

れる結果となった. さらに,本酵素の基質特異性を検討

した結果を表3に示した. トレハロースに対する活性を

100として関連する糖質基質について検討した結果,供

試したマルトース,イソマルトース,セロビオース,ス

クロース, ラクトースなどの二糖類に対しては,殆ど活

性を示さなかったことから,本Thaseはトレハロース

に特異的であると推察されたが,完全精製に至っていな

いため,精製酵素による再度の確認が必要である.

比活性 精製倍率 回収率

(U/mg) (倍) (%)

0.0025 100.0

0.0133 5.32 79.1

0.0188 7.20 77.90

0.1330 53.40 77.90

0.1930 77.20 34.10

2.5500 1,020.00 32.50

7.3400 2,940.00 19.10

表2 マッタケ Z-1株の菌体外Thaseの物理化学的および酵素化学的性質

諸性質 Thase

分子量 (kDa)

SDS-PAGE

ゲルろ過

至適pH(50℃,30分間反応)

pH安定性 (37℃,30分間処理)

至適温度 (pH5.0,30分間反応)

温度安定性 (pH5.0, 30分間静置)

酵素学的性質の検討にはトレハロース基質を用いた.

-64-

62.6

70

5.0

4.5~ 6.5

40℃

~45℃

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マッタケの菌糸体生育に及ぽすトレハロースの影響とトレハラーゼ生産性

表3 マッタケの生産する菌体外Thaseの基質特異性

基質(結合様式) 相対活性(%)

トレハロース (a, a -1,1 Glu-Glu)

(Km値 (mM)4.25)

マルトース (a-1,4 Glu-Glu)

イソマルトース (a-1,6 Glu-Glu)

セロビオース ([J-1,4 Glu-Glu)

スクロース (a-1,2 Glu-Fru)

ラクトース ([J-1,4 Gal-Glu)

100

3.9

2.0

9.7

1.6

0.7

基質は全て 20mMに調製した.酵素反応は pH5.0, 37℃,30分間で行い.反応

で生成したグルコース量を F-kitD-glucoseで定量した.

考察

良好なマッタケの菌糸体生育は,単糖ではグルコース,

フルクトース,マンノース, 2糖ではマルトース,セロ

ビオース, トレハロース,多糖ではデンプンとごく限ら

れた種類の糖質でしか起こらないことが報告されている

(川合・阿部 1976).また,マッタケの菌糸体生育速度

は非常に遅い.一方,ほとんどの担子菌の炭素源として

トレハロースが良好であると報告(北本・鈴木 1992)

されており,マッタケもトレハロースを利用可能なこと

から,炭素源としてトレハロースを用いた培地を調製し,

マッタケの生育基質としてのトレハロースの利用性につ

いて汎用されるグルコースと比較し,検討したその結

果,マッタケはトレハロース基質でグルコースと比べて

も,同等かそれ以上の菌糸体生育を示した.北本ら (1974)

はアミスギタケの子実体生育を置換培養で検討した結

果, トレハロースがグルコースより好適な炭素源であっ

たと報告している.今回の著者らの検討でもマッタケ改

変液体培地および浜田マッタケ液体培地の両培地ともト

レハロースはグルコースより,優れた炭素源であること

が確認されたただ,使用したマッタケ菌株が著者らが

常用している Z-1株で,マッタケ菌株中では,ほぼ平均

的な生育を示す菌ではあるが,ー株のみの使用であり,

さらに,他の菌株での検討が必要と考えられる.また,

マッタケの菌糸体生育が,マッタケ改変液体培地で,浜

田液体培地に比較して 2倍以上の良好な菌糸体生育が確

認されたこれは,マッタケ改変液体培地に添加されて

いる亜硫酸パルプ廃液を原料としたサンパール CP(市

販品)が生育促進 (Inabaet al. 1993) を示したのではな

いかとも考えられ,ここでの結果はトレハロース基質に

加えてサンパール CPの効果がプラスされた結果と考え

られる.

続いて培地中の炭素源濃度についてグルコースを対照

-65-

にトレハロース添加培地で菌糸体生育を検討した. きの

こはその菌糸体生長時から子実体形成時にかけて多量の

グルコースを必要とするが,このグルコースの供給に関

与する酵素系であるアミラーゼやセルラーゼなどの活性

がマッタケでは極めて弱いことをすでに著者らは明らか

にしている (Kusudaet al. 2008).すなわち,マッタケ

の糖質基質分解酵素系ではホンシメジの人工栽培化につ

ながったとされる (Ohta1997) グルコアミラーゼの生

産は認められなかったまた,デンプンからオリゴ糖を

生成する aーアミラーゼは生産するが,それをグルコー

スにまで分解する aーグルコシダーゼ活性はほとんど認

められなかった (Kusudaet al. 2008).一方,セルロー

ス分解酵素系では,セロオリゴ糖をグルコースにまで分

解する f]ーグルコシダーゼは強い活性を示した (Kusuda

et al. 2008). しかし,セルロースからセロオリゴ糖を得

るためのセルラーゼ活性が非常に弱いことはすでに

Terashita et al (1995)によって報告されている.また,

培養初期の培養培地中に多量のグルコースを添加すると

培地浸透圧の上昇によって,菌糸体の生育が阻害される

ことは明らかである.

今回の著者らの検討では,培地中のグルコース濃度は

2%が最良で, 4%以上ではむしろ菌糸体生育が抑制さ

れ,菌糸体重量の減少が認められた.これは,平戸・北

本 (1995)の報告と一致するものであった.一方, トレ

ハロースを炭素源にすると, トレハロースの添加量が増

加するにしたがい,菌糸体重量も増加し, 8%でも良好

な菌糸体生育を示し,培養60日目においては, トレハ

ロース 8%区で同 1%区の約 2倍の菌糸体重量を得た.

したがって, トレハロースではグルコースのように培地

浸透圧の影響によって生育阻害を受けることは,ほとん

どないと考えられる. しかし,著者らが測定したところ

では, 2糖であるトレハロースの浸透圧は単糖グルコー

スの約 1/2を示し, トレハロース 8%ではある程度の菌

Page 9: マツタケの菌糸体生育に及ぼすトレハロースの影響 …マツタケの菌糸体生育に及ぼすトレハロースの影響とトレハ ラーゼ生産性 誌名

楠田・淀野・上田・白坂•宮武·寺下

糸体生育の阻害を受けると考えるのが妥当である.以上

の結果を総合すると,マッタケは,グルコースの場合と

は異なる対浸透圧機構を持つことが考えられ,菌糸体の

生育に必要とする分だけをグルコースに分解して利用す

るのか,あるいは, トレハロースを直接菌体内に取り込

み (Kitamotoand Gruen 1976),菌体内で分解・利用し

ているとも考えられる. また, トレハロース培地でシイ

タケやエノキタケ, ヒラタケ菌糸体を培養すると,菌体

内トレハロース濃度が最大 15%になる(グルコース基

質では 2.5%程度) (白坂ら 2005) こと,シイタケ菌糸

体を 1.OMトレハロース溶液中に浸漬すると,浸漬24

時間で,菌糸体トレハロース濃度が30%にもなること

が報告(寺下 2006a)されている.また,小西ら (2004)

はマッタケの菌糸体培養中に培地中で新たなオリゴ糖(2

-4糖)が生成されることを報告している.したがって,

マッタケは菌体外で新規なオリゴ糖を生成し,浸透圧の

調整を行っている可能性も否定できない.今後はこれら

の点について,検討が必要である.

ところで,通常炭素源としてのトレハロースは,

Thaseによってグルコースニ分子に分解される.また,

上述のように,マッタケはトレハロースで良好な菌糸体

生育を示した.そこで,これらと関連して,重要な

Thaseの生産性について検討した.その結果,マッタケ

は菌糸体の生育が盛んになる培養40日目頃から,活性

が確認されはじめ,菌糸体生育がほぽ最高に達する培養

70日目に最も高い活性を示したただ,本活性は菌糸

体の生育が盛んになる 40日目から約 20日間遅れて活性

が急激に上昇することから,培地中に約 2%存在するグ

ルコースがある程度利用されたのちに必要なグルコース

を供給するため,はじめて Thaseが活動を開始するも

のと想定される. しかし,炭素源がトレハロースの場合

より,グルコースのときの方がThase活性が高くなる

ことから,トレハロース合成にも関与する可能性もあり,

炭素源にグルコースとトレハロースを用いた詳細な検討

が必要である特に,本Thaseの基質特異性と基質の

親和性を明らかにすることが重要と考えられるため,著

者らは,菌体外Thase精製を試みた. しかし,精製材

料の不足も重なり,完全精製には至らなかった.これま

でにマッタケの生産する Thaseについての報告はない

が,部分精製した酵素の性質(表 2)を完全精製されて

いるシイタケの菌体外Thaseの性質と比較したところ,

マッタケのThaseはpH4.5-6.5の範囲で安定性を示し

たのに対し,シイタケでは 4.5-10.0と広範な pH安定

性を示したまた,シイタケのThaseはSDS-PAGEで

79-91 kDa, ゲルろ過では 158kDaと, 2量体であった

(Murata et al. 2001)が,マッタケの酵素はその分子量が,

-66-

それぞれ62.6kDa, 70 kDaということから考えて,単

量体である可能性が高い.このThaseが検出されたフ

ラクションの付近には,強い仕グルコシダーゼ活性の

存在することが今回の完全精製を妨げた主な原因であっ

た (Kusudaet al. 2006).そこで,新たな酵素精製法を

現在検討中である.また, Kitamotoet al.はマッタケの

子実体中にTPaseの存在することを報告 (1988b) して

おり,今後は菌体外のTPaseの存在の有無, Thaseの基

質特異性と基質に対する親和性を含むこれら酵素の性質

の解明がマッタケにおける炭素源としてのトレハロース

の栄養動態を知る上で極めて重要と考えられる.

要約

マッタケの菌糸体生育に及ぽすトレハロースの影響と

菌体外Thaseの生産性を検討した.本菌の栄養菌糸を

トレハロースを添加したマッタケ改変液体 (PMML)

培地や浜田マッタケ液体 (HML)培地で培養した時

その菌糸体の乾燥重量はグルコースを添加した場合の乾

燥重量より増加した.炭水化物基質濃度 1.0-8.0%の範

囲で,グルコースとトレハロース濃度がマッタケ栄養菌

糸体生育に及ぼす影響を調べた結果,最適濃度はグル

コース培地では 2.0%であったのに対し, トレハロース

培地では 8.0%であった.マッタケの栄養菌糸の生育に

伴って菌体外Thase活性は上昇し,菌株接種後 70日目

に最大となったこのマッタケ菌糸体の生産する菌体外

Thaseの精製を試み,その特徴についても検討した.

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マッタケの菌糸体生育に及ぼすトレハロースの影響とトレハラーゼ生産性

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