ロームの電源icテクノロジ nano pulse control ......
Post on 22-Jul-2020
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Nano Pulse Control®
Nano Energy®
ロ ー ム の 電 源 I C テ ク ノ ロ ジ
ナノ シリーズ Ve r. 1 . 3
Nano Pulse Control®
Nano Energy®
「アナログパワーNo .1」を 2つの最先端技術
先行開発プロジェクトで生まれたナノテクノロジ 2014年、IC商品開発部隊の中に新しいプロジェクトが産声を上げました。
電源ICはロームの中で重要な位置を占めており、使用されるアプリケー
ションごとに要求される性能を向上させていくという、商品開発ベースで
技術を高めてきました。
このプロジェクトでは、ロームの垂直統合型生産体制を活かし、回路設計や
レイアウト設計にとどまらず、プロセス技術までとことん追求し、その技術
を商品に結びつけるということでスタートしました。
電源ICの開発に豊富な経験と実績を持つリーダーと、社内公募で集めら
れたチャレンジ精神に溢れるエンジニアが集まり、柔軟な発想と試行錯誤を
積み重ねることで2つのナノテクノロジが生まれました。
Layout レイアウトProcess
プロセス
Circuit Design 回路設計
目指して生まれた
この2つの先端技術は、いずれもナノ(10のマイナス9乗)という微細な
オーダーにおいて優れたスペックを達成するものです。
1つは「Nano Pulse Control」と名付けられた超高速パルス制御テクノ
ロジ。この技術を搭載することで、BD9V100MUFでは、9nsという電源
ICにおけるスイッチングオン時間を実現。MOSFET内蔵DC/DCコン
バータにおいて、これまでにない24:1という高い降圧比を実現します。
例えば、現在欧州を中心に導入が進んでいるマイルドハイブリッド車では
48V系という高電圧の電源システムが採用されています。その48Vから
ECU(Electronic Control Unit)の3.3Vといった低い駆動電圧が必要
になります。今までは一度中間電圧をつくり2段階(2チップ)で降圧する
のが常識でしたが、この技術を用いることで1段階(1チップ)での降圧が
可能になり、部品点数を削減することができます。
もう1つは、「Nano Energy」という電源ICの消費電流を劇的に抑える
技術。この技術を搭載することで、BD70522GULでは180nAという
超低消費電流を実現しました。例えばIoT分野におけるセンサノードの
キーワードである「コイン電池で10年間駆動」に対応できます。
無負荷時(アプリケーションスタンバイ時)に一般品比で電池駆動時間を2倍
に延ばすことが可能であるため、ウエアラブル機器やIoT機器において
求められる小型化や電池の長寿命化に大きく貢献することができます。
*2019年10月 ローム調べ
業界最高*の降圧比と、超低消費電流を実現する2つのNano
Nano Pulse Contr [超高速制御テクノロジ]
CO2削減という地球規模の大命題を受け、ハイブリッド車や電気自動車 (EV)の普及が加速していますが、ヨーロッパを中心に、フルハイブリッド よりもコストパフォーマンスに優れたマイルドハイブリッドに高い関心が 寄せられています。 マイルドハイブリッドでは、従来の12V電源よりも伝送効率が高い48Vの 電源システムが採用されています。一方車両の各部に配置されるECUで は3.3Vといった低い駆動電圧が必要であり、更に低い2.5Vまでの対応も
60Vから2.5Vまでの降圧においてDC/DCコンバータを1チップ
化することで、2チップと比較すると周辺部品も含め大幅に部品
点数を削減することができます。特に周波数が高くなったことに
より、コイルを大幅に小型化することも可能となりました。
これによって、アプリケーションの小型化、システムの簡略化と
同時に低コスト化も実現。マイルドハイブリッド車はもちろん、産業
用ロボット、基地局のサブ電源など、48V系の電源システムで駆動
する産業機器が小型化・低コスト化されることで、いっそう社会への
普及が推進されていくことが期待されます。
ロームでは、BD9V100MUF-Cに続いて「Nano Pulse Control」
を搭載した製品を順次開発し、製品群としてお客様の幅広い要望
にお応えしていきます。
求められています。 従来のDC/DCコンバータでは、AMラジオ帯に影響を与えない2MHzの 動作において48Vから3.3Vの低電圧を得る際、一度12Vの中間電圧に 落とし、2段階(2チップ)での降圧が必要となります。規格上は最高60V の電源から最低2.5Vまでの駆動電圧への降圧に対応する必要があるの で、仮に1チップで降圧するとすれば、24:1という非常に高い降圧比を実 現しなければなりません。
開発の背景
電源システムで高降圧比を実現する意義 「Nano Pulse Control」の効果
製品搭載により実現できる世界
一般品B 新製品一般品A 0
20
40
60
80
100
120
140
スイッチング オン時間[ns]
(ローム従来品)
ローム従来品の 1/10を実現し、 世界最小*を達成
9ns
120ns 0.5x
0.5x
グ s]
ローム従来品の 1/10を実現し 世界最小*を達小小
0.5x
0.5xスイッチング オン時間
DC/DC ECU2段目DC/DC
2MHz動作時に2.5Vを出力できないので、2段目が必要
一般の構成
DC/DC
2MHz動作時に2.5Vを
一般の構成
60V ECU2段目DC/DC
力できないので、2段目が必要
2.5V12V
60V 2.5V DC/DC ECU
2MHz動作時に2.5Vを出力できるので、2段目が不要
新製品の構成
60VV 5V2.55 DC/DC ECU
Hz動作時に2.5VVを るので、2段目が出力できる
成
BD9V100MUF-C
20.8% 逆 に 考 え る と
高電圧から低電圧への変換を“1つの電源IC”で構成可能。システ
rol®
ロームでは、このDC/DCコンバータの「1チップ化」という極めて高い ハードルに挑み、超高速パルス制御テクノロジ「Nano Pulse Control」を 開発しました。この技術を搭載し、実現されたスイッチングオン時間は 9nsまで短縮されました。これは現在電源ICにおいて世界最小*の数値で あり、従来品が120nsであったことを考えても、非常に画期的な技術とい えるでしょう。また、この極めて小さなパルス幅に対して安定した制御を おこなえることも、この技術の大きなポイントとなります。
開発にあたっては、従来の考え方から大きく発想を転換すると同時に、アナ ログ設計技術や電源系プロセスのノウハウなど、垂直統合型生産体制を 活かしたことも成功の要因になっています。 この技術はMOSFET内蔵降圧DC/DCコンバータBD9V100MUF-Cに 搭載され、2MHz動作において1チップで60Vから2.5Vまでの降圧を実現 しています。
開発テクノロジと製品化
DC/DCコンバータの基本原理(Dutyが小さいほど出力電圧も小さくなる)DC/DCコンバータイメージ
高い入力電圧から 一定の出力電圧を得るには、 より小さいDuty(=パルス幅)が必要
*2019年10月 ローム調べ
2MHz動作時 業界最高*降圧比24:1 (60V入力、2.5V出力)を実現
BD9V100MUF-C 車載対応スイッチングレギュレータ
入力 電圧
出力 電圧
スイッチング波形 入力電圧 時間 時間
Duty 25%時
Duty 75%時
1周期 1周期
25%
75% 75%
25%
スイッチング波形
入力電圧の25%に平均化
入力電圧の75%に平均化
出力電圧
Dutyが 小さいほど 出力電圧も 小さくなる
12V
60V
2.5V
2.5V
12V 入力時
60V 入力時
1周期=500[ns]
スイッチング波形 【要求出力電圧に対して必要なパルス幅を得るための計算例】
周波数=2MHz(2000000Hz) 周期 =1/周波数=1/2000000=500[ns]
2.5V出力を実現する場合:
出力電圧
20.8%20.8% Duty 20.8%=104.2[ns]
Duty 4.2%=20.8[ns]
4.2%
逆 に 考 え る と
逆 に 考 え る と
2MHz動作で 同じ出力電圧
2.5Vを 得るには?
高い入力電圧から 一定の出力電圧を得るには、 より小さいDuty(=パルス幅)が必要
【要求 周 周
5
は、 幅)が必要
2.5 12V入力時 = 2.5[V] ÷ 12[V] = Duty 20.8[%] Duty 20.8[%] × 500[ns] = 104.2[ns]
60V入力時 = 2.5[V] ÷ 60[V] = Duty 4.2