リクラストの適正使用 - 医薬品医療機器総合機構...2 3...

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873999 日本標準商品分類番号 リクラスト ® 適正使用 急性期反応 腎機能障害 低カルシウム血症 顎骨壊死 医薬品リスク管理計画 (RMP) ※注意-医師等の処方箋により使用すること 1. 警 告 2.1 本剤の成分又は他のビスホスホネート製剤に対し、過敏症の既往歴のある患者 2.2 重度の腎機能障害(クレアチニンクリアランス35mL/min未満)のある患者[急性腎障害を起こすことがある] [8.1、9.2.1、11.1.1参照 ] 2.3 脱水状態(高熱、高度な下痢及び嘔吐等)にある患者[急性腎障害を起こすことがある][8.1、11.1.1参照] 2.4 低カルシウム血症の患者[8.2、11.1.2参照] 2.5 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照] 2. 禁忌(次の患者には投与しないこと) 急性腎障害を起こすことがあるため、以下の点に注意すること。[11.1.1参照] ・各 投 与前には、腎機能(クレアチニンクリアランス等)、脱水状態(高熱、高度な下痢及び嘔吐等)及び併用薬(腎毒性を有する 薬 剤 、利 尿 剤)について、問 診・検 査を行うなど患 者の状 態を十 分に確 認し、本 剤 投 与の適 否を判 断すること。 [8.1、  10.2参照] ・投与時には、点滴時間が短いと急性腎障害の発現リスクが高くなることから、必ず15分間以上かけて点滴静脈内投与すること。 [14.1.1参照] ・急性腎障害の発現は主に投与後早期に認められているため、腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。  [8.1参照]

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Page 1: リクラストの適正使用 - 医薬品医療機器総合機構...2 3 リクラスト®(一般名:ゾレドロン酸水和物)は、ノバルティス ファーマAGが創製した、側鎖

873999日本標準商品分類番号

GARC-2016000080062020年6月作成 KY

リクラスト®の適正使用 ■ 急性期反応 ■ 腎機能障害

■ 低カルシウム血症 ■ 顎骨壊死

医薬品リスク管理計画(RMP)

※注意-医師等の処方箋により使用すること

1. 警 告

2.1 本剤の成分又は他のビスホスホネート製剤に対し、過敏症の既往歴のある患者 2.2 重度の腎機能障害(クレアチニンクリアランス35mL/min未満)のある患者[急性腎障害を起こすことがある]  [8.1、9.2.1、11.1.1参照] 2.3 脱水状態(高熱、高度な下痢及び嘔吐等)にある患者[急性腎障害を起こすことがある][8.1、11.1.1参照] 2.4 低カルシウム血症の患者[8.2、11.1.2参照] 2.5 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

急性腎障害を起こすことがあるため、以下の点に注意すること。[11.1.1参照]・各投与前には、腎機能(クレアチニンクリアランス等)、脱水状態(高熱、高度な下痢及び嘔吐等)及び併用薬(腎毒性を有する 薬剤、利尿剤)について、問診・検査を行うなど患者の状態を十分に確認し、本剤投与の適否を判断すること。 [8.1、  10.2参照]・投与時には、点滴時間が短いと急性腎障害の発現リスクが高くなることから、必ず15分間以上かけて点滴静脈内投与すること。 [14.1.1参照]・急性腎障害の発現は主に投与後早期に認められているため、腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。  [8.1参照]

Page 2: リクラストの適正使用 - 医薬品医療機器総合機構...2 3 リクラスト®(一般名:ゾレドロン酸水和物)は、ノバルティス ファーマAGが創製した、側鎖

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リクラスト®(一般名:ゾレドロン酸水和物)は、ノバルティス ファーマAGが創製した、側鎖にイミダゾール環を有する第三世代の窒素含有ビスホスホネート系薬剤です。国内では2010年に、旭化成ファーマ株式会社が「骨粗鬆症」を効能・効果とするリクラスト点滴静注の開発に着手し、2016年 9月に「骨粗鬆症」を効能・効果として製造販売承認を取得しました。リクラストの日本人骨粗鬆症患者に対する有効性および安全性は、国内第III相臨床試験により検証されておりますが、処方に際して注意していただきたい事項があります。本冊子はリクラストを、より安全にご使用いただくために作成いたしました。ご処方にあたり本冊子の内容を十分ご理解いただきたくお願い申し上げます。

● 1. 警告/2.禁忌/4.効能・効果/5.効能・効果に関連する注意/6.用法・用量● 8.重要な基本的注意/9.特定の背景を有する患者に関する注意● 患者への確認および指導内容1.急性期反応  (1)急性期反応とは  (2)急性期反応の発現機序  (3)急性期反応の対策フロー  (4)急性期反応の対策  (5)国内第Ⅲ相臨床試験における急性期反応の発現状況2.腎機能障害  (1)BP 製剤と腎機能障害  (2)リクラストと腎機能障害  (3)腎機能障害の対策  (4)国内第Ⅲ相臨床試験における腎機能関連事象の発現状況  (5)急性腎不全の代表症例(外国、自発報告)3.低カルシウム血症  (1)BP 製剤と低カルシウム血症  (2)リクラストと低カルシウム血症  (3)低カルシウム血症の対策フロー  (4)国内第Ⅲ相臨床試験における低カルシウム血症の発現状況4.顎骨壊死  (1)顎骨壊死とは  (2)顎骨壊死の対策フロー  (3)顎骨壊死の発現リスク軽減  (4)国内臨床試験における顎骨壊死の発現状況  (5)海外第Ⅲ相臨床試験における顎骨壊死の発現状況  (6)市販後における顎骨壊死の発現状況(海外)

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はじめに

目 次

1.警告/2.禁忌

4.効能・効果

≪監修≫  急性期反応      岸本 英彰 先生 医療法人十字会 野島病院 整形外科      腎機能障害/低カルシウム血症      稲葉 雅章先生 大阪市立大学大学院 医学研究科 代謝内分泌病態内科学(第二内科学教室) 教授      顎骨壊死      田口 明 先生 松本歯科大学 歯科放射線学講座 主任教授

2.1 本剤の成分又は他のビスホスホネート製剤に対し、過敏症の既往歴のある患者 2.2 重度の腎機能障害(クレアチニンクリアランス35mL/min未満)のある患者[急性腎障害を起こすこ    とがある][8.1、9.2.1、11.1.1参照] 2.3 脱水状態(高熱、高度な下痢及び嘔吐等)にある患者[急性腎障害を起こすことがある][8.1、11.1.1参照]2.4 低カルシウム血症の患者[8.2、11.1.2参照] 2.5 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

5.1 本剤の適用にあたっては、日本骨代謝学会の診断基準等を参考に、骨粗鬆症との診断が確定している患者    を対象とすること。5.2 本剤は1年に1回間欠投与する薬剤であり、本剤の有効成分であるゾレドロン酸水和物は骨に移行し長期に   わたり体内に残存する。本剤の各投与前に問診・検査を行うなど患者の状態を十分に確認した上で、 ベネ   フィットとリスクを考慮し、本剤による薬物治療が必要とされる患者を対象とすること。[8.1-8.7参照]

1. 警 告急性腎障害を起こすことがあるため、以下の点に注意すること。[11.1.1参照]・各投与前には、腎機能(クレアチニンクリアランス等)、脱水状態(高熱、高度な下痢及び嘔吐等)及び併用薬(腎毒性を有する薬剤、利尿剤)について、問診・検査を行うなど患者の状態を十分に確認し、本剤投与の適否を判断すること。[8.1、10.2参照]・投与時には、点滴時間が短いと急性腎障害の発現リスクが高くなることから、必ず15分間以上かけて点滴静脈内投与すること。[14.1.1参照]・急性腎障害の発現は主に投与後早期に認められているため、腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。[8.1参照]

骨粗鬆症

6.用法・用量通常、成人には1年に1回ゾレドロン酸として5mgを15分以上かけて点滴静脈内投与する。

5.効能・効果に関連する注意

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リクラスト®(一般名:ゾレドロン酸水和物)は、ノバルティス ファーマAGが創製した、側鎖にイミダゾール環を有する第三世代の窒素含有ビスホスホネート系薬剤です。国内では2010年に、旭化成ファーマ株式会社が「骨粗鬆症」を効能・効果とするリクラスト点滴静注の開発に着手し、2016年 9月に「骨粗鬆症」を効能・効果として製造販売承認を取得しました。リクラストの日本人骨粗鬆症患者に対する有効性および安全性は、国内第III相臨床試験により検証されておりますが、処方に際して注意していただきたい事項があります。本冊子はリクラストを、より安全にご使用いただくために作成いたしました。ご処方にあたり本冊子の内容を十分ご理解いただきたくお願い申し上げます。

● 1. 警告/2.禁忌/4.効能・効果/5.効能・効果に関連する注意/6.用法・用量● 8.重要な基本的注意/9.特定の背景を有する患者に関する注意● 患者への確認および指導内容1.急性期反応  (1)急性期反応とは  (2)急性期反応の発現機序  (3)急性期反応の対策フロー  (4)急性期反応の対策  (5)国内第Ⅲ相臨床試験における急性期反応の発現状況2.腎機能障害  (1)BP 製剤と腎機能障害  (2)リクラストと腎機能障害  (3)腎機能障害の対策  (4)国内第Ⅲ相臨床試験における腎機能関連事象の発現状況  (5)急性腎不全の代表症例(外国、自発報告)3.低カルシウム血症  (1)BP 製剤と低カルシウム血症  (2)リクラストと低カルシウム血症  (3)低カルシウム血症の対策フロー  (4)国内第Ⅲ相臨床試験における低カルシウム血症の発現状況4.顎骨壊死  (1)顎骨壊死とは  (2)顎骨壊死の対策フロー  (3)顎骨壊死の発現リスク軽減  (4)国内臨床試験における顎骨壊死の発現状況  (5)海外第Ⅲ相臨床試験における顎骨壊死の発現状況  (6)市販後における顎骨壊死の発現状況(海外)

34688891012161616181920212121222324242526272727

はじめに

目 次

1.警告/2.禁忌

4.効能・効果

≪監修≫  急性期反応      岸本 英彰 先生 医療法人十字会 野島病院 整形外科      腎機能障害/低カルシウム血症      稲葉 雅章先生 大阪市立大学大学院 医学研究科 代謝内分泌病態内科学(第二内科学教室) 教授      顎骨壊死      田口 明 先生 松本歯科大学 歯科放射線学講座 主任教授

2.1 本剤の成分又は他のビスホスホネート製剤に対し、過敏症の既往歴のある患者 2.2 重度の腎機能障害(クレアチニンクリアランス35mL/min未満)のある患者[急性腎障害を起こすこ    とがある][8.1、9.2.1、11.1.1参照] 2.3 脱水状態(高熱、高度な下痢及び嘔吐等)にある患者[急性腎障害を起こすことがある][8.1、11.1.1参照]2.4 低カルシウム血症の患者[8.2、11.1.2参照] 2.5 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

5.1 本剤の適用にあたっては、日本骨代謝学会の診断基準等を参考に、骨粗鬆症との診断が確定している患者    を対象とすること。5.2 本剤は1年に1回間欠投与する薬剤であり、本剤の有効成分であるゾレドロン酸水和物は骨に移行し長期に   わたり体内に残存する。本剤の各投与前に問診・検査を行うなど患者の状態を十分に確認した上で、 ベネ   フィットとリスクを考慮し、本剤による薬物治療が必要とされる患者を対象とすること。[8.1-8.7参照]

1. 警 告急性腎障害を起こすことがあるため、以下の点に注意すること。[11.1.1参照]・各投与前には、腎機能(クレアチニンクリアランス等)、脱水状態(高熱、高度な下痢及び嘔吐等)及び併用薬(腎毒性を有する薬剤、利尿剤)について、問診・検査を行うなど患者の状態を十分に確認し、本剤投与の適否を判断すること。[8.1、10.2参照]・投与時には、点滴時間が短いと急性腎障害の発現リスクが高くなることから、必ず15分間以上かけて点滴静脈内投与すること。[14.1.1参照]・急性腎障害の発現は主に投与後早期に認められているため、腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。[8.1参照]

骨粗鬆症

6.用法・用量通常、成人には1年に1回ゾレドロン酸として5mgを15分以上かけて点滴静脈内投与する。

5.効能・効果に関連する注意

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8.重要な基本的注意8.1 本剤の投与により急性腎障害を起こすことがあり、その多くは本剤投与開始1ヵ月以内に発現しているの

で、本剤の各投与に際しては以下の点に注意すること。[1.、2.2、2.3、5.2、9.1.1、9.2.2、10.2、11.1.1参照]・投与前に、腎機能(クレアチニンクリアランス等)並びに脱水状態(高熱、高度な下痢や嘔吐等)を確認し、 投与の適否を判断すること。脱水状態にある場合は、本剤投与前にあらかじめ処置すること。・投与前及び投与後早期は十分な水分補給をするよう指導すること。・投与後1~2週を目安に腎機能検査を行うなど患者の状態を十分に観察し、それ以降も患者の状態に応  じて定期的に検査を行うなど、観察を十分に行うこと。 特に、急性腎障害を起こすおそれがある患者については、投与後1~2週に腎機能検査を行うこと。・投与後早期に急性期反応を含む脱水症状が認められた場合には、医療機関を受診するよう指導すること。

8.2 低カルシウム血症やリン、マグネシウム等のミネラル代謝障害がある場合には本剤投与前にあらかじめ治療   すること。[2.4、5.2、11.1.2参照]8.3 本剤投与中は必要に応じてカルシウム及びビタミンDを補給すること。また、本剤投与後に血清カルシウム   値が低下する可能性がある(主に投与後14日以内)ので、血清カルシウム値の変動に注意すること。   [5.2、10.2、11.1.2参照]8.4 ビスホスホネート系薬剤による治療を受けている患者において、顎骨壊死・顎骨骨髄炎があらわれることが

ある。報告された症例の多くが抜歯等の顎骨に対する侵襲的な歯科処置や局所感染に関連して発現している。リスク因子としては、悪性腫瘍、化学療法、血管新生阻害薬、コルチコステロイド治療、放射線療法、口腔の不衛生、歯科処置の既往等が知られている。本剤の投与開始前は口腔内の管理状態を確認し、必要に応じて、患者に対し適切な歯科検査を受け、侵襲的な歯科処置をできる限り済ませておくよう指導すること。本剤投与中に歯科処置が必要になった場合には、できる限り非侵襲的な歯科処置を受けるよう指導すること。また、口腔内を清潔に保つこと、定期的な歯科検査を受けること、歯科受診時に本剤の使用を歯科医師に告知して侵襲的な歯科処置はできる限り避けること等を患者に十分説明し、異常が認められた場合には、直ちに歯科・口腔外科を受診するように指導すること。[5.2、11.1.3参照]

8.5 ビスホスホネート系薬剤を使用している患者において、外耳道骨壊死が発現したとの報告がある。これらの報告では、耳の感染や外傷に関連して発現した症例も認められることから、外耳炎、耳漏、耳痛等の症状が続く場合には、耳鼻咽喉科を受診するよう指導すること。[5.2、11.1.4参照]

8.6 ビスホスホネート系薬剤を長期使用している患者において、非外傷性の大腿骨転子下及び近位大腿骨骨幹部の非定型骨折が発現したとの報告がある。これらの報告では、完全骨折が起こる数週間から数ヵ月前に大腿部や鼠径部等において前駆痛が認められている報告もあることから、このような症状が認められた場合には、X線検査等を行い、適切な処置を行うこと。また、両側性の骨折が生じる可能性があることから、片側で非定型骨折が起きた場合には、反対側の大腿骨の症状等を確認し、X線検査を行う等、慎重に観察すること。X線検査時には骨皮質の肥厚等、特徴的な画像所見がみられており、そのような場合には適切な処置を行うこと。[5.2、11.1.5参照]

8.7 本剤の投与間隔は1年と長いことから、以下の点に注意すること。[5.2参照]・本剤投与後には副作用の発現に注意し、次回投与までの間も患者の状態を十分に観察すること。・ビスホスホネート系薬剤と重複して投与しないように注意すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意9.1 合併症・既往歴等のある患者9.1.1 急性腎障害を起こすおそれのある患者

次のような患者では、投与後1~2週に腎機能検査を行うこと。[8.1、9.2.2、11.1.1参照]・中等度の腎機能障害のある患者・腎毒性を有する薬剤又は利尿剤を併用している患者・本剤の投与により、腎機能障害や急性期反応を含む脱水症状を起こしたことのある患者

9.2 腎機能障害患者9.2.1 重度の腎機能障害(クレアチニンクリアランス35mL/min未満)のある患者

投与しないこと。急性腎障害を起こすことがある。[2.2、11.1.1参照]

9.2.2 中等度の腎機能障害のある患者[8.1、9.1.1、11.1.1参照]

9.4 生殖能を有する者妊娠する可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ投与すること。ビスホスホネート系薬剤は骨基質に取り込まれた後に全身循環へ徐々に放出される。 全身循環への放出量はビスホスホネート系薬剤の投与量・期間に相関する。ビスホスホネート系薬剤の中止から妊娠までの期間と危険性との関連は明らかではない。

9.5 妊婦妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。妊娠動物(ラット)へのゾレドロン酸の皮下投与によって、催奇形性、妊娠後期・分娩期の母動物の死亡が報告されている。[2.5参照]

9.6 授乳婦治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を考慮すること。他のビスホスホネート系薬剤において、動物実験(ラット)で母乳中へ移行することが報告されている。

9.7 小児等小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者一般に高齢者では腎機能が低下していることが多く、脱水を起こしやすいため、投与に際しては、腎機能や脱水に注意を払うこと。本剤は、主として腎臓から排泄される。

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8.重要な基本的注意8.1 本剤の投与により急性腎障害を起こすことがあり、その多くは本剤投与開始1ヵ月以内に発現しているの

で、本剤の各投与に際しては以下の点に注意すること。[1.、2.2、2.3、5.2、9.1.1、9.2.2、10.2、11.1.1参照]・投与前に、腎機能(クレアチニンクリアランス等)並びに脱水状態(高熱、高度な下痢や嘔吐等)を確認し、 投与の適否を判断すること。脱水状態にある場合は、本剤投与前にあらかじめ処置すること。・投与前及び投与後早期は十分な水分補給をするよう指導すること。・投与後1~2週を目安に腎機能検査を行うなど患者の状態を十分に観察し、それ以降も患者の状態に応  じて定期的に検査を行うなど、観察を十分に行うこと。 特に、急性腎障害を起こすおそれがある患者については、投与後1~2週に腎機能検査を行うこと。・投与後早期に急性期反応を含む脱水症状が認められた場合には、医療機関を受診するよう指導すること。

8.2 低カルシウム血症やリン、マグネシウム等のミネラル代謝障害がある場合には本剤投与前にあらかじめ治療   すること。[2.4、5.2、11.1.2参照]8.3 本剤投与中は必要に応じてカルシウム及びビタミンDを補給すること。また、本剤投与後に血清カルシウム   値が低下する可能性がある(主に投与後14日以内)ので、血清カルシウム値の変動に注意すること。   [5.2、10.2、11.1.2参照]8.4 ビスホスホネート系薬剤による治療を受けている患者において、顎骨壊死・顎骨骨髄炎があらわれることが

ある。報告された症例の多くが抜歯等の顎骨に対する侵襲的な歯科処置や局所感染に関連して発現している。リスク因子としては、悪性腫瘍、化学療法、血管新生阻害薬、コルチコステロイド治療、放射線療法、口腔の不衛生、歯科処置の既往等が知られている。本剤の投与開始前は口腔内の管理状態を確認し、必要に応じて、患者に対し適切な歯科検査を受け、侵襲的な歯科処置をできる限り済ませておくよう指導すること。本剤投与中に歯科処置が必要になった場合には、できる限り非侵襲的な歯科処置を受けるよう指導すること。また、口腔内を清潔に保つこと、定期的な歯科検査を受けること、歯科受診時に本剤の使用を歯科医師に告知して侵襲的な歯科処置はできる限り避けること等を患者に十分説明し、異常が認められた場合には、直ちに歯科・口腔外科を受診するように指導すること。[5.2、11.1.3参照]

8.5 ビスホスホネート系薬剤を使用している患者において、外耳道骨壊死が発現したとの報告がある。これらの報告では、耳の感染や外傷に関連して発現した症例も認められることから、外耳炎、耳漏、耳痛等の症状が続く場合には、耳鼻咽喉科を受診するよう指導すること。[5.2、11.1.4参照]

8.6 ビスホスホネート系薬剤を長期使用している患者において、非外傷性の大腿骨転子下及び近位大腿骨骨幹部の非定型骨折が発現したとの報告がある。これらの報告では、完全骨折が起こる数週間から数ヵ月前に大腿部や鼠径部等において前駆痛が認められている報告もあることから、このような症状が認められた場合には、X線検査等を行い、適切な処置を行うこと。また、両側性の骨折が生じる可能性があることから、片側で非定型骨折が起きた場合には、反対側の大腿骨の症状等を確認し、X線検査を行う等、慎重に観察すること。X線検査時には骨皮質の肥厚等、特徴的な画像所見がみられており、そのような場合には適切な処置を行うこと。[5.2、11.1.5参照]

8.7 本剤の投与間隔は1年と長いことから、以下の点に注意すること。[5.2参照]・本剤投与後には副作用の発現に注意し、次回投与までの間も患者の状態を十分に観察すること。・ビスホスホネート系薬剤と重複して投与しないように注意すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意9.1 合併症・既往歴等のある患者9.1.1 急性腎障害を起こすおそれのある患者

次のような患者では、投与後1~2週に腎機能検査を行うこと。[8.1、9.2.2、11.1.1参照]・中等度の腎機能障害のある患者・腎毒性を有する薬剤又は利尿剤を併用している患者・本剤の投与により、腎機能障害や急性期反応を含む脱水症状を起こしたことのある患者

9.2 腎機能障害患者9.2.1 重度の腎機能障害(クレアチニンクリアランス35mL/min未満)のある患者

投与しないこと。急性腎障害を起こすことがある。[2.2、11.1.1参照]

9.2.2 中等度の腎機能障害のある患者[8.1、9.1.1、11.1.1参照]

9.4 生殖能を有する者妊娠する可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ投与すること。ビスホスホネート系薬剤は骨基質に取り込まれた後に全身循環へ徐々に放出される。 全身循環への放出量はビスホスホネート系薬剤の投与量・期間に相関する。ビスホスホネート系薬剤の中止から妊娠までの期間と危険性との関連は明らかではない。

9.5 妊婦妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。妊娠動物(ラット)へのゾレドロン酸の皮下投与によって、催奇形性、妊娠後期・分娩期の母動物の死亡が報告されている。[2.5参照]

9.6 授乳婦治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を考慮すること。他のビスホスホネート系薬剤において、動物実験(ラット)で母乳中へ移行することが報告されている。

9.7 小児等小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者一般に高齢者では腎機能が低下していることが多く、脱水を起こしやすいため、投与に際しては、腎機能や脱水に注意を払うこと。本剤は、主として腎臓から排泄される。

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5. 効能・効果に関連する注意5.1 本剤の適用にあたっては、日本骨代謝学会の診断基準等を参考に、骨粗鬆症との診断が確定してい    る患者を対象とすること。5.2 本剤は1年に1回間欠投与する薬剤であり、本剤の有効成分であるゾレドロン酸水和物は骨に移行し   長期にわたり体内に残存する。本剤の各投与前に問診・検査を行うなど患者の状態を十分に確認し    た上で、ベネフィットとリスクを考慮し、本剤による薬物治療が必要とされる患者を対象とすること。 [8.1-8.7参照]

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)2.1 本剤の成分又は他のビスホスホネート製剤に対し、過敏症の既往歴のある患者 2.2 重度の腎機能障害(クレアチニンクリアランス35mL/min未満)のある患者[急性腎障害を起こすこ    とがある][8.1、9.2.1、11.1.1参照] 2.3 脱水状態(高熱、高度な下痢及び嘔吐等)にある患者[急性腎障害を起こすことがある] [8.1、11.1.1参照]2.4 低カルシウム血症の患者[8.2、11.1.2参照] 2.5 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]

本剤の有効成分であるゾレドロン酸は投与後速やかに骨に移行し、残りは腎から排泄されます。骨に移行したゾレドロン酸は、長期にわたり体内に残存します。本剤の投与前には毎回患者の状態を確認し、治療によって得られるベネフィットと副作用発現等のリスクのバランスを考慮したうえで投与してください。また、次回投与予定日まで来院間隔が空く場合でも、定期的に患者の状態を観察してください。

患者への確認および指導内容

本剤投与前には患者に問診・検査などを行い、以下の点をご確認ください。

本剤は骨粗鬆症と確定診断された患者にご使用ください。

上記の禁忌に該当しないことをご確認ください。

 併用薬の有無

 カルシトニン製剤(エルカトニンなど)、アミノグリコシド系抗生物質(ゲンタマイシン  など)、シナカルセト:血清カルシウムが低下するおそれがあります。 →p.21

 利尿剤(フロセミドなど):利尿作用を有する薬剤により、体液量が減少し脱水状態にな  ることがあります。 →p.17

 腎毒性を有する薬剤(NSAIDsなど):腎機能が低下し、本剤の排泄が低下することが  考えられます。 →p.17

 抗がん剤やステロイド治療、放射線治療の有無:顎骨壊死の危険因子とされています。                                                 →p.26

 本剤投与前後には、こまめに水分を補給し、脱水状態に気を付けること

 気になる症状があれば、次回来院日を待たずに来院し、医師の診察を受けること

 特に、本剤投与後早期に急性期反応を含む脱水症状(高熱、高度な下痢や嘔吐等)が認め   られた場合は、医療機関を受診すること

 歯科治療、特に抜歯などの侵襲的治療が必要となった場合は、患者さん用カードを提示  して歯科医師に本剤による治療中であることを連絡すること

 本剤の投与中には他のビスホスホネート製剤の投与はできないので、もし他の医療機関  で処方されたビスホスホネート製剤が手元に残っていても服用しないこと

 他の医療機関を受診したり、薬局で薬の処方を受けたりする場合は、リクラスト患者さん  用カードやお薬手帳用シールを提示することで本剤による治療中であることを医師や  薬剤師に連絡し、薬剤の飲み合わせをチェックしてもらうこと

 口腔衛生状態および歯科治療歴

 歯周病や歯肉膿瘍などの炎症疾患の有無

 侵襲的歯科治療(抜歯、歯科インプラント埋入、根尖外科手術、歯周外科手術など)の有無

   ※口腔衛生状態の不良および侵襲的歯科治療は顎骨壊死の危険因子とされています。 →p.26

本剤による治療中は患者に以下の点を指導してください。

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76

5. 効能・効果に関連する注意5.1 本剤の適用にあたっては、日本骨代謝学会の診断基準等を参考に、骨粗鬆症との診断が確定してい    る患者を対象とすること。5.2 本剤は1年に1回間欠投与する薬剤であり、本剤の有効成分であるゾレドロン酸水和物は骨に移行し   長期にわたり体内に残存する。本剤の各投与前に問診・検査を行うなど患者の状態を十分に確認し    た上で、ベネフィットとリスクを考慮し、本剤による薬物治療が必要とされる患者を対象とすること。 [8.1-8.7参照]

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)2.1 本剤の成分又は他のビスホスホネート製剤に対し、過敏症の既往歴のある患者 2.2 重度の腎機能障害(クレアチニンクリアランス35mL/min未満)のある患者[急性腎障害を起こすこ    とがある][8.1、9.2.1、11.1.1参照] 2.3 脱水状態(高熱、高度な下痢及び嘔吐等)にある患者[急性腎障害を起こすことがある] [8.1、11.1.1参照]2.4 低カルシウム血症の患者[8.2、11.1.2参照] 2.5 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]

本剤の有効成分であるゾレドロン酸は投与後速やかに骨に移行し、残りは腎から排泄されます。骨に移行したゾレドロン酸は、長期にわたり体内に残存します。本剤の投与前には毎回患者の状態を確認し、治療によって得られるベネフィットと副作用発現等のリスクのバランスを考慮したうえで投与してください。また、次回投与予定日まで来院間隔が空く場合でも、定期的に患者の状態を観察してください。

患者への確認および指導内容

本剤投与前には患者に問診・検査などを行い、以下の点をご確認ください。

本剤は骨粗鬆症と確定診断された患者にご使用ください。

上記の禁忌に該当しないことをご確認ください。

 併用薬の有無

 カルシトニン製剤(エルカトニンなど)、アミノグリコシド系抗生物質(ゲンタマイシン  など)、シナカルセト:血清カルシウムが低下するおそれがあります。 →p.21

 利尿剤(フロセミドなど):利尿作用を有する薬剤により、体液量が減少し脱水状態にな  ることがあります。 →p.17

 腎毒性を有する薬剤(NSAIDsなど):腎機能が低下し、本剤の排泄が低下することが  考えられます。 →p.17

 抗がん剤やステロイド治療、放射線治療の有無:顎骨壊死の危険因子とされています。                                                 →p.26

 本剤投与前後には、こまめに水分を補給し、脱水状態に気を付けること

 気になる症状があれば、次回来院日を待たずに来院し、医師の診察を受けること

 特に、本剤投与後早期に急性期反応を含む脱水症状(高熱、高度な下痢や嘔吐等)が認め   られた場合は、医療機関を受診すること

 歯科治療、特に抜歯などの侵襲的治療が必要となった場合は、患者さん用カードを提示  して歯科医師に本剤による治療中であることを連絡すること

 本剤の投与中には他のビスホスホネート製剤の投与はできないので、もし他の医療機関  で処方されたビスホスホネート製剤が手元に残っていても服用しないこと

 他の医療機関を受診したり、薬局で薬の処方を受けたりする場合は、リクラスト患者さん  用カードやお薬手帳用シールを提示することで本剤による治療中であることを医師や  薬剤師に連絡し、薬剤の飲み合わせをチェックしてもらうこと

 口腔衛生状態および歯科治療歴

 歯周病や歯肉膿瘍などの炎症疾患の有無

 侵襲的歯科治療(抜歯、歯科インプラント埋入、根尖外科手術、歯周外科手術など)の有無

   ※口腔衛生状態の不良および侵襲的歯科治療は顎骨壊死の危険因子とされています。 →p.26

本剤による治療中は患者に以下の点を指導してください。

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FPPS

FPPS

98

急性期反応1.

急性期反応とは1

急性期反応(Acute Phase Reaction:APR)とは、ビスホスホネート製剤(BP製剤)の投与後数日以内にみられる発熱、筋肉痛、インフルエンザ様疾患などを指します。程度はいずれも軽~中等度で、投与後3日以内に発現し、発現後2~3日で消失する一過性の症状です。初回投与に比べ2回目以降の投与では発現率は低下します。また、BP製剤投与歴のある患者では発現率は低下します。

標準投与量のアセトアミノフェン、またはNSAIDs投与で、急性期反応の症状が抑制・軽減されるという報告があります。ガイドライン● ACR medication guide:Zoledronic Acid(米国リウマチ学会) 「Patients must be appropriately hydrated prior to treatment. Acetaminophen after administration may reduce the incidence of acute reaction (eg, arthralgia, fever, flu-like symptoms, myalgia).」● AACE medical guidelines for clinical practice for the diagnosis and treatment of postmenopausal osteoporosis.(米国臨床内分泌学会) 「Acetaminophen given at the time of treatment may reduce the likelihood of these reactions and can also be given to treat the symptoms.」● Clinician’s Guide to Prevention and Treatment of Osteoporosis(米国骨粗鬆症財団:NOF) 「Patients should be well hydrated and may be pre-treated with acetaminophen to reduce the risk of an acute phase reaction(arthralgia, headache, myalgia, fever).」

論 文● Wark JD, et al.: Osteoporos Int 2012; 23: 503-512. 著者にノバルティス ファーマAGより講演料を受領しているものが含まれる 「H2407試験において、ゾレドロン酸のみ投与した群の63.5%が体温上昇を認めたのに対し、アセトアミノフェン併用群は37.3%、 イブプロフェン併用群は36.8%と、発現率が有意に低かった(p<0.0001、Fisherの直接確率検定)」 →p.11

急性期反応の対策フロー3

急性期反応はBP製剤が骨組織に沈着する前の血中存在時に発現します。リクラストは投与後24時間以内に45.3%が腎から排泄され、残りはすみやかに骨組織に沈着するため、血中作用は一過性で消失し、APRの発現も3日以降急速に消失します。

急性期反応の発現機序2

BP製剤がメバロン酸経路下流におけるファルネシルピロリン酸合成酵素(FPPS)を阻害します。

その結果、イソペンテニルピロリン酸(IPP)が蓄積します。

蓄積したIPP により末梢血中のγ,δ-T 細胞※が増殖・活性化されます。

γ,δ-T 細胞の作用により炎症性サイトカイン(IL-6、TNF-α、IFN-γなど)が放出され、

炎症反応が誘発されます。

Green JR: J Organomet Chem 2005; 690: 2439-2448.Rossini M, et al.: J Bone Miner Res 2012; 27: 227-230. より作成

Reid IR, et al.: J Clin Endocrinol Metab 2010; 95: 4380-4387. より引用著者にノバルティス ファーマAGの社員が含まれる急性期反応の代表的な症状

発熱、筋肉痛、関節痛、悪心、頭痛、インフルエンザ様症状など

リクラスト投与前および投与後は、以下を参考に適切な処置を行ってください。

1

2

3

4

5

急性期反応の発現リスクが高い患者は、特にご注意ください。● BP製剤の投与経験がない方 ● 比較的若い年齢層の方(65歳未満) ●血清25(OH)D値が低い方

リクラスト投与前

患者に以下のことをご説明ください。(次ページ以降参照)● 急性期反応と呼ばれる一過性の症状が現れることがある● リクラスト投与前後には十分水分補給を行うこと● 症状が現れたら医療従事者に相談すること

リクラスト投与時

症状に応じて適切な処置を行ってください。

患者へ注意喚起の際は、下記をご活用ください。 患者説明用資材「リクラスト®で治療される患者さんへ」 患者向け冊子1「リクラスト®の治療を始める患者さんへ」        2「リクラスト®の治療を始める患者さんへ ご注意いただきたいこと」

患者から訴えがあった場合

2

3 4 5

γ,δ-T 細胞増殖・活性化

蓄積

炎症性サイトカイン放出

ジメチルアリルピロリン酸(DMAPP)

ゲラニルピロリン酸(GPP)IPP

IPPファルネシルピロリン酸(FPP)

ゲラニルゲラニルピロリン酸(GGPP)

メバロン酸

イソペンテニルピロリン酸(IPP)

BP製剤

細胞骨格形成、細胞内情報伝達

1

1

APR

患者説明用資材

患者向け冊子1 患者向け冊子2

国内第Ⅲ相臨床試験では、治験薬投与後の発熱の対処薬として、イブプロフェン200mgが必要に応じて投与されました。

急性期反応に対する解熱・鎮痛剤の使用について、学会より見解が出されています。● 「ビスホスホネート製剤の急性期反応に対する対策について」 http://www.josteo.com/ja/news/doc/170404_1.pdf (日本骨粗鬆症学会) http://jsbmr.umin.jp/pdf/opinion_rev170425.pdf (日本骨代謝学会)

※血液を構成しているリンパ球の一種で、細菌やウイルス、腫瘍などに対する防御因子としての役割を担っています。

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FPPS

FPPS

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急性期反応1.

急性期反応とは1

急性期反応(Acute Phase Reaction:APR)とは、ビスホスホネート製剤(BP製剤)の投与後数日以内にみられる発熱、筋肉痛、インフルエンザ様疾患などを指します。程度はいずれも軽~中等度で、投与後3日以内に発現し、発現後2~3日で消失する一過性の症状です。初回投与に比べ2回目以降の投与では発現率は低下します。また、BP製剤投与歴のある患者では発現率は低下します。

標準投与量のアセトアミノフェン、またはNSAIDs投与で、急性期反応の症状が抑制・軽減されるという報告があります。ガイドライン● ACR medication guide:Zoledronic Acid(米国リウマチ学会) 「Patients must be appropriately hydrated prior to treatment. Acetaminophen after administration may reduce the incidence of acute reaction (eg, arthralgia, fever, flu-like symptoms, myalgia).」● AACE medical guidelines for clinical practice for the diagnosis and treatment of postmenopausal osteoporosis.(米国臨床内分泌学会) 「Acetaminophen given at the time of treatment may reduce the likelihood of these reactions and can also be given to treat the symptoms.」● Clinician’s Guide to Prevention and Treatment of Osteoporosis(米国骨粗鬆症財団:NOF) 「Patients should be well hydrated and may be pre-treated with acetaminophen to reduce the risk of an acute phase reaction(arthralgia, headache, myalgia, fever).」

論 文● Wark JD, et al.: Osteoporos Int 2012; 23: 503-512. 著者にノバルティス ファーマAGより講演料を受領しているものが含まれる 「H2407試験において、ゾレドロン酸のみ投与した群の63.5%が体温上昇を認めたのに対し、アセトアミノフェン併用群は37.3%、 イブプロフェン併用群は36.8%と、発現率が有意に低かった(p<0.0001、Fisherの直接確率検定)」 →p.11

急性期反応の対策フロー3

急性期反応はBP製剤が骨組織に沈着する前の血中存在時に発現します。リクラストは投与後24時間以内に45.3%が腎から排泄され、残りはすみやかに骨組織に沈着するため、血中作用は一過性で消失し、APRの発現も3日以降急速に消失します。

急性期反応の発現機序2

BP製剤がメバロン酸経路下流におけるファルネシルピロリン酸合成酵素(FPPS)を阻害します。

その結果、イソペンテニルピロリン酸(IPP)が蓄積します。

蓄積したIPP により末梢血中のγ,δ-T 細胞※が増殖・活性化されます。

γ,δ-T 細胞の作用により炎症性サイトカイン(IL-6、TNF-α、IFN-γなど)が放出され、

炎症反応が誘発されます。

Green JR: J Organomet Chem 2005; 690: 2439-2448.Rossini M, et al.: J Bone Miner Res 2012; 27: 227-230. より作成

Reid IR, et al.: J Clin Endocrinol Metab 2010; 95: 4380-4387. より引用著者にノバルティス ファーマAGの社員が含まれる急性期反応の代表的な症状

発熱、筋肉痛、関節痛、悪心、頭痛、インフルエンザ様症状など

リクラスト投与前および投与後は、以下を参考に適切な処置を行ってください。

1

2

3

4

5

急性期反応の発現リスクが高い患者は、特にご注意ください。● BP製剤の投与経験がない方 ● 比較的若い年齢層の方(65歳未満) ●血清25(OH)D値が低い方

リクラスト投与前

患者に以下のことをご説明ください。(次ページ以降参照)● 急性期反応と呼ばれる一過性の症状が現れることがある● リクラスト投与前後には十分水分補給を行うこと● 症状が現れたら医療従事者に相談すること

リクラスト投与時

症状に応じて適切な処置を行ってください。

患者へ注意喚起の際は、下記をご活用ください。 患者説明用資材「リクラスト®で治療される患者さんへ」 患者向け冊子1「リクラスト®の治療を始める患者さんへ」        2「リクラスト®の治療を始める患者さんへ ご注意いただきたいこと」

患者から訴えがあった場合

2

3 4 5

γ,δ-T 細胞増殖・活性化

蓄積

炎症性サイトカイン放出

ジメチルアリルピロリン酸(DMAPP)

ゲラニルピロリン酸(GPP)IPP

IPPファルネシルピロリン酸(FPP)

ゲラニルゲラニルピロリン酸(GGPP)

メバロン酸

イソペンテニルピロリン酸(IPP)

BP製剤

細胞骨格形成、細胞内情報伝達

1

1

APR

患者説明用資材

患者向け冊子1 患者向け冊子2

国内第Ⅲ相臨床試験では、治験薬投与後の発熱の対処薬として、イブプロフェン200mgが必要に応じて投与されました。

急性期反応に対する解熱・鎮痛剤の使用について、学会より見解が出されています。● 「ビスホスホネート製剤の急性期反応に対する対策について」 http://www.josteo.com/ja/news/doc/170404_1.pdf (日本骨粗鬆症学会) http://jsbmr.umin.jp/pdf/opinion_rev170425.pdf (日本骨代謝学会)

※血液を構成しているリンパ球の一種で、細菌やウイルス、腫瘍などに対する防御因子としての役割を担っています。

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1110

急性期反応の対策

●急性期反応について患者への説明

4

試 験:国際共同、無作為化、プラセボ対照、ダブルダミー、二重盲検、並行群間比較試験対 象:閉経後骨減少症※の女性患者(n=481)方 法:ゾレドロン酸を点滴静注した4時間後から、経口解熱剤(アセトアミノフェン1,000mg、イブプロフェン400mg)またはプラセボ

を3日間、6時間ごとに投与した。

※NSAIDsは腎毒性を有する薬剤であり、添付文書において併用注意とされています。 なお、「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン」(日本老年医学会)では、NSAIDsの使用はなるべく短期間にとどめることが推奨されて います。

「ビスホスホネート製剤の急性期反応に対する対策について」 http://www.josteo.com/ja/news/doc/170404_1.pdf (日本骨粗鬆症学会) http://jsbmr.umin.jp/pdf/opinion_rev170425.pdf (日本骨代謝学会)

1)Pei FX, et al.: Osteoporos Int 2014: 25, Suppl 5: 610-611.著者にノバルティス ファーマAGより講演料を受領しているものが含まれる

※リクラストの効能・効果は「骨粗鬆症」です。

Wark JD, et al.: Osteoporos Int 2012; 23: 503-512.著者にノバルティス ファーマAGより講演料を受領しているものが含まれる

急性期反応は、投与後早期に比較的高率に発現することから、リクラストの投与を予定している患者へ、投与時に急性期反応についてご説明をお願いいたします。

●解熱剤の使用

解熱剤併用による急性期反応の抑制効果【H2407試験】

急性期反応は、アセトアミノフェンやNSAIDs※により軽減されたとする報告があります。

●投与前後の十分な水分補給

投与前後に十分な水分補給をするよう、患者へご指導ください。

患者説明用資材 患者向け冊子1 患者向け冊子2 ※身体の不調について記入するページ があります。

症 状      発熱、筋肉痛、関節痛、インフルエンザ様症状、頭痛など

程 度      多く(約80%)は軽度(国内第Ⅲ相臨床試験)

経 過投与3日以内に発現し、発現後2~3日のうちに回復する。初回投与後に最も多く現れるが、2回目以降の発現率は低い。

適切な量の水分摂取は、米国骨粗鬆症財団(NOF)など海外でも推奨されており、脱水を防ぐためにも重要です。高齢者は脱水を起こしやすく、特に夏場は注意が必要です。投与前の500mL以上の飲水が急性期反応軽減に有効とする報告1)があります。

海外で実施された臨床試験(H2407試験)では、ゾレドロン酸投与後3日以内に口腔体温が1℃以上上昇し、かつ37.5℃を超えた患者の割合は、ゾレドロン酸+プラセボ群の63.5%(87/137例)に対し、ゾレドロン酸+アセトアミノフェン群は37.3%(50/134例)、ゾレドロン酸+イブプロフェン群は36.8%(50/136例)と、いずれも有意に低いことが示されました(p<0.0001、Fisherの直接確率検定)。アセトアミノフェンまたはイブプロフェンの併用によって体温上昇の開始が遅くなり、体温上昇のピークも低下しました。上昇した体温の回復も速やかでした。

(℃)

経過時間

口腔体温の変化

1.0

0.9

0.8

0.7

0.6

0.5

0.4

0.3

0.2

0.1

0.0(時間)0 5 10 15 24 29 34 39 48 53 58 63

H2407 試験概要

平均値±標準誤差

ゾレドロン酸+アセトアミノフェン群

ゾレドロン酸+イブプロフェン群

ゾレドロン酸+プラセボ群

プラセボ+プラセボ群

患者へのご説明には、患者説明用資材「リクラスト®で治療される患者さんへ」や、患者向け冊子1「リクラスト®

の治療を始める患者さんへ」および患者向け冊子2「リクラスト®の治療を始める患者さんへ ご注意いただきたいこと」をご活用ください。

急性期反応に対する解熱・鎮痛剤の使用について、学会より見解が出されています。

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1110

急性期反応の対策

●急性期反応について患者への説明

4

試 験:国際共同、無作為化、プラセボ対照、ダブルダミー、二重盲検、並行群間比較試験対 象:閉経後骨減少症※の女性患者(n=481)方 法:ゾレドロン酸を点滴静注した4時間後から、経口解熱剤(アセトアミノフェン1,000mg、イブプロフェン400mg)またはプラセボ

を3日間、6時間ごとに投与した。

※NSAIDsは腎毒性を有する薬剤であり、添付文書において併用注意とされています。 なお、「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン」(日本老年医学会)では、NSAIDsの使用はなるべく短期間にとどめることが推奨されて います。

「ビスホスホネート製剤の急性期反応に対する対策について」 http://www.josteo.com/ja/news/doc/170404_1.pdf (日本骨粗鬆症学会) http://jsbmr.umin.jp/pdf/opinion_rev170425.pdf (日本骨代謝学会)

1)Pei FX, et al.: Osteoporos Int 2014: 25, Suppl 5: 610-611.著者にノバルティス ファーマAGより講演料を受領しているものが含まれる

※リクラストの効能・効果は「骨粗鬆症」です。

Wark JD, et al.: Osteoporos Int 2012; 23: 503-512.著者にノバルティス ファーマAGより講演料を受領しているものが含まれる

急性期反応は、投与後早期に比較的高率に発現することから、リクラストの投与を予定している患者へ、投与時に急性期反応についてご説明をお願いいたします。

●解熱剤の使用

解熱剤併用による急性期反応の抑制効果【H2407試験】

急性期反応は、アセトアミノフェンやNSAIDs※により軽減されたとする報告があります。

●投与前後の十分な水分補給

投与前後に十分な水分補給をするよう、患者へご指導ください。

患者説明用資材 患者向け冊子1 患者向け冊子2 ※身体の不調について記入するページ があります。

症 状      発熱、筋肉痛、関節痛、インフルエンザ様症状、頭痛など

程 度      多く(約80%)は軽度(国内第Ⅲ相臨床試験)

経 過投与3日以内に発現し、発現後2~3日のうちに回復する。初回投与後に最も多く現れるが、2回目以降の発現率は低い。

適切な量の水分摂取は、米国骨粗鬆症財団(NOF)など海外でも推奨されており、脱水を防ぐためにも重要です。高齢者は脱水を起こしやすく、特に夏場は注意が必要です。投与前の500mL以上の飲水が急性期反応軽減に有効とする報告1)があります。

海外で実施された臨床試験(H2407試験)では、ゾレドロン酸投与後3日以内に口腔体温が1℃以上上昇し、かつ37.5℃を超えた患者の割合は、ゾレドロン酸+プラセボ群の63.5%(87/137例)に対し、ゾレドロン酸+アセトアミノフェン群は37.3%(50/134例)、ゾレドロン酸+イブプロフェン群は36.8%(50/136例)と、いずれも有意に低いことが示されました(p<0.0001、Fisherの直接確率検定)。アセトアミノフェンまたはイブプロフェンの併用によって体温上昇の開始が遅くなり、体温上昇のピークも低下しました。上昇した体温の回復も速やかでした。

(℃)

経過時間

口腔体温の変化

1.0

0.9

0.8

0.7

0.6

0.5

0.4

0.3

0.2

0.1

0.0(時間)0 5 10 15 24 29 34 39 48 53 58 63

H2407 試験概要

平均値±標準誤差

ゾレドロン酸+アセトアミノフェン群

ゾレドロン酸+イブプロフェン群

ゾレドロン酸+プラセボ群

プラセボ+プラセボ群

患者へのご説明には、患者説明用資材「リクラスト®で治療される患者さんへ」や、患者向け冊子1「リクラスト®

の治療を始める患者さんへ」および患者向け冊子2「リクラスト®の治療を始める患者さんへ ご注意いただきたいこと」をご活用ください。

急性期反応に対する解熱・鎮痛剤の使用について、学会より見解が出されています。

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承認時評価資料n(%) 

1312

国内第Ⅲ相臨床試験における急性期反応の発現状況5

試  験:多施設共同、無作為化、プラセボ対照、二重盲検、並行群間比較試験対  象:65歳以上89歳以下の原発性骨粗鬆症患者 665例(リクラスト群 333例、プラセボ群 332例)方  法:●リクラスト(ゾレドロン酸として5mg)またはプラセボを1年間隔で2回点滴静脈内投与し、2回目投与の1年後まで(計2年

  間)  観察した。          ●治験薬投与後に38.5℃を超える発熱があり、被験者がつらいと感じた場合のみ解熱鎮痛剤(イブプロフェン200mg:

  ブルフ    ェン®錠200)を、1回1錠を2回まで服用可とした。解析計画:骨折抑制効果はKaplan-Meier推定法に基づいたlog-rank検定で解析した。

 承認時評価資料n(%) 

●急性期反応の程度

リクラスト群における急性期反応と考えられる副作用の程度は、軽度が70.0~88.5%、中等度が11.5~30.0%であり、重度のものは認められませんでした。

投与3日以内に発現した急性期反応と考えられる有害事象(一部抜粋)

項 目 発 熱   関節痛 筋肉痛 頭 痛

国内第Ⅲ相臨床試験(ZONE Study)概要

リクラスト群における投与3日以内に発現した急性期反応と考えられる有害事象の発現率は、発熱39.3%、関節痛10.5%、  怠感8.1%等でした。

インフルエンザ様疾患

リクラスト群(n=333)

プラセボ群(n=332)

131 (39.3)

8 (2.4)

35 (10.5)

2 (0.6)

27 (8.1)

7 (2.1)

25 (7.5)

0 (0.0)

23 (6.9)

0 (0.0)

20 (6.0)

2 (0.6)

急性期反応と考えられる副作用の程度内訳(一部抜粋)

程度の分類

項 目 発 熱   関節痛 筋肉痛 頭 痛インフルエンザ様疾患

発現例数(n=333)

軽 度

中等度

重 度

110 (84.0)

31 (86.1)

23 (85.2)

23 (88.5)

20 (87.0)

14 (70.0)

21 (16.0)

5 (13.9)

4 (14.8)

3 (11.5)

3 (13.0)

6 (30.0)

131 36 27 26 23 20

0 0 0 0 0 0

軽 度:一過性で容易に耐えられる程度中等度:通常の活動に支障をきたす程度重 度:通常の活動を不可能にする程度

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承認時評価資料n(%) 

1312

国内第Ⅲ相臨床試験における急性期反応の発現状況5

試  験:多施設共同、無作為化、プラセボ対照、二重盲検、並行群間比較試験対  象:65歳以上89歳以下の原発性骨粗鬆症患者 665例(リクラスト群 333例、プラセボ群 332例)方  法:●リクラスト(ゾレドロン酸として5mg)またはプラセボを1年間隔で2回点滴静脈内投与し、2回目投与の1年後まで(計2年

  間)  観察した。          ●治験薬投与後に38.5℃を超える発熱があり、被験者がつらいと感じた場合のみ解熱鎮痛剤(イブプロフェン200mg:

  ブルフ    ェン®錠200)を、1回1錠を2回まで服用可とした。解析計画:骨折抑制効果はKaplan-Meier推定法に基づいたlog-rank検定で解析した。

 承認時評価資料n(%) 

●急性期反応の程度

リクラスト群における急性期反応と考えられる副作用の程度は、軽度が70.0~88.5%、中等度が11.5~30.0%であり、重度のものは認められませんでした。

投与3日以内に発現した急性期反応と考えられる有害事象(一部抜粋)

項 目 発 熱   関節痛 筋肉痛 頭 痛

国内第Ⅲ相臨床試験(ZONE Study)概要

リクラスト群における投与3日以内に発現した急性期反応と考えられる有害事象の発現率は、発熱39.3%、関節痛10.5%、  怠感8.1%等でした。

インフルエンザ様疾患

リクラスト群(n=333)

プラセボ群(n=332)

131 (39.3)

8 (2.4)

35 (10.5)

2 (0.6)

27 (8.1)

7 (2.1)

25 (7.5)

0 (0.0)

23 (6.9)

0 (0.0)

20 (6.0)

2 (0.6)

急性期反応と考えられる副作用の程度内訳(一部抜粋)

程度の分類

項 目 発 熱   関節痛 筋肉痛 頭 痛インフルエンザ様疾患

発現例数(n=333)

軽 度

中等度

重 度

110 (84.0)

31 (86.1)

23 (85.2)

23 (88.5)

20 (87.0)

14 (70.0)

21 (16.0)

5 (13.9)

4 (14.8)

3 (11.5)

3 (13.0)

6 (30.0)

131 36 27 26 23 20

0 0 0 0 0 0

軽 度:一過性で容易に耐えられる程度中等度:通常の活動に支障をきたす程度重 度:通常の活動を不可能にする程度

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1514

n(%) 

●急性期反応の投与回別の発現状況

リクラスト群において、急性期反応の発現率は、2回目投与時では初回投与時に比べ、明らかに低下しました。

●急性期反応の回復までの期間

投与3日以内によくみられる有害事象※の回復までの期間【国内第Ⅲ相臨床試験】

ほとんどの急性期反応は、発現から3日以内に回復しました。

投与回別(初回、2回目)の発現状況 【国内第Ⅲ相臨床試験】

項 目 すべての有害事象

初回投与3日以内の発現(n=333)

185 (55.6)

129 (38.7)

34 (10.2)

23 (6.9)

22 (6.6)

19 (5.7)

18 (5.4)

15 (4.5)

2 回目投与3日以内の発現(n=269)

45 (16.7)

21 (7.8)

1 (0.4)

2 (0.7)

3 (1.1)

9 (3.3)

4 (1.5)

3 (1.1)

15-30 >308-144-71-3 15-30 >308-144-71-3 15-30 >308-144-71-3合計すべての投与

(リクラスト群 n=333、プラセボ群 n=332)1回目投与

(リクラスト群 n=333、プラセボ群 n=332)2回目投与

(リクラスト群 n=269、プラセボ群 n=287)

(日)

180

160

140

120

100

80

60

40

20

0合計 合計

(例)リクラスト群 プラセボ群

リクラスト群において、急性期反応は、発現から1~3日以内に65.5%が回復し、7日以内には83.3%が回復しました。これらの回復までの期間は、投与1回目と 2回目とで大きな差はありませんでした。

初回投与3日以内によくみられる有害事象(いずれかの群で2.0%以上)の発現率を、初回投与3日以内と2回目投与3日以内で比較したところ、2回目投与時の方が初回投与時よりも発現率が低下しました。

  (安全性解析対象集団)             承認時評価資料

  (安全性解析対象集団)             承認時評価資料

※ 発熱、関節痛、    、筋肉痛、インフルエンザ様疾患、頭痛、悪寒、血中カルシウム減少、血中リン減少(いずれかの群で2.0%以上発現)

発 熱 筋肉痛関節痛インフルエンザ様疾患

頭 痛   悪 寒

急性期反応と考えられる有害事象

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1514

n(%) 

●急性期反応の投与回別の発現状況

リクラスト群において、急性期反応の発現率は、2回目投与時では初回投与時に比べ、明らかに低下しました。

●急性期反応の回復までの期間

投与3日以内によくみられる有害事象※の回復までの期間【国内第Ⅲ相臨床試験】

ほとんどの急性期反応は、発現から3日以内に回復しました。

投与回別(初回、2回目)の発現状況 【国内第Ⅲ相臨床試験】

項 目 すべての有害事象

初回投与3日以内の発現(n=333)

185 (55.6)

129 (38.7)

34 (10.2)

23 (6.9)

22 (6.6)

19 (5.7)

18 (5.4)

15 (4.5)

2 回目投与3日以内の発現(n=269)

45 (16.7)

21 (7.8)

1 (0.4)

2 (0.7)

3 (1.1)

9 (3.3)

4 (1.5)

3 (1.1)

15-30 >308-144-71-3 15-30 >308-144-71-3 15-30 >308-144-71-3合計すべての投与

(リクラスト群 n=333、プラセボ群 n=332)1回目投与

(リクラスト群 n=333、プラセボ群 n=332)2回目投与

(リクラスト群 n=269、プラセボ群 n=287)

(日)

180

160

140

120

100

80

60

40

20

0合計 合計

(例)リクラスト群 プラセボ群

リクラスト群において、急性期反応は、発現から1~3日以内に65.5%が回復し、7日以内には83.3%が回復しました。これらの回復までの期間は、投与1回目と 2回目とで大きな差はありませんでした。

初回投与3日以内によくみられる有害事象(いずれかの群で2.0%以上)の発現率を、初回投与3日以内と2回目投与3日以内で比較したところ、2回目投与時の方が初回投与時よりも発現率が低下しました。

  (安全性解析対象集団)             承認時評価資料

  (安全性解析対象集団)             承認時評価資料

※ 発熱、関節痛、    、筋肉痛、インフルエンザ様疾患、頭痛、悪寒、血中カルシウム減少、血中リン減少(いずれかの群で2.0%以上発現)

発 熱 筋肉痛関節痛インフルエンザ様疾患

頭 痛   悪 寒

急性期反応と考えられる有害事象

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腎機能がBP製剤の薬物動態に及ぼす影響

1716

腎機能障害2.

BP製剤と腎機能障害1

リクラストと腎機能障害2

BP製剤は腎排泄によって人体から消失します。腎機能が低下している場合、排泄遅延により血中濃度が上昇し、副作用を誘発する可能性があるため注意が必要です。

BP製剤が腎機能に及ぼす影響BP製剤は腎排泄であり、尿細管に対する毒性を有します。その毒性はAUC(曲線下面積)よりも、Cmax(最高血中濃度)に依存するため、一回の投与量が高用量になるほど、また注射剤の場合には点滴時間が短くなるほど腎毒性のリスクは高まります。

リクラストは、国内臨床試験においてクレアチニンクリアランス(CCr)35mL/min未満の患者は除外されており、安全性が確認されていないこと、および企業中核データシート(CCDS)においてこのような患者では腎不全を起こす可能性があることから禁忌となっています。また、脱水状態(高熱、高度な下痢及び嘔吐等)にある患者についても、急性腎不全を起こすおそれがあるため、禁忌となっています。

8.重要な基本的注意8.1 本剤の投与により急性腎障害を起こすことがあり、その多くは本剤投与開始1ヵ月以内に発現してい

るので、本剤の各投与に際しては以下の点に注意すること。 [1.、2.2、2.3、5.2、9.1.1、9.2.2、10.2、11.1.1参照] ・投与前に、腎機能(クレアチニンクリアランス等)並びに脱水状態(高熱、高度な下痢や嘔吐等)を確認し、  投与の適否を判断すること。脱水状態にある場合は、本剤投与前にあらかじめ処置すること。   ・投与前及び投与後早期は十分な水分補給をするよう指導すること。   ・投与後1~2週を目安に腎機能検査を行うなど患者の状態を十分に観察し、それ以降も患者の状態に 応じて定期的に検査を行うなど、観察を十分に行うこと。    特に、急性腎障害を起こすおそれがある患者については、投与後1~2週に腎機能検査を行うこと。 ・投与後早期に急性期反応を含む脱水症状が認められた場合には、医療機関を受診するよう指導すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意9.1 合併症・既往歴等のある患者9.1.1 急性腎障害を起こすおそれのある患者

次のような患者では、投与後1~2週に腎機能検査を行うこと。[8.1、9.2.2、11.1.1参照]・中等度の腎機能障害のある患者・腎毒性を有する薬剤又は利尿剤を併用している患者・本剤の投与により、腎機能障害や急性期反応を含む脱水症状を起こしたことのある患者

9.2 腎機能障害患者9.2.1 重度の腎機能障害(クレアチニンクリアランス35mL/min未満)のある患者

投与しないこと。急性腎障害を起こすことがある。[2.2、11.1.1参照]

9.2.2 中等度の腎機能障害のある患者[8.1、9.1.1、11.1.1参照]

11. 副作用次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。11.1 重大な副作用11.1.1 急性腎障害、間質性腎炎、ファンコニー症候群 (頻度不明)

急性腎障害、間質性腎炎、ファンコニー症候群(低リン血症、低カリウム血症、代謝性アシドーシス等を主症状とする近位腎尿細管障害)等の腎障害があらわれることがある。[1.、2.2、2.3、8.1、9.1.1、9.2.1、9.2.2参照]

10.相互作用   10.2併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子

脱水により急性腎障害の発現リスクを増加させるおそれがある。

利尿作用を有する薬剤により、体液量が減少し脱水状態になることがある。

利尿剤 フロセミド ヒドロクロロチアジド等[1.、8.1参照]

急性腎障害の発現リスクを増加させるおそれがある。

腎機能が低下し、本剤の排泄が低下することが考えられている。

腎毒性を有する薬剤 非ステロイド系消炎鎮痛剤 (インドメタシン等)等[1.、8.1参照]

添付文書 腎機能障害関連部分の抜粋

2.2 重度の腎機能障害(クレアチニンクリアランス35mL/min未満)のある患者[急性腎障害を起こ   すことがある][8.1、9.2.1、11.1.1参照] 2.3 脱水状態(高熱、高度な下痢及び嘔吐等)にある患者[急性腎障害を起こすことがある][8.1、11.1.1    参照]

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

1. 警 告急性腎障害を起こすことがあるため、以下の点に注意すること。[11.1.1参照]・各投与前には、腎機能(クレアチニンクリアランス等)、脱水状態(高熱、高度な下痢及び嘔吐等)及び併用薬(腎毒性を有する薬剤、利尿剤)について、問診・検査を行うなど患者の状態を十分に確認し、本剤投与の適否を判断すること。[8.1、10.2参照]・投与時には、点滴時間が短いと急性腎障害の発現リスクが高くなることから、必ず15分間以上かけて点滴静脈内投与すること。[14.1.1参照]・急性腎障害の発現は主に投与後早期に認められているため、腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。[8.1参照]

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腎機能がBP製剤の薬物動態に及ぼす影響

1716

腎機能障害2.

BP製剤と腎機能障害1

リクラストと腎機能障害2

BP製剤は腎排泄によって人体から消失します。腎機能が低下している場合、排泄遅延により血中濃度が上昇し、副作用を誘発する可能性があるため注意が必要です。

BP製剤が腎機能に及ぼす影響BP製剤は腎排泄であり、尿細管に対する毒性を有します。その毒性はAUC(曲線下面積)よりも、Cmax(最高血中濃度)に依存するため、一回の投与量が高用量になるほど、また注射剤の場合には点滴時間が短くなるほど腎毒性のリスクは高まります。

リクラストは、国内臨床試験においてクレアチニンクリアランス(CCr)35mL/min未満の患者は除外されており、安全性が確認されていないこと、および企業中核データシート(CCDS)においてこのような患者では腎不全を起こす可能性があることから禁忌となっています。また、脱水状態(高熱、高度な下痢及び嘔吐等)にある患者についても、急性腎不全を起こすおそれがあるため、禁忌となっています。

8.重要な基本的注意8.1 本剤の投与により急性腎障害を起こすことがあり、その多くは本剤投与開始1ヵ月以内に発現してい

るので、本剤の各投与に際しては以下の点に注意すること。 [1.、2.2、2.3、5.2、9.1.1、9.2.2、10.2、11.1.1参照] ・投与前に、腎機能(クレアチニンクリアランス等)並びに脱水状態(高熱、高度な下痢や嘔吐等)を確認し、  投与の適否を判断すること。脱水状態にある場合は、本剤投与前にあらかじめ処置すること。   ・投与前及び投与後早期は十分な水分補給をするよう指導すること。   ・投与後1~2週を目安に腎機能検査を行うなど患者の状態を十分に観察し、それ以降も患者の状態に 応じて定期的に検査を行うなど、観察を十分に行うこと。    特に、急性腎障害を起こすおそれがある患者については、投与後1~2週に腎機能検査を行うこと。 ・投与後早期に急性期反応を含む脱水症状が認められた場合には、医療機関を受診するよう指導すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意9.1 合併症・既往歴等のある患者9.1.1 急性腎障害を起こすおそれのある患者

次のような患者では、投与後1~2週に腎機能検査を行うこと。[8.1、9.2.2、11.1.1参照]・中等度の腎機能障害のある患者・腎毒性を有する薬剤又は利尿剤を併用している患者・本剤の投与により、腎機能障害や急性期反応を含む脱水症状を起こしたことのある患者

9.2 腎機能障害患者9.2.1 重度の腎機能障害(クレアチニンクリアランス35mL/min未満)のある患者

投与しないこと。急性腎障害を起こすことがある。[2.2、11.1.1参照]

9.2.2 中等度の腎機能障害のある患者[8.1、9.1.1、11.1.1参照]

11. 副作用次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。11.1 重大な副作用11.1.1 急性腎障害、間質性腎炎、ファンコニー症候群 (頻度不明)

急性腎障害、間質性腎炎、ファンコニー症候群(低リン血症、低カリウム血症、代謝性アシドーシス等を主症状とする近位腎尿細管障害)等の腎障害があらわれることがある。[1.、2.2、2.3、8.1、9.1.1、9.2.1、9.2.2参照]

10.相互作用   10.2併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子

脱水により急性腎障害の発現リスクを増加させるおそれがある。

利尿作用を有する薬剤により、体液量が減少し脱水状態になることがある。

利尿剤 フロセミド ヒドロクロロチアジド等[1.、8.1参照]

急性腎障害の発現リスクを増加させるおそれがある。

腎機能が低下し、本剤の排泄が低下することが考えられている。

腎毒性を有する薬剤 非ステロイド系消炎鎮痛剤 (インドメタシン等)等[1.、8.1参照]

添付文書 腎機能障害関連部分の抜粋

2.2 重度の腎機能障害(クレアチニンクリアランス35mL/min未満)のある患者[急性腎障害を起こ   すことがある][8.1、9.2.1、11.1.1参照] 2.3 脱水状態(高熱、高度な下痢及び嘔吐等)にある患者[急性腎障害を起こすことがある][8.1、11.1.1    参照]

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

1. 警 告急性腎障害を起こすことがあるため、以下の点に注意すること。[11.1.1参照]・各投与前には、腎機能(クレアチニンクリアランス等)、脱水状態(高熱、高度な下痢及び嘔吐等)及び併用薬(腎毒性を有する薬剤、利尿剤)について、問診・検査を行うなど患者の状態を十分に確認し、本剤投与の適否を判断すること。[8.1、10.2参照]・投与時には、点滴時間が短いと急性腎障害の発現リスクが高くなることから、必ず15分間以上かけて点滴静脈内投与すること。[14.1.1参照]・急性腎障害の発現は主に投与後早期に認められているため、腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。[8.1参照]

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1918

腎機能障害の対策3

リクラスト投与に際し、以下を参考に適切な処置を行ってください。

重度の腎障害(CCr35mL/min未満)のある患者、脱水状態にある患者は禁忌です。リクラストを投与しないでください。

● 以下について問診・検査を行うなど患者の状態を十分に確認し、本剤投与の適否を判断してください。 ・腎機能(血清クレアチニン、eGFR、クレアチニンクリアランスなど) ・脱水状態(高熱、高度な下痢および嘔吐など) ・併用薬(NSAIDs、アミノグリコシド系抗生物質、ACE阻害薬などの腎毒性を有する薬剤、フロセミド  などの利尿剤など)● 脱水状態にある場合は、本剤投与前にあらかじめ処置してください。● 本剤投与予定の患者に以下のことをご指導ください。 ・脱水を防ぐため、リクラスト投与前は、十分な水分補給を行うこと

リクラスト投与の検討時

● 患者に以下のことをご説明ください。 ・脱水を防ぐため、リクラスト投与後早期は、十分な水分補給を行うこと ・投与後早期に急性期反応を含む脱水症状が認められた場合には、医療機関を受診すること● 急性腎不全の発現は主に投与後早期に認められています(p19~20 をご参照ください)。投与後1~2 週を目安に腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察し、それ以降も患者の状態に応じて定期的に検査を行うなど、観察を十分に行ってください。異常が認められた場合は適切な処置を行ってください。特に、急性腎不全を起こすおそれがある患者(中等度の腎機能障害のある患者、腎毒性を有する薬剤または利尿剤を併用している患者)や本剤の投与により腎機能障害や脱水を起こしたことのある患者については、投与後1~2 週に腎機能検査を行ってください。

リクラスト投与後

● 点滴時間が短いと急性腎不全の発現リスクが高くなることから、 必ず15分間以上かけて点滴を行ってください。● 患者に以下のことをご説明ください。 ・脱水を防ぐため、リクラスト投与当日は、十分な水分補給を行うこと ・投与後早期に急性期反応を含む脱水症状が認められた場合には、医療機関を受診すること

リクラスト投与時

※クレアチニンクリアランスの測定法AK156-Ⅲ-1試験:ZONE Study において、クレアチニンクリアランスはCockcroft-Gault 計算式を用いて算出しました。男性:クレアチニンクリアランス=(140-年齢)×体重/(72×血清クレアチニン値※)女性:クレアチニンクリアランス=0.85×(140-年齢)×体重/(72×血清クレアチニン値)

※ 血清クレアチニン値:酵素法で測定された場合は+0.2 (mg/dL) した値を用いる。

投与後2週間以内に、リクラスト群において血中クレアチニン増加2例2件、尿蛋白増加2例3件が認められました。5件中3件は発現後1ヵ月以内、2件も半年以内に処置なく回復しました。

リクラスト投与による腎への短期的な影響は、軽微、かつ一過性のものでした。

短期的な腎への影響(投与後2週間以内)

投与12、24ヵ月後に、CCrが30mL/min未満もしくは血清クレアチニンが開始時から0.5mg/dLを超えて上昇もしくは尿蛋白が投与後2+を超えた患者の割合は、リクラスト群とプラセボ群で大きな違いはありませんでした。

リクラスト投与による腎への長期的な作用は認められませんでした。

長期的な腎への影響(投与12、24ヵ月後)

 (安全性解析対象集団)承認時評価資料

n(%) 

有害事象 副作用

尿蛋白増加

血中クレアチニン増加

腎機能障害

21 (6.3)

13 (3.9)

1 (0.3)

4 (1.2)

2 (0.6)

1 (0.3)

14 (4.2)

10 (3.0)

0 (0.0)

2 (0.6)

0 (0.0)

1 (0.3)

リクラスト群(n=333)

プラセボ群(n=332)

リクラスト群(n=333)

プラセボ群(n=332)

腎機能関連事象の発現状況

リクラスト群において、尿蛋白増加4.2%、血中クレアチニン増加3.0%が認められました。

国内第Ⅲ相臨床試験における腎機能関連事象の発現状況4

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1918

腎機能障害の対策3

リクラスト投与に際し、以下を参考に適切な処置を行ってください。

重度の腎障害(CCr35mL/min未満)のある患者、脱水状態にある患者は禁忌です。リクラストを投与しないでください。

● 以下について問診・検査を行うなど患者の状態を十分に確認し、本剤投与の適否を判断してください。 ・腎機能(血清クレアチニン、eGFR、クレアチニンクリアランスなど) ・脱水状態(高熱、高度な下痢および嘔吐など) ・併用薬(NSAIDs、アミノグリコシド系抗生物質、ACE阻害薬などの腎毒性を有する薬剤、フロセミド  などの利尿剤など)● 脱水状態にある場合は、本剤投与前にあらかじめ処置してください。● 本剤投与予定の患者に以下のことをご指導ください。 ・脱水を防ぐため、リクラスト投与前は、十分な水分補給を行うこと

リクラスト投与の検討時

● 患者に以下のことをご説明ください。 ・脱水を防ぐため、リクラスト投与後早期は、十分な水分補給を行うこと ・投与後早期に急性期反応を含む脱水症状が認められた場合には、医療機関を受診すること● 急性腎不全の発現は主に投与後早期に認められています(p19~20 をご参照ください)。投与後1~2 週を目安に腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察し、それ以降も患者の状態に応じて定期的に検査を行うなど、観察を十分に行ってください。異常が認められた場合は適切な処置を行ってください。特に、急性腎不全を起こすおそれがある患者(中等度の腎機能障害のある患者、腎毒性を有する薬剤または利尿剤を併用している患者)や本剤の投与により腎機能障害や脱水を起こしたことのある患者については、投与後1~2 週に腎機能検査を行ってください。

リクラスト投与後

● 点滴時間が短いと急性腎不全の発現リスクが高くなることから、 必ず15分間以上かけて点滴を行ってください。● 患者に以下のことをご説明ください。 ・脱水を防ぐため、リクラスト投与当日は、十分な水分補給を行うこと ・投与後早期に急性期反応を含む脱水症状が認められた場合には、医療機関を受診すること

リクラスト投与時

※クレアチニンクリアランスの測定法AK156-Ⅲ-1試験:ZONE Study において、クレアチニンクリアランスはCockcroft-Gault 計算式を用いて算出しました。男性:クレアチニンクリアランス=(140-年齢)×体重/(72×血清クレアチニン値※)女性:クレアチニンクリアランス=0.85×(140-年齢)×体重/(72×血清クレアチニン値)

※ 血清クレアチニン値:酵素法で測定された場合は+0.2 (mg/dL) した値を用いる。

投与後2週間以内に、リクラスト群において血中クレアチニン増加2例2件、尿蛋白増加2例3件が認められました。5件中3件は発現後1ヵ月以内、2件も半年以内に処置なく回復しました。

リクラスト投与による腎への短期的な影響は、軽微、かつ一過性のものでした。

短期的な腎への影響(投与後2週間以内)

投与12、24ヵ月後に、CCrが30mL/min未満もしくは血清クレアチニンが開始時から0.5mg/dLを超えて上昇もしくは尿蛋白が投与後2+を超えた患者の割合は、リクラスト群とプラセボ群で大きな違いはありませんでした。

リクラスト投与による腎への長期的な作用は認められませんでした。

長期的な腎への影響(投与12、24ヵ月後)

 (安全性解析対象集団)承認時評価資料

n(%) 

有害事象 副作用

尿蛋白増加

血中クレアチニン増加

腎機能障害

21 (6.3)

13 (3.9)

1 (0.3)

4 (1.2)

2 (0.6)

1 (0.3)

14 (4.2)

10 (3.0)

0 (0.0)

2 (0.6)

0 (0.0)

1 (0.3)

リクラスト群(n=333)

プラセボ群(n=332)

リクラスト群(n=333)

プラセボ群(n=332)

腎機能関連事象の発現状況

リクラスト群において、尿蛋白増加4.2%、血中クレアチニン増加3.0%が認められました。

国内第Ⅲ相臨床試験における腎機能関連事象の発現状況4

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2120

低カルシウム血症3.

BP製剤と低カルシウム血症1

リクラストと低カルシウム血症2

BP製剤では、破骨細胞の減少により骨吸収が低下し、低カルシウム血症が発現する可能性があることが知られています。低カルシウム血症はしばしば無症候性です。症状が現れる場合には、背部および下肢の筋肉の痙攣が一般的にみられます。血清カルシウム濃度が7.0mg/dL未満(1.75mmol/L未満)の重度低カルシウム血症では、テタニー、喉頭痙攣、全身性痙攣を引き起こすおそれがあります。

米国食品医薬品局(FDA)により、本剤の投与と関連する腎機能障害および急性腎不全について、2007年4月から2009年2月17日までの間に有害事象報告システム(Adverse Event Reporting System、AERS)に報告された24症例の評価が実施されています。この評価によると、リクラスト投与から腎機能障害または急性腎不全発現までの期間の中央値は11日でした。また、14症例で腎機能障害や急性腎不全につながるリスクのある基礎疾患(糖尿病、うっ血性心不全、慢性腎疾患など)を有しているか、腎毒性のある薬剤(NSAIDsなど)が併用されていました。なお、13症例では投与後に一過性の血中クレアチニン増加が認められたと報告されています。FDA (2009)Zoledronic Acid (Marketed as Reclast): Renal Impairment and Acute Renal Failure. Postmarket Reviews-Volume 2, Number 2 (Internet). http://web.archive.org/web/20120120202235/http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/DrugSafetyNewsletter/ucm167883.htm

以下に代表的な症例の概要を示します。

国内第Ⅲ相臨床試験において、安全性評価対象症例333例中1例(0.3%)に低カルシウム血症が認められました。本症例における自覚症状は 怠感のみでしたが、一般に低カルシウム血症の初期症状は、血清カルシウム値の低下(補正値が8.0mg/dL以下)、筋肉の脱力感、筋力の減退、しびれ、手足の震えなどが認められるとされていることから、類薬の記載を参考に設定しました。

添付文書 低カルシウム血症関連部分の抜粋

患 者

併用薬:メトロニダゾール、フロセミド、ワルファリン

副作用

経過および処置1回投与量投与回数

5mg/年1回

使用理由原疾患( 合併症 )

閉経後骨粗鬆症(うっ血性心不全、心房細動、慢性胃炎、胃食道逆流性疾患、高血圧、高脂血症、筋肉痛)

急性腎不全、インフルエンザ様疾患投与16日前投与開始日投与7日後

投与9日後(発現日)

投与10日後

投与11日後

投与12日後

投与13日後投与14日後

血清クレアチニン:1.1mg/dL。本剤 5mg 投与。インフルエンザ様疾患発現。悪心に対しメトクロプラミド投与。心臓専門医の定期診察を受けた際、背部痛と疲労を訴える。血清クレアチニン:4.1mg/dL、BUN:64mg/dL、ジゴキシンレベル:1.8nmol/L。重度の脱水、悪心の持続、時折の嘔吐、急性腎不全およびジゴキシン毒性と診断され入院。輸液、メトクロプラミド点滴、カリウム交換が行われ、併用薬のジゴキシン、フロセミド、メトロニダゾールおよびワルファリンは適切に水分が補給されるまで休薬された。血清クレアチニン:2.9mg/dL、BUN:49mg/dL、ジゴキシンレベル:1.4 nmol/L。血清クレアチニン:2.1mg/dL、BUN:32mg/dL、INR:3.9。血清クレアチニン:1.5mg/dL。悪心は持続。血清クレアチニン:1.3mg/dL、BUN:11mg/dL。症状改善、脱水からの回復を確認し、退院。

性・年齢

女・80代

症例概要

急性腎不全の代表症例(外国、自発報告)5

薬剤名等 機序・危険因子臨床症状・措置方法カルシトニン製剤 エルカトニン、サケカルシトニン[8.3参照]

血清カルシウムが急速に低下するおそれがある。

アミノグリコシド系抗生物質 ゲンタマイシン等[8.3参照]

長期間にわたり血清カルシウムが低下するおそれがある。

シナカルセト[8.3参照] 血清カルシウムが低下するおそれがある。

相互に作用を増強する。

8.重要な基本的注意8.2 低カルシウム血症やリン、マグネシウム等のミネラル代謝障害がある場合には本剤投与前にあらかじめ治

療すること。[2.4、5.2、11.1.2参照]8.3 本剤投与中は必要に応じてカルシウム及びビタミンDを補給すること。また、本剤投与後に血清カルシウ

ム値が低下する可能性がある(主に投与後14日以内)ので、血清カルシウム値の変動に注意すること。  [5.2、10.2、11.1.2参照]

11. 副作用次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。11.1 重大な副作用11.1.2 低カルシウム血症 (0.3%)   QT延長、痙攣、テタニー、しびれ、失見当識等を伴う低カルシウム血症があらわれることがあるので、    異常が認められた場合にはカルシウム剤を投与する等の適切な処置を行うこと。[2.4、8.2、8.3参照]

10.相互作用10.2 併用注意(併用に注意すること)

2.4 低カルシウム血症の患者[8.2、11.1.2参照] 2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

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低カルシウム血症3.

BP製剤と低カルシウム血症1

リクラストと低カルシウム血症2

BP製剤では、破骨細胞の減少により骨吸収が低下し、低カルシウム血症が発現する可能性があることが知られています。低カルシウム血症はしばしば無症候性です。症状が現れる場合には、背部および下肢の筋肉の痙攣が一般的にみられます。血清カルシウム濃度が7.0mg/dL未満(1.75mmol/L未満)の重度低カルシウム血症では、テタニー、喉頭痙攣、全身性痙攣を引き起こすおそれがあります。

米国食品医薬品局(FDA)により、本剤の投与と関連する腎機能障害および急性腎不全について、2007年4月から2009年2月17日までの間に有害事象報告システム(Adverse Event Reporting System、AERS)に報告された24症例の評価が実施されています。この評価によると、リクラスト投与から腎機能障害または急性腎不全発現までの期間の中央値は11日でした。また、14症例で腎機能障害や急性腎不全につながるリスクのある基礎疾患(糖尿病、うっ血性心不全、慢性腎疾患など)を有しているか、腎毒性のある薬剤(NSAIDsなど)が併用されていました。なお、13症例では投与後に一過性の血中クレアチニン増加が認められたと報告されています。FDA (2009)Zoledronic Acid (Marketed as Reclast): Renal Impairment and Acute Renal Failure. Postmarket Reviews-Volume 2, Number 2 (Internet). http://web.archive.org/web/20120120202235/http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/DrugSafetyNewsletter/ucm167883.htm

以下に代表的な症例の概要を示します。

国内第Ⅲ相臨床試験において、安全性評価対象症例333例中1例(0.3%)に低カルシウム血症が認められました。本症例における自覚症状は 怠感のみでしたが、一般に低カルシウム血症の初期症状は、血清カルシウム値の低下(補正値が8.0mg/dL以下)、筋肉の脱力感、筋力の減退、しびれ、手足の震えなどが認められるとされていることから、類薬の記載を参考に設定しました。

添付文書 低カルシウム血症関連部分の抜粋

患 者

併用薬:メトロニダゾール、フロセミド、ワルファリン

副作用

経過および処置1回投与量投与回数

5mg/年1回

使用理由原疾患( 合併症 )

閉経後骨粗鬆症(うっ血性心不全、心房細動、慢性胃炎、胃食道逆流性疾患、高血圧、高脂血症、筋肉痛)

急性腎不全、インフルエンザ様疾患投与16日前投与開始日投与7日後

投与9日後(発現日)

投与10日後

投与11日後

投与12日後

投与13日後投与14日後

血清クレアチニン:1.1mg/dL。本剤 5mg 投与。インフルエンザ様疾患発現。悪心に対しメトクロプラミド投与。心臓専門医の定期診察を受けた際、背部痛と疲労を訴える。血清クレアチニン:4.1mg/dL、BUN:64mg/dL、ジゴキシンレベル:1.8nmol/L。重度の脱水、悪心の持続、時折の嘔吐、急性腎不全およびジゴキシン毒性と診断され入院。輸液、メトクロプラミド点滴、カリウム交換が行われ、併用薬のジゴキシン、フロセミド、メトロニダゾールおよびワルファリンは適切に水分が補給されるまで休薬された。血清クレアチニン:2.9mg/dL、BUN:49mg/dL、ジゴキシンレベル:1.4 nmol/L。血清クレアチニン:2.1mg/dL、BUN:32mg/dL、INR:3.9。血清クレアチニン:1.5mg/dL。悪心は持続。血清クレアチニン:1.3mg/dL、BUN:11mg/dL。症状改善、脱水からの回復を確認し、退院。

性・年齢

女・80代

症例概要

急性腎不全の代表症例(外国、自発報告)5

薬剤名等 機序・危険因子臨床症状・措置方法カルシトニン製剤 エルカトニン、サケカルシトニン[8.3参照]

血清カルシウムが急速に低下するおそれがある。

アミノグリコシド系抗生物質 ゲンタマイシン等[8.3参照]

長期間にわたり血清カルシウムが低下するおそれがある。

シナカルセト[8.3参照] 血清カルシウムが低下するおそれがある。

相互に作用を増強する。

8.重要な基本的注意8.2 低カルシウム血症やリン、マグネシウム等のミネラル代謝障害がある場合には本剤投与前にあらかじめ治

療すること。[2.4、5.2、11.1.2参照]8.3 本剤投与中は必要に応じてカルシウム及びビタミンDを補給すること。また、本剤投与後に血清カルシウ

ム値が低下する可能性がある(主に投与後14日以内)ので、血清カルシウム値の変動に注意すること。  [5.2、10.2、11.1.2参照]

11. 副作用次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。11.1 重大な副作用11.1.2 低カルシウム血症 (0.3%)   QT延長、痙攣、テタニー、しびれ、失見当識等を伴う低カルシウム血症があらわれることがあるので、    異常が認められた場合にはカルシウム剤を投与する等の適切な処置を行うこと。[2.4、8.2、8.3参照]

10.相互作用10.2 併用注意(併用に注意すること)

2.4 低カルシウム血症の患者[8.2、11.1.2参照] 2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

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Page 23: リクラストの適正使用 - 医薬品医療機器総合機構...2 3 リクラスト®(一般名:ゾレドロン酸水和物)は、ノバルティス ファーマAGが創製した、側鎖

2322

Page 24: リクラストの適正使用 - 医薬品医療機器総合機構...2 3 リクラスト®(一般名:ゾレドロン酸水和物)は、ノバルティス ファーマAGが創製した、側鎖

2003年にBP製剤による治療を受けているがん患者、あるいは骨粗鬆症患者に、頻度は非常に低いが、難治性の顎骨壊死(BRONJ)が発現することが報告されました。10年以上にわたる多くの症例の蓄積とその検討、解析により、徐々にBRONJの病態に対する理解が深まり、口腔管理あるいは歯周組織や根尖の病変を除いておけばBRONJ発現を予防できることが明らかとなりつつあります。また、同じく破骨細胞による骨吸収をターゲットとするデノスマブ治療を受けている患者にもBRONJと同様のONJ(DRONJ)がほぼ同じ頻度で発現することが判明したことから、日本のポジションペーパーにおいても両者を包括したARONJ(Anti-resorptive agents-related ONJ)という名称が用いられています。

2524

顎骨壊死4.

顎骨壊死とは1

1)田口 明先生ご監修2)田口 明先生ご提供

参考:骨吸収抑制薬関連顎骨壊死の病態と管理:顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー 2016

ARONJの診断以下の診断基準を満たした場合に、ARONJと診断します。1) BPまたはデノスマブによる治療歴がある。2) 顎骨への放射線照射歴がない。また骨病変が顎骨へのがん転移ではないことが確認できる。3) 医療従事者が指摘してから8週間以上持続して、口腔・顎・顔面領域に骨露出を認める、または口腔内、ある  いは口腔外の瘻孔から触知出来る骨を8週間以上認める。ただしステージ0に対してはこの基準は適用さ   れない。

ステージ0のうち半分はONJに進展しないとの報告があり、過剰診断とならないよう留意する。

ARONJの臨床症状とステージング(一部抜粋)1)

乳がんでゾレドロン酸を使用した患者2):口腔内に骨露出を認め(矢印)、X線写真では右側上顎に広範な腐骨分離像を認める(矢印)。

ステージ 臨床症状

0

1

2

骨露出 /骨壊死なし、深い歯周ポケット、歯牙動揺、口腔粘膜潰瘍、腫脹、膿瘍形成、開口障害、下唇の感覚鈍麻または麻痺(Vincent症状)、歯原性では説明できない痛み

ステージ1に加えて、疼痛、あるいは排膿などの感染症状を呈する、口腔内瘻孔形成

3ステージ2 に加えて、口腔外瘻孔、遊離腐骨、下顎骨の病的骨折、上顎洞あるいは鼻腔への穿孔

骨露出 /骨壊死あり、感染症状なし

口腔内を清潔に保つようご指導いただき、歯科医師へご相談ください。侵襲的歯科治療後にリクラストを投与する際は、術創の上皮化を待って、2週間程度術部に感染がないことを確認してください。

〈侵襲的歯科治療が必要になった場合〉

顎骨壊死の対策フロー2

リクラスト投与前および投与後は、以下を参考に適切な処置を行ってください。

口腔内の衛生管理を徹底することが、ARONJ対策の最も重要なポイントです。口腔内細菌が常在することで、顎骨は感染しやすい部位であることを考慮し、患者へ薬剤使用に関する抜歯後治療不全の可能性を十分に説明し、以下のことを指導してください。● 必要に応じて、歯科検診を受けること● 侵襲的歯科治療中の方は、リクラストの投与前に治療を終えることが望ましいこと

ARONJ発現のリスク因子がある患者は、特にご注意ください。● 侵襲的歯科治療(抜歯、インプラント埋入、根尖手術など)を行っている方 ● 義歯が不適合な方● 口腔衛生状態不良の方● がんや糖尿病を有する方● 喫煙されている方● ステロイド剤や血管新生阻害剤を投与されている方

リクラスト投与前

患者に以下のことをご説明ください。● 口腔衛生状態を良好に保つこと● 定期的(3、4ヵ月に1度程度)に歯科を受診し、歯茎の状態や 歯石の除去などの処置を受けること● 歯科受診時には、リクラスト患者さん用カードを持参し、   リクラストを投与していることを医療従事者に伝えること

リクラスト投与時

リクラスト患者さん用カード

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2003年にBP製剤による治療を受けているがん患者、あるいは骨粗鬆症患者に、頻度は非常に低いが、難治性の顎骨壊死(BRONJ)が発現することが報告されました。10年以上にわたる多くの症例の蓄積とその検討、解析により、徐々にBRONJの病態に対する理解が深まり、口腔管理あるいは歯周組織や根尖の病変を除いておけばBRONJ発現を予防できることが明らかとなりつつあります。また、同じく破骨細胞による骨吸収をターゲットとするデノスマブ治療を受けている患者にもBRONJと同様のONJ(DRONJ)がほぼ同じ頻度で発現することが判明したことから、日本のポジションペーパーにおいても両者を包括したARONJ(Anti-resorptive agents-related ONJ)という名称が用いられています。

2524

顎骨壊死4.

顎骨壊死とは1

1)田口 明先生ご監修2)田口 明先生ご提供

参考:骨吸収抑制薬関連顎骨壊死の病態と管理:顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー 2016

ARONJの診断以下の診断基準を満たした場合に、ARONJと診断します。1) BPまたはデノスマブによる治療歴がある。2) 顎骨への放射線照射歴がない。また骨病変が顎骨へのがん転移ではないことが確認できる。3) 医療従事者が指摘してから8週間以上持続して、口腔・顎・顔面領域に骨露出を認める、または口腔内、ある  いは口腔外の瘻孔から触知出来る骨を8週間以上認める。ただしステージ0に対してはこの基準は適用さ   れない。

ステージ0のうち半分はONJに進展しないとの報告があり、過剰診断とならないよう留意する。

ARONJの臨床症状とステージング(一部抜粋)1)

乳がんでゾレドロン酸を使用した患者2):口腔内に骨露出を認め(矢印)、X線写真では右側上顎に広範な腐骨分離像を認める(矢印)。

ステージ 臨床症状

0

1

2

骨露出 /骨壊死なし、深い歯周ポケット、歯牙動揺、口腔粘膜潰瘍、腫脹、膿瘍形成、開口障害、下唇の感覚鈍麻または麻痺(Vincent症状)、歯原性では説明できない痛み

ステージ1に加えて、疼痛、あるいは排膿などの感染症状を呈する、口腔内瘻孔形成

3ステージ2 に加えて、口腔外瘻孔、遊離腐骨、下顎骨の病的骨折、上顎洞あるいは鼻腔への穿孔

骨露出 /骨壊死あり、感染症状なし

口腔内を清潔に保つようご指導いただき、歯科医師へご相談ください。侵襲的歯科治療後にリクラストを投与する際は、術創の上皮化を待って、2週間程度術部に感染がないことを確認してください。

〈侵襲的歯科治療が必要になった場合〉

顎骨壊死の対策フロー2

リクラスト投与前および投与後は、以下を参考に適切な処置を行ってください。

口腔内の衛生管理を徹底することが、ARONJ対策の最も重要なポイントです。口腔内細菌が常在することで、顎骨は感染しやすい部位であることを考慮し、患者へ薬剤使用に関する抜歯後治療不全の可能性を十分に説明し、以下のことを指導してください。● 必要に応じて、歯科検診を受けること● 侵襲的歯科治療中の方は、リクラストの投与前に治療を終えることが望ましいこと

ARONJ発現のリスク因子がある患者は、特にご注意ください。● 侵襲的歯科治療(抜歯、インプラント埋入、根尖手術など)を行っている方 ● 義歯が不適合な方● 口腔衛生状態不良の方● がんや糖尿病を有する方● 喫煙されている方● ステロイド剤や血管新生阻害剤を投与されている方

リクラスト投与前

患者に以下のことをご説明ください。● 口腔衛生状態を良好に保つこと● 定期的(3、4ヵ月に1度程度)に歯科を受診し、歯茎の状態や 歯石の除去などの処置を受けること● 歯科受診時には、リクラスト患者さん用カードを持参し、   リクラストを投与していることを医療従事者に伝えること

リクラスト投与時

リクラスト患者さん用カード

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BP製剤投与予定の患者に対しては、投与開始前に口腔衛生状態を良好に保つことを指導します。可能であれば侵襲的な歯科治療を終えてから投与を開始することが望ましいとされています。ARONJに適切に対応するには、医師、歯科医師/口腔外科医師、薬剤師、看護師、歯科衛生士、歯科技工士の協力によるチーム医療体制を築くことが大切です。

BP製剤の中では、悪性腫瘍に用いられる静注BP製剤の発現リスクが高いとされています。ARONJの発現機序は明らかにはなっていませんが、最近、BP製剤とは異なる作用機序により骨吸収を抑制するデノスマブでも、ONJが発現することが報告され、ARONJの発現はBP製剤に特有のものではなく、破骨細胞の抑制による骨吸収抑制が関与すると考えられています。

口腔衛生状態を良好に保ち、歯科での定期的なケアにより、ARONJの発現リスクは軽減することができます。

2726

顎骨壊死の発現リスク軽減3

ARONJのリスク因子

国内の顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2016では、「EBMの観点に基づいて論理的に判断すると、侵襲的歯科治療前のBP製剤の休薬を積極的に支持する根拠に欠ける」とされています。しかしその一方、米国口腔顎顔面外科学会が提唱している、「骨吸収抑制薬投与が4年よりも多い場合、あるいはONJのリスク因子を有する骨粗鬆症患者に侵襲的歯科治療を行う場合には、骨折リスクを含めた全身状態が許容すれば2ヵ月前後の骨吸収抑制薬の休薬について主治医と協議、検討すること」についても、併せて掲載されています。

BP製剤投与中の休薬について

骨への侵襲的歯科治療(抜歯、インプラント埋入、根尖手術など)不適合義歯、過大な咬合力口腔内衛生不良、歯周病などの炎症性疾患※根管治療、矯正治療はリスク因子とはされていない

局所性

骨吸収抑制剤 悪性腫瘍用製剤>骨粗鬆症用製剤(BP製剤、デノスマブ)薬 剤

がん、糖尿病、関節リウマチ、低Ca血症など全身性

喫煙、飲酒、肥満ライフスタイル

抗がん薬、副腎皮質ステロイド、血管新生阻害剤など併用薬

田口 明先生ご監修参考:骨吸収抑制薬関連顎骨壊死の病態と管理:顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー 2016

Grbic JT, et al.: J Am Dent Assoc 2008; 139: 32-40.本試験はノバルティス ファーマ AGの支援により実施された

ゾレドロン酸群およびプラセボ群に各1例ずつONJが認められました。2例とも、下顎または上顎に対する外科的処置後に数ヵ月間にわたる治癒の遅延が記録されており、抗生物質や創面切除により回復しました。ゾレドロン酸群の1例は定期的な口腔ケアを受けたことがなく、さらに糖尿病を合併していることが感染のリスクを高めていた可能性が考えられます。また、過去の抜歯残根に膿瘍が認められた被験者でした。

国内第Ⅰ相臨床試験および国内第Ⅲ相臨床試験において、顎骨壊死の発現報告はありませんでした。

国内臨床試験における顎骨壊死の発現状況4

海外第Ⅲ相臨床試験(HORIZON-PFT)では、ゾレドロン酸群3,862例中1例(0.03%)、プラセボ群3,852例中1例(0.03%)に顎骨壊死が発現しました。

海外第Ⅲ相臨床試験における顎骨壊死の発現状況5

骨粗鬆症患者での海外市販後のONJの報告は、10万人・年あたり4.5人であり、経口BP製剤を使用している骨粗鬆症患者で報告されているONJの発生頻度(10万人・年あたり1~10 人)と同程度でした。

市販後における顎骨壊死の発現状況(海外)6

海外第Ⅲ相臨床試験(HORIZON-PFT)でONJと判定されたゾレドロン酸群の1症例

Novartis Pharmaceuticals Corporation Briefing Document for the September 9, 2011 Joint Meeting of the Advisory Committee for Reproductive Health Drugs and the Drug Safety and Risk Management Advisory Committee.

症 例 75歳女性、アジア人

なし

2型糖尿病、網膜炎、神経障害合併。直近に重度心筋梗塞の既往。定期的な歯科ケアなし。

合併症・既往歴・併用薬剤

BP製剤服用歴

抜歯後の残根片に囲まれた膿瘍臨床症状

● 12ヵ所のさらなる抜歯が行われた● 歯周感染を起こしたが、入院拒否● 下顎にも感染が拡大し、骨髄炎と下顎一部の骨壊死に発展● 抗生物質による治療で初発から2年後に完全寛解

治療および転帰

試  験:国際共同、無作為化、層化、プラセボ対照、二重盲検、並行群間比較対  象:閉経後骨粗鬆症患者7,736例方  法:ゾレドロン酸5mgまたはプラセボを1回15分以上かけて3年間(3回)点滴静脈内投与し、3回目投与1年後までの3年間観察

 した。なお、全患者に毎日、カルシウム1,000~1,500mg/日およびビタミンD 400~1,200IU/日を投与した。解析計画:12、24、36ヵ月間での新規椎体骨折発生率は、ロジスティック回帰モデルで解析した尤度比検定、大腿骨近位部骨折の初発ま

 での期間はKaplan-Meier推定法に基づくlog-rank検定で解析した。

海外第Ⅲ相臨床試験(HORIZON-PFT)概要

Page 27: リクラストの適正使用 - 医薬品医療機器総合機構...2 3 リクラスト®(一般名:ゾレドロン酸水和物)は、ノバルティス ファーマAGが創製した、側鎖

BP製剤投与予定の患者に対しては、投与開始前に口腔衛生状態を良好に保つことを指導します。可能であれば侵襲的な歯科治療を終えてから投与を開始することが望ましいとされています。ARONJに適切に対応するには、医師、歯科医師/口腔外科医師、薬剤師、看護師、歯科衛生士、歯科技工士の協力によるチーム医療体制を築くことが大切です。

BP製剤の中では、悪性腫瘍に用いられる静注BP製剤の発現リスクが高いとされています。ARONJの発現機序は明らかにはなっていませんが、最近、BP製剤とは異なる作用機序により骨吸収を抑制するデノスマブでも、ONJが発現することが報告され、ARONJの発現はBP製剤に特有のものではなく、破骨細胞の抑制による骨吸収抑制が関与すると考えられています。

口腔衛生状態を良好に保ち、歯科での定期的なケアにより、ARONJの発現リスクは軽減することができます。

2726

顎骨壊死の発現リスク軽減3

ARONJのリスク因子

国内の顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2016では、「EBMの観点に基づいて論理的に判断すると、侵襲的歯科治療前のBP製剤の休薬を積極的に支持する根拠に欠ける」とされています。しかしその一方、米国口腔顎顔面外科学会が提唱している、「骨吸収抑制薬投与が4年よりも多い場合、あるいはONJのリスク因子を有する骨粗鬆症患者に侵襲的歯科治療を行う場合には、骨折リスクを含めた全身状態が許容すれば2ヵ月前後の骨吸収抑制薬の休薬について主治医と協議、検討すること」についても、併せて掲載されています。

BP製剤投与中の休薬について

骨への侵襲的歯科治療(抜歯、インプラント埋入、根尖手術など)不適合義歯、過大な咬合力口腔内衛生不良、歯周病などの炎症性疾患※根管治療、矯正治療はリスク因子とはされていない

局所性

骨吸収抑制剤 悪性腫瘍用製剤>骨粗鬆症用製剤(BP製剤、デノスマブ)薬 剤

がん、糖尿病、関節リウマチ、低Ca血症など全身性

喫煙、飲酒、肥満ライフスタイル

抗がん薬、副腎皮質ステロイド、血管新生阻害剤など併用薬

田口 明先生ご監修参考:骨吸収抑制薬関連顎骨壊死の病態と管理:顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー 2016

Grbic JT, et al.: J Am Dent Assoc 2008; 139: 32-40.本試験はノバルティス ファーマ AGの支援により実施された

ゾレドロン酸群およびプラセボ群に各1例ずつONJが認められました。2例とも、下顎または上顎に対する外科的処置後に数ヵ月間にわたる治癒の遅延が記録されており、抗生物質や創面切除により回復しました。ゾレドロン酸群の1例は定期的な口腔ケアを受けたことがなく、さらに糖尿病を合併していることが感染のリスクを高めていた可能性が考えられます。また、過去の抜歯残根に膿瘍が認められた被験者でした。

国内第Ⅰ相臨床試験および国内第Ⅲ相臨床試験において、顎骨壊死の発現報告はありませんでした。

国内臨床試験における顎骨壊死の発現状況4

海外第Ⅲ相臨床試験(HORIZON-PFT)では、ゾレドロン酸群3,862例中1例(0.03%)、プラセボ群3,852例中1例(0.03%)に顎骨壊死が発現しました。

海外第Ⅲ相臨床試験における顎骨壊死の発現状況5

骨粗鬆症患者での海外市販後のONJの報告は、10万人・年あたり4.5人であり、経口BP製剤を使用している骨粗鬆症患者で報告されているONJの発生頻度(10万人・年あたり1~10 人)と同程度でした。

市販後における顎骨壊死の発現状況(海外)6

海外第Ⅲ相臨床試験(HORIZON-PFT)でONJと判定されたゾレドロン酸群の1症例

Novartis Pharmaceuticals Corporation Briefing Document for the September 9, 2011 Joint Meeting of the Advisory Committee for Reproductive Health Drugs and the Drug Safety and Risk Management Advisory Committee.

症 例 75歳女性、アジア人

なし

2型糖尿病、網膜炎、神経障害合併。直近に重度心筋梗塞の既往。定期的な歯科ケアなし。

合併症・既往歴・併用薬剤

BP製剤服用歴

抜歯後の残根片に囲まれた膿瘍臨床症状

● 12ヵ所のさらなる抜歯が行われた● 歯周感染を起こしたが、入院拒否● 下顎にも感染が拡大し、骨髄炎と下顎一部の骨壊死に発展● 抗生物質による治療で初発から2年後に完全寛解

治療および転帰

試  験:国際共同、無作為化、層化、プラセボ対照、二重盲検、並行群間比較対  象:閉経後骨粗鬆症患者7,736例方  法:ゾレドロン酸5mgまたはプラセボを1回15分以上かけて3年間(3回)点滴静脈内投与し、3回目投与1年後までの3年間観察

 した。なお、全患者に毎日、カルシウム1,000~1,500mg/日およびビタミンD 400~1,200IU/日を投与した。解析計画:12、24、36ヵ月間での新規椎体骨折発生率は、ロジスティック回帰モデルで解析した尤度比検定、大腿骨近位部骨折の初発ま

 での期間はKaplan-Meier推定法に基づくlog-rank検定で解析した。

海外第Ⅲ相臨床試験(HORIZON-PFT)概要

Page 28: リクラストの適正使用 - 医薬品医療機器総合機構...2 3 リクラスト®(一般名:ゾレドロン酸水和物)は、ノバルティス ファーマAGが創製した、側鎖

873999日本標準商品分類番号

GARC-2016000080062020年6月作成 KY

リクラスト®の適正使用 ■ 急性期反応 ■ 腎機能障害

■ 低カルシウム血症 ■ 顎骨壊死

医薬品リスク管理計画(RMP)

※注意-医師等の処方箋により使用すること

1. 警 告

2.1 本剤の成分又は他のビスホスホネート製剤に対し、過敏症の既往歴のある患者 2.2 重度の腎機能障害(クレアチニンクリアランス35mL/min未満)のある患者[急性腎障害を起こすことがある]  [8.1、9.2.1、11.1.1参照] 2.3 脱水状態(高熱、高度な下痢及び嘔吐等)にある患者[急性腎障害を起こすことがある][8.1、11.1.1参照] 2.4 低カルシウム血症の患者[8.2、11.1.2参照] 2.5 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

急性腎障害を起こすことがあるため、以下の点に注意すること。[11.1.1参照]・各投与前には、腎機能(クレアチニンクリアランス等)、脱水状態(高熱、高度な下痢及び嘔吐等)及び併用薬(腎毒性を有する 薬剤、利尿剤)について、問診・検査を行うなど患者の状態を十分に確認し、本剤投与の適否を判断すること。 [8.1、  10.2参照]・投与時には、点滴時間が短いと急性腎障害の発現リスクが高くなることから、必ず15分間以上かけて点滴静脈内投与すること。 [14.1.1参照]・急性腎障害の発現は主に投与後早期に認められているため、腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。  [8.1参照]